石原知事記者会見

平成20年9月18日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年9月12日(金)
15:01〜15:12

知事冒頭発言

【知事】冒頭、私から申し上げることはございませんので、質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】急増している振り込め詐欺について、お話を伺います。

 都内での被害は7月末で40億を超えて、過去最悪のペースになっています。また、犯行グループの多くは都内を拠点にしていると言われています。東京都では、今月3日、警視庁や金融機関とともに対策会議を立ち上げられましたが、知事の振り込め詐欺対策についての所見をお聞かせください。

【知事】これはね、調べてみますとね、非常に日本的な犯罪なんだね。外国の先進国でね、この種類の犯罪があるところはないようですけども、このごろブラジルではね、日系人の家族を対象とした犯罪がぼつぼつ出だしたらしいんだ。これはやっぱりね、日本人の家族観というんでしょうかね、家族の人間関係が、人によっちゃ崩壊して風化してきたというけども、家族、日本人独特のね、家族に関する価値観というものを踏まえた、非常に狡知(こうち)にたけた犯罪だと思います。

 私もね、凡例と言うんでしょうかね、犯罪の、何と言うんでしょうね、記録のテープを聞きましたがね、1、2、これは見事なものだね。うん、本当に。それでね、実に手が込んでてね。ちゃんと役者が揃っててね。

 だから、この振り込め詐欺の防止のためにあちこちで役者さんを雇ってね、何かこういうことになりがちですよ、こういうものに注意してくださいというキャンペーンをしているみたいだけど、役者の演技よりもね、私、実際のあれを聞かせたほうが、何か迫真力があって。テープを聞きゃわかることだから、と思いますがね。

 それは、ある意味じゃ下手くそなシナリオライターよりもずっと狡知にたけていて、あれですな、まさにそれは日本人の家族観のすき間をついた犯罪だと思いますからね。これはやっぱりそういうものを踏まえたね、日本人の家族に関する社会心理というんでしょうか、そういうものを踏まえた逆に対策というかな、アンチキャンペーン(撲滅運動)というものを心掛けていく必要があると思います。

【記者】先週、都議会の民主党議員が、一昨年ブラジルを視察した際の海外調査報告書の中で、非常に別の論文と似ている箇所があって、その部分については視察団長の議員が盗作であったことを認めたんですけれども、それについての知事のご所見を伺いたいんですが。

【知事】所見といったって、それはやっぱりね、人のものを取っちゃいけないからね。当たり前のことじゃないですか、それは。反省を強いられる。

 ただね、私は一回も国会議員時代行ったことはないけど、国会議員の海外視察旅行ってあるんだよ、もっともらしい名目を掲げて。あれはケースによったら、国会図書館にリファレンス部(図書等を照会する所)という珍しく英語の名前がついた部があって、そこへリファー(照会)すると、私もいろいろなことの取材で頼むと、実に早く答えが返ってくるんですがね、主にそこに頼んで、出発前にもう報告書ができているらしいよ(笑)。ということですな。それが剽窃(ひょうせつ)になるかならないかはわからんけどね、それがまかり通るんだったらね。うーん、議員の視察旅行というのは遊山みたいなもんだ、大体な。

【記者】自民党総裁選が始まりまして、地方自治体の声というのを集めているのですけれども、最大の自治体である東京都として、5人の主張を見ていると、積極財政派と、財政再建を推し進める人たち、あと上げ潮派と呼ばれる人たちがいますけれども、東京都としてはどういう考え方を支持していこう、あるいは支持していくべきかと思われるのでしょうか。

【知事】まあ東京は東京の、私は私の経験を踏まえて言うんですがね、まずやっぱりね、人間の整理をしたらいいよ。役人の数が多過ぎる。議員の数も多過ぎるよ。給料も高過ぎるよ。そういうね、合理化もしないでだね、何を説いたってね、私はあまり国民に訴えてこないと思いますな。

 それから、ちょっと外れた答えになるかもしらんけど、もっと肝心なことについて言ってもらいたいね。やっぱり世界を引っかき回しているアメリカの経済至上主義、そういう経済原理というものは反省されるべきだしね。うーん、例えば日本が押しつけられて買っているアメリカの、だんだん紙くずみたいな、まあそれは利回りがいいから、まだ担保されているんだろうけども、ああいった国債をね、思い切ってどうするかとかね。

 それから、やっぱりこの間のブッシュ(ジョージ・ブッシュ 米国大統領)の拉致問題についての姿勢を見てみたって、北朝鮮に逆に手玉にとられているアメリカの外交に日本が追従することがいいかどうかね。そういう大事な問題についてね、やっぱり論じてもらいたいね。何もアメリカさんに気兼ねする必要ないんだから。だから、そういう点ではね。

 それから、もう1つ、さっきの質問に返ってくることだけど、地方分権についてはだれも物を言わないですな。本当の地方分権をやる気があるのかないのかね。太政官制度以来、司馬遼太郎さん(作家)がよく言ったけども、日本は本質的に変わっていない訳だから。こういった制度をここら辺でどうやって変えるかということも、若いこれからのリーダーたらんという人たちだったら、言及してもらいたいけども、あまり聞きませんな。

【記者】改めてなんですけれども、5人の顔ぶれが揃った中で、都連会長も立候補されていますけれども、知事が一番推すという方は、先週から…。

【知事】そんなことはやっぱり、自分の息子もよく頑張っているんだからね。これでまた「息子」と言うと「親バカ」と言われるしね。おれは何も言わないのに週刊誌を見たら「親バカ」と言われているんだな、本当にもう。頭にくるけどね(笑)。まあしようがないよ、息子さんが勝手にやっていることだから。それはやっぱり言わんほうがいいでしょう。結論は何か出ていると思いますけどね。

【記者】地方分権という話が今、出ましたけれども、東京23区を東京市としてやろうという提言が商工会議所のほうから出たということなんですが、それについて。

【知事】まあ無理ですね、それは。もうね、かつて東京市であったころと違って、はるかに膨大なものになってきたし、予算規模から何からしたって、それは1つの提言として聞いていますけどね、無理だと思います。無理ですよ。

【記者】この後、生活文化スポーツ局の会見で「TOKYO体操」が発表されますが、これは知事は事前にご覧になっていらっしゃるんでしょうか。

【知事】これは見ましたよ。

【記者】私たちはまだ見てないんですが、どんなものでしょうか。

【知事】あれ、なんていうのか、メタボ防止の、なんか1つの策だけど、2種類ありましてね。年寄りが座っててもできる、まあ、何ていうのかね、エコノミークラス症候群というものを防止するために、飛行機の中で教えるでしょう、座った体操ね。あんなものも含めてね。もう1つは、どういうのかな、割とダンスに近いリズミカルな体操と、2種類考えてますけども。まあ、オリンピックの招致にかかわるキャンペーンの1つの手立てになればいいなと思ってますけども。

 現にラジオ体操、昔と同じことをやってるしね。あれだって、なかなかいいものだしね。後で見てくださいよ。

【記者】こちらの、私の手元にある案内文にも、「オリンピック等の招致に向けてスポーツムーブメントの創出を目指し」と書いてあるんですが、これ、具体的にどういったことを意味されているんですか。

【知事】聞いてくれよな、そんなものは、その担当の局に。おれがいちいちそんなもの、知らんよ。

【記者】知事は踊られたんですか。

【知事】私、もっと激しい運動してますから、あんなものはやりません。

【記者】全国学力テストの話なんですけれども、結果を公表するかしないかということで、大阪の橋下(はしした)(徹)知事はですね…。

【知事】橋下(はしもと)。

【記者】ああ、済みません、橋下(はしもと)ですね。

【知事】時々間違えるんだ、大事なことをね。定率減税と定額減税と勘違いしたりさ。

【記者】済みません、間違えました。その橋下知事はですね…。

【知事】新聞記者はやっぱり人の名前をちゃんと覚えてないと失敬だよ、本当に。

【記者】はい。橋下知事が非常に怒っておった訳ですね、結果を公表しないという教育委員会のほうに、ですね。その学力テストの問題については、石原都知事はどう考えられますか。

【知事】あれね、区市町村にはいろいろ沽券(こけん)があるでしょうからね。それはそれなりに努力しているところとしてないところがあるから、そこの責任で発表したらいいと思います。ただね、東京の場合にはね、(一部の)私立は対象になってないんですよ。これはとても大事なことでね。公立の質が非常に下がってきているって、皆さん、ご存じだと思うけど。だからね、少し余裕のある方は、学費が高いけど私立に子弟を置く、そういう時代になっちゃった。昔と違って。

 だから、私立の水準というものの、テストの水準っていうのは、テストをやっているのは、対象として行われたのは(大半は)公立ですからね。ちょっとそこのところは、何ていうのかな、テストそのものに、調査そのものに私はデータとしてひずみというんでしょうかね、欠陥があるような気がしますね。公立の学校を持っているだけで、日本全体のあの年齢の子弟の知的水準というものの表示にはならないと思う。やるんならですね、私立も入れたほうがいいと思います。

 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)