石原知事記者会見

平成20年9月4日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年8月29日(金)
14:58〜15:25

知事冒頭発言

1 名誉都民について

【知事】最初にですね、3つほど、私から申し上げることがあります。1つは、名誉都民でありますけれども、今年の名誉都民の候補者として、五十音順に申し上げますが、川淵三郎さんと松本源之助さんの2人を選ばせていただきました。

 川淵さんは、よくご存じでしょうけど、日本のプロサッカーリーグ、Jリーグの創設に尽力されて、日本のサッカーの強化に多大な貢献をされましたね。また、サッカーを地域のスポーツとして根付かせて、国民の間に広く普及をさせました。そういう意味ではですね、プロ野球のフランチャイズを超えてね、殊に新潟のチームなんかはね、あれまだJ2のときでも、あそこでホームでの試合を中継するとね、ローカル放送でね、視聴率が8割を超えたというぐらい、これは大変なことですね。そういう点でね、テレビという現代的なメディアを通じて非常に見事な運営をされて、サッカーの日本におけるブームをつくった最大の功労者だと思います。

 それから、松本さんは、永年にわたり伝統芸能であります江戸里神楽(えどさとかぐら)の継承に尽力されてきたとともに、現代音楽や演劇などの良さを取り入れた海外公演も積極的に行われてきまして、伝統芸能の普及・発展に多大な貢献をされました。

 それぞれの分野におけるお2人のすばらしい功績は、都民が敬愛し、誇りとすべきものだと思います。次の都議会で同意がいただければ、10月1日に顕彰式を行う予定であります。

2 北京オリンピック活躍選手への表彰について

【知事】次いでですね、今回、北京のオリンピック活躍選手への表彰でありますけども、北京で活躍して、都民に深い感動と活力を与えてくれた選手たちに祝意を表したいと思います。

 水泳の北島康介選手を始めとする金メダルを獲得した選手には、アテネオリンピックと同様に東京都栄誉賞を贈り、栄誉をたたえたいと思います。

 また、銀、銅も含めてメダリストたちには、プレッシャーの中で見事に戦って、見事にメダルを獲得された。日々の努力が結実したものと思います。ただ、いろんなスポーツによってはですね、ホームディシジョン(ホームに有利な判定)というか、判定にですね、私たち見ていて首をかしげざるを得ないようなものがありましたが、それでもなおね、やっぱり見事な成績を残したと思いますので。今後もですね、東京都在住のすべてのメダリストたちの功績をたたえて、その感動を都民と共有するために、また、それによってね、東京でのスポーツをですね、東京都からすばらしいスポーツのアスリートたちを派生させていきたいので、新たに都民スポーツ大賞を創設する予定であります。

 今後もパラリンピック大会のメダリストも含めてですね、世界的な、オリンピックに限らずですね、世界何々大会というそういった世界的な大会で優勝なりですね、優秀な成績をおさめたアスリートを表彰していきたいと思っています。今回の表彰式は、パラリンピック終了後、準備が整い次第行う予定であります。

3 平成20年度 9月補正予算案について

【知事】次いで、平成20年度の9月の補正予算についてでありますけども、このたび平成20年度9月補正予算案を取りまとめました。今回の補正予算は、現今、「都民が抱える不安に、施策を厳選して、緊急かつ積極的に応えること」を主眼に置いて編成しました。

 主な補正事項を申し上げますと、まず、ひとたび発生すれば甚大な被害が予想される新型鳥インフルエンザ対策として、危機意識があんまり伴ってないような国にかわって、東京としては、抗インフルエンザ薬の備蓄を積極的に行うとともに、こういった厄介な疫病が発生したときのいろいろ行政上の規制も行わざるを得ませんが、それに対してですね、仕方がないとか、すべきであるとか。かつてスペイン風邪のときにね、フィラデルフィアとセントルイスですか、2つの都市がですね、全く対照的にこういったものをですね、何というんでしょうか、市民にですな、町へ出ないでもらいたい、家を出ないでもらいたい、そういう規制をしたんですけど、どっちでしたかね、多分セントルイスが成功したんだな、あれ。で、非常に被害が違った。こういうときの地方自治体の対処というのは、非常に結果の違いをもたらしてくるので、そういったせざるを得ない施策をとったときの都民のですね、反応というものはとても大事ですけど、その前にですね、やっぱり事の重大さを理解していただく、そういう意識啓発や医療体制整備においても、国に先んじてですね、充実した準備をしていきたいと思っています。

 それから、次に、いつ起きてもおかしくない地震への備えとして、耐震性の低い公立学校の耐震化を3年以内に完了するために、補助制度の拡充や人材面での支援など、区市町村の取組みを全面的にバックアップする体制を構築しました。四川省のね、あの大惨事を見てもですね、あれはまた極端な事例だと思うけども、あの国では、あの地域でですね、ほかの公共の建物は残ってもですね、鉄筋でできてるはずの学校がですな、瞬時にして崩壊して、子どもたちがいまだに生き埋めになっている、こういう状況ですから、やっぱりいつ何時に発生するかわからない地震に備えて、まだまだ学校の耐震性は足りないところがありますので。これはですね、まず公立学校を対象にしてですね、私立の学校にもですね、及んでないことがあるので、これはまずとにかく耐震性を自ら調べる。その補助はしますけども、強化の問題は、これはまた別の予算でありますが、いずれにしろ、まず公立の学校については積極的な対策を講じていきたいと思っています。

 それから、喫緊の課題であります地球温暖化対策では、太陽ネルギーの導入拡大の起爆剤としてですね、これはいわゆるソーラーシステムのことですけども、都独自の補助制度の構築によって、都民・事業者の準備を加速させ、利用拡大に向けたムーブメントを展開していきたいと思っています。なお、これについては、本日、この後、200を超える団体・企業を集めたキックオフ大会を開催いたします。

 また、原油・原材料のですね、異常な高騰によって苦しい経営を強いられている中小企業に対し、制度融資の拡大や設備リースの信用保証料補助によって、資金調達面、設備面での支援を拡充していきたいと思っております。

 このほか、就職氷河期世代の非正規雇用者に対する雇用対策、新銀行東京の減資に伴うですね、減債基金の義務的な積み立てを行います。たぶん質問に出るでしょうから、先に申しますけども、なぜ新銀行の減資に伴う減債基金の、今、積み立てを行わなきゃならないかというと、これは今回の積み立ては、もともと順次積み立てるべきものでありますけども、時期を前倒しすることでありましてですね、これは決して新たな負担ではありません。積み立てるべきものは、余裕があったら早くしたほうが財政的にもベターだと思いますので、そういう決心をしました。

 東京都が年度半ばのこの時期に補正予算を編成することは、国の景気対策関連を除けばですね、過去に例のないことでありますけども、国の具体的な対応が定まらない中、都はですね、現場を持つ強みを活かして、自らの判断と責任において、都民が抱える不安の解消に緊急かつ積極的な対応をすることといたしました。

 詳細についてはですね、後ほど関係局から説明いたしますが、このですね、発生が予期されている(新型)鳥インフルエンザに対する対策、前から申してきたのは、既にですね、自分の国の人口の全部と、あるいはですね、やってくる観光客の分までですね、原液を準備したスイスやアメリカの、このH型鳥ウイルスがね、疫病として発生したときの推定死亡率というのは、アメリカもスイスも20%強なんですよ(※)。ヨーロッパもそうなんだ。日本はなぜか2%弱なんだ。この食い違いというのは何か、さっぱりわからない。厚生(厚生労働)省に聞いても返事が来ない。こういった中でね、まあね、うがった人に言わせりゃ、日本の役人の通弊で、余計な準備してね、空振りして、病気がはやらなかったら、また責任を問われるといううがった見方をする人もいる。それはですね、国民はやっぱり諒(りょう)とすると思うしですね、お金を費やしてもね、病気がはやらないのに越したことはないんで。これはですね、しかし非常に確率の高い1つの危機ですから。それから、あれですね、地震もそうですな。

※2007年に米国保健省が行ったパンデミック(汎流行)机上訓練では、「国民の30%が感染し、その20%が死亡する」とされた。

 それからね、今日の中小企業の圧迫も、これは今までこういうですね、要するに過剰流動している主にドルですよ。ドルをどんどんどんどん刷っているから、アメリカは、紙くずみたいに。それがですね、一応の権威をいまだに持っているから、相対的にね。世界で、要するに過剰にフローしてね、行き先がなくなって、今度は石油とか穀物を投機の対象にしてね、ものを上げている。私はね、率直に言って、洞爺湖サミットが始まる前にですね、昔の仲間だから、森(喜朗)元総理と今の福田(康夫)総理と3人で長いこと話しました。そのときにも注文したの。日本はね、アメリカに引きずられずにね、アメリカ型の資本主義とは違うと。やっぱり金も含めてね、市場原理、市場原理って、これは小泉内閣のときに竹中君(竹中平蔵 元総務大臣)が喧伝して、それに引きずられていったんだけど、私はいささかね、アメリカの資本主義というのは、もう通用しない時代に来たと思いますよ。そういう話をね、「福田さんも小泉さん(小泉純一郎 元内閣総理大臣)の批判者だったんだから、言ったらどうですか」と言ったけど、「やる」と言ったけど全然話をしなかったね。そんな意見は出なかった。日本1人で言うのは怖いかもしらんが、ヨーロッパは味方につくんだよ、ついているし、ヨーロッパだって非常にこれに不安を感じているし、不満を持っているんだから。やっぱりある規制を施す新しい資本主義の構築というのを、せっかくサミットで各国のリーダーが集まるのでね、やってもらいたいと言ったけれども、「やる」と言ったけど、一行も出てこなかったね。そういう状況の中でね、とにかく油も上がり、穀物も上がり、日本人の伝統的なたんぱくの補充源であった、あれでしょう、漁業までがですね、漁民がエンジンを回すために、船を動かすために、燃料が高くなったというんで漁に行けないという事態というのは今までなかったでしょう、こんなことね。こういうときにね、中小企業もね、漁民も含めて非常にひっ迫してきて、いろんな問題で、特に東京はですね、文明の推進力である進んだ技術を持っている中小企業がたくさんある訳ですからね、こういった人たちをサポートしていくためにも、それを含めた補正予算を組んだ訳であります。私から申し上げることは以上です。質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】先ほど少しお話があった新銀行の件なんですけども、追加出資が決まったというか実施されてから、ちょっと時間がたちましたけれども、現状、知事のほうにはどのようなご報告がされているのでしょうか。状況はうまくいっているんでしょうか。

【知事】うまくいっていると思います。きょうも午前中に1時間ほど、大塚議長(大塚俊郎 新銀行東京取締役会議長)を含めてですね、担当の佐藤局長(佐藤広 東京都産業労働局長)、それから銀行の今代表をしている津島さん(津島隆一 新銀行東京代表執行役)を含めて話をし、報告も聞きました。まだ詳細を発表する段階じゃないんでね、いろいろ考えている相手のこともありますから、その限りのことしか申しませんけれども、やがて、次の定例議会ですね、9月にはある形の報告をしてですね、年内にもさらに進んだ段階の展開の報告をしたいと思っています。

【記者】今、相手とおっしゃったのは提携相手ですか。

【知事】まあいろいろあるんです、それはまた。それ以上のことを言うと、またこんがらがってくるから。はい。

【記者】関連なんですけれども、新銀行ですけれども、再建に向けた努力は淡々と進んでいるということなんですけれども、旧経営陣の責任追及の状況というのはどのようになっていますか。

【知事】これは今ですね、高名な、非常に力のある弁護士と相談してですね、進めていますが、いろんな事例が出てくるようですな。まあそれはね、発表の段階、それが訴訟につながる、つながらないかの判断の段階で発表しますが。うーん、まあいろいろありますね。背任とか詐欺に近いような事例があるようですな。

【記者】発表というのはいつ頃に。

【知事】まあこれは弁護士と相談して、訴訟の準備云々と絡めてということになるでしょう。訴訟するかしないかも、事後の判断だと思いますけども、いろんな事例が出ていることは確かであります。

【記者】北京五輪が閉幕しまして、知事は日本代表選手団が出発する壮行会で、「まあ死ぬ気で頑張ってもらいたい」というふうにハッパをかけまして…。

【知事】さらに前に出た「気合いだ」と言ったんだ、だれかのまねして。

【記者】終わってみて、アテネよりはメダルが少なかった訳ですけど、知事はどういうふうにご覧になりましたでしょうか。

【知事】まあね、日本発のスポーツ、例えば柔道なんかの国際化というのは結構ですがね、国際化するにつれてね、つまりどういうんでしょうね、IOC(国際オリンピック委員会)ならIOCというオリンピックの組織の中で力を持っている、主にこれ、白人だよ。ヨーロッパだよ。そういったものがね、柔道の伝統を無視したルールをどんどんつくる。それで柔道が柔道の体を成さない、シャモのけんかみたいでね。やっぱり最初にね、ちゃんと組ませて、そこから始まるんだ。それをさせないでね、最初から胴着も握らずにね、なんかその、なんというの、つかみ合いのけんかをやって終わっちゃうみたいな、あんなものはスポーツじゃないよ。それからね、荻村さん(荻村伊智朗 元日本オリンピック委員会理事)が理事のときにね、やっぱり東洋人がピンポンが強いもんだから、ピンポンじゃない、テーブルテニスというのか、卓球が強いもんだからね、卓球の台を25センチだか高くしようと言った。そういう案も出たけど、これは荻村さん、潰したそうだ。F1だってそうでしょう。ホンダのエンジンが優秀になってきたら、これを掣肘(せいちゅう)するみたいなルールをつくる。ウインタースポーツのジャンプだって、日本の選手があれすりゃね、日本の選手に不利なルールをどんどんつくる。まあね、そういう点で私は、スポーツの世界とはいえね、オリンピックなり国際競技の運営というのは必ずしもフェアじゃないと思いますね。せっかく柔道を、柔道といって取り入れるんだったら、日本古来のスポーツが普遍化していくのは結構だけども、やっぱりそういう伝統というものを忖度(そんたく)しながら試合の運行というものを考えないと。それはある意味で非常に非文化的な、IOCは文化、文化というけど非文化的な、つまりスポーツの例だと思う。だったら、馬鹿でかい男が得だったら、バスケットボールのかごをもう50センチ上げたらいいんだよ。あれは飛びつく人間はできなくなってくるだろうから。本当にそういう点ではね、隠微な政治というものは、やっぱり絡みでありますな。

【記者】そのルールのことで言えば、メダルをとれなかった野球も、直前にちょっとルール変更があったりということもありましたけど。

【知事】あれはルールの変更というよりも、やっぱりおごっているんじゃないの、プロ野球の選手というのは。団長の福田さん(福田富昭 北京オリンピック日本代表選手団団長)が帰ってきて言っていたけど、まさにそのとおりだと思うね。どんな高給取りだか知らんけどね、自分たちだけ高級ホテルに泊まってだな、選手村へ入らない。選手村へ入れば、自分と同じ年、自分よりもっと若い、あるいは年配の連中たちが日本代表としてね、要するに強烈な連帯感を持ってそれぞれ頑張ろう、頑張ろうと言い合っている選手村にプロ野球の選手だけ行かないなんていうのはおかしいよ。僕はやっぱりね、福田団長の指摘したとおりだと思うね。それから、やっぱりね、陸連とJOC(財団法人日本オリンピック委員会)はしっかりしてもらいたいね。メーンスポーツの、どういう所属になっているか知りませんよ、しかし、みんなが期待しているマラソンの花形選手の情報というものがJOCに伝わっていないというのは、これは陸連とJOCの間のどういうあつれきがあるか知りませんけど、少なくともオリンピックというのを目指した上での運営の上では、非常に不備な、未熟な点があると思います。国民は非常にそれに不満を持っていますよね。けがはしようがない、けがは。だから、それは早く言ってもらいたい。

【記者】市場の移転の件でお伺いしたいんですが、先日、技術会議を設置されました。非公開ということは聞いていたんですが、第1回目の会合もやったということも知らされず、その後の、非公開の場合は、終わった後に記者へのブリーフィングということがあることが多いんですが、それもないということで、その前の専門家会議がかなりオープンでやられていて、都側の都民にわかってもらいたいという姿勢が出ていたのと比べると、かなり後退したようなイメージがあるんですが、その点についてはどのようにお考えですか。

【知事】さあ、僕はそれはそう思いませんね。それでね、私も逐一内容を聞いている訳じゃありませんが、つまり、私に報告をして裁断を仰ぐような、私も都民の代表ですから、選ばれてね。その人間に裁断を仰ぐような、そういう内容のものはまだ出てないんじゃないんでしょうか。それから、やっぱりその整理もついていないんじゃないんでしょうか。少なくとも原島先生(原島文雄 東京電機大学教授)に座長になってもらって、この間も、半分の方が欠席されちゃったんだけれども、残念ながら、そういう専門委員が新しいコンセプトで画期的な技術というものの、あるいは発想のしようで、もっと今の、従来の発想では多額の金がかかるだろうあの土壌の、何というんでしょう、修復というものもできるはずだと思うし、そのアイデアというものを出してもらう会議をやっている訳ですから、それが出揃ったのは、この間、いつだったかな、委員が揃わない前に僕があいさつしたのは。

【東京都職員】8月15日です。

【知事】その段階でですね、新しいメンバーを入れた会議の顔合わせがあった訳ですが、それから、つまり討論が続いているはずで、やっぱりそれが出なければ、皆さんに、こういう形で行きたいと思いますという確たる報告ができないと思います。決してその会合が秘密に閉ざされることはありません。また、閉ざし切れるものでもありません。

【記者】会議のきちっとした内容がまとまらなくても、会議でどんな内容が出たんだというようなことは、都民の関心も高いだけに、ぜひこれからは…。

【知事】関心が高いだけにね、未熟な段階で言うとまた風評が立つし、あなた方は片言隻語(へんげんせきご)をとらえて物を拡大して報告をしないでもないから、どこの社とは言わないけどね、やっぱりその余計な風評ってのは迷惑なんですよ。ですからね、きちっとした案ができたときに、きちっと報告はいたします。いささかご不満でしょうけども、それを待ってください。

【記者】アフガンで国際ボランティアの活動家が一人亡くなりました。このことについて、石原慎太郎さんの感想をお聞きしたいと思います。

【知事】それは石原個人の問題じゃなくてね、やっぱり世界の大きな動きの中で、非常に収奪され、なおざりにされ、資源だけ奪われてきたような、アフガンとかパキスタンというのはそんな資源のある国じゃないけども、しかし、かつてアフガンはロシアの突然な侵入で、ロシアの世界戦略のために戦場にさらされた。それに西欧が反発して、あのときはオリンピックまでがボイコットされた。そういう舞台にさらされてきた人たちの不満、不安ってのは、今でもうっ積してあると思いますよ。イスラム教ってのは非常に独特の性格を持っている宗教ですし、それに対するいろんな批判も、いろんな評価もあるでしょう。ただ、こちらは善意でやっても、過去の自分たちの負うてきた歴史の流れの中でとらえると、迷惑であるとか、また新しい侵攻があるんじゃないか、侵犯があるんじゃないかと、そういう、何というのかな、疑念を持つ人たちがいるだろうし、また、それを喧伝する勢力もあるでしょう。しかし、ほっときゃいいというものじゃないだろう。それにやむにやまれぬ、NGOの人たちが、一般の国民の惨状を見かねて、せめて医療のお手伝いでもしようということだけど、これまた、これを是としない価値観を持った人というのはいる。つまり、世界は非常に多様な要素で成り立っているんで、しかも、その世界が、物理的、時間的に狭くなって、昔、アフガンとかパキスタンに、とにかくボランティアだって援助に行くなんて考えられなかった。それが簡単にできるようになった。そこに新しい、非常に現代的なあつれきが生じて、あのメンバーが犠牲になったっていうのは誠に残念だし、我々日本人の立場から見りゃあれですがね。それから、もう一つ、皆さん、あんまりこの頃、どういうのかな、その面でよく発言されているけど、曽野綾子さん(作家)がいろんな、あの人はカソリックの信者で、そういうものを通じて、かつては日本財団のあれだったけども、そういうことで、本当にへき地の、要するに、アジアなりあるいはアフリカのひどい国に、彼女なりの援助のボランティアの一人として出向いて、その経験を私はなかなか多としていますけども、国連ってのは全く役に立ってないね。これは利権の巣だね、ほとんどが。そういう実態は、やっぱりみんな知ったほうがいい。

【記者】昨日から雨がかなり降って、床上・床下浸水が、八王子、町田あたりで出ていますけれども、最近都市型の豪雨がかなり多いということで、東京もこれからますます被害が出てくるんじゃないかと思うんですが、どのような対応というのが今後…。

【知事】昨日、NHKでやった。NHKの番組、見てくれ。(笑)

【記者】あれはどっちかというと原因を探っていたもので、対策という意味では、どうなんでしょうか。

【知事】これはやっぱり情報を早く知るということと、新しい気象被害が起きているんだったら、要するに、他人事じゃないぞという意識を持って、各人が用心するしかないんじゃないですかね。今日も、実はこの間の下水道の再整備しているときに流された人たちの報告があったけども、これこれしかじかで、こういう措置を講じました、こういう機材を使いますと言うけども、これは東京都の指導じゃないだろう。やっぱり営利でああいう事業を請け負っている会社そのものがだね、自分の責任でやらなかったら、上から言われなかったらできない問題じゃないと思うけどね。さっさと自分でやったらいいんだ。だから、これからもこういう犠牲が出てきて、特に岡崎(愛知県岡崎市)なんていうのは、(約)35万の市民が全部避難勧告が出た。とんでもない事態が起こってる訳でしょう。これはやっぱり世の中が変わりつつある。世界も変わりつつある。その中でこういう気象被害が出てきている訳でね、それはみんなが冷静にとらえて、まず、おれは大丈夫だ、ここは大丈夫だということでは済まないんで、これは地震の確率よりもっと怖い問題が起こってきたと思いますよ。はい、どうも。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)