石原知事記者会見

平成19年10月18日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年10月12日(金)
15:00〜15:18

知事冒頭発言

豊洲新市場予定地の土壌汚染対策について

【知事】冒頭1つ、私から申し上げます。

 豊洲の新市場予定地の土壌汚染対策についてですけれども、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策については、現在、専門家会議を設置して検討を行っておりまして、今後の対策を考える上で必要な調査を実施しました。

 調査の結果、汚染濃度が低いと想定されていた箇所の地下水から、環境基準値の1000倍という高濃度のベンゼンが検出されました。このため、専門家会議の意見を踏まえて、敷地全体にわたる、今回はですね、10メートルメッシュの詳細な調査を実施することにしました。調査箇所は約4000カ所でありまして、調査内容についても、専門的見地から検討してもらい、精緻なものとしていきたいと思っています。現在、具体的な調査計画を策定中でありまして、来月の5日に専門家会議で検討していただき、速やかに実施したいと思っています。この新しい調査の結果を受けて対策に万全を期すことで、都民が100%安心できる市場として、できる限り早期に開場させたいと思っております。一部、何か新聞に出ましたので、皆さん、いろいろ関心がおありでしょうから。そういうことでですね、これから、申し上げたように専門家の会議から意見をいただいて、調査しまして、その調査内容についてもですね、さらに専門的見地から検討してもらうつもりであります。

 質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】神奈川県議会で、知事の多選禁止条例が成立する見通しなんですけれども、これについて、よその道府県の知事からも反対の声などが相次いでいるようなんですが、知事としての受けとめは、どのように。

【知事】まあ、これはですね、何をもって多選とするかね。それから、その知事の業績その他この他を勘案してね、その県民なり市民なりが判断することだと思いますね。これ、法律で一律に決めるというのも、いろいろな問題があるんじゃないんでしょうか。ただ、私は私なりの個人的見解を持って、自分にそれを課すつもりでいますけれども、もっと小さな町村などに至っては、驚くほど多選の首長さんが、もう引退を決意したら、村民から、どうしてもやってほしいということで、改めて選挙に出る例もありますしね。これはやっぱり条例とか法律で一律に決める問題ではないと、私は思いますね。

【記者】改めて、3期という期限については、知事もおっしゃっていましたけれども…。

【知事】これは私の常識というか、常識に関する感覚で申し上げたことでね、それは自分で心得ていればいいと思いますけども。手がけている仕事のですね、必要なタイムスパンというのもあるでしょうしね。

【記者】瑞穂町と議会が横田基地の軍民共用化についての反対の陳情書を大使館に出しましたけれども、このことについて、知事はどのようにお考えでしょうか。

【知事】まあね、今までも騒音の被害があったようですし、聞いてみるとね、ばかな話だけども、米軍がヘリコプターのホバリングの練習にですね、場所も選んで、一番目立つ建物だからというんで、町役場の上でホバリングの練習をしたなんていう、そういう事例もあってですね、非常に腹立たしい思いを、これは前の町長さんの頃ですか、あるようですが。ただ、そういうことはね、共同使用すれば、当然何というのか、慎まなくちゃいけないし、こちらも勧告します。まして、あそこに日本の、要するに自衛隊の、空軍の本部が合併されて併存されるということになれば、当然そういうことに対する日本側からのですね、自衛隊、防衛省としてのスタンスでの忠告というか、米軍に対する指導もあるでしょうから、そういうばかなケースはなくなっていくと思いますけど。

 いずれにしろ、これが実現すればですね、地元にも大きなプラスになるということは自明のことで、賢明な町長さんのことだから、それはおいおい理解していただけると思っています。

【記者】この陳情が、今月、スタディーグループが結論というか、協議を終えるというふうにしているんですけれども、これに影響は。

【知事】ありません。全くありません。何かアメリカの大使館にも出したらしいけどね。近々シーファー大使(J・トーマス・シーファー駐日米国大使)にも会いますけどね、このことは決して決定的なマイナス要因にならないと思っています。

【記者】最初の築地の移転問題の関連の豊洲での調査結果の関連なんですが、反対している方の中には、高濃度の汚染物質が改めて確認されたことで、食の安全という視点で、移転はやはり反対だということを強調されている方もいらっしゃるんですけれども、知事としては、東京都としては、あくまで豊洲の移転をということでよろしいでしょうか。

【知事】これはね、東京のあそこの市場というのは、都民の台所にとって決定的な役割を果たしているわけですから、そういう意味合いで言うと、必ずしも築地の市場も安全じゃないですね。アスベストを使っていますしね。これが災害なんかで崩壊したときにどういうことになるかというと、これはやっぱり機能停止せざるを得ないんじゃないでしょうかね。ですから、一刻も早く、そういう事態になる前にということで、いろいろ場所も物色してきたようですけれども、何年前ですか、当時の規格の中で東京ガスが調べた限りでは、そのデータでは大丈夫だということになりましたけれども、どういう論拠ですかね、反対派が言われて、彼らなりの調査したのかしないのか知りませんが、やっぱり調べてみて、結果としてよかったということでしょうね。1000倍の濃度のベンゼンなんというのは、これはびっくりしました。

 それからついでに、地震というものはいつ来るかわかりませんけれども、液状化の恐れがあったりするならば、そういう汚染物質は除去した後でも、水がどういうふうに逆流してくるのかわかりませんから、護岸なんかも、工法として考え直す必要があるんじゃないかと思っていますけれども。ちょっと時間もお金もかかるかもしれないが、しかし、欠かすことのできない施設ですから。

 一時ね、このモータリゼーションの時代でね、外環道が、要するに圏央道と2つ完成したらね、むしろ陸路で運んで内地のほうに、内陸につくったっていいんじゃないかという案も考えたんですけど、これやっぱり海から運ぶルートのアクセスが非常に重要ですからね、やっぱり臨海の場所じゃないと、とても無理だということで、東京湾といったって非常に、東京湾そのものが広い閉鎖水域だけども、東京の領海というのは、海岸線はすごく少ないんですよ。そこでね、東京ガスの所有地に白羽の矢が立ったみたいだけども。そういうことですね、これはやっぱり欠かすことのできない台所の大事な大事な要ですから、これは万全の手を尽くして、都民の心配のないような形で建設していく必要があると思います。

【記者】引き続き築地の話で恐縮なんですけれども、築地が豊洲に移転した後にはオリンピックの関連施設を建てることになったと思うんですが、オリンピック招致への影響というのは何かあるとお考えでしょうか。

【知事】まあこれ、再調査は10カ月かかるようです。それですからね、その時間がずれ込むにしても、もうちょっと早くあそこ完成する予定だったけど、そのぐらいの時間的な誤差だったら、オリンピックが東京に決まっての話ですけど、それは余り差し支えないと思います。

【記者】2つお伺いしたいと思いまして、1つは、知事も先日お会いになられたとおっしゃった町村さん(町村信孝 内閣官房長官)が、最近になって、改めて東京とか大都市圏に不利な形での法人2税の配分見直しに前向きな意見を公の場で述べられているんですが、これに対する今日時点での知事のご意見というか、お考えを伺いたいなというのが1つと、もう1つが、政府が再来年ぐらいに上場したいといっている東京地下鉄の株を、政府が持っている分も全部放出するので、東京都もそれに歩調を合わせて、持ち分をゼロにしてほしいという意向、特に財務省なんかは持っているみたいなんですが、やはり23区内で一番といってもいいぐらい重要な交通機関を握っているところもあるので、そこはやっぱり地方自治体としての考え方というのもあると思うんですが、メトロが上場した後の東京都及び都営地下鉄としてのかかわり方というのに対する知事のご意見はいかがでしょうか。

【知事】2つの問題、後段のほうからお答えしますと、これ先般も、前の次官、前の前かな、今メトロの社長をしている梅ア君(梅ア壽 東京地下鉄株式会社代表取締役社長)と担当のうちの副知事と3人で、かなり長いこと突っ込んだ話をしました。これは国の言うとおり、必ずしも全部放すつもりはありません。それは、むしろ逆なんですね、向こうの言い分と。これはね、東京はもう1つ営団の地下鉄(正しくは都営地下鉄)をやったわけですよ。本来ならね、こういうものは合併して運営されるべきなのに、貧乏人と結婚したくないというような形でね、今まで問題にされなかったけども、そんなに営団(都営地下鉄)の内容も悪いものじゃないんですね。やっぱりバランスシートをつくり替えして、会計基準を変えてみると、今までと違ってね、ああいうアセットの評価というのは、違ったベクトルで分析されて出てくるわけですし、いずれにしろ、この2つを合併しないと、ユーザーはほとんど、お客さんは都民ですから。過半の人が。そのニーズに応えられないと思います。そして、それを実現するためにも東京都は、メトロの大株主であり続けないと発言権が持てない。だから、私は国の言うように、絶対これを全部放すことはいたしません。これは都民の利益のためです。

 それから、前半の町村さん。この間も、ほかの用件で会ったときに、「石原さん、法人2税、ちょっと問題になりますけど、東京都も少し譲歩してくださいよ」という話がありましたが、「それはちょっと君、できないな」と。大体、税の原理原則にもとることですし、税法そのものを考えれば、政治家はみんなビビってしまって、与党も野党も消費税に触れたがらないけども、しかも何か日本人は変に洗脳されてしまって、国民は消費税というと非常に敏感に、過剰に反応しますがね、こんなに公平な税金はないと思いますよ。しかも、費目を分けて、生活必需品というものを除いて税率を上げ、しかもその配分の比率を地方に有利なものにすればいいんで、新しい税源というものを設けずに、今の要するに枠の中で、とても地方の税源というものを補てんすることはできない。そういうことで、儲かったやつから取っちまえというので東京だけでなしに、恐らく大阪だって、愛知県だって、福岡県だって、場合によっては山梨県なんかも、小さな県だけどファナックで非常に大きな税収を上げていますからね。こういったものをいじられると非常に困る県も出てくると思うんです。

 それから、実は月曜日に私、地方分権(改革推進)委員会に来てくれというので行って話しますが、そこでも同じことを言おうと思っていますけどね。まあそこで話すことを今、話さないほうがいいのかな。いずれにしろ、かつての全国知事会で、そういうことを考えれば、全国知事会そのものがやっぱり積極的に考えるべき主題じゃないですか、ここでやっぱり消費税の問題を話さそうじゃないか、結論を出そうじゃないか、それだけの建言を政府にしようじゃないかと言ったら、賛成したのは宮崎県の知事だけ。あとは何か黙っちゃうんだね。何かビクビクして。まあどういう関係が与党と野党あるか知らんけどね、やっぱり地方分権ということを声高々に言って全国知事会を開くなら、分権の大きなよすがになる税源の確保ということで、全国知事会が知事会の総意として消費税を上げろと。しかも、その配分比率を地方に有利なものにしろということを言ったらいいのに、なぜか知らんけど、知事も元気ないね、こういうことになると。賛成してきたのは、そのまんまじゃない、何だっけ今の、東国原さん(東国原英夫 宮崎県知事)、あの知事だけだったね。

【記者】温暖化ガスの削減についてなんですけれども、昨日の環境省と経産省の合同会議で13業界団体が削減量3割上積みという方向を示していますけれども、都の気候変動対策方針への影響及びその整合性をどうお考えになりますでしょうか。

【知事】結構じゃないですか。どんどん国はやってもらいたいね、そういうことを積極的にね。むしろ国がリードして、地方がついていくというのは当たり前なんだけども、何か知らんけど東京だけが先走っているか、かなりのことをやっているつもりですけども、国も大いに歩調を合わせてもらわんと、ちょっと間に合わないんじゃないですか。

 この間、山本さん(山本良一 東京大学生産技術研究所教授)というのかな、東大の大学院の先生で、この人とテレビで1時間ほど対談しましたがね。決して大げさじゃなしに、あの人の言うことも非常に危機感があって、私、真摯に受けとめたんだけど、自動車でも何でもね、アクセルを踏み過ぎて限界のスピード以上で走っちゃうとね、走り過ぎるととにかくブレーキを踏んだって間に合わない。相当時間がかからない止まらない。止まらないでズルズルで行くと、結局破局につながりかねないということを言っていましたが。学者によっては、この温暖化も地球の過去の数億年の歴史を眺めれば、今度5期になるんですか、第5期の氷河期の前触れだと言う人もいるけどもね、しかしそれはいつごろ来るんですかといったら、地球の氷河期、温暖化のサーキュレーションから言うと、1万年ぐらい先だってね。それまで生きている人間がいるわけないんでね、今の。我々が生きている間に破局になってしまったら、これ、子孫に対して何の顔(かんばせ)が立つかということで、私たちはやっぱり本気で考えないと、下手をすると、まあ君ら若い記者は知らんけども、それでもまあ、あなた方の孫の時代になったら、かなり厄介なことになるんじゃないのかな。

 だからね、「ちりも積もれば山となる」ということで、要するに個々の自治体なり国がそれ相当の努力をしていないと間に合わないんじゃないかというところまで来たと思いますね。

 ですから、日本が他国に先んじてそういう基準を設けて規制をしていくということは、誰のためでもない、自分自身のためですし、私は国がそういう意欲を持って動くことを非常に歓迎します。

 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)