石原知事記者会見

平成20年10月9日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年10月3日(金)
14:59〜15:14

【知事】私から今日は冒頭申し上げることはございません。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】都議の海外視察についてお聞きしたいのですが、2件ありまして、帰国後に発行する調査報告書が民主党に続いて与党でも同じように、他者の論文を丸写しにしたかのようなものがあることが明らかになりましたが、以前の質問にも出ましたが、改めて知事の所見をお伺いしたいというのが1点。

 それと、今回の自公のアメリカ視察ですと1,275万円かかっていまして、それだけの公費を使っての視察で報告書がまともにつくられていないということになりますと、納税者である都民からの批判の声が上がることになるかと思いますが、海外視察のあり方について、知事のお考えをお聞かせください。

【知事】海外視察はね、基本的に私は必要だと思いますね。それをね、何というのかな論文調で無理やり体裁をつけてまとめる必要が果たしてあるのかどうなのか。やっぱりね、国民、都民の代表である議員がですね、出かけていって、自分の感性、関心でですね、問題をとらえて帰ってきてね、政治に反映するということは大事だと思いますね。限られたメディアを通じての情報なんかだけではなくてね、生きている人間が自分の感性で自分の目で物をとらえていく。それをね、どういうんでしょうね、今度も聞いてみるとね、同行した教授の論文を引用したんでしょう。引用したということを一言入れればいいのにね。それは手抜かりだと思いますがね。いずれにしろね、国会議員の海外視察もね、出張する前に報告ができているんだよ、これ。国会図書館のリファレンス部(図書等を照会する所)頼んでね。そんなものは必要ないんだ。

 だから、議員が向こうの人間のだれと会って、何を話したか、どう感じたか、それをとつとつとしてしゃべって、それをまとめればいいんでね。何も体裁をつけて論文仕立てにする必要は私はないと思います。

 基本的には、私は選挙民の代表である議員が行って、自分の目で物をとらえてくるということはとても大事だと思うし、新しい問題の発見になると思いますから、やっぱりかかった費用とどういうバランスをとるかということは、これはなかなかね、計算尺で測って答えの出る問題じゃないから。かといってそれじゃ、かわりにお役人がやっていいかといったら、これまた論外な話でね。だから、報告をああいう形でまとめることそのものの姿勢というのは、私はちょっと滑稽じゃないかという気がしますけども。

【記者】ちょっと経済のことでお伺いしたいんですけれども、例の米国の金融経済安定化法案があったときに、下院が否決して、ニューヨーク発の株暴落というのが世界に尾を引いたと思うんですけど、これを東京都に置きかえて考えてみても、春先に銀行をめぐって同じような状況にあって、知事も決断せざるを得なかったような心境もあったと思うんですけれども、そういった最近のこういった経済に対する、一つ間違えばこういう状況になるというのを踏まえて考えるところはございますか。経済情勢について。

【知事】そうですね、今年の第1回定例議会では銀行問題で紛糾してね。時間も足りなかったし、説明も足りなかった節もありますけどね。また、混乱を恐れてすべき報告を端折ったというか、空見がなかったでもない、ああいう形で追資を認めていただいた。つまり、税金という、公金というものを投入して支えたわけですがね。私はやっぱりあれで要するに金融不安が広がって、東京発、これは東京にとどまらずに、全国に広がりかねなかった状況だし、それがあれで食い止められてよかったと私は思います。特に、アメリカの今日のあの事例を見てみると。ただね、東京の銀行の場合にはね、経営による問題があっても、これはこれから明らかにされるでしょう、その訴訟なんかも含めて。ですけどね、アメリカの経営者、トップの経営者の膨大なサラリー、給料ね、それから膨大な退職金、こういったものと見比べるとね、東京の銀行はかなり違いますけどね、やっぱり政治家が国民の感情というものを踏まえて反発するというのもむべなるかなという気がしますが、しかしそれで済むことじゃなくてね。これでまあね、アメリカがどういう決着を議会として行うか、これからのことでしょうけども、しかしこれが引き金になってね、かつてのフーヴァー(ハーバート・クラーク・フーヴァー 第31代アメリカ合衆国大統領)の時代みたいな大恐慌が来たりすればね、これはアメリカに限らず世界中迷惑するわけだし、いろいろ情報をとってみると、いろいろ思いがけないヨーロッパの大手の金融機関が破産して国有化されたりね、そんな問題が起こっているのでね。まあ私は、この1月に議会の承認をいただいて、ああいう措置をとったことでよかったと思います。ただ、その後またね、世界の金融状況、今日こういう形になるということ、また厄介な問題が出てきてね、これがこれからの問題ですけども。

【記者】最初の質問に加えてなんですけれども、知事がおっしゃったように、かかった費用とのバランスをどう考えるかということで、知事は一番最初論文調でまとめる必要があるかどうかという疑問を出されていましたが、もし、論文調でまとめないとするならば、どういう形で行ってきた成果を見せるべきなのかという知事のお考えはありますでしょうか。

【知事】だからやっぱり視察した題材、アイテムについてですね、眺めた議員たちは何を感じたかということの応答だっていいじゃないですか。要するに、同行した編集者がですな、「どう感じましたか」、「私は、こう思った、ああすべきだ、こうすべきだ。東京でも日本でもこれをやりたいな」とか、そういう議論があって、それをそのまま載せたほうがいいじゃないですか。私はそれでいいと思いますよ。

【記者】つまり、最終的には文章の形や冊子の形にするのもいいかなということになりますか。

【知事】それはやっぱり何というのかな、CDをつくるのも結構だけども、文書にするのが慣例ですから、それが一番伝達しやすいんじゃないかな。

【記者】大阪で個室ビデオが15人の死者を出したわけですけれども、この点に関連して3点ほどちょっと質問したいと思うのですが、1つは世界のお客様を迎えるということで、観光庁がこれからできようとしているわけですけれども、そのお客様を迎えるにしましても、いわゆる雑居ビルの安全・安心という問題は第一に考えていかなきゃならないことだと思います。

【知事】いや、外国からのお客様じゃない、日本のお客様と考えるべきだ、まずね。

【記者】それが1点と、それから2点目はですね、前からこの雑居ビルについては、もっと火災の問題について神経を使わなきゃならないということで調査をやっていると思うんですが、どうもその調査がはっきり公表されていない面が相当あるんですね。そういうことがありまして、いつまでたっても改善されないという部分があるんではないかと、こういうふうに思っているのが第2点です。

 それから、第3点は、こういう個室ビデオに限らず、カフェ難民という、若い人たちに限らないんですが、宿泊を代替するような施設が都市にたくさんあるわけですね。新宿には限りませんけれども、そういういわゆる需要層が潜在的にあるということについて、都知事のお考えはどういうふうに…。

【知事】2番目の問題は、当局は調べて、ちゃんと指導をしております。ただ、それの指導を受けるか受けないかね。それはやっぱり後で立入検査して、指導をしたのにやっていなかったら、それは発表すべきでしょう。危ないと言ったのにやっていないと、何かラベルを張ったらいい、そんなものは。大した手間じゃないんだから、このビルは危ないよと。それから、3番目は、何だっけ。

【記者】カフェ難民だとか、そういう人たちの。

【知事】これもね、何か一つ新しい風俗でね、あれだって1,500円でしょう。大いに使っている人は、帰り損なったサラリーマンだ。ただ、やっぱりカフェ難民、難民と言うけどもね、あなた、山谷のドヤに行ってごらんなさいよ。200円、300円で泊まる宿はいっぱいあるんだよ。(※)そこへ行かずにだな、何か知らんけど、ファッションみたいな形で、1,500円というお金を払って、そこへ泊まって、これは大変だ、大変だ、孤立している、助けてくれっていうのも、ちょっと私は、人によって違うでしょうけど、総体にそれが何かカフェ難民なるものの実態とはとらえがたいね。

※10月7日、報道機関からの取材に対し、知事は「200円、300円で泊まる宿がいっぱいあるというのは認識不足でね、物価の変動もあったようで、だいたい1,000円前後だそうですね」と訂正している。

 例えばこの都庁へやってくる途中、ホームレスがいますよ、あそこの公園にも。その人たちはどうか知らんけど、そのこちら側のところに、何というのかな、ホームレスに近い人たちがね、あちこちからアルミの空き缶を拾ってきて、とにかくパックして、それでたつき(生計)を立てている。聞いてみたら、60個で100円だ。彼らは一生懸命働いているわけだよね。それをしているかしていないか知らないけど、1,500円という大金を払って泊まって、おれは大変だ、大変だというのは、何かちょっと風俗に対するメディアのとらえ方がおかしいんじゃないですか。

 聞いてみると、やっぱり簡易宿泊所として使われているらしいけども、何かそこにいる人間たちがね、格差、差別の中で派生してきた犠牲者という一方的なとらえ方は、中にそういう人はいるかもしれません。ただ、やっぱり1,500円の宿泊費を払えるんだったら、もっと安く泊まれるところはいっぱいあるよ、東京は。ということを、認識願いたいね。

【記者】都政と関係ないことで恐縮なんですけれども、今、大相撲の八百長疑惑というのが話題になっていまして、今日は東京地裁で、日本相撲協会と出版社の間で民事裁判になっておりまして、午前中の法廷では横綱の八百長が指摘されまして、先ほど午後に横綱朝青龍が出廷しまして、八百長についてはありませんというふうに述べているんですけれども、知事からご覧になって、大相撲の今回の八百長疑惑についてのお考えをお聞きしたいんですが。

【知事】これは、私は言いたいことがいっぱいあるんだね。東京都知事というのは、恒例で横綱審議会の委員になるんだけど、私は辞退しました。私は大相撲にうんざりしているから。それは八百長はないとはなかなか言い切れないんじゃない。現役の横綱が出ていって、ありますとは言わないだろう、それは。しかしだね、私なんかはもっと大らかなころ見ていて、ある親しい記者がいて、その人が地方の大新聞の幹部で、一緒に記者席に座っていましたよ。あのころと言ったってだいぶ前で、私が物書きのころ、政治家になる前だけども、そのときに、例の柏戸、大鵬の取り組みについてコメントして問題になったんだけども、その取り組みじゃなくてもね、砂かぶりに座っていると、「おい、押せよ。早く押せ。何しているんだ。押せよ」「うんうん」「何しているんだ」、みんなゲラゲラ笑って見ているんだよ。そういう大らかな時代があったな。あれは八百長でしょうな、やっぱり。しかし、それが何となくまかり通っていて、「ごっつぁんです」で済んだ時代だけど、それが金が絡んでくると変なことになっちゃったね。僕は、だからね、私が問題を起こした事件なんかでも、「あれは片八百長かな、最低」と言ったら、後でいろんな人が証言し出して、あれも歴然とした金の動いた八百長だったという記事を読みましたがね、その信憑性についてわかりません。ただ、やっぱり相撲協会が、一切八百長はございませんと言い切れるだけのあれはあるのかね。

【記者】今、知事おっしゃったのは、昭和38年9月場所の横綱柏戸と大鵬の一戦、優勝決定戦で、知事がスポーツ新聞の記者に対して、八百長で保たれる横綱の権威なんてのはスポーツとは何の関係もないというふうにはっきりおっしゃっているんですけども、この考えは今でも変わりないですか。

【知事】それは八百長でいかなる権威が保たれても、権威じゃないじゃない、それは。金で支え合っているんだったら。

【記者】ありがとうございます。

【知事】はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)