石原知事記者会見

平成21年1月29日更新

石原知事定例記者会見録

平成21(2009)年1月23日(金)
15:01〜15:19

知事冒頭発言

【知事】今日は、私から申し上げることはございません。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】自動車の温暖化対策について、1つだけ伺います。昨年の環境確保条例の改正で、唯一先送りになっていた自動車部門について、低燃費車の導入を義務づける方向であるように聞いておりますけれども、昨今の景気情勢の中で運輸業界はかなり自動車の買い換えとかは難しいと思うんですけれども、本当に義務化は可能なんでしょうか。

【知事】さあ、これはやっぱりですね、もっと大きな見地で、人類の生存の舞台である地球を守るか守らないかという問題と換言すれば、やらざるを得ないだろうけども、同時にこういう経済不況の中で企業の購買力があるかということになると、それはその懸念はあるでしょう。自動車そのものが売れなくなっているときに、そういう条例が発効してですね、保有台数によって企業のパーセンテージが違ってくるわけだけれども、買わざるを得ない、買ってもらいたいということになれば、自動車の販路は開拓されるわけですからね。これは二律背反というのか、誰がどういう選択をするかということでしょうけど。

 このアメリカの金融恐慌に発した実体経済の傾斜の中で、忘れられがちだけどね、温暖化の危機というのはどんどん、どんどん迫ってきているわけですよ。今年の夏ね、北極海の氷がまたどれほど溶け、どれほどしか復元されないかということを考えれば、事態は刻一刻迫ってくるわけでね。やれるだけの努力をしないと、5〜6年経ったら、ポイント・オブ・ノーリターンを過ぎたときに吠え面をかくということになりかねないからね。まあ、あなたのご指摘のように、二律背反に見えるかもしれないけども、都としてはやっぱりね、それは行なっていきたいと思いますね。

【記者】5年前にディーゼル車の規制をいれられたときに、かなり業界の反発があって、都としていろいろ装置に補助をつけたりとか工夫されたようですけれども、今回、低燃費についてはどうなんでしょうか。

【知事】さあ、そこまでちょっと詳しく聞いていませんがね、今、条例についての素案をどういうふうに徹底するか考えていますけどね。

 あのときもね、抵抗はありました。それからね、アタッチメント(補正部品)をつけるときに、本当に零細の企業には気の毒だからね、インセンティブをつけましたけどね。結局やっぱり東京の、首都圏のこの空気汚染の深刻さというものを、同じ人間としてね、トラック業界の方々が理解してくださったのでね、いい結果になったと思います。

 それから、やっぱり石油業界もヨーロッパ並みのサルファフリー(硫黄分が10ppm以下)の軽油を作ってくれるようになって、非常に助かったんですけどね。繰り返して申し上げるけど、この結果を何で踏まえて国は国全体にこういう指導をしないんですかね。大阪の空気は依然として東京よりもはるかに悪いですよ。どこへ行っても、大都市は。

【記者】町田の病院で、インフルエンザの集団感染問題が表面化というか発覚しまして、中には職員からの感染が疑われるケースもあるなど大きな問題になっておりますが、この問題に対するご見解と、それから改めてインフルエンザの脅威について、知事の考えをお伺いしたいと思います。

【知事】インフルエンザというのはいろいろ種類があってね。まあ、町田の病院で多くの方が感染、死者も出たようですけどね。これは例年、いろいろ形を変えながらはやっている一般のインフルエンザで。先ほどその報告を聞きましたがね、都が指導してね、ちょっと途中、手を抜いたみたいだね、油断して。だから、マスクをするのを忘れたりね。またはやって、また二度目の指導をして、それでまあピークを過ぎて、ほとんどの方が熱は下がった云々ということですけれども。私は専門家じゃないんでね、病院のほうに、福祉(保健)局のほうに聞いてもらいたいんだけど、そういうことのようですがね。

 繰り返して申し上げるけどね、これからいつはやるかわからない毒性の強いH5型のインフルエンザというのは全く人類にとって未経験のものだし、かつてのスペイン風邪は非常に多くの死者を出しましたが、あれは死体を扱いかねて、ヨーロッパの国なんか氷河に投げ込んだり、凍土に埋めたりした。この温暖化のおかげで、その死体が出てきてね。調べてみたら、水鳥にしかないインフルエンザがスペイン風邪の元凶だった。今度、水鳥というか鳥のインフルエンザということが恐怖の対象になったわけだけども、中国でも死者が出ましたな。

 これはね、中国という国はなかなか情報のわからない国でね。ダボス会議に行ったときに、何度目の年でしたかね、国際的な感染症をどうやって防ぐかというセッションに出ましてね。そのときちょうどSARS(重症急性呼吸器症候群)がはやって、あのときはいろんな噂があってね、中国が正確な情報を発しないから、あれはね、生物・化学兵器のハンドリング(操作)が悪かったんだろうとかいう噂があった。あとは全部ヨーロッパのメンバーだったけども、その人たちがそういう冗談を、いや、本気で言ってましたな。今度の場合はね、ああいう形、ウイルスだとわかったけども、H5型のインフルエンザウイルスというのは、予測はされてるけどね、それがどういう形で形を変えて爆発力を持つかということは全くわからないね。しかし、やっぱり温暖化同様に、刻一刻、ものが迫ってきているというのは確かですが。

 ついでに申しますとね、専門家に聞きましたら、この間、何千人かな、お医者さんが特にプレパンデミック(汎流行前)のワクチンを打ったでしょう。二十何%の人がかったるくなったという。入院した人が何人かいたらしいけど、ワクチンを打つと大体だるくなるわな。人によって違うけどね。それをもってね、どういうんでしょう、プレパンデミックワクチンの効果についての評価というのはにわかにくだせないんじゃないかな。私は、打ってもらえるなら自分で打っておきたいですな。

【記者】病院の関連で1つ伺いたいと思います。4月に台東区に23区で初めてとなる区立病院が開院することになりました。高齢者医療の拠点になるそうなんですが、初めてのこうした区立病院が誕生することについて知事のご所見を伺います。

【知事】結構なことじゃないですか。それしか言いようがないよ。結構なこった。

【知事】君のところの新聞のさ、猪瀬君(猪瀬直樹 東京都副知事)と与謝野さん(与謝野馨 経済財政担当相)と坪内さん(坪内ミキ子 女優)のてい談は、分に過ぎたるものでね、なかなか内容が充実しておもしろかったよ。

【記者】そうですか。ありがとうございます。

 実は、恐縮ですが、前回の知事の発言についてちょっとお聞きしたいんですが、前回、歌舞伎町のことを私、質問したわけですけれども、「民度が低い」というお言葉がありましたですね。

【知事】民度というのはね、あそこのカラーリングね、あれ、やっぱり、要するに高級と思わない。むしろ、日本の平均値からいったらかなりアンダーレベルのものだと思いますな。

【記者】ネオンのことを言っていらっしゃるんですね。

【知事】うん。全体の雰囲気。色が作ってる、あの街の雰囲気はね。お好きな人は好きで、行けばいいじゃないですか。

【記者】ただ、「民度が低い」ということを一般論として言われますとですね…。

【知事】民度じゃなしにやっぱり街、それは結局、民度という形で要約するのがいいか悪いか知らないけどね、少なくともあんまり高級な街じゃないわね。昔はああじゃなかったよ、歌舞伎町っていうのは。だんだんひどくなってきたね。そういうことですよ。

【記者】大阪の橋下府知事が就任して間もなく1年ということなんですけれども、就任した後、知事のほうにも挨拶にいらっしゃいましたが、知事、先輩として、この1年の手腕をどういうふうに評価されているでしょうか。

【知事】頑張ってる、頑張ってる。ただ、1年で結果が出るもんじゃないしね。とにかく、全国知事会に出るとね、率直に言ってね、みんな官僚出身の知事でうんざりするよ。やっぱりね、民間の肌合いというのがわかった人間じゃないとね、本当の地方の行政というのはできないんじゃないかと思いますな。知事会やると、みんな、自分の卒業してきた役所を振り向いてものを言うからね。

【記者】随分発言で物議を醸すことも多いようなんですが、アドバイス等ありましたら。

【知事】私もあれぐらい言いたいんだけどね、このごろね、飼いならされておとなしくなっちゃって面白くない、自分で自分が。まあ、おれは、漢字は読めるけどな。

【記者】横田基地の件なんですが、アメリカで新しい政権が誕生したことで、例えば、これまで止まっていたような構想なり、知事のこれまでの持論なんですけれども、共用化が進む手だてというのは出てくるんでしょうか。

【知事】とにかく常識で考えてだね、アメリカの国債をあれだけ買ってやって、いつ紙くずになるかわからないようなものを抱えてね。しかも、それでも、今度、どういう条件突きつけてくるか知らんけども、アメリカさんの言いなりになってね。知日家が大使になるとか、誰が就任したというのでみんなありがたがって。

 この間、僕は見てびっくりしたんだ。僕は、後輩だから、今度会ったらじかに言ってやろうと思うけども、岡本行夫(元外交官)までが、ヒラリー・クリントンが国務長官に今度就任したわけだけども、コメントの中で真っ先に日本の名前を挙げてくれたと。そんなもので欣喜雀躍(きんきじゃくやく 小躍りして喜ぶこと)していいのかね。

 アメリカの知日派ってのはどういう人間かと言ったら、日本なんて、どこをけっ飛ばしたら飛び上がって言うことを聞く、どこをつねったら悲鳴上げて言うこと聞くかを知ってる人間だよ。そんなものをありがたがる姿勢そのものが馬鹿にされてるからね、横田なんていまだにつながってる、ああいう形で。

 だって、あなた、日本の首都圏の中にだね、日本最大の滑走路を持った空港が、兵站基地という名前のもとに全然使われていなくて、発着してるのはね、とにかく輸送機ぐらいですよ。あとヘリコプター。それを返さないどころか、とにかく共用もしないという。

 それで、この間ね、やってもらってる高瀬参与(高瀬保 東京都参与)に、あの人は沖縄返還、若泉敬(国際政治学者 アメリカとの沖縄返還交渉にあたった人物)とやった、そういう経験者だ。だから、世界中の軍民共用化の問題の会議にも出てもらったり、そういう情報を集めてくるけども、みんなが信じられないと言うんだ、横田の状況、外国人は。

 という中でね、事が国防省に絞られていくと。この間、ちょっと高瀬さんと一杯飲みながら話したら、あの人も、別に泥酔したわけじゃない、ちょっとアルコールが入ったら気が緩んだのか、今まで言わなかったけど、国防省の兵隊たちは横田の問題、「イシハラズ・ベイビー」と言っているそうだよ。つまり、僕はそれだけ憎まれているわけだ。結構だと思うんだ、僕は。言いたいことを言っているんだからね。そういうくくり方じゃないんじゃないかな。

 だから、やっぱりあの問題ね、私だけじゃなしに、もっと力のある、権限もある政治家たちがワッと声をそろえて、本当の日米関係を維持するために、日本に本当に協力したいなら、日米安保を維持したいなら、横田は国力の維持のために日本に返せと。その前提として共用させろというようなことを言ってもらいたいね。ただね、僕はね、あんまり向こうが言っていることが理不尽なんで。

 あなた、行ったことある、横田?

【記者】1回だけ。

【知事】中に入ったことある?

【記者】1回だけ。

【知事】ガラガラの空き地でしょう。作ろうと思ったら、2本滑走路できるよ、あそこな。あの中にターミナルを作ろうと言ったら、もうその原案だけでキックアウト(蹴り出す)されてね、もう絶対に彼らは反発するわけだ。だから、今度はね、外に公有地や空き地がありますから、そういうものを出してですね、やっぱりウィン・ウィン(双方にとってうまくいくこと)という向こうも得するというような形の具体的なプロポーズ(提案)をしようと思っていますけども。

 まあ、そう気長にやっていられない。私もね、就任してから10年近く経って、小泉(純一郎)元総理が一言頑張ってくれたおかげで、日米間の1つのイシュー(争点)には登録されたけどね、その後の動きを見りゃ、イライラせざるを得ないね。何で日本人はイライラしないのかね、横田の問題で。メディアはイライラしないのかね。

 本当に思うよ。都民の皆さん、そうじゃない?国民の皆さん。この東京、首都の中にね、べらぼうな飛行場があって使われていないのに、彼らはそれを返さないどころか、一緒に使うこともさせないんだ。やっと管制権の一部を返してですな、大阪やら韓国に向けて、九州に向けて飛んでいく航空路の幅だけ許してくれたけど、これだって、すいぶん経済効果があった。

 しかし、やっぱりあの飛行場を実際に使うか使わないかで、それはね、東京の北部の人たち、だから埼玉県、山梨県、全部助かるわけですよ。羽田まで行かずに済むんだから。こういったものはね、国益ってものを考えたら当たり前のところだけど、日本の政治イシューになって出てこない。外務省も腰が引けている。私はこんな情けない国ないと思いますな。

【記者】オバマ大統領の就任演説がかなり話題になっているようなんですが、もし知事があの就任演説をお聞きになっていれば、ご感想をお願いしたいのと…。

【知事】僕、聞いていないし、読んでもいない。大体サーッと読んだだけだけど。

【記者】あと、オリンピック招致への影響を、改めてご見解をお聞きしたいんですが。

【知事】これはわからんですね。これこそわからないね。中東の戦争がどれだけ続くか続かないかね。それから、やっぱりアメリカが絶対の責任があるこの経済不況というものを、アメリカのイニシアチブ(主導権)でどれだけリカバー(回復)できるかね。その成果がどれぐらい経って表れるか、表れないか。まあ決まるのは10月ですからね。9月いっぱいにどういう結果が出るかということによって随分違ってくるでしょうな。

 同時に、初めて黒人の大統領が生まれたわけだから、アフリカの黒人国家というのはシンパシー(共感)というのがあるだろうけど、それがどうやって票に出てくるかどうか。いろいろね、情報を集めて聞いてみますとね、なかなか厄介な、私じゃなしにメディアのあるリーダーに言わせると、魑魅魍魎(ちみもうりょう 化け物)の世界ですな、この競争は。日本人はそういうのをきれいごとでくくろうとするけどね、本当の戦いはそんなものじゃないね。

【記者】町田のインフルエンザの集団感染でもう1点お尋ねしたいんですが、都の対応についてなんですけども、11日に死者が2人出て、13日に町田保健所が報告を受けて、13日から立ち入りが始まって、1点、発表がまず、その時点で2人亡くなったのがわかっていながら発表が16日になったというのは、新型インフルエンザでインフルエンザに関心が集まっている中で、少し危機管理上、問題があったんではないかと思うんですが、その辺の見解と、もう1点は、検体をとるのも、19日に再び立ち入るときに…。

【知事】そんなこと、おれに聞かずに福祉(保健)局長に聞いてくれよ、君。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)