石原知事記者会見

平成20年4月24日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年4月18日(金)
15:01〜15:20

知事冒頭発言

「マイ・ツリー −わたしの木−」寄附者の募集について

【知事】最初に1つ、私から申し上げることがあります。

 東京の緑化につながる「マイ・ツリー運動」、街路にわたしの木を植える運動の寄付者の募集でありますけども、東京はですね、緑あふれる東京を目指して、「緑の東京10年プロジェクト」に取り組んでおりますが、都民や企業の皆さん一人ひとりが緑に関心を持って、緑化に、緑づくりに参加する「緑のムーブメント」を東京全体に巻き起こすために、昨年ですね、「緑の東京募金」を創設しました。

 都民や企業のご賛同を得て、これまでに1億円を超える募金が集まりましたが、募金をしていただいた皆さんの熱い思いを受け止めて、今後、「海の森」の整備や校庭の芝生化、街路樹の倍増などに有効に活用していきたいと思ってます。

 今回、街路樹を100万本に増加する目標に向けて、平成20年度から「緑の東京募金」の新しいメニューとして、「マイ・ツリー −わたしの木−」ですね、寄付をいただいて植えていく事業を実施しますが、マイ・ツリー、つまりわたしの木となる街路樹ですけどね、ケヤキなどの背の高くなる木が1本で5万円、ツバキなど中程度の高さの木で1本1万円の街路樹を募金していただきまして、その街路樹にですね、募金者のお名前とメッセージを記入したプレートを設置していきたいと思います。

 木が大きくなっていって、はち切れちゃったら鎖切れちゃうので、どういうふうに留めるか。枝の根元で留めるとか、とにかく通行人も自分も、通りすがりにちょっと眺めて、ああ、だれがどんな想いで木を植えたかというのがわかるような、そういう仕組みにしたいと思っていますけども。

 5月1日からその募金を始めますので、緑のあふれる東京の実現目指して、できるだけ多くの都民の皆さんに参加していただきたいと思っております。詳しいことは建設局に聞いていただきたいと思いますが、これがその、ケヤキはね、本当にね、割と早く育つんですよ。

 私、環境庁のときね、悪名高い43号線、今でもその大気汚染が、ちっとも軽減進んでないんだけど、首都圏みたいにやればいいのに、やらないんだよ、関西はね、国が指導しないから、だけど、大分前の話ですけど、どうにもならんというのでね、路上会談しましてね、建設大臣の長谷川、(長谷川四郎 1976年12月〜1977年11月在任)おじいさんのほう、長谷川さん引き出してね、やったけど、とにかく3年計画では遅いから、1年でやっちゃえというので木を植えましたがね。今はとっても青々茂ってね、心理的には、非常にこの何というのかな、それで環境そのものがよくなっている訳じゃない、心理的に助かるという感謝もされてるんですが。

 ケヤキは本当に早く伸びますのでね、そういったものを植えると随分印象が違ってくると思うので、ひとつ皆さんも、個人と言わないから、会社へ帰って「少し金出せ」と言ってよ。

 はい、私から申し上げるのはそれぐらいです。

 何か質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】来週、オリンピックの聖火が長野にやってきて、聖火リレーが行われる訳ですけれども、今日善光寺さんが、そのルートから外してくれということを正式に表明されたりしています。

 こういう一連の抗議活動を含めて、オリンピックの聖火について、ちょっとお受け止めをお願いしたいのと、1カ月ぐらい前の会見だったと思うんですが、北京オリンピックへの開会式への出席は、今後の展開を見て考えるというふうにおっしゃっていましたけれども、多少考えで進展したところはあるのかどうかお聞かせください。

【知事】まだ事態が進展してない。こっちも進展してませんな。

 あの、私はね、支那五族とか昔、言いますがね、チベットの人たちがね、果たして中国が主唱する中国の中に包括されるべき民族かどうかは、これは別につまびらかにしませんしね。かといって、ウイグルの人だってね、ほかの民族だって、それはありがたがるかどうかはわからんけども。多少何というか、そういう大国主義というのには無理があると思いますよ。

 しかも、チベットの問題はね、私は議員のころから関心持って、私はダライ・ラマ(ダライ・ラマ14世。チベット仏教の最高指導者)と非常に親交があったんです、それだけどもね、どこの国に何遠慮しているか知らんけども、ダライ・ラマがやってくるとね、その政治活動をするなということで、都庁に行かせないとかね。かと思うと、今度、民主党の議員がですな、静岡県でやった大会に出たりして、とんちんかんな話なんだけども。

 私が彼と会って、別に何のインパクトにもならないでしょうが、今度日本人になったペマ・ギャルポ君(桐蔭横浜大学大学院教授(チベット出身))は昔から知ってましてね、いろんな情報を聞いてましたが、まあやっぱり、この段になってチベットにみんながああいう形での関心を持つというのは、遅きに失した話でね、やっぱり気の毒ですよ。文化も民族も違う人間がね、とにかく1つの独裁政権の中で束ねられていくというのは。

 しかし、まあね、遅きに失したけれども、相変わらず無視が続くよりはよかったと思いますがね。これはやっぱり国内の問題だから、中国は、政府がどういうふうにこれを何か緩和して、吸収していくのか、予測はつきませんな。

【記者】そういう抗議活動自体が、オリンピックと絡められて、聖火リレーというものを象徴にやられていること自体についてはどうですか。

【知事】こういうきっかけをとらえなかったら、やっぱりチベットの問題というのは世界的な注目を浴びなかったんじゃないですか。

 それは何というのかな、こういう機会を敢えてとらえてああいう運動を展開する善し悪しは別にして、しかし、やっと聖火リレー、おかげでですね、あの混乱のおかげでチベットの窮状がわかってきた訳でしょう。しかも、既存の事実としての鉄道が敷かれて、民族浄化かなんかか知らんけど、とにかくチベット人そのものの血を希薄にするみたいな運動が実際行われている訳だから。

【記者】そういう抗議活動自体は、致し方ない部分もあるというところでしょうか。

【知事】思いますね、それは私。チベットの人の立場になってみれば。

【記者】はい、わかりました。

【知事】この問題、本当にだれも関心持たなかったね。アメリカ人でギア(リチャード・ギア)だけでね、あの俳優の。あの人は仏教徒だそうだけども。それに関心なしに、宗教を超えてもね、1つの独自の文化、長い伝統を持った文化、民族というのは、大きな政治の力で混交して淘汰されていくというのは、やっぱり本当に、私にとってみたら見るに忍びない話だと思いますね。

【記者】先週に引き続きなんですが、参議院の議員宿舎についてお尋ねしたいんですが、昨日、住民の建設に反対するグループの方々が、知事に対して申し入れを行ったと思うんですけども、協議を再開しても、これまでの主張どおり、建設の予定地での建て替えが望ましいという主張を変えないでほしいというような要望だったと思うんですが、それを受けてのご見解をお伺いしたいんですけれども。

【知事】私、その何というのか、申し込みの文書をまだ拝見してませんしね、あったそうですけどね、これからゆっくり見ますが。

 私のスタンスとしたら、あの緑を残したいと思うしですね、多少今住んでいる参議院の人たちが不便をかこっても、今あるところに建て直すのが一番、要するに望ましいと思いますけどね。ですから、それを踏まえてですね、協議をしたいと思ってます。

【記者】そのご主張は最後まで変えないで臨まれる方針というか。

【知事】しかし、これは私1人の問題じゃなくてね、地域の計画がありますしね、その折り合いというものがあるからね、反対する人も、賛成する人もいるでしょうしね。最初の何というのかな、地域の開発計画からも時間がたってるし、いろんな事情も変わってきていると思いますけどね。

 まだあそこにというか、こんもりした森があるというのは、私もびっくりしたぐらい、やっぱり都心じゃ希有なことじゃないですか。

【記者】聖火リレーについて、また改めて確認させてもらいたいんですが、善光寺のほうでは、同じ仏教者としてこういった問題が起きている以上、境内を提供するのには反対が上がったということで今回辞退したということなんですが、そういった判断について、知事はどうお考えですか。

【知事】それは善光寺さんとしては立派な姿勢じゃないですかね。

 つまり、やっぱり仏教徒というね、ある精神的なアイデンティティーを踏まえてですね、チベットに対する同情というか。しかも、やっぱりさ、一種の聖域ですからね。それが紛糾で壊されたり、荒れたりしたら困るでしょう。そんなものは、まあむしろ、何というか、二次的な問題でね。1つの本山である善光寺がですね、同じ仏教徒に対する哀れみというんでしょうかね、共感というんでしょうかね、一種のプロテスト(抵抗)としてですね、これを拒否したというのは、むべなるかなという感じが私はしますけども。

【記者】先日、神奈川県がレストランやパチンコ店などの施設を全面的に禁煙するという条例の基本方針を明らかにしましたけれども、この条例案に対してどのようにお考えなのか教えていただけますか。

【知事】初めて聞きました。

 私もですね、喫煙者じゃないからね、なるほどなと思うけども、たばこを吸う人だって、それなりに理由があって、自分の嗜好で吸っているんでしょうしね。まあ、何というのかな、これは善し悪しの問題じゃないね。まあ、その、横浜?やったのは。

【記者】神奈川県が。

【知事】ああ、神奈川県。それは1つの行政の姿勢でしょう。世論を背景にしているんだろうけども。

【記者】その松沢(成文)知事は、ほかの自治体の賛同が得られれば全国に広がっていくというような発言をしているんですけども、都として同じような条例の制定というのは考えられますでしょうか。

【知事】別に今、考えていません。かといって、私は喫煙を奨励している訳じゃないよ。

【記者】自治体がこのように規制することに対しては、どのように思いますか。

【知事】まあ、ですから、それはね、やっぱり個人個人の趣味がある訳ですしね。

 アメリカという国は、私は、たばこは文化かな、そこら辺、ちょっと難しいと思うよ。お酒というのは文化だと思いますね。1つの文化というもののメディアだと思うけどね、アメリカという国は一種のヒステリーでね、これを全部禁止したことがある。

 まあ、その禁煙運動がね、禁酒運動と必ずしも重なっているとは思わないけども、しかし人に言わせたら、いろんなドラッグが出てきたけど、お酒が一番危険でね、弊害が多いと言う人もいる訳だね。そこら辺のところはね、やっぱり兼ね合いで、人間の趣味の問題ですからね。難しいですな、これは。法律が一律的に規制するというのはね。

【記者】道路特定財源についてちょっと伺いたいんですけれども、改めて政府・与党が来年度からの一般財源化という方針を決めたんですが、それについての知事の賛否のお考えと、その理由を伺いたいんですけども。

【知事】しかしやっぱりつくるべき道路はつくるという形でね、揮発油税なるものをより有効に使うべきだと思うし、使わなくちゃならないと思うし、道路がですね、要するに我々にとって不必要なものだとは決して言えないし、それが整備されることで、地域によってはニーズももっとあるでしょう、ただ、東京を例にとってみると、これだけ機能が集中集積した東京で環状線が整備されていないために大きな混乱がある訳ですからね。

 ですから、まあ、どんな形にしろ、道路のための財源というのは確保されなくちゃいけない。それはやっぱり道路の財源、特定財源という形で縛れば無駄も出てくる訳で、つくらなくていい道路もつくってきたという節がありますからね。

 やっぱり、何回も言ってきたけども、特殊法人の合理化のときも私は言ったんだけども、道路に関してもですね、精密な方程式はできないだろうけども、しかしやっぱり費用対効果とか人口の密度とか、そういったものを係数に掛けて、何と言うんでしょうね、ある程度ラフな結論が出るみたいな、一応の、万民が納得する方程式をつくらないとね。

 小沢一郎(小沢一郎 民主党代表)と金丸(金丸信 元自由民主党副総裁)がやったみたいに、8年間で400兆のめちゃくちゃな金を使う。あのときに結局、ばかな道路をつくった訳だ。夜中、鹿とか熊しか通らないみたいな。

 それは、もしそういうきちんとした方程式があったら、当然ひっかかってですね、あんなものはできなかったでしょうけどね。アメリカさんとの約束で、行け行けどんどんで、8年間で430兆無駄遣いした。その中に、つくらなくていい道路がたくさんある訳だから。その余波というのは今、こういう財源が窘窮(きんきゅう)してきたときに、この問題として絞られてきている訳でしょう。

 だからですね、道路というのは文明のための必要なアクセスですから、文明工学的に言っても。それを合理的に万民が納得する方程式なり何なりをきちんと専門家を集めて、私はつくるべきだと思います。

【記者】一般財源化には賛成か反対かという…。

【知事】まあ、やっぱり過去にこれだけむちゃくちゃな道路をつくり、つくらなくてもいい道路をつくった。それから、要するにプライオリティーが無視されてね、道路行政が進んできたということになれば、私は一般財源化というものを1つの前提にしてですね、しかし、その中でそれを有効に、より有効に道路財源として使う、そのためのきちんとした方程式が設けられればですね、一般財源化されることが、より有効に進んでいくんじゃないでしょうか。

【記者】条件つき賛成ということでよろしいんですか。そういった方程式が仮にこれから検討してでき上がって…。

【知事】いや、賛成、反対といったってね、私の立場で言ってもしようがないんだ、こんなことはね。

【記者】それは態度という…。

【知事】国会が決めることですから。あなた方が頑張ってやりなさいよ、方程式をつくらせるように。

【記者】仮に、これも仮定の話になってしまいますけども、一般財源化が政府の方針どおり決まった場合に、その予算執行上、どのような変化が出てくるか。とりわけその使途ですね、使い道が道路だけではなくて、どのようなことに使われていくのが知事としては望ましいかというのは。

【知事】それは、わかりませんね。道路以外のものに何が足りないか、そのプライオリティーを決めるのはやっぱり国会の問題でしょう。そういうのを世論を背景にしてやるべきでね。ガソリンが安くなったから、それで万民が満足という問題じゃないんだから、これは。車に乗っていない人はたくさんいる訳だから。

【記者】都のほうが、低所得者の塾代を無利子で融資するという政策を打ち出すという報道があったんですけれども、知事は、貧困が拡大していると言われる中で、家庭の所得と教育にかけられるお金と、教育の格差につながっているというこの現状の認識について、どういうふうにお考えか、ちょっと教えていただきたいんですが。

【知事】現状の認識というのは、あなたのおっしゃるとおりじゃないですか、やっぱりね。収入の格差ができてきてですね、それに応じた、親が抱えている子弟の教育にも格差が出てきているでしょう。

 しかも、やっぱり日本の教育そのものが非常にひずみがでてきてですね、何というのかな、上級の学校へ進むための正当な教養、学識というのも、今の学校じゃ得にくくなっているから、塾がはやっているんでね。これを否定したらですね、さらに学力は低下する訳だから。

 だけど、やっぱり大学に入ってからも私もね、片親が死んでしまったから育英資金というのをもらってましたよ。ですからね、それと同じような形で、まあ何というのかな、必須の教育課程ではない、だけども向学心のある子どもたちにとってのですね、時代的には、不可欠とは言わないけども、それに近い存在になってきた塾というものをですね、活用するための費用というのはかかる訳ですからね。私は、財政的に余裕の許す限り、こういうことがあってもしかるべきだと思いますけども。

 ただ、やっぱり教育委員会は微妙だろうね、これ。そんなものはなしに、塾なんかなしだって、今まで随分教育は進んできたんだしさ。それが、戦後こういう混乱の中でこんなことになっちゃったんでね、教育委員会というかですな、その上の文部(科学)省がやっぱりこの問題をどう考えるかという問題でしょう、それは。

 はい、それじゃ

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)