石原知事記者会見

平成20年11月20日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年11月14日(金)
15:02〜15:21

知事冒頭発言

周産期医療体制の整備について

【知事】冒頭、私から、読み上げるものはないんですけども、おそらく後で質問に出るかもしれませんので、事前にお答えしておきますが、この間の例の墨東病院の妊婦さんの痛ましい事故ですけども、ケースとしても、脳出血というものが併発して、非常にレアケースではありますが、しかし、それだけでちょっとやっぱり済まないと思います。

 いろいろ調べました。週刊誌もかなり綿密な報告をしてくれるところがあったりして、そういうものもいろいろ参照しましてね。東京には、都立病院のほかに国立の病院、私立の病院、それから、これは特にマークして、東京の医師会長にもお願いしてですね、市井の産婦人科のお医者さんの動員の態勢なんかもお願いしたんですが、いずれにせよ、そういうファクター(要因)が幾つかありながら、ちょっとそれが束ねられた形で機能する能力を欠いていたという気がします。

 これは、庁内から上がってくる報告を聞き出すだけでは納得いかないところがあるんでね、猪瀬さん(猪瀬直樹 東京都副知事)にでもお願いしてプロジェクトチームをつくって、機能整備というんでしょうかね、東京の医師会とも話したんですけど、それ以上のことをやっぱり考えられるんじゃないか。

 例えば、これもある雑誌に出てましたけども、札幌などでは、これはお医者さんじゃないんでしょう、どういう人でしょうかね、お医者さんだとその人自身もそこでオキュパイされちゃう(従事する)わけだけども、いずれにしろ、こういう緊急の事態のときの、どこの病院にどう送り込むかというふうな差配をする差配師というんでしょうか、コーディネーター(調整役)というんでしょうかね、そういうシステムがあるようですからね、これも参考にさせていただいてね、もっと綿密な機能というものを都内の中で講じていきたいと思っております。

 ただね、これまた言い訳にも決してなりませんが、かなりの数のベッドはあるんですね、産科のための。ただね、調べてみると30%以上が都外の方ですね。要するに、周辺の県のそういう整備が必ずしも東京に比べて厚くないので、むしろ、都外の方々がそこに入院していらっしゃるということも実態としてあるわけでね。

 それはそれで結構なことですし、それを拒否するつもりは毛頭ありませんが、やっぱりそういう事情も含めてね、都内にある機能というのをもうちょっと十全に活用する、要するに一種の機能の整備というものをするために、機能を検証し、かつ建設していくPT(プロジェクトチーム)のようなものをつくって都民の不安の解消にこたえていきたいと思っております。

 私からそれだけのことを申し上げますが、質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】政府・与党で定額給付金の方針が打ち出されまして、交付時期によっては市区町村の窓口が混乱するのではないかという指摘が出ておりますが、この政策の効果についてどうお感じになっているか。あと、自治体の対応についてどのようにお考えになっているか教えてください。

【知事】たまたま一昨日、首都圏を構成している8都県市のサミット(首脳会議)がありました。そこでもこの問題が出てきましてね、中には、こんなものはだめだ、一回白紙に戻せというような強い論もありましたけど、なかなかそうもいかないだろうと。しかし、世論調査をするとですね、60%の人は、そんなもの要らないと言っているという報告もあるが、しかし、そういう調査は調査で限られたものでね。大体、お金をくれると言うのに要らないと言う人はいないわけだからね。それは何らかの効果があるでしょう。ただ、やっぱりね、その配分といいましょうか運用というのは非常に難しいと思うんですね。

 それで、ああいう言い方をして、ばさっとね、区市町村に任せると言われても、これは本当に困っちゃうんでね。中には、川崎の阿部(孝夫)さんという市長さんが、各窓口の地方自治体、東京でいえば区市町村ですね、そこにも税務署があるわけだから、所得加算して、それで、要するに、下限でしょうかね、限界の所得を幾らにするかは別にしても、所得加算してそれで切ったらいいんじゃないかという案もありました。

 とにかくね、出先というか各地方自治体に任せると言われても、これは本当に困るんでね。ニュースでも見たけど、全国市長会の会長の秋田の市長さんが、困る、とにかく国が決めてくれないと私たちはやりようがないんだと言ってましたがね、ちょっとそういう点は杜撰(ずさん)ですな、やっぱり。

 ですからね、これからどうなんでしょう、これが本当に実行されるときに、国がもうちょっときちっと指針を示さんと、要らざる混乱が起こる可能性はあると思いますね。それをもっと整備した形でアナウンス(告知)してもらいたいですな、本当に。

【記者】今の内容に関連なんですけれども、国のほうでは、今回の地方に所得制限を考えてもらうということについて、これは地方分権だみたいなことを言うような方もいるようですけれども、そういった主張についてはいかが思われますか。

【知事】ちょっとていのいい言い方でね、それは地方分権に該当するかもしれないけどね、もうちょっと違うところで本当の地方分権を進めないとね。都合のいいときだけ、地方分権だ、お前たちがあんばいしてやれと言うのは、それは無理だと思いますよ。

【記者】かなり暴論というか、そういう感じがするんですけれども。

【知事】暴論というかね、都合のいい言い分だね。

【記者】今お話がありました定額給付金についても、かなり迷走しているような感じがあると思うんですけれども、もう一つ、道路特定財源の件についても、金額についてもいろいろな話が出ておりますし、麻生(太郎)総理も、昨日のマスコミの取材に対して、最終的には、どういう形で配分するかは自分が決めるというふうに言っているんですが、かなり総理の指示があいまいだというような指摘もありまして、これについて知事のお考えを聞かせてください。

【知事】これもたまたま、一昨日の首都圏の8都県市の首長会議で非常に議論の対象になりました。ただ、皮肉なことにね、中にも政令指定都市がありますね。これは、県単位で東京だけが(地方交付税の)不交付団体。それから、あとの4都市は政令指定都市、これは不交付団体なんですね。ところが、神奈川県とか埼玉県、県とすると千葉県も交付団体でね、思惑が大分違ってくるんですけどね、そういったものを統一して少しやっぱり見解をまとめようじゃないかということで。

 たまたま手元に資料がありますから、これを読み上げるというか説明しますとね、基本的には、国の道路特定財源を地方交付税で地方に配る手法には断固反対であります。一般財源化に際して国から地方に移転する道路特定財源についてはですね、額が多いほうがいいのはもとよりですけど、問題は配り方だと思いますね。

 総務大臣や全国知事会の会長、これは麻生君(麻生渡 福岡県知事)ですけども、地方交付税で配ろうとしてる、これはとんでもない話でしてね。一般財源化、つまり、どういうふうに使ってもいいよという使途の自由化にかこつけて、国がみずからの責任で復元すべき地方交付税の不足分を道路特定財源で穴埋めするのは、これは筋違いで、断じて容認できないということであります。

 また、不交付団体は、これまでも来ていた財源が来なくなれば、東京を初めとする不交付団体の道路整備に致命的な影響が生じることは明らかでありまして、一般財源化に乗じた意図的な財政調整は絶対に認められないということで一致しました。

 道路特定財源の地方への移転は、地方交付税ではなく交付金でということで、国から地方への財源の移転は、財源移譲によるべきだと思います。

 しかし、現実的な問題として、今回間に合わないんであれば、地方交付税によるのではなくて、例えば税源移譲予定交付金というような交付金の形で地方に配るべきだということで意見が一致しました。特にその後段のものは、私が東京の立場から加えて、最初のプロポーザル(提案)というか、あれは横浜の中田(宏)市長からありましたけれども、それで足りないところは東京が意見を申して、こういう形の成文にしました。これは今日か明日でも、代表が総理に届けるつもりであります、官房長官を通じて。

【記者】その件について、麻生総理の指導力といったらあれなんですが、迷走ぶりについては知事はどのようにお考えですか。

【知事】いや、それは彼も就任早々だしね。大体これを言い出したのは、福田(康夫)前総理が突然パッと言ったわけでね。あの言い方も乱暴だと思いますけどね、それを受けてのことですから、多少の混乱はあるでしょうけども、東京は東京の主張を首都圏の代表として、していこうと思っています。

【記者】知事、もう1点だけ、済みません。前回もちょっと同じような質問があったので、大変恐縮なんですけれども、オリンピックの関係なんですが、この世界的な金融危機で、次のロンドン・オリンピックが、かなりお金が足りなくてピンチに陥っているという話があるようなんですけれども、2016年のオリンピックに関して、シカゴがかなりアメリカが金融危機で不利じゃないかと。逆に来年は東京のほうが有利じゃないかという声がスポーツ・ジャーナリストの間では出ているようなんですけれども、それについて、知事のお考えはどうでしょうか。

【知事】これは1つ確かなことはね、情報ですけどね、シカゴは、IOC(国際オリンピック委員会)が1つの絶対条件とは言っていないけど条件にしている、万が一のときの財政の、要するに補てん、つまり、その責任を国が負うという一札がアメリカは出せないようですね、いろいろないきさつからして。結局それでシカゴは保険会社に保険をかけてやるみたいでね、これは財政に関するカードとすると、やっぱり1つのハンディキャップになるんじゃないかと思います。

 ただ、日本の場合もね、まだ閣議決定してもらっていないんだけども、まあ前例がないと言えば、それはすべて新しいことができなくなるんでね。財務省が「前例がない」と。要するに、東京には財務保証するけれども、推進委員会、招致委員会というんですか、それにはそんな前例がないからだめだと言うけど、同じことでね、これは。だから、やっぱり外国人にもわかりやすく文言を整理して、政府にギャランティー(保証)してもらいたいと思っています。

【記者】知事が冒頭に触れられた墨東病院の件なんですけれども、ベッドの件で、30%以上は都外の方だという話に触れられていましたが、今後PTの中で、そういう都外から来る人に関する話というのも出るということなんでしょうか。

【知事】いや、それは仕方ないでしょう。やっぱり東京の機能といったって、首都圏の機能は、昼間、神奈川、千葉、埼玉から300万を超す人たちが来て、東京の運用をしてくださっているわけですからね。現に東京で働いている警察官や都庁の職員だって、半分以上都民じゃないんだ、住んでいるところは。だからね、そんなこと、言っていられないと思いますよ。

 これはやっぱりね、周辺県もその問題について思い切って整備をしてもらいたいけども、それが間に合わない状況には、東京がそれを引き受けざるを得ないけども、それはそれで、これだけの医療のポテンシャル(潜在力)がありながら、それがうまく機能できなかったうらみ(心残り)があるから。札幌は規模も大分小さいでしょうけど、都市としても。しかし、そこでやっているコーディネーターのシステムみたいなのをやっぱり勘案しましてね、もっと合理的に、安全にこの問題が運用できるように考え直そうと思っています。

【記者】いつごろまでに結論を出そうと。

【知事】いや、結論はそう簡単に出ませんよ。ただ、やっぱり一回、機能としての検証をする必要があるからね。そこで再建なら再建、新しい政策が出てくるんじゃないでしょうか。

【記者】井戸(敏三)兵庫県知事が「関東大震災が起きればチャンスだ」というような発言があって、最終的には撤回するということになりましたけど、知事の所見をお聞かせください。

【知事】まあいいじゃないか。正直っていえば正直、バカ正直だけどさ。まあね、言葉としては足りなかったと思いますよ。当人も反省しているんで、あまり深追いはしないほうがいいんじゃない、そんなことは。

【記者】国会で金融機能強化法改正案が議論されています。それに絡んでですけれども、参院の財政金融委員会が25日に知事を招致したいということですけれども、これについて、知事は受けるご予定でいらっしゃるのでしょうか。

【知事】私も公務がありますからね。ちょうど大事なアポイント(約束)もあるんでね。これは時間が折り合いがつけば出るつもりでいます。言いたいこともありますけども。

【記者】先週の会見では、(新)銀行(東京)の経営者を先に呼ぶべきじゃないかということをおっしゃっていたと思うんですが、それが前提条件ということではないんですか。

【知事】いや、違います。要するにどういうことを聞きたいのかさっぱりわからないんでね。ただ「来てくれ、来てくれ」と言うけどね、何についてただしたいかね。そういうことをもやっぱり文書で承った上ででないと。銀行の問題はなかなかシリアス(深刻)な問題ですけども、それを論じていくのは、何というのかな、参考人の呼ぶ順番もあるでしょうからね。

【記者】それに絡んでですけれども、19日に銀行の大塚(俊郎)会長を委員会のほうでは招致したいということなんですけれども、大塚会長のほうでは難色を示しているようです。これについては、知事、どうお考えでしょうか。

【知事】それは知りません。大塚さんは大塚さんの公務があるでしょうから。ただね、この間も言ったけどね、うちの佐藤局長(佐藤広 東京都産業労働長)をだね、その日に決めて「明日出てこい」ってのは、これは失敬な話ですよ。相手は何様かわからんけどね。一番忙しい局長の1人にね、「今日決めたから、国会だから明日出てこい」っていうのは、そんなものはちょっと常識的にやっぱり手続としておかしいんじゃないですか。お互いにいろいろ仕事しているんだから、公人として。

【記者】今の質問に関連して、そうすると、知事は、銀行の責任者が呼ばれる前に知事が参考人招致されたときでも、お出になるという理解でよろしいんでしょうか。

【知事】は?いや、ですからね、何を聞こうとしているかわからない。要するに、参考人としてしゃべるべき主題というものがわからないんだからね。それだったら、やっぱり何も国会のためだけじゃなく、国会の議論を通じて、国民、都民が実情をちゃんと理解していくためにも、参考人を呼ぶ順番というのはおのずとあるんじゃないでしょうかね。

 私の関与しているのは、新銀行の創立、戦略的な問題に関しては、私、責任あるし、自分が提案しました。しかし、その後はやっぱり都も絡んだ銀行という組織の問題ですからね。そういう機能ということからすればですね、何を聞きたいか知らんけども、参考人として呼ぶ順番というのはおのずとあるんじゃないかな。

【記者】仮に前に呼ばれている銀行の責任者の方が辞退されている場合は、まず自分から行くというのは順番がおかしいというふうなお考えなんでしょうか。

【知事】ですから、私に何を聞きたいんだか、さっぱりわかりませんから。それによって私は姿勢を決めます。

【記者】定額給付金の話に戻ってしまうんですが、先ほど区市町村に任せると言われても困っちゃうでしょうというような発言がありましたけれども、実際に悲鳴が上がっているかと思いますけれども、東京都として、市区町村を支援するような体制づくりというのは考えていらっしゃるんでしょうか。

【知事】だから、一昨日の首都圏サミット(8都県市首脳会議)でもその問題が出たんですけどね、やっぱり具体的な運用の方法ってのをちゃんと、きちっと明示しないとですね、そちらでうまいようにやってくれってことじゃ、本当に済まないと思いますよ。

 そこで、だからね、私は阿部さんが言った所得加算をするというのも1つの案だと思うけども。それだと、税務署が機能するわけですからね。

【記者】先ほどの金融機能強化法案で質問が出たときに、25日に知事、公務があるというふうにおっしゃられていましたけれども、公務と、これまでに知事がおっしゃられている、呼ばれれば行って話したいというのと、どちらが優先することになるんでしょうか。

【知事】それは公務でしょう。

【記者】では、もう必然的に25日は呼ばれても行かないという…。

【知事】いや、その折り合いをつける話です。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)