石原知事記者会見

平成19年8月30日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年8月24日(金)
14:00〜14:25

知事冒頭発言

1.「三宅島空港」の再開について

【知事】冒頭、私から、3つほど申し上げることがあります。

 1つ目は、三宅島の空港を、平成20年度の春を目途に開港、再開するめどがつきました。それで全日空と合意をしましたが、これは、新しい観測機器の整備というか、技術が開発されましてね、昨年12月から火山ガスの観測、調査を行ってきましたが、三宅島の空港及び飛行経路の上の火山ガスの状況が、今申し上げた、特別な観測機器の設置や、新しい火山ガスの観測方法の導入によって判明してきました。この観測内容をもとに協議してきましたが、その結果、一定の条件のもとには運航が可能と全日空側も判断しました。

 再開当初は、現在の火山ガスの状況から考えますと、就航率はかなり厳しいものと予想されますが、全日空も、島民の生活の安定や復興を促進するために、前向きな決断をしてくれました。

 当面、安全運航などの観点から、羽田空港から1日1便で開始しますが、今後、火山ガスの状況などをさらに検討して、就航率の向上につなげ、噴火の起こった前の1日2便の運航を目指すものとします。

 詳細については、この後、港湾局から説明をさせます。

 前にも申し上げたけど、あのガスはですね、霧とか雨と混じると、化学的に硫酸になっちゃうんですね。ですから、機材が非常に傷んでね、その洗浄、メンテナンスに非常にお金がかかる、時間がかかる、そういうことでフライトにかかる保険が危険飛行になって、非常に会社側としたら、とてもペイしないという判断だったんですが、火山ガスの状況が新しい技術と機械によって把握されるようになりましたので、風向きによって、とにかくそれを測定しながら、その情報は東京側から提供して、全日空が飛行していくことになりました。

2.自然環境保全を担う東京発「人材育成・認証制度」の創設について

 2番目は、自然環境保全を担う東京発の人材育成・認証制度を創設しまして、首都大学東京では自然環境保全などの専門家を育成するために、平成20年度に、既存の学問体系にとらわれない日本初の「自然・文化ツーリズムコース」を設置することになりました。

 これを機に、都は、自然環境分野で幅広い専門知識と積極的な行動力を兼ね備えた人材を大学、企業、NPOなどが連携して育成し、社会に送り出していく新たな仕組みを創設することとしました。

 この仕組みでは、まず大学における実践的なカリキュラムと現場におけるインターンシップを組み合わせた人材育成プログラムを、都が「エコトップ・プログラム」として認定します。そして、このプログラムの修了者を都に登録して、その後も定期的な知識、技術のフォローアップを行ってまいります。

 首都大学東京のこの取組は「エコトップ・プログラム」と称しますが、日本では初めてのことになりまして、都としても、他の大学にもこうした取組が行えるように働きかけていきたいと思っています。今後、この人材育成・認証制度を通じて自然環境保全を担う人材を輩出することによりまして、行政、企業、NPOが協働した自然環境保全への取組を加速させていきたいと思っております。

 これは決して資格ということじゃなくて、つまり、そういう今までなかった分野の総合的な、複合的な環境問題に対する知識というんでしょうかね、そういうカリキュラムをこなしたというキャリアになるのでありまして、それからまた、現場で働いている、例えば南島の小笠原の管理などをしてくれているレンジャーとは、またちょっと違った、もっと数の多い、幅の広い人材を育てるつもりであります。

3.ツバル・フィジーへの出張について

 3つ目は、9月10日から15日まで、ツバルという、これはフィジー経由ですけれども、沈みつつある太平洋の砂州の国を視察に参ります。

 これは私も昔々行ったことがあるんですがね、テレビなどの映像で見ますと、国そのものが沈みつつあって、温暖化のおかげで、満潮時になると、首都といっても知れている町ですけどね、そのメインストリートから潮が吹いて、やがて沈むので、国全体がなくなるわけですからね。もうオーストラリアと協定してね、その時は一種のエクソダス(大量の人間の脱出)として、その国の人たちが全員、オーストラリアに移住することが決まっているんですけども(※)。

※ツバルは、現在、ニュージーランドと労働移民の受入れ協定を結んでいる。

 こういう問題はやっぱり現場を見ないと実感がわきませんし。この間も、テレビ朝日ですかな、古舘君(古舘伊知郎:ニュースキャスター)がね、私、昔々に行ったことのあるスイスのローヌ氷河、これはローヌ川の水源地ですけれども、これが本当に驚くほど枯渇して、様相を変えている報告をしてましたが、あそこは、1年に1メートルですか、とにかく氷河が流れて低くなっていくということですけれども、ツバルも、私、昔、経験がありますが、こういったものを行政の責任者として実地で見聞することが、東京における環境対策にも役に立つと思うので、出かけます。

 温暖化の問題は、5月のニューヨークでの大都市気候変動サミットでも取り上げられておりましたが、世界的な認識になってきましたけどね、京都議定書に限っても、肝心のアメリカやブラジルや中国が参加しようとしない、こういった状況の中でね、何とかなるだろうでは済まないところまで来ている局部局部があるわけでね。

 これまでも都は、環境先進都市として、ディーゼルガスの排ガス規制などの成果を上げてきましたが、これは都だけじゃなしに、首都圏全体の4県が協力してやったことですけれども、現在は、CO2の発生量の減少に向けて「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」、「緑の東京10年プロジェクト」などに取り組んでおります。

 温暖化のもたらす危機は決して遠い未来の話ではありませんで、今回、地球温暖化の進行が最も先鋭的な形であらわれているツバルとフィジー諸島共和国を訪問して、この問題の影響について視察を行って、当地の方々と話してきたいと思ってますが。

 人間というのは、自分の周りに歴然とした変化が起こらないと、危機を実感しにくいものですけれども、出張中にも、テレビ会議システムを通じて、現地から温暖化の影響を報告することで、この問題の深刻さを1人でも多くの都民に伝えたいと思っております。また、現地を視察した結果を、今後の気象変動に対する政策にも当然役立てていきたいと思ってます。

 後ほど報道官から詳しい内容について説明させますが、やっぱり行政の主体が大きくなればなるほど、こういう問題に対する反応が鈍くて、抱えている問題も多岐にわたるんでしょうけど。

 今度防衛大臣になった小池君(小池百合子 前防衛大臣)と、この間、都連の会議で会って、とにかく、東京都出身の、選挙区をここに持っている国会議員に、もうちょっと環境問題にしっかりした認識を持ってくれと言いましたら、あえて言いますけどね、彼女は環境省の大臣をしていたわけでしょう。石原さんは法律をご存じないから、あなた言ってますけど、国はちゃんと対処してますよと。

 皆さん、この法律読んだことありますか。こんなの典型的なざる法だからね、国がやってることは。こんなもんで、この問題が根本的に解決されるわけはない。だから、こういうこともやっぱりね、主務官庁の大臣をした人がそういう意見を持ってるなら、もっともっと公の場で討論されるべきだと思うし、国が決めたあんなNOxの抑制なんていうのはざるですよ。とにかく、古い、一番問題のある自動車についての対策が全然ないんだからね。こんなもんで環境省が環境省としてまかり通るんだったら、あんな役所、私は要らないと思いますな。ということです。

 質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】三宅島の航空路の再開についてなんですけれども、この再開が観光振興ですとか復興に大きな意味をもたらすと思うんですが、その辺の期待というのを聞かせてください。

【知事】当然期待があるから、全日空に頼んで飛ばすんですよ。船で長いこと揺られながら行くのと、やっぱり飛行機が飛べば、それを活用する人は多いと思いますし。ということです。

【記者】こんなに早く再開のめどが立つと知事は思っていましたか。

【知事】こんなに早くはないんじゃないの。島民が帰島して、その瞬間から、アクセスに対する期待は当然あるわけですけども、一番便利なのは今の関係の飛行機ですからね。随分こちらも全日空と折衝してきたんです。さっき言ったみたいにね、ガスそのものの実態がつかめないのと、ガスそのものの資質、水にまじると瞬間的に硫酸になるという非常に危険な物質に変わるということで、飛行機会社も非常にたたらを踏んでましたけども。

 そのガスの実態、どこに、どういう形で、どれぐらいの量が今あるかということの観測は、今まで以上に正確に把握できるようになりましたのでね、そのデータに沿って全日空に働きかけてね、向こうも了承してくれました。

 ただ、昔みたいに毎日2便飛ぶというわけにいかないし、しかも、風向きによっては、今の限りでは、東側の風というもののケースだけに限っていると、これはやっぱりとても100%としていかない。まあ、そういうものを覚悟で、島民の方に、それでも少しは便利になると思いますから、実現することにしました。

【記者】杉並区のことでちょっとお伺いしたいんですけれども、杉並区が、毎年予算の1割を使わずに積み立てて、利子や運用益などで将来に住民税をゼロにするというような減税自治体構想の検討を進めているんですが、実行に移す場合は、東京都との協議も必要になってくると思うんですけれども、知事はこの構想についてどのようにお考えでしょうか。

【知事】僕は詳しいことを知りませんからね、ここで批判も賛成の意見も述べられませんけれども、東京は東京なりに、住民税の実質的な減免というのはいろいろやってきましたけどね、それを無税にするというのはなかなか大変だと思いますよ。

 まあ、しかし、財政再建したので、オリンピックというものも想定して、何もオリンピックのためだけじゃありませんけども、年間1000億ずつ積み立てをしておりますけどね。しかし、こういう時代ですからね、経済変動というのは、いつ、どういう形で来るかわかりませんから、それをそのまま、都民の払ってらっしゃる税金をただにするという形で振りかえるというわけになかなかいかないと思う、これは。

【記者】三宅島に関連して、11月にオートバイのフェスティバルが予定されていると思うんですけれども、来年の春の再開に先駆けて、何かここでテスト飛行のような形でアピールするようなお考えがあるのかどうか。

【知事】テスト飛行は考えてません。

【記者】あくまで来年の…。

【知事】条件が整えばフライトするわけでね、それはテストして云々というものじゃないと思いますよ。

【記者】来週の月曜日、27日に内閣改造が予定されているんですけれども、地方の税財政の改革であるとか、オリンピックの招致を進めるに当たって、閣僚人事が都政に与える影響というのは大きいと思うんですが、知事としてどのような期待を持っていますか。

【知事】少なくとも財務大臣に限ってはね、東京だけじゃなしに、地方分権の時代にね、国の課税に一切、手をつけさせない、税源の分与は一切考えないなどと揚言する大臣は困るね。友人でもあるけれど、私は。これは時代錯誤というか、物事の本質がわかってないし、小渕内閣の時に、せっかく地方分権統一法(一括法)をつくったわけですからね。

 この時代に、税財源の分野にかなりの問題がある、中長期の問題と付記もあるけども、しかし、あれから5年、6年たって、主務大臣がだね、地方分権はとにかく実質的にしないということを揚言してるわけだから。税財源は一切とにかく手をつけさせないと。これはやっぱり困ったもんですな。地方はどうするの。そんなこと言うから、やっぱり選挙に響くんじゃないの。絆創膏を張るだけじゃなしにね、財務大臣の口に絆創膏を張ったほうがいいよ、これは本当。

【記者】オリンピックでちょっとお伺いしたいんですけれども、国内代表都市になられてから、東京都、1年がたちます。この1年間の招致活動というのはあったと思うんですが、それをまず知事はどのように見ていますでしょうか。それからまた、今後、世界の評価に向けての招致活動の方針なんですが、どういうふうに今後考えていくのか。この2点についてお伺いします。

【知事】質問の前段の今までの招致活動というのは、原則的に招致活動しちゃいけないんですよ。この9月に受け付けの最終締め切りがあって、候補都市が世界中で決まってから、つまりその招致活動が認められるんで。

 だから、例えば私、今日、大阪に行くんですけどね、あそこで世界陸上やっているわけですね、あしたから。そこでIOC(国際オリンピック委員会)の委員も集まるんで、パーティーに出るくらいよかろうと、顔つなぎになるだろうかと思ってたら、ロゲ会長含めて、来ているIOCの委員との晩餐会やるそうだけど、それはまあちょっと遠慮したほうがよかろうと思ってたら、猪谷委員長(猪谷千春 IOC副会長)がですね、ロゲ会長(ジャック・ロゲ IOC会長)に確かめて、それは石原さんが来るのは別に構わないんじゃないかと言われたことで、晩餐会にも出ますけど、それくらいこっちも神経使っているんでね。9月から本質的に何て言うのかな、ものが展開されますけども。

 ちょっとこれ、申し上げられませんがね、いろいろその、ある地域について非常に影響力のある人から、これはある国の市長ですけど、いろんな申し込みがあったり、サゼスチョンがあったりするんですけども、昨日もそのことで外務省の谷内(正太郎)次官にも会ってきましたが、ちょっと私たちだけで把握できない相手側の事情があったりするんで、ここら辺はもうちょっと綿密に情報をとってやらぬとマイナスになるよということを、この間、昨日同行した事務総長(東京オリンピック招致委員会事務総長)の河野一郎君にも話したんですけどね。

 いずれにしろ、基本的に政府がとにかく万が一の時は全面的にバックアップするということを揚言というか、宣言というか、言質を与えてくれないと、これはもうないととても話にならないという状況ですし、これは皆さん、認識していらっしゃるんで。これからどういう内閣ができて、だれがどういう意見を持つかね。今の財務省なんか、オリンピックなんかとても回す金はないよと。別にこちらもたくさんのお金を回してもらうつもりはないけども、なかなか厄介なものでありますな。

 2年先の10月何日かにコペンハーゲンで行われるところに、この間はプーチン(ウラジーミル・プーチン ロシア連邦大統領)が行き、ロンドンに決まった時にはブレア(トニー・ブレア 前イギリス首相)が行って、要するにある意味で任しておけと、ロンドンはおれが引き受けると。プーチンもソチですか、おれが引き受けると言って成果が上がったんで。2年先の10月5日ですか、だれが総理大臣しているのかね、これ(※)。

※2009年10月2日、IOC総会(コペンハーゲン(デンマーク))で2016年第31回オリンピック競技大会の開催都市が決定する予定

 うーん、政党によっては、オリンピックに関する認識も違ったりするでしょうから、「わしゃ知らぬ」と言われたら、これ、それっきりのことでね。なかなか大変ですよ。日本のような混迷した政局の中で、国との連携というものをオリンピックに関してどうやってとっていくかというのは、なかなか頭の痛い問題になってきましたな。率直に言って、国は知らないと言われたら、これ、東京ひとりでやるもんじゃないし、やるべきでないし、とてもできませんからね。

【記者】内閣の了承が9月に行われるんじゃないかと。

【知事】いや、閣議了承(閣議了解)というのは、基本的に手続きが必要なんですね。それは金目の問題だけじゃなくて、もっと、どういうんでしょうかね、実質的なというかな、本質的な問題もありますので。いずれにしろ、何項かの問題について、政府が了承してくれなきゃしようがないんだけども、その前に政府自身がちょっとオリンピックについてどう向き合うかというスタンスがわかるようでわからない。閣僚の発言聞いてみると、あまり熱心じゃないね。金がないのはわかってますけどね。

 東京ひとりでやれったってできるもんじゃないでしょう、やっぱり。政府がそっぽ向いてしまってね、東京ひとりがばたばたしてどうなるもんじゃないしね。それはオリンピックに一切関係ない、この間の全国知事会でも、国家のイベントとして我々の県は挙げて賛成する、メンタルのサポートもしましょうという決議をしてくれましたけども、肝心の政府がこれからどうなるかね。

【記者】27日の内閣の改造の顔ぶれもいろいろかかわってくると思うんですけれども、9月以降、知事みずからトップセールスといいますか、国内外に向けてトップセールスに乗り出す機会もいろいろふえてくるでしょうということ…。

【知事】そうでしょう。

【記者】そういう解釈でよろしいですか。

【知事】はい。

【記者】わかりました。

【知事】ただやっぱり、その時ね、昨日も谷内次官、これは非常に私、評価している立派な次官だけど、的確な指摘もしてくれましたが、そういう情報というものを東京ひとりで取り切れませんからね。外務次官だってそのうちかわるかもしらぬし、その時に政府全体のオリンピックに対する姿勢というものを受けて、各関係省庁がどういう協力を自主的にしてくれるか、してくれないか。こちらがとにかく意気込んでやろうと思っても、それに必要な情報が提供されずに空振りしても困るしね。そこら辺のところは、やっぱり政府そのものが、とにかく8年(9年)先のオリンピックをどうとらえて、どう期待し評価するかという問題にかかってくると思います。

【記者】今、築地の移転予定地の豊洲で追加調査が行われていますが、先日の公開で一部の反対派の方たちが、サンプルを分けて独自に調査をさせてほしいというような話をしていたんですが、それに関して、知事のご意見を聞かしていただければ。

【知事】これはやっぱり行政の責任の問題ですからね。この問題について賛否両論あるのはわかっていますけども、要するに非常にはっきりした意見、対立した意見を持っている人たちにそういう調査を任せるというのは、私はやっぱり軽率だと思うし、公平性を欠くと思いますよ。ですから、後で関係局に聞いていただきたいけど、先ほどもそのブリーフィングを聞きましたが、ある段階を経てかなり広範な、要するに再調査をします。ですから、それをもって要するに参考にしてもらわないと、その反対の方々はどういう形で調査をされるかわからないけど、そこで出てくる資料というものは、私は信憑性の問題でもいろいろ疑義があると思うし、これはやっぱり行政の責任で、だめならだめで、要するにプロジェクトを中止せざるを得ないことがあるかもしれないんですが、それはやっぱり行政の責任ですからね。自分の利害関係で賛否両論あるのはわかってますけども、それをいちいち斟酌(しんしゃく)するわけにいかないね、これはやっぱり。

【記者】それと、今、民主党のほうで土壌汚染対策法の改正を検討していて、仮に改正された場合、より細かな調査が必要になるという話なんですが…。

【知事】あそこの漁場?漁場汚染対策法?

【記者】土壌汚染対策法。

【知事】ああ、土壌ね。わかりません、それは。何ていうのかな、法律案が出てこなければ、それをもってどう論評できるものでもないと思います。

【記者】その後検討するんですね。

【知事】はい。

【記者】はい、ありがとうございます。

【知事】はい、どうも。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)