石原知事記者会見

平成21年11月5日更新

石原知事定例記者会見録

平成21(2009)年10月30日(金)
15:01〜15:20

知事冒頭発言

【知事】今日は、冒頭私から申し上げることはございませんので、質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】鳩山(由紀夫)総理が、きのうの代表質問で、八ッ場ダムについて、「マニフェストに記された国民との契約」ということで、中止の方針を撤回しませんでしたが、知事の所見をお願いいたします。

【知事】ですからこの間、担当の前原さん(前原誠司 国土交通大臣)とも関係5知事と会いまして、利水、治水の観点から必要だということを申し上げた。向こうは向こうで、それを踏まえて、徹底した検証をした上で、返事をしますと。どういう代案が出てくるか、これから政府側の検証の結果だと思います。

【記者】あと、所信表明については、どのように思われましたか。

【知事】非常に理念的で美しい言葉があったけれども、それを多とするか、否定する人もいるみたいですが、今までになかったパターンの演説だと思いました。はい。

【記者】ありがとうございます。

【知事】どうぞ。

【記者】先日、長崎と広島の市長が、猪瀬(直樹)副知事と会いまして、オリンピックの2020年に向けた協力をお願いしましたけれども、広島、長崎側は、東京都にも、検討委のアドバイザーとして加わってほしいという考えがあるようですが、2020年に向けて。知事は、正式なアドバイザーとして要請された場合はどういうお答えになるものですか。

【知事】それはそのときの問題ですけど、その前に、国民の1つ夢の形ですから、東京が、もう一回アプライ(立候補)をするかもしれない、それはこれから、議会とも相談して決めることですから、今の段階で、その問題について。この間実は、あの後、要するに猪瀬さんと会った後、秋葉さん(秋葉忠利 広島市長)と長崎の(田上富久)市長と、3人で会いました。そのときに、私たちが持ってるノウハウというんですか、この招致運動の経緯と、それから、私たちが確認した実態というんでしょうか、いろんな力学についても話しましたが、そのときも、今までの慣例で言いますと、来年、日本から、どこかの都市が手を挙げるにしてもタイムリミットがあるわけで、そういったタイムスケジュールについても、話をしました。

 ただ、私は、東京がこれからどういう姿勢になるか、私も、あと1年半弱しか任期がありませんし、その後は、(五輪招致の再挑戦を)来年決めても、その後の知事がそれを継承するかしないか、またこれは大きな問題ですから、そういうことも申し上げて、東京は、これから、もう1回、このビッディング、招致運動に参加する、しないかは、来年の大事な決定だと思いますんで、そういうものを踏まえて、市長さん方お考えくださいということを言いました。

 ただ、僕は、長崎市が手を挙げると思わなかったんだけど、仮に、東京が2020年に向けて手を挙げたとする、そのときに、世界最初の被爆地でありますし、IOC(国際オリンピック委員会)が何と言うか知らないけども、例えば東京が手を挙げて、東京に決まったとしたら、私は、広島というものを、世界全体にメモライズ(記憶)させるために、花形の競技、何でしょうか、マラソンですか、そういったものは、1つだけ切り離して、広島でやるということも考えられるんじゃないかということは申しました。

【記者】そのときの向こう側の反応はどんなものだったんですか。

【知事】いや、やっぱり、財政の規模がありますよ。これから、この問題、大きな問題で考えるんだと言ってましたよ。

【記者】知事が今おっしゃられたのは、東京が中心になって、広島、長崎も共催あるいは一部の競技を開催するというアイデアで…。

【知事】長崎のこと僕考えてなかったから、これまた、さらに遠いとこですから、それが、どういうふうなハンディキャップになるか、ならないか、仮定の仮定ですからわかりませんけども、IOCは、どういう原則を構えるか知らないけど、平和と協調ということを理念とするなら、オバマ(アメリカ合衆国大統領)もああいうメッセージを出しているし、核の廃絶を願わない人間はいないんで、そういう点で、私は、今言ったような形で、仮に東京に、2020年(五輪開催地)が決まったとしたら、東京が広島と一緒に、象徴的な形で共催するということはあっていいんじゃないかと思ってますけども、これは、そのときに、さらに先の先の仮定の話だけども、東京の新しい知事が、それをどうとるか、あるいはそういうオファーをしても、IOCがどうとるか、これは、先の問題で、私には、いまだに断定はできませんが、そういう主張をすることは結構だと私は思ってますけども。

 どうぞ。

【記者】お会いになられた日なんですけども、たしか猪瀬さんと会われた日は、関東知事会に知事も行かれてて、その後ですか。

【知事】そうです。東京へ帰って来てから。

【記者】わかりました。ちょっと、それと…。

【知事】なかなかしかし、財政規模からいっても、別に、東京が大きくて向こうが小さいってことじゃないですよ、ただやっぱり大変だと思います、そりゃ。それから、競技場も、トラックが10レーンですか、なきゃいかん。(※陸上競技会場には、9レーンのトラックと、サブトラック、投てき練習場が求められている。)それから、仮設も含めて、10万人が、開会、閉会のときに収容せなくちゃいかんという、そういう、IOCが何を根拠に言っているか知らんけど、今のオリンピックの大会の規模からすると、ごく妥当な、そういう必要条件というのを、広島も精通してなかったみたいで、ちょっとその話はびっくりしてましたけれど。

【記者】今の話を伺っていると、例えば来年、もし、国内の立候補都市選考あるとして、東京と広島で何らかの話し合いでも持たれるんじゃないかなみたいな、要するに、福岡と争ったときみたいに、こう、勝負するんではなくて。

【知事】ああ、そうですね。

【記者】ちょっと仮の話だったんで、恐縮なんですけども、そんな話まで踏み込まれたんでしょうか。

【知事】いや、それは仮定の仮定の話ですから、それを踏まえて、どういうことにしましょうという、決定的な話はしませんでしたけど、僕はそういうアイデアを持ってますと。それは、決して不可能じゃないし、IOCを説得することもできると思うし、IOCがそれに、非常にかたくなに反対する理由もないんじゃないかと思ってますということは申しました。

【記者】ちょっと別件で恐縮なんですけど、関東知事会のときにも報道陣に答えられてましたが、先日この会見で、前原さんのことを、彼も気の毒だと。

【知事】気の毒だと思うよ。

【記者】実際お会いになられて、前原さんかなり淡々とというか、いつもどおりの応対だったと思うんですけど、前原さん個人に対する印象とか、何か変わりましたですか。

【知事】いや、これは、印象の問題じゃないんで、あまり、そう言ってもかえって誤解を招きますから。ただ、僕は、彼もそんなにどういう性格の人か知りませんよ。だけど、この選択(※八ッ場ダム事業の中止)というのは大変だと思う。それで、これは、すべきことはしなくちゃいけないし、ダムができる予定で引っ越しちゃった人たち、それを結ぶ生活道路に橋かけてるわけでしょ、こういったものは中止するわけにいかんでしょうな。それで、それも完成した後、協力している地方自治体にもらったお金を返さなくちゃいけないでしょ、そんなこんなで、果たしてそういう支出を含めて、その決断がほんとに正しかったか、正しくないかは、やがて歴史が検証することになるだろうけど。こういう異常気象が進んだ中で、何が起こるかわからん、そのときに、小河内ダムの場合にはつくっておいて結局よかったなってことになったけども、つくらずに、多額の金を返済し、かつ、改めてやっぱりつくったほうがいいということになったときの財政の損害というのは大変なもんだと思います。とにかく、7割以上できてることで、あとはダムの壁を張れば済むことなんだから、ここは、この選択というのは大変だと思うな。はい。

 はい、どうぞ。

【記者】今の八ッ場ダムのことなんですが、前原さんが計画を、もう1回必要性を見直すということになったようなんですけれども、これは凍結というふうに見ていいんですか。それとも…。

【知事】いや、それは聞いてくれよ、彼に。そんなものは。

【記者】都知事はそれについては、こうだという。

【知事】いや、だから、徹底した検証をすると言うけど、埼玉県の上田さん(上田清司 埼玉県知事)が痛いところ突いたんだ。それじゃ、今さら検証するんだったら、公約にうたったときの、八ッ場ダム中止するということのための検証はあったんですか、ないんですかと言ったら、彼は答えなかった。それは前原さんの責任じゃないでしょう。民主党の政調の部分の責任だと思うけども。

 とにかく、もう1回検証するそうですから、私たちの言うことは、利水、治水ということを踏まえて、その必要というものを、納得できるような形で判断してもらいたいということを申しました。

 ただ、その結論について、私たちが論を挟む余地はないというわけじゃないんでしょと言ったら、いや、それは意見も聞きます、その段階でということでしたから。

【記者】ちょっと都政と離れるんですが、女優の南田洋子さんがお亡くなりになられて。きのう、きょうと、通夜と告別式があったんですけど、女優としてブレイクしたのが、『太陽の季節』という小説の映画の出演がきっかけとしているんですけれども、もし、ご交流など思い出などありましたら、ちょっと教えていただけますでしょうか。

【知事】いや、あんまりないんだな。弟(石原裕次郎)もずっと日活にいましたが、あの後、南田さんが僕の関係した作品に出演すること、あまりなかったんですよ。

 同世代の懐かしい女優さんなんで、愛妻者というか何か知らんけれども、私たちとすると、アルツハイマーですか、ああいうふうになった南田さんを見るのは非常に心が痛んだね、それは。

【記者】ありがとうございます。

【知事】はい。どうぞ。

【記者】再びオリンピックの話なんですけれども、きのうの都議会の総務委員会で、共産党のほうが明らかにした話なんですが、都の外郭団体が、東京のオリンピック招致委員会のほうに寄附を、26団体が少なくとも1億円を寄附していたという話を出しまして、大体26団体が寄附していたことは、おそらく間違いないだろうという取材ではわかったんですけれども、これについて、民間資金50億円の中に、外郭団体のお金が入っていたということについて、知事の所感を。

【知事】それは外郭団体のイニシアチブ(主導権)の問題ですから、東京都との関連の中で、彼らがオリンピックに期待して、協賛するということで、外郭団体の主体者の判断で献金をされたというのは、大変ありがたいことだと思っていますけども、これは私に聞いてもどうなることじゃないです。それ、私はそれは間違ったとも必ずしも思いませんけど、はい。

【記者】この26団体の中を見ると、18億円の赤字を出している東京臨海高速鉄道とか、あるいは、補助金で主に運用、運営している事業団などがありましたが、こういうところを見ると、税金の還流であるという指摘も、委員会では出ていたんですが、知事はどう思われますでしょうか。

【知事】それは、僕はその詳細、把握していませんけど、それは、外郭団体にしたって、それぞれの主体性を持って運営しているわけですから。それが何を期待して、どういう心情で、どういう判断で、財政的な協力をしていたか、これは私にはわかりませんけども、はい。

 はい、どうぞ。

【記者】大変な嵐の中、三宅島で、あのような(バイク)イベントが行われまして、知事も参加してくださったわけなんですが、2日目は残念ながら中止になってしまったということは、参加した一般の人たちも非常に残念であったと思います。でも、相手が自然のことでもあったので、あれは事故が起きないようにとか、そういう意味では、中止もやむを得なかったかなというふうに思いました。

 来年に向けて、これはもうレースをやるぞと、知事はあそこで明言されまして、賞金なども用意できればいいし、観客、参加した人はもう歓声を上げていました。

 そこで、果たして、雄山の上のほうに、観客の皆さんを動かすのは果たしてどうするかというのが問題になるわけでなんですが、相手が火山、活火山でもあるんですが、スキーはできないけれども、リフトを例えばつくる、で、常に、こうシーズンになったら、そういうレースなどが行われるときには、リフトで観客を上に運んだり、あるいは、また牧場が再開されたりすれば、そのリフトが使えるでしょうし、そんなことも考えられるではないかなとか、いろいろ思ったりもしたんですが、その後、何かお話あるいは案…。

【知事】それ、あなたのおっしゃったとおり、とても問題なんで、リフトつくると、また、その設備投資でお金かかりますけど、あれ、登り口が幾つか複数あるんですよ。

【記者】ええ。

【知事】ですから、片一方から登って、片一方から車をおろして、また、ピストンで輸送するということはできるんじゃないかということを村長は言っていましたが。

【記者】結局、すれ違うことはできませんからね。

【知事】そう、そう。

【記者】これからですね、いろいろ。

【知事】これからですな。

【記者】わかりました。

【知事】はい、どうぞ。

【記者】高速道路の段階的無料化について、関連して、首都高速のことを伺いたいんですが、11月1日から伊豆スカイラインが上限200円という値下げをすることになりました。きょう、河村市長(河村たかし 名古屋市長)が名古屋高速の財政的な措置を求めて、前原さんと会っています。

 首都高は除外ということになりましたけれども、一方で、距離別料金制にしないといけないというような財政的な要請もあったと思うんですけれども、これからどういうふうにしていけばいいというふうにお考えでしょうか。

【知事】いや、それ、私に聞いてもらっても、専門家じゃないから、にわかに案が出てくるわけでなし、ただ、首都高は、そういうシステムで有料で運営されるにしても、片一方、高速道路がすべて無料化される、やっぱり相互に関連が私あると思います、工学的に。交通の工学的に。

 私は、関東知事会では申しましたけれど、三木(武夫)内閣のときに、国鉄が、スト権ストというやっちゃいけないストライキをやって、彼らがねらったのは、国鉄がとまることで、貨物がとまり、物価に影響するだろうと思ったら、全然影響しなくて、不評さくさくで5日間で終わっちゃった。

 あれから、社会党は衰退していって消滅しちゃったんですが、私は、高速道路というものの意味合いというのは、経済というか、特に流通を踏まえての物価にものすごい関係あると思います。ですから、何か今度の内閣が言ってることを見ると、整備新幹線はそのまま続行するけど、高速道路というのは無料化するって、これはちょっと逆じゃないかと思う。

 ごく最近の歴史というものが、社会工学的に運輸というもののプライオリティー(優先順位)を検証しているわけですから。私は、高速道路ただにするというのは、暴挙に近いと思います。

 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)