石原知事記者会見

平成20年10月30日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年10月24日(金)
14:59〜15:21

知事冒頭発言

クアラルンプール出張について

【知事】冒頭、1つ私から申し上げます。

 11月19日から22日まで、「アジア大都市ネットワーク21」の第7回総会に出席するためにクアラルンプールに出張いたします。「アジア大都市ネットワーク21」では、今まで12の共同事業を行っておりまして、それぞれ着実な成果を上げていると思います。

 例えば、参加している都市、その国の共同作業で、アジア製の中小型ジェット旅客機をつくろうじゃないかというプロジェクトですけれども、今週、インドで開催された実務者・担当者会議には、アジアの5カ国から約100名が参加しまして、会議では、初の国産ジェット旅客機として期待されているMRJ(Mitsubishi Regional Jet 三菱重工業が開発している小型旅客機)の紹介など、航空機製造におけるアジア連携の推進に向けた情報交換を行いました。

 総会では、これら共同事業の1年間の成果について報告し合うとともに、洪水対策やスポーツの振興なども主題として意見交換を行うことになっております。スポーツの振興については、東京マラソンを始めとして東京都の取り組みを紹介するとともに、2016年のオリンピック・パラリンピック招致に向けたPRも行います。詳細については報道官から説明いたします。

 ただ、あのですね、この私の念願だった、それぞれ可能性を持っている国ですからね、それが合議して、共同しあって、アジア製のですね、これは軍用機じゃないんです、旅客機をつくろうじゃないかというプロジェクトですがね、日本はやっぱりね、相対的に技術が進んでいますから、結局アメリカも軟化してきたんでしょうかね。

 かつてのYS−11(国産唯一のプロペラ旅客機)は、アメリカによって販路を断たれてつぶされたんだけどもね、今度は三菱重工がですね、MRJを完成しつつあるんですが、本当は、これから先の問題でしょうけど、こういったものは、マーケットを戦略的に封じられてね、頓挫するよりもですね、むしろ、それぞれ進んだ技術を持っている国があるわけだから、そこで協議し合って、部分的に受け持ちを決めて、飛行機をつくるということになると、マーケットも確保されるんですけど、そこら辺のところが、随分、通産省(経済産業省)にも言ってきたんだけどね、いま一つ何ていうのかな、日本というのは戦略の立たない国でね。これから三菱プロパーで飛行機つくっても、どれだけこれが売れるか、非常に熾烈な競争になってくると思うし、ヨーロッパもアメリカもこのサイズの飛行機を考えているみたいですからね。

 せっかくね、みんなで意思統合して、アジア製の旅客機つくろうというアイデンティティー(主体性)だけは確立したんだけども、これを活用するのは、やっぱり国の政治家、そのレベルの判断だと思うんだけど、残念ながらそういう戦術・戦略の展開は日本はだめですな。

 はい、ほかの問題については、質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】都立墨東病院で、妊婦が一度受け入れを拒否されて、その後、子どもを出産した後に亡くなった問題なんですけれども、それに関連しまして、今朝、舛添(要一)厚労大臣がですね、閣議後の会見の中で、「今回、一番進んでいる東京都でこういうことが起こったことは非常に重く感じている。これが周産期医療センターと言えるのか。東京都にも大きな責任がある」と言った上で、「とてもじゃないけど、東京都には任せられない」というような発言があったんですが、これについて知事のお考えをお聞かせください。

【知事】というところまでは、私、承知している。その後のところが大事なんだよな。あの人はね、大見得切ったつもりでいつも空振りするけどね。今度も現場に行ってですね、まあ、こういう発言するときにね、現場を踏んでね、起こった事態の事実というものをちゃんと分析して掌握した上で、ものを言ってもらいたいんだ。一国の大臣なんだから。

 年金の問題でもいつも大見得切るけど、いつも空振りして、後から違うデータが出てきて、結局何か、彼が役人のですな、国のけしからん役人の代弁しているみたいな印象にしか映らないじゃない。今度も何の思惑か知らないけどね、病院に行って事態聞いた後で、話、随分トーンダウンしたじゃないですか。

 しかもですな、あの人は事態を掌握してない証拠はね、これは医療事故じゃないんですよ。医療事故じゃないんですよ、ね。それだったらね、国に対する報告の責任ありますがね、どう考えてもね、ER(Emergency Room 総合救急診療科)はERとして処置をしてますしね。ただね、お産というのは非常に危険な作業でね。まあ、かつて昭和30年代の初めのころはね、非常に死亡率が高かったんだけど、今はまあ、その10分の1に減りましたがね。そういう医術の変化もあるので、今度の場合には非常にレアケースでね。妊婦ご自身が脳出血をした。これは30代半ばというのはね、そういう事故が割と頻発する年代らしいんだけども、それで具合悪いことに出産と一緒に重なりましてね。当人はね、自分に何が起こっているかわかりっこないんだから。頭が痛い、痛いと言うけどね、「私、脳出血です」とは言わないよ、そんなの。それ医者が判断することで。

 しかし、その頭痛に関してね、どういう会話があったかわからんけどね、結局、最後は脳出血で手術をしたわけでしょう。ですからね、そういう事態を踏まえてものを言ってもらいたいんでね。東京に任せていられないんじゃない、国に任せていられないんだよ。厚労省のだな、医療行政が間違ってきて、お医者さんがこういうていたらくになった。足りない。足りないだけじゃなしに、まあね、「高福祉高負担」というのは当然だけど、日本の場合には「高福祉低負担」だろう。それがまかり通ってね、患者も非常に、注文が多くなって、お医者さんは非常に苦しい立場で、時々はですな、昔なかったような医療裁判にさらされて、だんだんなり手がなくなってきた。こういう事態をつくったのは国じゃないですか。国に任せていられないんだよ、ね。

 やっぱりね、今度亡くなった方のご主人も、いかにもお医者さんが足りないということを痛感したと言われるけど、まさにそうじゃないですか。誰がやったんですか。国に任せてたらこういうことになっちゃったんだよ。反省してもらいたいのは厚労省で、今担当のその大臣様だね。ものを言うなら、もう少し冷静に頭冷やしてものを言ったほうがいいと、私は思いますけども。

【記者】今回のその件を受けて、東京都として新たな何か取り組みを考えているということはありますでしょうか。

【知事】いや、これは本当にレアケースなんですよ。ですからね、こういう万、万、万が一の事態というのはなかなか想定しにくいんでね。それでもやっぱりお医者さんの数が多かったら、ここまで至らなかったかもしれない。その医者の数を増やすのは国の責任だ。東京は東京なりに、いろんな誘致をしてますよ。だから、ほかの県から恨まれている節があるけど、それでも絶対数が足りないんでしょう、ね。赤ん坊を産む産科とね、産んだ子どもを育てる小児科が絶対的に医師が足りないということはね、これはやっぱり国の責任じゃないですか。舛添君、しっかりしてもらいたいよ、本当に。あまり国に任せていられないね。

【記者】同じく舛添大臣の件なんですが、舛添大臣が、後期高齢者医療制度の見直しに関連して、国民健康保険を都道府県単位に再編するという私案を出していますけれども、これに対して知事のお考えをお聞かせください。

【知事】さあ、私その問題初めて聞きましてね、都道府県に何する?

【記者】市町村の国民健康保険を都道府県に再編すると。再編した上で、後期医療と一体運営すると。そういう私案を出しているんですが。

【知事】初めて聞きましたので、これはこれからの検討の、要するに素案にしたいと思います。

【記者】昨日行われていますC40(※)に関連してお尋ねします。以前、知事は、温暖化対策の一環で、コンビニエンスストアの深夜営業の自粛が好ましいという発言をされてましたが、温暖化対策として、今でも好ましいと思っていらっしゃるかどうかお尋ねします。あと埼玉県知事が8都県市で、コンビニの深夜営業自粛を提案することを検討されている発言をされてますが、8都県市で提案があった場合に、知事として賛同されるお考えがあるかどうか教えてください。

※世界五大陸の40大都市で構成する、世界大都市気候先導グループ(The Large Cities Climate Leadership Group)。会員都市40、提携都市15で構成される。このほかアジア大都市ネットワーク会員都市5(C40会員都市との重複都市は除く)を加えた計60都市(参加は32都市)で、10月22日から24日まで、C40気候変動東京会議を開催した。

【知事】これは、埼玉県の知事ともいろいろ内々話してきましたしね。まあ、彼がオフィシャルに口火を切ってくれたのは大変結構だと思いますしね。これはやっぱり、無駄な電気は消したほうがいい。こういう時代になればね、万民が納得してくれると思いますよ。業界は、万、万、万が一、とにかく深夜でもお客がないでもないから、明かりつけておくということになるかも知らんけど、つけ方にも、工夫も要るんじゃないかな。店を全部閉めるというわけじゃありませんから。これはやっぱりね、そういう小さな試みとも言えないけども、そういうものを少しずつ重ねていかないと、この事態は防げないと思いますね。

【記者】先日の会見でも伺いましたが、全国学力テストの関係でお伺いしますが、先日、大阪府が32市町の結果を開示して、一方、秋田県は市町村名を伏せて開示をされました。知事は、改めて結果を公表すべきとお考えか。あるいは公表する方法等どのようにお考えでしょうか。

【知事】まあ、公開すべきだと思います。一種の、教育者だってね、成果を上げることに努力しているわけだから、ある意味じゃ、いい意味の競争が必要だと思うし、いい成績を上げるための反省の素材にもなると思いますからね。

 ただ、まあ発表の仕方にもいろいろ工夫も要るかも知らないけども、しかし、相対的にですね、どこが優れて、どこが劣っているか、結果として。そのためには、何を試みるべきかということは、先生方当事者の問題だと思うけど、その前にやっぱり自分たちの成果の相対的な認識というものをする必要があると思うから、私は発表すべきだと思います。

【記者】市区町村別については、今の段階ではどうお考えでしょうか、明記するかについて。

【知事】いいんじゃないですか、それはやっぱり。それぞれの教育委員会があって、それぞれに努力をしていらっしゃるんだから、その成果を相対的に発表するということは私は結構だと思います。励みになると思います。

【記者】三宅島のオートバイイベントについてお聞きします。ホンダに大会を妨害されたというふうに発言されていますけれども、この件について、改めて知事の認識と、東京都として何か対応を考えていらっしゃるのか。

【知事】僕、何人もの人に聞いたんですよね。ただ、その人たちに「じゃ、証言してくれ」と言ったら、証言する人も、しない人もいるでしょう。したとしても、相撲の八百長みたいでね、金を渡した本人が「おれは渡したんだ」と言ってもだね、その写真があるわけじゃないからね。結局、水掛け論になる。

 この問題は、やっぱりね、ホンダのおごりだと思う。僕はだからね、下っ端の重役とか部長に会ったってしようがないんでね。昔、本田宗一郎(本田技研工業の創業者)さんに私も非常にかわいがってもらいました。立派な方だった。あの人が生きていれば、私、乗り込んでいってね、本田のじいさまに「おかしいじゃないか」と言いますよ。あなただってオートバイ屋で育ってきた1人でね。マン島の公道レースのときもだね、今だって、この間、前田君(前田淳 オートバイレーサー)、彼はやっぱりジャケットに「ホンダ」って書いてあったんだから。ですからね、今の社長がどんな人か知らんけどね、私、とにかく抗議に行きます。

【記者】行く予定があるということですか。

【知事】あります。やっぱり大きな人間がね、何の沽券か知らんけどね、ああやって災害に遭って、とにかく立ち上がろうとしている。それをみんなで盛り立てようというイベントに、自分たちが何か好ましくないかどうか知らんけどもね、最初から反対した行きがかりもあったんだろうけどね、公道レースをやっているわけじゃないんだ。

 それを報道して、島の人が喜んでその復興の糧にしようとしているときに、その報道をした人間には、会社には広告料を出さないって。言いかねないわな、これはやっぱり。企業のおごりで。誰がどんな責任で言ったか知らんけども、実際あるわけだから。しかし、その人間ってのが証言してもだね、上に届くかね。裁判にも何もしないでしょう、これは。だったら、私は社長にじかに申します。

【記者】その三宅島に関することなんですが、来週の土曜日、11月の1日に都立三宅高校が創立60周年の記念式典を控えて、その高校生の中でもちょうど島外避難をした人たちもいたし、今現在の生徒は島外避難はしていなくても、復興に、今、立ち会っていますね。今回のバイクレースで久々に島を訪れられ、そして現在、高校生たちもいっぱい頑張っている様子を見て、復興の状況をどのようにとらえておられますか、知事は。

【知事】これはね、これから先はなかなか難しいと思いますね。風向きによったらね、かなりのところでも、安全とされているところでも臭いがしますしね。それから、災害が起こった後、今日までの間に、災害が起こった瞬間のときは何でもなかったんですけど、だんだん、だんだん、ガスが降りてくることで、海岸あたりまで主な立木ってのは枯れちゃった、漂白されて。あれはやっぱり怖いですよ。

 でも、その中でみんな頑張っているわけだけどね、嬉しかったのはね、あの島は率直に言って5つ集落があって、なかなかまとまらないところがある、ものすごく。みんなそれぞれ主張があってね。ところがね、その世情が今度変わってですね。オートバイのイベントをきっかけにしてね、このままじゃだめだというんで、青年部が部落、集落をまたいでね、みんなで一体化してやろうということでまとまるようになった。これは嬉しいことですよ。

 そういう意識がとにかく育ちつつあるのに、それに水をぶっかけるみたいな企業の横暴ってのは、私は、まあ白か黒かってのはなかなか判断しにくいし、証明しにくいけども、あそこまで言わなくてもいいじゃないか、ホンダ様か何かわからんけど、と言う人がたくさんいるわけだ。その人が「よし、おれは証言するぞ」と言ってくれても、これまたなかなか、それによって損害賠償ってことになりませんよね。ですからね、やっぱり上にですね、「こういうことのないように上から言ってくれよ」と言う以外にないね。去年来ていた、バイク関係の雑誌は1つも来なかった、今年は。

【記者】今日株価が急落して、円高が相当進んでいるんですけども、都内の経済への影響をどうごらんになっているのかというのと、東京都として何らかの対策をお考えになろうとしているのか、その辺を伺いたいんですが。

【知事】大まかな報告は聞いておりますけどね、やっぱり非常に影響が出ていますな。この9月の限りでですね、倒産件数の前月比が全国に比べて3倍になりました。これは本当に憂慮すべき状況でね、国も第2次の補正も考えているようだし、東京も、国がどうあろうと、こうあろうと、都なりにこういった事態に対する対策を、予算措置も含めてこれから積極的に検討しなくちゃいかんなと思っています。先ほども財務局長とそんな話もしました。

【記者】前回は、次の補正についてはあまりおっしゃってなかったんですけれども、2次補正みたいなものは前向きに考えるということでしょうか。

【知事】まあそういうものを含めてですね、とにかくプラスアルファの対策ってのを考えなきゃいかんなと思っています。

【記者】具体的にどんなものを。

【知事】それはまだ言えませんな。これから合議することですから。

【記者】先ほどのコンビニの深夜営業のことで、ちょっと追加でお伺いしたいんですが、先ほど知事は、店を閉めるということではないけれどもということでしたけれども、それは電気の使い方を考えろということであって…。

【知事】閉める店もあるでしょう、場合によったらですね。

【記者】子どもたちに深夜まで営業しているということがよくないんじゃないかみたいな考え方もあるようですけれども、その点は知事はどのように考えていらっしゃいますか。

【知事】それは従来ですね、こういう電力の消費が環境問題に非常に深刻な影響を与えるという事態に到来するまでもね、深夜営業ってのはやっぱりいろいろ問題にされていましたがね。これはやっぱり青少年に与える影響だけに限って言えば、なかなかそれゆえに店を閉めるというわけにいかないでしょう。

 しかし、それも含めてね、人間の存在を左右しかねない環境問題が起こっているわけですから、それを抑制するためにですね、自分たちがそれぞれ努力するってのは当然のことだと思うし、まあ何も目的は青少年に対する云々じゃなくて、そういう効果も併存してあるかもしれないけども、要するにこの環境異変、天候異変というものに対処する1つの術として、私は「ちりも積もれば山となる」と思うんでね、やるべきだと思います。

【記者】10月22日にも実は震災訓練が行われたわけですけれども、特に新宿には限らないと思うんですが、大繁華街にはやっぱり落下物の危険性というものが至るところにあると思うんですね。

【知事】落下物?

【記者】落下物ですね。

【知事】自動車から落ちたもの?

【記者】広告看板だとかね。

【知事】ああ、なるほど。そういう意味のね。

【記者】そういう意味で、1つは、避難経路の部分に当たっても、そういう落下物の危険があるという箇所がいっぱいあるわけですね。そういう対応の仕方ですとか、それから例えば大地震が起きた後に、帰宅困窮者問題というのが必ず出てくるわけですけれども、これの対応の仕方などが全然手つかずではないかと思うんですけれども。

【知事】そんなことないよ。

【記者】そのあたりを東京都はどういうふうに考えていらっしゃいますか。

【知事】帰宅困難者の対策はとっくにしていますよ。それはまあ任せておいてください。ただね、落下物はね、これはまたやっぱりいろんな規制があるんでしょうけどね、とにかく取りつける限り、落ちることを想定するようなバカはいないんでね。大体震度どれぐらいの地震までもつか、もたないかということは、これは警察が規制を持って安全を図るべきだと思いますし、その対策をしていると思いますよ。

 昔、1つありました。どっかの繁華街でね、ちょっと名前は忘れたけども、たまたまそこの支店長が私の顔見知りの息子さんだったんで、ほうと思ったんだけども、当然考えるべきだし、そのための規制があると思います。

 帰宅困難者についてはちゃんと措置をしております。あなたが勉強されて訓練に立ち会われたら、認識を新たにされると思います。

【記者】金融庁が新銀行に対して検査結果を通知したと…。

【知事】ですから、これはね、とにかく銀行も努力して、まだ中間の決算報告がでる前にね、どういうルートであの新聞が何を引用したか知らないけどね、これは非常に迷惑ですし、そういう認識を私は持っておりません。

【記者】報道があって、知事としては、新銀行からどんな連絡とか報告、あるいは…。

【知事】とにかく私は風評被害を恐れるね。ああいう先走った報道そのものは非常に迷惑だね。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)