石原知事記者会見

平成23年3月24日更新

石原知事定例記者会見録

平成23(2011)年3月18日(金曜)
15時02分〜15時24分

知事冒頭発言

1 消防部隊の派遣について

【知事】今日は冒頭、幾つかのことを申し上げます。まず第1に、東京からの消防部隊の派遣についてでありますけれども、昨晩遅く、総理から福島原発への放水作業に対して、東京消防庁への協力要請がありました。ハイパーレスキュー隊中心に、30隊139名の派遣を決めました。現に、既に現地に到着しておりますが、ちょっと、情報の行き違いというんでしょうか、最初に総理から電話がかかりますと言ってきた阿久津(幸彦 首相)補佐官は、私の秘書をした男ですけれども、彼が言うには、「警視庁の放水車を」なんて言うから、「とっくに現地にいるよ」と言ったら、どうもよく分からない。それで、総理から電話がかかってきたら、「危険も伴う作業だけれども、自分には任命権ないから、東京のハイパーレスキュー隊によろしく頼む」ということだったんですけれども、どういう風にしてそれが遅滞してるのかと思ったら、消防総監に聞いたら、とっくに昨日、車派遣しましたと。要請があって。現地に行って引き継ごうと思ったら、相手が来ないと。それで仕方なしに戻ってきたと言うんだ。とんちんかんな話で、どこで情報が混乱しているのか分かりませんけれど。それで、改めて頼むよということで、「分かりました。派遣します」ということだったんですが、既に現地に到着していまして、長いアームを積んで、地上22メートルの高さから放水できる屈折放水塔車や地上40メートルまで梯子を伸ばせる、特殊な車両など、30台で作業にあたるわけですが、ある意味では、危険で、放射能というのは目に見えない敵ですから、困難な作業でもありますが、隊員の諸君には、何とも頑張っていただきたいと思っています。

2 政令改正で電力削減を

 それから、この間、蓮舫節電担当大臣なるものが来まして、「よろしくお願いします」と言うんだけれども、「あなた、そんなことを一々地方自治体に言っていたらきりがない話で、昔、オイルショックの時に出したみたいな政令、出しなさいよ」と言ったら、どうもよく分からん、政令はと言う。「あなた、担当大臣だったら閣議にかけたらいいんじゃないの」と言ったら、はあと言う話だったんですが。さっき、猪瀬(直樹)副知事から、大事な情報を入れてもらったんですが、政令というのは、オイルショックの時に出したんですが、これ、生きてるんです。担当大臣がこの政令をもう1回、何日から何日まで何カ月施行しますと言うと効力があるんです。内容はほとんどそのままで、今適用できるものですけれども、ただ、最初のオイルショックの時には、節電を規制する対象になりうる自動販売機なんかなかったんです。その頃は。これは政令の中に加えればいいと思うんですけれども、いずれにしても、自治体には色々あるわけです。東京は東京の責任でやりますけれど、東京に限らず、関東一円の非常に電力消費量の多い都市がこういったことに協力しなければ効果はないわけで、ある筋を通じて政令を出しなさい、出した方がいいよというアドバイスをしましたが、少し動きつつあるようですけれども、どうも、その反応が鈍くて、こんなものはさっさとやったらよろしいんで、これからも非常に困難な時期が続きますので、せっかくある政令ですから、もう1回、復活して適用させたらいい。そっちが遅れたら、都でも条例を作ってやらざるを得ないかなと思ったんですが、条例だと、また議会開いたり、色々条件をつけたりしないと厄介なんですけれど、既にある政令ですから、これを政府が政府の権限で発効すれば、国民も納得してついてくわけで、何故それをしないのか、私には分からない。建言しましたので、近々動くでしょう。今日でも、仙谷(由人 内閣官房長副長官)君に会って、そのアドバイスをしようと思っていたのですが、向こうも忙しくてなかなか時間が作れないのですけれども、いずれにしろこれは、政府の責任で、節電というものは必要な作業ですから、それを徹底するためにも、せっかくある政令をもう1回告示し直せればよろしい訳で、やってもらいたいと思います。
 計画停電には、色々問題がありまして、1日3時間の停電でも工場などは事前の準備と停電した後の復帰作業に時間がかかるために、全面的に操業を停止しなくちゃならないような、そういうところも出ているわけです。
 計画停電は節電のためには緊急避難的措置だとしても、影響が様々に出ていますが、繰り返して申しますが、国はオイルショックの時につくった、電気事業法の政令に基づく電力使用制限措置を、即刻発動すべきだと思います。
 一律・画一的な計画停電ではなく、強制力をもって、例えばネオンサインなどは、10時過ぎたら消させるとか、そういったメリハリのある合理的な、国民も納得する「電力使用制限」を行うべきだと思っています。
 また、現在の電力の逼迫状況を踏まえ、さっき言ったみたいに、自動販売機のようなものを対象とするような、少しリフォームした政令を発すべきだと思っています。それを今日、国に要求しましたが、国もそれを受けとめて、迅速に対応してもらいたいと思ってます。

3 被災した中小企業への支援について

 次に、被災した中小企業への支援でありますけれども、東京都では、中小企業者への支援として、「災害復旧資金融資」や「特別相談窓口」を立ち上げました。
 「災害復旧資金融資」は、東北地方などに工場や事業所を有し、被災した都内中小企業を対象に、金利面での優遇策や保証料の全額補助を講じたものでありまして、既に取り扱いを開始しております。
 また、計画停電などによる経済活動への影響が懸念されることから、「特別相談窓口」を設置して、都内中小企業の経営面での相談に対応しています。詳細については担当局に聞いてください。
 例えば、うちにいつも届いてる牛乳が今度ビンになった。聞いてみたら、牛乳のパックは東北の方で作っているみたいで、これが品切れになっちゃって、牛乳供給の容器が変わったという現象も起こっています。

4 悪質な勧誘や詐欺への注意喚起について

 それから、こういう緊急事態の中では、阪神淡路大震災などの例を見ましても、震災に乗じて、不安な気持ちを煽り立てたり、被害者を支援したいという気持ちに付け込んで、詐欺まがいの悪質な行為が横行しがちでありました。例えば、建物や電気設備の点検と称して、必要もない高額な工事を契約させたり、街頭や戸別訪問で、ニセの義援金を集める手口もかつてはありました。都民の皆さんには、こうした被害に遭わないように、十分注意していただきたいと思っております。不審なことがあれば、すぐに消費生活センターや警察に相談していただきたいと思っております。こういう手口は、もっと忌まわしい形で、阪神大震災の後にあったんですけれども、日本人も色々な人がいますが、市民にはこういう悪質な詐欺行為にひっかからないように注意していただきたいと思います。私から申し上げることは以上ですけれど、質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】一番最初にご説明いただいた東京消防庁の派遣の件なのですけれども、東京消防庁のハイパーレスキュー隊なのですけれど、もう1日早く行けたんじゃないかというような議論もある中で、先ほどの会議でのご説明でも、行ったけれども、一回戻ってきたとおっしゃっていて、そこの時系列の経緯をもう少し詳しく教えてもらえますか。

【知事】私は詳しいことは知りませんが、さっさと行ってやったらどうなんだと、尻込みしているのかと言ったら、「とんでもないです。私たち出かけまして、バトンタッチしようとしたところで、相手が来なかったから、1回行って、空振りして帰ってきたんです」と総監が言ったんで、これはゆゆしいというか、無駄なことで時間が浪費されたんだなと、慨嘆しましたけれども、詳しくは消防庁に聞いてください。私が昨日電話で話した限りは、総監も1回行ったんですと。向こうの連絡が悪くて、引継の人が来ないから戻ってきたと。こういう緊急事態の中で、呑気というかずさんというか、あるいは地元の混乱で引き継ぎがうまくいかなかったのかという気がしましたけれども。

【記者】関連で、都の方に正式に国から要請があったのは、今日の0時50分頃ということでいいでしょうか。

【知事】それは良く分かりません。いずれにしろ、昨日電話がかかってきたんです、総理から。その前に、既に行って引き返したという事例がある訳ですから。どういう要請で、どういう形で発動されたか、よく分かりませんけれども、私から急いでやってくれと勧告された総監が非常に不本意そうに、「実は行って空振りして帰ってきたんです」と。どういうことでそうなったのかよく分かりませんが、改めて大編制の部隊を送ったわけですけれども、最初に出向いたのがどういうチームで、どういう車両だったかよく分かりません。いずれにしろ自分たちは行った、ということでした。こういう時期ですから、色々な混乱はある程度しようがないと思いますが。

【記者】先ほどの続きで確認なのですが、通常、消防組織法だと知事に通知をしてから、東京消防庁に要請が行くと言うような手続きになっているようなんですが、1日前の段階で、行って帰ってきた時には、知事の……。

【知事】知りません。昨日要請があったので、消防の尻を叩いて送ってくれと。自分には任命権限がないからということだったんで、私は早速総監に電話しました。「1回出かけたんです」ということで、どういう要請でどのチームが行ったかは良く分かりませんけれど、1日無駄になったんだなという気がします。はい、どうぞ。

【記者】震災時の帰宅難民対応で2点お伺いしたいと思っております。まず、JR東日本の対応について、11日の日はシャッターを早々と下ろして……。

【知事】それはこの間言ったよ、もう、記者会見で。

【記者】東京都として、新宿区の方も、再三11日の日は閉めないようにという要請も出して、それを無視したような形になったんですが、東京都としてもっと強い態度で、改善を求めていくという、都知事も色々厳しいお言葉は出されたのは。

【知事】ああいうのは、JR東日本の一種の体質で、他のJRだったらもっと違ったと思います。あそこは色々な問題がある、昔から。組合の体質も他と違いまして、私はいかんと思います。

【記者】国が所管と言うところがあるんだと思いますが、もうちょっとJR東日本に抗議を出すとか、そういうことは。

【知事】だから国がやったらいいじゃないですか、そんなことは。所管の大臣に言いたまえよ、君。

【記者】もう1点伺いたいんですけれども、今度は受け入れの施設の問題なのですが、当日は都庁の5,000人も含めて、各所10万人近くの人が受け入れられたんですけれども、一方で、例えば区内の小中学校に行こうと思ったけれども、そこは入れなかったと言うような話も幾つか聞いておるんですが、その辺情報共有なんかもきちんと精査していかないといけない。

【知事】全くそのとおりです。ただ突発事件ですから、受け入れ体制の個々のセクターにしたって、人がいたりいなかったりしますし、全体の事態を把握しきれないものですから。色々な齟齬をきたすところがあると思いますけれど、こういう経験を踏まえて、緊急事態の体制を整備し直す必要があると思います。はい、どうぞ。

【記者】統一地方選挙を一部延期する法案が今日成立しましたが、対象は被災地域となる予定ですけれども、都内の各自治体からも、計画停電中は延期してほしいという声が上がっております。知事はどうお考えでしょうか。

【知事】それぞれ人の意見あるでしょう。こういう緊急事態の時に統一選挙が重なったと言うのは、厄介なことですな。しかし、決めるものは決めるんで、私がどうこう言ってもどうなるもんじゃない。それはそういう世論というものを斟酌して政府が決めることじゃないですか。

【記者】節電とか節約の観点から、選挙活動も難しくなると思われますが、その点どうでしょうか。

【知事】そうでしょうね。色々な制約があると思います。どうぞ。

【記者】地震対応でお忙しいところ恐縮なんですけれども、1週間後には、もう知事選の期日前投票も始まりますので、改めて4期目を目指すにあたって、公約の発表があるのか、それとも4期目を目指すにあたって、どういうことを公約にされるのですか。

【知事】そのうち発表します。当然、新しい選挙ですから、時代も変わっているわけですし。はい、どうぞ。

【記者】震災の関係で、東京アニメフェアなどのイベントの中止が相次いでいますけれども、このたび、プロ野球の方が開幕を延期するのかどうかということで意見が割れていますけれども、知事はどのようなご所見を。

【知事】これは苦しい選択だと思う。野球人にとっても。それから、災害の実感のない府県もある訳です。例えば、どことは言わないけれども、ある人間があるところで講演を頼まれて、この時期に、それはいいんじゃないですかと言ったら、いやいや、お祭りの中のイベントとして考えているんで、来てくれなければ困るというんで、ある県では、定例のお祭りもやっているというんで。この辺は、狭いようで広い、広いようで狭い日本の実状だと思いますけれど、止める所以もないし、難しい選択だと思いますけれど、野球は、本当に、国民の愛好するスポーツだけれども、今年は有力な新人も登場するわけだから、みんなそれも見たいと思うだろうが、野球人としては、色々なことを考えざるを得ないでしょう。私は、どうしろああしろという立場でありませんし。それによって、被災地の人で、どういう形でそれが中継されるか分かりませんけれども、野球に熱中して見ることで憂さを晴らす人もいるだろうし、逆に、俺たちがこんなに困っているのに、「何だ、今頃野球か」という人もいるだろう。それは、野球の当事者が決めることで、難しい選択だと思います。はい、どうぞ。

【記者】人工透析患者の受け入れについて、延長されて、施設の方の利用についても延ばされたと思われますが、患者の期待というのが、更なる期待というのが多いのですが、都知事は、今後について、その後についてはどうお考えでしょうか。宿泊施設については、21日までと、21日の朝で、もう終わりということになると思うのですが。

【知事】それは被災地の復旧の次第で、延長せざるを得ないところがあると思います。現地がどうなっているか、透析と言うのは非常に厄介な作業ですし、1人当たり時間もかかりますし。本当に、みんな、透析している人は一種の命の綱渡りしているわけですから、これを見放して、帰ってくれというわけにはとてもいかないと私は思います。はい、どうぞ。

【記者】先ほどのプロ野球の質問で追加なんですけれども、計画停電を今やっていますけれども、特に巨人軍の試合はドーム球場で大量の電力を消費するということなんです。今、東京都から、色々なところに節電してくれと要請していますけれども、そういった中で、こういった大量に電気を使う試合をやるということについては、どういう風に思われますか。

【知事】それは、大ボスのナベツネ(渡邉恒雄 読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆)さんに聞いてくれ、俺に聞いてもしょうがない、そんなものは。

【記者】直接、東日本大災害とは関係ないということなのですが、東京都の指定金融機関のみずほ銀行のシステム障害がずっと続いております。それで、東京都が募集した義援金の振り込みも、実はみずほ銀行が窓口でございまして、ここ何日か、窓口営業は非常に厳しいというような状況なのですが、社会的基盤を有する金融機関のこういうふうな大規模トラブルというのは、こういう非常時には非常に大きな損害になると考えるのですが。

【知事】全くそうです。1日も早い復旧をして、きちんとしたサービスをしてもらいたいです。加えて余計な不安ですから、金融機関がそうやって麻痺するというのは。
 それから、さっきのナイターだけれど、東京ドームに限らず、他の球場でも、節電節電と言われて、困る人は困っているのに、煌々と電気を点けて、みんなピーヒャラピーヒャラやって、手を叩いて応援でもないだろうと思うので、やるなら日中にやるべきだと、私思います。はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)