石原知事記者会見

平成20年5月8日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年5月2日(金)
15:01〜15:22

知事冒頭発言

1.食品の原料原産地表示について

【知事】冒頭、私から2つ申し上げることがあります。

 1つは、食品の原料原産地表示についてでありますけれども、それについて一昨日、4月30日に東京都消費生活対策審議会から答申をいただきました。

 今日の食生活に欠かせない調理冷凍食品について、今回の答申では、原料原産地の表示を国に先駆けて義務付けるという都の提案が全面的に支持されました。言うまでもなく、原料原産地表示は消費者の食品選択に際して最も重要な情報の1つであります。審議会では、広く都民からの意見を募集しまして、食品の製造や流通に関係する事業者団体からも意見を聴いてまいりました。今回の取組みによって、調理冷凍食品の関連事業者が原材料の情報をより的確に把握し、正確な表示を行うことで、都民の食への信頼を確保することができると思います。

 都は今後、5月中にも新たな義務付けの具体案を固めまして、その後、必要な手続きを経て、8月頃には告示を行い、同時に施行するつもりであります。ただし、事業者の準備期間もありますので、経過措置を設けるなど、配慮をいたします。

 本来、食品の表示の制度は、国が主体となって検討すべきものでありまして、先般の8都県市首脳の会議においても、共同で国に提案をいたしました。まず最大の消費地であります東京で国に先駆けた取組みを行うことで、日本全体の食への信頼回復につながるものと信じております。

 ちなみに、対象は調理冷凍食品で、上位3位かつ5%以上の原材料及び商品名に冠した原材料。表示は、包装表示が原則であります。

 今後のスケジュールとしては、WTO(世界貿易機関)に通報をしますが、最低2カ月必要ですし、告示、施行は今年の8月頃になると思います。経過措置としては、事業者の準備期間を考慮し、1年を超えない範囲で経過措置を設定いたします。

2.台湾への出張について

【知事】次は、前の台北市長の馬英九(マー・インチュウ)氏が5月20日に台湾総統に就任することになりまして、台湾政府の招待を受けて、5月19日から3日間ほど台湾を訪問するつもりであります。台湾総統就任式へ出席するほか、政府関係者との会談を行うつもりであります。

 私から申し上げることは以上であります。質問がありましたら、どうぞ。

質疑応答

【記者】日本でも騒動になったんですが、聖火リレーが今日から中国でまた始まりましたが、まずその知事の所感を。

【知事】所感は別にないですな。自分の国で走るのにまで警護をつける必要もないだろうけどね。適当にやったらいいじゃないですか。

【記者】森(喜朗)元首相と安倍(晋三)前首相にも招待状が届いていて、福田(康夫)首相も開会式の出席に前向きという話があるんですが、改めて知事はどうされるのか。

【知事】都合がついたら行きますよ。参考にもなるから。なんたって次のオリンピックを目指している都ですからね。参考にもなると思いますから、行けたら行きたいと思っていますけども。

【記者】前向きというとらえ方でよろしいんですか。出席に。

【知事】まあ、よほどのことがない限り、これからどういう事情が起こるかわかりませんし、要するにスケジュールさえ合えば行きたいと思っていますが。大したことないんじゃないでしょうか。あまり仰々しく考えない方がいいよ。

【記者】今の質問に関連してですが、台北の方に行かれるということですが、そうしますと、やはり中国政府の反発というのも当然予想はされると思うんですが、それについては。

【知事】私は両方とも友人のつもりでいますけどね。

【記者】今週の4月30日に、パンダが東京からいなくなりましたけれども、今、中国側とも国が交渉を始めているようなんですが、このことに関して知事はいかが考えていらっしゃるか。

【知事】生きているものは必ず死ぬんだからね。パンダだって死ぬだろうね。別にそれほどみんな大泣きして悲しむことはないじゃない。世界も狭くなったんで、見たけりゃ、いるところへ行って見てきたらいいじゃないですか。

【記者】ネットカフェ難民について伺いたいんですけれども、先日都が相談窓口をつくって、住宅資金、条件を満たした方には40万円貸すとか、かなり手厚い対策を打っているんですけれども、厚労省の調査だと2,000人ぐらい都内にいるということですが、これぐらいの規模の人たちに対して随分手厚いなということを言う人もいるようですが、知事はどうお考えですか。

【知事】これは東京がやっている失業対策(低所得者対策)の一環でありましてね。そこまでやることはないんじゃないかと言う人もいるみたいですけども、その限りのことですから、別にネットカフェにいる人たちに特に手厚くということじゃないと思いますけども。

【記者】パンダは、もう生きているものは死ぬんだからという話だったんですけれども、中国側は今、パンダに関しては、例えば今回死んだパンダは日本で保有している最後のパンダだったんですね。中国は今、パンダ外交といって、パンダをどんどん、どんどんレンタルするという話で、先日、福田首相もパンダをまた上野にということで交渉することを少しにおわせるような発言もあったんですが、当然東京都の動物園ですから、レンタルするとペアで1億円とか、そういう値段設定も、現場から話を聞くとあるんですけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。

【知事】さあね、それはまあやっぱり、それを置かないことで入場の人間が左右されるんなら、費用対効果を換算して考えりゃいいことでね、何もパンダ様々でご神体ではないんだから、いてもいなくてもいいじゃない、そんなものはどうでも。

【記者】もう1つすみません。原産地表示の包装の話ですけれども、原料の今回対象になっているのは、国内で製造された冷凍食品が対象になっているんですが、例えばギョーザの事件を考えると、中国国内で製造されたものなんですが、その網はかかっていないというふうな指摘もあるんですけれども。

【知事】そうですか。そうしたら僕としたら心外ですね。詳しく報告を得ていませんけどね。どういうんですか、それだったら全くざる法でしかないと思いますね。特に日本は食料の原材料というのは外国に多く仰いでいますからね。外国産の製品に対して網をかけなかったら全く意味ないと思いますな。それは私、答申をもう一回精査してあれしますけど、それしなかったら意味ないと思いますよ。大体引き金になったのは、この間の、要するに輸入のギョーザのあれじゃないですか。

 まあ、しかしいろんな問題ありますよね、ほかにもね。冷凍製品に限らず、生のものでどういう形で入ってくるか知らぬけれども。まあね、この間、宇宙関係のある人から写真を見せてもらったけど、上海ガニ、上海のカニよく食べられるな。あそこの近海の宇宙写真を見たら、海が真っ黒ですよ。それは重金属か何か全部流れ込んでいるんでしょう。じゃなきゃ、あんな色しませんからね。その人はね、その写真を見て、「私はとても食べる気しない」と言うけど、これだって、冷凍じゃなしにどんな形でか入ってくる訳でしょう。やっぱりそういった問題って考えなくちゃいけないよね。

【記者】じゃ、知事は答申の中で国内に限っているというお話はご存じなかった?

【知事】知りませんね。私は、だってそもそもの引き金が、外国からの輸入品に関して事件が起こっている訳ですから、それがなかったら全く意味ない法律だと思いますよ。

【記者】ゴールデンウイークのさなかに暫定税率が復活したことは知事にとっては喜ばしいことだと思うんですけれども、改めて受け止めをお伺いします。ガソリン税の暫定税率復活に。

【知事】それで、一方では総理は一般財源化すると言っている訳ですね。まあね、先のことでしょうけどもね。しかし、これだけ、要するに焦点が当たった案件ですからね。総論ではワアワア言ってきたけど、やっぱり地方分権というものの1つの取っかかりとしてね、こういったものは場合によったら一般財源化してですね、しかも、軽油と同じように引取税にして、地方の税源にして、その使い方は道路に使うもよし、何に使うもよしと地方の裁量に任せた方が私はいいいんじゃないか。そういった問題も全国知事会なんかで議論の対象にしていきたいと思っていますけども。

【記者】わかりました。

【記者】もう1つ、明日から世の中は4連休のいわゆるゴールデンウイーク後半なんですけれども、知事、今年のゴールデンウイークは特に何か予定は?

【知事】いや、ありませんね。私も大分ストレスたまったから、海へでも行こうと思っているけれども。

【記者】わかりました。ありがとうございます。

【知事】まだ潜るには早いけどね。ちょっと。

【記者】三宅島の航空路再開について、もう一度お話を伺いたいんですが、4月26日並びにその前のチャーター機の時に知事もお出かけになりまして、幸い自然に、天候にも恵まれていたということが航空路を運ばせてくれたんですが、26日、羽田空港での式典にも取材に行きまして、その日から毎日1便の往復になっていますが、さすがに自然の厳しさ、今まで7日間のうちで4日ようやく飛んで、3日やっぱりだめでしたね。そうすると、5割ちょっと、6割ぐらいの飛ぶ確率なんですが、予想されていたとはいいながら、やっぱり火山ガスとの闘い、これは厳しいものがあると思いますが、まず一歩でも記すことができたということは大いに喜ばしいことだと思うんですが。

【知事】これも、しかし前から予測されたことでしてね。大体ね、日本の関東近海というか、伊豆諸島の風向というのは、「ならい」と私たちヨット乗り、漁師も言うんですけども、北東の風が圧倒的に多いんですね。それが吹くと、あの飛行場にちょうどガスが降りてくるんですよ。ですからね、そういう風の比率から言うと、前に申し上げたと思うけど、霧がかかり、あるいは雨が降ってそれにガスが混じると、化学的に硫酸になっちゃうんですね。やっぱり飛行機が非常に傷みましてね、保険で言うと危険飛行になるんですね。それから、帰ってきても、硫酸にさらされた機材というのを念入りに洗わないと腐食が進みやすいということで、非常に航空会社もリラクタント(前向きでない)だったんですが、とにかく進入してくる高度のどのあたりに今日はガスがある、ないかということが、技術が進んで測定できるようになりましたんでね、とにかく飛ぼうということになったんですけども、ご指摘のように、風の向きというのは人間の力で変えられませんから、それぐらいの比率で欠航というのはやっぱり仕方ないと思いますね。

【記者】自然との共生に勝つためにも、それから島の再建のためにも、島の地元の人たちは頑張るとおっしゃっていますけども、同じ自然災害のことで、もう1つだけ伺わせていただきたいんですが、今、日本国内は地震の活動期に入っていますね。そして、最近では震度4などの地震が各地でやっぱり起きている。宮古島で初めて気象庁が運用をスタートした緊急地震速報も一応発表された。こうした中で、緊急地震速報のことをもっともっと多くの人に知っておいてもらわないといけないと思うんですが、知事、やはり首都圏の代表として、これを大いに皆さんに訴えかけるものがおありかと思うんですが。

【知事】大体どこの家でもだれかテレビをつけっ放しにしてるわね。うちの奥さんなんか、時計見るよりもテレビを見た方が早いからってつけていますがね。テレビでは、要するにNHKと違ったシステムは、放映中でも画面通して警報(速報)が出ますよね、報告が。ただ、もっと早く、どこどこで震度いくつの地震がありましたという報告じゃなしに、これから地震が来そうですという予知能力もあるみたいですからね。

【記者】その内容が緊急地震速報なんですよね。

【知事】それはね、しかし、やっぱりそこまでみんな、お金かけて機材をそろえるだけの心構えというのはまだ乏しいですな、それは。たびたび言っていることだけどね、人間というのはだれも、生まれた限り死ぬんだと。パンダだってそうだしね。わかっているけど、自分が死ぬってことを信じている人間っていないんですよ。これも一つ、哲学の問題だろうけどね。ですから、地震でも、町の識者は、「石原さん、地震来るよ、東京は危ないよ」と言うけど、「あなたのところは木造じゃないか。」「いや、ここは大丈夫だ」と、なぜか自信を持っていますな。

【記者】その運命論とかそういうんじゃなくて、ただ、努力なくして、備えなくしてはやっぱり迎え撃つことができないので、そういう意味で緊急地震速報。ラジオも割り込みで、自動で、間もなく大きな揺れが来る、ですから、皆さん、命を守ってくださいというのを出しますので。

【知事】だから、結局、何というんですかね、そういう設備投資というと大げさになるけども、それにかかるコストを考えれば、命の重さというのはもっともっと大切なんで、やっぱりそこら辺も考えてね。本当にああいった時には、数秒、数十秒の時間差というものが決定的な結果を生みますからね。おっしゃるとおり、私はやっぱり、この地震国だから技術も発達したんで、本来なら義務化するとか、できればそんなもの一つの福祉行政として、ただで寄与することも好ましいんじゃないかと思うけども、そこら辺のところは難しいですな。

【記者】ありがとうございます。

【記者】道路特定財源の先ほどのお話に戻ってしまうんですが、当初、失効していた段階では、知事はガソリンの暫定税率分の失効部分については東京都で独自課税をしてもいいというような、それを検討するというようなことをおっしゃっていたんですけども、これで法律が再可決されて物理的には無理になったという状況を受けて、先ほど地方の財源にした方がいいということなんですが、これはそういった形で、地方への税源移譲を求めていくという考えでよろしいんでしょうか。

【知事】そうです。まさに税源移譲ですよ。地方分権、分権と総論ばかり出ているけどね、こうやってフォーカスされた出来事、一種、政治イシュー(問題)ですからね、これはやっぱり一点突破、全面拡大で、これをそういう形にすることで、税財源の移譲っていうのはこれからもだんだん、だんだん膨らんで、進んでいくんじゃないかな。

 とにかく具体的なことを何かやらない限りだめよね。国は口ばっかり言ってるけどもね。あなたも勉強しただろうけども、小渕内閣(の時)にできた地方分権一括法で、税財源の分野は中長期の問題だって付記があるんだから。長期といったら、半世紀たったってできないことがいっぱいありますよ。

【記者】その独自課税の段階では、東京都単独では導入は難しいとおっしゃっていたんですけども、こういう形で税源移譲という発想になった場合には、やはりほかの都道府県の理解というものが得やすくなるとお考えでしょうか。

【知事】そうでしょうね。私はそう思いますけども。ただ、やっぱり知事さんによっていろいろ立場が違ってね、選挙の近い人とか、その人、消費税になるとしり込みしちゃうし、この問題だって、県は県なりのその事情があって、いろんな役所にいろんな負い目もある。そうすると、言うのは易しいけども、一人抜け、二人抜けして、声が揃わないということになるかも、ならないかも。いずれにしろ、私はやっぱり、これは全国知事会で大きなテーマとして今後取り上げていくべきだと思いますよ。知事はみんな地方分権を望まない人はいないんだから。言うけれども、大体役人出身が多いからね、本家に気兼ねして、実際やることになるとびびっちゃうんだな。

【記者】改めて伺いますが、地方にとっての一般財源という形で、道路だけにこだわらず、ほかの使途についても弾力的に考えていくというお考えなんでしょうか。

【知事】ほかの何について?

【記者】例えば医療だとか、福祉だとかに。

【知事】それはだからね、何というんでしょうね、一般財源にするならそういうことになるでしょうな、それは。あとは、要するに、知事の裁量で、何にプライオリティーを置くか、何を一番重要な政治・行政需要とするかによって、使い方を考えていったらいいと思う。

【記者】それは、各自治体の事情によって、使途を自主的に考えていけばいいということですか。

【知事】そうですね。しかし、この際、一般財源とするならば、私はそういう方法も考えるべき時期に来ているんじゃないかと思います。

【東京都職員】先ほどの調理食品なんですけれども、外国から輸入された食品は既に国名を書くことが決まっているんです。だから、中国から輸入された食品は、既に今でも中国産と。

【知事】今、注意がありましたが、冷凍食品の表示でありますけれども、外国から輸入された冷凍食品は、パッケージで既に何々国産と表示することが国によって義務付けられています。したがって、中国から輸入された調理冷凍食品は、今も中国産と書かれているようであります。ということは、国産は今まで要するに省かれていたけど、国産も。

【東京都職員】国産の材料について、ほとんど表示されるんです。

【知事】ああ、そうか、原材料についてね。ちょっと言葉が足りませんでした。ということであります。

【記者】新銀行の件なんですけれども、今日2店舗閉鎖されて、新宿店のみになりますが、顧客のニーズにこたえるという面では、かなり利便性が悪くなるかと思いますが、このような状況をどのように受け止めていらっしゃいますか。

【知事】仕方がないでしょうね、やっぱり。銀行をつぶすよりも、多少不便がかかってもらっても、皆さんのお役に立てる業務を展開するためには、合理化せざるを得ないんじゃないですか。

 それから、断っておきますけどね、金融庁が入ったことは別に大したことはないんで、これは定例のことでありまして、3年に1回入ることで、新しくできたばかりの銀行ですから、そういうことで監査が入った。新銀行東京だけじゃなくて、例えばゆうちょ(日本郵政株式会社)なんかも一緒に監査を受けていますわな。

【記者】店舗の数については、再建のめどが立てば増やす。

【知事】ですから、それはやっぱり合理化の問題で、これから力がついてきたら、店舗も増やしますよ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)