石原知事記者会見

平成19年4月26日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年4月23日(月)
15:55〜16:18

知事冒頭発言

第二回世界大都市気候変動サミットへの出席について

【知事】冒頭、私から1つだけ申し上げます。

 第2回の世界大都市気候変動サミットに出席いたします。5月14日から5月19日まで、ニューヨーク市長からの招聘(しょうへい)を受けまして、大都市気候変動先導グループが主催する第2回世界大都市気候変動サミットに出席するため、ニューヨークに出張します。

 大都市気候変動先導グループは、ロンドン市長のリビングストン(ケン・リビングストン)の提唱によって創設されまして、気候変動に取り組む、現在28の大都市のグループで、東京は昨年12月から参加をしています。リビングストンからの要請もありましたので。今回、都が参加して以降、初めて開催されるサミットに出席して、東京都も地球環境問題に積極的に取り組んでいることを世界の都市に広くアピールしていきたいと思っていますし、また、世界各都市の首長が集まるこの機会をとらえて、温暖化対策を含む環境問題について広く意見を交換するつもりであります。

 東京都の卓越した環境政策をアピールすることは、オリンピック招致に向けても重要な機会になると考えています。また、今回の出張から、契約方法の見直しなどを行うとともに、出張の成果をわかりやすく情報提供してまいります。後ほど、報道官から内容の詳細については説明をいたします。

 以上です。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】地方間の格差是正ということで、総務大臣が法人2税の見直しの必要性を言われたり、あと、自民党税調の会長の津島さん(津島雄二 衆議院議員)が、地方間の東京に偏っているということで、「限られた知事が左うちわでオリンピック、オリンピックと言っている」とか、あるいは、知事の公約の低所得者の税の軽減についても、ちょっと疑問視をされているようなんですが、それについて、知事はどういうふうにお考えになっていますでしょうか。

【知事】詳細は知りませんけどね、疑問視というのはどういう意味で疑問視しているの?

【記者】50億円を軽減するということで、そういうことで本当にいいのかというような。

【知事】本当にいいのかって、もっとやれって、それ、どういうことなの?あなたも質問するならさ、もうちょっと質問を分析して。聞くのは私だけじゃない。聴取者にとってもわかりやすく言ってくれよ。

【記者】東京に余裕がそれだけあるということの証左にもなるということにはなると思うんですが。

【知事】それは余裕があるから、ほかの、要するに福祉行政だってやっていますよ。できないところはできないでしょうけど。これはやっぱり財政に対する自治体の姿勢の問題でもあるんじゃないですか。

【記者】法人2税の問題、見直しについては、知事はどういうふうにこれから。今日もちょっとお話をされていたようですが。

【知事】だからね、税制ってものは国が一方的に決めるものですよ。しかしね、確かに地域格差というのは生じているのは間違いありませんよ。

 しかし、もっとそれを分析して考えればね、県単位(都道府県単位)では不交付団体は東京だけだけどね(※)、政令指定都市になったら、国から援助を受けていない不交付団体はたくさんあるわけですからね。

※最近3年間の普通交付税不交付団体(都道府県):
 平成16年度 東京都
 平成17年度 東京都
 平成18年度 東京都および愛知県

 そういったものとほかの政令都市とのバランスというのをどう考えるのかね。そういう説明もなしにね、東京がひとり勝ちしている。金持ちだからオリンピックをやる。やるなら、そこからむしり取れるだけ取ろうということで税法を変えるというのは、私は極めて乱暴な論だと思いますね。

 それで、とにかく、向こうは十手を持っているわけだから。国の権限、国会の権限で税法を変えられるでしょう。要するに、儲かっているから取れるだけ取ったってね、それで片がつく問題じゃないんじゃないですか。もっと整然たるかじ取りをしっかりしてもらわないとね。これから地方との格差というのはどんどんできていくと思いますよ。

 それに対する大きなマスタープランもなくてね。それで、儲かっているところから取る。しかも、これ、今度やめちゃったけども、鳥取県の片山知事(片山善博 前鳥取県知事)なんかもね、同じ県知事として、彼も官僚出身だけども、こういう形で税法を一方的にいじるということは非常に疑義があるとも言っていましたしね。これは抵抗できないんだから、地方自治体ってのは。しかし、これはやっぱりね、場合によったら、事の推移を見て、私は告訴もしかねないと思っていますけども。

【記者】手段としては告訴、国を訴えるというような手段も考えられるということですか。

【知事】そうですね。基本的にね、とにかく、この間の、要するに、法人税2税のときに事業税の分割基準等、2度にわたって一方的に変えた。2度目のときには、あなたもご記憶にあるだろうけども、要するに、東京にある本社の業務というのはITで軽減されて、仕事の量なんか少ない。むしろ地方にあるんだから、地方に支社があるなら、そこのところで税金を出せ。そういう乱暴な議論ってのはね。ITってのは必然的に文明から派生したベンチャーテクノロジーでしょう。そういうものを使わなかったら、要するに、ハンドルしかねない(処理しかねる)仕事の総量がふえているから、どこの会社も、特に本社はITシステムを採用して、事務の処理をしているわけでね。それで手が省けるんだったらね、その分だけとにかく税金をふんだくるというのは、極めて文明論としてもナンセンスでね。取れれば取ればいいという、非常に三百代言的なものの言い方だね。

 国会でしっかり議論したらいいんだよ、こんな問題は、与党も野党も一緒になって。一大臣が言うことじゃないんだよ。それぞれの県から出てる代議士がいるんだからね。国会で議論したらいいんですよ、こんなものは。基本的な問題じゃないですか。政府がその気になったら何でもできると言うんだったらね、これはとっても危ないことだと思いますよ。

【記者】関連するんですけれども、先日、地方分権改革推進委員会の中で、委員の猪瀬直樹さんが東京DC特区化するという構想を提案しているんですけれども、要は、基本的には、山手線の中側を中心として、それを国の直轄地にして東京から切り離すという構想なんですが、これについても。

【知事】まあ、いろんな案が出てくるでしょうね。やっぱり1つの大きな変動期ですからね。アメリカなんかそれに近いことやって、結局またもとに戻してね、勅任官だったものを選挙で選ぶ形になりましたよね、ワシントンDCの市長なんかは。

 これからいろんな議論が出てくるのは結構ですよ、それは。猪瀬なにがしがどういう所信で何を言っているか、もっとそれに対する対論だって出てくるでしょう。あの人の言ってることが何も絶対ではないし。

【記者】では、東京を特区化するというワシントンDCのような特区にするということは、考え方としてはありということになるんでしょうか。

【知事】私は、そういうことを言い出す人はいるだろうと思いましたね。ただね、この間も選挙の最中に松沢君(松沢成文 神奈川県知事)なんかも言ってたけどね、道州制というものがしきりに言われていて、まあ、松沢さんは若いからもっといろいろなことをやりたいんだろうけども、自分は神奈川県の最後の県知事であっても結構だと。それは彼なりの自負で結構だと思うし、彼が考えてる道州制が実現するかどうか知りませんよ。しかし、東京、神奈川、埼玉、千葉という、今、首都圏行政、広域行政をやってる4都県がまとまって1つの道州になったら、これはもうかなり大きな同心円が国家という円の中にできるという形になってね、私はやっぱり、そこで選ばれる新しい長官でしょうか、県知事でしょうか、それは強大な権力を持つことになりますね。これは、是か非かというのはやっぱり議論の余地があると思うしね。

 だから、諸井君(諸井虔 元地方制度調査会会長)が私のところへ来て、亡くなったけども、私の意見も聞いて帰りましたが、やっぱり現実に行われている広域行政というものの実際の効果というものを評価しながら道州制も考えてもらいたいが、といって、私は、必ずしも、東京、神奈川、埼玉、千葉という4都県が1つの道州たるべきとは必ずしも思わない。そこら辺はやっぱりもっともっと議論があってしかるべきだということは申しました。

【記者】恐らく、猪瀬さんがおっしゃっているDC特区のようにするというのは、山手線の内側だけを直轄地にして、そこの、それこそ法人2税の税収を地方に分配しましょうということのようなんですけれども。

【知事】詳しく聞いてないからわかりません。

【記者】副知事人事のことについてお伺いしたいんですけれども、この前の会見で知事は、数人の中から候補として考えているというふうにおっしゃっていましたけれども、意中の人には…。

【知事】これはやっぱりね、議会にまず了承を得なくちゃいけませんからね、ちょっと、ここでね、決まったことがあったって、ちょっとここで発表するわけにはいかないね。

【記者】もう打診はなさっているんでしょうか。

【知事】打診というか、どういう人?

【記者】意中の副知事

【知事】民間から採る人、それとも都庁から採る人?

【記者】民間から採る人です。

【知事】それはいろいろ考えてます。まだ打診の段階までいってません。別にこれは6月(5月臨時会後)の特別職の人事に重ねてやることもないと思うしね。もっと慎重に、幅の広い意見を聞いてですね、やっぱり民間から1人、丁々発止、政府とも渡り合えるような、そういう人間を採りたいなと思ってますけども。

【記者】臨時議会には人事案は提出しないということですか。

【知事】要するに、他の副知事の人事案は出ますよ。

【記者】今月に築地の仲卸業者の東京魚市場卸協同組合がアンケートの質問を組合内でやったところ、73%が反対して、賛成は1%しかないという。

【知事】豊洲移転に?

【記者】はい。そうしますと、業者の方が反発すると、豊洲移転というのは非常に難しい状況になるかと思うんですが、業者の方の賛同を得るためには、どういうことを今後していかなければいけないのかというのを伺いたく思います。

【知事】そのね、仲卸業者、大体、そこに非常に反対の人が多いと聞いてましたけど、73%が反対という数字を私、初めて聞いたしね。新聞が口にする数字をそのまま右から左に信じるわけにもいかないのでね、選挙の予測と同じように。だから、これは確かめることにしますがね。説得するもしないも、とにかく今、あそこは狭いし、危ないし、決してきれいでもないし、それから、これはみんな知ってることだけども、アスベストがかなりいろんなところで使われていて、封印はされているけども、あそこで、もし今、災害が起こって、地震が来たりしたら、それはどうするんですか、飛散したときに。そういった問題も考えてやらないとね。それから、部分的に改修してつくり直すといったって、種地が他にあるわけじゃありませんしね。ですから、移転ということ。これは私が言い出したんじゃないんですよ。共産党が勝手にトップダウンで決めたと言うけど。あなた方、新参か古い記者か知らないけど、要するに、前から東京をウオッチしてる記者なら知ってるだろうけど、平成3年から9年まで、かなり長い時間かけて侃々諤々(かんかんがくがく)議論をしてですね、それで結論が出て、青島さんが引退して、その後、私が入ったので、私の時点で、こう決まってますからというのに私は調印しただけでね、私の判断の余地もなかったし。

 ただ、私、そのときに何か豊洲にそういう問題があると聞いたけども、別に環状線(環状道路)というのが整備されてきたらね、もっと内陸のところにつくったっていいんじゃないのと言ったら、これはもう論外ですと。水産物ですから、要するに水際につくらなきゃだめだということで、なるほど、そういうものですかというので、私は調印しましたけどね。

 それまでに、向こう6年から7年、かなり専門的な議論がされたということもやっぱり念頭に置いていただきたいし、だからこそ、申し上げたように、急に選挙の話題にこれが持ち出されたのでね、やっぱり食に関係あることですから、専門家を使って、もうその専門家も決めました。4〜5人。その人たちに議論をしていただいて、再調査の必要があるかないかということの結論もそこで仰ごうと思っています。

【記者】議論というのは、もう始まっているんでしょうか。

【知事】メンバーを決めましたから、近々始まるでしょう。だから、関係筋に聞いてください。

【記者】大気汚染訴訟についてお伺いします。

 都の提案に対する国側の対応についてなんですが、先週、安倍首相の方から、誠意を持って対応したいという発言があったり、あるいは官邸サイドで原告側と面談したり、あるいは今後の対応についていろいろと模索の動きがあるようですが、石原知事としては、今後の国の対応として、どのような姿勢で臨んでいかれるのか、今の時点での考え方を聞かせてください。

【知事】だから、東京は控訴をしないことに決めたわけですからね。ということは、国もそれにならうべきです。あとは裁判所の裁断でどういう形の補償をするか、それはやっぱり国も東京都もメーカー側も歩調をそろえてすべきことじゃないですか。ということです。

【記者】例えば石原知事ご本人が首相サイドとかけ合われるとか、そういうことっていうのは考えていらっしゃいますか。

【知事】まあある種の、何ていうんでしょうかね、勧告というか、説得というか、意見具申はするかもしれません、機会があったら。

【記者】全国知事会のことをお聞きしたいんですが、来月、会長選挙が行われる予定になっています。それで、現時点では麻生さん(麻生渡 福岡県知事)が再選出馬するんじゃないかという話もあるようなんですけれども、現時点の麻生さんの全国知事会長としての評価と、もし麻生さんが出られるんでしたら、知事はまたそれをどうとらえていらっしゃるのか。もしくはほかにふさわしい人がなるべきだと考えていらっしゃるのか。さらに、ご自分が例えば知事会の会長になるおつもりがあるかどうか、お聞かせください。

【知事】麻生さんが全国知事会の会長とすると、その前任者だった梶原さん(梶原拓 前岐阜県知事)とはかなりちょっと体質が違いますね。その違いを人がどう評価するかは人によって違うでしょうけどね。彼は彼なりに立候補するとき、その所信表明をするでしょうから、そのときに私は私、東京の立場で注文をつけるかもしれませんし、そのコメントを聞いてからのことじゃないでしょうかね。

 私自身が立候補するつもりはありません。

【記者】先ほどの法人2税のことでもう一度確認したいんですが、事と場合によっては訴訟も辞さないというふうに職員の方にもおっしゃっていましたけれども。

【知事】これはなかなか訴訟できるかできないか、問題があるんですよ。つまり、国の一方的な権限の問題ですからね。その問題は、だから実はですね、今研究してますしね。たとえそれが無駄であろうと、1つの意思表示としてそういう問題提供することも必要かなと思ってますけども。

【記者】事と場合というのは、どういう場合というのを。

【知事】だから、やっぱり一方的に理不尽に、つまり何ていうのかな、税というものを改悪も改正もできる権限というのは国しか持ってない。その上でですね、そうやって限られた目的のために税法を変えるということは、これはやっぱり私は都民の代表としては承服できない。そこに至った、つまり何ていうのかな、この収入のアンバランスというものをもたらしたものは、何も東京ひとりの努力のおかげでもなければ、国の失政だってあるわけだから、今まで。

【記者】もう1つ、今回3期目で初めて職員の方のところに、各局回られたと思うんですが、1期目、2期目は確かやっていらっしゃらないと聞いたんですけれども。

【知事】いや、1期目、しましたね。2期目はなぜかしなかったみたいだね。

【記者】じゃ、特段意味はないということですか。どういう趣旨で。

【知事】やってくれというからやったんでね。久しぶりだから。会ってない職員もたくさんいるし。ただ、やっぱり選挙の演説と違ってね、各局違う話題があるから、いろいろ工夫をして話したら、くたびれちゃったな。

【記者】都営住宅で、町田市で立てこもり事件が起こりまして、事件の衝撃もさることながら、暴力団員が都営住宅に入居できていたというのがもう1つ事件の後で話題になっておりまして、都としても入居の制限等を検討するという意向を示しているようですが、知事のお考えと、もしくはこれまで暴力団が都営住宅に住み得たかどうかご存じだったかというような点も含めてお答えください。

【知事】それは知りません。それから、聞きましたら、他の県ではそういう規制をしているところがあるそうでね、これはもうごく妥当な話でね、そういうものは東京都もまねして、明らかにその筋の人間だとわかった人間を都営住宅に入れる必要は毛頭ないと私は思いますね。

【記者】1つには、暴力団も最近は経済やくざといいますか、なかなか看板を正式に掲げているところばかりでないというような問題もありまして、その辺の見極めというか、も難しいのかなと思いますけど。

【知事】全くそうですね。

【記者】何かアイデアといいますか。

【知事】これはやっぱり警察筋の協力を得なかったら、そういう情報というのはとても東京都プロパーではやれませんからね。おっしゃるとおり、このごろやっぱり暴力団も随分脱皮してきて、経済犯罪専門のグループができてきた。しかし、一皮はげば、やっぱり違法なことをやっている連中だから。今度の犯人がどんな筋のどんな人間かつまびらかにしませんけれども、その筋の人間というのがわかって入れたとしたら、そういった規制というのは当然他県にまねてすべきだと私は思います。

【記者】基本的には厳しくされていくということですか。

【知事】それはそうでしょうね。

【記者】ありがとうございました。

【記者】3期目を迎えるに当たりまして、実は宮崎の東国原知事がホームページ上で当選後に、「東京の傲慢(ごうまん)は」、都知事に対して、「東京の傲慢は復活した」という言葉を載せたんですが、その点に関しては。

【知事】何をもって傲慢とするのか、もう少し詳しく聞かしてもらいたいね。だから、そんなのやるなら、週刊誌か何かのキャッチフレーズだけをとらえて、あまり軽率にものを言わない方がいいんじゃないかな。知事までなった人ならば。

【記者】大都市圏から地方への税源移譲議論についてなんですけれども、これは東京ひとり勝ち論と言われて、なかなか東京対ほかの県という構図でとらえられ過ぎると、なかなか多勢に無勢という感じになると思うんですが、例えば企業の本社が多い土地というと、神奈川県とか中京・阪神圏というのも相当多いと思うんですが、こういう大都市圏自治体と共闘していくというお考えはお持ちでしょうか。

【知事】事と場合によってはそういう連帯というものをくみ上げていく必要が出てくるでしょうね。

【記者】ありがとうございました。

【知事】それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)