石原知事記者会見

平成20年12月11日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年12月5日(金)
15:02〜15:20

知事冒頭発言

「東京オリンピック・パラリンピック招致サポーター大集合!」について

【知事】冒頭、私から一つだけ申し上げます。

 「東京オリンピック・パラリンピック招致サポーター大集合!」というイベントを行います。開催都市決定まで残り1年を切りましたが、招致活動を盛り上げるイベントとして、この集会をですね、来週12日の金曜日、午後5時半から国立代々木第一体育館で行います。水泳のメダリストの北島康介さんや陸上の朝原宣治さんなど多くのゲストを呼びまして、応援メッセージやパフォーマンスを繰り広げる予定であります。

 会場には、若者から高齢者まで幅の広いサポーターが集まって、熱気あふれる応援をしてくれると聞いております。私も当然参りますが、ぜひ多くの都民、国民の皆さんに会場に足を運んでもらいまして、大いに盛り上げてオリンピックの招致につなげたいと思います。

 私から申し上げるのは以上です。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】子供たちの携帯電話の使用に関してお尋ねしたいのですが、大阪府の橋下知事が一昨日、子供たちの携帯電話の使用が、学力の低下やいじめの温床になっているなどとして、府内の小中学校では全面的に持ち込みを禁止するというふうに宣言しまして、それに対して保護者のほうからは、緊急避難的な意味合いで、ちょっと厳し過ぎるんじゃないかというような反対意見もあるようなのですが、このことに関して知事の所見をお願いしたいんですが。

【知事】これね、東京ではね、(公立の)小中高等学校に持ってくることは一応禁止しているんですよ。ただ、高等学校の場合にはね、持ってきてもですね、校内では使うな、教室では当然使うなという指導をしていますけどね。

 これはやっぱりいろんな物の考え方があってね。文明の1つの何か進展、なおかつ便利なツールですからね。ただ、それを小学校、中学生の子どもが持って回るというのは、このごろ忌まわしい事件もあるから、子供の所在、GPSを確かめるための発信源としてもうんぬんということもありますけども。私は携帯電話を持ったことがないので、おかげで教養の水準を保っていますが、持ったら下がるかね、これ。わからんね。

 うーん、学力低下につながる要因はもっともっとほかにもあるだろうし、携帯もその一つの原因かもしれませんな。まあいろいろな何か機能が、どういうのかしら、備えられているから、遊びの道具に使うし。

 まあしかし、いじめは違った形でいろいろ今までありましたからね。これがそのいじめの現象をアクセレート(加速)しているというのも、また一つの物の考え方で、うーん、まあ、それに対していろいろ評価もあるだろうね。橋下君は橋下君で頑張ってやっているんで、私も強く言いませんが、東京都においては大体そういうことになっています。

【記者】行政が子供たちの生活にそこまで立ち入るのはどうかという意見もあるようなのですが、行政がこういう指導をすることについてはどういうふうに。

【知事】それは当然、1つの問題点として指摘されるでしょうね。これは本来ね、親がね、買って与えるものだから、親がいかんと思ったら、買わなきゃいい、与えなきゃいい。それから、使用の制限もしたらいい。ですからね、親がそういうものを与えるようになっているのでね、結局何というのかな、学校も頼りないから、あまり学校がまた親以上のことを言うと、いろいろモンスターペアレント(学校に対して自己中心的で理不尽な要求を繰り返す保護者)が出てきてうるさいんでね、まあ行政の首長がそういうことを言い出したんでしょうけど。本当は、こういった問題というのは、子どもの情操教育からしつけにかかわることですしね、私は親が判断することだと思いますけどね。

【記者】今日のニュースなんですが、ホンダがF1から2008年をもって撤退というのを発表したようなんですが、知事の所見を。

【知事】知らないよ、F1なんて興味がない。

【記者】バイクレースでいろいろなこともあったようですが。

【知事】F1というのはね、またいろいろ国際ルールがあってね。つまり、白人社会、特にヨーロッパはこういった問題に非常に介在してきてだな、例えば東洋人が得意なものというのはルールを変えて抑制しようとする。例えば、荻村君(荻村伊智朗 元国際卓球連盟会長)が理事で頑張ったから防げたけれども、かつては卓球、ピンポンは東洋人がうまいというのでね、卓球の台をですね、20センチか30センチ高くしようという案があった。それから、日本の選手がオリンピックの種目の(スキーの)ジャンプで活躍すると、ルールを変えて飛びにくくしたりね。F1もね、何かホンダかどこかの、エンジンがすごく優秀だというと、それを抑制するみたいなルールをくっつけたりしてね。まあね、スポーツは強いようだけど、決してフェアと言えないような妨害はいろいろあるみたいですな。

 ホンダがやめた理由はわかりませんよ。しかし、何かそんなことでうんざりしてやめたんだったらね、それはそれでホンダの判断でしょう。

【記者】背景に経営の悪化とかがあるようですが。

【知事】それはおれに聞いていないで、ホンダに聞いてくれよ、そんなものは。

【記者】ちょっとホンダの質問がしつこくて申しわけないんですが、三宅島でホンダが妨害をしたというようなことを知事、おっしゃって、その後、社長に直に会いに行く段取りをつくるというお話もされていましたけど、そちらのほうの進捗といいますか、どの程度まで進んでおられますか。

【知事】どうだ、どうだと言いましたらね、うーん、ホンダのどの立場の人間なのか、訳のわからない返事が来たね。言い訳とも何ともつかないみたいな。秘書から聞きましたがね。忘れちゃったね、何か訳のわからない言い分で。

【記者】基本的には、知事のおっしゃっていた内容を認めるような回答だったと。

【知事】両方にですね、公道におけるレースに対する考え方に違いがあったようだとかこうだとかね。違いがあったら教えてくれたらいいんだよね。何も公道レースをやっているわけじゃないんだから。ほかのイベントに出かけていく、とにかくホンダのどなたか知らんけども、要するに意向に沿わないやつはだね、広告料を出さないなんていうことを、社長は言わない。それほどばかじゃないだろうから。何か下っ端の役員かだな、部長かそこらが言ったんだろう。部長なんて変に権限を持っているからね。ということで私が怒ったわけですけれども、何かわけのわからない返事が来たな。

【記者】社長とお会いになるということは。

【知事】いや、申し込んだけど、向こうが忙しいというので来ないんだから。F1で忙しいんじゃないの。

【記者】本日、荒川区議会の委員会で野性の猫やカラスへの迷惑な餌やりを禁止する条例が可決されました。カラスなどの餌やりで鳴き声やふんの害で住民が迷惑している場合に、区がやめるように指導して、従わない場合は罰金を科すものですが、東京都でもそういった条例を制定することを検討するのか、知事のお考えをお聞かせください。

【知事】まだそれは聞いていません。ただね、典型的ではね、イギリスのトラファルガー広場というのはハトがたくさん集まってね、そのふんの公害でみんな往生していてね。結局あそこで、どういうんでしょうかね、餌をやっちゃいかんという規則をつくってですね、ハトを駆逐までいかないんだろうけど、やっぱり自然の世界に生きている動物というのはね、それなりの試練に耐えて、生存を果たしているわけで。

 それをどういうセンチメント(感情)か知らないけど、人間が過剰な餌を与えて生きやすくすることでモノが増えていくということは、カラスの例を見ても、カラスは非常に利口な動物ですから、鳥ですからね、ちょっとこれはほかの動物が及ばないとこがあるんだけどね、私は、人間のそういう動物の愛護とまではいかない、好きな動物にどうのこうのというセンチメントが、生存の循環を狂わせるということは感心できないと思いますな。

【記者】猫も対象に含まれたことで、愛護団体から反発も出ているようですが、それについてはどうお考えでしょうか。

【知事】猫の好きな人、嫌いな人がいるでしょうけどね、猫もまた同断なんじゃないんでしょうか。

【記者】昨日、首都大学のほうから発表があったんですが、次期学長に原島さん(原島文雄 東京電機大教授)が選ばれました。まず原島さんが選ばれたことについての所見と、それから知事みずから初代学長として選ばれた西澤(潤一)さんのこの4年間の取り組みへの評価、2点お願いします。

【知事】これはもうね、西澤先生には非常にお世話になりましたね。首都大学が統合してできる前のことでありましたけども、立派な方なんで、私も出かけていって、特に岩手県の知事の増田君(増田寛也 前岩手県知事)を呼び出してね、ぜひそのまま岩手(県立)大学(学長)に留任じゃなくて、東京のほうに人材として迎えたいということを申しました。とってもよくやっていただいて、先生の在任中、非常に実効が上がった、学校が立派になってきて、非常に大学に対する期待値の高い大学になったと思います。ただ、幾分高齢でいらっしゃるし、ほかの研究も大事にしていらっしゃいますからね、つい先日その報告を聞きました。

 それから、原島さんはこれはやっぱり立派な方でね、次の学長たるにふさわしい方だと思いますよ。ただ、これは断っていただきたい。いろいろあったみたいだけどね、あの大学の人事ってのはもう私の手を離れていましてね。これはやっぱりそのためにいわゆる企業でいうCEOのような理事長がいるわけですから、その人の主宰する、彼が独断で決めるわけがないだろうから、次の学長を決める会議などあったんじゃないんですか。

【記者】都の行政のほうでも力を入れていらっしゃいます新型インフルエンザについてお聞きしたいんですが、先日、国から行動計画改定案が出されたと思うんですが、その中で、国内へのウイルス侵入を阻止するのはほぼ不可能だと打ち出しております。

【知事】そんなの、昔からわかっていることだ。今ごろ気がついたんだ、国は。言い訳で持ってきただけだよ。

【記者】で、国の政策が封じ込めから大流行したときへの対策と方向転換したことについて、国の方向転換を知事はどうお考えになっていますか。

【知事】遅過ぎると思う。アメリカやスイスやヨーロッパの幾つかの富裕な国はね、国民の数だけの、これはあくまでプレですけどね、プレパンデミック(汎流行前)のワクチンの原液を作っていますよ。日本は遅れ過ぎているんでね、恐らく2,000万人分しかないんでしょう。

【記者】はい。

【知事】ですからね、誰と誰が当たるんだといったらね、幸い県知事はもらえるそうだけどね、うちの家族はもちろんだめですしね。消防、警察、お医者さん。国会議員ももらうんだと言うから、国会議員、あんまり役に立たないけどな。まあそんなことで、それをもう少し数を増やすってのは大事なことじゃないですか。私は、タミフルの備蓄だけではとても足りないと思うから。

 それで、大事なことはね、プレパンデミックワクチンってのは本当に効くのか、効かないのか。それから、新しいワクチンですから、副作用があるか、ないかね。お医者さんたちが要するに自分でやってですね、その結果をもうはっきり発表したらいいんだけども、別に問題はなかった。せめてプレパンデミックのワクチンだけは備えて作るべきだと思います。それで、東京は東京でそのための予算を割いてもいいと思っていたけども、いろいろ妨害、障害があると聞きましたんでね。

 ただね、東京は、こういう自由経済社会ですから、日本にはワクチンを作るインフラってのは、むしろアメリカなんかよりありますんでね。こういったものを活用して、どっかの製薬会社に発注してもいいなと思ったら、これは実は国の、政府の中から、それは多分だめでしょうと。そういうことをされても、製薬会社が受けてもですな、恐らく厚労省がメンツの上で圧力かけてきてつぶれるでしょうって、そういう予測がありましたがね。なるか、ならんかわからんけども。まあしかし、国がそういうふうに基本的な姿勢を変えて積極的に乗り出したのは結構なんじゃないんですか。すべきだと思いますよ。たとえ空振りに終わってもね。

【記者】これを受けて、自分たちのほうで、最近、新型インフルエンザについて多く報道されていると思うんですけども、実際に街頭インタビューとかをしていますと、都民の間では非常に関心が薄いというか、危機感のほうが薄いと思われるんですけども、知事はこの問題について、危機感が足りないとお考えになっていますでしょうか。

【知事】というか、やっぱりね、そういう何ていうのかな、情報ってのを普遍させると、それじゃ政府は何をしてくれるんだってことになるからね、金目の問題も考えて今まで手控えていたっていうかね、むしろそれは抑制されていたと思いますけどね。

 この間も私、ある専門家から聞いて、お目にとまったかどうか知らんけども、2〜3カ月前の「文藝春秋」っていう月刊誌でですね、専門家2人と対談して、国民がもうちょっとこの問題について不安を感じてもいいんじゃないかっていう、そういう情報を提供しましたけども、これは本当に厄介なんですよ。本当にいつ来るかわからない。現にですね、限られた範囲だけど、家族を看護し過ぎて密着してたんで、その家族がたくさん死んでいますしね。それから、専門家に言わせると、中国に何が起こっているかさっぱりわからない。これはこういうものの情報が伝わってこないから。

 かつて香港でこれがはやり出して鳥がバタバタ死んだときに、私にその情報を提供した日本の専門家がですね、マーガレット・チャンという、あの頃の香港はちょっと今と違っていたんだけども、香港の福祉、そういう厚生の大臣格の女性に、これはWHO(世界保健機関)の同僚だったらしくてね、もう即座に鳥を焼けというんで、香港はそのときは数十万羽の鳥を焼いたんですね。だから、あそこは流行の大発生源にならずに済んだんだけども、同じような現象があちこちで起こっていますしね。特に広大な中国の中でどういうことが起こっているかわからない。それを世界の専門家がみんな心配していますな。やっとわかったときは、それはね、こんな人間の出入りが激しいときにですね、しかも日本みたいな海岸線の複雑さゆえに簡単に密輸入が行われているときに、飛行場なんかの検疫だけ徹底して防げるもんじゃありませんよ、これ。

【記者】新銀行のことなんですけれども、27日に取締役会で公的資金の注入をしなくてもいいんだということを決めたというふうに聞いていますけれども、これについて。

【知事】結構なことじゃないですか。その必要がないだけで、追資し、減資してですね、資本の保有率も上がってきたし、それからあの限られたメンバーがそれで頑張ってね、水平飛行から少し上昇の兆しが見えてきたんで。

 まあそのほかに私は思い切った手だてをしなくちゃいかんと思う。これは何も公金の注入ってことじゃなしに。これは今ここで申しませんがね、やっぱり東京のポテンシャルについてね、過去1年間、去年か、よく勉強したけども、外国のファンドも含めてね、要するに金融筋のほうがよほど東京の認識が厚くてね、どうしてこんなことをしないんだって忠告が随分ありましたがね。今度、肝心なその連中たちがこの間の金融恐慌でね、なってしまって、今、またほかの、ちょっとここで申せませんけども、ある手だてを考えております。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)