石原知事記者会見

平成23年1月13日更新

石原知事定例記者会見録

平成23(2011)年1月7日(金曜)
15時01分〜15時18分

知事冒頭発言

【知事】皆さん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくどうぞ。
 私から申し上げることはそれだけでして、質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】ちょっと日はたってしまいましたが、今年最初の会見ということで、年頭に当たりまして、お考えになったことをお聞かせいただければと思います。

【知事】ないね、あんまり。毎日考えているから。かなり厄介な時代になってきたと思います。あるコラムには書いたけれど、世界に大きなうねりがあって、そういっても、見極めて国も東京都も考えなくてはいけないと思うし、これだけ情報が早く伝わると、色々な人間の願望というのが露呈してきて、そういったものが、物事を理不尽に動かす時代になってきたような気がします。
 特に日本の国民は我欲が強過ぎて、このままだと国がもたない。そういう感じします。
 どうぞ。

【記者】知事、常々、国政の停滞を打開する策として、民主党と自民党の連合ということをおっしゃっていますけれども。

【知事】それは僕が言ったんじゃなくて、渡邉恒雄(読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆)さんがやり出して、福田(康夫)内閣の時に私横で聞いていましたから。昨日、中曽根(康弘 元内閣総理大臣)さんと久しぶりに長い話をしたんだけれど、対談で、中曽根さんはにわかの連合というのはあり得ないと。その前の政界再編成というけれど、それも含めて、大きな連合というものをつくらないと、政党1つの単位では、なかなか事は成らないですな。消費税も怖くて誰も言い出さないし、菅(直人 内閣総理大臣)君がいくら命がけでやると言っても、どうなんでしょうか。そういったものを政党として支えるアイデンティティをつくっていかないと、党利党略のために、殊更、反対をする政党もあるかもしれないし、私はたびたび申し上げているけれども、日本の財政の予算に対する起債の依存率ですか。これがあったら、日本はEU(欧州連合)からはじき出されるし、仮に日本がヨーロッパにあって、EUに入ろうとしても、入れてもらえない。ユーロを使う資格を持たされない。そこまで来たということは、国民は知らなくちゃいけないと思うし、ギリシャ、スペインは人ごとじゃないですよ、イタリアだって。そういうことで、私は台所が火の車で何にも出来るものでもないし、それから、ほかの問題ありますよ。憲法も結構だけれど、集団自衛権というものを認めないで、都合のいい時だけ国守ってくれと言っても、皆さん安保条約、どれだけ精通しているのか知らないけれど、あの5条を読めば、軍事紛争が起こらない限り、アメリカはコミットしてこないんですから、そういったものも、小沢(一郎 民主党元幹事長)君が何を考えているのか知らないけれど、憲法改正やるんだと言っているそうだけれど、この間の連合の時も、今度も、何を考えているか知りません。
 いずれにしろ、消費税にしても、集団自衛権の問題にしても、それをしっかり踏まえて、日米安保というのは期待せざるを得ないと思うんだけれども、そういった地ならしというんでしょうか、それは単独の1つとして、とてもできないと思います、勇気がなくて。

【記者】一方で、都議会も似たような行政府と都議会の間の勢力のねじれというのがあります。民主党が今、都知事候補の擁立作業の中で、独自候補を出すのか、独自候補にこだわらなくてもいいのではないかという意見も中にあるのですが、都議会における自民党と民主党の連合というのについては、都知事はどういうふうにお考えをお持ち……。

【知事】それは、連合もへちまもないんでね。今まで、私はどの政党が自分にとって与党とか野党という意識持ったことないです。出てきた時は、自民党はプロパーの候補がいて、共産党もあって、あと4人か5人ほかの候補がいて、そこに私が加わって、その末のあれでしたから、最初は僕は、本会議で挨拶した時にやじられた、自民党から。「小説書くようにいかないぞ」と言われたから、「君ら、小説書けるのかね」と言ったことあるよ。そんなこんなで、民主党だって、ずっと是々非々やってきてくれて、財政再建だって、自分の給料減らす云々にしても、私は東京都の財政というのは、本当に再建されたと思うし、まだまだ余裕もあると思いますが、民主党だってそれに大きな力を貸してくれたんで。ただ、今、政党間の対立で言うと、豊洲の問題です、築地の。これもよく分からない、僕は。反対の根拠というのがさっぱり分からない。審議未了というか、もっと討論すべきだというけれど、これ以上何を討論するのかさっぱり分からない。これで、予算が止まったりしたら、築地だけじゃなく、東京の市場止まってしまうわけですから、そんなことがあったら、国民、都民が大迷惑しますよ。その辺は民主党だって分かるんじゃないのかね。
 だから、私は決して都議会がねじれているとは思わないし、是々非々でやっていけばいいことで、今までもそうやってきましたから。
 どうぞ。

【記者】尖閣諸島についてお伺いします。石垣市が、以前から尖閣諸島への上陸の許可を政府に求めていたという話について、つい先ほど総務省の方が上陸を認めないという方針を伝えたとの……。

【知事】何故、認めないの。

【記者】伝えられているところでは、課税の調査のためというような名目であるけれども、そういう調査をする必要がないとか、そういうことみたいなんですが、これについて、知事はどのようなお考えでしょう。

【知事】そんなことよりも、皆さんに話したかどうか分からないが、私、去年ですか、暮れに、息子の(石原伸晃 自民党)幹事長に話したら、それは直にお父さん、谷垣(禎一 自民党)総裁に言ってくれと言うので、谷垣君にも会いました。それから石破(茂 自民党)政務調査会長にも会って言いました。それから、私の友人で、野党であるたちあがれ日本の代表の平沼(赳夫)さんにも同じことを言ったんですけれど、国会議員というのは、調査権があるんです。国政調査権が。だから、尖閣問題に関心がある議員というのは、超党派でいると思うから、その人間たちがチームを組んで、国政調査権の名目で、尖閣に上陸して、あそこに、当然、自分の国土を守るために、自衛隊が駐留する可能性があるか、ないか、どういう整備が必要かということを、ぜひ政府に申請して、国政調査してほしいと言いました。「考えましょう」ということでした。国会が始まったら、おそらくそういう動議が出るんじゃないですか。その時に、国会議員は超党派で、尖閣に上陸して物を調べようということを忌避するとしたら、これはかなり問題のある政府ということを言わざるを得ない、ということです。

【記者】国の今回の決定については。

【知事】市議会議員と違って、国会議員というのは、国政調査権があるんですから、その権限を持った、議員たちが超党派で国民の意思を代表して、その可能性を調べに行くということは、私は政府が忌避する理由はどこにも毛頭ないと思いますけれども、これは菅政権がそれに対してどう反応するか、私は見物だと思っていますが。

【記者】市議について認めないという決定を今回出したのですが。

【知事】それは、どんな理由かを聞かなければ分からないですな。理由聞かせてもらいたいね。

【記者】調査する必要がないという話と地方税の調査の必要はないだろうという見解で。
 石垣市議らは、地方税の調査のために上陸をしたいという旨を伝えていたことに対して、それは必要ないという見解みたいなのですが。

【知事】それは、そのサイズの政治的なニーズということでしょうけれど、自衛隊による、あの島の防衛云々ということで、その調査で、国会議員が超党派で行くということは、全然質が違うと思います。私はそれを建言しましたが、その平沼君をはじめ、谷垣総裁、あるいは、民主党の中にも有志がいると思うけれど、その人たちがどういう意思表示をして、それがどういう風にまとまって、どういう申し込みをするか知らないけれど、私は期待しています。
 どうぞ。

【記者】先ほど、今年の抱負というところのお話で、かなり国全体の行く末を憂慮されるようなお話だったと思うのですけれども、おひざ元の東京都でも、先ほどおっしゃった豊洲、築地の問題ですとか新銀行ですとか、色々まだ課題が残っていると思います。こういった課題についての今年の知事の抱負をお聞かせ願えればと思うのですが、いかがですか。

【知事】さんざん言ってきたじゃないか、そんなことは。今まで言っているのと同じことだよ。あなたの質問には、改めて答えることもないよ。今まで言った通りのことを書いておけよ、それだったら。

【記者】最後の3カ月ちょっとになるかもしれないわけなのですけれども。

【知事】出来るだけのことは、時間を限らずやっていく必要があると思いますけれど。
 どうぞ。

【記者】都知事選の出馬については、今までおっしゃっておりましたけれども、「一寸先は闇」だとか、「ケセラセラ」だとかいうことをおっしゃっておりました。しかし、どういう条件が揃ってきたら決意表明をなさろうと思っているのでしょうか。どういう条件というのは、例えば、相手候補の顔ぶれが全部出揃った時であるとか、今回の都議会の予算が否決された、可決された、何かそういう風な問題がクリアされた時に、私は決意を表明しますと。

【知事】それは物事の流れの中で決まることで、今から早々にそんなこと分かりません。許される時間の限り許されることを、やるだけのことをやるというしかないんじゃないですか。誰だって同じことだと思います。
 はい、どうぞ。

【記者】この年末に、たちあがれ日本が菅首相から打診されて連立政権への参画ということを検討しました。結局は参画しないという結論になりましたが、応援団長を自認されている石原知事にとって、今回のこのたちあがれ日本の連立参加の検討をどのようにごらんになっていましたか。

【知事】ナンセンスだと思う。それは背信行為です、そんなことしたら。平沼君はそう言っていますよ、はっきり。最初の新党成立の目的と全く反することだし、何故沈むと分かっている、沈もうとしている船に乗り込む必要があるんですか。数合わせにもならない。

【記者】応援団長の立場というのは変わりはなく?

【知事】愛想尽かしたら、そんなもの応援はしない。与謝野(馨 たちあがれ日本共同代表)君はやめるんじゃない。色々な話も聞くよ。どうでもいいけれども。
 はい、どうぞ。

【記者】来週は成人の日を迎えますわけで、今年は新たに124万人の若者が新成人となります。知事、先ほども厄介な時代になってきたと、今年もなかなか難しいぞというふうに、常々おっしゃっているわけですけれども、そんな厳しい時代を迎える新成人に向けて、何かメッセージございましたらいただけますでしょうか。

【知事】人間の価値というのは、人と違うということなんだから、彼らが成人になり、社会へ出ていって、どういう組織に属するか知りませんけれども、いずれにしろ、人間同士の連帯の中で、人間は生きていかざるを得ない。そういう連帯の中で、1人の人間がリーダーになるとか、人に従う、色々な立場があるでしょうけれど、互いに付き合いの中で評価される、その所以というのは、人と違うということなんです。つまり、別の言葉で言うと発想力だと思います。
 人間の違いというのはもちろん個性だ。個性というのは何で際立ってくるかといったら、自分が持っている情念、それを踏まえて、自分の感性というものを磨いていかなかったら、人との違いは出てこない。横並びに同じような人間になっても誰も評価しないし、そんな人間がそれで満足するんだったら実につまらない人生だと思うし、若い諸君は今からでも遅くないから、何でもいいから趣味を持つこと、趣味を。
 役人にも言っているんだけれども、趣味を持つことでもっとうまくなりたい、何でもいいんです、碁でも将棋でもテニスでも俳句でも何でもいい。うまくなろうということで、工夫つまり大脳が働いてくるんで、組織の中で会議してもあんまりそんなもんは出てこない。この間も申し上げたと思うけれども、東芝の会長と話した時に、彼もそういう意気込みがあって、今年もなかなか新しい製品をつくったりしたけれど、そういう人たちに、どういう時に、会議で生まれてくるのかと言ったら、会議なんかで発想なんか絶対生まれてきません。大体風呂だと。風呂に入っている時だって。それから、電車にぼやっと座って外を眺めている時に、ふっと思いつく。人間ってそんなもんだと思う。
 実はそこで、頭がある意味でもっと健全に働いているんで、僕は、若い人たちに趣味持って、自分の感性というのを磨いてもらいたい。
 どうぞ。

【記者】新銀行東京の件なのですけれども、先日HISさんが株式買い取り、検討しているということで、知事、その程度の動きは知らないということで、当然、都がタッチする問題ではないという風におっしゃっていただきましたけれども、経営が良くなってきているとはいえ、まだまだ問題もあるところで、一方で都も84%の大株主でありますので、経営が良くなるのであれば、一民間企業に都が持つ株式、全部もしくは大部分を渡して経営を良くなるように任せるというお考えというのはあるのでしょうか。

【知事】ない。今のスタッフが十分やっていますよ。ほかの銀行やらないことやっているから、信用出てきて、店行ってみたらたくさん人来ています。それは親切だから。リスケジュールという、返済の期限を延ばします、その代わり、こういう工夫をしなさいということを、手取り足取りやっているわけで、ほかの銀行はやらないから。これぐらいの小さな融資だったらつぶしてしまえと、面倒くさい、相談乗るの、倒産させたらいいということでやってきたわけでしょう。それは、非常に酷というか、銀行の立場考えて、僕は銀行嫌いなんだ。大銀行というのは。だから外形標準もやったんだ。こんなものがまかり通っているのはおかしい、本当に。

【記者】ということはもう知事のおっしゃる通り、いわゆる経営権を任せるとか、その大部分ということは、現時点ではお考え……。

【知事】そういうことはいっても、参加することに興味があるなら、増資でもって、金持って乗り込んでこいよ。ハウステンボス、あそこを買いたたいて、うまい商売しているかもしれないけれど、それとこれとは全然違うよ。そういう考え方だったら顔洗って出直してきてもらいたい。
 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)