石原知事施政方針

平成21年8月31日更新

平成21年第三回都議会臨時会知事発言

平成21年8月31日

 平成21年第三回都議会臨時会の開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。

 去る8月2日、名誉都民である古橋廣之進さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。

 先月の都議会議員選挙において都民の信任を得て当選された127名の議員の皆様に、心よりお祝いを申し上げます。誠におめでとうございました。

 さて、世界は、新興国の台頭や経済危機による超大国アメリカの凋落などによりまして、多極化の度を深めております。国益が激しくぶつかり合う中で、新しい秩序の創造が求められているにもかかわらず、我が国は未だに明確な戦略を持っておりません。厳しさを増す国際競争に、深刻化した地球環境問題や国力に直結する人口減少なども相まって、かち得てきた経済的な豊かさも、さらには国家としての存在感さえをも失いかねない現況であります。

 もとより日本は、世界をリードする数多くの最先端技術や多種多才な人材を有しております。また、それらを育む優れた感性や豊穣な文化を長い歴史の中から生み出してまいりました。

 政治が、そうした潜在力や可能性を信じて確固たる意思で行動するならば、この国は、いかなる危機をも乗り越えるに違いありません。しかしながら、国政は、真の日本の実力を正当に認識しないまま混迷を続けてきました。今般の総選挙で新しい政治状況が生まれました。その下に、真の改革が進むか否かを刮目してまいりたいと思います。

 一方、都議会の皆様とは、日本の直面する課題が最も先鋭的に現れ、同時に日本の力が集中・集積している首都東京において、あくまでも「現場」に根ざした議論を積み重ねてまいりました。そして、国民・都民の安心と安全をより高め、この国の未来を切り拓く処方箋ともなる数々の施策を強力に推進してきたのであります。

 東京だけでなく日本の再生のために、徹底した改革を断行して財政再建を果たし、我が国経済の力の源泉である小零細企業を応援するとともに、戦略的に都市インフラを整備してまいりました。

 我々の未来がかかる課題にも果敢に取り組み、環境分野では世界初の都市型キャップアンドトレード制度を整え、都市としては世界で初めてICAPに参加する資格を得ました。緑溢れる東京の実現も進めております。少子化については、その流れを東京から変えるべく、従来から力を注いできた保育や医療、教育の拡充はもとより、雇用の安定や住宅の確保など出産・子育ての不安を確実に解消する重層的で複合的な対策を構築いたします。また、次代を担う若者たちに、かけがえのない心の財産を贈るためにも、オリンピック・パラリンピック招致の大願を成就させていくために、渾身の努力をしております。

 今、政治は、日本の真の力を解き放ちながら、将来への展望に立った具体的な手立てを迅速に講じることで、都民・国民の希望を指し示し、子供や孫たちへの責任を果たさなければなりません。

 田中良議長、鈴木貫太郎副議長をはじめ、都議会の皆様とは、これまでの都政の蓄積を踏まえた建設的で質の高い議論を交わし、まさに車の両輪となって、この国を牽引する実効性の高い施策を生み出してまいりたいと思います。これこそ、日本の頭脳部・心臓部である首都東京において、共に、政治という、文明工学上、最も大きな力を託された議会と執行機関が、その使命を十全に果たす姿に他ならないと思います。

 皆様の一層のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

 なお、本臨時会には、監査委員の選任の同意に関する議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。

 以上をもちまして、発言を終わります。