石原知事記者会見

平成20年3月13日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年3月7日(金)
14:59〜15:21

知事冒頭発言

【知事】今日は私から申し上げることはございません。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】先日、大阪の橋下(徹)知事が、初めて代表質問にあがりまして、議場では激しいやじにさられたんですけれども、先日、あいさつの際、橋下知事がいらっしゃったときに秘策を授けたということですが…。

【知事】秘策というのも、ちょっと…。

【記者】橋下知事の答弁をどういうふうにごらんになっていましたでしょうか。

【知事】僕は橋下さんの答弁聞いてないもの。僕も最初のときは随分やじられましたがね。彼はだけど、しかし、支持政党はあったんでしょう。反対のほうからやじられた訳?

 そう。まあ、いいじゃない、それは。政治家の試練だよ。楽しいもんだよ、それも。

【記者】新銀行の関係なんですけれども、昨日新銀行側の公表で、事実上破綻している融資先が600件、86億円分あることがわかったということなんですけど。こうした数字やデータがわかったことを受けて、都側では、旧経営陣に損害賠償請求とか、何れはしていく考えはあるんでしょうか。

【知事】これは都側というよりも、銀行側の問題じゃないですか、決めるのは。

【記者】銀行がやっていくべきだということ?

【知事】それは銀行の判断でしょう。取締役会もあることですから。

【記者】あと、銀行側で内部調査をやっていますけれども、そうした内部調査が進んだことで、旧経営陣の運営ぶりの問題と経営不振の因果関係というのは、どこまでわかってきたんでしょうか。

【知事】それは歴然としたものじゃないですか。二三、事例を、私聞いてますけどね。ちょっと常識で考えられないね。しかも何、6カ月潰れない会社にどんどん貸せというんだ。そして、貸した会社の数が多い人間に、200万円ですか、報奨金出したというんでしょう。そんな事例って、ほかにないよね。どういう神経でやったのかさっぱりわからないけど。

【記者】そうしたことは、例えば取締役会の議事録とかを見て、実際にそういう発言があったから確認できたということなんでしょうか。

【知事】さあ、それは知りません。調査の当事者に聞いてください。私まだ詳細なことを聞いてませんから。ただ、いろいろ仄聞ではね、今まで聞いてましたけど、そういうものがだんだんうわさが重なってくるんでね、ちゃんとした徹底した調査をしたらということで、調査が始まったんですけども。

【記者】今の関連で、昨日、津島さん(津島隆一 新銀行東京代表執行役)、同じく都議会3会派の勉強会の中で、いわゆる内部調査の時期ですね、公表の時期については明示しなかったということなんですが、知事は以前の会見等で、内部調査については予特(予算特別委員会)の前で…。

【知事】それはもう当然でしょうね。

【記者】じゃ、11日の予特の前には、もう必ず公表されている。

【知事】少なくともそれじゃなかったら、予特に対して失礼ですしね。私、まだ詳細な文書になったのを見てませんけども、恐らく月曜日には、私も目にすることができると思います。じゃないと、私もすべき答弁もできませんからね。

【記者】当然、議会に示すと合わせて一般に公開するという、そういうお考えでよろしいんでしょうか。

【知事】それはどういう形で発表されるのか、ちょっと私、つまびらかにしてませんけども、何れにしろ最低限予特を傍聴していただければ、わかってくることだと思いますけども。まあ渡された政党の判断で、あなた方にも渡るかもしれないし、それはあなた方の取材にもよるんじゃないでしょうか。

 しかし、これをね、議会が正式な予算委員会が始まる前に、メディアに、つまり当事者側が配付するということはあまり聞きませんな、そういう事例というのは。

【記者】もう1つ、昨日の勉強会でも、400億円の根拠については、銀行側から議会の3会派のほうには明示がなかったということなんですが、知事、今もこれもあの…。

【知事】そんなことはないでしょう。その説明しなかったんですか。

【記者】そういうふうに具体的な、いわゆるこの前の答弁と同じように、BIS(国際決済銀行)の規制に基づいてというようなお話はあったそうなんですが、詳細な、議会側が納得できるような説明がなかったというふうに聞いておりますが、その辺は、知事、この前の会見でもおっしゃいましたが、それも予特の中で明確に…。

【知事】それはそうでしょうね。と思います。当事者がしなくちゃいけないことだと思います。議会を通じてですね、委員会を通じて、都民の皆さんにも正当な理解をしていただくためにも、賛否は別にしてね、事態の認識というものをしていただくためには、当然情報として伝わるべきものだと思いますけれども。

【記者】わかりました。

【記者】関連で銀行なんですが、新銀行は委員会設置会社となっていて、社外取締役を中心にした委員会が経営内容を監督するという方式を採用していたようなんですけれども、社外取締役が全然機能していなかったというふうに…。

【知事】さあ、それもですね、詳細な報告を聞いた上ですべき判断だと思いますけども、ただ、風通しはよくなかったみたいだね。取締役会に詳細な情報というか、的確な情報が伝わっていなかった。そういう点の風通しは非常に悪かったようですね。

【記者】そこはどの段階で、仁司さん(仁司泰正 新銀行東京元代表執行役)が情報をとめていたということですか。

【知事】さあ、それはわかりません。そういうこともあったので、詳細な調査委員会の報告を聞きますけどね。いろいろ風聞、仄聞では、あっちゃならないような話を聞きますがね。これはやっぱり、それも含めてね、私は調査の人たちにはこういう点もあったのかと確かめてますから、恐らくそういう報告もあると思います。

【記者】社外の取締役には都の出身者の方も複数いらっしゃったんですが、少なくともそこから知事側に、正確には情報は入っていないということですか、これまで。

【知事】そうですね。1、2あったような記憶もあるけれども、とにかく「あまりうまくいってません」とか「ATMが使われてないので」云々という話を聞いて、私はだから、使ってないのに、そんなのお金かかるからやめちまえ、と言ったら、金融庁から怒られましたよ。「株主の立場の人間が余計なことを言うな」と言われてね。それもどういう中身のリアクションで来たのか知りませんけども。

 だから、とにかく今までにない、外国ではあるらしいけどね。要するに、実際業務をする執行部と取締役の一種の監視体制というんでしょうか、チェック・アンド・バランスの、その間のコミュニケーションはあまりよくなかったようですな。

【記者】わかりました。

【記者】まず、東京中小企業家同友会がアンケートで…。

【知事】あれは聞きましたがね、あれは3000社ぐらいある中でね、答えたのは160数社ですよ。こういったデータが、そのままそういう組織の全体の、どういうんでしょうね、意思表示になるかどうかというのは、いろんな形でアンケートはありますからね。内閣の支持率を含めてですね。そういったものが、何というのかな、物事を決定的に規制することには、私、なり得ないと思うけども。何れにしろあの数字は、私、承知しております。

【記者】次に、知事は発案者であるご自身の責任について諸々という、あの…。

【知事】何の責任者?

【記者】発案者であるご自身の責任について、諸々というふうにおっしゃっていたんですけども、利用者、銀行の顧客の中には私財を提供してでも責任をとるべきじゃないかという声があったものですから…。

【知事】それは心情的にわかりますけどね、そういったのは法律の体系の中でね、ただ会社なら会社法というのがある訳ですよ。そういったものを通してね、どの部分に、つかさつかさにどういう責任があったかということをあれしないとね、心情的にそういうことを言われてもね、それはやっぱり世の中にそう通る話じゃないと思う、私は。

 私が今一番感じている責任は、言い出した者の責任と、やっぱりこういう事態になってしまったんでね、これを一番損害少なく、被害少なく食いとめて、この銀行を当初の目的に沿ってもっとアクティブに作業できるようなものに再建し、さらに銀行としての力をつけ直していく、そういう努力を私なりにやっぱりしなくちゃいけないと思っていますけども。

【記者】あと1つ、400億の追加出資をして、この新銀行が生き返るその保証というのはありますでしょうか。

【知事】それは、しかし新事業というのを始める前にね、万全の保証というのはないですから。だから、そのためにやっぱりいろいろみんな知恵出して立案する訳ですからね。あとやっぱり努力次第だと思うしね。それに、さらに後追いの知恵というんでしょうか、知識も備えられてですね、いくものだと思うし。それは最初から常に何事も、どんな新しい、新規の企画でも100%保証されるものって世の中あり得ないと思いますよ。誰も苦労しないよ、そんなことは。

【記者】知事、銀行の件で、先ほど調査報告書の中身をまだ見ていないとおっしゃいましたけど、仮にその報告書の中身が旧経営陣の乱脈融資を裏づけるようなものがどんどん出てきた場合に、逆に議会のほうでそういった銀行を延命させるのはおかしいのではないかというふうに…。

【知事】スタッフは替わりましたからね。その途中で聞いてみるとね、常識的に考えて銀行業務等に精通している、そういう経験のある幹部というのはだんだん辞めていっちゃったんですな。それがどうして辞めたかという報告を全然聞かされていませんでしたしね。その人たちが仮に意見を通していれば、こういうことにならなかったかもしれないし、残っている連中が自分たちの経験を踏まえて、ものを立て直そうとしている訳ですから、まずそれに信頼を置く以外ないじゃないですか。

 それから、プラスアルファ、私たちが横でできることがあるんだったら、株主という立場でいろいろと努力していきたいと思っていますけども。

【記者】昨日の勉強会では、津島代表の説明に対して、自民、公明からもちょっと説明不足ではないかというような声も出ておりましたが、再建計画をつくった今の津島代表を含め、現経営陣についての責任についてはどのようにお考えですか。

【知事】再建計画が信憑性がないか、誰がそれを保証、担保されている云々、さっき質問が出ましたけども、彼は彼なりに一生懸命やったと思いますね。どういう点で説明が足りなかったのか、私ちょっと聞いていませんがね。私が聞いた限り、これしかないと思うし。

 ただ、この間もお話ししたけれども、2つのスキームね、これやっぱり店じまいするとかね、破綻してしまったらもっととんでもないことになる訳ですからね、ここで食いとめなきゃいかんなと思っている訳で、そのための再建策をみんなが講じてくれた訳ですけども、議会筋がどの点が足りないかということは、これまた予算委員会で指摘を受ければ、私も資料をそろえて説明しなくちゃいけないと思います。

 何れにしろ、これから予算委員会が始まる訳ですから、まだ随分時間もありますしね、そこで相当な議論が行われると思いますし、最終的に提出される資料もあるでしょうからね、そういったものも踏まえて、具体的な事例を踏まえて議論してもらいたいと思っていますけども。

【記者】新銀行の件なんですけども、東京都の都民の声課に寄せられている意見でも8割が反対ということなんですけども、この件について…。

【知事】いや、都民の方々は、まず詳細な事態を知らされないし、議員の方々でも昨日初めて説明を受けた訳ですからね。これから予算委員会の中でさらに足りなかった部分の資料も添えて議論が行われるんでね。それをもって最終的な判断を都民の方にしていただきたいと思います。

【記者】都民の中には、予特だけでは説明が足りないんじゃないかといような声もありますけども。

【知事】それはやっぱり議会、予特を開いてみなかったらわからないじゃないですか。3日もやる訳だし、合計4回やる訳ですからね。

【記者】予特を見て判断してもらいたいと。

【知事】はい。

【記者】まず確認ですが、来週の月曜日には調査結果が知事の下にも、議員の、都議の下にも行くということで間違いないですか。

【知事】これは間違いないでしょうね。それじゃなかったら、やっぱり議会にも失礼ですしね。予算委員会は体をなさないじゃないですか。最終的な報告が手元に。私だって、答えにも窮しますからね。

【記者】そういった言質といいますか約束はとれているんですか。

【知事】もちろんそうです。それじゃなかったら、やっぱり予算委員会って開けないでしょう。

【記者】ということは、旧経営陣の例えば責任問題なり、こういった経営に至った原因とかもつまびらかにされているという認識でよろしいんですよね、その調査結果で。

【知事】そうでしょうね。それをつまびらかにしてくれなければ、因果関係についてつまびらかにしてくれなければ何のための調査かわからないし、つまり、過去のこういう事態に至った経営の実情、実態というのは詳しく、そこで報告されるべきだと思います。されなければまた議論にならないと思います。

【記者】それともう1点、都議会への理解というのは当然重要だと思うんですが、都議会に対しての追加出資案について、理解を得るというのは当然大事だと思うんですが、都議会の方は都民から選ばれているので、都民にも当然意見を、説明なりをするべきではないかと思うんですが、詳しい説明といいますか…。

【知事】どういうふうにして?それこそあなた方の責任なんじゃないの。

【記者】ただ、私たちも銀行の内情について、例えば新銀行に問い合わせても、なかなか説明というのを求めても、返ってこないという実情がありまして。

【知事】私もよくわからない部分がたくさんありましてね。ですから、とにかくこちらからも注文を出して、詳細な報告をしてくれと言っている訳ですからね、それをベースに、まさに私も都民に選ばれた人間だけど、議員もそうですし、その人間たちが、官僚の揃えたデータというものを基にして、都民のために議論をする訳ですから、それをぜひ正確に、たくさんの方が予算委員会を傍聴する訳にいかないんでね。その内容を正確に皆さんが報道してくださることで、議会を通じて都民の理解というか認識を得られると思っていますけども。

 ちょっとやっぱり調査が遅れたというか、こういう事態になるまで、もっとのんびりしていたというか、僕は、だからやっぱりいろんな勘案して、予算委員会のある第一定例議会まで間に合うようにしなかったら、それは申し訳が立たないんじゃないかというんで督促をしましてね、ぎりぎりということになったようですけれども。

【記者】今の関連なんですけれども、調査結果について、都としては議会を通じて説明されるということなんだろうと思うんですけれども、新銀行の側として、直接都民に説明すべきだと思うんですが、今のところ、新銀行としては記者会見などを開いて調査結果を明らかにするつもりはないと言っているんですが、そのところはどういうふうにお考えになりますか。

【知事】それはやっぱり銀行側の判断でしょう。銀行側のイニシアチブで決まることですからね。しかし、議会の討論の中でつまびらかにされる問題以外の問題が、銀行だけが掌握しているということはあり得ないと思うし、万一、あってはならないと思いますけども。

【記者】ただ、一般の企業として考えたときに、議会を通じてということではなくて、直接説明する責任があるのではないかと思うんですが。

【知事】それはやっぱり企業の当事者の判断でしょう。それこそ私が余計なことを言ったら、また怒られますからね。株主の立場で余計なことを言うなって。

【記者】知事として、銀行に指示をなさるなり、こうしたほうがいいんじゃないかと…。

【知事】その権限は私にありません、株主ですから。正確にそこは判断してもらいたいね。やっぱり会社法というのがありますからね。私は、要するに株主の代表か何か知らんけども、株主の立場でのものしか言えないんでね。それが例えば「ATMを使っていないならやめちまえ」と言っただけで怒られたんだからね。これはやっぱりつかさつかさ、立場立場がある訳ですから、それを踏まえて。心情論ではこれは片の付く問題ではないと思いますから。

【記者】加えて、もう1問だけさせてください。昨日の勉強会で津島代表が、マスタープランについて、これは都の名前で発表したけれども、専門家が大勢混じってつくったもので、都が責任を持ってつくったものではない、そのあたりは誤解をしないでほしいというふうにおっしゃっていたんですが、知事もやはり同じ考えですか。

【知事】それは東京都は別にバンカー(銀行家)の集まりじゃありませんから、銀行の立て直し、金融機関の立て直しについて、官僚が集まったってどうなるものじゃないですよ。やっぱり専門家の意見を聞かなかったらどうにもならないし、それは当然そうじゃないでしょうか。

【記者】つまり、当初のマスタープランもそうだったということですか。

【知事】それはそうです。

【記者】別件で1つ。今日、政府が日銀の総裁で武藤(敏郎)副総裁を一応提示しましたけれども、これについてちょっとご意見を伺いたいんですが。

【知事】僕は日銀の内情を知りませんし、武藤さんの人物についてもよく知りませんが、ただ、あの人は大蔵出身なの?そこら辺のことはやっぱり問題視する、問題はあります。昔から、やっぱり大蔵出身の人間が日銀の総裁をする是非というのは大分ありました。私が議員のときもありました。しかし、これはやっぱり人材次第でね。

 ただ、印象とすると、こういう事態なのに、日銀の総裁の人事が政局の道具に使われているというのは好ましくないね。これは明らかに言えると思います。

【記者】武藤さんへのご意見みたいなのはありますか、是非みたいなものは。

【知事】私、新銀行東京の問題で随分思いがけない勉強をさせられましたが、やっぱり日本の金融の当事者の発想は遅れているね、本当に官僚も含めて。どういうのかな、世界はもっと目まぐるしく、ちゃくく(ずるく)、巧妙に動いていますよ。どうも日本のお金というのは、外国に手玉にとられている感じがしますな。

 しかし、なるほどなということもありますね。随分ね、例えば東京なら東京の可能性についての分析なんか聞かされましたがね、僕ら考えていないことを、やっぱりちょっと外国のファンドは眺めていたり、そういう質問を逆に受けたりしましたけど、そういう点では、私は、もうちょっと日本しっかりしないと、これは日銀の問題であり、財務省の問題であり、金融庁の問題でしょう。それから、政治家全体の問題だろうけども、食い荒らされているというか、食いちぎられているというか、ちょっと無念というか、何でこんなことまで頭が及ばなかったんだろうかなということは、ままありますね。

 そういう時期ですからね、武藤さんが総裁になるなら、その気で頑張ってもらいたいね。総裁には総裁の権限の限界もあるでしょうけどね。また、総裁も余計なことを言ったら怒られるだろうからね、これは本当に。はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)