石原知事記者会見

平成20年6月19日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年6月13日(金)
15:02〜15:17

知事冒頭発言

【知事】冒頭、私から申し上げることはございませんので、質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】秋葉原で起きた無差別の殺傷事件についてなんですが、秋葉原の歩行者天国が当面中止されることになりまして、このことに関して知事のお考えをお聞かせください。

【知事】まあ、それは街は街のね、判断でやったんでしょうしね、大きなショックであったことは間違いないでしょうが、ああいう何というのかな、一種の半狂人というのかな、精神に異常を来たした人がね、そう年中ああいう事件を起こす訳じゃないし。かといってですね、商店街の繁栄というもののために、歩行者天国というのはね、車の通行を阻害して、お客さんの便宜を図っている訳ですからね。

 うーん、まあ恐らく秋葉原だって、再開するでしょう、そのうちにね、歩行者天国。それをみんながどういうふうに評価して、どう受け止めるかの問題でしょうけどね。私がその是非を論じる立場じゃないと思いますよ。街の判断で。

【記者】関連してなんですけれども、この事件に関して、警察庁がナイフの規制などを検討していると思うんですが、このような事件を防ぐために、都として改めて何か対策を考えているのか、お聞かせください。

【知事】何も考えてません。それは警察のやることは警察のやることですからね。しかし、まあね、日本は銃砲の管理というのは行き届いているけども、刃物だってね、何も人を殺し、殺傷するためにだけある訳じゃないんでね。アーミーナイフが主に何に使われるか知りませんよ。だけど、よしんばそれを製造するのを禁止し、販売を禁止したって、あの類の事件というのは、ほかの凶器を使って起こるだろうし、所詮、後手後手のあれでしかないと思いますな。

【記者】関連してになるんですけれども、行政として何ができるかということではなくて、こういう人が出てきたという社会的背景とか、やっぱり時代というものなのか、そういうことが最近多い訳なんですけれども、なぜそういうことが、そういう人たちが出てくるのかというようなところ、行政とちょっと離れてしまうんですけれども、知事の考察というか、お考えが、もしありましたらお願いしたいんですが。

【知事】いや、これはね、社会心理学的な問題だと思いますよ。現代の日本の社会がね、いかに豊かで豊穣でね、先端技術の開発した便宜性に満ち満ちていても、逆にそれは人間の本当のコミュニケーションを阻害してですね。あの男だって、道々、自分の殺人プログラムを、あれでしょう、携帯を通じてインターネットに打信したって、返ってくる言葉はなかったんだから。

 やっぱりね、ああいう機械を使ってのバーチャルなコミュニケーションというのは、やっぱり信じることのむなしさというのか、間違いというか、結局ね、ああいうものに依存し過ぎていると、逆に人間というのは本質的に孤独になっていくと思いますね。

 特に、どこかの新聞に出てきたけどね、彼が告白したそうだけども、道々、何時になったとか、いよいよやるぞとか、自分のこれからの意図をだれかに向かって知ってもらおうと思って打信しても、やめろとかね、やるならやってみろとかね、何の返信もなかったというのは、非常に何か象徴的な事態だと思いますけども。

 しかしね、ああいうコミュニケーションの道具というものは、ある意味では文明も促進しているし、必ずしもそれが本当の成熟とは思わないけども、それをにわかにこの事件をもって止める訳にもいかないし、廃止する訳にもいかないし、止まるものでもないでしょう。それ以上にしか言えないね。ただ、やっぱりね、みんな芯はね、何か孤独だなという感じはしますね。

 とにかく街を歩いていてもあれだけ携帯をかけて歩いている人を見るってことは、何かどっかにつながっていたいと思うんだろうね。恐らく地方にいて、何ていうのかなあ、もっと都会と違ってゆとりのあるというか、気分の上でゆとりのある集落に住んでいる人たちが、何の仕事か、外を出歩いていて、あんなに頻繁にかける相手もいないし、かける必要もないんじゃないかしら、気持ちとしてね。そう思います。

【記者】洞爺湖サミットまで1ヶ月を切ったんですが、各国の首脳が日本を訪れる際に、環境をリードする東京として、知事はどなたかとお会いして会談するなど、何かそれに絡んだご予定というのはあるんでしょうか。

【知事】ありません。

【記者】副都心線の開通についてなんですけれども、山手線などの混雑の緩和が期待される一方で、埼玉や、あと将来的には神奈川から、人が東京に足を運びやすくなって、東京にどんどん人が入ってくる、増える可能性もあるかと思うんですが、その点についてはいかがですか。

【知事】逆の可能性もあるんじゃないの。東京の人間は神奈川県に行きやすくなるし、埼玉県に行きやすくなるから、相身互いじゃないかな。

 あのねえ、若い人はどうもね、週末の竹下通りなんか眺めると、ほとんど県外の人だね。だから、そういう現象が起こるかもしれませんな。やっぱりそれから池袋と渋谷という対照的な街が、対照的というかなあ、風俗がちょっと違ったあれが直接結ぶとね、そういった風俗がどういうふうに変わっていくのかなという興味はありますけども。

【記者】あと、知事ご自身は、地下鉄や電車との思い出、もしくは思い入れのようなものはありますか。

【知事】再三申し上げているけどね、この東京23区に限って言って、これだけ都心に地下鉄を含めて列車の駅の数が多い大都会ってのはないんですよ。これは非常に便利になりました。そこも私はオリンピックの第1次予選で東京が評価されたゆえんの1つだと思いますけども。

 ただね、これはどうも国のほうは嫌がっているみたいだけども、2つある地下鉄は一緒にしなくちゃいけないと思う、これは。ユーザーのためにも。でね、サービスは初乗りの運賃だって違っていましたし、サービスも統一しなくちゃいけないと思うんでね。東京の地下鉄ってのは、3階、4階まであるようなところがあって、降りたけどね、どこへ出たら、どこへ着くかよくわからない。だから、慣れた人間じゃなきゃ非常に使いにくいところもあるんですよ。

 ですからね、再三言っているけど、この頃ようやくやり出したみたいだけども、とにかく初めてのところを降りて、どっち行っていいかわからない。駅員だって昔みたいにいませんからね。とにかくホームの中央まで戻って、戻ったら、そこに統一の規格で、これからどこに行ったら、どこに出ますということの掲示板をつくりなさいと言っているんですけど、段々これは普遍してきたようですけども、これは徹底してやります。

【記者】洞爺湖サミットの話が出ましたけれども、東京都の環境確保条例ってのが今度できる訳ですけれども、CO2の削減率が、先ほど福田首相が述べた15%削減、14%ですか、それに対して、確保条例の場合は25%ぐらいの削減率をうたっている訳ですけれども、やはりそういうところから見ると、国の削減率はまだまだ甘いというふうな批判をお持ちでしょうか。

【知事】福田総理はね、もっと大胆なことを言ったんじゃないですか。何十年か先に半分だ、50%、60%減らすって。それは大きなたんかが見えて結構だけどね。じゃ、具体的にその他何をするかといったら、どういう法律をつくるとか、そこまで言わないとね、みんな納得しませんよ。

 だから、東京はね、いろいろ賛否両論あるでしょう、だけども、やっぱり一応条例をつくって規制をして、場合によったら罰則も構えてやらなければ、私たちはやっぱり中期未来の子孫に対する責任を果たせないと思います。

 ついでに言いますと、経団連はね、この問題について非常にリラクタント(前向きでない)で、及び腰だったんだけどね、このごろ御手洗さん(御手洗冨士夫 日本経済団体連合会会長)なんか、「世界の趨勢なら仕方ない」と言い出したけど、世界の趨勢見て決めるんじゃしようがない話だけどね。

 ただ、鳥インフルエンザH5のワクチンは、アメリカやスイスはもう既に備えて、EUもどんどん進んでいる。日本はですね、かなり遅れている。それについてね、経団連はね、この問題なら、金が足りないんなら、経済界が拠出してもいいですよと言い出した。これはまあ非常にある意味でね、悪いことじゃないけどね、環境問題と比べると近眼というか近視眼的というかな、つまり近未来の厄介なパニックに近い問題についてはね、積極的に対処しようという姿勢はあるけど、これは20年、30年先の問題になるとね、そこまで今頃しなくてもという形になるんだな。とっても僕はね、経団連のこの姿勢というのはね、人間一般の心理というものを反映してて、まあある意味で興味ありますがね。両方ともやらなくちゃいけないんです、これは。

【記者】先ほど地下鉄のお話をされましたけれども、五輪招致に絡めての話だと、一緒にする時期というのは、2016年までに一緒にしたいという知事のお考えなのでしょうか。

【知事】いや、これはわかりませんね。両方の会社の、いろいろ見解も違いますしね。それから、あのね、都営の地下鉄、そんなに何というのかな、財政状況が悪い訳じゃないけど、向こうはもっと儲かっているからね。金持ちが貧乏人と結婚するのは嫌だという姿勢でしょうけどね。うーん、そういう認識のギャップがありますがね。

 私はやっぱりできるだけ早く合体したほうが、お客さんのためには親切だと思うし、すべきだと思ってます。これから民営化ということで株を売り出す、その売り出し方もあるでしょうし、いろんな問題が絡んできますがね。そう簡単にはできないと思うけど、しかしどれだけ時間かけても、非常に有力な交通手段ですからね、すべての規格を1つにすることが私は大切と思っています。

【記者】一昨日、参議院のほうで、福田康夫首相に対する問責決議案が可決されたんですけども、これから東京都としては、オリンピックの招致を控えて、やはり世界の顔という意味では、これから国の協力というのが必要になってくると思いますし、当然首相の協力というのも必要になってくると思うんですけれども、こういった今の国政の状況っていうものをどのように見て評価されているのかということと、あと、来年の10月までに国政に対して期待することというのは、どんなことがあるんでしょうか。

【知事】まあその、今の国会の状況はね、国全体の利益にとって好ましいと思っている人は1人もいない訳だから。これはやっぱり何ていうのかな、是々非々、本当の意味の是々非々やってもらいたいけども、常にやっぱり政局というものを意識すればですね、結局政治家の言動というのは非常に姑息なものにならざるを得ないし、そういう点ではね、残念ですな。

 やっぱり国政そのものにもうちょっと活力があって、国がダイナミックに動いていかないと、日本そのもののプレステージも下がりますしね。オリンピックにも影響してくると思うから。

 近々またね、国会が終わったら、総理に会っていろいろ注文つけますけども。

【記者】今の国政、都政もそうなんですけど、都政は民主党入っていますけども、政治のですね、五輪招致の推進力というのは大体与党の方が中心になっているんですが、野党の国会議員とかあるいは都議に対して働きかけというのは、これから強めていくということになるんでしょうか。

【知事】何について、何を働きかける?

【記者】五輪招致です。

【知事】あっ、それはこの間、もう既に超党派で推進連盟(2016オリンピック日本招致推進議員連盟)ができましたから、渡部恒三さん(衆議院議員)が代表で来たけども、羽田君(羽田孜 元内閣総理大臣)はちょっとかがんで、黙ってましたがね。超党派でそういう連盟ができたのは大変結構だと思いますよ。

 だから、政府の財務保証も含めて、これは紙切れの問題だけどね、その獲得と、それからその他この他、政府がやっぱり口を切らなきゃ実現しない問題もありますから、やっぱりね、政府の協力、これからも強く要求していきます。

【記者】知事はサマータイム制の導入についてはどのようにお考えですか。また、効果があるとお考えでしょうか。

【知事】これ、この間言ったんじゃなかったかな。

【記者】あっ、すみません。失礼しました。じゃ、今度、この間言ったことを確認します。ありがとうございました。

【知事】言ったよね。はい、終わり。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)