石原知事記者会見

平成19年10月11日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年10月5日(金)
15:32〜15:52

知事冒頭発言

「緑の東京募金」の開始及び記念シンポジウムの開催について

【知事】最初に1つ私から、緑の東京募金を開始します。そして、その記念のシンポジウムを開催いたします。本日、都議会で、「緑の東京募金基金条例」が可決されました。これを契機に、都民、企業の皆さんと手を携えて、緑のあふれる東京の再生を進めていきたいと思っています。この「緑の東京募金」は、7月から実施しています例の「海の森募金」を統合して、より広範囲かつ強力に東京の緑化を推進するために、募金目標額を3年間で8億円として、今月の22日から開始をいたします。いただいた募金は、海の森の苗木購入や、校庭の芝生化、街路樹の倍増、花粉の少ない森づくりといった、緑を植え、育てる取組みに活用してまいります。22日には、募金の推進機関であります実行委員会を発足するとともに、記念のシンポジウムを開催します。シンポジウムでは、安藤忠雄さん(建築家)に基調講演をお願いして、加えて、かつての宇宙飛行士の毛利衛さん、それから、東京のレンジャーの発起人であります野口健さん(登山家)に出席をお願いしています。

 また、今月20日には、保護者を初め地域の方々などの参加を得て、練馬区の中村小学校で校庭の芝生化を推進するためのフォーラムを開催します。このフォーラムでは、校庭の芝生化を支援する企業、団体などからなる芝生応援団の結成の呼びかけなどを行います。

 こうした取組みをきっかけに、多くの都民、企業の方々に募金を呼びかけて、広範な緑のムーブメントを創出していきたいと思っています。緑のあふれる都市東京を再生するために、都民、企業の皆さんの幅広いご協力をよろしくお願いいたします。

 ということであります。私から申し上げることは以上ですが、質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】横田基地の軍民共用化についてなんですけれども、スタディーグループの期限も迫っていますが、8月末の会見では、知事、「残念ながら後退しました。ちょっと大きな手を打とうと思います」とおっしゃっていましたが、その後、官房長官にもお会いになったと思いますが、その後は、今、どのように議論が進んでいるととらえていらっしゃるのか。

【知事】その後ですね、日本側とアメリカが要請したアメリカの調査機関のスペクトラムというところの前の前の在日米軍の総司令官と、それから、外交問題のコンサルタントとして、フランスとトルコの大使だった、何とかという、名前は忘れましたが、2人が来ましてね。私も紹介しましてね、外務省、防衛省、国交省の幹部に会ってもらいました。そのときに彼らが認識を持ったのは、日本側は、私にしてみれば、ようやくという感じだけども、この3省が一枚岩だということを非常に痛感した、これは大事な日本側の姿勢であると思うと。これはですね、そのままアメリカ側にも取り次ぎます。

 それから、アメリカが言っているね、とにかくこれは具体的なボールを投げないと事が進まないんでね。例えば、ターミナルをここにしたらいいんじゃないかとか云々のボールを投げましたら、たちまち、向こうはやっぱり出先の役人ですからね、その大筋を忘れて、何でもかんでも反対してくるわけ、理屈つけて。その中の滑稽なのは、弾薬庫があるんですがね、あそこに危険物、つまり爆発物というものを搬入するために滑走路を使う云々だから、ここがだめだ、ああだと言うと、その司令官は、この人は正直なんだけどね、そんなことはあり得ないと。あのね、爆弾なんというのは飛行機で絶対搬入しない。あるのはせいぜい揮発性のね、何と言うんでしょうね、可燃性の強い液体とか、そんなものはあれするけどね、爆発物、爆弾のたぐいはですね、船でしか運ばぬということを、向こうが正直に言うわけですよ。こういったものは問題にならんでしょうという具体的なサジェスチョンもありましたがね。大事なことは、やっぱりね、現場の問題になってくるとね、みんなお役人、軍人もそうだけど、守るわけ、自分たちの利益を。これはもうもともと小泉総理とブッシュ(米国)大統領がクロフォード(テキサス州)で合意した、とにかく日米関係においては、使ってないなら使わせようと。とにかくそれが日本の国益につながるんだったら協力しようという建前があるわけですからね。まあローレス(リチャード・ローレス 前米国国防副次官)のごときはだね、入間があるじゃないか、厚木があるじゃないか、代案を考えろと言うから、ばかなことを言うなと。おまえだって役人だったら、高等な役人だったら、大統領に詰め寄ってね、これを如実に実行することがお国のためになるんでね、頭を冷やしてこいと言ったら、向こうは苦笑いしてわかって帰りましたがね。その延長でね、やっぱり役人が小手先で、自分たちの現場の利益を守ろうとするのは、通弊ですよ、どこの国でも。だから、これはもう一回認識を固め直すために、今、シーファー大使は本国に帰っているみたい。帰ってき早々、私も会って、その念を押しますしね。まあ、そういう形でとにかく具体的に事が進んでいくようにしますし。

 それから、退任しましたけどね、守屋君(守屋武昌 前防衛事務次官)は非常に次官としてよくやってくれました。航空自衛隊の要するに本部が、あそこに併存して置かれるということは、私もそう思うけど、これはいいことだと思いますね。つまり、日本の言い分が通しやすくなるしね。向こうの言っている実態、例えば、降下訓練するとか言ったって、パラシュートの降下訓練を横田でするばかはいないんだ、こんなものは。だれだっておりるよ、あんなものは。平地だったらね。やるんだったら、そんなものはシフトしてね、北富士でもどこでもやりゃいいんでね。そういうこともできますよということを、むしろその元総司令官なども言ってますしね。そういうものを堆積していくとね、カード1枚1枚、オセロじゃないけど、ひっくり返したらさらにひっくり返す、そういう合議を重ねて、基本ラインというものをもう一回確認して、進めていきたいと思ってますけども。

【記者】もうあまり期間がありませんけれども、軍民に向けてというのは、着々と進んではいるというご認識なんでしょうか。

【知事】ええ。ですから、こう一挙に、非常にポジティブな結論を出すためにもね、大使にも会うと思いますし、これは谷内次官(谷内正太郎 外務事務次官)にも会ってね、外務省が中心になって動いてるんだから、その線でとにかくやってくださいということを言いましたし、町村(信孝)官房長官、彼はね、外務大臣として非常に協力的にやってくれましたからね。いい人が官房長官に座ったので、この間も会って、その確認をしてきました。相手はね、とにかくしたたかというかね、まだ日本を占領してるつもりでいるんだから。やっぱりそれは相当の気迫で言わないと、ぶんどられたものをぶんどり返すことは難しいと思いますよ。これはやっぱり、日本の外交の根性の問題だと思うね。メディアもひとつね、その国の交渉というのを支援してやってくださいよ。国益につながることだから。

【記者】知事、今度の8日にありますオリンピックフェスティバルのことでお伺いしたいんですけれども、当初、知事、出席予定だったのが欠席ということなんですが…。

【知事】欠席というのは、なんかあまり大きなイベントにならないみたいなんでね。それから、天気もよくないし、なんか毎年やってるんだそうですよ、スポーツ振興のためのデモンストレーションを。ということでね、休日を割いて出席しなくても結構だということなんで、そのつもりでおりましたけども。

【記者】知事、オリンピック招致について機運の盛り上げが大切というふうに知事はおっしゃっていますけれども、その機運の盛り上げに知事は参加しないということですか。

【知事】いや、それはまあ費用対効果というか、労力と効果の問題でね、別にサボってるわけじゃないんだから。はい、もっとほかにすることもありますから、やります。

 オリンピックだけが都政じゃございませんから。それはあなた方、少し国にもねじ巻いてくれよ。もう腰が引けちゃってね。これはね、国がね、別にお金をむしり取るつもりは全然ないんだけども、やっぱりやろうじゃないかという気持ちになってくれないとね、これはやっぱりIOC(国際オリンピック委員会)での選択、競争のときも迫力出ませんからね。

【記者】最近事件になったL&Gという会社の出資法違反事件の関連なんですが…。

【知事】L&Gって何ですか。

【記者】出資法違反事件ということで、今警察の捜索が入っている新宿区の会社なんですけれども、多額の出資を募って、大変なお金を募って消費者をだましているというような事件で、東京都も立ち入りというか事情聴取に行っている状況なんですけれども…。

【知事】うん?

【記者】東京都も立ち入りのちょっと手前なんですが、事情を聞きに行って、その販売方法とか、会員の集め方とかがどうだというようなことを、話を聞きに行っているというのが今週あったんですけれども。

【知事】東京都が被害者なの、それとも東京都も関心を持って…。

【記者】関心ということで。

【知事】それは何、円天?

【記者】円天です、円天です。

【知事】ああ。

【記者】それで、東京都としても、この消費生活条例を強化して、指導、取り締まりを強化していくということに7月からやっておられますけれども、こうした事件への、警察とは違って、消費者を保護する行政としての指導とか対策の重要性とか、そういったところの見解を教えていただけますでしょうか。

【知事】それはね、事例事例によって対処の仕方も違ってくるでしょうけども、あの人はいろいろ前歴があるんだってね、今まで同じような事件を起こしてて。逮捕歴もあるんですか。何かちらっとそんなようなのを読んだ、見たような気がするんですが。まあね、つまり加害者である相手側と被害を受ける消費者の法律に関する専門性の濃淡の問題だと思いますね。それは素人って、本当に簡単に手をひねられちゃうから。そういう警告を発するというか、しかしやっぱり進行中の問題でね、消費者の迷惑が露呈する前に、そういった営業活動を行政側が警察をのけてチェックするというのは、やっぱり難しいんじゃないですか。だからね、これはやっぱり、被害が出て初めてそういう実態というのは露呈してくるわけでね。まあ条例で縛れる、規制できる限界というのはあると思いますね。それから、警告というんでしょうかね。ですから、ちょっと疑義を感じたらね、相談の受け皿、そういった窓口というのも設けてありますし、またもっとしっかりと設けて、こちら側も責任のある答弁、責任のあるというかね、やっぱり相談を受けた人に対して納得してもらえる答弁ができるような情報を備える必要があると思うけども。ただ、進行中の営業活動にね、これは怪しいですよという疑義を行政が提示するというのは、やっぱりいろんな限界があると思いますよ、法律的にね。

【記者】都内のタクシー料金が10年ぶりに値上がりするというような見通しになりましたけれども、この件について、知事はどのようなお考えでしょう。

【知事】いや、それは安いにこしたことはないけどね、別にその物価もどんどん上がっているわけじゃないし。ただ、私に言わせると、タクシーに関しての規制緩和っていうのはね、私はやっぱり行き過ぎな気がしますよ。あんな過当競争になってきたらね、個人タクシーも含めてやっぱりなかなか採算が合わないんじゃないかしら。

 私も運輸相をやったことがありますから、その経験を踏まえて言うんだけども、地方の小都市なんかに行くとね、びっくりするぐらいタクシーが増えてね。シーズンは、例えば湘南地方なんか、何とか要するに利益、収益を上げてるかもしれんけど、シーズンオフになったらがたっと客が減るわけでしょう。そういうひずみを踏まえて運賃が値上げされるというのは、消費者にとってはありがたくないことだし、私も現役を離れているから、その問題についてはつまびらかにしませんけど、やっぱりそういったものを、反省を含めてチェックし直す必要があるんじゃないかと思いますね。

【記者】東京のタクシーで物価動向に与える影響も大きいと言われていますが。

【知事】そうでしょうね。私はやっぱりそう思うね。物価の動向の悪い意味の引き金になりかねないと思います、それは。

【記者】三宅島のオートバイのフェスティバルについて、きのう岩城滉一さん(俳優)の参加が発表されましたけれども、今後、盛り上げるために、どういう方策をさらに打ち出していくかということと、スポンサーの集まりぐあいはどうか、この2点についてお伺いしたいんですが。

【知事】ですから、それは例えばお菓子の会社とか、そういうところの協賛金という形で資金づくりを今しつつありますし、もう時間もあまりありませんけど、しかし、間に合う限りで、来年のことがありますから、そういう慣習っていうのをつけていきたいと思っていますけども。この間、向こうで亡くなった前田さん(前田淳 オートバイレーサー)のパートナーだった淺田さんという女性から手紙が来ましたが、マン島で公道レースに慣れている連中も「三宅に行ってもいいよ」と、レースをやるなら参加するという意思を持っている選手がたくさんいると言うんですけど、残念ながら、ちょっとそっちのほうは今年は間に合わないんでね。この間も村長と話したんですけど、公道と言っても、人のほとんど住んでいない部分を使って、三宅島1周じゃなしに、かなりジグザグの難しいコースで、何ていうんでしょうね、レースをするみたいなことは考えています。参加する人たちは、別にファクトリーチームでなくたって結構なんだし、マン島だって、使われている車はほとんどホンダで、日本車だけども、日本のチームが行っているわけではありませんから、別にライダーたちが自分の機材を持ってくるのはもとより、メカニックな問題が起こったら、そういうステーションで面倒を見るぐらいのことはできますし。

 とにかくやっぱり「隗(かい)より始めよ」で、試行錯誤もあるでしょう。しかし、やっぱり始めないことには、あの島はとても立っていかないと思う。

【記者】ふるさと納税について伺いたいんですが…。

【知事】国に聞いて、国に。

【記者】きょう総務省の研究会が最終報告書を取りまとめまして、結局、個人住民税の1割を上限にして税額控除を認めるというような方式になるようなんですけれども、かねてより知事は反対されてきたと思うんですが、改めてこの節目に、どういう見解を持っておられるのか伺います。

【知事】まあそこら辺が落ちつきどころでしょうね。やっぱり寄附というものの範囲を広げるような措置をしない限り無理だと思うし、一律でレートを決めて、自分が居住していないところへ税金を納めるなんて、税の原理にもとっているし、そんなものはできっこないと私は思っていましたけどね、まあ落ちつくようなところに一応落ちついたんじゃないですか。

【記者】ただ、早ければ来年度から実施ということで、1割が上限とはいえ、東京からある程度の税源の流出というのも考えられるわけで、そのあたり、都民のふるさとへの思いみたいなのをつなげるために、何か知事としてできることはあるでしょうか。

【知事】それは人によってのことでね。地方から出てきて東京に定住している人でも、ふるさとに対する郷愁を持っている人と持っていない人がいるだろうし、そこは人間によって濃淡が違うんじゃないのかな。それは行政が一律にくくってどうこうするような問題じゃないと思いますよ。

【記者】じゃ、東京の街については自信があるということでしょうか。

【知事】自信なんかありませんよ。これから行政需要がものすごく増えていくんだからさ。この間だって、公的な建物を含めたって、リペアー、改修しなくちゃいけない建物の費用というのは計上しましたけども、数兆になるわけでしょう。片一方じゃ、安全、安全ということで耐震性と言われて、それをほったらかすわけにはいかないし、しかも、1日に他県から300万人の人が東京にやってきて、その人のためのライフラインというのは、水だって、電気だって、全部東京の行政が保証しているわけだ。この費用をどうするんですか。それをやっぱり考えてみると、この間、官房長官に会ったときに、町村君が横田のことも非常によくやってくれる。「石原さん、法人二税ね、ちょっと東京も考えてください」と言うから、「それはだめだ」と言ったんだ、僕は。「そんな軽々に『うん』と言うわけにいかないよ」。あなた、日中300万も人口の増える地方のセクターってありますか、どこかに。外国だってないと思いますよ。その人たちに対する行政上の保障をちゃんとこっちは果たしているわけなんで、対価払ってもらおうじゃないかということになったら、どうなるの、これ。

 まあ、いろいろ考えていることはありますけども。

【記者】最近、遡って、国民の年金の保険料を市町村の職員が着服しているということがわかって、日野市なんか一応告発するという方向なんですが、ほかは、もう済んだことだからと、告発しないという自治体も相当数あるんですが、ほかにも、万引きや空き巣ねらいだったら、当然犯罪扱いされているような金額でも、弁済したから処分しないとか、公表しないという例は、過去にも地方公務員でかなりあったように思うんです。こういう動きというのは、知事としてはどうお考えですか。

【知事】個人の経済衝動に駆られた万引きとか着服のたぐいだったら、そういう免罪というのか、寛容で応じられるかもしれないけど、国民年金という国家の大事な基本的な事業を、しかも現在じゃなくて、高齢化社会で多くの国民の将来を担保している、そういうシステムを現場が狂わしたといったら、こんなものはやっぱり非常に重大な犯罪で、金額の問題じゃなしに意味は重いと思いますよ。それはもう舛添君(舛添要一 厚生労働大臣)が言ったみたいに、刑務所に入ってもらわなきゃ。こんなもの、論外の話だと思うね、免罪するのは。

 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)