石原知事記者会見

平成23年1月27日更新

石原知事定例記者会見録

平成23(2011)年1月21日(金曜)
15時03分〜15時13分

知事冒頭発言

【知事】私から、冒頭申し上げることはございません。質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】昨日、ソフトバンクの孫(正義)社長が都庁を訪れまして、猪瀬(直樹)副知事との会談で、都営地下鉄でのメールなどの通信サービスが可能になるよう工事を始めるという話がありました。世界の都市では、例えばモスクワ、北京、ソウル、そしてパリなど、既にこのサービスは出来ていたということですが、東京もようやくというところで、知事はこの件に関してどのようにお感じになっていますでしょうか。

【知事】大変結構なことだと思います。私はあまり携帯やらないんで、地下鉄に乗ることはありますけれど、地下鉄の中で携帯を、主に会話というよりもメールなんでしょうけれど、そういう用途がなかったために、実感がなかったんですが、この頃、ほとんどの人が携帯を持っていて、電車の中では、マナーモードになっているから会話はしないけれども、メールでやりとりするんでしょう。猪瀬さんに聞いたら、大体の通勤者は会社に行って、持っている携帯でのメールというものを整理して、それは仕事でのやりとりもあるんだろうから、それから仕事にかかるから、それに20〜30分かかるんだそうです。その時間が省けて、非常に生産性が上がっていいんじゃないかというから、まことにそのとおりだと思ったんだけれど。他の国がどういう会社の所有者になっているか分かりませんけれども、ほとんど官僚が支配しているセクターというのは気がきかないんだよ。そういうことに、思いが至らなかったというのは、経営を誰が担当するかというのは問題だと思うけれども、それに気がついて、しかも孫さんがそれに即断で応えてくれて大変ありがたいし、東京のように稠密に地下鉄が走っている大都市というのはめったにないんですから、それが更に有効に使われるということは、大変結構だと思います。
 はい、どうぞ。

【記者】ちょっと話が変わってしまいますが、中国についてお伺いします。以前から予想されていた話なのですが、去年のGDPが初めて、日本を抜いて2位になるということが昨日分かりましたが、これについて、知事、どのように受けとめていらっしゃいますか。

【知事】その問題に付言する前に、1つだけ前提として言うべきことを、皆さんも心得ておくべきことですけれども、中国が発表する数字というのは、実に当てにならないんだ。ディテールについては分かりませんが、軍備の問題にしろ何の問題にしろ、個々の問題の数字になってくると、極めて当てにならない。ただ、僕はGDPが膨張していって日本を抜くというのは当然だと思います。人口そのものが日本の10倍あるんだから。印象的だったのは、前の駐日大使と何度か会って話したことがあるんだけれど、彼が「いや、まだ日本にはとても追いつきません」と。「我が国の本当の金持ちというのは1億人しかいませんから」と言うから、僕は、はあと思って笑ったんだけれど、その1億人の金持ちの内容も色々あるでしょう。それに付随して、日本そのものの色々な衰退の兆候が目立ち過ぎるということは残念だ。この間も申し上げたと思うけれど、日本の国家予算の国債への依存率というものを考えれば、仮に日本がヨーロッパのどこかにある国だとしたら、今の財政状況ではEUに入れない。仮に入っていたとしても、今度はユーロが使えなくなるという現況にあるわけです。その他、GDPの競争だけじゃなくて、色々な問題を抱え過ぎて、結局、国民全体の一番強いアイデンティティーは、我欲でしかなくなった。物欲、金銭欲、性欲、そういったものが、色々な好ましくない風俗も醸し出しているし、それから、政治そのものを規制して、税制の改革なども、とても今の形ではおぼつかないという状況なんで、私は決してGDPの問題だけにこだわりませんけれども、GDPを総量で中国に抜かれたということもやんぬるかなだけれども、それに付随して日本に起こっている問題というのは、私は相当真剣に考えないと、この国はだらだら衰運たどるんじゃないのか、そんな感じがします。残念だけれど。
 どうぞ。

【記者】2点お尋ねします。まず2月6日の投開票日に向けて、愛知県で知事選と名古屋市長選と名古屋市議会の選挙が告示され始めていますけれども、このうち河村たかしさんと、橋下(徹)府知事が、大都市を活性化させ日本を引っ張るとか、地域から日本を変えるという発想をお持ちのようです。こうした考えについて、どう思うか教えてください。

【知事】東京と同じじゃないか。東京がやったことを彼らがやっと始めたんで、結構です。
 加えて言うと、葛西君(葛西敬之 JR東海会長)が、本気でどこまでやるか分からないけれど、リニアがおそらく品川から走って、名古屋でワンストップして、大阪の方で中心地につながる、ほとんどドア・ツー・ドアで1時間足らずで、東京と大阪が結ばれる。これはすごいことになります。今ある太平洋沿岸の工業ベルト地帯が活性化されて、日本の1つの新しい、しかしその工業地帯で何を考え、何を作るかということが問題になってくると思うけれども、私は田中角栄さん(元内閣総理大臣)が言い出した「列島改造論」より、もっとアクティブな、大きなフルーツがあって、名古屋も中部地域も1つの日本のコアとしてあれするし、もはや東京首都圏の周辺と中部と関西ということじゃなくて、この3つの大都市圏が1つになる、実質的に、時間的に、物理的に1つになるということはすごいことだと思いますけれど。

【記者】2点目なのですけれど、こういう考え方のもと、橋下府知事は、例によって「大阪都」構想に賛同してくれる人に都知事になってほしいと言っておりまして、東京都知事選に関与したいような素振りもあります。こうした橋下府知事の考えや行動についてはどうですか。

【知事】いっそ、橋下君、東京で出た方がいいんじゃないか。
 はい、どうぞ。

【記者】知事選の告示まであと2カ月と迫りました。

【知事】その話はいいって、もう。

【記者】あえてお伺いしますけれども。現在のお考え……。

【知事】聞かれる度にストレスがたまって、かなわないんだよ。

【記者】現在のお考えは?

【知事】ケセラセラ(なるようになる)です。ケセラセラという言葉、ボルジア家の刺客の一族があった。それの家訓なんだ。格好いいだろ?明日の命は分からない、ケセラセラと。この間、ボルトンという非常に仲のいい前の国連大使が来て、どうも頼りないんで、俺が共和党の大統領候補になると本気で言っていたけれど。彼といろいろ話をしたんですが、彼も「ケセラセラだろう」と言っていました。

【記者】来月始まる議会は本格予算を組まれているわけですけれども、議会に入る前に、審議に当たって進退を表明されるお考えというのはあるのかどうかというのは。

【知事】ありませんな。

【記者】都民もかなり、4選出られるのかどうかというのは気になっているところだと思いますけれども、いつ頃までに。

【知事】私が考えて、適当な時点で出処進退をご報告いたします。それは私に任せておいてもらいたい。
 はい、どうぞ。

【記者】今の日本の危機については、解決するには時間が残りが少ないという認識に立って、(元)「たちあがれ日本」の与謝野(馨)さんが、内閣の方に入ったわけです。そういう行動というものは、もっと評価されていいのではないかと思うのですが……。

【知事】あなたは新宿の住民だからな。与謝野君のサポートかもしれないけれど、我々政治家全体から見ると、どうもいささか、言うとやるとは大違いという感じは否めない。それで、1人の行動でなく、数人の仲間と一緒にあれだけのことをしたんです。しかも自民党もやめた。その目的は民主党の政権を倒すんだということだったんで、大変結構だと。私も弟分の平沼(赳夫)君が首謀者だから力も貸してきましたが、ちょっと意外です。税制の改革なんていうのは、やることはもう決まっているんで、誰がどうやってやるのかの話で、1人、2人がばたばたしてもどうなるもんじゃない。ですから、私は彼の今度の去就は評価いたしません、あなたと違って。
 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)