石原知事施政方針

平成13年2月23日更新
平成13年2月21日
        平成13年第一回都議会定例会知事施政方針表明
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 21世紀の幕を開ける平成13年第一回都議会定例会の開会にあたり、今年一年の施政
方針を申し述べ、都議会の皆様、都民の皆様のご理解とご協力を得たいと思います。
 はじめに、JR新大久保駅での勇気ある行為について申し上げます。
 1月26日、関根史郎さんと李秀賢さんは、ホームから転落した男性を救うため線路内
に降り、命を落とされました。
 人の危難を救おうとした勇気ある行為が、無念の結果をもたらしたことはまことに痛ま
しく、深く哀悼の意を表し、心からご冥福をお祈りいたします。
1 新世紀の展望と東京の役割
 (3つの危機との対峙)
  この正月、私は、新世紀の到来を非常に複雑な思いで迎えました。我々は次の世代に
 いったい何を引き継ぐことができるのか、この先の展望に思いを巡らすとき、新しい世
 紀の訪れを喜ぶ気持ちよりも、今を生きる政治家として、責任の重さを強く感じました。
  高度な文明社会の中で生きる我々は、現在、3つの重大な危機に直面しております。
  第一の危機は、東京の危機であります。
  住民の安全は、最優先で守るべき行政の基本課題であります。しかし、汚染された大
 気の中で健康が蝕まれ、凶悪犯罪の増加や都市型災害の危険性により、安全神話は過去
 のものとなりつつあります。経済活動や産業活動に目を向けると、バブルの後遺症から
 抜け出せないまま、大型倒産や雇用不安が続き、東京の活力は著しく低下しております。
 また、自己中心的な考え方が広く社会に蔓延し、これまでであれば誰もが当然に守って
 きた基本的なルールが崩壊しかけております。通勤ラッシュや交通渋滞は改善が進まず、
 大都市活動を支える交通基盤を整備するには、莫大な投資が必要であります。
  東京は、世界都市としての地位が揺らぎ、国際競争力をますます失う危機に直面して
 おります。
  第二の危機は、日本の危機であります。
  昨年12月、アメリカ国家情報会議(NIC)は、2015年の時点で、日本は、ア
 メリカ、EUと並んで世界の三極を構成することが困難になるとの予測を発表いたしま
 した。さらに、構造改革の遅れにより、アジアにおけるリーダーとしての地位を失うと
 も示唆しております。これが、現在の日本の客観的な姿であり、我々は、世界の中で、
 これまで築き上げてきた地位から転落する危機に瀕しております。
  このような状況を招いたのは、政治、経済の指導者に、いつの間にか責任感がなくな
 り、痛みを伴う決断ができなくなったためであります。危機にあって、何ら抜本的改革
 を行うことなく問題の先送りを繰り返す間に、国際社会からは、自己決定のできない国、
 国家のアイデンティティーを失った国と見なされるようになりつつあります。
  第三の危機は、地球の危機であります。
  人類は、3万年に及ぶ歴史を通じ進歩を続けてきました。特に、工業化を成し遂げた
 この2百年余りの間、高度な文明社会を形成し、便利で豊かな生活を当たり前のものと
 して享受するようになりました。しかしそれは、4億年をかけて地球がつくりだしたエ
 ネルギー資源を猛烈なスピードで消費することにより成り立っている社会であります。
 今や、オゾン層の破壊、砂漠化の進行、異常気象の頻発など、地球環境は大きく狂い始
 め、我々の行く末に暗い影を投げかけております。
  豊かさの代償として、地球の寿命を大幅に縮めているのが、今日の実態であります。
 自己制御できないほど高度に発達した文明を持ったが故に、人類は自ら滅亡に向かって
 転げ落ちてしまう、皮肉な危険と対峙していることを直視する必要があります。
 (存亡をかけた取組み)
  一昔前、我々の誰もが、21世紀は、希望に満ちた輝かしい世紀になるものと夢見て
 おりました。しかし、現実は、非常に危うい状況の中で新世紀への船出を迎えることに
 なりました。
  このまま事態を放置すれば、今世紀の終わりには、東京も、日本も、地球上の人類も、
 消えて存在しなくなる懸念すらあります。21世紀は、人類の存亡をかけた世紀である
 ことを肝に銘じる必要があると思います。
  このような状況を打開していくには、まず、変革を阻もうとする旧弊を打ち破ること
 が必要であります。21世紀において、人類存続の足かせとなる最大の弊害は、資源の
 浪費に痛痒を感じない大量消費型の社会、高度成長のみを至上のものと考える社会であ
 ります。
  長い年月をかけて構築されたこれまでのシステムを清算するには、非常に大きなエネ
 ルギーを必要といたします。しかし、自らの存在をかけて生き残るためには、避けて通
 れない過程であり、その苦難を乗り越えてこそ、初めてその先に、新しい文明社会の光
 が見えてくるのです。
 (新しい文明社会の創造)
  人類が目指すべき新しい社会は、地球と共存しながら合理的成長を持続する自律型文
 明社会であり、それは、脱産業革命と呼ぶべき環境革命を通じて成立いたします。
  基本となるのは、従来の価値観の転換と環境の視点に立った技術革新であり、地球環
 境との調和であります。その中で、我が国が果たすべき役割は、足るを知る心と節度を
 わきまえた行動を、世界共通の認識として広めることであります。
  そのためにはまず、西洋社会に追いつき追い越すということを最大の目的としてきた
 これまでの考え方と訣別する必要があります。同時に、地理的・文化的・歴史的にアジ
 アの一員であることを十分自覚し、アジアに軸足を置くことを内外に明確に示すことが
 必要と なります。アジアとの交流を深めることでこそ、新しい文明の受け皿となる生
 活スタイルを編み出すこともできると思います。
  これからの日本は、アジア諸国との連携を深めることで初めて、三極構造を維持し、
 アメリカ、EUと対等なパートナーとしての関係を築くことが可能となり、また、世界
 への発信力を持つこともできます。
 (これからの東京の責務)
  このような社会を造形していく上で、東京が直接実行できることは限られております。
 しかし東京は、自らが変わることにより日本を変えることを決意し、行動を開始いたし
 ました。東京が渾身の力を込めた一石を投じれば、それが、日本を変え、世界にも影響
 を及ぼす大きなうねりになっていくと確信しております。
  これから先、東京から日本へ、さらに世界へと変革の輪を広げる気概を持って、時代
 を先取りする政策に取り組んでまいります。多くの国家や都市、そこで生活する人々が、
 物質的な充足以外に高い価値を認めようとしない中、東京が行動を起こす意味は決して
 小さくはありません。
  東京が持てる力を十全に発揮し、国家のため、世界のため、あらゆる努力を傾けるこ
 とは、それが、世界都市である東京の責務であり、都民が生き残ること、ひいては人類
 が生き残ることにもつながってまいります。
  新しい文明社会の誕生に向け、近代文明を超克するスクラップ・アンド・ビルドを行
 い、合理性を失った考え方や古いシステムを断ち切る先鞭をつけます。
2 都政運営の機軸
  就任以来、私は、危機意識の徹底とスピードの重視を都政運営の基本としてまいりま
 した。今後も、この2点を根底に置きながら、さらに3つの具体的課題を機軸に据えて、
 都政運営にあたってまいります。
 (新しいフォーマットの造形)
  第一は、広く国にも地方にも通用する新しい行政のフォーマットを東京で造形するこ
 とであります。
  古来マルコポーロの時代より、人、物の交流は、新しい文明へのアクセスとして、重
 要な役割を果たしてまいりました。国際化が進む今日、空港は、国家の玄関口として、
 その国の文明を表象する施設であります。
  東京は、アジアにおける国際金融センターとしての地位をシンガポールや香港に脅か
 されつつありますが、東京近郊にもしもう一つ国際空港が存在していれば、このような
 事態は決して生じなかったはずであります。航空政策の遅れが、経済に大きな影響を及
 ぼしており、これは、我が国の戦略性の欠如を示す典型的な事例であります。
  東京圏の空港容量は、国際線ではわずか5年、国内線もあと10年以内には限界に達
 することが明らかでありながら、首都圏第3空港の建設に向けた国の動きは、非常に遅
 れております。
  昨年末、東京都が羽田空港の再拡張を提案したことで、国はようやく動きを見せ、来
 年春までに複数の候補地を選定する予定のようであります。しかし、切迫した現況にお
 いては、そのような悠長な考えでは、ますます国際社会から取り残されてしまいます。
 一日も早く羽田空港の再拡張を正式に決定し、工事に着手すべきであることを強く訴え
 てまいります。
  先月、焼津市上空で起きた航空機のニアミスは、一歩間違えば史上空前の大惨事とな
 るところでありました。今回の事件では、東京の西の空に大きく立ちはだかる見えない
 壁、すなわち横田空域の存在を見逃すことができません。横田空域は、戦後、米軍の管
 理下にあり、ごく一部のルートを除き、民間機が通過することは許されておりません。
 このため、東京から西へ向かう航空機は、極めて不自然な飛行を余儀なくされておりま
 す。国民の空の安全を守るため、横田空域を含む横田飛行場の返還を引き続き強く求め
 てまいります。
  たとえ国の専管事項であろうと、都民のみならず、国家、国民のためになることであ
 れば、今後も具体的な問題提起をこの東京から次々と行っていきたいと思います。
  災害時の危機管理も、国の対応が遅れている分野であります。万一の場合の備えとし
 て防災訓練は欠かせないものですが、関係機関が緊密に連携した大規模な訓練は、これ
 までほとんど行われておりませんでした。
  東京都は、昨年9月、国にも参加を呼びかけ、史上最大規模の防災訓練を実施いたし
 ました。今年は、9月1日に、昨年の訓練からさらに改良を加えた総合防災訓練を多摩
 地区で実施いたします。そこでは、地域に密着した区市町村が主体となり、自衛隊、警
 察、消防など関係機関と住民が多数加わった、より実践的な訓練を行います。また新た
 に、災害対策関係者の判断、指揮、調整能力の向上を目指して、本部運営のための訓練
 も事前に実施いたします。
  この2年間をかけた防災訓練を通じて、危機管理の一つの処方箋が確立できるものと
 考えております。
  こうした東京独自の発想による施策をいくつも積み上げることで、新しい行政のフォ
 ーマットを造り上げていきたいと思っております。
 (負の遺産の清算)
  第二は、前世紀から持ち越した莫大な負の遺産を清算することであります。
  膨らむ一方の財政赤字、未だ解消しない不良債権、一向に進展しない規制緩和など、
 我が国には難題が山積しておりますが、とりわけ東京に深く関連する負の遺産は、首都
 移転問題であります。
  衆議院の特別委員会は、昨年5月、2年後を目途に移転先候補地を絞り込むことを抜
 き打ち的に決議しており、このままでは、今年は、絞り込み作業が本格化することにな
 ります。移転反対の声が高まっているにもかかわらず、国は、国民の疑問に何ら答える
 ことなく、一方的に手続きを進めようとしております。我々は、このような国の暴走を
 一刻も早く阻止する必要があります。
  国は、首都移転と国政全般の改革を「車の両輪」と称し、国政を改革するには、その
 受け皿となる首都を移転する必要があると論じております。これは、まったく本末転倒
 した詭弁であり、国政を改革できない自らの無為無策を覆い隠すために、首都移転を使
 っているとしか考えられません。
  例えば、情報技術(IT)に関しては、5年以内に世界の最先端国家となることを目
 標に掲げております。この目標を実現する最善の方策は、政策の重点化により東京を最
 先端の電子都市に変身させ、IT立国の拠点とすることであります。しかし、技術力は
 ありながら、決断力がないために、思いきったIT戦略を実行できず、我が国は沈むば
 かりであります。
  今後は、首都・東京圏を構成し、3300万の人口を抱える七都県市が共同して、都
 市機能の分散策や直下型地震への対応策などを検討し、首都移転の代案ともなる具体的
 な国土利用のあり方を国民に示したいと考えております。その上で、広く意見を集約し、
 都議会の皆様とも一致団結しながら、首都移転の白紙撤回、すなわち国会等の移転に関
 する法律の廃止へ、国を追い込んでまいりたいと思います。
  よろしくご協力をお願いいたします。
  東京都には、社会情勢の見通しを誤ったため採算の悪化した事業がたくさん残されて
 おります。将来にわたって、責任ある都政運営を行っていくためには、そうした問題を
 包み隠さず都民に明らかにすることが、何よりも重要であります。その上で、最も効果
 的な解決策を提示し、強い決意を持って実行すること、それが託された使命であると考
 えております。
  多摩ニュータウン事業や白鬚西地区などの市街地再開発事業については、もはや巨額
 の欠損の発生が避けられないと判断し、事業の見直しと再構築に着手いたします。
  地価の低迷が続く中、臨海副都心開発事業会計は、財政基盤を強化することが喫緊の
 課題であり、埋立事業会計、羽田沖埋立事業会計と統合いたします。これはあくまでも、
 収支を改善させるための一つの手法であり、今後も大胆な改革を行ってまいります。
 (行政体制の改新)
  第三は、ただ今申し上げた2つの方針を進めていく基盤を新しく構築することであり
 ます。
  昨年末に策定した都政改革ビジョンIでは、執行体制や仕事の進め方など全庁的な行
 財政システムを中心に、15年度までの改革策を具体的に示しました。この4月からは、
 トップマネジメント補佐機能の強化や産業政策の充実など、現下の行政課題に迅速に対
 応する新しい体制をスタートさせます。
  IT化の促進は、時代の必然であります。しかし大切なことは、行政改革の手段とし
 て、ITを十分に活用することであります。いたずらにIT化を叫ぶ声に振り回される
 ことなく、基盤整備や職員の意識改革を確実に進め、3年後に電子都庁を実現いたしま
 す。
  都庁の改革と並び、監理団体の改革も重要な柱であります。進行管理を専門に担当す
 る組織や外部の専門家を活用しながら、監理団体が継続して改革に取り組むよう、厳し
 く目を光らせてまいります。
  交通機関や情報基盤が飛躍的に整備され、地域間のつながりが緊密化しているにもか
 かわらず、都道府県の枠組みは、戦後、まったく変わっておりません。しかし、市街地
 が都県境を超えて広がる中で、ディーゼル車対策や社会資本整備、産業廃棄物対策など、
 広域化しなければ効果的な解決を図ることのできない問題が、著しく増加しております。
  現行の国家体制と地方自治制度が、もはや十分に機能していないことは、我が国の現
 状が明確に示しております。
  近く策定に着手する都政改革ビジョンIIでは、東京圏における自治体のあり方につ
 いて、地方自治制度の根幹にまで踏み込んだ検討を行います。国から地方への真の分権、
 すなわち財源を伴った権限移譲についても具体策を提言いたします。
  こうした取組みを通じて、地方主権が確立し、住民の声に柔軟、迅速に対応できる体
 制が実現するものと考えております。
  今後、都議会の皆様とも幅広く議論を重ねながら、これからの地方自治のあり方を考
 え、問題提起してまいります。
  一方、基礎的自治体である区市町村においても、現行の行政区域の見直しは避けられ
 ないものと考えます。過日策定した「市町村合併に関する検討指針」は、合併に関する
 考え方と情報を都民、市町村に示したものであります。
  合併はあくまでも、区市町村が住民の意向を踏まえて自主的に行うものですが、地方
 主権のさらなる充実のために、積極的に行動されることを要望しておきたいと思います。
3 平成13年度予算案と財政再建
 (今後の経済情勢と予算編成の基本的考え方)
  東京が先駆的な政策を打ち出し、内外へメッセージを発信していくためには、財政を
 早期に立て直し、自らの足元を固める必要があります。
  一昨年の夏に「財政再建推進プラン」を策定して以降、東京都は、全国で最も厳しい
 職員給与の削減など、懸命の取組みを続けております。13年度には、このプランの前
 半の到達点となりますが、8兆円に迫る都債残高を抱えるなど、都財政は、依然として
 厳しい状況に置かれております。
  今後の経済情勢も決して楽観できるものではありません。政府は、時代遅れで効果の
 少ない公共投資を繰り返すだけであり、このような手法が景気の回復に何の力もないこ
 とは、この10年の経過が端的に証明しております。また、アメリカ経済は、効果的な
 金融政策にも支えられ、長く繁栄を続けてまいりましたが、昨年後半から、急激に失速
 を始めております。我が国にもこの先、輸出、株価、設備投資など多くの点で影響が現
 れてくるものと思われます。このほか、個人消費の伸び悩み、住宅投資の減少なども見
 込まれることから、今後は、景気が後退することを覚悟しておくべきであり、いたずら
 な楽観論を展開することは禁物であります。
  都政にとって、12年度、13年度の税収に増加が見込まれる点は、数少ない明るい
 材料でもあります。しかし、私には、構造改革に赤信号が灯ることのないよう、最悪の
 事態をも想定しながらシナリオを描く責任があります。税収の増加は、あくまでも一時
 的な現象であるとの認識に立ち、財政構造改革を確実に進めてまいりたいと思います。
  同時に、東京の都市機能を妨げ、都民生活に多大な影響を及ぼす問題については、い
 かに財政が逼迫していても、集中的に財源を投入し、早期の解決に力を注ぐ必要があり
 ます。
  そこで、13年度は、
 第一に、「財政再建推進プラン」に基づき、引き続き、自ら厳しい内部努力を実施する
 とともに、すべての施策について聖域なく見直しを行うこと
 第二に、財政構造改革を進める中、首都東京の再生を目指すための施策を厳選し、確実
 な実行を図ること
 この2点を基本として予算編成に臨みました。
 (健全化を志向した予算の編成と構造改革の継続)
  この基本方針に基づき、職員定数については、1279人を削減し、監理団体におい
 ても、470人の職員を削減いたします。
  こうした内部努力や外形標準課税の導入などにより、13年度では、2100億円の
 新たな財源を確保することができました。しかしなお、1400億円を超える財源が不
 足し、減債基金の積立ての一部先送りなど臨時的な財源対策に頼らざるを得ませんでし
 た。
  13年度予算の規模は、3年ぶりに増加には転じましたが、その多くは公債費の伸び
 などによるものであります。国のように総花的に予算をばらまくのではなく、濃淡をつ
 け、都市整備、環境、福祉を重点化することで、実質的な歳出を前年並みに抑制した、
 堅実な予算といたしました。
  また、12年度最終補正予算では、都税収入の増加を財源として、隠れ借金の一部を
 削減いたしました。
  歳入の3分の1以上を国債の発行に頼り、国税収入の8倍近い国債残高を抱えている
 国家財政に比べ、都財政は、起債依存度も、都債残高も、国の4分の1以下の水準に収
 まっております。国とは対照的に、東京都は、構造改革の努力が、数字の上でも成果と
 なって現れております。
  しかし、財政再建は、まだまだ道半ばでしかありません。構造的な赤字体質を転換す
 るまでには至っておらず、巨額の隠れ借金をどのように解消していくかも目処途が立っ
 ておりません。
  行く手には多くの難問が待ち受けておりますが、今後も決して手を休めることなく構
 造改革に取り組んでまいります。
  皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
4 首都東京の再生を目指す政策の展開
  国が頼りにならない中で、このままでは、東京は、国家とともに溶けてなくなってし
 まいかねません。東京は、国に先んじて、今ある危機から自力で再生する必要がありま
 す。
  昨年末に策定した「東京構想2000」では、50年先を展望した東京の望ましい姿
 を描くとともに、今後3年間で重点的に取り組む事業も示しました。13年度は、この
 3か年の推進プランの確実な実行を図りながら、急を要する事案についても緻密に対応
 してまいたいと思います。
 (地球全体を視野に入れた環境の保全)
  近代社会発展の過程で、環境問題は複雑化、深刻化してまいりました。以前から続く
 水質汚濁、大気汚染などの公害に加え、今日では、温暖化の進展など、地球全体に影響
 の及ぶ問題が発生しております。今や、地球への負荷をどこまで抑制できるかが問われ
 る時代となっております。
  抜本的な地球環境対策は、国が責任を持つべきことでありますが、東京都も、温暖化
 対策やフロン対策など、地球との調和に結びつく事業を積極的に推進しております。ま
 た、都会のヒートアイランド現象を緩和するために、屋上緑化の推進や道路の透水舗装
 などに取り組んでおります。このほかにも、都市の活動には多大なエネルギーを必要と
 することから、燃料電池、太陽光発電など、エネルギーの新たなあり方を考えてまいり
 たいと思います。
  これから先、環境問題に対処するには、都庁全体で取り組む体制を構築することが不
 可欠であります。年内に策定する「環境基本計画」では、地球環境対策にも目を向けな
 がら、総合的な対策を明らかにいたします。
  ディーゼル車の排気ガスは、都民の生命と健康を直接脅かしており、その削減は、一
 刻の猶予も許されない課題であります。東京都は、発生源対策、交通量の抑制など、多
 面的に施策を展開しております。
  不正軽油撲滅作戦は、単に税収を確保するためだけではなくて、環境問題にも対処す
 るため開始をいたしました。非常に大規模な作戦であり、全庁を挙げて横断的に取り組
 んでおります。また、広く社会に問題提起して、都民と協働する土壌をつくり、大きな
 世論を形成することで、個別の利益を代表する圧力に対抗しております。
  ディーゼル車などからの抜き取り検査では、何と1割を超える不正が発見され、取組
 みの必要性を裏付ける結果が現れております。脱税の疑いがある業者に対しては、今後
 も、摘発に向けた調査を続けてまいりますが、特に悪質な業者については、秩序犯とし
 ての強制調査を実施し、過日、東京地方検察庁へ告発いたしました。ここまで徹底した
 措置は、全国でも初めての事例となりますが、このような悪質な行為を放置することは、
 行政の責任を放棄することになると考え、断固たる対応を指令いたしました。
  今後も、悪質なケースには厳しく対処しながら、この問題に対する意識を一層喚起す
 ることで不正軽油の使用を撲滅し、大気汚染を抑制していきたいと考えております。
  昨年末に制定した「環境確保条例」に基づき、都内では、15年10月から、基準を
 満たさないディーゼル車の走行を禁止いたします。規制に先立ち、今後2年間で、微粒
 子を除去する装置の装着に対する助成、低公害車等を購入する際の低利融資のあっせん
 など、排気ガスの削減に向けた誘導策を集中的に実施いたします。
 (福祉と医療の改革)
  これまでの福祉は、行政を中心とする閉ざされた世界で展開されてきたため、行き詰
 まりを見せ始めております。行政が一律にサービスを提供する従来のシステムは、柔軟
 性や効率性の面で限界に達しており、今後は、多様な民間事業者が競争を通じてサービ
 スを提供することが求められております。
  行政は、施設の整備、利用者保護の仕組みづくりなどのほか、企業やNPOの参入を
 促し、質と量の両面において、高い水準のサービスを確保する必要があります。しかし、
 国は、規制緩和のスピードがまことに遅く、民間の参入に様々なハードルを設けており
 ます。
  都は、国に先駆け、独自の施策を展開し、利用者本位の開かれた福祉をこの東京から
 築いていくため、「福祉改革推進プラン」に基づき13年度予算において重点的に財源
 を配分いたしました。
  子どもの送り迎えに便利な駅前保育所は、住民の要望が強いにも関わらず、国の認可
 基準では事業として採算が合わないことから、これまで設置が進みませんでした。この
 ため、企業経営を可能にする東京独自の認証保育所制度を創設し、駅前保育所の設置を
 促進してまいります。
  高齢者の福祉・医療の複合施設として、来年の開設を目指し建設を進めている「高齢
 者専門病院」については、独立採算の導入も視野に入れ、公募により運営事業者を選定
 いたします。
  一方、心身障害者に対しては、15年度に予定されている、措置から契約への制度の
 移行に備えて、今後3年間で、生活寮、グループホーム、授産施設など、地域での生活
 や活動の場を重点的に拡大いたします。さらに、精神障害者の自立と社会参加を促進す
 るため、社会復帰施設の整備を積極的に推進してまいります。
  このほか、重症心身障害児施設が存在しない区部の東部地域に、17年度の開設を目
 指し「東部療育センター」を新設いたします。
  総合救急診療を行う東京ERは、この秋第一弾として、墨東病院で開始いたします。
 子育て世代から大きな期待を寄せられている小児救急については、小児科医が365日・
 24時間対応する体制を確保してまいります。
 (新世紀を支える人材の育成)
  戦後の日本は、どのような人材を育成するのか明確な方針がなく、加えて「結果の平
 等」を偏重する考え方に引きずられ、画一化された、およそ面白味のない教育しか行わ
 れてきませんでした。
  今や、四則演算が満足にできず、我が国の歴史も正確に知らないまま義務教育を終了
 する生徒が増えるなど、基礎学力の低下が懸念される状況となっております。世界を舞
 台に活躍し得る個性や創造力を伸ばすための教育も、まったく不十分なままであります。
 そればかりか、他人への思いやりや規範意識など、社会人としての基本的な心得を持た
 ない若者たちが増えております。
  教育は、人間が人間らしく存在するための全人格を形成する、極めて重要な場であり
 ます。また、人間が備えている感性と情念を育てる場でもあります。これからは、家庭
 や地域を含め社会全体で人材を育成することが必要であり、東京都は、崩壊しかけてい
 る教育体制の再構築を積極的に進めております。
  教科書を見ればその国の教育が分かります。我が国の歴史や文化を尊重しながら、国
 際社会の中で日本の未来を担う人材を育成する上で、教科書は、特に重要な役割を果た
 しております。複数の教科書の中から、より適切な教科書を採択することは、教育委員
 会が果たすべき責任の中でも、最も大切なことの一つであります。しかし、教育委員会
 は、実質的な採択行為を下部機関に任せてしまうなど、重責を果たしているとは到底思
 えない実態であります。
  今まで放置されていたこのような状況を改善するため、過日、東京都の教育委員会は、
 区市町村の教育委員会に対し、教科書の採択にあたって、改善すべき事項を指摘し、通
 知いたしました。
  今年は、新学習指導要領に基づく最初の教科書採択の年でもあります。区市町村の教
 育委員会は、教科書の持つ重みを十二分に認識すべきであります。東京都教育委員会の
 指導の下に、自らの責任において適切に教科書を採択し、採択後は速やかにその経緯等
 を住民に公表して、採択事務の透明性を高めていくべきであると考えます。
  先般発表した「大学改革基本方針」は、都立の大学が、人材育成と学術研究の両面で
 大きな存在感を持つとともに、東京の発展に貢献し、都民に開かれた知的共有財産とな
 るべきことを明らかにいたしました。再編・統合や経営責任の明確化など大学経営のあ
 り方も含め、今後広範に議論を重ね、この夏取りまとめる「大学改革大綱」の中で、大
 学が生まれ変わるための具体策を明確にいたします。
  昨年の10月に発足した「心の東京革命推進協議会」には、60余りの各種団体、企
 業が加入していただいており、幅広い都民運動が進みつつあります。来月から、「家族
 ふれあいの日」を開始し、あわせて、子どもとともにまちをきれいにする統一的行動も
 展開いたします。これが、社会貢献の喜びを体験する機会になることを期待しておりま
 す。
 (東京の治安の強化)
  世界から見た東京の優れた長所の一つは、良好な治安にありました。
  しかし最近では、殺人、強盗など、凶悪犯罪や来日外国人による犯罪が著しく増加し
 ております。とりわけ、来日外国人の犯罪者グループは、国内の犯罪組織と結びつきを
 強めながら、銃器、薬物の密輸入、ピッキング用具を使用した侵入窃盗など、悪質な犯
 罪を起こしております。
  犯罪が凶悪化・複雑化し、治安に対する都民の不安が広がる中、いかに都民を守って
 いくかが、大きな課題となっております。
  このため東京都は、13年度予算において、ピッキング対策を講じるなど、最近増加
 している新たな犯罪に対し、的確な予防と取り締まりを進めてまいります。
  今後、警察との連携を一層深めながら、東京の治安の強化に取り組んでまいります。
 (百年の大計に立った都市づくり)
  国際的な都市間競争が激しさを増す中、これからの東京は、政策の誘導により、魅力
 と刺激に満ちた都市づくりを体系的に進めていくことが必要であります。行政だけでな
 く、都市に住み、働く住民や企業においても、公共性の重視、地域との調和など責任あ
 る行動が求められます。
  この秋に策定する「東京の新しい都市づくりビジョン」では、今後の都市づくりの戦
 略や新たな仕組みを示し、国家的な重要課題でもある都市再生への道筋を明らかにいた
 します。
  近年の副都心の整備に伴い、業務機能は分散化が進んでおりますが、一方、都心部は、
 老朽化した施設が目立ち始め、地盤沈下を来しております。日本の心臓部とも言うべき
 都心の重要性をもう一度認識し、首都にふさわしい風格と賑わいのある国際ビジネス街
 としての、再生を行いたいと考えております。首都東京の顔である東京駅丸の内広場や
 行幸通りの再整備は、都心再生の一つの取組みでもあります。
  古くから電気街として発達し、東京の中でも優れた個性と世界的な知名度を持つ秋葉
 原は、現在、区画整理を積極的に進めております。私は、我が国のIT拠点として、秋
 葉原を先鋭的な街に造り上げ、これからの地区開発のモデルにしていきたいと思ってお
 ります。今後、民間企業の提案にも耳を傾けながら、世界の情報が集まり、新しいビジ
 ネスや技術が生まれ育つ、先端産業の集積地にしたいと考えております。
  築地市場は、首都圏の基幹市場として、都民の生鮮食料品の安定供給に大きく貢献を
 しております。しかし、現在の築地市場は、老朽化が著しく、21世紀の中核を担う市
 場への再生を目指した場合、移転による抜本的な整備が必要であると考えます。そのた
 め、豊洲地区を新しい市場の候補地とし、今後、関係者と本格的な協議を進めてまいり
 ます。
  都市基盤の整備は、未来につながる財産を築く極めて重要な領域であり、厳しい財政
 状況の中でも、投資効果の高い事業は、着実に推進する必要があります。
  慢性的な道路の渋滞は、多大な経済損失と環境悪化を引き起こしており、広域幹線道
 路の整備促進とボトルネックの解消が、有効な改善策となります。
  外かん道は、先月の国土交通大臣の現地視察をきっかけに、整備促進の機運が熟して
 まいりました。国に対しては、一日も早く計画の凍結を解除するよう、強く要請いたし
 ます。東京都では、実現に向け、地元との話し合いをさらに精力的に進めてまいります。
 首都高速中央環状線についても品川線の計画を早期に具体化し、圏央道とあわせ、3環
 状道路の完成に向けて積極的に取り組んでいきたいと思います。
  また、ボトルネックの原因となっている踏切を早期に解消するため、従来の連続立体
 交差事業に加え、工法上の工夫により緊急的に立体交差を実現する「踏切すいすい事業」
 を開始いたします。京浜急行線では羽田空港への間近につながる環状8号線をはじめ28
 か所の踏切について、工期を短縮し、解消したいと考えております。先日、現地を視察
 した総理大臣からも、強い賛同の意が示されました。
  さらに、来年度から3年間で、渋滞が激しい幹線道路を対象に、違法駐車の取り締ま
 りの強化、荷さばきのスペースの確保など路上駐車対策を集中的に講じてまいります。
 (特色ある産業都市の創造)
  アジアは、今世紀、世界で最も発展を遂げる可能性を持っておりますが、そのために
 は、日本が中心となり、社会的、経済的に連帯と協力を深めることが不可欠であります。
  現在進めている「アジア大都市ネットワーク21」は、アジアの各都市が、ものづく
 りなど実践的な課題を通して信頼関係を高める、有力な機会となります。この秋に東京
 で開催する第一回会議では、具体的な共同事業を決定いたします。
  21世紀には、情報の収集・発信力がますます重要性を高めてまいります。東京の魅
 力を世界に発信し、広く浸透させることは、都市の活性化に直結いたします。
  我が国のアニメ産業は、世界市場の6割を占め、その多くが東京に集積しております
 が、近年は、海外の企業が力をつけていることから、一層の市場拡大と競争力の強化に
 努める必要があります。このため、「新世紀東京国際アニメフェア21」を13年度に
 東京で開催し、新しい文化産業として振興を図るとともに、東京のアニメを世界に発信
 してまいります。
  また、映画やテレビなどを通して東京の魅力を広く伝えるため、撮影の許可や相談に
 関する総合窓口「東京ロケーションボックス」を設置し、東京を舞台とした映像の制作
 を積極的に支援いたします。
  第2回となるローン担保証券は、2千5百社を超える参加の申し込みを受け、来月、
 総額330億円の債券を発行いたします。今回は、公募方式による販売を実施し、広く
 一般の投資家からも資金を調達することで、直接金融に近づけたいと考えております。
  先日、空き庁舎を利用した新たな創業支援施設「ベンチャー・SUMIDA」を視察
 いたしました。斬新なアイディアを持つ起業家の活躍に接し、産業再生の曙光を見る思
 いがいたしました。多くの入居希望者があり、新たな産業を育成する手法として期待で
 きることから、13年度には、同様の施設を八王子市と千代田区に設置いたします。こ
 こから、将来大きく飛躍を遂げる企業が育ち、収益の一部が東京都に還元されることを
 期待しております。
 (多摩・島しょの個性ある発展)
  高層ビルが林立する都心から、美しい山並みを誇る奥多摩の山々、洋々たる海原に包
 まれた小笠原まで、東京には、実に様々な顔があります。これからの多摩・島しょの発
 展のためには、区部との同一性を志向するのではなく、相互に競い合いながら、それぞ
 れの地域が持つ豊かな個性、特性を磨いていくことこそが重要であります。
  近年、多摩は、神奈川県、埼玉など環状方向の人の動きが増加しており、独自の発展
 も見え始めております。今後は、核となる都市を中心に広く交流・連携しながら自立し
 た地域を形成し、東京圏のバランスのとれた発展に寄与していくことが必要であります。
  また、先日策定した「多摩の将来像素案」は、こうした認識の下、活力と魅力にあふ
 れた多摩を創造するため、環状方向の道路整備や特色を生かした産業の振興など、重点
 的な取組みを明らかにいたしました。
  独立採算により運営される東京スタジアムは、来月開業いたします。Jリーグ2チー
 ムの本拠地として、スポーツ振興の舞台となるのはもちろんのこと、地域の交流の場や
 文化活動の拠点として、多くの方々に利用されることを期待しております。
  島しょについては、観光客が減少している伊豆諸島を中心に、PRやアクセス向上な
 どの振興策を講じたいと思います。また、被災した三宅島、新島、神津島においては、
 引き続き、道路や産業の復旧・復興に向けた取組みを推進いたします。
  特に、避難生活が長期化している三宅島の方々に対しては、都営住宅を継続して提供
 するほか、教育、就労などの生活支援に力を尽くしてまいります。国に対しても、補助
 制度の新設をはじめとする復旧対策の強化をさらに求めてまいります。
5 おわりに
  今年は、都民から負託を受けた任期の折り返しの年となります。
  これまで私は、東京や我が国が直面している危機的状況を繰り返し訴え続けてまいり
 ました。しかしなお、国の政治家の大半は、危機の本質に気づいていないように思われ
 てなりません。危機の中にあって、危機を自覚していないところに、本当の危機が潜ん
 でおります。
  日本人は、本来、危機を克服する知恵と勇気を持ち合わせております。我々の祖先は、
 幾多の国難に直面してきましたが、その都度、信じられないような力を発揮して危機を
 乗り越え、さらに飛躍へのバネとしてまいりました。
  問題は、我々が、窮地に立っている現実にいつ目覚め、強い意志を持っていつ行動を
 起こし始めるかであります。多くの国民が危機に立ち向かうようになるまで、引き続き、
 東京からのメッセージを発信してまいりたいと思います。
  東京は、G7の一員であるカナダを上回るGDPを有しております。この東京がメッ
 セージを発信することが、いかに重要で大きな意味を持っているか、2年間の経験を通
 じて、非常に強く実感いたしました。
  東京都の働きかけにより、国も少しずつ動き出しております。まぎれもなく、東京は
 腰の重い国を動かしていると思います。
  この先、国を変え、さらに世界をも動かす起爆剤となるためにも、東京は、一刻も早
 く危機から脱出し、いい意味で強くなることが必要であります。幸い、この間の取組み
 により、変化の胎動は確実なものとなっております。これまでのメッセージが決して空
 虚なお題目で終わることのないよう、再生に向けた政策を一つひとつ堅実に実行してま
 いりたいと思っております。
  国に多くを期待できない以上、21世紀における新たな道筋を東京から示すことは、
 我々東京の政治家の役割であり、また責任でもあります。これは、首都東京でしか成し
 得ない仕事であると言っても過言ではありません。新しい文明社会の中で、地球と共生
 する世界を創り上げていくため、全力を尽くしたいと考えております。
  都議会の皆様、都民の皆様の一層のご理解とご協力を心からお願いいたします。
  なお、本定例会には、予算案34件、条例案73件、契約案4件など、合わせて120
 件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願い申し上げます。
  以上をもちまして、私の施政方針表明を終わります。
  ありがとうございました。