石原知事記者会見

平成19年7月12日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年7月6日(金)
15:31〜15:54

知事冒頭発言

1.「海の森募金」キックオフ・イベントについて

【知事】冒頭2つ申し上げることがあります。1つは、今の埋立地を、やがて拠金をして、海の真ん中に森があるというものに仕立てていこうという、その海の森募金のキックオフイベントについてですけれども、具体的な取組みが固まったので、お知らせします。今月17日、中央防波堤内埋立地で記念式典と植樹式を開催いたします。参加者は、提唱者の安藤忠雄さん(建築家)、毛利衛さん(宇宙飛行士)、野口健さん(登山家)のほか、苗木を育てた小学生や森づくりに貢献していただく方々をはじめ多くの企業の方々の出席をお願いしております。この森づくりの特色はですね、何と言っても都民参加と資源の循環ですね。未来を担う子どもたちがドングリから育てた苗木を植樹するとともに、都民、企業の皆さんからの募金を充てて購入した苗木を植樹していきます。また、街路樹の枝葉からつくった堆肥や下水処理の汚泥等を活用、ここにありますが、するなどして、資源循環型の整備を目指しております。こうした新しいまちづくりのスタイルを東京から発信していきたいと思っております。このイベントを皮切りに、都内各地で開かれる民間のイベント等とタイアップしながら、緑のムーブメントを盛り上げていきたいと思っています。ごみと残土の島を緑のあふれる島に生まれ変わらせるために、幅広い都民の皆様の募金とご協力をよろしくお願いしたいと思っています。

2.「2007ジュニアスポーツアジア交流大会」の開催について

 次いで、2007年のジュニアスポーツアジア交流大会の開催ですけれども、都が主催で8月27日から3日間にわたって駒沢公園総合運動場などで開催することにいたしました。種目でありますけれども、1回目の今年は、アジアでの競技水準が高くて幅広く愛好されているバドミントンとしました。アジア12都市のジュニア選手が参加して、将来のオリンピックでの活躍を夢に、熱戦を繰り広げたいと思っています。アジアのジュニア選手には、都内中学での授業や学校給食の体験を通して、文化的な交流も深めていきたいと思っています。最終日には、アジア各国の競技団体の連携強化とジュニア選手の競技力向上を図るため、指導者によるシンポジウムを開催します。アジア各国の将来を担う次世代の育成を支援することで、スポーツだけでなくて、アジアの発展にも寄与していきたいと思っています。このほかにも、8月から9月にかけて青少年の国際交流を深めるために、ニュージーランドやハワイからのチームを招いて、日本ジュニアヨットクラブの競技会2007を東京湾で開催いたします。また、都民スポレクふれあい大会、スポーツ、レクチャーですかな、大会や、2007年の東京シティサイクリングなど、都民参加型のイベントも開催して、都民のスポーツムーブメントを盛り上げていきたいと思っています。都民の皆さん、どうかこの機会に積極的に参加して、大いに楽しんでいただきたいと思います。私から申し上げることは以上であります。

質疑応答

【記者】2014年の冬のオリンピックは韓国の平昌(ピョンチャン)ではなくて、ロシアのソチに決まりましたけれども、その結果についてと、アジアではなかったという点で、2016年開催を目指す東京へはどのように影響するとお考えなのか、教えてください。

【知事】それはいろいろ、人によって見方が違いましてね。どっちがよかった、こっちが悪かったということは、にわかに言えないと思いますね。言うと、また余計な影響もあるしね。いずれにしろ、各都市頑張ったし、今度は割と際どい逆転もあったわけでしょう。それもですね、東京の場合に大いに参考になりますしね。参考にしたいと思いますね。リビングストン(ケン・リビングストン ロンドン市長)に言わせると、いろいろあってもね、最後の1週間が勝負だぞと言ったし、今度の場合は決選投票で、逆転また逆転になっちゃったわけだからね。これはなかなか際どい勝負なんだなという感慨を新たにしました。

【記者】それと関連してなんですが、招致委員会としては、この夏に、夏祭りや盆踊りで「東京五輪音頭」を復活させようという動きがあるようなんですが。

【知事】三波春夫さん(歌手)の?

【記者】はい、そうです。江東区では…。

【知事】君ら、聞いたことはないだろう、若い人はな。

【記者】そうですね。江東区で山崎(孝明)区長が中心になって、講習会などを始めているようなんですが、知事の「東京五輪音頭」のイメージとかがありましたら、教えてください。

【知事】三波春夫さんも亡くなっちゃったしね。懐かしい、とてもいい人だったけどね。まあ三波春夫というと、「チャンチキおけさ」だね。それから、その人が「五輪音頭」を歌ってね。「4年たったらまた会いましょう」か、その歌を覚えているけども。あれはやっぱり開会式なんかでも鳴らしたのかな。外国から来た選手にとってみると、非常にエキゾチックな、日本的なゆえにエキゾチックな、文化の違うところでまたオリンピックをやるんだなという感じがひとしおあったんじゃないかな。まあ、私たちは一種のノスタルジーがありますけども、都民、国民の皆さんのオリンピックに対する期待というか意欲というものを育てるためにも、山崎さん、新区長になられたけども、もともと推進委員長(東京都議会オリンピック招致議員連盟会長)だったので、1つのいいアイデアだと思っていますよ。

【記者】冬季オリンピックのソチの件に関してなんですが…。

【知事】これは、僕に聞くよりも、JOCの竹田さん(竹田恆和 財団法人日本オリンピック委員会会長)あたりに聞いてもらったほうがね。こっちはこっちで初めてのことですからね。

【記者】今、プーチン大統領(ロシア)が開発費の保証を行うなど、政府を巻き込んでの活動が支持を集めた要因と言われていますが、そのことに関する所感と、今後の秘策…。

【知事】そういう点ではね、ちょっと今の政府は頼りないね、おれに言わせると。10月3日、再来年、安倍(晋三)総理には、必ずその日(2009年10月2日、IOC総会(コペンハーゲン(デンマーク))で2016年第31回オリンピック競技大会の開催都市が決定する予定)あけて、行ってくれと頼んでありますし、安倍さんも、行きますと言ってくれてるけど、参議院の選挙次第じゃ、どう変わるかわからない政局の中でね、政権が自民党からほかの政党にかわることがあるのか、ないのか、わからぬが、とにかく、現政府はだね、総理大臣と違って、ほかの閣僚は何か、カネ、カネ、カネの問題で、半分そっぽを向いてるみたいで、私は気に入らないね。政府が別に何もこれだけお金を出せとか言ってるわけじゃないんですよ。ただ、やるべきことをやってもらわないとね。道路の整備とかなんかも、決定的に欠けてる問題なんだから、オリンピックのためだけじゃなしに、やっぱりやるべきこともやるということでね。とにかく、総理がせっかく「美しい国」ということを言い出してだね、その美しい国に、美しい人を育て、増やし、美しい心を植えつけていくためにも、オリンピックというのは、何もインフラの整備だけじゃなし、心を通してのいろんないい意味の財産を遺産として若い人たちに残していけると思うんでね、そういう自覚というものを政府に持ってもらいたいね。役人上がりの政治家が、カネ、カネ、カネのことで、そんなことでけちけちしたってね、それは、国そのものは興ってくるわけがないんだから。君ら、大いにハッパかけてくれよ、本当に。何をやっとるんだと言って。

【記者】何かしらの秘策といいますか、国を巻き込んでいく戦略というのがあれば…。

【知事】教えてくれよ、そっちにあったら。そういう秘策があったら、歓迎しますから、そっと耳打ちしてください。

【記者】答えにくい質問かもしれませんが、今の話の中でもありましたけれども、参議院選挙の投票日が29日で、今のところ言われているのは、自民党、与党に非常に逆風が吹いているという中で、今回の選挙をどのように見られているのか、あるいはお感じになっているのか、答えにくいとは思うんですが、ぜひお答えいただきたいのと、もう1つは…。

【知事】私も国会にいましたからね、その問題(年金問題)についてはね、つまり、これに点火したのは野党の何とかという議員で、彼は彼なりに調べてるんだろうけど、しかし、わかったことはいっぱいあるわけですね。決定的なことは、要するに、あの組織の劣悪さ、つまり、それを助長してはばからなかった組合の問題ですよ。これはかつての国鉄と全く体質が同じだね。しかし、国鉄には、改革三兄弟、東日本の松田、あるいは東海の葛西、もう1人、西日本の、だれだったっけな(※)、これがやっぱり体を張って国鉄を直そうという、国鉄プロパーの中堅幹部なり幹部がいましたがね、今の組織には、年金を扱ってる組織にはそういう人がいませんね。

※「国鉄改革3人組」:松田昌士、葛西敬之、井手正敬の3人

 それで、上もくるくるかわるしね、何か組織に対する危機感というものが全然なかった。それで、とってもおかしなことは、私、別に何党を支持するわけじゃないが、民主党は何であの組織を根本的に変えると言わないんですか。国鉄だって、民営化することでガラっと変わったでしょう。今まで愛想が悪くてね、改札で、入口、出口、あるいは、その外に出て方角を聞いたって答えもしなかった駅員がね、民営化になったら、向こうから「おはようございます」と言うようになったんだ。そういうもんですよ。ですからね、これはもう完全につぶして出直さなかったらだめだと思うけど、何でこの問題、いちいち、侃々諤々(かんかんがくがく)、取り上げて、政府を糾弾している野党がですね、この組織そのものを変えるんだということを。ちょうど国鉄を支持していた社会党と共産党と同じような対応に、私には見えますけどね。そういう説明というのは、与党側ももっとしたらいいんじゃないかと思うけども、しませんな。それで、責任者の1人が菅君(菅直人 衆議院議員)であるとかないとか、そんなちっちゃな問題じゃないんだよ、これね。

【記者】あと、参議院選挙について、要請があったら、特定の候補者の応援に入られるような予定はおありでしょうか。

【知事】何人かありますよ。僕は、自民党じゃないけど、ペマ・ギャルポ君(チベット出身の政治学者)なんて応援したいね。彼のおかげで、僕はダライ・ラマ(チベット仏教の最高指導者)と知り合って、非常に親しくなりましたがね。彼も、結局あきらめて、日本国籍をとったんでしょうけどね、ああいう人が当選してね、チベットという本当に由緒のある、シナ五族に入ってない民族の国家が、結局、覇権主義で消滅したんでしょう。しかも、インドに仮の政府というのか、首都をつくって、そこに住んでる、そこに逃れようとしてるいたいけない若い尼さんをね、中国の兵隊がハンティングするみたいに射殺してはばからない。現に生々しい映像が出ていたじゃないですか。私、やっぱりね、本当にチベットの人は気の毒だと思いますよ。本当に。日本があんなことになったら、かなわんなと思うね。それをやっぱりペマ君みたいな人が日本人に訴えるっていうのはね。アメリカだってほとんど関心ない。リチャード・ギア(米国の俳優)ぐらいがだね、実際に行ってみたとか、有力な俳優さんだから、あのチベットに同情していろいろキャンペーンしてるけどね、そんなもんじゃ追いつかないし。僕は、ああいう候補は応援に行きたいと思ってますな。

【記者】今の質問にもちょっと絡むんですけれども、参院選挙について2点お伺いしたいんですが、自民党サイドが、石原知事について、いわば参院選の顔として担ごうというような…。

【知事】そんな、私は別に参議院議員でもないし、党の役員でもないしね。東京にとって必要な人の応援も行きますよ。それから、個人的に親しい仲間もいないでもないからね。しかし、今度の選挙について、私について過大に期待するというのは、ちょっと情けないし、筋違いじゃないのかね。

【記者】もう1点。応援にも行かれるというようなことでしたけれども、仮に、東京以外での遊説の要請があった場合というのは。

【知事】あると思いますよ。自分に関係があればね。

【記者】遊説以外に別の何か、具体的にこういうことをするとか、そういうプランみたいなものは特段ないんでしょうか。

【知事】遊説以外に選挙中、何するかって。そりゃ遊びに行くかもしれないな。夏だし。それは冗談だけどね。ちょうど投票のころから暑くなるんじゃないですか。今、別にそれは何も考えてません。

【記者】ありがとうございました。

【記者】久間(章生)前防衛大臣の原爆投下をめぐる発言のことなんですけれども、この発言と、それから発言後辞任に至るまでの動き、知事はどのようにお考えですか。

【知事】そんなことね、僕に聞くのは筋違いで、おれ、評論家じゃないんだから。ただ、やっぱり、それは核兵器という強力な破壊力、殺りく力を持った兵器を一番最初に使ったのはアメリカでしょう。一番最初に使われて、とにかく甚大な被害を受けたのは日本ですからね。だから、東京裁判というかなり信憑性のない、正当性のない裁判の冒頭で、あなた方若い人は知らないだろうけども、イギリス人とオーストラリア人の弁護士の資格を持っている、日本側の戦争犯罪者容疑者の弁護を引き受けた、要するにかつての敵国側の弁護士が、この裁判には正当性があるんだろうかと。これはジュネーブ協定違反をした、戦争中にそういう行為をした人間を裁く、要するに裁判とされているけども、ならば我々は日本を裁く資格があるのかと。東京が制空権なくした後、B29が300メートルの低空を飛んで焼夷弾(しょういだん)をまき散らして、一晩にして十何万という人たちを焼き殺した。それはアメリカの空軍の本部でも、すべきか、すべからざるか、随分議論があったけども、ルメイ(カーチス・ルメイ:第二次世界大戦期のアメリカ合衆国の軍人)という、非常に日本人に偏見を持った、要するに総司令官が、日本は汚いから焼いて清めたらいいんだと豪語して、とにかく爆撃して人を殺したんだ。その後、あれじゃないですかね、広島、長崎で、要するにジュネーブ協定(条約)というのは非戦闘員を殺しちゃいかんということですよ、戦争行為の中で。それを一瞬にして2つの都市合わせて30万を超す人間を殺りくした。そして、ウェブ(ウィリアム・ウェブ 東京裁判裁判長)という裁判長は、それを聞いて非常に動転して、要するにとにかく論告を一時中止させて、何か指図して、彼らの論告を中止させるわけにいかないから、継続は許したけど、その間、同時通訳は禁止したんだ。それで、裁判が終わったときに、最終的な報告書の中から冒頭の陳述を削除したんですよ。そういう経過というのは、久間君、知ってか知らないか、知らないけど、ああいう発言は一言全く余計だし、完全に日本人の心情を逆なでしたと思いますね。だから、やっぱりね、アメリカはアメリカの言い分があるかもしらないけれども、やっぱり日本の防衛省の大臣が、あの殺りく行為について、アメリカに正当性を認めるみたいな、半ば認めたような言動というのは、私はやっぱり間違っていたと思いますね。

【記者】知事会のほうは来週開かれて、例の税源移譲と偏在是正について、案を持ってくるようにと言っているようなんですけれども、東京都として何らかの案を持っていかれるおつもりはありますか。

【知事】案というか、国が今考えている税のいじり方、改悪、こういったものはいかに原理的に間違っているかということですね。東京だけじゃなしにね。この間も大都市抱える県知事さんたちと合意しましたんでね。その中には、そのとき出席してなかった福岡県の知事も入るでしょう。あるいは、静岡県なんかもそういう被害を受けるらしいけども、法人二税を変にいじられると。繰り返して申し上げます。これはやっぱり明治政府ができたときに、地方振興のために、殖産という形でつくられた法律ですから、法人二税は。名前はちょっとかつては違ったかもしらんけども。そういったものを、歴史的な正当性というものを無視してですね。税収のインバランスというのは当然ありますよ。しかし同時に、行政のインバランスというのもあるわけでして、すべき努力をしてきた地方自治体もあるし、しなかった地方自治体もある。そういう結果、いろんな格差が生じているのに、それをにわかに税収の格差だけをもって普遍的な格差ととらえて、税収の格差によりそういうものがもたらされたという言い分は間違っているし、それをもって税制を変えることで、改悪することで穴埋めしようという方策というのは、本当に政府の、ある意味での無為無策を表章するみたいなもので、私は絶対に容認できない。じゃ、東京に一体どれだけの要するに財政需要があるんですか。昼間人口、300万増えている。その人たちに地方税払ってもらっているわけじゃないんだ。それは法人税は払ってもらっているけど。しかし、そのために、東京はやっぱりライフラインの維持もちゃんとしているし、水にしろ、要するにエネルギーにしろね。そういう問題というのをすっ飛ばして、税制の格差だけで、それを穴埋めすることで地方との格差というのは、地方同士の格差で埋まるなんてことはとんでもない話だと思いますよ。その主張はします。

【記者】東京として具体的な代案を出すとか、そういうのは考えてないわけですか。

【知事】代案って、それは反対することが1つの案じゃないですか。じゃ、そのかわり何をするかといったら、政府がしっかりしたらいいんだ、それは。財政再建したらいい。もっとほかの方法もあるでしょう。あるいは、消費税を上げるということも必要でしょう、それは。ヨーロッパの国と比べたって、日本の消費税というのは、私はある意味で、要するに買いたくなければ買わなきゃいいんだから、ぜいたく品は。だから、そういう生活必需品には課税はさせなくて、要するにぜいたくなものに課税したらいいんだ。そういう税制もとらずに、消費税というのは一種のタブーみたいになっているからね。やりません、やりませんと言ってきたけども、私はやっぱりやるべきだと思うし、それが一番公平だと思いますよ。

【記者】その辺までは、12日、13日には主張されるんですか。

【知事】それも含めて言いましょう、それは。大事なことは、基本論ね。つまり、要するに全国知事会議というものは何のために持たれたか、持たれるべきかということを、やっぱり総論的に最初から私は大都市抱える知事さんたちの合意の上で文書もつくりましたし、今それは何ていうのか、要するにそれぞれの知事さんにチェックしてもらっていますけども、そういうものも踏まえて主張しようと思っています。つまりね、今度の全国知事会のかじ取り失敗するとね、やっぱり全国知事会の沽券(こけん)にかかわるしね、結局それをもって、何ていうのかな、国に全国知事会は逆用されるというか、利用される、そういうことにならざるを得ない、なり得ることになるかもしらんと私は危惧していますが。

 はい、どうも。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)