石原知事施政方針

平成23年11月30日更新

平成23年第四回都議会定例会知事所信表明

  平成23年第四回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。

 去る10月10日、名誉都民である中村芝翫さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。

1 日本の行く末

(今年の終わりを迎えて)

 さて、平成23年も、間もなく終わりを迎えようとしておりますが、今年ほど、我々が、戦後、築き上げてきた繁栄がいかに脆いものであったか、ということを思い知らされた年はなかったと思います。
 未曾有の大震災と原発事故は、危機に対処できない政治の姿を浮き彫りにいたしました。また、ギリシャの財政悪化に端を発するヨーロッパの金融危機も決して対岸の火事ではありません。国が積み上げてきた借金は、我が国のGDPの2倍、1千兆円を超えようとしておりまして、ヨーロッパの国であればEUにも加盟できないほど国家財政が悪化している事実を忘れてはなりません。
 我々が物質的豊かさを謳歌し、肝心なことから目を背けてきた結果、日本は瀬戸際にまで追い込まれたわけであります。

(もはや他力本願は通用しない)

 にもかかわらず、国の舵取りを担うべき政治は、自ら未来を切り拓くという気概に欠け、日本の将来の姿すら描けずにおります。
 それゆえ、国家発展の要であるエネルギーの問題に対して、どの程度の経済成長を望み、そのために、いかなるエネルギーを、どれだけ確保するかという国家の基本戦略を構築することもできておりません。
 国際関係に目を転ずれば、アメリカは、影響力を増している中国を横目に見ながら、日本に環太平洋パートナーシップ協定・TPPへの参加を迫り、アジア太平洋地域における権益を拡大しようとしております。国民の生活に重大な影響を及ぼすこの問題に対し、ここでも、政治は、国家としての主体性を欠き、アメリカの顔色ばかりを窺って、右往左往する体たらくであります。
 イギリスの歴史家トインビーが、その著書で、国家滅亡の最大の原因は自己決定能力の喪失である、と述べているとおり、我が国が生き残るためには、他力本願ではなく自らの力を頼りに進むしか道はありません。

(日本に力あり)

 もとより、日本は、自ら活路を切り拓く力を有しております。世界が垂涎する技術、これを生み出す発想力を備えた人材などは、我が国が誇るべき貴重な財産であります。
 しかし、国の政治家や官僚は、日本の力を正当に評価できず、これを束ねて、国家の大計に組み入れ、世界と対峙していくという発想もありません。むしろ、アメリカが、日本の技術を密かに評価認識し、自国の世界戦略の展開のために活用するという皮肉な状況すら生まれております。このままでは、我が国は、益々存在感をなくし、日本再生の手掛かりとなるべき強みすら失うことになります。
 我々は、今を生きる日本人の責任として、このまま座して、この国が沈みゆくのを見過ごすわけにはいきません。
 ならばこそ、多彩な人材、志のある企業が集積する東京が、国をも動かすことで、崩れかけた我が国の足元を今一度固め直し、日本が再び浮かび上がるために確かな手応えを取り戻してまいりたいと思います。

2 東京から日本の力を十全に引き出す戦略を展開

 都は、確固たる意思で国家の再生に繋がる政策を戦略的に展開し、日本の力を十二分に引き出してまいります。

(高度防災都市の実現)

 災害に脆弱な都市が国際的な信用を得られないことは論を俟ちません。アジアのヘッドクォーターたらんとする東京は、いかなる災害に直面してでも確実に都民の生活が守られ、一刻たりとも日本の頭脳・心臓が止まらない高度防災都市を目指してまいります。
 高度防災都市は、帰宅困難者対策一つにしても、社会全体で取り組まなければ、その実現は不可能であります。強い災害対応力を持つためには、公助の充実はもちろんのこと、自助・共助の気運を高めていく必要があります。また、遠隔地での地震にもかかわらず、大混乱をきたした今回の震災での教訓も踏まえて、東海・東南海・南海三連動地震への対応力も備えなければなりません。
 今般、こうした観点に立って、施策を重層的に展開すべく、東京都独自の対策を「東京都防災対応指針」として取りまとめました。

〈帰宅困難者対策〉

 今回の震災では鉄道が運休し、都内で350万人に上る多量の帰宅困難者が発生いたしました。さらには、JR東日本では、駅から締め出された乗客が行き場を失い、混乱に大きな拍車をかけました。大災害発生時に無理に帰宅することは、建物の倒壊や火災に巻き込まれる危険もありまして、道路渋滞が救助車両の到着を遅らせるなど、被害を拡大することになりかねません。そこで、今後、条例を制定し、行政・企業・都民・国民が連帯して帰宅困難者対策に取り組む体制を整えてまいります。企業等が食糧・飲料水の備蓄を確保して、従業員等が安全な場所に留まれるようにし、駅やデパートなどの大規模施設には利用者保護を求めるとともに、一時待機施設を確保するなどの対策を進めます。
 一方、今回の大震災では、携帯電話が通じず、不安感や情報不足の中で帰宅を余儀なくされた方々が多数おりました。家族の安否や交通機関・待機施設の状況などの情報は、冷静な行動を促すための鍵であります。そこで、電話だけではなくインターネットなどの多様な手法も活用することで、家族が連絡を取り合い、災害時に必要な情報を入手できるよう、民間とも協力しながら、通信基盤の拡充に取り組んでまいります。

〈震災対応能力の向上〉

 災害への対応力も高めてまいります。大災害発生時には行政による公助だけでは限界がありまして、自助・共助こそが命を守ることになります。そこで、区市町村と連携し、先ずは意欲がある地域を選び、様々なノウハウを学べるように支援することで、「防災隣組」の構築を加速させます。
 公助の取組みも、充実させてまいります。被災地では広範な活動を展開した災害時の専門医療チーム・東京DMATに、医療資機材を搭載した専用車両を配置しまして、現場での機動的な活動を支えます。警察・消防については、被災地での実地の経験を踏まえ、迅速かつ効果的な救助活動に必要な装備や車両を充実してまいります。

 首都を高度防災都市に進化させるには、そのための財源が必要であります。国は自らの財政運営の失敗を糊塗するため、道理もなく東京から法人事業税の一部を奪い続けておりまして、これを絶対に取り戻さなければなりません。国には法人事業税の暫定措置の撤廃を強く求めております。都議会の皆様のご協力を是非ともお願いいたします。

(電力の安定供給に向けた取組み)

 国がエネルギー戦略を描けない中、我が国の産業社会を支えているエネルギーを巡る状況は、厳しい現実に直面しております。
 九都県市には、運転開始から40年を超える発電効率の悪い老朽火力発電所が多く存在しております。こうした発電所は、今後、5年間でさらに増加し、その出力は、東京のこの夏の最大使用電力の3分の2にあたる1千万キロワットにも上ることになります。その更新は急務ですが、もはや電力会社だけをあてにすることはできません。このままでは、安定供給に支障が出かねず、地球環境にも悪影響を及ぼします。
 そこで、都が呼びかけ、九都県市共同で、発電所の更新などに民間資金を活用するための官民連携のインフラファンドを創設すべく、活動を開始いたしました。合わせて、国にも、安価で安定的な天然ガス確保に向けた戦略の構築、発電事業への民間事業者の参入促進について、要求をいたしました。
 都独自の対策も進めております。百万キロワット級の天然ガス発電所の建設では、選定した5か所の都有地について、外部の専門的な知見も活用しながら、技術面・事業スキーム・採算性などの詳細な検証に着手をしております。
 電力会社からの電力だけに頼らない地域分散型発電の新たなモデルビルディングにも取り組んでおります。災害時の司令塔である都庁舎の機能が止まらぬよう、地域冷暖房センターで発電した電力を導入して、発災時においても通常の業務に必要な量の電力を確保するなど、電源の多元化を進めます。防災公園には、非常用発電設備を設置し、応急・復旧活動の拠点としての機能を強化いたします。また、臨海副都心には、発電施設を設置し自前の送電網を敷設して、地域に電力と熱を供給する新たな仕組みを構築いたします。さらに、大規模な都市開発の機会などを捉えて、民間と連携して、高効率な発電システムを設置するなど、低炭素でありながらも災害時に止まることのない都市を目指してまいります。

(都市基盤の充実強化)

 東京のさらなる発展、日本全体の活力の発揮のためには、都市基盤の充実強化を図っていかなければなりません。

〈環状道路ネットワークの整備〉

 とりわけ、外環道の整備は、知事就任以来、都政の最重要施策に掲げ、国を動かし、事業化してまいりました。しかし、国は、昨今の国政の混乱によって事業手法やその財源を未だに定めることができません。
 外環道の完成が遅れれば、日本全体に大きな経済的損失を与え続けるだけでなく、東京が被災した際には、我が国が東西に分断されかねません。都は、一刻も早い完成に向けて、用地取得の経験豊富な職員を投入し、建設用地の取得を加速させております。国には、外環道整備の重要性・緊急性を認識させ、必要な予算を確保して、速やかに大深度地下トンネル工事に着手するよう強く求めてまいります。
 また、現在、建設を進めている環状二号線の豊洲・虎ノ門間は、都心部と臨海部の連絡を強化し、地域の防災性向上を図る上でも極めて重要な路線であります。本定例会では、勝どきと築地を結ぶ隅田川橋梁工事などの契約に関する議案を提案しております。平成27年度の全線開通を目指して、全力で取り組んでまいります。

〈地下鉄のサービス一体化〉

 東京の地下鉄は、世界に類を見ない高密度で正確、安全な公共交通で、東京が誇るべき都市インフラであります。しかし、歴史的経緯から二元的な経営となっておりまして、その機能を十全に発揮できてはおりません。
 そこで、「東京の地下鉄の一元化等に関する協議会」で都が提案したサービス改善策を進めております。都営地下鉄と東京メトロの九段下駅のホームを隔てる壁の撤去にも着手いたします。また、都営の岩本町駅と東京メトロの秋葉原駅の乗り継ぎについて、新たに割引の対象に加えるなど目に見える形でのサービス向上を図ります。今後も利用者の視点に立って、東京の地下鉄を、さらに使いやすいものへと変えてまいります。
 一方、国は、復興財源と称して、実はこれまでの杜撰な財政運営を取り繕うため、都との合意もなく東京メトロの株式を売却する動きを見せております。この株の安い時代にです。出方によっては、東京都が株式の購入を辞さない覚悟で、国と対峙してまいります。

(東京の産業力の強化)

 首都に集中・集積する企業の力を引き出し、日本の再生を牽引すべく、東京が具体的な戦略を展開してまいります。

〈中小企業の力を引き出す〉

 先日、ベンチャー技術大賞の表彰式に出席いたしました。あらゆるものに用いられるネジに新しい発想を持ち込んで、製品の安全性・耐久性を飛躍的に高めることになる決して緩むことのないネジが、大賞を受賞しました。従業員僅か3人の小さな会社が、創意と工夫によって生み出した、この世界的な新技術を見るにつけても、技術の開発力こそ国力の源であるということを改めて実感いたしました。都は、こうした日本の力を正当に評価し、支援することで中小企業の力を十分に引き出してまいります。
 日本人の感性の結晶である卓越した技術も、知的財産の権利を確実に防衛しなければ、激しい国際競争の中で、日本の努力が、ただ他国に利するだけになりかねません。特許出願や外国からの特許侵害の調査費用を助成するだけでなく、知的財産総合センターに、新興国をはじめ各国の知的財産の制度に熟知した専門家を配置し、具体的な助言を行うことで、中小企業の海外展開を後押ししてまいります。

〈東京水道の国際展開〉

 都自身が持つ技術力も戦略的に活用することで、日本の産業力を強化しながら、海外が抱える問題の解決にも積極的に貢献してまいります。
 世界最高水準の水道技術の国際展開では、ベトナム、インドネシアなど4か国で企業と連携し、具体的な調査を行っております。このうちベトナムでは、国内の自治体で初めて海外に本格進出をいたします。企業などと現地に合弁会社を設立し、来年度にも浄水場の建設に乗り出します。
 また、現在、多くの日本企業が世界の水ビジネス市場へ乗り出そうとしております。そこで、民間企業を広く公募して、その海外進出を後押しするプログラムを開始いたしました。55社の登録があり、今後、それぞれの会社が持つ強みを組み合わせて企業連合の形成に結びつけ、技術的な協力を行うなど、積極的に支援をいたします。
 首都東京が培った技術とノウハウを海外の現場で最大限活かすことで、日本の成長を牽引してまいります。

〈年末対策〉

 現下の厳しい経済情勢、雇用情勢にも対応する必要があります。
 とりわけ、昨今の歴史的な円高などで厳しい経営環境に置かれている中小企業を支えなければなりません。年末相談の実施に加え、中小企業の年末の資金を手当てする、つなぎ融資の上限額も引き上げ、円高に対応した融資の要件を緩和いたします。また、地域の金融機関の目利き力を活用した都独自の融資制度により資金繰りに万全を期すなど、切れ目無く支援策を講じてまいります。
 さらに、これから年末を迎えるにあたり、離職を余儀なくされた方々が安心して新年を迎えられるよう手立てを講じなければなりません。公共サービスの分野では区市町村とも連携し、また、介護や子育てなど福祉保健分野では民間事業者と連携することで、緊急的な雇用の場を新たに創出いたします。解雇や雇い止めなどの労働問題については、特別相談会を実施するなど、きめ細かく対応してまいります。

(次代を担う人材の育成)

 日本の成長を担うのは優れた人材であります。首都東京から次代を担う若者の可能性を引き出すべく、取組みを強力に推し進めてまいります。

〈教育再生・東京円卓会議〉

 先日、第一回の教育再生・東京円卓会議を開催し、日本の若者の危機を肌で感じながら、これを克服すべく行動を起こされている方々と議論をいたしました。その中で、全寮制教育を施すことによって、今の若者に不足している人間関係の原体験をさせているという中高一貫校の話がありました。
 現代は、他人との摩擦を恐れて生身の人間関係を築けず、携帯電話のメールやインターネット上のみで意思を交わし合う若者たちが増えてきております。空疎で実質を欠いた関わりでは、人間同士の真の連帯を築くことは、とてもできず、個性がなく、ひ弱で内向き志向の若者たちが増えるばかりであります。世界に飛び出し、国際社会の中で渡り合える人材を育てるためにも、こうした実践例も役立てながら、できることから政策に反映してまいります。
 今後も、幅広い視点から議論を展開し、東京から次代を担う強い若者を育ててまいりたいと思います。

〈小学校における科学教育の充実〉

 OECDの国際学習到達度調査・PISAによれば、外国に比べて、我が国では、科学への興味・関心や科学の楽しさを感じている生徒の割合が低いなど、若者たちの間で理科離れが起こっております。このままでは、日本の国力の源たる技術の開発力も衰えかねません。
 そこで、東京は、小学校という早い段階からの科学教育を充実させてまいります。小学校だけではなく理科の中学校教員免許も持った教員を採用するための新たな仕組みを構築いたします。既に中学校教員免許を持っている現職の教員と合わせて、科学教育の中核を担わせます。さらに、実験の方法など実践的な研修も充実させ、理科に対する子供たちの興味や関心を呼び起こすための腕を磨かせてまいりたいと思います。

(スポーツの振興)

〈オリンピック・パラリンピック招致〉

 次に、オリンピック・パラリンピック招致について申し上げますが、先日、最高顧問の野田総理をはじめ、各大臣、被災県の知事、スポーツ界、経済界の方々からなる招致委員会の評議会が開催され、各方面からの参加を得た招致体制が今回初めて整いました。
 もとより、肝心なのは行動でありまして、国家同士の熾烈な戦いを勝ち抜くべく、国には、財政保証の早期発行や、国立霞ヶ丘競技場の再整備など主体的な取組みを求めます。
 震災を乗り越え、日本を再生していくためにも、オリンピック・パラリンピックの開催を是非とも実現しなければならないと思います。来年2月にはIOCに対して、申請ファイルを提出いたします。都議会の皆様、都民・国民の皆様の力を、招致に結集していただくよう、改めてよろしくお願い申し上げます。

〈平成25年冬季国体の東京開催〉

 次に、冬季国体について申し上げます。
 国と日本体育協会から要請を受けまして、平成25年の冬季国体を東京で開催することにいたしました。これにより、平成25年を、1月の冬季国体に始まり、東京マラソン、秋の「スポーツ祭東京2013」と続くスポーツイヤーとしてまいります。また、スピードスケートについては、福島県内で競技会を行います。
 スポーツの力で被災地の人々を元気づけ、スポーツの感動を多くの都民・国民に体感してもらうことで、オリンピック・パラリンピックの招致気運を盛り上げる絶好の機会ともしてまいります。

3 首都東京としての志を持って

(被災地の瓦礫受入れ)

 さて、未曾有の大震災から既に8か月余りが経過しましたが、未だに大量の瓦礫が被災地の復旧・復興を阻んでおります。
 被災地の厳しい現実を前にすれば、今、求められていることは、口先だけの励ましではなく行動であります。戦後長く染みついた自分のことしか考えないという悪しき風潮をこの際捨て去って、震災によって呼び覚まされた同胞への連帯の心を確かなものとしなければ、被災地の復興、日本の再生はあり得ません。
 都は、懸命に立ち上がらんとする被災地の後押しをするために、区市町村や民間とも力を合わせて、岩手県と宮城県からの瓦礫を受け入れることにいたしました。東京が、安全性を十分確認した上で、情報の公開についても徹底し、瓦礫を受け入れているという事実は、必ずや全国の自治体を動かし、被災地の復旧・復興が大幅に加速されるものと確信しております。東京は、ノウハウを惜しみなく提供いたします。

(東京発の公会計制度改革)

 行財政改革でも全国を先導しております。
 国は、無駄を削ると称し、事業仕分けを行いましたが、冷静な分析に基づいた作業とはとても思えず、大した成果も上がっておりません。
 一方、都は、全国に先駆けて新公会計制度を本格導入しております。複式簿記・発生主義によって作成した財務諸表を活用して事業評価の精度を高め、これを毎年度の予算編成の中に組み込むことで、無駄を炙り出し、費用対効果の高い施策を生み出しております。
 都は、この改革の意義を全国の自治体に訴え、導入を支援してまいりました。これが実を結び、大阪府、町田市に続いて、新潟県と愛知県が同じ新しい会計制度を本格的に導入することになりました。
 今後も、行財政改革に高い意欲を持つ全国の自治体を積極的に後押ししてまいります。

(日本全体のために)

 これらにとどまらず、知事就任以来、都議会の皆様と共に、新しい発想で、我が国を引っ張る先進的な取組みを重ねてまいりました。九都県市で進め、国を動かしたディーゼル車排出ガス規制や、大都市の実情を踏まえ、少子化に対して果敢に取り組む都独自の認証保育所、さらには、地球温暖化の危機に対応する世界初の都市型キャップアンドトレードも、また然りであります。
 言うまでもなく、東京は日本の頭脳部・心臓部である。その果たすべき役割は、首都として国家の危機を乗り越える牽引役になることであります。それゆえ、都は、ひとり東京のためのみならず、日本全体のためという大きな志を持って政策を展開していかなければなりません。
 首都東京としての志を持って、都議会の皆様と共に、大震災を乗り越え日本の未来を切り拓くべく、都政運営に全力を尽くしてまいります。

 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、条例案24件、契約案8件など、合わせて62件の議案を提出しております。よろしくご審議をお願いいたします。

 以上をもちまして、所信表明を終わります。