石原知事記者会見

平成23年3月10日更新

石原知事定例記者会見録

平成23(2011)年3月4日(金曜)
15時03分〜15時21分

知事冒頭発言

【知事】今回、冒頭から申し上げることはありません。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】まず最初に、都知事選に絡まない質問を。

【知事】そうしてくれよ。

【記者】27日の東京マラソンのことでちょっとお伺いしたいのですが、今年で5回目なのですけれども、ことし初めてチャリティー枠制度というものを採用しました。それで、7,000万円を超える寄附金が集まったのですが、ただ、日本の大きなマラソン大会でチャリティー制度を使ったのは初めてということで、海外に比べれば、やはりまだまだこれからだというような気がいたしますが、例えばロンドンマラソンとかは寄附金だけで60億円集まったりとか、そういうふうな事例があるのですけれども、今回、第1回目のチャリティー制度を導入した大会を振り返って、知事の感想といいますか、今後に向けてどういう風な感じになっていけばいいのかという所見をお伺いします。

【知事】やって良かったと思いますし、あなた言ったみたいに、ロンドンなんかはもっとべらぼうなお金が集まるみたいだから、人間の枠もどうなっているんですかね。警察は、あまり人増やさないでくれと、これは警護の方で大変だと思うので分かるんですけれど、今回もアナウンスしてから、締め切りの期限までが短過ぎたんで、次回からもうちょっと集まると思いますけれど、こういうものをどんどん徹底し、拡大していくことで、世の中の役に立つと思うし、色々な使い道があると思うので、やってよかったと思いますが、イギリスだってそんなに景気がいいわけじゃないけれども、マラソンのマニアもいるだろうし、お金払っても走りたいという人ももっとたくさんいると思いますから、そういう点では期待しています。

【記者】ありがとうございます。2つ目の質問なのですが、少し選挙に絡むような質問をちょっとさせていただきたいのですけれども。

【知事】絡まないほうがいいよ。

【記者】自民党都連の方の幹部の皆さんとか、あとは各種団体の方とか、あとは区長会の先生方とか、各種、社会的な地位のある方が石原知事に対して4選出馬を求める声といいますか、要請というのが、きょう現在でも続いていると思いますが、石原知事、現在の心境を聞かせていただければと思うのですが。

【知事】大変うれしいし、ありがたいと思います。今まで、私1人がやったわけじゃないです、それは、都庁の職員も、議会も協力したから、色々なことが出来たと思うし、それに対する評価だと思いますが、それはそれ、これはこれで、それ以上のことは差し控えさせてください。はい、どうぞ。

【記者】地域政党が、最近選挙を前にして全国的に盛り上がりを見せているようなのですが。

【知事】「地域政党」って何ですか。

【記者】例えば、「減税日本」という名古屋の。

【知事】どうかしてるよ、あれ。この財政下に、減税すると言っても、名古屋だって赤字抱えているんだろう。そんなものも克服せずに、立て直さずに、減税なんて、それは聞く耳はいいかもしれない。国民も、そんなものに付和雷同するのは、ばかだと思います。減税する余裕がどこにあるんですか、本当に。そういう点では、民主党に行ってしまった与謝野(馨 経済財政政策担当大臣)君が言っている、その通りのことだと思います。

【記者】その減税を訴える党と、簡単に言いますと、増税を旗印にする政党と2つが大きく出てくると思うのですが、そのどちらでもない、また考え方も中間として存在するのではないかなと思うのですけれども。

【知事】その中間って、どうしたらいいの。

【記者】例えば、無駄を削減する無駄削減党とかいうやつ、そういうものがまた生まれてくるのではないかなという気もするのですが、都知事はそういう、今度の都知事選の絡めて、どういう風な選挙戦が行われてくるのであろうと。

【知事】今度は地方統一選挙ですから。しかし、国政の選挙はいつになるか分かりませんけれど、前回の民主党が参議院で議席逆転されたいきさつを見ても、増税を口にするのもタブーになってしまった。よほど勇気がないと、こんなことを言えなくなってしまった。みんな、口にするのは恐れて、口にはしないけれど、じゃあ、一体どうやって、日本の財政を支えていくんですか。こんな高福祉で低負担で、社会保障なんか成り立つわけありません。それを、国民はもう少し、考えた方がいい。絶対考えた方がいい。結局、自分の身に降りかかってくることなんだから。国民だって少しは採算勘定を持っているだろうから、大まかな数字でもいいからつかんだ上で、これが持つか持たないかということを、そう知的なレベルの低い国民じゃないと思うから、自分で考えたらいいんです。はい、どうぞ。

【記者】京都大学などの入試で、インターネットを使ったカンニングがございまして、予備校生が逮捕されるという事態になっているのですけれども、今回の騒動をどのようにごらんになっていますでしょうか。

【知事】僕は、携帯あまりうまく使えない方の1人でね。しかし、世の中というのは物事が進んだなと。どうも、報道を聞いてみると、そんなに難しいことじゃないらしいんだ。携帯の持ち込みというものの使用を制限する云々の措置を講じなかった大学当事者の方が、時代に遅れているんじゃないですか。そういう感じがしました。僕は、ああいうことを考えた人間は、よほど発想力があるのかなと思ったけれど、携帯に慣れている人間は、「石原さん、簡単ですよ」ということなんでしょう。これは、入学試験を管理する側の、少し年代が上の人間の方がずれているということだと思います。どうぞ。

【記者】先ほどちょっと選挙についてお話がありましたが、国政選挙と知事選挙、そもそも多少性格が違う部分もあるかと思うのですが、政治家の中には、実際の政治家としての活動よりも、選挙をあまりにも重視し過ぎてしまう、そんな政治家も少なからずいるかとは思います。ちょっと抽象的な質問になって恐縮なのですけれども、知事ご自身は、国政選挙、都知事選挙をこれまで戦って勝ち抜いてこられたわけですが、選挙そのものというのは、知事の中ではどういう風に位置づけられて、とらえていらっしゃるのでしょうか。

【知事】まずその前に、選挙区制度の問題があるんです。中選挙区というのが否定されたゆえんは、自民党の単独政権が続いていて、自民党そのものの構成というのは派閥によっていて、それから、政治家の出世というか、プロモートしていく、それも派閥に属していないと全く恵まれない。例えば、自分で言うのもおかしいが、私なんか一種の特殊兵器です。自民党は使えなかった。もっと、もったいないのは、椎名素夫さん(元参議院議員、物理学者)という素晴らしい人物がいた。原子力に詳しくて、英語も堪能で完璧で、あの人が引退した後、アメリカが勲章出したんじゃないのかね。自民党は歯牙にもかけなかった。派閥に入ってぞうきんがけしなかったら、一人前と認めてもらえない。結局、中選挙区というものの弊害も、何も与党だけでなく、野党にもあったと思いますけれど、そんなものがいろいろ輻輳(ふくそう)して、最後に中選挙区が転じて小選挙区になった。これはもう全く間違いだったと思います。政治家が、本当に小さくなってしまった。
 私は、野中広務(元内閣官房長官)とわりと仲いいんだけれど、もともと考え方はかなり違うところもあったんですが、彼は非常に強い人物で、蜷川(虎三)という共産党のとんでもない知事がいて、いわゆる独裁者として京都に君臨している時に、反対の自民党までがみんな彼になびいた時に、野中は徹底して彼と闘ったんです。蜷川が一番苦手でしたのは、たった1人、野中だった。私は京都の知事選に応援に行った時に京都の実情を見て暗たんとしたんだけれども、1人だけ闘った彼は、非常に評価していましたが。そういう気骨のある人間だから、田中派の中でも出世して幹事長になって官房長官になった。総務会で、小選挙区に最初から最後まで反対したのは僕と野中だった。ほかの政治家は「守旧」という、耳なれない言葉に脅されて、あの時の自民党の総裁である河野(洋平)君もそうだ。小沢(一郎 元民主党幹事長)君に脅されて、守旧という言葉に怯えて、結局くだらん議長裁定というので、小選挙区を実現しちゃったんです。見てごらんなさい。その後は、私、さっさと自民党を辞めましたが、野中が、「石原さん、国会に行って観戦してみろ。夜中に上がる審議の議案が上がっている時に、もう午後から誰もほとんどいない。近くの新幹線で往復できる人間、みんな帰ってしまって、選挙区を歩いている。こんな国会やで」と言うけれども、実際そうでしょう。私のいた選挙区なんかだって分割されまして、大田区なんかは2つに割れてしまって、そこから出ている都議会議員よりも選挙が小さくなってしまった。こんなことをしちゃいけません。そんなところで、区議会議員と同じように、どぶ板踏んで歩いて、ぺこぺこしている政治家が国家論じる余裕がない、大体。見識も備わってこない。絶対に間違っている。私はその時から言っているのは、その論が正しいか正しくないか分かりませんけれども、小沢が言っているみたいな、日本の二大政党は間違いです。私は、ドイツ見ていてうらやましいと思う。ドイツは三大政党なの。A、B、Cあって、場合によってはAB、BC、ACという組み合わせで、その中にもう1つスパイスみたいな、日本の共産党みたいなものか、「緑の党」みたいな環境一途な政党があって、こういったものが加味されてきて、非常に議論の幅が広くなっていて、私はむしろそれが非常に合理的に円滑に議会を動かしていると思います。
 ですから、そもそもの間違いは、小選挙区を採用したこと。絶対にこれは間違いだし、ここから健全な民主主義は生まれてこないし、健全な政治家は生まれてこないと思います。どんどん政治家が小さくなってしまった。昔やった青嵐会の取材を、どこかの新聞の常務ぐらいいったのかな、青嵐会担当の男が、今は引退したけれど、青嵐会のこと書きますからと言ってきて、僕もインタビューを受けた。出来た本はつまらない本だったけれども、彼が慨嘆して言うのは、あの頃の自民党員はみんな一癖や二癖はあった。青嵐会はみんな二癖、三癖あったと。考えてみれば、今いないね。みんなロボットみたいで、どれ見ても、顔は違うけれど言っていること同じだ。寂しい国になっちゃったね。はい、どうぞ。

【記者】都庁の地震への対策についてお伺いしたいのですけれども、都の方で、東海地震などのような大きな高層ビルに大きな影響を与えるような地震の影響。これを調べておられて、今、まだ途中かもしれませんが、すぐ倒壊はしないものの、一部でいろいろ壊れて、庁舎として使いにくく、使えなくなるような恐れもあるというようなことを伺っていますけれども、これについては今後、抜本的に対策をとられるということですけれども、今、これをやることの意味とか、背景などについて知事の……。

【知事】地震はいつ来るか分からん。一刻も早くやった方がいいんじゃないですか。条例つくって、肝心なところには建物の耐震性の調査というのを義務化しているわけだけれど、都庁だって、言い出しっぺで済むわけじゃないから。さっきもその報告受けました。それで、部分的にも耐用年数来ているところありますし、阪神大震災でかえってきてみたら東京も慌てて高速道路の周りに、あの支柱に、鉄板張っていったけれど、首都高速の。あれでも結構効くんだね。さっき聞いた報告は、かなり強固なもので、ある梁を、随所に入れることで耐震性強化をされるということでしたが、詳しくは局から聞いてください。それは急いでやらなきゃいかんと思います。都民の方々に、耐震性の診断しろと言い、危ない建物は建て直そうと言って、少し援助もするという条例をつくっていながら、当の都庁が安閑としている訳にいきませんから。はい、どうぞ。

【記者】お尋ねしたいのですが、先ほど19歳の予備校生、携帯を使ってということがありました。なるほど、時代が進むにつれて、新しい事件とか、それから捜査の対応の仕方、これも変わっていくと思います。試験会場での監督の仕方も、また変わらなければいけないのかなということを、提起してくれたことかもしれません。ただ、本人は、この大学に受かりたかったからということだけでもって知りたい答えをそういうネットを使って答えを得るという。ということは、自分かわいさだけですよね。モラルの欠如というか、道徳の授業がなくなったとか、色々なことが背景にあるのかなという風に感じたりもしたのですが、どうでしょうか。

【知事】入試にしろ、その合格した後の大学、高校でもそうだけれど、カンニングというのは昔からあったんです。僕なんかもあっぷあっぷした方だから、高等学校の時に、非常に出来るやつが2人いて、僕も先生に、「お前、もうちょっと勉強したら彼らぐらいになれるんだから、そんな絵なんか描いてないで、サッカーなんかやってないで勉強しろ」と言われたんだけれど、その2人、対照的だったのは、片方の男は、自分で答案書いてしまうと、知らん顔して仲間に見せてた、うまく。もう1人は、さっさと答案、先生に渡して出ていった。2人とも大蔵省行ったけれど、どっちが出世したかといったら、仲間にもの見せたやつが出世した。そんなもんだよ。みんな、いろいろ苦労してカンニングしていたね、中には、鉛筆2つに割って、中にもの書いて、それ読んだやつとか、色々いました。その試験というのは受ける当人にとったらいいもんでもないし、だから、持っているツールを使って、日本で初めて入学試験で携帯使ってカンニングやったというのは見上げたもんなんじゃないのかね。ある意味では、ここ(頭)がいいんだよ。学校の方がばかなんだよ。
 と言っている私はその行為を是とはいたしませんよ。それはファウルだけれど、でも、そういう時代になったのかなと思って。ただ、携帯電話というのは国家が管理していますから、情報というのは必ずトレースしていくと、誰がやったかということは突きとめられるんだよ。そういう点ではある意味、携帯というのは、あんまり信頼もできない怖いツールなんじゃないかな。

【記者】悪いことやって逃げられるものではないと。短い時間でしたものね。ありがとうございます。

【知事】それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)