石原知事施政方針

平成12年2月23日
           平成12年第1回都議会定例会知事施策方針
 平成12年第一回都議会定例会の開会に当たり、都政に対する私の施政方針を申し述べ、都議会並
びに都民の皆様のご理解とご協力を得たいと思います。
1 新千年紀の幕開け
  はじめに、新しい千年紀の幕開けという、記念すべき西暦2000年を迎え、都政を預かる立場
 から、これからの東京を展望する上での時代認識について申し上げます。
  およそ1世紀余り前、我が国は近代国家を目指して、歴史的な改革を断行いたしました。それ以
 来、明治から昭和に至る歴史の大きなうねりの中で、幾たびかの危機を果敢な適応力で乗り越え、
 我が国は、驚くべき速さでその目的を成し遂げました。日本にとって20世紀は、非西洋文化圏で
 初めて誕生したグローバルプレイヤーが、世界史の表舞台に立った「成功の世紀」として、歴史に
 記されると考えます。
  しかしながら、翻って、今日の日本の姿を見ると、新しい文明秩序の創造が期待されているにも
 かかわらず、自らが依って立つ基軸となる新しい価値体系を見出せない一方、これまでの倫理規範
 が揺らいでおり、まさに「混迷の世紀末」というべき危機的状況に直面しております。
  戦後50年以上に及ぶ平和と繁栄の中で、国家の自立や社会の自己責任という本質的な課題につ
 いて考えない、何が本質なのかわからないという状況が続いてきました。また、中央集権的な政治
 ・行政システムが、自治体や企業そして個人の自立を阻み、新しい発想やチャレンジ精神が生まれ
 にくい土壌をつくってきました。現在の日本は、自らの運命を自らの手で決めていくという自己決
 定能力をいささか失いつつあります。
  日本のあるべき姿は何か、日本人はこれからどのような理念の下で歴史を生きていこうとするの
 か。新千年紀の幕開けという、新たな歴史の出発点に成すべきことは、何よりも、国家のグランド
 デザインやアイデティティーを、自らの手で確立することであると確信いたします。
  21世紀の日本に大きな変化を強いる潮流を見ると、まずグローバリゼーションと情報技術革命
 によって、個人が、旧来の社会的枠組みを超えて活躍し、これまでと比較にならない力を発揮する
 時代を創りつつあります。
  その一方で、家族、地域、国家など、個人を支える共同体への帰属感が希薄になるとともに、こ
 れまで培ってきた伝統や文化に対する誇りが失われてきております。また、個人主義や平等主義を
 はき違えた、自己中心的な生き方が蔓延しています。
  科学技術の驚異的な進歩は、その輝かしい成果を現代社会にもたらす反面、遺伝子や環境の領域
 に見られるよう、いまや人間自身の存在と尊厳を危うくしております。
  世界に例を見ない速さで進む少子高齢化の中で、社会の活力をいかに維持していくのか、そのた
 めの仕組みをどのようにするのか。その道筋は未だ十分描かれてはおりません。
  こうした時代の潮流にうまく適応できないことが、現在の日本の危機の本質に繋がっております。
 いま、求められていることは、国家体質の自発的な変革を成し遂げ、この危機を乗り越えることで
 あります。そのためには、自立した個人が創意を活かし、リスクへの挑戦と成果が評価される社会
 を築き上げることが大切であります。
  首都東京には、日本の危機の本質が最も顕著に表れていると同時に、危機を克服するための巨大
 な潜在的エネルギーが存在しております。すなわち、社会を動かす原動力となる、前衛的な思想や
 個人の活動です。
  時代を覆う閉塞感を打ち破るためには、こうした前衛的な行動を開花させていかなければなりま
 せん。
  私は、国政の本質を変える最初の引き金をこの東京から引き、首都東京を、そして日本を、混迷
 から再生へと蘇らせることに全力を挙げていく決意であります。
2 新たな歴史の座標を自らつくりだす都政運営
  次に、現在の都政に求められている課題と、都政運営の基本方針について申し上げます。
(都政に求められている課題)
 現在の都政の最重要課題の一つが財政再建であることはいうまでもありません。同時に、東京を混
迷から再生へと蘇らせるための足掛かりを築くことが極めて重要であります。
 いま、都政に問われていることは、新たな歴史の座標を自らつくりだす姿勢であります。
 すなわち、混迷の時代であるからこそ、地方主権の視点に立って、これまで当然とみなしてきた、
さまざまな制度的な制約を打破していく行動が強く求められております。また、東京の将来を見据え
た長期ビジョンを明らかにするとともに、それを実現していくためのしなやかな行政体質を確立しな
ければなりません。
(平成12年度都政運営の基本方針)
 私は、こうした基本的な認識の下で、平成12年度都政運営の基本方針として、次の三つを掲げるこ
 とといたしました。
 第一は、制度変革に向けた「首都東京からの挑戦」であります。
 1200万都民を抱える首都東京から、改革に向けたメッセージを発信していくことは、国や社会を
動かす上で大きな影響力を発揮いたします。
 私は今回、地方主権の基幹となる課税自主権の行使を、東京が先導的に果たすことを決意し、銀行業
に対する外形標準課税を、5年間の時限措置として導入することといたしました。本定例会に新たな条
例案を提案しております。
 今回の措置は、現在の都財政にとって、安定的な税収の確保が急務であると判断し、銀行業という業
種に限定しておりますが、税収の安定化や税負担の公平性確保を図るため、地方税法の規定を活用して、
都独自に実施するものであります。
 銀行業は、業務上の利益を十分得ているにもかかわらず、不良債権処理という、過去の事業運営の負
の遺産によって殆ど課税を受けず、行政サービスのコストを負担しておりません。バブル期には、
2100億円を超えていた大手銀行の事業税が、現在では100億円程度しか納められていないなど、
税収動向は極めて不安定になっており、応益課税としての法人事業税の機能が失われております。また、
本来、自助努力によって解決すべき不良債権処理のために、10兆円を超える多額の公的資金が投入さ
れるなど、金融システム安定化のための安全ネットが十分に張られています。
 導入に当たっては、資金量5兆円以上の銀行に限定して実施するとともに、外形標準として、基本
的な業務の収益指標である「業務粗利益」を採用いたします。税率は、過去の所得課税による税収実
績等を勘案して、特別法人を除き、3%といたします。
 21世紀に向けて、我が国が果たすべき大きな改革の一つは、地方自治体が自立し、自らの責任と
自らの財源で主体的な施策を展開する仕組みを確立することです。
 しかしながら、地方分権一括法は成立したものの、分権型社会を確立するために何よりも必要な地
方税源の充実確保は、長年にわたる地方自治体の悲願であるにもかかわらず、中長期的な課題として
先送りされてしまいました。また、安定した行政サービスを提供するためには、景気変動に左右され
ない、安定した税収を確保することが不可欠ですが、国で検討されてきた法人事業税への外形標準課
税の導入についても、見送られております。
 こうした状況下で、真の地方自治を確立するためには、現行法制度の中で、それぞれの自治体が地
域の実情に応じて、自らの財源確保に知恵を絞ることは当然であります。
 私は、地方主権の視点に立った、この東京発の新しい税制の発信が、停滞する国政の本質を変える
上で、極めて大きな意義をもつメッセージであると考えます。首都東京から新しい変革の歴史を創り
出すため、私は、都議会をはじめ都民の皆さんと一丸となって、制度変革のうねりを巻き起こしてま
いりたいと思います。
 外形標準課税の導入とあわせて、私は、新築住宅を対象に、固定資産税と都市計画税の減免制度を
5年度間実施することとしました。住宅産業は裾野が広く、経済波及効果が大きいため、これを税制
面から支援することで、景気刺激策になるとともに、良質な住宅のストックの形成にも資するものと
考えます。
 税制については、このほかに、巨大な昼間流入人口など、大都市特有の財政需要に対応するため、
法人都民税の超過課税を5年間延長する一方、現在の景気状況等における都民の税負担感に配慮し、
小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置を、12年度は継続いたします。
 もう一つの試みとして、私は、東京の都市づくりを通じて、21世紀にふさわしい、新しい公共の
概念を提起していきたいと考えております。
 東京のような大都市では、社会資本整備における合意形成のルール、公共事業の執行における財産
権と公共の福祉のバランスが、極めて重要な課題になっております。高密度都市東京の都市空間は、
その希少性に加えて、公共的な整備によって、経済的活動や居住の場として高い価値をもっており、
都民共有の財産にほかなりません。合意形成に当たっては、まず総合環境アセスメント制度など、新
たな評価制度の導入によって適正な手続きを徹底することが大切です。空港や広域幹線道路など、施
設整備による便益が広範に及ぶ事業には、地元の声だけではなく、利用者をはじめとする、できるだ
け多くの人びとの意見を反映させることが必要であります。その上で、正当なプロセスを経て合意さ
れた公益的な事業は、個人の権利を徒に許容することなく、迅速な実行こそが優先されるべきであり
ます。
 私は、東京の都市空間の有限性と公共性を十分に意識し、東京の実情に即した都市づくりを進めて
いくため、新しいルールづくりに取り組んでまいりたいと思います。
 第二は、東京の再生に向けた長期戦略ビジョンづくりであります。
 私はまず、本年末を目途に、「東京構想2000(仮称)」を策定し、東京が目指すべき中長期的
な都市像・生活像を明らかにするとともに、その実現に向けた施策展開の道筋を総合的・体系的にお
示ししたいと思います。
 構想の目標時期は、都市構造の変化などについては50年後を視野に入れながら、東京の将来像の
具体的イメージを喚起し、施策の成果がはっきりと表れてくる15年後といたしました。
 この構想では、我が国で初めての試みとして、政策の目標と実績をわかりやすい指標で示す「東京
都政策指標」を全般的に導入し、これを計画の基軸に据えて取り組むことにより、「成果重視」の行
政活動の流れを確立してまいります。また、具体的な施策・事業のうち、重点的に取
り組むべきものについては、3か年程度の推進プランを策定いたします。
 東京の将来のあるべき姿を展望するためには、とりわけ、都市計画の基本的方向や都市整備の方針
が重要になります。
 このため、私は、「東京の新しい都市づくりビジョン」の策定を通じて、東京圏における広域的な
連携の視点を踏まえながら、目指すべき都市像や望ましい都市構造のあり方を提起し、これを東京構
想に反映させてまいります。
 少子高齢化や人口減少の時代を迎える中で、東京のもっている潜在的エネルギーをダイナミックに
発露させていくためには、国内や海外からの訪問客を含む「交流人口」に着目し、東京を賑わいのあ
る魅力的な都市としていくことが重要です。また、都心の再生に加え、臨海地域や多摩地域など、豊
かな自然に恵まれたポテンシャルの高い都市空間を有効に活用していくことも大切であると考えます。
 首都移転問題については、昨年末、国会等移転審議会から移転先候補地の答申が行われました。
 非公開の審議会という密室の中だけで、一方的に移転の手続きを進め、国民的な議論も尽くされな
い中で答申を強行したことは、誠に遺憾であり、不当でさえあると考えます。
 答申の内容も、東京を挟んで東西に配慮した極めて曖昧な表現となっており、候補地のばらまきと
いう印象を拭いきれません。
 私は今後とも、首都移転がいかに時代錯誤であり、日本の将来を危うくするかということを、広く
国民の皆さんに訴え、移転が白紙撤回されるまで、粘り強く反対運動を続けてまいりたいと思います。
 我が国の首都機能は、東京をはじめとする1都3県が、業務核都市の形成などを通じて、連携・分
担しながら担っております。21世紀においても首都機能を発揮していくためには、東京圏を再構築
しながら、高次の都市機能の集積を支える、新たな都市構造を実現していかなければなりません。
 このため、私は、これまで以上に隣接県との十分な連携を図りながら、「東京圏メガロポリス構想
(仮称)」を策定し、東京圏全体の力で日本を牽引するとともに、アジア地域や世界を先導していく
ことを目指したいと思います。
 第三は、21世紀の都政を創造するための、しなやかな行政体質の構築であります。
 私は、都政の抜本的改革の姿を示す「都政改革ビジョン」の策定に着手いたしました。策定に当た
っては、まず12年度に、執行体制、人事給与制度、仕事の進め方、監理団体など、都庁改革に向け
て、直ちに取り組むべき行財政システムの具体的な改革の内容を、15年度までの実施計画として明
らかにいたします。次いで、東京構想で示される東京が目指すべき将来像を踏まえ、中長期的視点か
ら、東京をめぐる自治制度の抜本的な改革を視野に入れた、都政のあるべき姿を描き、新たな自治体
像について検討を進めてまいります。
 組織改革については、今後、都が行うべき施策を明らかにした上で、そのあり方を検討してまいり
ます。しかしながら、トップマネジメントのあり方の見直し、保健・医療・福祉分野の連携など、東
京を取り巻くさまざまな危機を克服するための体制整備や、組織の簡素化・効率化に向けた徹底的な
見直しなどについては、精力的に検討を進め、実施してまいります。
 また、行政評価制度の試行を12年度に拡大し、評価結果の活用方法やフォロー体制の検討を含め、
13年度の本格実施に向けた取組を進めます。
 監理団体の改革は、都政改革の大きな柱の一つです。先日、これを確かなものとしていくため、企
業経営者の視点も踏まえ、総点検のための基本指針を策定いたしました。改革に向けた基本的考え方
として、団体の設立趣旨等の見直し、自律的経営の促進、経営の透明性の向上を掲げた上で、経営評
価制度の見直し、費用対効果の徹底、団体の経営努力に対するインセンティヴの付与など、7つの基
本指針を示しております。 今後、この基本指針をもとに、各団体において早急に「経営改善計画」
を策定いたします。また、都がこれと並行して実施する個別団体の総点検結果を、本年秋を目途とし
て公表し、13年度予算から反映させてまいります。
3 平成12年度予算案
 次に、平成12年度予算案について申し上げます。
(予算編成の基本的考え方)
 私は、平成12年度予算を、都財政の構造改革を推進する中で、「財政再建の達成に向けて確実な
第一歩を踏み出す予算」と位置づけました。
 都財政は、財政の対応能力が限界に達しつつある中で、来年度以降も巨額の財源不足が見込まれ、
このまま推移すれば「財政再建団体」に転落するという、危機的状況に依然としてあります。
 12年度予算は、「財政再建推進プラン」の初年度に当たる予算であり、この中で示した基本的な
考え方に基づき、都政の構造改革を着実に推進していく必要があります。同時に、現在東京が直面し
ている危機を克服するため、東京再生に向けた政策の苗を植えていかなければなりません。
 私は、こうした認識に基づき、12年度予算の編成に当たっては、次の二つを基本といたしました。
 第一は、「財政再建推進プラン」に基づき、自ら、厳しい内部努力を実施するとともに、すべての
施策について聖域なく見直すことであります。
 第二は、社会経済状況の変化を踏まえ、施策の再構築を図りつつ、新たな行政需要にも的確に対応
することであります。
(財政再建への取組)
 施策の見直しなどを通じて、都民の皆様にも我慢をお願いする以上、何よりもまず成すべきことは、
都自らの身を切るような内部努力であります。
 このため、私は、全国で最も厳しい内容の、職員給与の削減を実施することといたしました。また、
職員定数については、事業の民間委託、組織の統廃合をさらに進めるなど、事務事業の徹底した見直
しを行い、12年度で2138名を削減することといたしました。
 施策の見直しについては、都の行うべきすべての事業をあらゆる角度から精査、点検し、78事業
について廃止又は休止するとともに、新しい時代にふさわしい施策への再構築を図っております。
 歳入確保策としては、「資産アセスメント制度」を導入し、都有財産の一層の活用を図るとともに、
さらなる徴税努力をいたします。
 使用料・手数料については、負担の公平を図る見地から必要な見直しを行い、40条例、3規則の
改定を行うことといたしました。都議会並びに都民の皆様のご理解とご協力をいただけますようお願
い申し上げます。
 国と地方をあわせた税財政制度の改善については、今回、義務教育教職員の給与費に係る財源調整
について、改善が図られました。「地方税財政制度の改善を目指す東京都議会議員連盟」のご支援を
はじめ、都議会と行政が一体となった努力が実ったものと考えます。国の税財政制度の抜本的改善は、
一朝一夕に実現するものではありませんが、今後も強く国に働きかけてまいりたいと思います。
(財政の構造改革に向けて)
 こうして編成した平成12年度一般会計の予算規模は、前年度に比べ4.9%減の5兆9880億
円で、12年前の昭和63年度の水準である5兆円台となりました。また、特別会計と公営企業会計
を加えた都全体の予算総額は、前年度に比べ4.5%減の11兆7709億円となっております。
 今回の予算は、数字だけを見れば「超緊縮型の予算」ではありますが、私は、都政の抱える課題を
先送りすることなく、構造転換に向けて踏み出した「改革型の予算」であると考えます。
 12年度予算においては、歳入・歳出の両面にわたる徹底した見直しにより、約1900億円の財
源を確保することができました。しかしながら、それでもなお、3200億円を超える財源不足が生
じたため、減債基金積立の一部計上見送りなど、臨時的な財源対策を講じております。これは、あく
まで財政再建団体への転落という、最悪の事態を回避するための緊急措置であり、財政再建は、未だ
緒に着いたばかりであります。景気が安定した回復軌道に乗り、都税の増収が図られるまでには、ま
だまだ時間を要する上、歳出の中には、構造的要因によって確実に増えていく経費や、公債費のよう
に急増が見込まれる経費があり、今後も厳しい財政状況が続きます。
 私は、引き続き、都議会並びに都民の皆様のご理解を得ながら、財政の構造改革に全力を挙げて取
り組んでいく決意であります。
4 新世紀の東京を創造するための政策展開
 次に、財政再建の取組を堅持しつつ、新世紀の東京を創造するための政策展開について申し上げま
す。
(新世紀を見据えた福祉社会の実現)
 21世紀を目前に、我が国の社会保障制度は大きく変わろうとしております。4月からは、いよい
よ介護保険制度がスタートし、サービスの提供が「措置」から「契約」に変わります。今後は、民間
などの多様なサービス提供事業者の参入が本格化するものと見込まれます。こうした変化は、これま
での「行政が決定する福祉」から「都民自らが選択し、利用する福祉」への転換を促す、大きな流れ
にほかなりません。
 昭和40年代に骨格ができた都の福祉施策についても、社会経済状況の変化や国の施策の充実など
を踏まえ、負担の公平、介護保険制度との整合性の確保などの観点から見直すとともに、在宅サービ
スを中心とする福祉サービスを充実し、新しい時代に適合する新しい変化が求められております。
 私は今回、こうした観点を踏まえ、福祉の改革を進めることを決意し、その内容を12年度予算案
に盛り込み、従来の施策の抜本的な見直しを含めた、所要の条例改正案を本定例会に提案することと
いたしました。
 限りある財源を、在宅サービスの充実や新しいニーズへのきめ細かい対応に重点的に配分するとと
もに、公平性の観点から、サービスの利用と負担のバランスの適正化を図ります。
 また、区市町村が地域の実情に応じ、主体的、自主的に福祉施策を展開することができるよう、新
たに包括補助制度を創設するとともに、重度の心身障害者のための24時間巡回型サービスや、特別
養護老人ホームの経営支援策などを新規に実施いたします。
 今回の改革は、新世紀を見据えた福祉社会を実現していくためのものであります。今後、区市町村
と協力しながら、福祉施策の一層の量的・質的充実に努めてまいります。
 平成2年には10人に1人であった東京の高齢者人口は、平成22年には5人に1人になると見込
まれており、高齢者が暮らしやすい社会を実現することは、緊急の課題であります。
 東京は、生活や文化の面で刺激を受ける機会の多い都市であり、働く場所や職種も豊富ですが、高
齢者がいきいきと活動するための基盤整備は、まだ十分とはいえません。
 私は、自立した生活の支援や、誰もが活動しやすいまちづくりなどを進めるとともに、元気で経験
豊かな高齢者の能力を活かす仕組みづくりに努め、都市型高齢社会のモデルをこの東京で創っていき
たいと思っております。
 急速な少子化の進行もまた、深刻な問題の一つであります。誰もが子育てに、魅力や喜びを感じら
れる社会を実現することが必要であります。保護者の就労時間の多様化に伴うニーズに応えるため、
零歳児保育や延長保育の充実を図ってまいります。さらに、全国に先駆けて、私立幼稚園における早
朝預かり保育などを支援してまいります。
 都民がいつでも安心して医療サービスを受けられるよう、都立病院の改革をはじめとする、医療従
事者の意識改革や、365日・24時間稼働の救急医療体制の構築など、医療の改革にも取り組んで
まいります。
 社会や家庭での活動に、男女を問わず一人ひとりに個性と能力を発揮する機会が確保され、男女が
平等な立場で参画し、責任を分かち合う社会の実現を目指すため、男女平等参画基本条例案を、本定
例会に提案してまいります。
 多様な文化や価値観、ライフスタイルをもつ人々が活動する東京では、多種多様な人権問題が生じ
ています。このため、人権施策推進のための指針を7月に策定し、人権施策の基本理念及び施策の具
体的内容を明らかにしてまいります。
(新世紀の原動力たる人材育成に向けた教育の再構築)
 いま、社会を見ると、自分が何をしていいのかわからないまま、自己中心的でまわりを顧みない子
どもたちが増えています。
 私は、「心の東京革命」を提起し、親と大人が責任をもって、子どもたちに社会で生きていく上で
の基本的なルールを伝えていく運動を、展開してまいります。6月には、その具体的な取組を「心の
東京革命取組方針・行動案」としてお示しいたします。
 21世紀の東京を切り拓いていくのは、「志」と「創造力」をもった若者です。
 私は、まず他人を思いやる心をもち、地域や国家、国際社会に目を向け、進んで「公」に貢献する、
「志」をもつ若者を育てていくことが必要と考えます。
 また、画一的な教育の枠に子どもを押し込めるのではなく、個性、創造性を伸ばしていくことが必
要であります。私は、時代をリードする「創造力」を備えた若者を育成することができるよう、教育
改革を積極的に推進してまいります。
 今回、教育の基本理念や理想を示した教育目標及び教育の基本方針について、その再構築を図って
いくため、教育委員会において検討に着手することといたしました。
 都立高校の入学選抜については、生徒がさらに自由に自分に合った学校を選択できるようにすると
 ともに、学校間の競争を促すため、広く都民の意見を聴きながら、他学区からの入学者限度枠の拡
大など、学区制の見直しを進めることといたしております。
 都民に信頼される魅力ある学校を実現するためには、校長、教頭のリーダーシップの下、責任ある
学校運営体制を確立するとともに、教員の資質能力の向上と意識改革を進めることが重要です。この
ため、4月から、自己申告と業績評価の二つを柱とする、新しい人事考課制度を実施するとともに、
教員の新たな研修システムの構築と体制の強化を図っていくこととしております。
(東京からの環境革命の全面展開)
 現在そして将来の都民の健康を守るためには、国の施策の強化を要請するだけではなく、地方自治
体として、求められる施策を主体的に実施し、国や産業界を大きく動かしていくことが必要でありま
す。また、環境の危機を克服するためには、生産、流通、消費、廃棄の各段階において、環境への配
慮を徹底させていかなければなりません。
 こうした視点に立って、4月から環境局を設置し、廃棄物、リサイクルをも含めた総合的な環境政
策を展開することといたします。特に、都民の命と健康を脅かしている、自動車公害及び有害化学物
質対策については、執行体制を強化し、先導的な取組を進めてまいりたいと思います。
 今後、私は、東京の経済、社会の仕組みを、持続的発展が可能な環境優先型につくりかえていくた
め、東京からの環境革命を全面的に展開してまいりたいと思います。
 排ガス規制や軽油優遇税制など、ディーゼル車にかかわるこれまでの国の取組は、不十分であると
いわざるを得ません。先月の尼崎公害訴訟判決は、幹線道路沿道での健康被害について、ディーゼル
排気微粒子の関与が最も疑わしいことを指摘し、国の責任を認めた画期的なものであり、私は改めて、
環境政策において、行政の迅速な対応がいかに重要であるかを認識いたしました。
 先日、私は、ディーゼル微粒子除去装置の装着の義務づけや、ガソリン車等への代替の促進を図る
ため、ディーゼル車規制の検討案を取りまとめ、今後実施すべき具体的な規制の内容と、取組のスケ
ジュールを明らかにいたしました。
 また、化学物質による環境リスクを低減するため、都独自の有害化学物質管理制度を導入し、法に
基づく取組を一層強化いたします。
 近く予定されている東京都環境審議会の答申を踏まえ、本年中に公害防止条例を全面改正し、こう
した先駆的な環境規制を実施してまいります。
 緑地や農地の減少、森林の荒廃など、東京の緑は著しく失われつつあります。緑の充実は、ヒート
アイランド現象の緩和や防災機能の強化、さらには、東京を世界に誇れる、うるおいと風格のある都
市とするためにも欠かせないものであります。東京が抱える問題を、緑の面から総合的に捉え直すこ
とが必要になっております。
 このため、本年中を目途に「緑の東京計画」を策定し、東京の緑の望ましい将来の姿を描くととも
に、取り組むべき方針や対応策を明らかにしてまいります。
 また、丘陵地などの自然性の高い緑を保全するとともに、既成市街地での緑の回復に努めていくた
め、東京における自然の保護と回復に関する条例を、本年中に全面改正いたします。
 近年、産業廃棄物の不法投棄問題などから、廃棄物処理に対する不安
感が増大しております。とりわけ東京は、多量の産業廃棄物を排出し、その処理の多くを他県に依存
しております。このため、産業廃棄物の事業者処理責任原則を十分踏まえつつ、これまでより踏み込
んだ公共の関与が求められております。
 今後、都は、民間事業者が適正な処理を行うための環境づくりを進めるとともに、排出量が多く、
リサイクルの進まない建設廃棄物の処理施設の整備を促進するため、都の保有する適地を、実験的に
民間事業者に貸与するなど、有効な方策を検討してまいります。
(震災から都民を守る危機管理体制の充実)
 先月公表した世論調査の結果では、阪神・淡路大震災の直後に比べて、大地震への不安を強く感じ
ている人は減少しており、都民の危機意識は、風化しつつあることが窺われます。
 先の大震災では、家具の転倒防止など、ふだんの備えが不十分であったため、多くの犠牲者が発生
し、住民自身による安全確保の重要性が明らかになりました。同時に、被災者の救援に当たっては、
住民同士の助け合いが重要な鍵となります。
 このため、「自らの生命は自らで守る」、「他人を助けることのできる都民へ」などの4つの考え
方を基本とし、本年中に東京都震災予防条例を、制定以来初めて全面改正いたします。
 また、災害の発生直後には、何よりもまず、迅速に初動体制を確立しなければなりません。警察、
消防の救助活動に加えて、自衛隊のもつ総合的な機動力を活かすことにより、一人でも多くの都民を
助ける体制を確保するため、本年9月3日、陸・海・空の3軍が統合して参加する、総合防災訓練を
実施いたします。
 こうした取組に加え、災害に強い都市の構築を目指して、防災都市づくりを着実に推進するととも
に、被災した場合の復興の進め方について、日頃から準備しておくことが求められます。
 震災後の東京の復興に当たっては、将来を見据え、被災を繰り返さない都市づくりを計画的に進め
なければなりません。このため、震災復興グランドデザインを、12年度を目途に発表いたします。
 また、震災復興を円滑かつ効率的に進めるために、私権制限を含め、必要となる法的な課題につい
て、検討してまいります。
(東京の再生を牽引する産業と文化の振興)
 雇用や景気の低迷から脱却するためには、思い切った政策の転換が必要です。私は、中小企業の一
様な保護育成を図ってきた、これまでの産業政策を転換し、優れた発想力や技術力をもつ、意欲ある
中小企業や起業家の取組を支援してまいります。
 ベンチャー企業や創業者に対し、経営面に対する指導、低廉なオフィスの提供などの支援を行い、
新規成長産業の育成を図ります。
 また、技術力や将来性などを評価する融資制度を創設し、物的担保力の乏しい中小企業の資金調達
を支援いたします。来月発行するローン担保証券については、予想をはるかに上回る約1800社の
参加の申し込みがあり、700億円程度の債券を発行いたします。
 さらに、都内約1万社の中小企業のデータベースを構築しており、7月には、各企業が保有する技
術や財務などの情報を、全世界に発信してまいります。
 現下の深刻な雇用危機を打開するためには、雇用吸収力をもつ成長産業の育成を図っていかなけれ
ばなりません。こうした視点から、7月に策定する「産業振興ビジョン」において、産業の活性化と
新たな雇用創出の道筋を示してまいりたいと思います。
 破綻した信用組合については、債権回収業務の整理回収機構への一元化、二次損失への対応などを
強く国に要望してきましたが、今国会で、そのための法改正が審議される見通しとなり、これまで実
施してきた、コスモ信用組合の債権回収に関連する経費の支援については、12年度予算案への計上
を見送りました。
 信用組合の検査・監督事務は、4月から国へ移管しますが、信用組合は、中小零細企業の資金調達
の円滑化を通じて、地域経済の安定に大きく寄与しているところから、その経営基盤の強化は、中小
企業振興の上からも重要な課題であると考えます。私は、国の法改正の動向を踏まえ、12年度中を
目途に、信用組合の経営基盤強化のための施策を検討してまいりたいと思います。
 都市間競争が激化する中、国際都市に最も必要とされる要素は、海外から人、情報、投資を呼び込
む魅力であります。都市に蓄積された、あるいは新たに創造される質の高い文化が、都市の活力と発
展の源となる時代であります。
 21世紀の東京を魅力ある都市にしていくためには、東京から世界に向けて文化を発信することが
重要です。このため、10月を目途に「文化政策に関する基本方針(仮称)」を策定し、総合的、戦
略的な取組の方向性を明らかにいたします。また、マネジメント機能を重視した文化施設の運営方法
や、施設間の連携のあり方などを示してまいります。
(東京の魅力を高めるための都市基盤整備)
 空港、鉄道、道路などの都市基盤施設は、次世代に引き継ぐ財産となるものであり、その整備を進
めることは、東京の高コスト構造を是正し、産業の活性化と国際競争力の向上を図る上で、極めて重
要であります。
 都市基盤整備に当たっては、こうした観点を踏まえつつ、厳しい財政状況の中で、限りある財源を
効果的に活用するため、コスト縮減に努めるとともに、投資効果の高い事業を重点的に推進していく
ことといたしました。
 平成14年5月の供用開始を目指し、成田空港の暫定滑走路の工事が昨年末に着手されました。私
は、首都圏の自治体の首長の一人として、円滑な工事の進捗を心から望んでおります。同時に、国際
線の発着枠が絶対的に不足している現状を踏まえると、さらに羽田空港を思い切って活用する必要が
あると思います。
 羽田空港の国際化については、関係者の間ですでに取組が行われておりますが、都としても、都議
会や国会とも連携しつつ、国際化の実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。また、年内には、
羽田空港の有効活用など、首都圏の増加する航空需要などに対応する、都の基本的取組方針を明らか
にいたします。
 横田基地については、軍民共用化を想定した民間機の利用形態、環境に対する影響やまちづくりへ
の効果など、さらに詳細な調査を実施して、「横田基地の民間利用を考える会」での検討を進めつつ、
世論の喚起を図り、国への働きかけを強化してまいります。
 東京の交通を円滑化するためには、公共交通の整備が大切であります。同時に、道路交通容量の拡
大のみならず、交通需要の調整に踏み込んだ取組を進めていかなければなりません。
 鉄道の整備については、地下鉄大江戸線が4月20日、新宿・国立競技場間で一部先行開業し、
12月には全線開業いたします。三田線延伸部は9月に開業いたします。
 また、鉄道サービスの質的向上の面では、都営と営団の地下鉄駅出入り口の案内標識を統一し、大
江戸線から導入してまいります。今後も、案内サインなどの改善を含め、利便性の向上に努めていき
たいと思います。
 道路網の整備については、通過交通の都心部への流入を避けるため、東京外かく環状道路をはじめ
とする、いわゆる3環状道路の整備促進に取り組んでまいります。東京外かく環状道路については、
現在、地元の団体に対して話し合いを呼びかけているところであり、今後とも、国及び地元自治体と
の連携を図りつつ、計画の具体化に努めてまいります。また、環状8号線、山手通り、明治通りなど
の重点的な整備に取り組みます。
 自動車の効率的利用、公共交通への利用転換など、交通需要の調整を総合的に進め、効率の良い移
動ができる都市を形成していくため、先日、「交通需要マネジメント東京行動プラン」を策定しまし
た。12年度には、駐車マネジメント推進のための社会実験を実施するとともに、ロードプライシン
グについて、条例制定に向けた検討を現在進めております。
 多摩地域の都市づくりについては、調布保谷線、府中所沢線などの南北方向の道路整備や、JR中
央線の連続立体交差事業などに、重点的に取り組んでまいります。
 都内に残された貴重な緑地でもある、多摩サービス補助施設については、直ちに返還されるよう、
最も重点的事項として国に要望しております。地元とも連携しながら具体的な利用案を作成し、国に
対し働きかけてまいります。
 多摩は、豊かな自然と大きな発展の可能性をもつ地域であります。私は、こうした都市づくりの進
展や今後の課題をにらみながら、地域の個性や独自性を活かした「多摩の将来像」を、12年度に策
定いたします。
 また、島しょ地域については、島民の生活安定・向上のために、航空路をはじめとする交通体系の
充実などを図ってまいりたいと思います。
5 「都市の世紀」にふさわしい都市間の連携と協働
  次に、都市間の連携と協働に向けた取組について申し上げます。
(都と区市町村との新たな関係の構築)
 半世紀以上にわたる自治権拡充運動が結実し、4月から、新たな都区制度がスタートいたします。
改革の実現に向けてご尽力いただいた、都議会をはじめとする関係者の皆様に、改めて心から感謝を
申し上げます。
 都区財政調整については、改革実施後の事業運営に支障が生じないよう配慮しながら、特別区の自
主的、計画的な財政運営に資するための新たな制度を構築いたしました。清掃事業の移管についても、
円滑な移管の実施に向けて最終的な取組を進めております。いずれも関係条例の改正を本定例会に提
案しております。
 地方分権一括法が、4月に施行されます。本来の分権改革は、明治以来の中央集権型の行政システ
ムを根底から変革し、地域の課題に関する地域住民の自己決定権を基本として、個性豊かで活力に満
ちた地域社会の創造を図るものであります。
 しかしながら、今回の分権改革は、国から地方への権限移譲が不十分であるとともに、税源の移譲
が先送りされるなど、多くの重要な課題を残したままになっております。
 東京において分権改革をさらに進めるため、都区制度改革のみならず、本年9月を目途に「第二次
東京都地方分権推進計画」を策定し、都から区市町村への一層の権限移譲を提案してまいります。
(大都市自治体の連携と協働)
 3300万の人口を擁する東京圏は、イギリスやイタリア一国に匹敵する150兆円程度の生産額
を生み出す、世界に例を見ないメガロポリスを形成しております。しかしながら、慢性的な交通渋滞、
職住分離、国際空港の容量の絶対不足といった課題を抱え、その潜在的な力を十分に発揮できてはお
りません。
 このことが、日本経済の低迷と国際的地位の低下など、現在の日本の危機にも繋がっております。
我が国の政治、経済、文化の中心である東京圏の再生を図ることは、国全体の活力や競争力を回復に
導く上で、極めて重要であります。
 今月初め、国においても東京都の取組と軌を一にして「都市再生推進懇談会」が設置され、私は、
他の七都県市の首長とともに、東京圏の現状と都市再生の課題について各界の識者と意見を交わしま
した。
 私は、首都機能を担う七都県市が、それぞれの区域を越えた圏域全体のあり方について、互いに知
恵を出し合うなど、連携を一層深めていくことが重要と考えております。
(アジア大都市ネットワーク)
 21世紀は、全人類の半数以上が都市を中心に活動すると予測され、「都市の世紀」ともいわれて
おります。世界人口の半数を超すアジアにおいて、さまざまな都市問題の解決に向け、代表的な都市
が連帯、協力して取り組むことは、世界的にも大きな意義があります。
 このため、「アジア大都市ネットワーク(仮称)」の構築に向け、準備会議を早期に開催し、環境
問題への対応、文化の発信や文化産業の育成、災害時の相互支援体制の確保、都市づくりに関する技
術・人材交流など、実質的な事業展開のあり方を多角的に検討してまいります。
6 平成11年度最終補正予算案
 次に、平成11年度補正予算案について申し上げます。
 この補正予算案は、国の経済新生対策の実施に伴う第二次補正予算などにあわせ、経済の活性化や
貸し渋り対策などに取り組むとともに、公共交通機関の整備について、適切な対応を図るものであり
ます。同時に、都税収入の減少に伴う対応、国の緊急雇用対策にかかわる経費など、予算上必要な措
置を講じることといたしました。
7 おわりに
 新しい千年紀の幕開けとなる平成12年度予算案は、私が手がけた最初の予算であり、都政の方向
を大きく転換する、いくつかの果敢な提案を盛り込んだつもりでございます。都議会の皆様と、東京
の確かな未来を、ともに切り拓いていくための真摯な議論を重ね、議会と行政が一体となって、この
難局を乗り越えていきたいと思っております。
 また、私は、今年を東京発の「地方主権元年」と位置づけ、自治体が自らの責任で主体的に施策を
展開する時代への確かな第一歩を、都民の皆さんとともに踏み出していきたいと思っております。
 地方主権の担い手は、いうまでもなく都民の皆さんです。都民一人ひとりが、私たちの地域、私た
ちの東京、そして私たちの日本の将来を、主体的に深く切実に考えることから、新しい変革の歴史が
始まるのだと確信しております。
 改めて、皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。
 なお、本定例会には、予算案36件、条例案143件、契約案15件など、あわせて206件を提
案しております。よろしくご審議をお願い申し上げます。
 以上をもちまして、私の発言を終わります。ありがとうございました。

(本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。)