石原知事記者会見

平成19年5月31日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年5月25日(金)
15:02〜15:34

知事冒頭発言

1.第二回世界大都市気候変動サミットに出席して

【知事】冒頭、私から2つほど申し上げます。

 5月14日からニューヨークで開催されました第二回世界大都市気候変動サミットに出席してきました。これは大ロンドン市の市長の(ケン)・リビングストンが提唱して始まったものでして、彼に言わせると、世界の大都市に住んでいる人口が15%ですか、それだけ大都市というのはいろんな意味合いを持っているんで、彼の呼びかけに応じてですね、東京もぜひということで出席しましたが、(約)40の都市の代表が来ておりました。

 それだけの都市だけでも人口は相当なものでしょうけど、そういう都市がある危機感を持ってそれを共有して、温暖化の防止に努めるということは非常に意味があることだと思いましたので出席しましたが、正直言って、あんまり収穫はなかったですね。

 というのは、各都市の代表が言っていることを聞いてみても、東京が一番進んでいることをやっているなという感じがしました。例えば、都市の再開発で新しく建つビルあるいは既存のビルにノルマを負わせて、温暖化を防ぐためのCO2の削減を間接的に積極的に行っていく、そういう規制というのは条例でやっているところはありませんし、なかんずく、緑というのでしょうか、温暖化に関係のある水の資源に関しても、東京は漏水率が3%だと、これはもう各国にとっては驚異的なことで、どんな少ないところも10%、多いところは25%ぐらい漏水をしているようです。

 東京は長い間かけて、この対策をしてきましたので、今では見事な成績を上げているわけですが、特に道路を走っている水道管からじかに個々の家につながっている水道水というのは、5次(高度浄水)処理までやっているんでね、これだけのものをただ(水道料金だけ)で家庭で飲める都市というのは他にないんで、例の東京水も持っていって見せましたがね、みんな慨嘆(がいたん)していましたけども。

 まあそういうことを含めて、東京はやはり環境問題についても、水に関しても、なお、とにかく一番進んだことをやっているなという、非常にこれはスタッフの努力の成果が世界中に評価されたなという感じがしましたが、コミュニケの時に私が注文をつけたのはね、やっぱりこの主催しているニューヨークもアメリカの大都市である。当のアメリカは、政府として京都議定書に参加もしていないし、批准するつもりもない。(それ)だけではなくて、非常に大きな環境汚染の原因となっているもう1つの経済成長目覚しい中国も全く関心がない。ブラジルもそうだしね、オーストラリアも入っているんですか、入っていないんですか、あそこも今、砂漠化で非常に干ばつに悩んでいますけども。

 だから、やっぱりそういう責任の大きな国からの大都市の代表が来ているんだからね、それぞれの自分の属している国家の政府に向かってね、京都議定書にとにかく参加して、これを積極的に批准しろという要望を、それぞれの国を代表する大都市の集まりなんだから、コミュニケに積極的に入れたらどうだということを言いましたが、何かみんなモガモガモガでね、どっか行っちゃったですな。ということです。

2.東京の財源を奪う動きについて

【知事】もう1つは、たまたま私ニューヨークに行っていておりませんでしたけど、逆にそれがよかったんで、今度の新副知事の菅原(秀夫)副知事は税制のほうでも、税収で、まさに野球の選手で4割バッターの成績を主税局全体で上げてくれているんですけども、彼が非常に明快な反論を行いましてね、それに、大阪、愛知、神奈川という、やはり大都市圏が非常に共鳴し、連携して、まあそれを踏まえて、侃々諤々(かんかんがくがく)の議論だったようですけども、最後は、大都市部を持つ県の意見も受け入れられる形で形がまとまったという報告を受けていますが。

 だんだん、このごろ、ふるさと税とかその他この他、日本全体の格差を税制を変えることで埋める議論というか、まだ議論とまでいっているのかな、いろんな着想が出てきて議論がかまびすしくなりそうですし、今日も、政府は経済(財政)諮問会議をやっていますし、ここでもこの問題を取り上げるようですけども。

 まあここで詳しい議論はいたしませんが、やっぱりね、最終的にはね、税制を変にいじることで結局、国が笑って、地方同士が骨を削り合う、身を食い合うというような結果になっちゃいけないと思うんです。何だかんだやっていてね、要するに交付金の額が減れば政府はほくそ笑むわけですから、そういった結果にならないように、特にふるさと税なんて聞こえがいいけども、そもそも地方税である住民税を、自分の住んでいない、生まれたところはどこか知らぬけど、どれだけの愛着があるかわからぬが、人によってはふるさとの所在も随分違うんでしょうけども、そこのために払うというのも、これは非常におかしな話で、住んでいるところでいろんな行政のサービスの受益をしているわけですから、それに対する対価としての住民税が払えているわけでね。

 これをね、住んでもいない、かつて昔生まれた、心情的に愛着があってもなくても、そのために払い込むって、これ、手続も面倒くさいし、業務として実際にできるかどうかわかりませんよ。そんな問題も出て、肝心の財務大臣も首をかしげているようですし、これからこういった問題ももう少し突っ込んで議論をすべきだと思いますけど。

 この問題は、決して都市対地方の財源の奪い合いで解決できるものじゃないと思いますし、地方分権が言われて久しいけども、三位一体という怪しげなことでね、数字合わせで、結局、内容のない展開になってきたわけですが、これから、この問題に関しては、都は都税調(東京都税制調査会)も活用して、意見を要するに収斂(しゅうれん)して、場合によったら国と真正面から衝突してでも、やっぱり東京だけじゃなしに、大阪、愛知、神奈川という県が同調してくれますし、そういう議論が割と激しくこれから展開されると思います。

 私から申し上げることはそれだけです。どうぞ質問があったら。

質疑応答

【記者】五輪招致についてなんですけれども、昨晩でもイベントに出席されて、それほどお金はかかりませんというふうにおっしゃっていましたけども、これから、例えば、競技団体からのいろんな施設面でのいろんな要望であったり、晴海までの地下鉄であったり、その後の維持費を含めていろいろ…。

【知事】晴海までのアクセスを地下鉄にすると決まったわけじゃありませんけどね。もうちょっと多量の運搬機関が要ると思っていますけど。

【記者】その後の維持費もいろいろあると思うのですが、どのくらいの金額であれば、都民のコンセンサスを得られるというふうにお考えでしょうか。

【知事】さあ、それはね、これからね、計算の仕方でいろいろ違ってきますしね。例えばね、仮に、地下鉄に限りませんが、あそこまでの新しい運搬手段を講じる。それに対する設備投資は金がかかるでしょう。それから、やっぱり環境の整備ということから言えば、東京全体に悪い環境をもたらしている環状線の欠落というものを補填するために、これはやっぱり国の仕事としてね、外郭環状や圏央道というのを一刻も早く完成しなくちゃいけない。こういったものに対する設備投資とその経済効果というのは別の話にしてですよ、我々が今まで概算している都なら都が受け持って、埋立地に新しいスタジアムをつくるものも含めて、これちょっと、私、数字、詳しくは忘れましたが、いずれにしろ最低限の設備投資をしてなお、この間のマラソンもそうでしたけれども、そういう投資額というものを、運営額というものをはるかに上回る経済効果は、結論として大体2兆8000億ぐらいのものが見込まれてますけども。

 まあ、IOC(国際オリンピック委員会)の条件もちょっと変わってきてますのでね、それにこたえてどういう新しい施設をつくるかつくらないかというのは、これからまた膨らんでくることもあるし、あるいは削られるところもあるかもしれませんが、ちょっと今、定かに申し上げられませんけど、少なくともそれに対する設備投資をはるかに上回る、結論として2兆8000億ぐらいの経済効果は見込んでいます。

 この間の、まあちなみにね、東京マラソンもね、大体全体で15億。東京がじかに支出したお金が4億(2億)、あと7〜8億ですか、スポンサーからもらったり、それから参加した人たちの費用を含めてね、総額15億ぐらいのお金で運営されましたけども、経済効果は180億ありました。

 これは決してお金のためにするのじゃないんですがね。私はスポーツイベントというのは、やっぱり世界が狭くなった今、新しい世界全体の大きなお祭りになると思いますのでね。そういう点では、決して大きな経済負担、特にマイナスをもたらして都民に迷惑をかける、国民に迷惑をかけることにはならないと思っています。

【記者】晴海のスタジアムなんですが、どの程度の割合、国に対しての補助、負担を求めるんですか。

【知事】さあ、これはこれからの交渉でしょうけど、場合によっては都自身でつくらなくちゃいけないかもしれません。

 ただね、隣のワンダーサイトを見ても、もう本当に満杯の状態でね、申し込みというのは120%ぐらいあるわけですけども、今度の競技場もね、この間安藤さん(安藤忠雄:建築家)に相談しましたらね、もう十分できる。それはコンサートに使ったり、あるいは、非常に膨大なものですけども、ワンダーサイトのように、1つのメッセとか展示場として活用できる。しかも、そのスタンドも含めてね、それを有効に使える、そういう建築は非常に可能だということで、私も非常に心強く思ってますけども。

【記者】三宅島の復興オートバイレース計画なんですけれども、公道を断念したという一部報道があったんですけれども、公道でのレースは断念されたというのは。

【知事】いや、そんなことはない。ただね、あの排気量ぐらいのオートバイでね、しかも1周して終わりというレースだとね、観客にとってはとっても味気ないものじゃないかという気がしますんでね。

 まあね、あなた土地勘があるかどうか知らんけど、阿古地域のこの間の前の、今回じゃなしにその前の噴火で溶岩が流出してね、例えば小学校ですか、中学の体育館なんかの真ん中を溶岩が突き破ってそのままになってますけど、そういう流出して固まった半島みたいな部分があるんです。そこもね、やっぱり公道になってますし、人はほとんど住んでませんからね。そういったものを活用して、それこそやっぱり何周かするような、居住者も少ないし、そういうことも考え直すかなと思ってますし、近々、また専門家を連れて三宅島に行きまして、村長さんたちとも調査して、代案というものを積極的に考えようと思ってます。

【記者】もう1つの案件、築地の市場を見学する外国人の観光客がとても多いということで、それはいいことなんですけども、一方で業務の支障になっているということで、見学を制限することも検討されているという話もあるんですが、知事としてはどう…。

【知事】それは僕、ちょっと知りませんね。

 確かに有名な観光スポットになってるんでしょうけどね、業務に支障を来すほど観光客が来てるかどうか、ちょっとわかりませんが。ただ、皆さん御存じでしょう、何となくその問題が避けて論じられてるんだけども、あそこに危険物質のアスベスト、たくさんあるんですよ。もし大きな災害が来てね、あそこがとにかく建物として壊滅したときにね、そのアスベストがどういう形で飛散するかと考えたら、ちょっとね、非常に危険な感じがする。

 豊洲もいろいろ、選挙妨害か何か知らんけどね、新しく発生した問題でね、議論になりましたんでね、都民の不安が高まってるからね、今度専門家をとにかく集めて、依頼して、再調査をする必要があるかどうかということの結論を出してもらいます。そうとなれば、やっぱり移転が決まったにしても、1年半ぐらい遅れるかもしれませんな。

 しかし、その間ね、やっぱり災害がなけりゃいいけども、今の市場をとにかく運営してね、狭くて危なくて、決してアスベストの問題と、きれい、清潔とも言えない、その市場を存続して運営することがね、都民の食生活にとってプラスかマイナスかということも、これはやっぱりみんなで考えなくちゃいけない問題だと思ってます。

【知事】失礼、さっきワンダーサイト、ビッグサイトの間違いでした。メーンスタジアムの予定地の近くにね、今お台場にビッグサイトがありますけど、これ、幕張の施設をしのいで、本当に超満員の形でやってますのでね、その需要というのはこれから広がっていくと思いますし、横に違った形での、例えばメッセならメッセの会場が、競技のためにつくられ、かつ暇なときはそういう形で活用されることは、十分にあると思います。

【記者】新銀行東京のことで何点か伺いたいんですけれども…。

【知事】あまり話すこと何点もないね。

【記者】はい。知事も8割の株主として再建に向けて取り組むという姿勢を示されてらっしゃいますが、まず、大塚(俊郎)前副知事を新銀行東京に送り込むと。その大塚さんに期待する、どのような役割を担ってほしいかということについて伺えますでしょうか。

【知事】やっぱりそれは管理でしょうね。あの人に、別に営業の経験があるわけじゃありませんからね。やっぱり、新体制の中での運営の管理、それからもっと業務そのものの、経営の立案、施行というものが風通しいい形で行われるような、そういうウオッチャーということで建言をしてもらいたいと思ってますけど。

【記者】仁司社長(仁司泰正 代表執行役)の人事も取りざたされておりますけども、知事御自身は、仁司さんのこれまで果たした実績、功績、あるいは課題についてどのような評価をしてらっしゃいますでしょうか。

【知事】個人の問題じゃなしに、結局、経営者ですからね。やっぱり、業務の結果を見れば、おのずとそのへんは定まってくるんじゃないですか。

【記者】あともう1点、済みません。構想前に、4年前ですけども、東京都は1000億出資されてますが、もしそれ以上状況が悪くなった場合に追加で出資することはあるのかというふうに尋ねた際に、当時はそのつもりはないというふうなお答えをされてましたけども、その状況というのは今も変わっていないでしょうか。

【知事】変わってません。

【記者】首長の多選禁止にかかわる質問なんですけども、総務省の研究会が、来週、3選以上の多選を法律で禁止することを合憲、つまり憲法に違反しないという報告書をまとめるんですけども、知事はこれについてどのようにお考えでしょう。

【知事】さあ、何をもって多選とするかね。僕はね、やっぱり僕なりに考えて、4選以上が多選だろうと思いましたけど、しかしやっぱり非常にすぐれた業績を残した知事さんで、5選、6選というのもいますしね。これはね、非常に難しい問題だと思いますね。

 例えば、今の議院内閣制の中で政府の閣僚がくるくる変わる、それから、政府もくるくる変わる、そういうサーキュレーション(循環)の中で一体何ができるかといったら、私も閣僚を何度かしましたけど、本当にやれた仕事というのは数知れている、限りがありましたよね。僕はやっぱりね、知事というのは非常に複合的な大きな権限を持って、実際に生の行政に携わるリーダーですからね、新しい人が就任してくる1年のうちは手探りでしょう。それで、2期目になって、3選禁止ということになったら、2年たったら、もうその人、レームダック(政治的な影響力を失った政治家)になるね。

 じゃ、何ができるかなというと、今の内閣の閣僚みたいな形で終わるんじゃないか。私はやっぱりそういう点ではね、3選ぐらいが妥当で、それなら、あるまとまった仕事ができるんじゃないかと思うけど。3選をもって既に多選とするというのは、これはこれからやっぱりいろんな議論が出てくるでしょうな。

【記者】今のところ、賛成でも反対でもないという感じでしょうか。

【知事】私自身がもう自分自身の進退を決めてますからね。これで4選するつもりだったら、それに対する反論も賛成論も出てくるかもしれないけども。

 ただ、私はやっぱりね、君がどれほどの専門家かは知らないけどさ、要するに、戦後の日本の政府の運営、その行政の能率の非常な悪さ、しかも、役人は政治家の鼻面引きずり回してね、結局、財政1つ見たって、今日の体たらくにした。そこで、政治家がどれだけ発言力を持ったかといったら、そんなことを考えればね、私は、少なくとも、今の議会政治がつくり上げている政府の時間的なサーキュレーションでものを測ったらいけないと思いますな。中曽根さん(中曽根康弘 元内閣総理大臣)にしたって、小泉総理(小泉純一郎 前内閣総理大臣)にしたって、やっぱりある年限やったから、あれだけのことができたと思いますよ。

【記者】追加でもう1つ。マニフェストにも一時掲げていらっしゃったことがあると思うんですけれども、多選を禁止する条例みたいなものを今後出されるお気持ちはございますか。

【知事】東京から?

【記者】東京からです。

【知事】さあ、これはやっぱり議会が考えることじゃないでしょうかね。要するに、行政の主体者が言い出して決めることじゃないんじゃないでしょうか。

【記者】先日の関東地方知事会議で、場合によっては新税を設けて、ごたごたしたら訴訟してもいいというようなことをおっしゃっていました…。

【知事】新税を設けるのと訴訟とは違いますけどね、いずれにしろ、やっぱりできるだけの抵抗はします、筋が通らないことを国が言ってくるならば。

【記者】何か新税について具体的な案というのは知事の中におありでしょうか。

【知事】そりゃありますよ。だけど、ここでしゃべるわけにいかないでしょう、そんなものは。奇襲攻撃の魚雷みたいなものだからね。

【記者】何に対する税になるんですか。

【知事】だめ、それ以上は言えない。秘密の中の秘密。ボクシングするとき、次、ストレート打つぞとか、フックでいくぞなんて言わないでしょう。

【記者】それは国に対する攻撃なんですか。

【知事】攻撃じゃない、抗議ですよ。やっぱり自分に対する防御ですよ。財政が破綻してしまって東京がへたってしまったらね、東京だけじゃなしに国全体がへたるでしょう。だからね、このところの税制の改革というか改悪か知らないけど、それに対して、東京だけじゃなしに、全国知事会で、愛知県とか神奈川県とか大阪府の知事さんたちが非常に強い異議を唱えて、東京の主張に同調してくれたというのはその証じゃないんでしょうか。何も東京だけが心臓とは言いませんよ。しかし、幾つかダイナモがあって車もきちっと走るわけですからね。

 ここでくどくど専門的な話はしないけども、国と地方というものの摩擦の話を地方同士の摩擦にすりかえてね、国が出してる交付金が少なくて済むんだったら、笑うのは国だけということになっちゃうじゃないですか。

【記者】私も防災を随分長くやり続けているんですが、きょう、東京都防災会議が開催されまして、今までもありました東京都地域防災計画が少し整って発表されるという形になったわけですが、この中で、減災、つまり、本当に被害の程度を少なくしていこう、これは当然のことであろうと思いますし、これが新たにつけ加えられたというか、はっきりと打ち出されたということは正しいことであろうと思います。

 そうした中で、東京という大きな大きな都市の中には外国人も多く生活をしている、そうすると、言葉が通じないことによってデマなどがもし発生した場合に、大きな混乱に陥る可能性がある。こうした場合に、当然まず日本国民といいますか、都民をまず最初に守ることは大切なことなんだけれども、同時に、英語など、お国の言葉でもって、慌てないで落ち着いてほしい、きちんと対応するからというような、言語によってのスピーチ、これをご用意されているかどうか、こうしたことも実は必要なのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

【知事】全くそうですね。ですから、こちらが考えてるのは、何国のどんな人がどこに住んでいるか、一々都はつまびらかにしませんからね、最低限、東京にある在日公館、各国の大使館にできるだけ早く詳しい情報というものを提供する、そういうシステムは講じていきます。

 それによって、東京在住の外国人の方々が、自分の属している国の公館に、大使館に連絡を取ることで状況を正確に把握できる。今行われている流言飛語が果たして嘘か本当かということも、その真偽を確かめられる、そういうシステムはつくるつもりでおります。

【記者】ちょうど1989年、随分昔になりますけれども、サンフランシスコで起きましたロマプリータ地震というのが、やはり人種のるつぼであるあの街で、サンフランシスコの市長さんが外国語でもって「落ち着くように」というテープを流したんです。というか放送でしゃべったんです。それが落ち着く材料になったということもありますので、言語に非常に堪能な石原知事が英語か何かで、落ち着いて行動するように要請したいというような、録音されるようなことはお考えではないですか。

【知事】最低限、やっぱり最高責任者ですからね、東京に関しては。その人間がテレビなりラジオで、せいぜいできるのはたどたどしい英語だけども、英語でメッセージを発することぐらいは当然やらなくちゃいけない。

 ただ、やっぱり、もっと詳細な情報を知りたい方々に、それほど東京のスタッフも万国語に通じてるわけじゃありませんから、在日外国公館なら最低限英語は通じるでしょうからね、そこに、英語なら英語、限られた何カ国かの言葉で現況を伝達して、状況の説明をして落ち着いてもらう、そのための情報を大使館が把握してる自分たちの在京の国民に、外国人の方々に伝えてもらう、そういうシステムは当然つくるべきですし、つくろうと思っています。

【記者】メディアも頑張り続けたいと思います。

【知事】よろしく。

【記者】台湾の李登輝さん(台湾前総統)が来週から、私的にということですが日本を訪問されます。ただ、私的にとはいうものの、一部では、講演などで国際関係などのセミナーなんかも行われるようなんですが、知事は李登輝さんの来日中にお会いになるご予定はありますでしょうか。

【知事】私、聞きましたけど、あの人、「奥の細道」か何かが非常に好きでね、東京に関わりなし滞在されることになって、東北の方を旅行されるみたいですよ。だから、お目にかかる機会はないと思います。

【記者】五輪のメーンスタジアムの件なんですが、先ほど、都自身でやらなきゃいけないかもしれないというようなお話もありました。福岡との国内選考のときの話では、国の事業なのだから、国が全額負担で、都の負担はゼロだということをおっしゃっていたと思うんですけれども、今回、国の方は国の方で別に国立競技場を整備することになると思うんですけれども、そういうふうになったことについて、知事はどう思われますか。

【知事】そもそもやっぱりね、国立競技場なるものがメーンスタジアムになるべきだと思いますけどね。ムニシパルスタジアム(地方自治体の競技場)がナショナルスタジアム(国立競技場)になるというのは、ちょっとおかしな話だと思うけども、まあ、しかし、それだっていいじゃないですか。いろいろこれから交渉しても、大蔵(旧大蔵省)出身の文部(科学)大臣はあんまり、国費でメーンスタジアムをつくるつもりもないみたいだし、そのうち内閣がかわればまた文部(科学)省の意向も変わってくるかもしらぬけども。

 しかし、今の交渉の中でね、いずれにしろ、今のあそこの霞ヶ丘というんですか、神宮にあるあの競技場は使えないんですよ、国際競技場、メーンスタジアムとしては。だったら、つくらざるを得ない。でね、国はお金がないから助けてくれ、勘弁してくれと。あそこはちょっと改修してね、主にサッカーのスタジアムとして使う、それでいいだろうと言うから、それはそれで結構だ、余力がないんだったら、私たちは自分たちでやってもいいですよと。まあ、詰めた話はしてませんよ。

 しかし、本当はね、ナショナルイベントなんだから、新しい国立競技場を国がつくるべきだと思うしね、それぐらいの才覚は政府だってあるでしょう。余計につくらなくてもいいものを随分あちこちでつくってるんだからね。

 今そのプロセスです。これからもその話も、安倍(晋三)総理と会って話をします。内閣もどうかわるかわかりませんから。

 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)