石原知事記者会見

平成19年2月1日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年1月26日(金)
15:00-15:18

知事冒頭発言

1.地域防災計画の見直しについて

【知事】冒頭、2つほど、私から申し上げます。
 1つは、地域防災計画の見直しについてですけれども、これは一部が報道されているようですけど、ちょっとその一部が違っているところもあります。東京の防災対策の基本となる地域防災計画を見直すことにしまして、その素案を本日まとめましたので、私からその全体像をお話しいたしますが、今回の見直しは、首都直下地震の新たな被害想定や、千葉県北西部地震、集中豪雨などの災害の教訓を踏まえた抜本的なものであります。

 震災編では、第一に、家屋倒壊や火災で予想される人的被害の半減など、今後10年以内に達成すべき具体的な減災・災害を減らす目標を初めて設定しました。この目標は、建物の耐震化や不燃化を進めるとともに、東京DMATの拡充など救出体制の強化や、地域防災力の向上により実現をしてまいります。第二には、大都会につきもののエレベーターの閉じ込め対策や、ターミナル駅での混乱防止などの都市型災害対策を強化いたしました。

 一方、風水害編では、特に集中豪雨対策を強化しました。速やかに災害即応対策本部を設置するなど、初動態勢を強化するとともに、緊密な連携により、同一流域の区市町村防災機関が統一的な対応をとれるようにしました。

 さらに計画には、これまでの訓練の成果を反映させまして、首都圏の八都県市連携による広域対策や、在日米軍への要請、海外支援の受け入れなども新たに盛り込んでおります。

 今後、この計画に挙げた対策を着実に推進するとともに、実践的な訓練を積み上げることによりまして、災害に、より強い東京を実現したいと思っております。

2.全庁横断的な戦略会議設置について

【知事】2つ目は、新しいプロジェクトに関しての全庁横断的な戦略会議の設置についてでありますが、「10年後の東京」に掲げた政策を複合的に実行していくために、このたび、全庁横断的な戦略会議を設置いたします。従来も存在したラインに加えて、それを横櫛するような、そういう複合的な戦略会議を設置したいと思っています。まず扱う案件は、子ども・若者の問題と環境問題から始めていきたいと思っています。

 1つは、子ども・若者問題対策会議で、これは関谷副知事を座長に、30日に設置いたします。子どもや若者をめぐっては、さまざまな要素が複雑に絡み合って、困難で、かつ迅速に対応しなければならない問題が数多く生じています。この会議の設置によって、例えば、いじめ問題についても、教育機関だけではなくて、児童相談所、警察、保護司会など、健全育成関係機関との連携を図って、サポートチームの取り組みなどが一層進むと考えています。

 もう1つは、地球温暖化に代表される世界的な環境危機への対応や、東京の成長過程で失われた緑の再生などを行うための環境都市づくり戦略合同会議でありまして、これは横山副知事を座長として設置いたします。この後、16時から初会合を開催して、先進的環境都市を実現するためのプロジェクトの骨格を提示いたします。私も出席して督励しますので、どうぞご取材をなさってください。

 今後とも、副知事をトップとするこのような戦略会議を活用して、ラインを超えた全庁横断的な取り組みを迅速に進めて、「10年後の東京」で示した都市戦略を着実に実行していきたいと思っております。

 私から申し上げるのは以上であります。どうぞ、質問があったら。

質疑応答

【記者】今の給食費の未納の問題、知事はどのようにご覧になっていますか。

【知事】これはもう最低限の責任で、それは生活に非常に困っている人なら別として、かなり裕福な人でも、どういうつもりですかね。給付を受けていながら、その代償を払わないというのは、私はこれはやっぱり親としてはもちろん無責任ですし、それで済まされない、やっぱり基本的なモラルの混乱だと思いますね。非常に残念ですしね。どうして余裕のある人、できる人が払わないんだろう。それはでも、本当に何か人間のね、基本的な、何というか、責任感の問題だと思いますけどね。「親が本当に困って、貧しい」、それならまだわかるけど、日本が本当にたがが緩んできたという感じがしますな、そういうのを聞いていると。

【記者】各区市町村が対策を考えることかもしれませんけれども、何か都としてできることというのはないんでしょうか。

【知事】子どもに、「お父さん、お母さんにちゃんと払ってくれと言いなさい」と言っても、子どもがそれをそのまま持ち帰るかわからないし、やっぱり先生がですね、お父さん、お母さんを説得する必要があると思いますね。それでやっぱり、それはね、単に給食費を先生が出向いて調達するだけじゃなくて、やっぱり学校に子どもを通わせている親の自覚というんでしょうかね、そういったものをもう一回確認するというか、親に対する教育だね、これはやっぱり、先生の、そういうものをせざるを得ないでしょう。

【記者】先週も知事、お話しいただいたんですが、宮崎県の東国原(ひがしこくばる)知事、かなり大差をつけて当選されて、もう早速県政でかなり活躍されているんですが、知事会議等で今後お顔を合わせる機会もあると思うんですが、ご感想などを。

【知事】これはやっぱりね、就任して1週間や2週間でわかるわけじゃないんでね。それはやっぱり長い目で見てあげなきゃいかんと思うし。政治家というのはしゃべるのが商売かもしらないけど、やっぱり本当は何をするかということが大事ですから。その結果を、県民もちゃんと凝視していることでしょう。これはやっぱり時間を重ねなかったら、行政なんか瞬間的にできるものじゃありませんから。ほかの候補者がどんな人か知らんけども、ああいう経歴の人ならではの発想力もあるだろうからね。いわゆる民間のある部分を強く代表するような、そういう発想でですね、新しい行政をやることを期待していますけども。

【記者】前回に発表された六本木の米軍施設の赤坂プレスセンターのヘリポートの問題ですが、その解決策について、地元の港区の方が、「元々との協定とは違う返還であって認められない」であるとか、ヘリポートの共同使用について、「基地の機能拡大や恒久化につながる」といったような懸念を示された申し入れをされているようなんですが、このことについて知事は、どのように。

【知事】まだ聞いていません。ただ、せっかくあるヘリコプターのためのスペースを、少なくとも米軍だけじゃなしに我々が都民として共同使用するということは、緊急対策とかそういうことにとってとても大事だと思います。あのあたりはね、割と大きなビルがあるんですけども、ヘリポートの設置の条件というのは、周りに不時着するような割と平地というものがある程度確保されなきゃならない。あれは隣に青山墓地がありますからね。墓地は、石があったにしても、人が住んでいるわけじゃないし、そういう点で、ある条件にかなっているから、米軍といえども、国が今まで飛行を許可してきたわけでね。それが米軍だけじゃなしに都民のためにも活用されるというのは、一歩前進じゃないですか。そういう点で、区も考えていただきたいと思いますけども。

【記者】あともう1点、知事の四男の延啓さん(石原延啓 画家)の出張の話なんですけれども、03年にヨーロッパに行かれたときに…。

【知事】あのね、私、小さなこと知らないの。それからね、正確に報道してもらいたいけど、この間、何か出ていたらしいがね、「日当もらっていたじゃないか」って言うけど、日当だってね、これはやっぱりね、実費の弁償というんでしょうかね、主にこれ、交通費らしいですけどね、そういうディテールは私聞いてもわかりませんよ。だから、当局に聞いてください。

【記者】日当と仕度料という…。

【知事】知りません、だから、当局に聞いてください。私、事務的なことはわかりませんから。

【記者】知事が、ただ働きというふうに…。

【知事】ほとんどただ働きじゃないですか。何百万もする仕事を棚上げにして出かけざるを得なかったんだから、それは。大きな仕事を引き受けていたんですから、あのときも。

【記者】あくまで、ただ働きの…。

【知事】それはただ働きに近いじゃないですか。だって、行って帰って、とんぼ帰りで、それは旅費出すのは当たり前でしょう。飛行機までただで出していくばかはいませんよ。

【記者】日当や仕度料もということですか。

【知事】ですから、その内容はわかりません。だけど、日当というのは、実質的に実費弁償ということですからね、その中に交通費も入ります、当然ね(※)。ということですよ。ちょっとヒステリックになっているんじゃないの、あなた方。何か知らぬけども、ちょっと不思議だね。

(※)日当は、旅行中の昼食代、旅行先での交通費や諸雑費を賄うための費用として支給される旅費、また支度料は外国への出張や赴任する場合の支度経費に充てるために支給される旅費である。いずれも実費弁償的な性質を有するものであり、旅行期間などに応じて定額が支給される。

【記者】今日、安倍総理が初めての施政方針演説を先ほど、午後、国会で行いましたけれども、これはご覧になって…。

【知事】いや、まだ見ていません。

【記者】そうですか。

【知事】私は国会にいるわけじゃないから。明日、新聞で読めばいいでしょう。

【記者】テレビで中継されていましたが。

【知事】ほかの仕事をしていましたから。大事な会議して。

【記者】わかりました。

【記者】もう1点お聞きしたいんですけれども、知事選のことなんですけれども、民主党の候補はまだはっきりとは決まっていないようですが、いろんな方のお名前が取りざたされております。その中で田中眞紀子さん(衆議院議員)のお名前も出ているようなんですけれども…。

【知事】仮定の話でね、だれがどうこう、こうこうと私が言う筋じゃないんで。それは民主党が民主党としての候補を立てるなら民主党の中で議論すべきことだし、検討すべきことじゃないですか。だれも決まっていない人間を、あれがいいとかこれがいいとか、私、立場じゃありませんよ、それは。その組み合わせがね、本割りが決まったら、しっかり相撲取るしかないでしょう。

【記者】APAホテルの関係で、また耐震偽造の話が出てきているんですけれども、都内でも3件ほど調査中のものがあると思うんですが、この件について、知事のご見解をお伺いしたいんですが。

【知事】ですから、これはね、やっぱり厄介なことですよ。姉歯(姉歯秀次 元一級建築士)関係のマンションも含めてね。地震というのはいつ来るかわからぬしね。繰り返し言っているけど、日本というのは世界最大のファイアリングの上にあるんだから、火山脈の上にあるんだからね。どういう形で地震が来るか、事前に散発されて大きなものにならなきゃそれに越したことはないけども。それからやっぱり耐震構造の基準というものが、技術に対する認識というものが進むから変わるんでしょうけども、これもやっぱり罪つくりよね、私に言わせると。実は、私が議員時代によく使っていたホテルなども、前の基準で建っているということを聞いて、何となく、泊まっているときに来なくてよかったなという気がしたけども、そこら辺のことはね、これはやっぱりこれだけの技術国だしね、耐震構造の技術は非常に進んでいるんですからね。これからどういう予測、どういう分析で、また基準が変わるのか変わらないのか知りませんが、今の基準をもって十全としないならね、やっぱりこれから建てられる建物のためにも国はもうちょっと慎重というかな、少し建築費がかかることになるかもしらぬけども、荷重が厳しい基準というものを設けないと、こういう問題って後を絶たないと思いますよ。

【記者】先ほど、地域防災計画のところで、とりあえず死者数の半減ということをたしかおっしゃったと思うんですけども、できれば死者数はいなくなった方がいいかなとも思うんですが、その辺のとりあえず目標…。

【知事】何がいなくなった方がいい?

【記者】死者数が。

【知事】あ、死者。

【記者】ええ。本当だったらゼロが一番いいんだと思うんですけれども、その辺というのは、これからさらにもっと高めていく計画をつくっていかれるのか何か、そういうのはおありになるんでしょうか。

【知事】死者が想定される地域というのは海抜ゼロメートル地帯とかね、そのあたりに比較的多いですね、木密地域とか。あるいは、川に遠くて木密地域というのは都内随所にあるんですけどね。そういったものをね、それぞれ地権者がいて、所有者がいるわけですからね。しかも、街の構造そのものは非常に古い形でしかない。しかし、同時にオートロックで防御されている高級マンションよりもね、ある意味では人間として住みやすいコージーな街もあるんですよ。これをね、どういう理由で強制的に、要するに改修するということはなかなかできにくいんでね。だから、この間も発表しましたけども、弁護士さんも含めて、司法書士さんも含めて、地権というものをなるたけ尊重しながら街をつくりかえていくアドバイスをする、あるいは災害が来てしまった後の街の復興もね、今までじゃなかった性格の構造の街にする。そのために譲るものは譲っていただく、そういう措置を想定して、そういう組織をつくったんですけども。それじゃ、これだけの大きな地震、火山脈の上にある日本で大地震は当然、科学的に想定される。その中で死者を1人も出さないというのは至難のことでしてね、いい方法があったら教えてもらいたいぐらい。しかし、やっぱり行政は行政なりに努力をして、犠牲者の数を減らすことは責任として行っていかなきゃならぬと思います。

【記者】外環道のことでお伺いしたいんですけど、3月の都市計画審議会で、外環道の変更案が審議されることになっているようなんですが、ここで仮に承認されたとしても、国の方で整備計画路線に引き上げてもらわなきゃいけないという、そういうあれがあるかと思うんですが、それに関連して国への要望等々、知事の方からなされるご予定等々あるんでしょうか。

【知事】します、もちろん。根回しもしていますし、いろいろ。ただ、ステップを踏んでいかなきゃなりませんしね。それから、例の九千何百キロですか、その中に組み込まれてないわけで、棚上げになっていました、凍結で。ただね、やっぱり九千何百キロといったって、今までに比べれば非常にキロ数として短いかもしれないけれど、物事のプライオリティー、順番てあるわけですね。優先順位というのは。それは何をもってするかってことに、これはね、声の大きな議員の、その声の大きさに応じて決まるものじゃなくてね。やっぱり国交省(国土交通省)なら国交省がね、国交省だけじゃないでしょう、通産(経済産業省)も含めて、文明工学の中での大都市の機能というものから割り出してね、何も大都市は東京だけではありませんけども、日本全体の機能運営のために、どの道路をどういう優先順位をつけるかということは、もっと冷静に、まあ小泉内閣のときで物の考え方は変わったわけですし、1つの大事な機会ですからね。きちっとした優先順位、万民が考えて納得のできる、要するに標準値、基準値というんでしょうか、そういうものを設けて優先順位をつけてもらいたいと思いますね。その能力がないんだったらね、国家の主権なんか意味がないんだから。

 それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策担当 細井)