石原知事記者会見

平成20年5月22日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年5月16日(金)
15:04〜15:35

知事冒頭発言

1.地球温暖化対策の推進について

【知事】冒頭、私から2つ申し上げることがあります。

 1つは、地球温暖化対策の推進についてですけれども、前から述べていますように、この地球の温暖化については、足踏みしてですね、躊躇している暇はほとんどないと思います。多くの専門家はですね、相当のことをしないと、あと5年のうちにですね、チッピングポイント、振り子が戻る限界点ですね、つまり、そのポイント・オブ・ノーリターンが来ちゃうと言っていますが、いずれにしろ、こういう状況の中で、具体的な対策を速やかに実行することが必要だと思います。

 そのために都は、都市レベルでは世界初となる大規模事業所へのCO2排出総量削減の義務化、排出量の取引制度などを盛り込んだ環境確保条例の改正案を、第2回の都議会定例会に提出することといたしました。

 国でも総量削減義務と排出量取引について検討しているようですが、一向に導入に向けての具体的な動きが出ておりません。都の条例提案については、先日、東京商工会議所からもですね、これを評価して協力するという意見書が寄せられました。都は、対策に積極的に取り組む都内の企業と連携して、首都東京から日本の温暖化対策をリードしていきたいと思っております。

 これはですね、まあこの中にはそれまで生きている人も生きてない人もいるでしょうけど、私自身はですね、とてもそれまで長生きできんでしょうが、20年後の自分たちの子孫に対する責任の履行だと思います。そういう考え方を持たないと、この問題に対する的確な、効果的な対処はできないんじゃないかと思います。

 また、日常の生活や業務活動を温暖化阻止の視点から見直すことも必要だと思います。
 不必要なネオンサインや自動販売機の消灯、あるいはデパートなどの営業時間の短縮など、省エネ、節電の実施に向けた協議を関係団体などと行うように環境局に指示をいたしました。

 さらに、北海道・洞爺湖サミットを控えた6月30日には、都内の経済団体や企業とともに、「環境都市づくりシンポジウム」を開催いたします。このシンポジウムでは、東京の先駆的な環境対策を内外にアピールするとともに、志を同じくする事業団体などに共同の行動を呼びかけていきたいと思っています。

 こうした温暖化対策を積み重ねるとともに、EUや北米の有力州が参加している排出量取引制度などを議論するICAP、国際炭素行動パートナーシップですか、それに日本で、そしてアジアでも初めて東京都が参加してですね、東京の取り組みを世界にアピールしていきたいと思っています。

 これらを通じてですね、オリンピックの理念に合致した環境先進都市の創出を目指していきたいと思っております。

2.豊洲新市場予定地における土壌・地下水調査の結果について

【知事】もう1つは、豊洲新市場予定地における土壌・地下水調査の結果ですが、これはとってもショッキングなデータが報告されまして、今年の2月から豊洲新市場予定地で実施してきました4122カ所、これはちなみに10メートル平方のメッシュでやっている訳ですけども、その詳細調査において、既に一部報道されましたように、敷地の一部、これはあくまでも1カ所ですね、1ポイントでありますけれども、環境基準の4万3000倍という高濃度のベンゼンが土壌から検出されました。しかし、敷地全体が、こういう高濃度の物質で汚染されている訳ではありません。

 この調査結果についてはですね、5月19日に開催する専門家会議で一括して公表いたします。専門家会議では、この調査結果をもとに、生鮮食品を扱う市場用地としての対策を検討してもらい、7月に提言を取りまとめる予定であります。

 また、対策についてはですね、全く新しい発想や技術の可能性も広く考えていく必要があると思います。いわゆる土木工学の中でですね、既存の、何と言うんでしょうね、方法論だけではなくて、新しい技術の開発も兼ね合わせたですね、もっと費用のかからない、しかし、効果の高い、そういう技術があるかもしれないということで、そういうものも模索していきたいと思っています。

 都は、食の安全を最優先にですね、都民や市場の関係者の皆さんに安心してもらえるよう、今後万全な対策を講じていくつもりでございます。

 私から申し上げることは以上です。質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】最初に言われた温暖化対策の条例改正についてなんですけれども、まずは削減義務の数値や、あとは排出量取引における例えば数値などは、2定(第2回都議会定例会)の条例には盛り込まれるんでしょうか。

【知事】当然その数値は示さないと、私は条例の効果もないと思うし、作った意味もないと思いますから。従来ですね、20年(2020年)なんですか、2000年を基準にしての25%削減ということを言ってきましたけど、それを実現するためにですね、個々の対象にどういうノルマを背負っていただくかということは、具体的にこれから精査して、発表していきます。

【記者】それは条例の中に盛り込まれる、あるいは条例ができた後に、さらに検討していくことになるんですか。

【知事】いや、やっぱり条例に添えて、あるベーシックな数字というのは提示しなきゃだめだと思いますね。

【記者】すみません、あともう1つなんですけれども、先ほどおっしゃられたネオンサイン、あるいは自動販売機の消灯、デパートの時間短縮については、これは例えば、条例の中ではないと思うんですが、いずれは条例化をするとか、どういう方法論で進めていくのか。

【知事】これもですね、素案を示して、討論を議会でもしていただく。例えば、ネオンサインなんかの問題はね、色の規制だけじゃなくて時間ということになるとですね、表現の自由なんという人も出てくる訳だし、かなり幅の広い本質的な討論が必要だと思いますけども。

 それから、デパートの問題なんかはですね、これは既に業界とも一部すり合わせというんですか、向こうの意見を聞いていましてね、ある基本的な線については業界の内諾というのも得ている節もありましてですね。やっぱり具体的に物を示していかないとね。

 後で質問が出るかもしれないが、7月何日かに、1回、1日だけ電気を消すなんという、そんなものでものは進まないですよ。

【記者】いつ頃から導入するかというのは、まだ、目処は…。

【知事】やっぱり条例というものを打ち出してからじゃないとですね、それは、つまり、片っ方でそういう条例を、法律的な規制を構えてやるんですからね、その中にカテゴリーとして含まれない業種の方たちも、こういう形でそのために協力していただけるということにならないと、説得性が出ないでしょう。まあ条例をきちっと構えて、作ってからのことだと思います、それは。

【記者】CO2の規制条例の関連なんですが、まず東京商工会議所から連携して今後検討していきたいという考えが示されたことへの評価と、あと、別に、現在も経済団体の中には反発している声があるという、これについてどのようにお考えかを教えてもらえますか。

【知事】当然ね、経団連(社団法人 日本経済団体連合会)も含めてね、大きな企業ほど反発するでしょう。やっぱりそれはそれなりの反発の理由もわかりますけどね。結局ね、かつて四日市とか、私も担当して苦労した水俣の問題なんかもですね、トレードオフがきくとみんな思っていた訳ですね。つまり、トレードオフというのは、経済効果とですね、要するに取引ができる、バランスがとれるものだと思っていたけれども、結局とれなかった訳ですよ。

 それで通産省なんかがね、報告を隠したりしてですね、結局どんどん被害が拡大していって、ああいう形になってしまった。あの時点でですね、チッソならチッソの、繊維産業にとって不可欠なアセトアルデヒドを一時生産中止するということで日本の繊維産業というのは足踏みしたかもしれないけども、しかし、そうすればですね、被害はあんな形にならなかった訳でね。

 それはやっぱり行政というのは、実態を知って、現場を知っていながらですね、何というのかな、価値観の違いでか、それを糊塗(こと)した。つまり、取り替えっこのきくという形でね、ああいう悲劇を招来した訳ですからね。

 それは、この問題というのは、20年、30年後になってくると、四日市や水俣のように固定発生源でですね、もたらされた環境被害とも程度の違うですね、人類の存続にかかわる問題になってくる訳ですからね。そういう価値観をだれが持つかということ。

 だから、さっきちょっと申しましたけどね、経団連の方々だってね、家族を愛し、社員を愛しですね、国も愛しているだろう。だけど、つまり、だれに対して今ある責任を履行するかと言ったら、これはやっぱり20年、30年後の日本の国民のためですよ。それをやっぱり考えなくちゃいけないと思います。

【記者】すみません。あともう1つお願いします。今回、東京都からの条例という形になりますが、今後、例えば首都圏ですとか、全体に広げていくようなお考えはありますでしょうか。

【知事】それはもうやっぱりですね、かつてささやかな環境対策だけど、排気ガス規制なんかも首都圏を構成してる4都県でやった訳ですから、それが広がっていかなければですね、東京ひとりが金切り声を上げたってしようがないことだし。それが何も首都圏に限らず全国に敷衍(ふえん)していけばいいと思うし。

 それはやっぱり、敷衍させるのは政府の力でしょう。例えば首都圏で成功した排気ガス規制というのは何でやらないんですか。何で大阪の人、愛知の人ですね、東京に比べて汚い空気を吸わなくちゃいけないんですか。

 私は水俣へ行ったときにね、やっぱり行政という政治で一番規制力のある手段を持っている行政の責任者が、目をつぶるとか、ものを直視しないでね、物事を行わない行政の不作為というのがいかに怖いかというのを見てきましたから。ということですよ。

【記者】豊洲の件で。先ほどベンゼンが高濃度に出たということですけども、同じ土壌からはほかの化学物質もかなり高い濃度で、昨年の調査よりも、ほかのシアンとか出てるようですけども、その点はどうなんでしょうか、実際のところ。

【知事】だから、それも含めてね、とにかくどういう技術的な対策をするかということをね、これからやっぱり考えなくちゃいけないと思うし、今まで考えていた、何というのかな、覆土、客土(良質の土を運び込むこと)、そんなことで事は済まないかもしれないけども、そういった問題を含めてですね、やっぱり専門家の方々に相談して、かつその限られたメンバーを超えて、土木工学的にもっと新しい方法があるんじゃないかということもね、学会を通じて私はリサーチし、相談してですね、そういう可能性があり得るんじゃないかと思ってます。その努力をします。

【記者】さっき、行政は知っていながら糊塗してはいけないというふうにいみじくもおっしゃいましたけれども、この件に関しては情報を全部出されるということですよね。

【知事】ですから、今日も発表しましたし、19日に専門家の口から詳細な報告をさせていただきます。

【記者】食の安心・安全が注目されているんですけれども、どれだけ対策を打っても、なかなかそこから毒物が出たというと、都民からは不安の声が出ることが予想されるんですけど、その辺は対策というか、理解…。

【知事】これはもうやっぱり心情論になってくるとね、説明とか、要するに解説だけで片がつかない問題はいっぱいある訳ですよ。これはね、やっぱりどこら辺の何を踏み切るかという問題でしょうけどね、風評被害が一番困りますな。だから皆さんにもね、冷静に事を報道していただきたい、冷静に。銀行の問題なんかもね、本当に冷静に正確な報道をしたのはあなたの新聞だけだったよ。

【記者】追加策を実施すると、開場の時期というんですか、移転の時期がずれ込む可能性があると思うんですけども。

【知事】これはなかなか厄介ですね。専門家の意見を聞いて、ある結論を出していくことでね、移転の問題、それからその移転した後の、オリンピックが仮に決まったとしてですね、あそこにメディアセンターをつくる云々の問題も基本的に考え直さなきゃいけない、そういう事態になるかもしれません、それは。

【記者】豊洲移転計画そのものを見直すお考えは、現時点であるんでしょうか。

【知事】私はね、前から言ってたんですけどね、そんなこと言わんでくれと言われてるんだけど、2つの環状線ができたらね、パリなんかはね、海に面していない首都ですから、大きな市場がありました。今は何かそれはほかへ移って、郊外へ移って美術館になってるけども。陸路の運送がスムーズになったら、クール宅急便なんかもある訳だし、内陸のほうにできないかということを言ったんですけども、これはやっぱり関係者がですね、移転賛成派も反対派も含めて、やっぱり海からじかに水揚げをしなくちゃいかん、これが絶対条件だということで、私も素人ですから、ああなるほど、そうですかということで引き下がりましたがね。

 まあ場合によったら、時間との戦いの中でいろんなことを考え直さなきゃいけないかもしれません。ただ、私たちはやっぱりいまだ新しい技術を使って、豊洲への移転が時間内に可能だと思ってますし、期待しておりますから、そのための努力を当面いたします。

【記者】中国の地震で、都が5万ドルの見舞金を送ったということなんですが、日に日に被害が明らかになる中で、今後こういった見舞金を含めてどのような支援をお考えでしょうか。

【知事】それはね、外国のやることにはやっぱり限度がありますしね、中国自体の問題ですからね。私たち、できる限りの援助はしますけどね。かといっていつ同じような災害が我が身に降りかかってくるかもしれない訳だし。それからあの国が何に使うかしらんけども、水爆を搭載する大陸間弾道弾をつくったりする。そんな金があるんだったら災害対策をやったらいいんじゃないですか。

【記者】先ほどちょっとお話に出た新銀行についてなんですが、今日、金融庁の立入検査が入りまして、これは定例ということで知事もおっしゃっていたんですが、改めてこの検査についてどのようにお考えか、お聞かせください。

【知事】検査するのは当然のことです。定例のことですからね。その結果、我々の分析以上に正確な分析が出て、それが再建のために1つの手だてになれば結構だと思ってます。ですから、その報告を真摯に受けとめようと思ってます。

【記者】再建計画の見直しが迫られるかもしれませんが…。

【知事】ということはないと思いますね。私たちが分析した以上の陰の部分が出てくる可能性はないと思いますし、それをし尽くした上で、私たちは再建計画を立ててる訳ですから。

【記者】関連しまして、新銀行についてお聞きします。知事は、3月28日の400億円の追加出資が決まった会見で、メモについてコメントされて、どんなメモなのか、だれが書いたのか、出してもらいたいとおっしゃっていますけども、これがそのメモなんですけども、もしかしたら知事もご覧になったかもしれませんが…。

【知事】メモというのはどういうメモ?

【記者】ブリーフィングメモという、都の本部長始め銀行担当の津島さん(津島隆一 新銀行東京代表執行役)、ほかの方と、仁司さん(仁司泰正 新銀行東京元代表執行役)たちが会合を持った、その議事録と見られるものなんですけども。それに関して、それを作成した元行員が我々の取材に応じて、実名で我々の取材を受けまして、その中で、実際にその会議の中に参加してましたけども、やはりマスタープランの実行を迫られたことに対するプレッシャーを感じたというふうに述べているんですけども。

【知事】ですから、マスタープランもね、何人かの専門家に依頼して作ったものですが、それは単にマスタープランという基本路線であって、それをいかに運用し、あるいはリフォームしながら利益を上げるのが経営者というものの才覚でしょう。

 ですから、初めに憲法ありきで、日本の現況によく似てるけどね。訳のわからないいびつな憲法があってね、そのためにうまくできずに世界中に恥かいてるのが日本の現況だよ。それと同じようにね、私はやっぱりマスタープランはマスタープランでしかないんでね、それをいかに運用するか、そして利益を上げるかということが、私は経営者の責任だと思います。能力だと思います。

 それをね、マスタープランというものを盾に自分の責任を回避するというのは、私はやっぱり自分の限界を露呈していると思うし、結果を見れば、彼自身、要するに執行部自身が経営の責任者なんですから、それでがんじがらめで動けなかったというのは、1年も2年もたたないうちに、もうちょっとそういったものに対する反省なりですね、要するに異議なりを取締役会を通じて、それをまた株主たちに照会してくる。そういうことで物事の改修なり改善ってあるんじゃないでしょうか。合理化というのはあるんじゃないでしょうか。

【記者】マスタープランを盾に責任を回避するというお話がありましたけども、マスタープランを作成する中心でもあり、なおかつ最大の出資者である東京都の最高責任者である石原さん…。

【知事】それはちょっと違いますね。私は銀行業務には素人ですからね、提案して思いつきで言ったことでね。その提案そのものの是非というのは、やっぱり都の中でも討論しました。そして、次の段階で有識者を集めてですね、その可能性を論議してもらって、かつまたその上にマスタープランができてきた訳ですからね。それはね、やっぱり私たちは責任、その専門家に委任したこと自身には責任があるかもしれませんけどね、では一体何のための専門性を持って合議が行われたか。あなた方の頭で考えてもわかることじゃないですか。

【記者】もう1つなんですが、我々、番組として全都議の皆さんにアンケートを実施しまして、400億円の追加出資に当たっての付帯決議、これが破られた場合の答えとして、与党の公明党の議員の中でも、22人中13人が、知事は辞任すべきであると。これは、合計しますと過半数の議員が、付帯決議が破られた場合は、知事は辞任すべきであるというふうな立場を表明しているんですけども、これについてはいかがですか。

【知事】それはですね、いずれの時点で結果が出るかということが問題ですけどね。私はやっぱり半年や1年ですぐ出てくるものじゃないと思います。

 ただね、やっぱり再三申し上げてきたみたいに、何も新銀行東京のスタッフ全体の問題じゃなくて、日本の金融界全体、役所も含めてね、日本人は世界の国際的な金融事情について、あなた方も含めて何も知らないね。こんなに無知でよくやってきたと思うぐらい。私は、ですからね、外国のファンドの人たちの意見も聞きました。1年間、自分なりに勉強しました。本当に日本は遅れている。これじゃね、本当に手玉にとられてですね、日本人は損するだけだと思いましたな。

 ですからね、そういうノウハウも含めてね、つまりセカンドステージでね、新しい業務の展開をしていきます。そうでなかったら、この銀行、ただ零細企業に金融をするというぐらいじゃとても立ってはいけませんから、やっぱり足腰を鍛えるための幅の広い業務というものをこれから展開していく。それが充実し、展開し、実っていく、結果が出てくるというのは、少し時間がかかるでしょう。しかしそれはですね、できるだけ私は在任中に実現したいと思っております。

 私が今申し上げられることは、それだけです。

【記者】ただ、実際知事が提唱されてつくられた銀行の実態について、3年間にわたって知事ご自身が把握していなかったとおっしゃっている。これについてはいかがですか。

【知事】いや、把握しようにも、私の代弁者といいますか、代行している人間が、例えば大塚さん(大塚俊郎 元東京都副知事)なんかもそうですけど、最初の執行部に報告を求めても、その来た報告は、その次の責任者が洗ってみたら、改ざんされていた、粉飾されていたという実態があった訳ですから。これはやっぱりその次の段階の取締役会という人たちが責任を果たそうにも、違う情報だったら、批判もできなかったでしょう。それが今になってわかってきたというのが実態です、これは。

 あのね、やっぱり小ちゃくても大きくても、銀行は銀行です。大きな組織というものは段階があって、責任の段階がある訳ですよ。私は自分の責任を全然回避しませんけどね。それは、要するに、あなた方の部署だってそうでしょう。いろんな局がいろんな問題を起こしているけど、最後はそれは会長なり、NHKのいろいろの問題だって、そういう人の責任だけど、やっぱり現場のディレクターなり、その下請なり、そういったものがある訳ですからね、そういう段階ってのは、組織論を通じてやっぱり物を論じてもらわないと、事の正確な解明はできないし、また、いたずらな風評が再建のバリアになるってこともあり得るので、それは冷静に、正確な報道をしていただきたい。

【記者】1つだけすみません。我々は今回の取材で、元執行役の人といろいろお会いしたんですけれども、その中で、その方が言うには、東京都の職員にいろいろな情報を渡していたと。で、都の職員は、みんなそういう事情は知っていた、だけども知事まで届けなかった、そういうふうにおっしゃっているんです。

【知事】それはメディアの取材に対して、それぞれの立場でそれぞれ自分の、何というのかな、保身もあるだろうけど、立場で答えるでしょう。ですから、やっぱり開かれたところで、裁判なら裁判で事が論じられるのが一番正しいと思いますよ。ということです。

【記者】参議院宿舎の話を伺いたいと思います。反対派の住民が猪瀬(直樹)副知事のところに陳情に来たときに、参議院側の内部、参議院の国会議員の人たちの内部の議論を情報公開をするべきだというふうに副知事がおっしゃられまして、それが再協議の前提になるというようなことをおっしゃられたんですよ。知事は、その考えについてどのように受け止められているんでしょうか。

【知事】これは両者の立場がある訳ですからね、私はとにかくその前提として、再協議というものをするということが必要だと思います。その再協議を開始するための条件として、都は、あそこの周辺の住民の意見も取り次ぎますし、それを参議院が、要するに、どう斟酌するかは向こうの都合でしょうけど、私はそれも結構だと思いますよ。

【記者】その内部で、国会議員側が移転に当たってどのような協議をしてきたのか、その議事録を公開することが前提になるということではない?

【知事】その議事録を公開するのも結構でしょうけど、やっぱりその当事者というのは記憶もあるでしょうから、それを、いちいち公開する、しないというのは、向こうの判断の問題だと思うけども。また、周辺の住民がそれに納得しないなら、その方々の納得を取りつけるために、そういうものがあるなら、公開してもらったほうがいいと思いますな。

 ただね、これはやっぱり東京都が要請するというよりも、その住民の要請というものを反映して、参議院側がいかにそれを受け止めるかの問題で、向こうだって、要するに、政治的な立場がある訳だから。そうじゃないですか。

【記者】ちなみに参院側にはまだ情報公開の規定がないようで、今回、住民がなかなか対応できない部分がある。そういう中で、じゃ都側が情報公開を求めていくというのならば、意味があるような気もするんですが、どうでしょうか。

【知事】だって、同じ国民がチャージしている参議院議員なんじゃないですかね。東京の都民も、自分の選挙区の都民も、まして全国から出ている人間だったら全国民が自分の支持者なんだからね。その人間に対してのニーズというものにこたえるというのは、彼らの判断じゃないですか。

【記者】先週の話なんですが、ジャイアントパンダについて、中国側がつがいをレンタルするという意向が中国側から示されましたが、改めて知事の所感を。

【知事】いや、まあ、そんなことを言われると、また針小棒大に言われるから、あまり言いたくはないんだけど、でも、やっぱり(新聞社が)都民の意識調査をしたら、金を払うなら要らないという人が97%いたよ。金を払うというのは上野の動物園が払う。払うというのは都の税金だよな。都の財政ですよ。

 それまでして見たいかね、パンダね。写真で見ただけでも十分わかると思うし、ほかの日本の動物園もたくさん持っているみたいだから、よほど見たきゃそこへ行ったらいいんじゃないかね。まあ、私はどうでもいい、それは。だけど、ハオハオ、友好、友好で、その何か友情の印として、それで金を取るというのはどんなものなのかな、これはやっぱり。

【記者】私も上野動物園に行ったんですが、パンダのぬいぐるみやら、パンダのグッズが山積みになっていまして、やはり上野動物園はパンダあってというふうに私は思ったんですが。

【知事】パンダが来なくなってグッズが余ったら、パンダのいるほかの動物園に分けてやったらいいんだ。と思うね。

【記者】1億円とか言われていますが、つがいだと。

【知事】随分法外な値段だと私は思いますね。

【記者】今、調布市で進められております都市計画道路について我々の番組は調べておりまして。

【知事】どこ?

【記者】調布です。ぜひ石原都知事のご意見をお伺いしたいと思いまして、参加させていただきました。よろしくお願いします。その道路計画についてなんですが、東京都と多摩28市町が共同で計画しておりまして、調布市が施行を進めているものなんですけど、調布3・4・10号線といいまして、昨年の4月に東京外環道路の地下化が決定したのを受けて、幅16メートルの道路を1.2キロ整備することになりました。実はこの計画、46年前に計画があったんですが、それが再び再浮上したものなんですね。知事は、この道路計画について…。

【知事】いやあ、それは具体的過ぎて、私はそこまで精通しておりませんから、関係の局長なりに聞いてください。

【記者】そこで説明させていただいてもよろしいでしょうか。知事のご意見をお伺いしたいと思いますので。

【知事】じゃ、簡単にやってくれ、簡単に。

【記者】はい、ありがとうございます。まず、こちら、住民がほとんど道路計画を望んでいないんですね。その理由というのが、静かな住環境を壊されてしまうということがあります。まず不必要というのがあるんですが、道路計画によって国分寺崖線が破壊されてしまうのではないかということが挙げられます。国分寺崖線といいますのは、約6万年前に多摩川が、えーっ、何でしたっけ、ごめんなさい…。

【知事】お互いがもうちょっと勉強してから話そう、それはね。

【記者】市場のことでお尋ねします。今、一応市場のほうで計画されているのが、対策費用として全体で670億円という数字を出しているんですけれども、今後それが増える可能性というのも含めて…。

【知事】ものすごくあるね。とてもそんなお金じゃ済まないでしょう。

【記者】こうした計画については、都議会に諮るとかそういうものではなくて、計画として都側が示して、そういうふうなお金を算出していくんだと思うんですけれども、今後、金額をどうしていくとかそういうことについては、どのような席で公表していくとか、どのように検討していくかというのは、どのようにお考えですか。

【知事】これはね、例の銀行の問題と同じように、代案を出さなかったら討論にならないんですよ。この問題だけで反対と言ったって、それで済むことじゃないですからね。やっぱり東京都は東京都で努力して、改正案なり代案というものを出して、やっぱりそれを都民の代表の都議会の皆さんと討論しながら検討し、結論を出していくというのが、一番合法的なというか、民主的な方法じゃないでしょうか。だめだからこうしますというものじゃ、とてもないと思います。

 ちなみに、銀行だって私が何もトップダウンでやった訳じゃないので、こうだけれどもどうでしょうかということで、みんなやろうじゃないかということになって、専門家の知恵を借りた訳ですからね。

 これもとても厄介な問題になってきましたね。お金も、とてもそれじゃ済まないと思います。じゃ、どうするかということは、ある代案のようなものを講じながら、改正案なんていうのを講じながら、都議会と話をして結論を出していかなきゃ、これはとてもじゃないけど、都民の民意も得られないと思います。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)