石原知事記者会見

平成19年10月25日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年10月19日(金)
15:00〜15:18

知事冒頭発言

アジア大都市ネットワーク21 第6回総会への出席について

【知事】冒頭1つ私から、11月下旬に出かけますマニラでのアジアの大都市ネットワークの会議について申し上げますが、アジア大都市ネットワーク21の第6回目の総会に出席する訳ですが、会議では、かねて言っていました中小型ジェット旅客機の開発促進事業や危機管理などの共同事業の成果について報告し合うとともに、これはマニラからの提案のようですけども、都市生活における多様な市民間の調和。大都市はいろいろな人たちが集まって住んでいるので、そのいろんな格差とか生活様式の違いなんかがあって、摩擦がマニラではあるようですけど、そういったものをどうやって調和するか。あるいは、今日の一番重要な問題であります地球温暖化問題について、意見の交換をすることになります。

 この地球温暖化問題については、東京から、ツバル出張の成果も踏まえまして、問題の重大さを訴えるとともに、気候変動対策方針など東京都の、かなり進んでいると思いますけども、進みつつあると思いますが、東京都の施策を披露します。

 また、マニラから、温暖化対策としてのバイオディーゼル燃料の取組みについての提案があるそうであります。

 今回の会議で、アジアの大都市が一体となって、この温暖化対策に取り組むことを共同で宣言したいと思いますが、先般のニューヨークでの先進国の大都市の会合、まあ発展途上国もありましたけど、そこでもジョイントコミュニケ、共同声明は何か腰折れで、アメリカなど本当に(京都議定書に)参加していない訳ですからね。あと、ブラジルや中国といった、非常に責任の大きな国も参加するように呼びかけようじゃないかと言ったんですが、だめでしたね、これ。腰折れになっちゃった。そういうものを含めた強い宣言を、アジアからこそ発信したいと思っています。

 オリンピックに立候補して、候補市が最終的に決まった段階で初めての国際会議に出ますので、環境問題の取組みや東京の魅力を積極的にPRをしたいと思いますし、今回の会議は、アジア地域の環境問題解決と社会の発展のために、各大都市の連携によって前進して大きな成果を上げることを期待しております。詳細については、報道官から説明をいたします。

 私から申し上げることは以上ですけど、何かありますか、質問。

質疑応答

【記者】消費税の増税についてなんですが、内閣府は、このまま行けば11から17%の増税が必要だという長期見通しを出して、首相もその論議を進めていくというような考えを示したんですけども、別に進んでいる法人2税の論議とどのようにリンクするというか、東京都としては、その増税論議を受けて、何か新たに示していくものがあるのかどうか、お聞かせ願えますでしょうか。

【知事】この間、地方分権(改革推進)委員会に出ましてね。そこでもね、この税源の確保なくして、地方との格差はなかなか埋まりにくいのでね、法人2税を妙な形でいじったりするよりも、これは非常に、特に法人住民税をいじるなんていうことは、住民税ですからね、税の性格の原理に全くもとるもので、ナンセンスだと思いますよ。

 それから、事業税の分割基準をまた変えるにしたって、先般もね、ITの問題を踏まえて、訳のわからんことだったけれども、文明論におよそそぐわない理由ですが。そういうことでね、これについては向こうが一方的に決めることだから、防ぎようがないんだけれども。

 しかし、やっぱりこれに反対する県は、都だけじゃなしに、愛知県だって静岡県だって、大阪もそうでしょうね、場合によっては山梨県なんかもあるんじゃないですか、ファナックでもっているところがある。そういうところはね、かなり反対すると思うし、もともと税の原理にもとることですから。だから私はね、この間も分権委員会で、「何で消費税を積極的に考えないんですか」と。日本では変にタブーになっていて、国民は洗脳されているからね、変な被害感で反対するけども、要するに、対象に段差をつけたらいいんでね。生活必需品は、前から言っているみたいに、要するに、今ぐらいにしておいて、あの訳のわからんブランド製品は課税したらいいんでね。それで物が、消費が進まないということになるかならないか、やってみなきゃわかりませんが、いずれにしろ、ほかの先進国ではやっていることですからね。私は「やっぱり、地方自治体の首長の立場立場で、地方分権というなら消費税を上げて、その分割基準をそれこそ地方にもうちょっと多目に回すみたいなことをしたらどうだ」と言ったの(※)。

※現行の消費税(国税)と地方消費税の割合は4:1となっている。

 そのあたりからだいぶ財務省の言い分が変わってきて、えらい消費税が熱心に議論されるようになってきましたね。僕はいいことだと思うし、国民にもうちょっと懇切丁寧に説明をすればね、国民は納得すると思いますよ。

 ここで何か文明工学的にね、大都市の機能云々というのを何回も言ってきたから、申し上げるつもりはないけども、金の卵を産む鶏を殺したってしようがないしね。それから、この間、はかってみても、とにかく昼間(流入)人口370万かな、隣県からやってくる、こういう都市ってのはほかに例がないんで、その人たちの行政需要っていうのを全部かなえている訳でしょう。

 それで駅にしたって、橋にしたって、とにかくだんだん古くなってきて、建て直さなくちゃいけない。それを試算したら何兆もある訳ですよ。これを放ったらかしで橋が落ちたらアメリカみたいなことになるしね。それから、とてもロード(負担)に耐え切れなくなって、昼間人口も含めて、都民のためのライフラインが、要するに、支障を来すようになったら、それこそ都市の機能はできませんから、余りばかなことをしないほうがいいと思う、国も。だから、やるべきことをやったらいいんで、政治家がもうちょっと勇気を持って、しっかりしたらいいんだ、国の政治のことを。てめえの選挙のことばかり考えているから、消費税って、みんな口を閉ざしてものを言わないけども。

 だから、比較的自由にものを言える全国知事会でも、この中に間近に選挙がある人が何人いるか知らんけれども、とにかく全国知事会の意思として、消費税を上げて、その分割基準をもうちょっと地方に回せというようなことを言ったらどうだと言うんだけども、言わないね。何をビビっているか知らんけど。今度の関東知事会で、私、それを改めて提案します。せめて関東からでも、正当な国に対する要求をしたらいいんじゃないかと思っていますけど。

【記者】やっと消費税の増税論議がここへ来て出てきたことで、都として何か新たな取組みをしていこうということについては…。

【知事】いや、私は火をつけて回っているだけだから、あとは、何と言うのかな、もっとそれをあおってだね、正しい形の火の手が上がれば、国も助かるし、国民だって結局助かると思いますよ。このごろ、やっぱり医療も含めて、福祉関係のロードは非常にかぶさってきている訳だから、国にも、地方自治体にも。とにかく道路財源と同じように、目的を限ってでもね、消費税を上げるってことも私はできるんじゃないかと。当然考えるべきだと思っていますけど。

【記者】先日、2年前の都議会選挙で、都議会議員さん、候補者の方々が、選挙カーに支払われるガソリン代を公費で出されるものが、かなりあいまいなまま申請をしていて、あるいは不適切な申請があったということで、都議会のほうで問題になったということで…。

【知事】それ、知らない、僕は。どういう形で公費から出したの。

【記者】要は、選挙カーにかかるガソリン代を公費負担がされるというものが、制度としてありまして。

【知事】その制度としてあるんですか。

【記者】ええ。それで、候補者の方が、ガソリン代としてこれだけ使いましたというのを申請しているんですが、その申請が、要はかなり適当な、実際に本当に選挙カーとして走った額を申請しているのかという指摘がちょっと出まして、各会派のほうで、不適正な申請があった分に関しては返還をしたいというような話が出ておるんですが、今、金と政治の問題というのがかなりクローズアップされている中で、都議会でもこういう問題が出てきたということで、知事のほうはどのようなご感想をお持ちなのかと。

【知事】僕はそれを初めて聞いたけど、国会の選挙ではそんなことないでしょう。

【記者】ちょっと私、国会のほうには、残念ながら…。

【知事】私は、それは意外ですね。地方自治体の、東京都だけなのか、ほかもそうかもしれませんけど、つまり、右往左往、有名無名のいろんな人が出る訳だし、泡沫候補も出る訳で、その人たちの、要するに、選挙カーの負担というのを全部するの、公費で。ばかな話だ。取り決めそのものがおかしいと思うね、私はそれは。資力も備えて、つまり、何と言うか、ある資格を備えた人間じゃなきゃ立候補できないんでね、誰でも彼でもすりゃいいってものじゃないしね、やっぱりそれだけの社会的な身分、資格のある人間が、自分の抱負を問うのが選挙だろうから、選挙活動の費用をね、公費が分担するっていうのは、施設その他の運営については当たり前かもしらんけど、私は初めて聞きましたがね。ましてそれを水増しして請求するに至っては、これは論外だと思いますな。

【記者】副知事のブリーフィングの時に、私設秘書がそのブリーフィングに一緒にいる。公務員の守秘義務という点からも問題視されているようなんですけれども、このことについて、知事はどのようにお考えですか。

【知事】それは、やっぱり普通の都議会の(都庁の)幹部から上がってきた副知事と違ってね、民間の人で、しかも、私が懇望して副知事に迎えた猪瀬さん(猪瀬直樹 東京都副知事)ですから、ある意味じゃ、彼だって未知の世界に入った訳で、1人で、要するに、物事を切り盛りはとてもできないでしょうし、彼はやっぱり税調(税制調査会)とか地方分権委員会の、政府の主宰している、東京にとっても大事な委員会のメンバーでもありますし、それだけで私は彼を副知事に懇望した訳じゃありませんけど、何れにしたってそういう立場で、彼に非常に世話になっているし、非常によくやってくれてますよ。そのために国との交渉なんかも、彼しかできないことがあるし、情報とれないことも、彼しかできないこともありますしね。そういったものの、要するに何て言うか、僕に対する報告、彼の秘書にやってもらっている訳だから。これはやっぱり私のためにも働いてもらっているんでね。

 だから、僕はね、それが要するに何か公務員法にひっかかって好ましくないというんなら、違った身分をちゃんと設定してね、私はやっぱり今のように働いてもらいたいし、猪瀬さんに活躍してもらって、私はその力を都政のために活用したいと思ってますけども。
これから万民が納得できる形で、彼のアシスタント、どういうふうな形で迎えるかということを考えています。

【記者】ちょっと毎週の質問で済みません。横田の軍民共用なんですけど、一部でちょっと見送りしたみたいな…。

【知事】それは、朝日(新聞)は非常にオーバーランだね。あれはやっぱりキャプションのつけ方がおかしいね。非常に不正確なあれでね、何も国全体があきらめた訳でも全くありませんしね、これからもどんどん論議を続けていきます。

 ただね、この段になってやっぱり大事なことはね、小泉・ブッシュという非常に親しい両国の首脳がね、しかも単に技術的なことじゃなくて、日本の国力維持のために、使ってないんだったら共同しようと。そして日本の国力も維持させよう、したいということで、わかりましたと、非常に大局的なことで合致して、この問題を要するに進めた訳です、日米が。

 ところが、これがまたね、小泉さん(小泉純一郎 元内閣総理大臣)は辞めちゃった、ブッシュ(ジョージ・ブッシュ 米国大統領)も来年には次の大統領が来るというシチュエーションの中で、下にものが下りてくると、軍人もみんな役人なんだね。自分の縄張りを守ろうと思って、やっている議論をいろいろ聞いてみますとね、つじつまの合わないことばかり言っている。

 例えばね、あそこにある弾薬庫、あそこ、弾薬庫ですか、何がしまわれているか知らぬけど、あそこに飛行機が爆発物を運んできて云々で、だから要するにここにこんなものをつくっちゃいかんとかなんか言うんだけど、そんなの、全然うそ。これは前の前の日本の総司令官の、ゲイツ(ジェームス・B・デービス)と言ったかなあ、彼もスペクトラムと言うコンサルタント会社のメンバーでね。それから、トルコとかフランスの大使をした、何と言ったっけな、あの人、それもそこのスタッフでね、来て、日米の言い分聞きましたがね。もとの日本の総司令官が、あんなところに爆弾降ろしたりするんですか、全くありません。爆弾のようなものは必ず船で運ぶんでね、そんな、要するに飛行機で運ぶようなことは全くない。せいぜい油とか揮発性のある、そういう何というんでしょう、高度の燃料とかということはあり得るけど、こんなものは要するに現場のうそだということをアメリカ側も言うんですよ。

 それから、一番けしからぬのは、当事者たちが、横田は要するに第2次世界大戦のレガシーだと。つまり、第2次大戦によって我々が受けた遺産だと言う。何、勘違いしているのかね。日米安保があるから、あいつら、あそこにいる訳でね。とにかくね、日本は何も恩義を感じているものじゃないし、日米安保というのは両方にとって重要だから、日本は安保体制結んでいるんですけど。そこでね、何かよっぽど、とにかく一方的に日本を守っているみたいな錯覚があってね。あの横田は第2次大戦でおれたちが勝ち得た遺産だという、そういうもののとらえ方でものを言ったらとんでもない話でね。これはやっぱりこれから、この間、福田(康夫)総理にも電話しましたしね、小泉前総理にも電話しましたがね、国としてはっきりこういう基本的な認識というものを欠いた交渉というのは成り立ち得ないんで、相手にもう一回念押しをしてもらいたい。これは官房長官にも強く申し入れました。

 幸い、防衛省も外務省も国交省も、要するに三位一体になって、まさに一枚岩になりましてね。この間来たスペクトラムのスタッフも、日本側ですね、各省は決して意見分裂してなくて一枚岩だという認識を持ちましたと言って帰ったし、これから10月中に、どれほどの間ってあるか知りませんが、当然これ、大事なイシュー(問題)ですから、要するに何カ月でも、できれば今年じゅうに具体案を出すような形で、要するにこの、何て言うのかな、日米の合意というのは何もギブアップした訳じゃない。これから続けて、できるだけ早い機会に具体案を得ます。そういう点では、日本側の各省の意見というのはきちっと一致しています。

 それから、メディアの人にやっぱり頼みたいのはね、日本は占領されているんじゃないんだから。まして、基地の問題についたら、絶対アメリカが譲ったこともないでしょう。しかし、この一番日本の国力につながる、戦時体制の場合にはどんなユーティリティーがあるか知らぬけども、とにかく空いている飛行場をだね、日本に乗り入れたくて待っている国が35カ国、もっとあるかな、このごろ。私の運輸大臣の時はそうだったんだから。それがだな、とにかくもう行列組んで待っている段階で、アメリカもオープンスカイ、オープンスカイと言っている時に、しかも首都にある使ってない空港をあけるのは、当たり前じゃないですか。それを合意しないと、アメリカは友人じゃないと思う、僕は。それをはっきり言ってもらいたい、みんなにね。何もアメリカの言うことを聞いて、向こうにお伺い立てて、向こうに決めてもらうことじゃないんだ。こっちがこういうふうに決めましたと言うだけのこと、言ったらいいんだ、日本の政府は。

 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)