石原知事記者会見

平成19年11月1日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年10月26日(金)
15:00〜15:30

知事冒頭発言

国の格差是正論に対する都の見解について

【知事】冒頭、国の格差是正論に対する都の見解について、2つほど申し上げます。1つは、政府与党の中で、税収の格差是正の名目で、大都市の法人二税を奪い取ろうとする動きに対してですが、地方がその窮状を脱却するためには、真の意味で地方を自立化することが重要でありまして、それに必要な地方税財源の充実を真剣に考えるなら、消費税の税率引き上げという抜本的な有効な方策を正面から考えるべきだと思います。それもせずに、法人二税の再配分という小手先のやり方をすると、地方全体の共倒れを招くだけであり、この国の行く末も危うくする。これは何も税収の多い大都市を持った限られた県からの意見ではなくて、むしろ、皆さんもお聞き及びでしょうけれども、ほかの、東京なりに比べれば財政力の弱い県からでも、言葉は非常に激しいんですがね、「これは毒まんじゅうだ」という反対論もあるぐらいで、今回こうした観点に立って、東京など大都市から財源を奪おうとする動きに対して、お手元に配っていますけど、「法人二税の格差是正策に反論する」という冊子をまとめました。詳細については、この後、関係局から説明させますが、これは皆さんも詳しく精読していただきたい。この中にもありますけれども、財務省の最近の動きですけれども、これはちょっと目に余るものがありまして、法人二税についての事実を歪曲した分析資料までつくって。これは歪曲なんでしょうか、それとも、よく知らずにこれを書いたら、本当にもっと財務省の沽券にかかわると思うんだけども、こういうものを資料としてまとめて、ぬけぬけと東京の財源を奪おうと狂奔していますけども、これは国の根幹にかかわる問題について、国民の目を欺くものでして、ちょっと許しがたい感じがいたしますね。このあたりの詳しいことについても、後で詳細にブリーフィングしますから、担当局から聞いていただきたい。

 2つ目ですけれども、都自身も、地方自治体、地方のセクターでありますから、その一員として、志と意欲を持って努力している自治体と手を携えて、地方の活性化につながる支援を惜しむことなく講じていくつもりであります。お聞き及びでしょうけども、これは猪瀬(直樹)副知事からの提案でしたが、自治体から求めがあれば、職員の派遣や受け入れも行っていきます。具体的には、北海道夕張市に2名の職員を2年間程度派遣することにしました。また、この都庁舎を活用して、地方の観光資源や特産品をPRすることや、高度な技術を持った企業間の交流などを支援していきたいと思っています。やることはやっていくつもりであります。私から申し上げるのは以上ですが、質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】23日の大江戸線の事故なんですが、原因は、変電所のスイッチの入れ忘れと見て、今、調査中ということですが、都営の地下鉄がラッシュ時に止まったことで、多くの都民が影響を受けたことについて、都知事としてどのようにお考えなのか教えていただけますか。

【知事】これは誠に遺憾なことでしてね、あってはならないことです。しかも、スイッチの入れ忘れというんですか、前日(10月20日)の点検の後、スイッチを切りっ放しにしたんで、片一方の、あそこに電気を供給している変電所のもう1つは普通に稼働したんですけれども、ラッシュ時に人がたくさん乗った電車が、細かい時刻表で、あの地域をいわば電車がラッシュで通ると、電力の需要が増えて供給が足りなくなったということだったようです。この間も詳しく聞きましたがね、どうせ客を歩かせるなら、とにかくあちこちから降ろしたらいいじゃないかという声もあったようですが、あれは普通は電気が止まっても、電車の余力で次の駅まで行くんだそうですけど、ちょうど上り坂のところで止まっちゃった。途中でね。地下鉄ってのは、高架じゃなしに、下の、電気が切れて止まったんだから、線路を歩いても感電することはないのかもしらんけど、やっぱりみんな怖いしね。逆の方に行かれても困るんで、結局1つのドアから降りていただいたらしいけど、これもやっぱりちょっと要領が悪いというのかな、もうちょっと考え方があってね。人員を後ろに配置して、戻ってくる人がいたら、前へ進むように促すようなことをすれば、もっと扉をたくさん開けてできたはずですし、そういったものを含めて反省して、今後こういうことのないように指導していきます。

【記者】先ほど中国の卓球団の表敬訪問を受けられていましたが、式の終了後に団長が、来年の北京オリンピックにぜひ知事に来ていただきたい、歓迎するというような発言があったんですが、北京オリンピックの視察はどのようにお考えでしょうか。

【知事】招かれたら行きたい。行きたいと思っています。やっぱり参考になりますから。

【記者】北区にある東十条病院というのは、都の災害拠点病院にもなっているんですが、今月いっぱいで全科休診を決めまして、都の方では、今月中旬に立入検査等もしているんですけれども、地域を支えている大きな病院がこういった休診に追い込まれるような状況について、都知事としてはどのようにお考えでしょうか。

【知事】何で休診になったの?

【記者】病院の医師不足ですとか、経営悪化ですとか、いろいろ理由は言っているようなんですが。

【知事】お医者さんの数が足りないのは、全国共通していることですけれども、そのほかの理由もいくつかあるんでしょうが、残念なことですね、せっかくの施設がこの時代に閉鎖されるというか、休診してしまうのは。これはしかし、都だけで医療行政ってのは賄えるもんじゃありませんし、国全体の指針というのがちょっと偏っちゃったというのかな、お医者さんの不足というのは、東京よりももっと地方に行くと深刻ですし、うーん、医師の資格をどういう形で与えるかということも含めて、根本的に考えないと、あちこちでこういう事態が起こってくるんじゃないかね。病院があるのに、行ってもお医者さんがいない、ドアが閉まっているんじゃ、困っちゃうね、これは本当に。困っちゃうだろうね、で済むことじゃないんですけどね、いない人間を集めてきて、資格のない人間にやらせる訳にもいかないしね。本当に難しい問題です、これは。

【記者】都政から離れるので、もしお答えいただければということで結構なんですが。

【知事】離れちゃだめだ、都政から。都政の話をしているんだから。

【記者】今朝ボクシングの亀田三兄弟が話題になっていまして、今朝長男が会見して、一応の決着を見たということなんですけれども、親子関係とか、あるいはメディアの取り上げ方の問題とか、いろいろ話題になっているようなんですが、都知事の感想で結構なんで、もしありましたら、お答えいただけないでしょうか。

【知事】いや、僕もあの試合、見てましたがね。僕もボクシングが好きで、昔、平沢雪村とか、郡司信夫って、限られたボクシング評論家しかいなかった頃、私、言うと昔の話になるけど、昭和30年代から20年代の最後の頃の時代には、あの頃ボクシングのことを「拳闘」と言ったんです。拳闘を見に行くというのはちょっと違った風俗の人たちで、いわゆるインテリって行かなかったんだ。僕は行き出して、夢中になりましてね。亡くなった三島由紀夫さん(作家)とか、有吉佐和子さん(作家)も、「自分で行くのは何となく世間体が具合悪いので、石原さん連れてって」というので案内したことありますけどね。まあ、あの頃から比べると、今昔の感で、もう全然、もっと激しいスポーツが出てきたので、はやらなくなりましたね。ただ、やっぱりね、僕はその後ね、議員時代にキックボクシングのコミッショナーをして、私の方のリーグだけは八百長を禁じて、あるテレビ局が相手方の、非常にフリーク(異常)に仕立てられたチャンピオンみたいなスターをつくりたいと言うから、私はそれなら辞めますよと。辞める時、理由を記者会見して辞めますからと言ったら、終わっちゃったの。後で選手たちに感謝されましたがね。だけど、ああいうマッハな、必ず倒れるみたいな激しいスポーツと違って、ボクシングというのはパンチドランカーといって、いくらパンチを打たれても強いやつがいるんです。瞬間ノックアウト。その人たちが、必ず後遺症を起こすんだね。だから、危険な、厄介なスポーツだなと思ったけど、幸か不幸か、今はあまりはやらなくなった。だからK−1のような形でノックアウトされる選手というのは、後遺症は残らないんです、むしろ。不思議に。ですから、いわゆる国際ボクシングに比べると後遺症が残らなくてね。ここで薀蓄(うんちく)を語るつもりはないんで、たまたま質問が出まして、僕はあの試合、興味深く見たんですが、あれは誰が見てもボクシングじゃないですね。この頃はやりのほかの格闘技のまねをするものだから、ああいうファウルを連発する。結局1ラウンドに…1ラウンドじゃない、最終ラウンドなんか3回ぐらい減点されたんでしょう。あんな事例というのは、過去のボクシングの試合では僕は見ませんな。レフェリーもしっかりしていました、そういう点ではね。あの試合をたまたま見に行った私の親しい友人に聞いたら、なかなか試合場は不思議な風俗だったみたいだね。観客の過半は、何かそっちのスジモンが多くて、嫌な雰囲気だったと言っていたけれども、そういう人たちに受けるだけでボクシングが繁栄する訳はないと思いますよ、私はやっぱり。この時点で相当のことを考えないと、もっとやっぱりリバウンドで、ボクシングは衰退につながっていくんじゃないかな。

【記者】地方法人二税の問題に関連してなんですが、最近は経済産業省なんかの提言であるらしいんですが、地方への消費税の配分増が実現した時点で、企業活動がグローバル化しているという理由で、もう法人税収は国税に一本化した方がいいんじゃないかという議論まで出ているようなんですが、この水平調整とは別に、法人課税を国に一本化するという考え方についての石原さんのお考えをちょっとお聞かせください。

【知事】法人事業税はね、これはお聞き及びでしょうけど、過去2回、一方的に分割基準を変えられましたね。最近の事例に関しては、言っていることの筋が通らない。IT化時代に本社の業務のロード(負担)が少なくなった、これは論外な話ですが、しかしこれは税の本質からして、国が決めれば一方的にやられちゃうんですがね、法人住民税というのは、名のとおり住民税でしょう。これは地方税の典型的なものじゃないですか。こんなものをね、とにかく国がいじることそのものがですな、私はおかしいと思うし、税の原則にもとるので、まあ、非常にそれをいじって、税収をばらまく、均等化するというのかな、これはやっぱり国の責任の回避の一端でしかないと思いますよ。ですからね、さっき申し上げたように、対象になり難いような県の知事からも良識を踏まえて、おかしいと、これは毒まんじゅうと。後で詳しく説明させますけども、結局国が、要するに何となく手をこまぬいて、横を向いて笑っている形になっちゃう。誰も得しない、国以外。それはね、やっぱり国民というのかな、みんなが冷静に見極めてもらいたいんだけど、税の仕組みについての説明というのは非常に難しいですからね。ただ、これはもうやっぱり非常に悪い手立てだと思います。

【記者】温暖化対策について伺いたいのですけれども、CO2の削減義務化を大規模事業者対象に目指していますが、昨日環境局が経済界及び環境団体を集めて会合して、そこで経済界はほぼ横並びで義務化に反対と。業界はこれまで自主的に努力をしてきた、それを認めてくれというふうに言っていますけれども、地球規模全体で考えれば、温暖化というのは逆行できない流れにあると思うのですが、石原知事としての経済界へのメッセージ、特に経済界が反発しているのですけれども、どのようなメッセージを出されるか、お聞かせいただけますでしょうか。

【知事】今この段で経済界に特定のメッセージを出すつもりはありませんけどね、しかしやっぱりね、あすは我が身のことだから。企業は、企業の営利を追求するために熱心でなければ繁栄しないだろうけど、しかしやっぱりもっと総じて眺めれば、人間社会のための社会の活力を維持するために、文明を進めるために、企業は企業なりに努力している訳でしょう。それがここまで事態が至っているのに、この問題を等閑視して、自主的にやりますから義務化するのはやめてくださいという言い分は、結局最後は自分の身を滅ぼすことになるんじゃないかな。やっぱり歴史観の問題というか問題意識の問題だと思いますよ。これは、この間、東大の何とかという先生(山本良一 東京大学生産技術研究所教授)と対談したんだけど、あの人は一生懸命熱心にこの問題をやっているが、彼の論が絶対とは言わないけど、ヨーロッパの学者なんかも要するに同じことを言っているし、この間たまたま世界工学会のセミナーというか大会(国際工学アカデミー)が東京でありまして、私、出席して、何人かの学者に会いましたが、あれは首都大学東京の西澤先生(西澤潤一 首都大学東京学長)が会長をしていらっしゃる学会でね。何人かの学者さんにも会って話しましたけど、ヨーロッパの認識というのはアメリカなんかと大分違いますね。やっぱり知的水準がですね、平均値として、ヨーロッパの方がやっぱり先輩だけあって高いんだなと思ったけども、結局文明とか文化の成熟の問題だと思うが、やっぱりヨーロッパの学者の認識はね、かなり深刻です。むしろ日本の学者よりも深刻なところがあって、自動車もスピードを出し過ぎると、急ブレーキを踏んでもなかなか効かない。その限界を超えつつあるのでね、あと5年のうちに思い切った調整をしないと、結局ズルズル走っていってクラッシュするだろうという言い方でみんな意見が一致してましたね。そういうことでね、やっぱり企業はその立場立場で営利というものの、要するに責任というのを感じてものを運営するんだろうけど、しかし、大局的には何のための企業か、何のための組織か、何のための努力かと考えれば、私は、企業は努力をする、営利を追求することで物事を惜しんで、人間の存在そのものを危うくする結果になったんだったら、元も子もないと思います。日本の企業人、経営者というのは非常に優れた人が多いですから、そういう点ではね、アメリカみたいにM&A(企業の合併・買収)でマネー、マネー、マネーという哲学と違って、私はだから日本人の良識に期待するし、物事がどこまで来てるかということをもう少し深刻に考えてもらいたいなと思います。

【記者】経済界の論としては、まさに東京というのは、知事もよくおっしゃっていますけども、日本の経済を引っ張っている、ひいては世界の経済も引っ張っている。そういう東京の企業に対して、いわば経済成長を抑えるような、経済成長に水を差すような義務化というのはいかがかという論も展開しているんですけれども、それについてはどのようなお考えでしょうか。

【知事】経済成長を多少抑制してもね、人間全体の寿命を長くした方がいいんじゃないの。それはやっぱりトレードオフ(二律背反)の問題じゃないと思いますよ。どういう哲学を持つかということだよね、企業の責任者は、人間としてね。その人だって、やっぱり孫、子どもがいるだろうし、自分の子孫のことも考えざるを得ないでしょう。これはやっぱりね、そこまでぎりぎりに来たなという感じがします、決して大げさな問題じゃなしに。企業の肩を持つ学者なんかはね、これは第5ですか、今度6になるのかな、地球の変遷というのを眺めてみると、また新しい氷河期が来つつあるのでね、その氷河期の1つの前兆でしかないと言うけど、「次の氷河期はどれぐらい先ですか?」「1万年」と言うの。1万年先の心配をするよりもだね、私はやっぱり100年、200年先のことを考えた方がいいと思いますな。

【記者】職員派遣の件で確認したいんですけれども、夕張市以外の自治体にも、これから求めがあれば、災害派遣は別といたしまして、職員を出すということでよろしいんでしょうか。

【知事】その要望が切実なら、私たちはそれを斟酌(しんしゃく)して協力しますよ。人はたくさんいますから。現に、あなたもご存じかどうか知らないけど、警察の手が足りないと言ってね、1年前までの2年間、200人ぐらいの人(100人)を派遣してですね、警察にも感謝されたし。もっと有効だったのは、入管(入国管理局)の業務が大変だというので20人ぐらい人を送ってね。これはやっぱり現場を見てて、実に無駄な、ばかなことをしてるって報告をしてくれた。今、(内閣)危機管理監になった野田、前々々か知らないけど、警視総監(野田健 元警視総監)にその話をしましたがね、非常にいいレポートだと言うの。参考にしますと言うけど、あまり変わらないね、入管のシステムは。今度、鳩山(邦夫)法務大臣にそのことを報告してね、ちょっとやっぱり法務省として考えたらいいんじゃないかと思う。そんな話もしようと思ってますけども。多分お役に立てるでしょう。これだけじゃなしに、やっぱり東京として随分お金をかけて、数億かかってつくった新しい会計基準なんて、ただで、とにかく地方自治体に差し上げているんだから。東京は東京なりにね、地方自治体の1つとして連帯感を持ってほかのセクターのために役に立ちたいと思います。余力があるうちはね。

【記者】多少意地の悪い見方なんですけど、都も定数削減をしている中で、ほかの地域に人を出すのは、国あたりから、何か人が余っているんじゃないかと思われてしまうんじゃないかと…。

【知事】余ってるね。まだ余ってるよ。だって皆さんそう思わない?余ってると思うよ。余ってるから出してるんだよ。相手によって、もう要らないと言わないと沽券にかかわるからね、勘弁してくれというところもあるんだね、これ不思議に。

【記者】ちょっと古くて新しいお話で恐縮なんですけれども、ディーゼル車規制、完全な施行から4年が過ぎましたが、知事のディーゼル車に対するイメージというものを、現在のイメージを改めてお聞かせいただけますか。

【知事】それはどういうことですか。一般論として?

【記者】ディーゼル車規制が施行されてから、随分車の環境ですとかディーゼルの技術というのも、環境としては随分変わってきたかと思うんですけれども、その4年前に比べて。

【知事】それは変わってきましたね。それからやっぱり、もう1つありがたかったのは、石油業界がね、こちらの意向を体して、特に(新)日本石油なんか先頭切ってサルファーフリー(超低硫黄:硫黄分10ppm以下)の軽油をつくってくれるようになった。これはね、ヨーロッパ並みのものになってきたと思いますよ。私はね、ヨーロッパへ行って驚いたのは、この頃遠くてあまり有効じゃないから行かなくなったけど、ダボス会議へ行った時にね、雪の真ん中でやるものですから、ホテルのアプローチもね、車がとまってると、とにかく1回車を降りて横を歩いていかなくちゃいけない。何か乗り降りの都合で、3台ぐらいマイクロバスみたいなのがとまってましたな。全部ディーゼル車ですけどね、日本みたいに排ガス臭くないんですよ、サルファーフリーのあれ使ってるから。それでね、ああなるほどなと思って。今日ヨーロッパではほとんどディーゼル車じゃないですか。

【記者】そうです。半数以上が…。

【知事】そうですね。それはやっぱりね、むべなるかな、東京でその実験をやってみて結果が出てくればね、私は、要するにユーザーが認識を持ち、行政が認識を持ったら、ガソリン車じゃなくてディーゼル車というのはもっと増やせる時代が来ると思います。しかしその前に、もっと限界来たからあれだね、新しいエコエナジーみたいなのが開発されればね、電気自動車がもっと増やせるかもしれないし。この間、僕がなるほどなと思ったのはね、電気とはなかなか強力なものなんですね。電気自動車って、すぐバッテリーが上がって頼りないイメージがあるけど、そうじゃなくてね。あれ、皆さん、新幹線の「のぞみ」とか「ひかり」もそうだけど、べらぼうなスピードで走るでしょう。あれ、ガソリンで走らせたら大変なんだ。とてもあんなスピードは出ない。電気だから出るんですよ。電気というのは、ある意味で送電というのかな、供給の体制というものをメカニズムで考えれば、非常に強力な推進力になるんでね。新幹線は軽油とか重油たいたりガソリンでは、絶対あんなに速く走らない。これは要するに、そのためにかつての日本も、要するに電化を促進したんで、電化の及んでないところを走ってる昔の国鉄時代のディーゼルカーなんかも、非常に牽引力が少なくてスピードも出なくて、苦労してましたがね。ですから、そういう点…。

【記者】それで、今、東京モーターショーが明日から一般公開ということなんですが、今知事がおっしゃられた電気自動車ですとかハイブリッド車のほかに、今クリーンディーゼルという、そういう技術も非常に注目されていまして、知事が行ったディーゼル規制というものは、大気汚染の改善ですとか、あるいはサルファーフリーの問題とか、かなりの面で実績を上げたことは大いに多とするところなんですけれども、その一方で、皮肉なことに、ディーゼル車が悪者だというイメージが植えつけられてしまったという部分も否めないと思うんですね。ですから、今後、ディーゼルの技術がどんどんガソリン並みになっていくと言われている中で、クリーンディーゼルに対する正当な評価軸というのを東京都からも出されてみてはいかがかなと思います。

【知事】それは非常にいい提言ですね。ガソリン車だって悪者だから、今のような形で行けば。ですから、エコ燃料みたいなのが、いわゆる電気自動車の時代が来たと言われてるんでね。確かに、つまり改良というか、行政がある指導をすれば、ディーゼル車の方がガソリン車よりはるかに有効な乗り物になり得ると思います。なりつつあると思います。ヨーロッパでは実際にそうですから。その指摘は非常に正しいと思うんでね、私はせいぜいこれからディーゼル車のキャンペーンに努めますよ。

【記者】ありがとうございました。

【知事】どうも。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)