石原知事記者会見

平成20年7月3日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年6月27日(金)
15:00〜15:14

知事冒頭発言

【知事】私から申し上げることは、今日はございません。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】環境確保条例について、1点、教えてください。

 先般、CO2削減を義務化するということで成立したんですけれども、一方では、国とか、それから、ほかの多くの自治体ではなかなか東京都のような動きまでいっていないんですけれども、知事としてどのようなことを今後期待されますか。

【知事】だから、やっぱりね、東京と同じような文明史観、それに則った環境に関する危機感を持ってもらわんとね。とにかく、識者が言ってるみたいに、5年無為に過ぎたら、チッピングポイント、つまり、ポイント・オブ・ノーリターン(引き返し限界点)を過ぎちゃう訳ですから、5年先に条例ができたんじゃ遅い訳でね、具体的に政策を講じていかないと。これを食い止めなかったら、我々が生きてる間は持つかもしらんけども、子孫の代々で、人類の生存にかかわる、それを左右する問題が起こってくる訳ですから。ヨーロッパのような先進国も、同じ見識を持って、同じ危機感を持って対処している訳ですし、日本だけが遅れていい訳がないし、日本も先進国の1つであるし、進んだ技術を持ってる国ですからね。総理がああやってたんかを切るのは結構だけどね、50%、60%削減するために何をするかということを決めていかなかったら、とても間に合わないんじゃないかと思います。

【記者】ほかの自治体に対してはどうでしょうか。埼玉県が連携するというようなことを打ち出していますけれども。

【知事】埼玉県、連携してくれる?

【記者】埼玉県は義務化まではいかないんですけれども、目標値をつくって、都と連携したいというようなことを言われているようですけれども。

【知事】今まで、大気汚染なんかも広域行政で一緒にやってきましたからね、できれば、排気ガス規制をやった神奈川県も千葉県も一緒に首都圏としてやれば、随分大きな引き金になると思うんで、埼玉県の動きを歓迎しますね。やっぱりある程度規則をつくって進まないと、なかなか実効性というのはあらわれてこないと思います、私は。

【記者】昨日なんですが、太陽熱を利用した温熱器やソーラーシステムなどをグリーン電力証書に替えていこうというような検討会を東京都のほうが設置したようなんですが、まず、それについて知事のお考えを。

【知事】詳しくはまだ聞いていませんがね、いずれにしろ、太陽熱の利用というのも今までやってきたし、それに関する技術は日本が一番進んでいるものの1つでしょうけども、実際にそれを実用する総量というのは、持ってる技術の割に増えてないんでね、そういうものを促進することは必要だと思いますし、条例に加えてですね、やっぱり代替エネルギーというのかな、そういったものを活用する、そういう姿勢が普遍化していけばコストも安くなる訳ですからね。とにかく、お日様の光はただなんだから、そういう点ではそういう協議会で具体的にですね、そういう方法をいかに普遍化していくかということも、結局インセンティブをつける援助もしろというようなことになるのかもしれないけども、これまたそれに対する支出と上がってくる効果というものを換算するとなかなか難しいけどね、タイムスパンが長いから。でもやっぱり、大きな主題の1つだね、既に技術を持っている訳ですから、日本は。

【記者】2年後の環境条例の実施になったときに、排出量取引としても、一般家庭で使った分を買い取り、排出量取引として使えるのじゃないかということも考えているみたいなんですけれども。

【知事】それはあり得ると思いますね。やっぱりそれはね、具体策としてね、検討に値するものだと思います。

【記者】先般、知事が特定失踪者問題調査会のほうで、北朝鮮の拉致被害者に向けて訴えられたラジオの収録なんですが、その後、そのラジオを放送したところ、北朝鮮側からその知事の放送に合わせて妨害電波が発せられたということなんですが、これについて知事はどのようにお考えでしょうか。

【知事】今までもそうですよ。ですからね、総務省は珍しくね、あの団体に2つの波を許してくれましてね、こっちが妨害されたらこっちに切り替えるという形でやってきたようですけども、そういうことをもう少しみんな周知したほうがいいんじゃないかな。アメリカがああいう形でね、結局逃げちゃった。それがアメリカのどういう利益につながるか私はよくはわからないけども、依然としてね、拉致の問題は残ってる訳ですしね。それからやっぱり、この問題についてね、北朝鮮が非常に頑なな姿勢というか、後ろめたさを感じてるからこそね、私に限らずね、あの局から出す短波放送にですね、向こうにいる不当に拉致された日本人がそれを聞かないように妨害を講じるということは、まあ彼らのやったことを自分で証明してることになるんじゃないでしょうか。

【記者】今知事も少しお話にありましたが、昨日ブッシュ(米国)大統領がテロ支援国家指定を解除しましたけども、それについてはいかがでしょうか。

【知事】私は非常に不満ですね。つまり、日本の外交がいかに弱いかね、いかに言いなりになってるか。これでまた核の問題がうやむやになったということがわかった時点でアメリカがどう反省するか、そのときにそれに盲従した日本の政府がそれに対してどういう責任の表示をするかといったら、まあそれ眺めてざまあ見ろということじゃ済まないことだからね、これは。またとにかく、我々の同胞が拉致されて、とらわれてる、その奪還がそれだけ遅れるということですからね。それに対する、やっぱり国の政府の責任というのはあると思いますよ。

【記者】実際に、拉致被害者の家族の方とも、知事、何度かお会いになってると思いますが、その家族の方に対してはどのようにお感じになられてますか。

【知事】ですから、私、あのときの放送にもね、こうなるだろうという予測がありましたから、私も情報を取ってて。アメリカの国務省もね、今の政権がレームダック(政治的な影響力を失った政治家)になってきてるんでね、非常に情報の流通が悪くて、国務省のスタンスというか傾向がブッシュに通じてないんじゃないかという見方もあったが、結局まあそれはやっぱり1つの政府ですからね、大統領を無視して国務省が先走る訳にいかない。ライス(コンドリーザ・ライス 米国国務長官)とブッシュの関係がどんなものか知りませんけども、ある信頼関係があるんでしょう。でも結局ね、結果こういうことになった。アメリカに、「拉致問題については忘れませんよ、忘れませんよ」と猫なで声で言ってもらってもだね、そんなものだれも満足しないしね、被害者の家族の方だけじゃなしに、日本人全体が非常に、今度は本当に不本意な思いをしてるでしょうね。またしても、つまりこういうことになったかと。日米関係に、決してこれはいい影響を与えないと思う。それから、アメリカの、国としてのプレステージも下がるんじゃないですか。つまり、国力が衰退してきたからね、もう八方手を尽くして、どうにも尽くし切れないということで、1つだけ手を抜こうということでね。当面、北朝鮮もラジカル(急進的)にものが動いた訳じゃないし、まあその限りでですね、アメリカは1つ厄介なイシューを潰してかかったんだろうけども。さて、これから先はあれですな、アメリカの北朝鮮に対する認識と中東地域における事態の認識というのは、どちらが比重がどういうふうに軽いか重いかということはつまびらかにしませんが、まあ自ずとわかることだけども、これからイランのような問題をアメリカはどのような形で対処するのか。イスラエルがその代わりを務めるのか、これ、わからないけども、とにかくこの問題からアメリカは手を引いて抜いたと。つまり日本は無視されたということでしょうな、これは本当に。「私たちはその問題について忘れません」はだれでも言えるんだから、そんなことは。じゃ、忘れないでどうするかといったら、忘れない限り、やっぱりこんな時点であの程度の条件緩和でテロ国家の指定を解除するというのは、それは日本人にとってみれば非常に不本意でしょう。極端なことを言うと、ばさっと思い切って向こうがすべて拉致している日本人を戻してくればまた話は別だろうけども、国のメンツからいってそんなことはとてもできやしないだろうさ。現に私が言っていることに妨害の電波を出している訳だから。

【記者】新宿の歌舞伎町のことでちょっとお尋ねしたいんですが、歌舞伎町は今、コマ劇場だとかああいうのが12月に関鎖されてしまう訳ですね。中央部分が大分寂れてくるというふうなことになる訳ですけれども、竹花(豊)副知事の時代に歌舞伎町は風俗営業を相当取り締まった訳ですね。それで現在、その影響で歌舞伎町が少し寂しくなってきているという繁華街の状況が生まれているんですけれども、知事は、繁華街のあり方としては、こういう風俗営業との一線はどこまで引くべきなのかとかですね、それから今後、歌舞伎町を再生するためには、例えばカジノ特区を持ってくるとか、何かそういうふうな案がありましたら教えていただきたい。

【知事】ないね。新宿のことは新宿の人が考えればいいんでね、あなたも新宿独特の新聞をやっていらっしゃるんなら、そっちのほうから知恵を出してきてもらいたいよ、それは。それで、まあやっぱり繁華街というのは繁華に栄えることにこしたことはないですけどね、その要因の1つというのが、風俗営業というものが一線、二線を越えてですね、治安そのものにも影響してくるようなことになれば、これはやっぱり取り締まるのは当然じゃないでしょうか。私は竹花君がやったことは正しいと思うしですね、歌舞伎町が随分様相が変わったというのは、結構なことだと思います。ですから、今までの形を存続するんじゃなしに、違う形での繁栄を考えるのは、その土地土地の、そこに住んでいる、そこで仕事している人たちの問題じゃないでしょうかね。いいアイデアが出てきたら、こちらでもいくらでもお手伝いしますけども。

 それから、カジノの問題はね、これはまあ国で今、考えているみたいですがね、相変わらず進展が遅くてね。これは国そのものが法律を構えて変えなかったらどうにもなりません。それはやっぱり随分やったら効果があると思うし、自信あるけども、言い続けてきたけどもですね、さっぱりものが進まないね。この頃はインターネット使ったカジノが随分はやっててね、この間聞いたら、ある人がバカラやってえらい儲けて、払い込みが遅いんで国際弁護士使ってフォローしたら、何と、胴元はパプアニューギニアだったんですよ。そういう時代なんだから、日本の政府もちょっと頭を切り替えてものを考えたらいいと思う。何もマカオのような繁栄を日本に持ってこいとは言わない。だけど、しかし、1つの新しい風俗としてね、それからそれが付帯して、何て言うんでしょうね、いろんな才能も育てる。つまり、それに付随したアミューズメント(娯楽)というものは多岐にわたる訳だから、まあやっぱり総理大臣がマカオに行って見聞してくるんだね。そうすると、こんなことなら日本でできるぞと思うかもしらん、思わないかもしらない。

【記者】学校の耐震化についてなんですが、先の議会で、公立・私立を問わず、独自の支援といった趣旨の答弁をされていましたけれども、それは私立に対しても何らかの補助金の積み増しなりなんなり、そういう財政的な措置も視野には入っているんでしょうか。

【知事】そこまで踏み込んで考えてませんが、やっぱり私立は私立で、私営の1つの教育機関であると同時に、ある営利も考えて運営されている訳ですからね。その経営者たちが経営者の責任として、耐震化の問題をどう自覚するかということがまず大事だし、とにかく最低限、自分の施設というものはどれだけの強度性を持っているかということを専門家に調べてもらう。そこでこの問題に対する自覚ができてくるんじゃないでしょうか。そのくらいの援助はしますけどね。督促もしますけども。

 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)