石原知事記者会見

平成19年1月18日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年1月12日(金)
15:00〜15:20

知事冒頭発言

1.赤坂プレスセンター臨時へリポート問題について

【知事】冒頭、2つ申し上げます。

 1つは、赤坂のプレスセンターの青山墓地のはじっこにある臨時へリポートの問題についてですけども、赤坂プレスセンターの米軍ヘリポートは、環状3号線の工事を行うため、臨時的に移設されましたが、平成5年の工事完了後今日まで、何と13年間にわたり原状回復がなされないままになってきました。

 この懸案を解決するために、東京防衛施設局及び在日米軍陸軍との間で調整を重ねてきましたが、都として、このたび、次の条件が受け入れられることが確認できたために、この方向で解決を図っていくこととしたいと思っています。

 確認された条件は、臨時へリポートのために提供された土地4,300平方メートルを上回る基地用地であった部分から4,700平方メートルを代替地として返還をさせます。緊急時及び災害時に都がヘリポートを共同使用するという2つの柱から成る条件でありまして、これによって都立青山公園の機能を回復するとともに、ヘリコプターによる都心部の病院などへの緊急輸送が可能となります。災害対応能力を高めることができると思います。今後、この確認事項に基づき国や米軍との具体的な手続きを進めていきます。

 なお、今回の対応は、懸案であった臨時へリポートの問題の解決を図るためのものでありまして、「これで決着して、赤坂プレスセンターの全体の返還を求めないのか」と、これはもう、当然求め続けていきますし、この基本的立場を変えるものではありません。詳細については後ほど知事本局から説明させます。

 つまりですね、ここ(臨時へリポートのための提供地)をとにかく、何て言うのかな、「提供してくれ」というので、公園を削って、渡したわけですね。そしたら、これ、できたのにぐちゃぐちゃ言って返さない。しかし、ここへこういう建物ができましたのでね、「このスペースがないとヘリポートとして非常に使いにくいし危険だ」ということで、そういう案をつくったんですが、大体、こういうところにね、米軍がいつまでも超一等地に土地を持ってることそのものがおかしいんでね。これ、なぜか不思議なことに、私ね、横田(飛行場)の問題を言い出しましたらね、後藤田さん(後藤田正晴 元衆議院議員)が引退される前だったかな、「石原さん、横田もいいけどね、こっちも先にやってくれ」というのでね、どういうつもりで後藤田さんから連絡があったか知らないけども。ある意味では、屈辱的な状況が続いているわけですよ。

 これもね、米軍は、何かね、これは(日米)合同委員会で決めることでね、「それをやってからにしてくれ」と言うけど、「そんなことは関係ない」と。都は都でこれだけの譲歩をしてきてね、やっとこれだけの、要するに少し変化を見たので、都の責任として発表するということで、発表しました。

2.「10年後の東京 PR版」について

 それから、「10年後の東京」のPR版についてですけども、昨年末、東京の近未来像と実現に向けた政策の方向性を示した「10年後の東京〜東京が変わる〜」を策定しましたが、特に中心となります施策をまとめたA3版は、工夫を凝らしてビジュアルな、それで具体的な、大変わかりやすいものになっております。

 現在、インターネットでも閲覧可能ですけども、より多くの方に、さらに高いレベルの成熟を遂げる東京の姿を見てもらいたいと思いまして、PR版として販売をすることにしました。価格も、わずか100円にしましたのでね、都民の皆様を初め、多くの方にぜひ実際に冊子を手にとって、じっくりと見ていただきたいと思っております。

 私から申し上げることは以上であります。

 何か質問はありますか。

質疑応答

【記者】知事、きのう、JOC(財団法人日本オリンピック委員会)の竹田(恆和)会長と懇談なさったそうですけれども、どのようなお話をなさったんでしょうか。

【知事】これから招致合戦が始まるわけですけども、まだね、確たる相手候補が決まったわけじゃありませんが、ドーハ(カタールの首都)はですね、この間のアジアオリンピック(アジア競技大会)の成功を踏まえてね、名乗りを上げたんですな。

 ただね、全体の見解とすると、非常に暑いところなんでね、「恒例となってる7月、8月の開催は無理なので、年末近いものにしてくれ」というオファーがあるようですけどね、これは、「まあ多分IOC(国際オリンピック委員会)では難しいだろう」という竹田さんの見解でした。となると一安心できるわけですが。

 それから、労働力とかその他のあれもね、人口70万住んでて、うち国民が30万しかいないんですかね。それで、あとはね、ほとんど外人部隊の手でやったというオリンピック(アジア競技大会)だったそうで、この間のアジアオリンピック(アジア競技大会)は。まあね、「もっとスケールの大きな形になるとかなり難しいんじゃないか」というJOCの幹部たちの見解でしたがね。といって油断ができるものでもないし。

 ただやっぱり、国際情勢が3年後にどういう展開をしていくか。今度、イラクの問題も、ブッシュ(米国大統領)が非常に強気で、増員して派兵するということらしいけど、これがどういう結果に出るか。それいかんによってはアメリカの国際的な立場は随分変わってくると思いますよ。

 そういうものを踏まえて、あとどこが有力な候補地として名乗りを上げてくるか。東京は十全の努力をしますけれども、案外、決して東京にとっては不利な状況ではないんじゃないか、そういう憶測の域を出ませんが、そういう会談をしました。

【記者】メインスタジアムについて、晴海ではなく国立競技場を、やはりあそこの場所にした方がいいんではないかという声もあるのですけれども。

【知事】それは無理です。もう敷地から言ってもですね、IOCがね、絶対必要条件としている規模のものは、今の国立競技場には建ちません。だったらやっぱりね、神宮球場、野球の球場、六大学の、あれと隣の秩父宮ラグビー場ですか、あれを両方つぶして合わせると敷地確保できないこともないけど、これはもうやっぱり国の姿勢ですからね、国立競技場のね。そういった兼ね合いでね、まあ私はやっぱりあれですな、あそこはあそこで活用できる大事な土地ですけれども、無条件で物を建てられる今の候補地の方がいいんじゃないかと思いますけども。

 これからまあ国がどういうふうに判断するかの問題だと思いますよ。いずれにしろ国立競技場ですから。

【記者】官邸が中心になって進めているアジア・ゲートウェイ構想の…。

【知事】アジア何?

【記者】アジア・ゲートウェイ構想です。それの一環として、羽田空港から上海との間のシャトル便を飛ばす構想を早期に実現したいというふうに、きのう官房長官の発言がありましたけれども、知事ご自身の上海と羽田との間のシャトル便が開設される、目指しているということについてのご期待というのは、どういったものなんでしょうか。

【知事】それは結構なことじゃないですか。やっぱりね、大きな経済需要があるなら、人の行き来も盛んになるでしょうしね。羽田は24時間体制で国際化されていきますから、目と鼻の先ですから。私は上海の事情は詳しくわかりませんがね。とにかく向こうから人が来るにしたら、深夜だってダウンタウン、中心街のホテルというのは非常に完備されていますからね。恐らく東京の都心に来るにしろ、横浜に行くにしろ、深夜だったら30分もかからずに行くわけですしね。そういう点では、4本目の滑走路ができてシャトル便が飛ぶというのは非常に経済効率もいいし、大事なことだと思いますよ。

【記者】それともう1つ、国際線についてなんですけれども、遅れている再拡張後の話として、今、横浜市なんかが中心に、国際線の就航距離として6,000キロ、これを推進したいという話があるみたいなんですけれども、横浜市の市長が…。

【知事】6,000キロというのは、羽田からのフライトの距離が?

【記者】そうです。シンガポールを越えて、ほぼ東南アジアを含むぐらいです。ただ、国土交通省の今の考え方としては、2,000キロということで石垣島、それから上海、北京、そのあたりを含むぐらいなんですけれども、知事ご自身で今後の国際線の就航距離について、どのような…。

【知事】これは私見ですけどね、やっぱり世界の全体の動き、東南アジアの成熟度を考えると、そんな短い距離じゃなしにね、やっぱり東南アジアをカバーできる、そういうフライトのために距離もあるわけですから、あの滑走路のね。

 ジャンボで満タン、満杯にしてアメリカまで飛ぶということはちょっとできないかもしらんけれども、羽田でそれが賄えると思いますからね、それぐらいの距離だったら。だったら当然すべきだと思いますね。何で国交省はそんなに消極的なのかね。

【記者】自民党本部が知事選の関係で石原知事の推薦を内定したということなんですが、これについてどう受けとめていらっしゃいますか。

【知事】あなた、随分しつこく何回も何回も聞くね。いや、私、聞いてないんだ、それ。今、話を初めて正式に聞いた、聞いた上で判断しますよ。

 まあ、民主党の中にも私の支持者はいますしね。民主党の議員さんにも支持者もいますからね。ただ、今までと違って、今度どういう形の選挙になるか。正式にその通知というか情報が入ったら、それを踏まえて判断します。

【記者】知事側からの要請はしていない。

【知事】していませんよ、別に。

【記者】あともう1つ、都政の専門紙の報道で、都庁内の職員アンケートで石原都政の…。

【知事】そういう数字をね、一々あげつらってもね、そういう調査というのはね、何もそれほど信憑性なんてないし、そんなのは気にしてもしようがないし、勝手にやらせたらいいじゃないですか。それをまたかざして、あなた方の責任でやったのなら傾聴しますがね。限られた人間にそういう意見を聞いてね、それをもってすべて判断するわけにはいかんでしょう。このところ随分共産党のネガティブキャンペーンが続いているみたいだしね。

 メディアも何か知らんけども、それに乗って、大した取材もせずにいろんな報道をしているみたいだけども、そういう限られた調査をもってすべてをはかるというのは、とっても僕は政治全体を判断する危険な方法だと思いますよ。

【記者】評価するという政策が、環境であるとか財政再建なんかはとても上位に上がっていたということなんですが…。

【知事】これは何も僕がやってきたことじゃない。都民全体の期待を受けて、私が提案したものもあるし、庁内から提案されたものもありますしね。一種のチームプレーでやってきたことだからね。例えば財政再建だってね、やっぱり身をそいでだね、歳費(歳出)を削り、定員も減らしてやってきたことで、はじめてできたんでね。同じことを国がやってくれればもっと国民は助かると思うけれども、都は先んじてやったわけですよ。これはやっぱり都庁の中の要するに協力があってできたことだからね。そういう点でやっぱり都庁の職員もそれを自負しているんじゃないですか。

【記者】一方で、評価できないという方の施策の中で、2番目に五輪招致というのが上がっているんですけれども、これはどう受け止められますか。

【知事】さあ、それはその人たちなりの考えがあるんでしょうけど、私の感触では都民全体は非常に歓迎してくれていますしね。五輪招致に反対の職員がいるなら、やっぱり都民の声をもうちょっと積極的に聞いたらいいんじゃないかな。

 ほかにどうぞ。

【記者】冒頭知事がおっしゃった「10年後の東京」について2つ伺いたいんですけれども、あまり行政のこういうPR文書を販売するというのは聞いたことがないんですが。

【知事】えっ?

【記者】あまり聞いたことがないんですけど、その販売する理由と、内容的に知事として都民に買ってもらえるという自信のほどというか、そういうのがあるのかどうか、ちょっとお聞きしたい…。

【知事】いや、とってもね、あなた、ごらんいただいたらわかるけどね、絵柄が入っててね、ごちゃごちゃ文章が書いてなくて、見開きのページでね。結局、何判になるのかな、大きな、何というんでしょうね、がらんの中に少ない言葉で説明が書いてあって、とてもわかりやすいと思いますんでね(※)。

※A4版の冊子(見開きA3版)で本年1月19日(金)から都庁第一本庁舎3階の都民情報ルームなどで発売開始

 やっぱりその、東京の将来に期待を持ち、あるいは不安を持ち、関心がおありの方だったら、見ていただいて、長々文章を読む必要がないから、解説読んで、自分はこう思うとか、もっとこうしろとか、いろんな意見を都民からも引き出すためにいいよすがになると思いますけども、私は。

【記者】販売した事例というのはこれまであったということで、そんなにこれは珍しいケースではないということなんですか。

【知事】そういう事例はいっぱいあるんじゃないですか、ほかにも。国の広報だってありますしね。都も広報でそういう出版物、有価で頒布している事例もあると思いますよ(※)。

※東京都が編集発行した計画・調査報告書等の都政刊行物を都民情報ルームなどで有償販売している。

【記者】都政の話からちょっと離れるんですけれども、最近、殺人事件、嫌な話が相次いで、この年末年始、すごい多発したんですけれども、その大半が親子関係であったり、兄弟であったり、夫婦であったり、ほとんど家族の間での事件というのが非常に多いんですけれども、都政から離れるんですけれども、そういう家族間の考え方が変わってきたとか、あるいは時代が変わってきたみたいなところで、知事のご感想なりお考えみたいなのがありましたら教えていただきたいんですけども。

【知事】それは非常に大事な、深刻な問題でね。人間というのはだれでも生まれた限り、他者との、自分以外の人間とのかかわりなしで生きているわけはないですよ。やっぱり親子か兄弟か知らないけど、他人の始まりと昔から言ったけどもね、やっぱり子供でありながら親でありながら、自分以外の人間、つまり他者、半分他者であるわけなんです。そういった他者とのかかわりというものを教える、主に父親の役だと思うけど、そういう家庭の機能が希薄になって、子供たちは非常にそういう点で気の毒だと思うんですがね。やっぱり人間関係、親子もそうですけど、そういうものの中の、いつも言っていることだけど、時代を越え、立場を越えて継承されていかなくてはいけない絶対的な価値の基軸というんですかね、垂直な価値観というのがだんだん阻害されてぼろぼろになってきた。そういう時代になってきたんだなという感じはしますね。

 これはやっぱり家庭のあり方というものを考えないといかんと思うし、日本だけ、日本の特に都会でしょうかね、事件が起こっているところというのは。あの歯医者さんの一族なんか、親子で住んでて、しかしそれプラスできればおじいちゃん、おばあちゃん3代で住むということは、真ん中の、特にお嫁さんは姑さんとのかかわりで煩わしいことが多いんだろうけども。しかしそれは後になってみると非常にありがたい、いろんな伝統とか、習慣というものを教わるんでね。親子3代で住む、そういう望ましい家庭の形が、いろんな条件でかなわなくなってきたところに、私は原因があると思いますね。

【記者】海外出張の件なんですが、年末から知事、何度か見直しをされるとかおっしゃってこられたんですけれども、何か具体的にこういうふうに改善するというようなお考えはおありになりますか。

【知事】これはね、責任転嫁するつもりはありませんけど、詳細なことは事務局に任してましたが、ただ1つ言えることは、やっぱり特定の旅行社と契約を続けることはよくないと思う、僕はやっぱり。旅行社によっては、いろんな情実もあるでしょうし、それから固定の関係もあるでしょうし、大概、外国のホテルとかその他この他。だから、やっぱりそれを一番合理的なものにするためには、選択の幅というものを持った方がいいということだけは私、言いました。あとは、それに応じて事務方が対処してくれると思います。

【記者】赤坂のヘリポートの件なんですが、返ってくるということをきょう発表されたわけですけれども…。

【知事】いや、返ってこないですね、とにかくやっと…。

【記者】一部が、代替地が。それを普天間(沖縄県普天間基地)のようにずっと返ってくるっていって、返ってこないものもありますんで、どういう形で担保して代替地を手に入れるかということまでは具体策が決まっておるのかどうかというのを教えてほしいんですけども。

【知事】そもそも、あそこは出ていってもらいたいんですな、全部。何も日米安保にとって決定的、致命的な、あそこにスターズ・アンド・ストライプスって軍の新聞(星条旗新聞)の社屋がありますけど、それだって別にある必要はないわけだしね。とにかく、占領されっ放しということなんだから。それは都のため、あるいは国のために、あの土地が返ってくるユーティリティー(有用性)ってもっとあるわけですからね。ほかへ移るのは当然だと思いますよ、私は。

【記者】それを担保する、つまり…。

【知事】さあ、これはね、それこそまさに政府の姿勢だね。知事がわめいたってどうなるもんじゃない、やっぱり。(日米)合同委員会の中で日米安保というのは堅持でしょう。それは結構だけども、その中でもなお、つまり余計な負担というのは私たちは外してもらいたいし、ああいう非常に価値の高い、面積はわずかであってもですね。

 ただ、私はあそこにヘリポートがあることは必要だと思います。(都立)広尾病院にもあったりしますけど、その他の目的であそこにヘリポートがあることは必要だと思いますから。今度は最低限共同使用というところまで漕ぎ着けたけれども、都市の機能ということから考えると、緊急時の対策として、私はあそこにヘリポートがあることは非常に有効だと思いますんでね。条件なしでとにかくそれを日本が使うと。場合によったら米軍にも使わしてあげるという姿勢が妥当じゃないかと思いますけども。

 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策担当 細井)