石原知事記者会見

平成20年12月25日更新

石原知事定例記者会見録

平成20(2008)年12月19日(金)
15:01〜15:32

知事冒頭発言

1.「10年後の東京」への実行プログラム2009の策定について

【知事】冒頭、私から3つほど申し上げることがあります。

 最初は、2016年、オリンピックと重なっているわけですけども、その有無にかかわりなしにですね、近未来の東京のイメージについて問われておりましたので、そのために10年計画という形で10年後の東京を想定してのプログラムを組んでやってきましたが、本日ですね、この実現に向けての途中経過で取り組みを加速する3年間のアクションプランとして、「10年後の東京」への実行プログラム2009を策定しました。

 今回の実行プログラムでは、「10年後の東京」に掲げる8つの目標の確実な実現に向けて、これまでの取り組みの現状を改めて分析の上、「低炭素型都市の実現に向けた先導的プロジェクト」など意欲的な10の新規施策を含む44の施策に取りまとめました。

 例えば、東京マラソンのコースはもちろん、都内5地区9路線で街路樹を集中的に整備して、美しい街路を再生するとか、臨海地域をモデル地区として、船舶のアイドリングストップや民間事業者と連携しまして太陽光発電設備を集中的に設置するメガワットソーラープロジェクトなど先駆的な事業を展開してまいります。若者が将来に意欲と希望を持てるように、年長フリーターの正規雇用化対策や、漠然とした不安感を抱える若者に対する総合相談窓口の創設などであります。

 3年間の事業費は約1.9兆円、平成21年度は約5,900億円であります。今後、都財政も厳しい局面を迎えますが、これら実行プログラム事業は、環境、安全、産業など、いずれも都民、国民のためにやり遂げなくちゃならない取り組みだと思っております。次世代に夢と財産をつないでいくためにも、東京をさらなる成熟に導いて、より美しく、安全で住みやすい、住み心地のいい21世紀の都市モデル実現へと進化させる確かな歩みを、都の総力を挙げて進めてまいりたいと思っています。

 今年もわかりやすい冊子をワンコイン、つまり100円で販売します。都民の皆さんもぜひご一読いただきたいと思います。

2.平成21年度予算編成について

【知事】次いで、なかなか厄介な時代になりましたがですね、平成21年度予算編成についてですけども、既に公表しましたように、来年度の税収は過去最大の減収となる見通しです。この現況を踏まえて、庁内に対してですね、年明けの予算査定に向け、歳入歳出両面にわたり、再度洗い直し作業に取り組むように指示しました。

 歳入といってもね、余計なものは、まあ売れれば売りたいんですけど、こういう時代ですから、土地にしたって値段が下がっていますし、そう大きな効果は見込めないかもしれないが、いずれにしろ、自助努力の1つとして、それを徹底してやろうということであります。

 東京都の来年度予算は、日本が危機に直面するこのときだからこそ、今まで培ってきた都財政の対応力を駆使しまして、まず都民に安心と希望を与える予算にしなくちゃならないと思います。東京までがこんなことになったのかという印象の予算は避けたいと思って、それに今、腐心しているわけですけども。

 同時に、経済危機がこれからどうなっていくか予測できない中にあってですね、安易に今までの蓄えに頼ることはなく、今後に備えて財政の対応力を維持していくことにも心を配る必要があると思っています。なかなか難しい作業ですけどね。

 こうした観点に立って、編成作業終盤のこの時期でありますけども、都民施策に影響を与えないことを前提に、全庁の知恵と工夫を出し合って、事業内容、執行方法の見直し、あるいは歳入確保の努力などについて集中した取り組みを行おうと思っています。

 年明けからの予算査定では、その作業結果も見た上で、都民が直面する危機への対策、東京の将来を見据えた施策、この2つにしっかりと対応した、都民の期待に応えられる21年度予算を編成していきたいと思っております。

3.羽田空港再拡張事業の無利子貸付について

【知事】3番目に、私が言い出してですね、(自由民主党の)当時の亀井(静香)政調会長も同意してくれまして、瞬間的に決まったんですけど、その間、工法のですね、何と言うんでしょうね、選択で余計な時間がかかったんですが、4番目の羽田の滑走路の拡張工事の問題ですけども、昨今の急激な物価の変動によってですね、工事費が非常に大きな影響を受けております。最近は物価も下落傾向にありまして、昨年から今年にかけての物価高騰時に行われた工事は、当初契約時に比べて工事費が著しく増加しました。

 そのためですね、国交省は、契約上に、長い期間工事するわけですからね、物価が変動したりしたときは、スライド条項というものを構えまして、それを適用して工事費を増額せざるを得なくなったということで、都に対して無利子貸付金の増額の協力を要請してきました。現在の協定書には事業費が増額した場合の規定はなくて、要請に応じる義務が直ちに生じるわけではありませんけども、都が言い出して、都が協力を拒否すれば、財務省は増額分の当初予算計上を見送るとしておりますから、この結果ですね、必要な予算枠は確保されずに、資金ショートに陥り、工事中断やペースダウンが避けられず、空港の開港、供用開始が非常に遅れます。

 ということで、世界の現況の中で一刻も早く実現しなくちゃいけない首都圏空港の容量拡大や羽田からの国際線の就航が遅れますから、莫大な経済効果の先送りや国際的信用の失墜等の結果を招き、国全体の大きな損失になりかねないと思います。再拡張工事は、これまでも国と自治体との緊密な協力によって異例の早さで進められてきておりまして、この関係は今後も維持して、再来年10月の供用開始を何としても実現する必要があると思います。これはもう東京のためだけでなくて、首都圏のためではなくて、日本全体のために必要なことだと思いますので、こうしたことからですね、我が国全体の大局的な見地に立って、東京都は今回の国の新たな要請に対して協力を行うこととしました。

 なお、協力要請を受けるに当たりまして、羽田のさらなる国際化の推進など、拡張事業の効果を十二分に発揮するために不可欠な事項を、国に対してもより強く要求してまいります。大体決まることは決まっているんですがね。まだ発表の段階でないので発表してないこともありますけども。

 ただ、この間ね、困ったことにね、神奈川県と横浜と川崎市がですね、川崎は最初は仕方がないと踏み切ってくれていたんだけども、3者協議している間に、本来これは筋じゃないということでね、額は東京に比べれば少ないんですが、増額はしないということを言い出しまして、この間、松沢君(松沢成文 神奈川県知事)を説得したんですが、うーん、何ですかね、彼なりの原則論で、話が違うということで。話が違うといったって、世間の経済動向でこうなっちゃったんだから、金目の問題でも対応せざるを得ないんですけども。

 しかし、やっぱりこれから先ですね、全体の状況を見て、神奈川の3セクターも良識的な判断をしてくれると思いますけども。ここで東京が引いてしまったらね、本当にこの工事、頓挫しますので、工事が滞りなく進行していくためにも、東京都は国の要求に応じることにしました。その後、なお神奈川の3者も説得していきたいと思っております。

 もう1つ、神奈川口というんですかね、どこに橋かけて、今の拡張された羽田空港を神奈川につなげるかの問題があって、大田区はですね、大田区の利害でトンネルと言うけど、トンネルはちょっとなかなか工費の問題で難しいと思いますがね。今度、どこに橋をかけるか、また、いつまでにするかということの問題がありますが、これは当分ペンディングにならざるを得ないと思いますな。

 はい、私から申し上げることは、それだけです。

 質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】2週間前にも出たんですけれども、携帯電話のことを改めてお伺いしたいんですが、教育再生懇談会も、小中学校への携帯電話の持ち込みを原則禁止する方向で答申を出しているんですが、改めて国までも子どもの携帯電話について対策に乗り出しているという現状について、改めて知事の見解をお願いしたいんですけれども。

【知事】要するに結果としてだね、教育に悪しき影響を与えているということなんじゃないですか。使い方の指導の問題もあるだろうけどね。

【記者】東京都として、改めて何か意見表明みたいなものをしていくような考えはありますか。

【知事】今のところありません。それは教育委員会に任せてますし。

【記者】麻生首相が12日に新たに生活防衛対策を発表したんですけれども、まず、前回分と合わせて44億円もの金額に上るんですが、このことについて、まず所見を1つお伺いしたいんですが。

【知事】僕、それ、内容を詳しく精緻してないんでね。どういうアイテムなんです?

【記者】住宅とか、特に生活にかかわるような点において予算を…。

【知事】44億?

【記者】44兆円です。

【知事】ああ、そうでしょうな。44億は随分少ない。

【記者】済みません。

【知事】まあね、これから先、どれほど火の手が広がっていくかわからないけども、国民の生活の保障というのはいろんな問題があるでしょうけども、その額が妥当かどうかわかりませんな、これはやっぱり。将来の展望もあってね。

 話を転ずるわけじゃないけどね、ルーズベルト(第32代アメリカ合衆国大統領)の時代もね、やっぱり世界大恐慌、特にアメリカ、疲弊し切っていたんだけど、あのリセッション(景気後退)は何で持ち上がってきたかといったら、ニューディール政策(世界恐慌時にルーズベルト大統領が行った経済政策)じゃないんですよ。ニューディール政策の結果なんて、それを成功した、成功したって、ニューディールといったらルーズベルト、ルーズベルト、ニューディールになっているけど、実際あのリセッションが持ち直してきたのは戦争なんでね。日本との戦争が始まって、世界戦争が始まってね、第2次世界大戦でね、戦争というのは最大の消費ですからね。

 しかし、今そんなことをできるわけもないですしね。そうなってくると、よほど手を講じないと、この景気の動向というのは、なかなか持ち上がってこないんじゃないかな。日本は日本で、それなりに苦労しなくちゃいかんだろうし。

 そうですね。まあ、これね、関係ないようで実はあるんですけどね、医療の問題、福祉の問題もそうですがね、日本ほど高福祉・低負担の国はないんですよ。こんな、財政のスキームを持ってる国なんてありませんよ。それでね、片っ方で消費税なんというのはね、これを目的税にしてですね、福祉のために使う、医療のために使うと言ったって、上げること反対でしょう。

 これは何か変に腫れ物みたいに誰も触れないけどね、私、やっぱり、その財源というものを確保するために、税制というのは相当考え直さなくちゃいけないと思うが、言うことが恐ろしくて誰も口にしない。

 そういう中でね、このパニックになりつつある社会情勢、経済情勢の中で、44兆円で国民の生活を少しは支えようということは、気持ちはわかりますけどね。やっぱりこの国のね、ある意味じゃ国民の甘えと言うかな、非常識と言うかな、それが当然なんだという、そういう何と言うんでしょうね、おごりともつかない、何て言うんだろう、考え違いですね。私、そう思いますよ。

 あのね、昔、池田勇人という、総理大臣になったけど、あの人が大蔵大臣のときにね、食糧危機のときにね、お米が足りないといったときに、「貧乏人は麦を食え」と言ってね、それで失脚したんだけどね。しかしね、分相応ということもあるわけだね。これはね、とにかくどういったらいいんですかね、所得のかなり違う人も、全部とにかく日本国民の健康というものを、社会保障のシステムの中で国家が保障するということはできませんよ、こんなこと。どうするかといったら、やっぱり身分に応じての財源負担、つまり税負担ということになるでしょう。だったら、一番消費税がいいんじゃないですか。貧しい人はそんなに物買えないんだから。

 ただ、やっぱりこれは昔も議論しましたし、議員のときに。やっぱり生活必需品というものを、除外するということは当然のことでしょうけども。そのときにね、コンビニで売っているおにぎりとね、お米屋さんで売る米をどう識別するかの問題等があって、かなりいろいろ論議が侃々諤々(かんかんがくがく)あったけども、結局、話そのものがつぶれちゃったんだけど。

 やっぱりね、その場その場はね、結局結果としては、国民の子孫に借金を残すような形で、国債を多分出さざるを得ないでしょう、今みたいに。そういう形で、その場をしのいでいくことが、やっぱり大きな反省にさらされる時期に来たんじゃないかと私は思いますけども。

【記者】それと、生活面はそうなんですけれども、今年最後なので、もう1つ所見をお伺いしたかったんですが、都市基盤整備の部分で、大都市部の環状道路の今の未整備の部分を含む、外環のことを主に指しているんですけれども、今年は進捗があるかなというような形で取材を進めていたんですが、最後まで現状維持が続いていたということなんですが、これについて知事の所見をちょっとお伺いしたいんですが。

【知事】これはね、今の民主党の党首の小沢一郎君がね、金丸(金丸信 元自由民主党副総裁)実質将軍の下に幹事長でいるときに、あのアメリカの言いなりになってですな、8年間で400兆のむだ遣いした。国債をどんどん出して、作らなくてもいい道路を作って、結局430兆使ったんだ。

 そのときにね、文明工学で言ったって、大都市の環状線というのは、どんなふうに考えても必要なものを、なぜかね、これは私の責任かもしれないけど、やっぱり東京から出ている国会議員がですね、都市工学というものに精通してないからね、何か変な形で力のある、予算を分捕る力のある人間で、それは中川一郎(北海道選出の元衆議院議員)なんて、私の兄貴分で兄弟分だったけど、あそこに行くと、その先に何も町がないのに4車線の道路ができちゃうわけだよ。

 うちの息子が国交省か何かの大臣してて、そうか、行革か。とにかく田舎に行きゃ、夜中に熊しか通んない道があると言うけど、そんなものがあちこちできちゃったわけ。それで結局、東京の環状線というのは、東京から出ている国会議員の力が足りないか何かしらんけど、取り残されちゃったわけですよ。

 今になってね、ますます都市に対する集中集積が進んでね、人口も増えている。昼間人口がですね、400万も増える。そういう中でね、とにかく東京はかなりいろんな利点を持っているけど、唯一の欠点というのは渋滞ですよね。時間というのはお金ですから。

 ですからね、今どういう経済状況になろうと、道路を一切作らんというわけにいかんでしょう。ならば、何を優先して作るかだったら、これはね、国交省だってわかっているけども、まあお役人はね、わかってても言えない節がありますからね。

 ということでね、国の財政も多端だということで、これは私が同意したと言う人いるけど、同意じゃないんですよ、これね。東京の法人事業税の配分基準というものを変えるというのは、国の一方的な権利だからね、同意も不同意もないんだ、こんなもの。ただ、行政訴訟でもするなら別だけどね。その方法もいろいろ考えなくちゃいけないと思うけど。これ、このまま毎年毎年やられたら、とてもたまったものじゃないですからね。まあ2年ぐらいということであったんだけども。

 しかも、それだけの負担を東京が甘んじて、要するにかぶっているのにね、首都の最大欠点である、日本全体の道路行政からいったって、何に一番プライオリティが高いかといったら、むしろ学校の生徒のほうがよくわかるんじゃないかな。政治家がむしろわからなくてね。だから、私は「その3000億、我慢しましょう」という同意をしたときに、「社会工学的にも、やっぱりこの道路を完成しないと、日本そのものが麻痺しますよ」ということで、「積極的に考えましょう」と、よくわけのわからない総理大臣だったけども。それだから言質になったか、ならないかわからないが、そういう約束はしましたけどね。

 これは何も都知事ににわかになったから言うわけじゃない。今まで凍結してきたことそのものがおかしいんだ。だから、扇君(扇千景 元国土交通大臣)のときにね、エイヤッというんで、2人で組んで凍結は解除したけど、その後はやっぱりね、今まあやっと工法も変えてですね、地下で、ある部分つくらざるを得ないだろうということで、これはお金かかるんですが、そんなこんなで前進の兆しが見えてきましたけどね。

【記者】わかりました。ありがとうございました。

【記者】今日、日銀が利下げをしたんですが、ゼロ金利じゃなくて、0.1%だったんですが、このあたりも含めてちょっとご意見を伺いたいんですが。

【知事】いや、それはそちらが専門家なんで、意見、聞かしてくれよ。まあこれからまたデフレだろうね。

【記者】先ほどの高福祉・低負担の話に少し重なるかもしれませんが、今年、後期高齢者医療制度という制度が導入されて、すごく社会保障への不安というのも高まった中で、日の出町が来年4月1日から75歳以上の医療費を無料にするという政策を打ち出していますが、知事はこの政策自体の評価をどのようにされているのかということと、あとこのやり方について、町長のワンマンだというふうな批判もあるようですけれども、その辺どういうふうに見ていらっしゃいますでしょうか。

【知事】それはあなた、日の出町の取材をした?あそこへとんでもないのができただろう。つまり、イオンの大モールができたんですよ。これ、棚からぼたもちなんだよ。そりゃ金が入ってくりゃ何に使うかといったら、一番喜ぶことに使うんだからね、國太郎さん(青木國太郎 日の出町長)はだね、ワンマンか何か知らんけど、あの人に言わせると、「国は太郎、東京都は慎太郎、日の出町は國太郎」と言って、えらい張り切ったおじさんだけどさ。まあやるでしょうよ、そりゃ。

 それをもってね、ほかの地方自治体がけしかるぞ、けしかると言ったって、それはうらやみ、そねみの域を出ないんでね。使いようのないぐらい金が入ってきているかもしらないから、それはやっぱり國太郎先生は、「よし、おれも年寄りだし、年寄りのために役に立つよ」ということでね、天から降ってきたぼたもちをだね、皆に配るっていうのはしようがないよな、これはやっぱり。町としては貯金したってしようがない。まあ、うらやましいんなら、みんな日の出町に引っ越して、日の出町を支援したらいいよ。

【記者】まず、税収の関係で予算に当たっての指示を出されたということなんですが、これまでも経費の削減というのはかなり進めてきたと思いますけれども、今回の7,500億という部分が果たして経費削減で実現し得るものなのかどうかというのについて、知事の所見をお伺いしたいのと、あともう1点、緊急対策2で、延べ50万人の雇用ということですけれども、雇用情勢が不安になる中で、さらに追加の雇用対策を打ち出すお考えがあるかどうかについてお聞きしたいんですが。

【知事】前半の問題はね、これはね、これからの予算編成のタクティクス(戦術)の問題でね、あんまりね、こういう状況になったんで、にわかに印象の悪い、みんながガクッとくるみたいな予算編成ってのはできるだけ避けたいけども。それから、来年がね、とにかくもうちょっと今よりもよくなるという見通しがあるか、これはとても難しいですよ。となればね、まあ何というのかな、まずステディー(安定的)に出て、今からとにかく財布のひもをだね、絞り尽くすってわけにいかないだろうからね、まあその苦労をしていますから、これは予算が決まったときにまたご批判なり、その評価をしていただきたいんですけども。

 後段のものはですね、まあやっぱりね、景気が悪くなったな、嫌な世の中になったなあという一番のイニシャル(最初に起こる)ってのは、失業者だね。街にそういう人たちがあふれれば、非常に街の雰囲気も悪くなりますしね。ですからね、東京はいろんな可能性もあると思うんで、といってね、葉っぱが1枚も落ちていない公園を毎日毎日労働者が掃除するわけにいかないんだよな。

 だから、そういうことはね、例えば一時ね、ホームレスの人たちが、働く意思があるんだったらやってくれということで、三多摩の森の整備なんか回したんですがね、これ、体力がなくてね、みんな続かないんでだめになっちゃった。ただ、やっぱりね、そういったものはね、企業も乗り出してくれているぐらいですからね、森林の整備ってのは、非常に過労な肉体労働かもしらんけどね、そんなものを含めてね。

 それからね、調べてみるとね、介護の要員、これは(訪問介護員)2級の人たちは、ちょっとした講習を受けたらね、できるんですね。例えば家庭でね、自分の家庭で年とったおじいちゃん、おばあちゃんを介護している夫婦なんかね、別に介護士の資格を持っているわけでもなくて、もっと血の通った介護ができているわけだからね。そういう制度というのをもう一回洗い直してね、そういうところに職を失った人たちを供給するようなシステムとかね。

 それから、刑務所はね、まあ要員の1点何倍ぐらい満杯になってしまってね、看守がいないんですってね、今足りなくて。そういう盲点もあるだろうからね、こういうものはにわかに素人を送り込むわけにいかないかもしらないけど、でも、やっぱりある手だてを講じればできるんじゃないでしょうか。

 それから、やっぱり非常に過重な労働を強いられている病院、大病院。最初、静岡でやり出したのが非常に参考になるんで、東京でも取り入れているんですけども、これをもっと徹底してね、ある教養のある人だったら、別に手術する必要ないんだからね。お医者さんに言われたことをね、この手術の報告書を書くのはね、医者じゃなしに、いわゆるクラーク(事務員)と言われている、医療クラークがやったらいいんで、そういうものを増員することはできると思いますね。

 ただ、この間ある生徒がなかなかおもしろいアイデアだけどもね、前途に希望を持って就職したら、内定が取り消されたっていう学生たちを、思い切ってね、そういう人たちを対象にしてもう一回都庁の試験を受けさせたらどうだって、これはちょっと困るなあ。アイデアとしたら喜ばれるかもしらんが、せっかく人員削減してきたところにね、その分増やすわけにもいかないしね。

 まあね、いろんな幅も深さもありますから、東京は。その中で緊急の雇用対策ってのは、もう具体的にその選択のメニューをそろえてね、提供していきたいと思っていますけども。

【記者】それは新年度の予算でということですか。

【知事】そうですよ。もう、すぐやらなきゃしようがないでしょう。年越すか、越せない人だっているわけですからね、はい。

【記者】1つは、ホームレスのことなんですけれども、新宿だけに限らず、ホームレスが非常に今後も増えてくるであろうと思われるわけです。それで、私どもの調査では、西口のホームレス、駅周辺にごろ寝している人たちもですね、みんなそれぞれもう場所が全部確保される人は常連のホームレースであると。新しく生まれてくる新参者のホームレスは行くところがないということで、多分都庁の第2(庁舎)のほうに広場があるから、そちらのほうに行くんではないかと言われています。そこの広場をそういう人たちのために開放するというか、やる何か考えはあるんでしょうか。これが1つです。

【知事】ない。

【記者】ああ、そうですか。それだけですか。

【知事】するなら、もっとほかの手だてを講じます。青島君(青島幸男 前東京都知事)の時代にもね、問題があったじゃないですか。やっぱり公共のスペースってものを、あのね、一部の人が、しかもそれは清潔に保ってくれなきゃいろんな問題が出てきますからね。それはやっぱり何ていうのかな、公共の資産というものをそういう人が占有するってのは、好ましくないと思うね、それは。それで次は?

【記者】えーと、そうですね、ホームレスが一時アパートに、東京都のほうで方針としましてね、民間アパートにホームレスを入れるということをやりましたけれども、その期間が確か切れていると思うんですね。そして、それがまたまちに追い出されてきているという形があって、またホームレスが増えてくると。こういう循環をとっているんじゃないかと思うんですけれども。

【知事】それはね、あなたね、「じゃないかと思う」じゃなくて、やっぱり質問するなら、指数をちゃんとそろえてさ。それから、そういうものの対策もね、それなりに都庁もしていると思うからね、住宅局(都市整備局)やそこら辺に行ってだね、現況というものの数字をそろえて、私、一々そういうものをつまびらかにしていませんがね。質問するなら、やっぱりデータをそろえて物を言いなさいよ、ね。

【記者】先ほど、今日、年内最後の会見という話が出ましたけれども、今年1年を振り返ってと、あと来年は2016年のオリンピックの開催地も決定しますが、来年の抱負を教えてください。よろしくお願いします。

【知事】もうさんざん、毎日3社ぐらいインタビューして、同じ質問なんだ。どっかの新聞読んでみい。同じことがみんな書いてあるから。

 まあ、オリンピックはなかなか、目に見えない戦いが大変だと思いますね。今日もね、衆議院の別館で超党派の議員たちの、年内ちょっといろんな議会の運営のスケジュールで難しいんで、来年早々、国会決議をしようということで決めてもらって、大変心強い思いをしましたけども。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)