石原知事記者会見

平成22年12月9日更新

石原知事定例記者会見録

平成22(2010)年12月3日(金曜)
15時01分〜15時12分

知事冒頭発言

1 八ツ場ダム建設事業について

【知事】冒頭、1つ、私から申し上げます。
  一昨日、私を含めて、八ツ場ダムに関係の5県の知事が、馬淵(澄夫)国土交通大臣と都内で会合をもって、かなり長い時間懇談をいたしました。この間の羽田の開会の式典の時にも彼に会ったんで、とにかく、八ツ場について話をする時に必ず見てきてほしいと。「私1年前に見ました」というので、1年前じゃだめだ。現実、1年たった今、どうなっているかと。その進捗状況を見れば、色々な感じがつかめるから、「必ず現場を見てきてから会いましょう」ということで、その後、馬淵さんからも「実際に、現場を見てきたので改めて会いたい」と言ってまいりました。国会や都県の議会が開会されている中でありますが、関係者全員が揃う時間を調整して集合しました。この場で、関係の県の知事からも、「八ツ場ダムを予定のとおり建設してほしい」ということを強く求めました。また、検証の時間は「来年秋」より、もっと早く、かつ、1都5県が納得できる結論を出すように申し入れました。
  馬淵さんは、申し入れの内容を「非常に重く受け止めました」ということで、検証結果の公表をはるかに早める意向を明らかにしました。
  それに加えて、生活再建事業に関する負担金は、群馬県の地元住民の厳しい状況も踏まえ、支払うことにはしましたが、この支払いはあくまでもダム全体の建設が前提であって、前金を払って、買うべき商品が届かないなら、これはもう返すのが当たり前ですから、したがって、万が一、ダム建設に至らない場合には、訴訟を含めて、これも専門家に相談しました。徹底的に国の責任を追及するということにして、大臣にこの点を、強く何度も念を押しました。
  八ツ場ダムは何としても、建設しなければならない施設と思いますし、今後とも、ダム本体の計画通りの完成を他県の知事と連携して、強く求めてまいりますが、彼も就任して前任者に対する気遣いもあったでしょう。そのことも前言っていました。ある時間を置いて、彼なりの所信で、中止の方向性には言及せず、予断を持たずに検証するということ、再検証じゃない、今まで検証なんかしていないんだから。ですから、言葉先にありきで、手を振り上げてしまった前原(誠二 前国土交通大臣)君も、実は後で困ったと思うんですけれども、その後任者の馬淵大臣が、非常にクールに、現実的に、現況をとらえて、5知事を前にして、明言したことは、この問題についての、半歩か1歩か知らないけれども、少し光が差してきたなという感じがいたしましたが、今の内閣眺めていると、年末大改造するんじゃないか、それでなかったらとても持たないという感じするし、そういう点では、これについてクールな判断をするという姿勢を示した、馬淵担当大臣は、八ツ場の合理的な解決のためにも留任してもらいたいと思いますが。
  はい。私から申し上げるのはそれだけです。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】八ツ場の件で、先ほどおっしゃったように品物が届かないのに払うばかいるかというようなずっと強い姿勢をされてきたわけですけれども、今回、支払いに応じざるを得ないなというふうに判断されたのは、理由としては、生活再建というのが大きいと……。

【知事】そうですね。大沢(正明 群馬県知事)さんの立場あるから。彼は本当に、懊悩(おうのう)しています、サンドイッチになって。現場の人たちの生活というものを考えれば、いつ落ちるか分からない、橋の上で暮らしているみたいなもんだから、これは、私たちも同情を禁じ得ないということですけれども、ただ、買い物の品物は届かないんだったら、訴訟を起こしますし、100%私たちは勝つと思うし、国はその債務を弁償しなければならないと思います。法律に書かれているんだから。はい。

【記者】大臣は、中止の方向性には言及せず、予断を持たずということなのですけれども……。

【知事】詳しいことは大臣に聞いてこい、君が言ったように。俺に聞いても分からない。

【記者】その言葉から知事は、建設に方向転換したというふうに受けとめられたということですか。

【知事】私は中止の言明というのは、撤回したと解釈しています。
  はい、どうぞ。

【記者】築地市場に関して、従来から言われていた問題なのですけれど、今朝の大雨で、一部施設が冠水しまして、中にある青果の商品ですとか、あるいは電気系統の故障でエレベーターも、人の閉じ込め事故があったりしましたけれども、これについて従来から、築地の移転問題と関連して、問題も指摘されていますが、改めて知事のご見解をお願いします。

【知事】言った通りになったじゃないですか。言った通りということを、幸か不幸か大雨が証明してくれたんで。こういった生々しい現実を踏まえて、みんなで冷静に対処をするべきだと、これは天の声だと思った。
  はい、どうぞ。

【記者】青少年の条例(青少年健全育成条例)の関係で、本日も作家の方とか、漫画家の方が会見されているのですけれども、どういうものが区分陳列の対象に加えようとしているのかという、非常に基本的なところで、都側と大きな認識の隔たりがあるのが現状だと思うのですけれども、この状況を改善するために、もう少し規制する都側が、丁寧に説明してもいいのかなと思うのですが、その辺は何かお考えでしょうか。

【知事】これから、丁寧に説明します。丁寧に説明しなくちゃいかんし、丁寧にしまして、いずれにしろ、こういった出版物が、ほとんどフリーリー(自由)に、展示されている国は先進国でありますか。例えば、ヨーロッパに限らず、イスラム教の宗教圏、ユダヤ教もそうでしょう。一神教の敷衍(ふえん)している国家社会というのは、日本で考えている以上に、こういった問題に戒律と規律が厳しいんです。北欧なんか行きますと、大人を対象にした、性の関係、セックスの関係の出版物、映像というのは、驚くほど、開放的だけれども、不思議なことに、未成年を対象にしたこういった、非常にある意味では変態的な性欲というものの表示というものは、これはあり得ないことにされています。
 この辺を、私たち、考えたらいいし、何も一々、西洋のまねをするわけじゃない、したいと思わないけれど、日本というのは宗教があってないような国だから。一種の汎神論の国ですから、こういった問題に対する宗教家の姿勢というのはさっぱり見えてこない。
  どうぞ。

【記者】ちょっと前の八ツ場の問題に絡んでなのですけれども、岡田(克也 民主党)幹事長は、従来の方針と変化はないというような発言もされているようですけれども、これについてはどう……。

【知事】知らないね、そんなのは。俺は、岡田係じゃないんだし、担当の馬淵大臣がそう言ったんだから、その言葉を直に信じて、ことに対処する以外ないでしょう。誰がこう言ったあれがこう言ったと言っても、情報が混乱するだけで、私は担当の大臣に直に会って、5人の知事で会ったんだから、その会議のこと申し上げているんで、疑義があるなら、岡田に聞いてこい、そんなものは。
  はい。

【記者】話が行ったり来たりで申しわけないのですが、青少年条例の話についてです。刑罰法規に触れる性交、もしくは性交類似行為などを不当に賛美、または誇張にするようにという「不当に賛美または誇張」というのが大変あいまいというような指摘が出ているのですが、具体的にどういった表現が不当に賛美または誇張するものに当たるのか、具体的に知事の方から……。

【知事】漫画見てごらんよ、不当に賛美して誇張しているよ。ああいうもののこと言っているんだ。現物見てこいよ。
  はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)