石原知事施政方針

平成14年2月21日更新
平成14年2月20日
           平成14年第1回都議会定例会知事施策方針
 今年最初の都議会となる平成14年第一回都議会定例会の開会にあたり、一年間の施政方針を申し
述べ、都議会の皆様、都民の皆様のご理解とご協力を得たいと思います。
 平成13年12月22日、名誉都民である加藤シヅエさんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の
意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
1 岐路に立つ現代社会
 (依存型社会の行き詰まり)
  さて、新しい世紀の幕開けから、一年あまりが経過いたしました。新世紀の到来を転機として日
 本が再生に向かうことを、誰もが、願っていたと思います。しかし、事態は、好転する兆しがまっ
 たくないままに悪化を続け、人々の不安、不満、苛立ちは募るばかりであります。
  その直接の原因は、10数年にわたる政策の失敗が引き起こした経済の低迷にありますが、淵源
 を辿ると、社会システムそのものに行き着くことを、我々は正しく認識する必要があると思います。
 これまでの日本を支えてきたのは、規制に守られた経済活動や終身雇用、官僚主導による中央集権
 体制、公共事業中心の財政政策などであり、憲法を頂点とした膨大な数の法令が、それを手厚く保
 護いたしました。こうした独特の構造は、我が国を経済大国に押し上げる原動力ともなり、皮肉な
 見方をすれば、最も成功した社会主義と呼べるほど、統制のとれた社会を築き上げたと思います。
  しかし一方で、戦後の日本は、過去に対する反省の念が行き過ぎた呪縛を生み、国家のありよう
 や社会の枠組みについて、議論することさえ許そうとしない風潮をもたらしました。そしていつし
 か、国全体が、本質的な問題について考えることを停止し、実は虚構でしかない権威や肩書きに頼
 るだけの、「依存型社会」となっております。
  その上、他力本願の姿勢が自主的な変化を妨げたため、時間経過の必然として、多くの弊害が発
 生いたしました。温室の中で過ごした半世紀は、成功や繁栄だけでなく、その場限りの状況主義や
 事なかれ、先送りの風土をつくり、その報いが今、日本の国家の土台を揺るがす危機となって出現
 しております。
  とりわけ東京には、社会資本整備の遅れ、産業の空洞化、失業者の増大、治安の悪化など我が国
 の構造的に抱える危機の本質が、ことさら致命的な形で現れております。
  国民の多くは、焦燥感に駆られながらも、自分が何を為すべきか分からないままに、ただただ萎
 縮しているだけであります。我が国は、多くの危機に晒されながら、国家としての意思を持つこと
 ができず、同時に、国民として当然持つべき誇りや気概や紐帯、あるいは共通の目標が消えようと
 しております。
  このままでは、日本は、近い将来、外見上の体裁だけは残しながらも、実質的な機能を失った、
 とても国家とは呼べないような存在にもなりかねません。国際社会の中で、誰ひとり関心を寄せよ
 うとしない、寂しい国家になってしまうとも思います。
  我が国は今、衰弱に向かう流れを断ち切り、新しい発展に転じることができるかどうか、最後の
 分岐点に立たされております。
 (持てる力の発現)
  これだけ深刻化した危機から立ち直るには、社会の構造を一新する以外道はなく、その過程では、
 並大抵でない苦労や苦痛を伴うことにもなると思います。しかし、改革を実行することで初めて、
 自由で公平、公正な競争の成り立つ社会が実現いたします。それこそが、独立心旺盛な人材を育て、
 将来の発展を可能にする社会であり、目指すべき社会であると考えます。
  これまでの歴史が証明しているように、本来、我々は、自ら活路を切り開く能力を保有しており
 ます。今でも、教育水準、技術力、金融資産などは、世界に誇り得る貴重な財産であります。とこ
 ろが、国は個々の力を総体として束ねることができずに、国民の間には主体的に困難を乗り越えよ
 うとする意欲が働かないため、国は、危機の中に沈もうとしております。
  我が国が持てる力を十全に発揮すれば、再生は決して不可能ではありません。そのためには、今
 後取るべき戦略、戦術を描き、それを国際社会の中で正当に主張し、実行することが必要でありま
 す。国民一人ひとりには、現在の状況と自らの能力を冷静に認識し、危機感を持って行動すること
 が求められます。
  停滞している局面も、一つのきっかけがあれば、大きく動き出します。東京には、日本の人口の
 一割、総生産額の二割が集中、集積しており、非常に大きな影響力があります。東京は、我が国を
 再生の軌道に乗せ、国民の目を覚ます梃子となるだけの、十分な力を備えております。
  東京が先陣を切って変わること、動くことで、国を変え、国民を動かし、国家としての尊厳、人
 間としての自立が確立された社会を導き出したいと思います。
2 都政運営の基本的視点
  そのためには、次の三つの視点を基本的に持つことが必要となります。
 (垣根に捕われない積極果敢な行動)
  第一は、従来の垣根に捕われることなく、積極果敢に行動することであります。
  東京に限らず、日本全土が大きな危機に包まれていながら、国の動きは、相変わらず鈍く、改革
 の軸足が定まっているとは、到底思えない状況にあります。
  例えば、雇用の拡大にもつながる産業の振興は、本来、成長産業への構造転換を促す取組みが必
 要であります。しかし国の政策は、当面の痛みを抑える補助金行政が中心で、積極的に新しい産業
 を育成しようとする意思が一向に感じられません。せめて東京は、個性を活かした産業が育つよう、
 独自の振興策を実施したいと考えております。
  特に、力を入れて育てるべき産業の一つは、観光であると思います。国の取組みが進まない中、
 東京は、観光が持つ波及効果の大きさ、成長の可能性などを考え、これまでの受身の姿勢を百八十
 度転換し、積極的に観光産業を支援いたします。宿泊税の導入は、その決意と責任を表したもので
 あり、エコツアーやカジノなど新しい観光資源の開発にも間断なく取り組んでいきたいと思ってお
 ります。
  今年は、アジアで初めてワールドカップ・サッカー大会が開催される年であり、東京にも多くの
 外国人が立ち寄ると想定されております。この機会に東京を楽しみ、東京の魅力を持ち帰ってもら
 うため、観光情報の提供など、十分な受け入れ態勢を講じたいと思います。
  ITやアニメ、バイオなども今後発展を見込むことのできる分野であり、積極的に育成を図って
 まいりたいと思います。特に、区画整理が進む秋葉原は、地区全体がIT産業の拠点となるように
 開発を誘導しております。駅前の都有地については、最先端の機能を備えたビルが建設されるよう、
 3回の事業審査を経て、先週、売却先を決定いたしました。
  首都圏の情報戦略全般については、現在、有識者による懇談会を設置して検討を進めております。
 ITの高速サービスを進めるホテル、旅館への支援は、懇談会の意見を基に、ワールドカップ対策
 として、緊急に実施を決めたものであります。
  国が迅速な対応を怠っているため、土地税制にも見逃すことのできない矛盾が現れております。
 バブルの発生、崩壊に伴う急激な地価の上昇、そしてまた下落は、大きな環境の変化をもたらしな
 がら、国は、固定資産税のあり方について、ほとんど有効な策を講じることができませんでした。
 その結果、本来連動するはずの地価と税負担が、大都市の商業地においては、大きく乖離しており、
 特に東京の23区では、全国で最も過大な負担を強いられております。
  こうした事態は、不況に苦しむ商店街や民間企業の経営を一段と圧迫しており、経営基盤の脆弱
 な中小企業等に対しては、緊急、特別の支援が必要なことから、固定資産税、都市計画税を今回減
 免することを決断いたしました。当面、平成14年度については、個人、中小企業が所有する小規
 模な非住宅用地を対象に税額の2割を減免いたします。この措置により、23区の税負担を全国の
 平均的な水準にまで戻すことができるようになります。
  何といっても公平、公正であることが税制の基本であり、今回の取組みは、土地税制に対する都
 民の信頼の回復につながるものと考えております。
  政治、行政の不作為により損失を被るのは、都民であり、国民であります。国家の非常事態の中
 で、独自の対応が可能なものについては、時に都政の守備範囲を超えることがあっても、速やかに
 行動することを絶えず心がけておきたいと思います。
 (都市間の連帯、連携の強化)
  第二は、都市間の連携、連帯を一層強めることであります。
  住民意識の変化や需要の多様化に伴い、地域特有の課題は、複雑化、広域化しながら増加を続け
 ております。国の主導による地方分権が極めて乏しい内容しかない中で、自治体間での連携は、行
 政の効率化やライン化した垣根の解消につながる、新しい政治の流れであると思います。自治体の
 結束が強ければ、国に対する発言力、影響力も格段に高まることになります。
  1都3県からなる首都圏は、同一の経済圏、生活圏の中で、共通する多くの課題を抱えており、
 七都県市の連携は、重要な意義があります。これまでの七都県市の会合は、国に対する要望活動や
 情報交換を主とする、半ば社交的なものでしかありませんでしたが、ここ2、3年で実践的、具体
 的な繋がりを持つ場へと変わってまいりました。
  昨年は、環境対策などの共同事業と税財源について検討することで合意でき、現在、東京都の提
 案をたたき台として、分野ごとに検討を進めております。今年の秋までに課題を整理し、事業の実
 施に道筋をつけたいと思っております。
  こうした共同事業は、現行の地方自治制度の下、緩やかに連合することで当面は対応できますが、
 七都県市の取組みは、新しい広域行政の形を探る、大きな実験とも思います。今後、連携する範囲、
 対象が広がり、関係が複雑化するにつれ、新しい受け皿が求められます。
  そのためには、現在の取組みだけでなく、次の段階を予測し、将来の首都圏自治体のあり方につ
 いて、理論的、体系的な裏づけを持つ必要があります。現実の問題を素材に使いながら、首都圏自
 治体の将来像を描き、議論のたたき台として、年内を目途に公表したいと思っております。
  検討に当たっては、基礎的自治体や国、民間との役割分担、自治体の統合、さらには、明治以来
 続く都道府県と市町村の二層制の是非など、自治制度や大都市制度のあり方にまで踏み込みたいと
 考えております。
  国内だけでなく、海外の大都市と連携を深めることも、都市が抱える問題の解決に大きな力を発
 揮いたします。
  昨年発足した「アジア大都市ネットワーク21」は、11月、デリーで第二回の総会を開催する
 予定であります。中小型ジェット旅客機や、IT技術の共同開発の促進など共同事業について、他
 の都市と協力しながら、総会の場で具体的な成果を報告し、さらなる発展につなげていきたいと考
 えております。
  これからの時代は、行政機関だけでなく、NPO、民間事業者との連携も必要になります。都内
 にも1800の法人が存在するNPOは、社会貢献活動の担い手として不可欠な存在であり、東京
 都は、啓発事業や交流事業など多くの分野で、NPOとの協働を進めております。今後、NPOの
 活動基盤の強化に向け、経営能力の向上、人材の確保などの面で支援を行いたいと思います。
 (都民・国民に対するメッセージの発信)
  第三は、都民、国民に対し、明快で力強いメッセージを発信することであります。
  地方自治体である東京都は、その基本的性格、法令による規定、財政面での制約などから、直接
 の力の及ばない分野が数多くあります。しかし、国が頼りにならない状況では、東京が世論を喚起
 し、動かざるを得ないような状況に国を追い込むことも、大切な役割であると思います。
  首都移転の反対は、東京からの発信が最も重要な問題であります。
  今、国会周辺では、首都移転にまったく相反する動きとして、首相官邸の新築や−この4月に完
 成いたしますが−、合同庁舎の改築、外務省の庁舎の全面改修などが、大々的に進められておりま
 す。このほかにも、一昨年には、5千億円近い経費をかけて防衛庁が移転を完了し、議員会館につ
 いては、建替えに向けた準備が進んでおります。
  昼間都民を含む1500万都民は、この支離滅裂とした矛盾を最も敏感に察知しており、先の世
 論調査でも、移転に反対する意見が圧倒的でありました。首都移転に疑問の声が高まっている今こ
 そ、反対運動を拡充し、国の頑なな姿勢に楔を打ち込む必要があります。
  昨年12月、都議会の皆様が行った国会への反対要請には、改めて感謝を申し上げます。また最
 近では、区市町村単位の取組みに加え、住民団体の間でも自主的な活動が活発化しております。国
 会の中にも、党派を超えて、移転を見直す取組みが始まりました。こうした動きは、誠に心強い限
 りであり、皆様方とともに力を合わせて、反対運動を盛り上げてまいります。
  首都移転がいかに愚かな行為であるかは、火を見るよりも明らかであります。都民のため、国民
 のため、首都移転には、あくまでも徹底して闘うことをここで改めて宣言いたします。都議会の皆
 様の一層のご協力をよろしくお願いします。
  また国は、空港についての認識も、非常に不十分であると言わざるを得ません。
  国が、東京都の提案をやっと受け止め、これまでの計画になかった羽田空港の再拡張を決めたこ
 とは、評価はいたします。国の拡張案は、東京都の案と比べ滑走路の位置が大きく違いますが、障
 害を極力抑制しながら便数の増加が見込める案を示したことから、国の案に合意いたしました。こ
 れより先は、国家プロジェクトとして責任を持って財源を投入し、一日も早く完成させることを強
 く求めてまいります。併せて、再拡張の完成を待つこともなく、本格的な国際化を羽田で進めるこ
 とを要求いたします。
  横田基地の問題では、民間利用のあり方について、4回にわたり有識者と会議を持ち、多くの有
 意義な意見をいただきました。今後は、地元も含め、意見を集約しながら、日米の政府へ働きかけ
 を強めていきたいと考えております。
  今年は、以上三つの視点を複合的に重ねながら改革を進め、牽引車としての東京の役割を果たし
 ていきたいと思っております。
3 危機と正面から対峙する予算の編成
  東京を変えるためには、都政を支える財政構造もまた、抜本的な改革が必要となります。
  平成14年度は、「財政再建推進プラン」の取組みを開始して以降、3年目を迎えますが、財政
 を取り巻く環境は、格段に厳しさを増しております。東京には、都市基盤の整備、中小企業対策な
 ど多くの緊急課題がある中で、景気の悪化により、歳入の根幹をなす都税収入は、13年度とは一
 転して、3600億円もの大幅な減少となる見込みであります。
  そのため、平成14年度は、東京が直面するこうした危機に積極的に対応する予算として、次の
 二点を基本に編成に臨みました。
 (都財政の危機への対応)
  第一は、徹底した内部努力、施策の見直しなど、これまで以上に厳しく歳出額の抑制を図り、財
 政再建の取組みを一層進めることであります。
  来年度、1417人を削減する職員定数については、プランで掲げた4年間の削減目標を実質的
 には3年間で達成することができました。また、施策の根本的な見直しにより、88の事業を廃止、
 休止いたします。
  住民間の負担の公平を図る観点からは、使用料、手数料を見直し、合計34の条例、規則を改定
 いたします。今回は、道路占用料などを改定するほか、高齢者を取り巻く環境の変化などをも踏ま
 えて、65歳以上の方を無料としている都民利用施設の料金を見直したいと考えております。一方、
 原価に基づく算定を徹底し、霊園使用料などは引き下げることにいたしました。都議会の皆様、都
 民の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
 (首都東京の危機、都民生活の危機への対応)
  第二は、首都圏の再生と都民生活の不安を解消するための優先課題に、重点的に財源を振り向け
 ることであります。
  道路交通網の整備、中小企業制度融資、雇用対策などは、厳しい財政状況にあっても、先送りす
 ることのできない課題であり、最優先で財源を措置しております。また、福祉と医療については、
 障害者施設の緊急整備やウイルス肝炎総合対策を推進するなど、できる限りの配慮 を行った結果、
 過去最大の構成比となりました。治安の悪化と環境の悪化から都民を守るため、警察と消防、環境
 対策には、大きく予算を増額しております。
  さらに、予算査定に先立ち選定した重要施策には、全体を厳しく抑制する中で、前年度を大きく
 上回る財源を投入いたしました。厳しい時代であるからこそ、庁内の英知を結集し、効果の高い事
 業を峻別する必要があります。来年度以降も引き続き重要施策の選定を通じて活発に議論し、都政
 の課題を見極めていきたいと考えております。
 (正念場を迎える都財政)
  このようにして編成した平成14年度予算は、一般会計で6兆円を下回り、前年度に比べて5%
 近いマイナスとなっております。今回は、都税収入が大幅に減少したため、2500億円を超える
 財源対策が必要となり、非常に苦しい算段を強いられた編成作業になりました。
  こうした状況にあって、銀行業等に対する外形標準課税は、憲法、法律で認められた課税自主権
 を行使し、条例を新設した上で、今年度から徴収を開始いたしました。国からの税源移譲がない中、
 安定的な財源の確保は、独立した地方自治体として、都民に対する最低限の責務であり、外形標準
 課税は、重要な役割を担っております。来年度も、貴重な財源として1千億円の収入を見込んでお
 ります。
  しかしながら、東京都の財政は、もともと法人二税を中心とした都税収入に大きく依存しており、
 景気に左右されやすい構造となっております。国が混乱し、景気の速やかな回復がはかばかしくな
 い中、懸念していたとおり、都税収入はさらに減少することを覚悟しなければならず、財政は、一
 層の厳しさを増します。このまま事態を放置すれば、毎年度、3千億から4千億円の財源不足が避
 けられない状況であります。
  財政再建団体への転落をこの先も回避していくには、これからが本当の正念場となります。都議
 会の皆様のご協力を得ながら、一段と強力に財政構造の改革に取り組んでまいります。よろしくお
 願いいたします。
  バブルの時期に過大な見積りを行った臨海副都心開発もまた、事業の全面的な見直しが必要であ
 ります。土地の売却や有効活用を加速し、合わせて特別会計の支出を1300億円程度は削減して、
 事業の収支が均衡する時期を少しでも早めたいと考えております。来月の上旬には、新しい収支見
 通しを盛り込んだ見直し案を公表する予定であります。
  今後、民間事業者を呼び込むことで、地域の賑わいと財政基盤の安定化を図り、東京の活力を支
 える有力な拠点として、臨海副都心を育てていきたいと思います。
 (ペイオフ解禁に対する独自の備え)
  ペイオフの解禁が1月後に迫る中で、財政の破綻を防ぐには、公金の適正な管理が重要な課題と
 なります。東京都では、取引先金融機関の経営状況を把握する手段として、先般、独自の基準を定
 め、4月からの解禁に備えることにいたしました。
  今後は、取引先の金融機関を6段階に格付けし、破綻する懸念のある金融機関に対しては中途解
 約することも含め、厳格に対応し、都民からお預かりしている公金の安全を確保したいと思います。
4 都市再生を促進する基盤整備
 (規制緩和による民間事業者の活用)
  東京は、高度な中枢機能が集積する日本の活力の源でありながら、最近まで国にその認識がなく、
 無策が続いたため、東京が危機に陥るばかりか、そこから悪循環が起こり、国家も長く低迷が続い
 ております。
  極めて厳しい財政状況の中で、東京の再生に向け充実すべき取組みの一つは、規制緩和による民
 間事業者の活用であります。様々な分野に広がる規制の多くは、秩序を維持する効果以上に、創意
 工夫の余地を狭め、活力を奪っております。この先必要なことは、細やかな規定を設け目を光らせ
 ることでなく、大きな枠組み以外は、極力規制を緩和し、民間の知恵と努力を引き出すことであり
 ます。
  先般、国会に提案された都市再生特別措置法は、自由度の高い計画が可能となる特別地区を創設
 するなど、投資意欲を誘発し、民間事業者の手で都市の再生を促進しようとするものであります。
 都内には、あと僅かの条件が整うことで事業化に弾みのつく地区が、随所に存在しております。こ
 の法律を上手く活用し、いくつかの地区を先行的に整備することができれば、今後の本格的な再生
 の引き金にもなると思います。
  国に対しては、法律の一日も早い成立を強く要求いたします。東京も、独自の工夫を重ねながら
 手続き期間の短縮にも努め、民間が手がける事業の促進を支援したいと考えております。
 (道路交通網の整備)
  ただし、この制度だけで都市の再生が実現するものではなく、東京の再生の全体像を考えること
 が、大きな課題として残っております。
  例えば、都市の骨格を形成する交通網の整備は、再生に向け、欠かすことのできない取組みであ
 ります。
  重要施策として選定した効果満点道路事業は、短期間で高い投資効果の現れる箇所を優先して整
 備するもので、国もその意義を認め、重点的な財政支援を決めております。ようやく庁内にも、ま
 た国の一部にも、時間やコストに対する感覚が芽生えてきたような感じもいたします。来年度は、
 41か所で右折レーンの設置などに着手し、3年以内にすべてを完成する予定であります。
  従来から力を入れている三環状道路の整備や連続立体交差事業も、早期完成に向け、取組みを強
 化しております。外かん道については、住民との新しい協議会を是非とも設置したいと考えており
 ます。現在7路線で事業を進めている連続立体交差は、来年度、新しい路線として京王線調布駅付
 近の事業にも着手いたします。
  都市の間でも国際的な競争が激化する中で、21世紀を勝ち抜くためには、世界から人、もの、
 資本、情報を惹きつけ、それを土台に新しい価値を創造し、世界に発信できる都市となる必要があ
 ります。
  これから先、首都圏、日本、世界の中での役割や地位を明確にしながら、東京再生の取組みを強
 化していきたいと考えております。
 (築地市場の移転の促進)
  都民の台所として、東京の一つの顔でもある築地市場は、豊洲地区への移転を正式に決定いたし
 ました。関係者と十分協議しながら、21世紀にふさわしい市場として、環境への配慮、地域への
 貢献といった視点を盛り込んだ基本構想を、来年度、策定したいと考えております。
5 都政の懸案課題の舵取り
 (都市の安全の確保)
  安全は文明の礎であり、政府や地方自治体にとって、国民の生命と財産の確保が最優先の課題で
 あることは、近代の政治体制が確立して以降、変わることのない命題であります。
  3300万人が一体となって生活圏を形成している首都圏では、大規模災害や広域テロなどが発
 生した場合、被害の規模は、一つの自治体では到底対応できる範囲を上回っていると予測されます。
 しかし、国を含めた現在の危機管理は、総合的な支援体制や相互の連携体制が確立しておらず、日
 常の訓練や準備もまだまだ不十分であります。
  こうした弱点を共同で補い、機能的な体制を構築するため、昨年の七都県市首脳会議では、首都
 圏FEMAの設置を提案いたしました。現在、七都県市において、定期的に意見交換を行っており
 ます。今年の秋には、一定の成果を取りまとめ、その後の行動につなげていきたいと思っておりま
 す。
  自然災害への対応ばかりでなく、アメリカの同時多発テロや歌舞伎町のビル火災など、予期せぬ
 事件や出来事を未然に防止することも重要な課題であり、地域での安全、予防対策を今後も充実い
 たします。
  特に、ワールドカップ期間中は、東京でも、フーリガン、テロなどの不測の事態が懸念されます
 が、誰もが安心してサッカーの祭典を楽しめるよう、万全の体制で安全を確保したいと考えており
 ます。
  現況、東京の治安は、致命的に悪化しております。外国人犯罪者のグループによるピッキングや
 薬物の密輸入、青少年による殺人や強盗などの凶悪犯罪などが頻発し、刑法犯の認知件数が過去最
 高を記録しながら、検挙率、検挙件数は、昭和41年以降、最低の水準にあります。
  この背景には、他人に対する無関心や自己中心的な考え方をする人が著しく増えていることと、
 また、不法入国する外国人がこれまた著しく増えていることがあります。不法入国した人たちは、
 正式に就労することができませんから、日本の犯罪組織とつながり、犯罪要因となっています。
  また、先日の都政モニターアンケートの結果を見ても、モニターの実に96%、ほぼ全員が、東
 京の防犯や治安に対して不安を感じております。しかも、85%の方々が、収容数の不足している
 留置場について、拡充する必要があると考えております。
  治安に対する都民の不安が急速に高まっている現在、国には、不法入国を水際で取り締まること
 などを要請してまいりましたが、東京都としてもできる限りの犯罪対策を行ってまいります。
  平成14年度は、日本社会事業大学の跡地を活用した原宿警察署の改築と、それに伴う留置場の
 拡充に向け、具体的な調査を進めたいと考えております。地元の関係者にも誠意を持って対応しな
 がら、土地の利用計画を策定し、東京の治安の向上に全力を傾けてまいります。
 (環境の危機の克服)
  東京は、現代文明が集約された都市として、便利な機能を装備する一方、その代償は、大気汚染
 の悪化、温暖化の進行、緑の減少など、極めて深刻な環境の危機となって現れております。
  先月策定した新しい「環境基本計画」は、健康で安全な環境を確保し、持続可能な社会を実現し
 ていくため、これからの環境行政の基軸を定めたものであります。今後は、分野ごとに掲げた目標
 を達成するため、都政の総合力を発揮して、強力に施策を推進いたします。
  多岐にわたる取組みの中でも、一刻の猶予もならない課題は、自動車公害対策であります。大気
 汚染は、生命に直結する問題でありながら、環境省は、一部の業界団体の反対意見についに押し切
 られ、ようやく成立させたNOx・PM法の適用を最大で2年半も遅らせようとしております。
  これは、大気汚染に苦しむ国民への重大な背信行為としか言いようがありません。こうした姿勢
 は、環境問題に大きな禍根を残し、低公害車の開発などに水を差すことになります。座視に耐えな
 い状況を前に、国には強く抗議を申し入れ、自動車メーカーに対しては、先週、低公害車の普及促
 進など自動車公害対策の徹底を独自に要請いたしました。
  地球温暖化を防ぐ取組みにも、早速、行動を開始いたします。
  温暖化対策は、地球規模で実行段階に入っていながら、我が国は、効果の高い施策の導入を先送
 りし、欧州各国と比べて、極めて立ち遅れた状況にあります。地球温暖化対策は、国が責任を負う
 べき分野ではありますが、国が自らの役割を果たさない中、東京には行動する責任があると考え、
 本日、「地球温暖化阻止 東京作戦」の実施を指令いたしました。
  この作戦では、大規模事業所に対する二酸化炭素の削減義務の導入、二酸化炭素削減量の証書化
 など、またその取引市場の創設、太陽光発電のような自然エネルギーの利用の義務づけなど、先駆
 的な政策を提案しております。本日の提案を基に活発な議論を広げ、国民的なレベルで機運を高め
 ることで国に実現を迫り、同時に、東京でも独自に行動することで、地球温暖化の阻止に向けた取
 組みを強化したいと考えております。
 (福祉、医療改革の推進)
  行政の透明性や費用に見合った効果が厳しく求められる時代を迎え、これまで聖域となりがちだ
 った福祉や医療においても、不断の改革を怠ることができません。
  福祉の改革は、一昨年、推進プランを策定して基本理念を示し、認証保育所など様々な施策を独
 自に実施しております。しかし、この間の取組みの中で、新たな対応を要する課題が明確になった
 ため、先般、「福祉改革STEP2」を策定いたしました。
  柱の一つは、サービスの内容について、施設への措置に偏った画一的な対応を改め、きめ細かな
 福祉を実現することであります。今後は、一人ひとりが自分に合ったサービスを選択できるよう、
 グループホームや生活寮、養育家庭など地域に密着した事業を充実してまいります。
  もう一つの柱は、サービスの供給主体について、公立と社会福祉法人中心の閉鎖的な体制を改め、
 NPOや民間事業者などにも積極的に門戸を開くことであります。国の規制緩和は一向に進みませ
 んが、東京都が実施する改革により、事業者の間で競争が促され、質と量の両面においてサービス
 を改善できると思います。今後、社会福祉法人や都立福祉施設のあり方について、具体的な対応策
 を考えてまいります。
  医療の分野においても、スクラップ・アンド・ビルドは避けることのできない流れであり、今年
 の課題は、昨年12月に策定した「都立病院改革マスタープラン」を実行に移すことであります。
 都立病院を再編整備し、無駄のない体制をつくるとともに、広尾病院、府中病院への東京ERの拡
 充、ITを活用したネットワークの整備などに取り組み、患者中心の医療の実現に努めてまいりま
 す。
 (成熟社会における新しい住宅政策の展開)
  東京の住宅は、量的な面で、もう既に必要な戸数を確保しておりますが、質の上では、職住の遠
 隔化や木造密集住宅など、前世紀の負の遺産が数多く残されております。
  本日発表する「住宅マスタープラン」は、都営住宅の建設が中心だったこれまでの取組みから、
 市場を活用した総合的な政策へと転換を図るため、新しく策定するものであります。プランでは、
 東京における居住の将来像と基本的な取組みの方向を示しており、今後は、プランに基づき、具体
 的な住宅政策を実行したいと考えております。
  公平で効率的な使用が求められる都営住宅については、特別会計の設置や管理業務の一元化、使
 用承継制度の見直しなど、引き続き抜本的な改革に取り組んでまいります。
  直ちに着手する必要がある問題は、老朽化が進む分譲マンションの建替え支援であります。都内
 には、建築後30年以上が経過した分譲マンションが4万戸以上あり、この先、建替えの時期を迎
 えることになりますが、現況では、都市計画上の制約、仮住居の不足など、多数の障害が存在して
 おります。
  国は、東京都の強い提案を受け、先週、マンション建替円滑化法の制定をようやく閣議決定し、
 権利の保全などの点で一定の整備が図られる見込みとなりました。しかし、新しい法律だけでは、
 自主的な建替えを促進するにはまだまだ不十分であります。この問題を住宅政策における緊急課題
 と捉え、独自に、容積率の緩和、都営住宅を活用した仮住居の提供など、効果の高い支援を積極的
 に進めてまいりたいと思っております。
 (社会の規範の回復)
  昨今蔓延する無責任な風潮は、これまで我々が自明の原理として共有してきた社会の規範を、急
 速に希薄化させております。立場や世代を超えた協力関係は、社会に不可欠な生活の要であり、こ
 うした規範の回復に向けた行動が、東京都に強く期待されております。
  心の東京革命は、その中核となる取組みであり、都民集会など様々な機会を通じて啓発を行うと
 ともに、子育て相談のアドバイザーを養成するなど、地域と一体となった事業を推進しております。
 一層の充実を図るため、来年度は、親になる心構えや子育てのコツを伝授する講座を開催いたしま
 す。加えて、教育面でも、学校や家庭、地域間での連携を強化してまいります。
  公共の水域では、責任感の欠如から、プレジャーボートなどが不法に放置されており、その数は
 係留船全体の4割を超えております。通行の障害や環境の悪化など様々な問題がありながら、法律
 に基づき撤去するには4か月以上が必要でありました。しかも手続きの途中で船舶が移動してしま
 うなど、十全の措置をとることは事実上不可能であります。
  このような状況を打開し、都民全体の財産である河川や港湾の秩序を確立するため、今回、船舶
 の係留保管の適正化に関する条例を提案いたしました。この条例が施行されれば、2週間で放置船
 舶の撤去が可能になります。条例には、全国でも初めてとなる罰則規定を盛り込んでおりまして、
 公共水域の適正な利用を厳しく求めてまいりたいと思います。
 (多摩・島しょの一層の振興)
  東京がさらなる発展を遂げる上で、多摩、島しょの振興は、不可欠な要素であります。多摩、島
 しょ地域が活性化することは、すなわち東京が多彩な顔を持つことであり、東京の魅力の向上につ
 ながります。
  多摩の振興に欠かすことのできない道路交通網は、重点的に取り組んできた成果がようやく実り、
 大きく生まれ変わりつつあります。首都圏三環状道路の一つである圏央道は、今年3月、青梅から
 日の出までの区間が開通し、平成16年度には、外かん道よりも先に、中央高速から関越自動車道
 までを結ぶ予定であります。圏央道の開通は、交通渋滞の緩和や環状方向のネットワークの形成に
 高い効果をもたらすものと思います。
  また、産業支援の拠点として、4月に、多摩中小企業振興センターを開設する予定であります。
 意欲のある経営者が、多摩に集積する大学や研究機関とともに連携しながら、ここを大いに活用し、
 新しい事業の開拓に積極的に挑戦することを期待しております。
  島しょ地域については、地震、噴火災害の復興を加速するとともに、交通アクセスの整備などを
 進めてまいりたいと思います。
  三宅島では、相変わらず有毒な火山ガスが多量に発生しておりますが、砂防ダムの建設など現地
 での作業は、着実に進んでおります。復興計画の策定を開始した三宅村とともに緊密に協力しなが
 ら、災害復興に取り組んでまいります。島民の方々には、退避先での生活支援を継続し、日常の不
 便を少しでも緩和したいと思います。
6 新しい歴史の造形
 (時流を掴む確かな取組み)
  21世紀は、これまでの時代に比べ、変化のスピードが格段に速くなり、その内容もますます激
 しくなると思います。
  そのような中にあって、東京都は、社会から遊離した組織とならないよう、この4月、組織の改
 正と職の新設を行います。
  保健衛生や医療の分野では、小児医療、精神医療など今日的な課題が増加していることから、都
 民の健康を守る組織として、衛生局を健康局に改編いたします。最近は特に、食品や医療品の安全
 対策が重要になっていることから、アメリカで評価の高い食品医薬品局(FDA)を参考に、東京
 FDAと位置づけた食品医薬品安全部を設け、危機管理機能の強化を図ります。加えて、都立病院
 の経営責任を明確化し、患者サービスの向上を図るため、新しい組織「病院経営本部」を設置いた
 します。
  現在、二つの部署が担当している文化行政についても、施策の充実、強化を図るため、機能的に
 集約することを基本に再編いたします。これを契機として、若手芸術家の活動や伝統文化を重点的
 に支援するなど、芸術文化の創造環境を整えたいと考えております。
  また、硬直的な組織、機能が問題となっている学校の運営を改善するため、教頭を補佐し、教員
 を指導、監督する職として、我が国で初めて、都内の公立学校に主幹を配置いたします。
  時代の流れを敏感に掴むには、組織や体制を見直すだけでなく、生きた情報に接し、社会の空気
 を肌で感じることが重要になります。
  国が持ち得ない東京の強みは、国家の10分の1の規模を持ちながら、多くの現場を抱えている
 ことであります。住民の声が凝縮されている現場こそが、行政の原点であります。3万7千羽が棲
 息し、都民への被害が急増しているカラス対策や、環境の視点を重視した東京の森林再生などは、
 現場を抱えているからこそ実施に漕ぎつけることができた事業であります。
  今年も積極的に現場に赴き、職員とともに汗をかきながら、現場からの発想を政策に反映してい
 きたいと思います。
  個々の木を鋭く観察する目を持ちながら、同時に、一段高い所から森全体を俯瞰する目を持つこ
 とが、政策の立案には必要だと思います。様々な意見、情報を汲み取り、全体を束ねた上で、より
 巨きな視点に立って、都政の方向を決めていきたいと考えております。
 (日本独自の座標軸の構築)
  EUは、最初に結成した共同体組織から半世紀をかけて国家に準ずる統合体を形成し、独自のア
 イデンティティ、独自の歴史を作り出そうとしております。変化の激しい時代にあって、これだけ
 の成果を達成できたのは、変わることのない大きな目標として、アメリカと対等な力を持つことを
 目指してきたためだと思います。
  一方、我が国にとっても、欧米と並ぶ世界の三極の構成員として、揺るぎない地位を確立し、保
 持することが、これまでの蓄積を活かす道となり、新世紀の大きな目標になると思います。
  そのためには先ず、戦後半世紀が経過する間に堆積した様々な危機を清算し、誤った固定観念を
 打ち破ることが不可欠であります。そしてその後、本格的な改革に向けた活動を開始することが必
 要になります。改革の過程では、欧米と同軸上に立って競い合うのではなく、日本固有の文化、慣
 習を育てながら、独自の座標軸を持って個性を発揮することが重要であり、それが日本の存在感を
 高めることにもつながってまいります。
  この取組みは、新しい一つの歴史を造形する作業に他なりません。国家体質を変え、それを新し
 い発展につなげるには、相当の時間を要すると思いますが、東京が最初の一矢を放つことは、大き
 な意義があると思います。また、東京でしか成し得ない仕事でもあると思います。
  今、東京が行動することが、国全体を動かし、この先、新しい日本を生み出す源流となるとの信
 念の下に、東京の改革に取り組んでまいりたいと思います。
  最後に、給与削減措置について申し上げます。この問題は、昨年の第4回定例会における決議を
 受け、職員団体と鋭意交渉を重ねてまいりましたが、現時点では、残念ながら、合意に至っており
 ません。
  円滑な都政運営を行うには、職員団体の協力が不可欠であり、困難な状況ではありますが、職員
 団体との合意が得られるよう、今後とも、精力的に交渉を進めますので、なお暫くの時間をいただ
 きたいと思います。
  改めて申し上げるまでもなく、都民の代表である都議会の決議や都議会議員からの条例の提案に
 ついては、その重みを真摯に受け止めております。決断すべきときには、速やかに決断する覚悟を
 持って事の解決にあたり、今定例会の期間中には、何らかの方策を示したいと考えておりますので、
 よろしくお願いいたします。
  都議会の皆様、都民の皆様の一層のご理解とご協力を心からお願いいたします。
  なお、本定例会には、予算案38件、条例案104件、契約案5件など、合わせて154件の議
 案を提案しております。よろしくご審議の程をお願いいたします。
  以上をもちまして、施政方針表明を終わります。
  ありがとうございました。