石原知事記者会見

平成20年9月11日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年9月5日(金)
15:00〜15:15

知事冒頭発言

【知事】私から申し上げることはございません、今日は。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】今日9月5日、自民党の総裁選のことについてお伺いしたいんですが、都政にもかなり影響もあるという、国政との結びつきもとても気になるところでありまして、今のところ名前が挙げられている方たちの中の主だった人たちの中にも、麻生(太郎)さん、与謝野(馨)さん、小池(百合子)さん、そして石原伸晃さんというような方達の、こうした動きをご覧になってですね、「日本国民から我慢を教えてもらった」というあの北京、駅伝の言葉が、どうしてこうして国政はだめになってしまったのかというようなことを含めて、ちょっとご感想、思うことをお話ししていただきたいんですが。

【知事】まあ、あのね、かくなるゆえんというのを長く辿ればきりない話だけども、結果としてね、やっぱり自民党だけじゃなく、公明党の中にもね、目の前に迫った選挙というのを踏まえて、「エニワン・バット・フクダ(福田総理以外の誰か)」という雰囲気が強くなった。それは総理自身も感じたでしょうし。だから、自分の党に対する責任、ひいては与党としての国会に対する責任というものね、自分なりに果たすつもりで、あの決心をしたんだと思いますよ。

 それからね、これだけね、別に私、自民党の立場でも何でもないけど、今。2代続いてというけどね、安倍晋三総理のときには、これはもう致命的にね、非常に危険な状態で健康が悪かったですからね。だから、僕は彼が辞めた後、あれですな、復活してきて、あるところで会ったときに、「何であなたは壇上で倒れなかったんだ」と言ったんですけどね。それなら国民は納得しただろうけど、一部の人間に相談して辞めるというのも、何か、私はやっぱり周りの納得というのも非常に得がたい去就だったと思いますけどね。何もパフォーマンスをしろという訳じゃないけども。こらえるだけこらえてね、健康のために絶望的な状況で倒れたんなら、周りは納得したでしょうけどね。何か内側で話をしてというのは、随分その、健康という絶対的まで追い込められたにしちゃ、考え方がなかったんじゃないかという気がしました。

 まあね、開かれた形で討論をすることは必要だと思いますね。与党のリーダーをつくる訳ですから。ただね、民主党の中に、何で議論が起こってこないのかね。ブスブス、ブスブスいろんな意見が出てる訳ですよ。それでね、多少財政、税制知ってる人間ならね、民主党の中に、小沢(一郎)党首が唱えている一種のばらまきですな、財源というものの担保が全然ない政策というのに小首かしげる人間がたくさんいるけど。そこら辺がやっぱり野党と与党の違いでしょうね。これ与党だったら、「そうじゃない。それはとても持ちませんよ。できませんよ」という声が出てくるだろうけども、野党の場合には、選挙に勝つことが大事だからね。「何を言ってるんだ。そんなことできっこない」という人でも、異議を唱えて総裁選に出る、党首の選挙に出るということはなしで済んでるんだろうけども。まあ、それ以上の注釈は要らんでしょう。

【記者】そうですか。ご感想はございませんか。

【知事】ん?

【記者】今のところ名前が挙げられている方たちの。

【知事】私の息子もいるみたいだけどさ、全然相談も何もなしですって。それでいいじゃないですか、それは。

【記者】開かれた政策論争をこれから行うというムード、これはすばらしいことだと思いますけど。

【知事】ええ。かなり対照的な意見が出ている訳ですから。つまり、財政、また要するにあれでしょう、子孫に借金を残す、国債出すということでしょう。これ以上国債に依存していいんですかね。私はそう思うけど、そうじゃないという人もいるし。かといって、それじゃ、増税というどうしても必要な、せざるを得ない政策についてはみんな怖がって触れない。遠回しには言うけどということでね。まあしかし、これからどんな論が展開されるか、刮目(かつもく)して眺めたいと思ってますが。

【記者】石原伸晃さんが立候補の意思を表明していらっしゃいますが、親として何かアドバイス等ありますか。

【知事】ありません。やりたいようにやりゃいいの。

【記者】また同じ質問で大変恐縮ですが、まだ明らかになっていないことはいっぱいありますが、知事として、伸晃さんの政策はどうでしょうかね。

【知事】それも詳しく聞いていないよ、まだ。

【記者】そういった話は全くされていらっしゃらない?

【知事】私よりは税制、財政は詳しいからね。時々こっちがね、知識がなくて聞くことはありますけどね。総裁に立候補してね、総裁になり総理になったら何をするかという話までは聞いてませんし、してませんし。

【記者】知事も以前総裁選に出馬されたことがあるかと思うんですが、どうでしょうか、改めて今、感慨といいますか…。

【知事】あのときはね、経世会というね、もうとにかく何ていうのかな、日本の政治を壟断(ろうだん)してる絶対的な勢力があった訳ですね。で、まあね、私は竹下内閣の閣僚でもあったけど、ああいう形でついえ、次の宇野政権もああいう形でついえてですね、率直に言って、自分たちのどうにでもなる一種の傀儡(かいらい)政権をつくった訳だ、パペット(操り人形)を。そのやり方はやっぱり許せないと思ったから、僕は仲間と一緒に立候補しましたけどね。

 一番滑稽だったのは宮沢派だね。反発するんだったら自分の派から出せばいいじゃないか。そうしたら、同じ竹下経世会のはぐれガラスになった林(義郎)君を連れてきてね、総裁選に担いだ訳だ。僕は本当に全く訳がわからなかったね、あのときの宮沢派の去就というのは。何か中途半端というか歯切れが悪いというか、まあ宮沢(宮沢喜一 元内閣総理大臣)という私は余り評価しない政治家の特質がよく出ていたと思いますよ。

【記者】当時と自民党の環境というのはどうでしょうか。変わって…。

【知事】全然違うでしょう、やっぱり。党の中の力のバランスも違うしね。それからやっぱり、起こってる問題がもっと深刻ですよ。世界全体の、要するに深刻な環境問題、それから下手したら恐慌になりそうなインフレ、それから社会の安危にかかわってくるテロの頻発、そういったものにね、これからどう対処していくか。その問題は、日本ひとりの力じゃどうにもならんだろうけど、世界のリーダーと一緒に面と向かってとにかく論議をする、主張をする。

 私はね、はっきり申しますとね、洞爺湖サミットの始まる前、森(喜朗)元総理、非常に個人的に親しい、彼とオリンピックの問題で、福田(康夫)総理と長い時間話しました。そのときにその話もしたんだ。アメリカの資本主義は間違っている。やっぱりね、ドル札をどんどん刷ってね、過剰流動性にしてですね、その金の行き先がわからなくなったから、今とにかくガソリン上げたり原油上げたりしてる訳でしょう。世界はそれに引きずられてる。こういったものはやっぱりおかしい。ヨーロッパだって反発してるんだからね。主催国の日本の総理大臣が言えよと。「アメリカの資本主義は違うと、間違ってると、市場原理主義というのは違うと。そういうことを言ったらどうだ」と言ったらね、「言います」と言ったけども、何も言わなかったな。

【記者】親子2代で総裁選に挑戦ということで、リベンジという見方もできるかと思うんですが。

【知事】私は別にリベンジでも、私のリベンジでもないし、全然何ともない。党の情勢も変わってる訳だしね。ということです。

【記者】個人的に応援は…。

【知事】それは親だから、声援ぐらいしますよ。しかし、私が1票を持ってる訳じゃないから。

【記者】また同じような内容になってしまうんですけれども、今まで安倍さんと福田さん、2人続けて2世議員が政権を投げ出してきましたけれども、伸晃議員が総理になった場合、そういった政権を投げ出すようなことはないでしょうか。

【知事】あれ、2世じゃないでしょう。私の選挙区を継いだ訳じゃないからね。独立独歩でやってきたんでね。親もね。私、だから一緒に国会にいましたよ、ある時期ね。2世議員と言われて非常に彼は反発して怒ったけど、私もそう思う、それは。

【記者】改めて、伸晃議員は総理・総裁の資格をお持ちだと、資質をお持ちだと思われますか。

【知事】まあこれからの勉強次第だろうね、それは。もう少し、何ていうのかな、果断なとこがあってもいいと思うけど。いつも注意するんだけども、「私はお父さんを反面教師にしているから、あなたの言うことは聞きません」と言うんでね。だから、新聞記者と仲よくやれるんだろう、あいつは。

【記者】今回の福田辞任の中には、定率減税のやはりゴリ押しといいますか、そういうものが含まれていたんではないかというふうにも思う訳です。日本の財政全体からいきますと、プライマリーバランスというやつがきちんと達成できなければ、日本の将来もないんではないかというふうにも思う訳ですが、石原慎太郎都知事のプライマリーバランスに対する考え方、それから…。

【知事】プライマリーバランスってのはどういう意味?もうちょっとわかりやすく言ってよ。恐らく聞いている連中も知らねえと思うんだよな。

【記者】単年度収支がバランスがとれるということですよね。

【知事】それと?

【記者】ですから、そのためには定率減税とか、そういうものでどんどんばらまき的にやっていくと、財政が大変な破綻を来してしまうということが今回の総裁選の中でも…。

【知事】ちょっと断っておくけども、定率減税なの、定額減税なの。

【記者】あれは定率減税ですね。

【知事】定率減税と定額減税は違うよ。定額減税だとね、要するに所得の低い人ほど得になりますわな。しかし、所得の多少に応じて、ある決まった率で減税するというのは、これはちょっと全然違う政策になってくる訳だ。あなたはどっちを言っているの?それで、自民党が公明党に言われて是としたのは、定額減税なんじゃないですか。そうでしょう。

【記者】そうですか。とにかく1.8兆円ぐらいの…。

【知事】ただ、定額減税ってのはね、所得の低い人ほど得になる訳だから、一種の、何ていうのかな、ばらまきとは言わないけど、福祉政策かもしれませんが、うーん、それが景気の浮上、消費にどういうふうにつながってくるかってのはわからんね、やっぱり。額にもよるでしょうし。

【記者】とにかく財源がない中で、そういうふうな政策を求めていくというふうな状況が生まれたと思うんですね。都議会のほうにも、来年は都議選があるということもありますから、そのような要請もこれから強まってくるのではないかと思うんですが、都知事は、そういうものに対して、どういうふうな面でその基準を設けて払いのけていくのかということをちょっとお聞きしたい。

【知事】私は別に国政を担当している訳じゃないから、都は都の権限で物事をしていますけどね。私は基本的には定額減税には疑問がありますな。そんなことよりも、やっぱりやらなくちゃいけないことをいろいろ手当てしていくための税源というものを担保しなきゃ。

 とにかく社会保障の負担額を政府は近々、2年先ですか、2分の1にする訳だ。その額はどうやって担保するんですか。また東京から3,000億かっぱらっていく、そんなもので済む訳はないんだ。やっぱり消費税をするしかないと思いますよ。でね、全国知事会のほとんどの案がそうですけどね、選挙が近い知事さんはみんな。私はもうやらないから大きな声で言っている訳だけども、前から私、言っている訳、それはね。

 やっぱり消費税ってのは一番公平な制度ですよ。買いたくなきゃいいんだから。それも、何も生活必需品にまで課税する必要はないんで、それは識別したらよろしいんでね。これはなかなか難しい問題があるんですね。例えば、おにぎりとお米の粒と、お米の袋で買うのとおにぎりで買うのとはどう違うかみたいな問題が随分この間も出ていた。だけど、いずれにしろ、要するに生活に必需性のないぜいたくな製品ってのは買わなきゃよろしいんでね。そんなものを高額で買ったって、自分のバニティー(虚栄)でしかない。だったら、私は、それは外国のブランドは嫌がるかもしれないけども、やっぱり消費税が一番公正だと思いますな。外国の例を見たってそうじゃないですか。何かそれがね、非常に悪い形で喧伝されて、生活を圧迫するとか云々言われているけど、外国の事例を見てみたって、どこの国でもやっていることですから、それはやっぱり真っ正面から考える必要があるんじゃないかな、この際。はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)