石原知事施政方針

平成17年8月9日更新

平成17年第一回都議会臨時会知事発言

平成17年8月9日

 平成17年第一回都議会臨時会の開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。

 まずはじめに、この度の選挙において都民の信任を得て当選された127名の議員の皆様に、心よりお祝いを申し上げます。おめでとうございました。

 申すまでもなく都政とは、よろず沽券を構えて観念的、抽象的にしか物事をとらえられない国政とは異なり、都民生活という現実に根ざした具体的な行動の積み重ねに他なりません。
 本日ここにお集まりの皆様とは、ともに都民から政治という社会工学的に大きな力を負託された者として、東京が直面する様々な課題に対し、現場を持つ強みを活かしながら、力をひとつにして取り組んでいきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 さて、我が国は敗戦から60回目の夏を迎えようとしております。戦後の荒廃の中で再出発を誓ったあのときから、人の一生にも匹敵する長い歳月が流れました。この間、日本は経済的には大きな成功を収めたものの、かつて高度成長のただ中で白洲次郎氏が看破したとおり、「プリンシプルのない国」、すなわち無原則、無節操な国に成り果ててしまいました。時代、世代を超えて連なる垂直な価値観を失い、自分が何者であるかさえ見定められずにいるのが、今日この国の偽らざる姿であり、近隣諸国から謂われのない無理難題を突きつけられ、右往左往している様を見るにつけ、一国の態をなしているとは到底思えません。
 しかし日本には、世界と伍していけるだけのすぐれた経済力も技術力も存在しております。この潜在力を解き放ち、錆び付いたこの国の歯車を再び活発に回し始めるには、政治が本来の使命を取り戻し、本来の機能を存分に発揮する必要があると思います。

 私はこの6年間、我が国の頭脳部、心臓部である東京から日本再生の第一歩を踏み出すために、都議会の皆様の協力のもと、国に先んじて様々な手立てを講じてまいりました。独自の福祉改革や教育改革はもとより、三環状道路の整備や羽田空港の国際化、横田基地の軍民共用化に向け突破口を切り拓くなど、東京に活力を呼び戻すための都市再生にも力を注いでまいりました。
 新たに創設した債券市場を通じて多くの中小企業が上場を実現し、また、ディーゼル車排出ガス規制によって東京の大気の状況が急速かつ大幅に改善されたことは、都民が実感できる大きな成果であったと思います。
 この春には、首都大学東京が開学し、新銀行東京が開業を迎えるなど、政策の苗のいくつかは着実に実を結びつつあります。都が率先して進めてきた治安対策、青少年の健全育成については、今月1日、新しい組織を立ち上げ、今後さらに一体的、重点的に取り組んでまいります。

 東京発の日本再生は未だ途半ばであります。これからが正念場であります。組織のネジを巻き直し、これまで積み重ねてきた取組みをしっかりと継続・充実させるとともに、新しい課題に迅速に対応し、再生の道筋を確実に軌道に乗せなければなりません。
 川島忠一議長、木内良明副議長をはじめ、都議会の皆様とは、都政の車の両輪として、引き続き活発で現実的な議論を交わし、これまで以上に連携を深めていきたいと考えております。一層のご理解、ご協力をお願い申し上げます。

 なお、本臨時会には、監査委員の選任の同意に関する議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。

 以上をもちまして、私の発言を終わります。