石原知事記者会見

平成21年8月6日更新

石原知事定例記者会見録

平成21(2009)年7月31日(金)
14:59〜15:12

知事冒頭発言

1 ムーディーズへの格付依頼の撤回について

【知事】冒頭私から1つ。ムーディーズという格付会社がありますがね、そこに東京の、財政をちゃんとしたんで、それも含めてですね、格付を依頼しておりましたけれども、その依頼を撤回します。本来、格付は個別団体ごとにですね、その財政力を評価して行うべきものでありますが、それにもかかわらずね、なぜか知らないけど、何を根拠でかね、突然妙な原則を踏まえてね、それは「地方債は国債以下にする」というね、そういう何かわけのわからん原則を踏まえて、東京の格付を、今までは国より上だったんですけど、下げたんですな。これは極めて無責任な話でね。膨大な負債を抱えている国よりも、はるかに健全な東京の財政力を無視して、国から自立した財政運営を行っている都の現状をですね、全く評価してない。実に現場というものを直視しないね、会社の性格からしても言語道断な話でありますが、これ、昨年のリーマンショック(米大手証券リーマン・ブラザーズが破綻し、世界の金融市場に与えた衝撃のこと。)によって、実体のない格付でですね、市場に幻想を振りまいてマネーゲームをあおってきた格付会社のいいかげんさが、今回また明らかになったわけで、今回の事態もですね、これを改めて明示するものだと思います。

 都の格付依頼撤回は、こうしたアメリカ型の、市場原理主義と言うんですかね、何て言うんでしょうね、ものをつくっていく、堅実な、健全な経済というものを凌駕(りょうが)したマネーゲームというものをね、あおってきたアメリカのこの市場原理主義というもの、いま批判にさらされてますけど、これに対する抗議の1つでもあると思います。

 もとよりですね、投資家からいただいている都の財政の健全性、都の債券のですね、安全性についての高い評価はいささかも変わっておりませんで、今回の措置が都の財政の信用に影響を及ぼすことは全くありません。今後ともですね、都財政の堅実な運営に努めておりますが、一部の新聞で、オリンピックの招致にですね、影響があるんじゃないかなんていう報道がありましたが、同じ記事の中にね、投資家に対する影響はないと書いているんだから、言っていることは全く矛盾しててね、武士の情けで名前は挙げないが、こういういいかげんな報道をしないでもらいたいね。

 はい。私から申し上げるのはそれだけです。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】国政に関係した話なんですけれども、八ッ場ダム、東京都も関係している事業なんですけれども、民主党がその八ッ場ダムの中止をですね、政策に掲げているようなんですが、かねて八ッ場ダムについては知事もお考えをお示しいただいているんですけれども、改めてですね、その民主の動きも含めてですね、ご意見を賜れないでしょうか。

【知事】世界全体のこの気象異変はですね、今年は、日本は冷夏ということでね、日照が非常に少なくて困ってる節もありますけれども、全体としてはやっぱり温暖化が深刻化しているわけですね。そういう時期にね、私やっぱりこれからね、どういう予期した以上の水の需要が増えてくるかわからない現況の中で、あのダムはですね、そういう、現実の事態も踏まえても必要だと思います。

 で、まあねえ、実際ね、ダムっていうのはね、心情的に今まで住んだ人を取っ払ってね、1つの集落というのを水の底に沈めてしまうんでね、むごいといえばむごいイメージは否めないんだけれども、八ッ場ダムはもう既にね、かなりね、インフラというか、そういう整備をして、鉄道の迂回線なんかをつくってますしね、これから先ね、温暖化が進んでいけばいくほどね、私は何年先にそれが歴然としていくかわかりませんけれども、水の需要というものはですね、深刻なものになり得る可能性が十分あると思うんでね。前にもお話ししたと思いますけど、小河内ダム、これは東京にとって不可欠な水がめですけれども、あれが造成されていく途中で随分反対があったんですね。それで、できたときにですね、なおそれが揶揄(やゆ)されてね、小河内ダムは「しょうがない」ダムだって、「しょうがない」って読めるんだね、「小河内」ってのは確かにね。それでね、随分揶揄されて批判もされたんだけども、その次の年に非常に何て言うのかな、日照りが続いてね、あれがあったおかげで非常に助かったんですよ。

 そういう事例見てもね、これからの計画ということならば、いろんな討論の余地もあるのかもしれないけど、既に、あそこまでお金を使って投資してね、整備が進んでいるものをね、今、この時点でね、やめるという、私は理由は、世界全体の気象のこの傾向からしてもね、あり得ないと思いますし、私はあのダムは速やかに遂行されて、完成されるべきものだと思っています。

【記者】中止を求めている民主党の姿勢については、どのようにお考えでしょうか。

【知事】ま、そういったものをね、酌量したかどうか知りませんけれども、彼らが反対するゆえんというのは、私、つまびらかにしておりませんがね、いずれにしろね、かなりの巨費を投じてね、進行中の工事を止めるということはね、これは結果として大きな大きな無駄にしかならないと思いますよ。

【記者】ありがとうございます。

【知事】はい。どうぞ。

【記者】都議会のほうなんですが、8月7日の臨時議会の招集の要請があったかと思うんですけれども、まずこれについて知事としてのお考えをお聞きしたいのと、あと、この間、昨日からですね、自民、民主の間でですね、綱引きがあってですね、知事も出席されながら結論が出ないということもありましたが、その辺についての所感ですね、お聞かせください。

【知事】やっぱり数のね、バランスがね、今までと違ってきたんでね、いろんな駆け引きがあるでしょうけどね、議会の運営というのは結局数が制するんだけど、ただ、その数そのものがね、民主党第一党にはなりはしたけども、過半数を持ってるわけでもないし、自公(自民党と公明党)合わせればですね、それを上回る数字でありますが、これ、またね、生活ネット(生活者ネットワーク・みらい)とかね、無所属の人を加えても、なお自公の数に及ばない。そういう数の中で、共産党が数のキャスティングボーターになったんでね、こういったものにこれからどう遇していくか、なかなか見ものというかね、やっかいな問題でね、これ、なかなか予想が立ちませんな。

 ただね、今までの慣例聞きましてもね、開催日については全党一致して申請があったけども、今度の場合には、4分の1の議員が署名すればですね、申請し得るということで申請されましたけども、自公は共にですね、これに今、捺印してないわけで、ですからね、それはね、どういう事情でそういうことになっているのかもう一回詳しく聞きませんとね、拙速に、何ていうのかな、事をげんじても、開いた議会が混乱してもしようがないんでね、その前にそれがスムーズに終わるようなね、協議というのがあってしかるべきなんで、それがどれぐらいかかるのか、いろいろ、これからも聞いてみますけど。ただ、私自身が8月の中旬にかなり長期間ね、またオリンピックの問題でベルリンへ行かなくちゃいけないんで、そういった予定もありますからね、その先というわけにはとてもいきませんからね、これは、8月7日に賛同してない会派にもその事情も説明しましてね、できるだけ早くスムーズに8月、この次の一日の議会でそれが終わるような段取りがつくように努力してもらうように要請します。

【記者】ただ、7日に開催する場合、今日中にやっぱり告示しないといけないというか、スケジュール的な…。

【知事】今日中ですか。20日間以内にとにかくね、(臨時会を)開催しなくちゃいけないというんで、告示を今日中にするかしないかということは、ちょっとそのルールとしてつまびらかにしていませんけれども、ちょっと無理なんじゃないでしょうかね、そういうことを考えると。これからも自民党、公明党の意見聞きますし。

【記者】ま、7日は無理で、ま、早い段階でということで。

【知事】いや、まだそれはわかりません。自公の説明がですね、私、了承されて、開ける状況の協議が進む段取りがあるならそれで結構だと思いますけど、ちょっと難しいんじゃないかという感触ですけどね。はい、どうぞ。

【記者】関連なんですけれども、民主党のほうがですね、新銀行と築地市場移転に関して特別委員会を設置したいという意向を持って各会派に打診をしているんですけれども、このことに関して知事は、設置に関して知事のお考えをお聞かせ願えないでしょうか。

【知事】打診するならしたって結構ですがね、ほとんどの形はついてる問題だと私は思ってますね。銀行はね、四半期で黒字を出しましたしね、この分でいくと単年度も黒字になるでしょう。

 それから、築地はですね、これは私の代に決まったんじゃなくて、40年間かかって議論してきてね、それで、豊洲に移転ということで圧倒的な支持を得ていたら、あそこにとんでもないのが出てきたわけだ。私だって、やっぱり聞いてね、腰抜かしましたよ。ただね、日本の技術をもってするとだね、日本のゼネコンというのは世界中でもっと厄介な工事をたくさんしてるの。そういった技術の開発度というものを斟酌(しんしゃく)すればね、私たち素人にわかりませんから、首都大学東京のね、これはノーベル賞クラスの科学者ですよ、原島さん(原島文雄 首都大学東京学長)に(技術会議の)座長になってもらって、数名の高度な学者さんと会を作ってもらってですね、ゼネコンも含めて、そういう進んだ技術を持ってる人たちの聴聞をしてもらいました。

 そして、一番いいのはね、何かね、この間もどっかの新聞に出てたけども、バイオを使うとね、あれは、もう完全に消滅できるんですけれども、それ以外にもね、幾つか方法があって、その方法の最も安価なものをね、選択することで、それは大体予測の8割ぐらいのものができますが、バイオを使うとね、もっと安くなるらしいんだな。ただね、ま、それはちょっと、原島先生の報告の段階ではね、もうちょっとね、時間をかけてみたほうがいいということだったけど、この間の新聞の報道では、もうほとんど完成されたということですが、そうすると7割以下の費用でできるようですけどね。

 そういったものをね、やっぱり門外漢であろうと政治家なんだから、日本人が開発して保有している技術というものを日本人が信頼しなかったら、これは何もなんないと思うんだよね。だから、特別委員会では、その何だろうとね、そういったものをね、やっぱりちゃんと聴聞して政治家としての判断をしてもらいたいと私は思いますな。

【記者】わかりました。

【記者】中田市長(中田宏 横浜市長)がですね、新しい政治勢力をつくるということで辞任を表明いたしましたけれども、都知事のほうでは、その新しい潮流というものに対してどういうお考えをお持ちでしょうか。

【知事】だから、新しい潮流っていったって、新しい、新しいと自分で言ったって、さっぱり実態がわかんないんだから批判のしようもないでしょうがね。

【記者】そうですか。

【知事】地方分権は結構ですよ。前から言ってるみたいにね。太政官制度、続いてるわけだから、そういう中央集権を壊すためにはね、地方分権というのは。ただ、具体的に何をするのかね、それを聞かない限りね、いいとか悪いとか言えませんな。あなた、よく調べてからおれに教えてくれよ。

【記者】はい。中田市長がですね…。すいません。

【知事】他人のことはいいんだよ、都政の話してくれ。

 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)