石原知事記者会見

平成23年5月26日更新

石原知事定例記者会見録

2011年5月20日(金曜)
15時04分〜15時27分

知事冒頭発言

1 電力対策について

【知事】冒頭、幾つか私から申し上げますが、1つは電力の対策についてでありますけれども、先週、国は夏の電力対策を決定しましたが、都は、より実践的な対策をまとめさせております。全体については来週公表しますけれども、都庁では照明の半分を消灯するとともに、7時半出勤や8時出勤を導入して、国が言う15%を超える25%の節電を行います。都立病院や水道等のライフライン施設でも都民の生活を守る機能を確保しつつ、最大限に節電に取り組みます。
 そもそも国は数字を並べるばかりで、電気の使い方を改めていくための具体策を示しておりません。連休前でしたか、首都圏を構成する4つの県の知事さんと一緒に、仙谷(由人)官房副長官に会って、「数字だけじゃなく、具体的に言ったらどうだ」と。例えば、その時に、パチンコの問題や自動販売機の問題を言いましたが、それだけでなく、もっと具体的に指導したらいいのに、かつて出たオイルショックの時の政令も非常に具体性があったんですけれども、今度はただ数字をボンとぶつけるだけで、あとは適当にやれという形で、これでは、強い節電に対する指導力の発揮にならないと思います。
 例えば、日本のオフィスや店舗は欧米に比べても照明が明る過ぎます。JISの基準を見直すことが私は必要だと思います。また、最近の家電製品には省エネモードの機能ありますが、実際に消費者が利用しなければ、これは意味がないわけで、メーカーが最初から省エネモードで製品を出荷するように求めるべきだと思います。更には、冷房中に扉をあけっぱなしにしたままで営業している店舗も随分ありますが、こういった電力の無駄遣いを見直すように、国が基準を示す必要があると思います。これらの点について来週の関東知事会でも議論して国に申し入れますが、都の電力対策には以上のほかに、電力確保に苦労している中小企業への支援や学校での節電教育を通じた家庭の取組の促進、各家庭への節電アドバイザーの派遣など、具体的な対策を織り込んでいくつもりであります。

2 リニア中央新幹線の始発駅について

 次いで、リニア中央新幹線の始発駅についてでありますけれども、先日の交通政策審議会でJR東海がリニア中央新幹線の建設主体となることが本決まりになりました。かねてから、私も親しくしていますJR東海の葛西(敬之)会長が言ったことですけれども、ほとんど、自分の会社の財政的な工面で行うということですが、以前から品川駅を始発駅としたいという旨がありまして、これまでも、始発駅の位置について検証を進めてきましたが、基本的には結構でしょうと返事をしております。検証の結果、品川駅は羽田空港との接続に優れておりまして、工期が短く、早期に整備効果を発揮できることが明らかになりましたので、これを基本的に推進していくつもりです。また、JR東海は羽田空港への乗り換えがより便利になるように、品川駅の改良をこれから行うとともに、周辺の基盤整備に対して協力することを確約しております。こうしたことからも始発駅は品川駅とすることを了承することにしました。世界に比類のない技術によって航空機に匹敵する高速移動で、大阪と東京が約1時間で結ばれれば、3つの大都市圏が実質的に1つの都市圏となりまして、我が国の国際競争力が飛躍的に向上すると思います。こうした機能を早期に発揮できるよう、今後とも国やJR東海に対して大阪までの早期開業を求めていきます。
 しかし、あくまでも第1期工事は名古屋までというわけで、私はそれから先も急がなくてはいけないと思いますが、名古屋で終わってしまうことはないんでしょうけれども、急いで大阪につなげませんと、かつて新幹線ができた時のように一種のストロー現象が起こって、名古屋は立派な大都市圏でありますけれども、結局、東京に人が集まり、物が集まり、情報が集まるというのは、東京が、これ以上肥大する必要はないんですけれども、そういう恐れがないでもないと思うので、太平洋沿岸の産業ベルト地帯を、実質的につなげるように、大阪までが新幹線で結ばれることが、これは色々なダイヤを組むんでしょうけれども、今走っている新幹線の「のぞみ」のように、名古屋にせいぜいワンストップで、東京・大阪が55分で結ばれるとなると、当然、飛行機に乗る人はいなくなるわけで、航空会社も色々な対策を練らざるを得ないし、あるいは、機材、限られているものをほかに回すということになって、色々な変化が起こってくると思いますが、いずれにしろ、やるならば、その頃の経済情勢がどうなるか分かりませんが、もともと、私が運輸大臣の時に、宮崎の試験線を今の甲府近辺に移したんですけれども、聞きますと、各県に1カ所ずつは停めることにすると、この間、葛西君が言っていたけれども、それは、私は異論があるんじゃないかと。例えば、東京駅出てすぐ、新幹線も品川駅へ停まらざるを得ないわけだけれども、せっかくのリニアがそれで済むものかな。ただ、この間、葛西君は、またいで走る各県に1カ所ぐらいはワンストップすると。ただ、ほとんどがトンネル工事で結ばれるわけですから、その山中に駅つくって人が乗るのか乗らないのか、これからの問題でしょうが、いろいろ私も興味はありますけれども、これから注目していきたいと思います。

3 防災に関する新たな共助の仕組みづくりについて

 それから、もう一つ。災害対策の基本的な構想として、東京に、もう一回、隣組をつくりたいと思うんです。災害対策のための自助・共助・公助と言いますが、その共助の部分で、向こう三軒両隣のマンションのような集合住宅はまた勝手が違ってくるんでしょうけれども、一軒建ての建物の一つのユニット、それが地域によっては10軒になるか、15軒になるか分かりませんが、そういう災害対策の連帯のユニットを、もう一回つくっていきたいと思っています。この間、新しい区長会の執行部の人たちが来られたんで、これ、最後は区長さんと、それから更に下におろして、各町会のイニシアチブということになると思うんですが、いずれにしろ、災害というものに私たち、色々な形で対策しなくてはいけませんが、自助が象徴するように、自分自身の心構えの問題ですから、そういうものを向こう三軒両隣で束ねる、そうしたユニットというものをもう一回つくり直すことは、残念ながら東京のような大都市で失われている連帯感を自分の住んでいるまちで取り戻す大きなよすがになるんじゃないかと思います。私自身も大田区に住んでいますけれども、割と、一戸建ての家が多いあたりですが、一体どんな人が隣に引っ越したか、さっぱり分からないという状況でして、これではいざという時に、人間関係というものが活用されないと思います。そういう点で、それを、ひとつ大いに研究しようじゃないかということを申しました。私から申し上げることはそんなところです。もう1つあった、何だったかな。後で思いだしたら言います。質問があったらどうぞ。はい、どうぞ。

質疑応答

【記者】この前もちょっと原発のことでお聞きしたのですけれども、中曽根(康弘 元内閣総理大臣)さんの。

【知事】君、読んだね。

【記者】読みました。

【知事】いいだろう、あれ、立派な論文。

【記者】ええ。それで、ちょっと分からないことがあるのですが、浜岡原発については、防潮堤を高く想定できる範囲でどんどん高くしていくべきだと、想定というものを考えないでやっていかなければいけないという風なことを具体的に申していたのではないかと思うのです。

【知事】原子力の問題は官邸行って聞いてくれよ、官邸に。ここで聞いても筋違いだよ。

【記者】それで、都知事もそれなりの考えがきっとあると思います。

【知事】あんまりそれなりの考えないんだよ。情報もよく伝わってこないし。

【記者】中曽根さんとおっしゃっていることが違うというのはどういうところがあるのですか。
 中曽根さんのこの前書いた原稿の中で読みましたけれども、石原都知事とは全く同じという。

【知事】同じですよ。なるほどと思って。だから、あなたに推薦したんで。政府のやり方はずさんだと、欠陥があるということを中曽根さんは指摘したんだね。突然言われる前に、ああいう問題は、大きな合議しませんと、浜岡の問題だけじゃなく、結局、全国全体の原発に色々な影響があるわけですから、まさに衆知を集めた討論というものがあったのかなかったのか、よく分からない。そういうことを中曽根さん、指摘しているわけでしょう。

【記者】浜岡以外はどうするのでしょうか。

【知事】それは政府に行って聞けよ、君。私に聞いてもしようがないよ。

【記者】都知事としての考えはどうでしょう。

【知事】私は、これからのエネルギー政策で、原発抜きでもつかもたないか、これからみんなで考えなくてはいけないけれど、火力発電、コストがかかりますし、原発も、もともと、火力発電なんかに比べて、水力なんかよりも、単価が安い電力を供給できるということでやったわけだけれども、今度のような大きな事件が起きますと、それは元も子もなくなったわけで、ですから、そういうものを勘案して、これは国民全体で考える問題です。私が一人、ここで答えてもどうしようもない。
 はい、次、どうぞ。

【記者】先ほど知事が述べられました3つ目の隣組の問題なのですけれども、これは具体的に、例えば町会とかに財政支援みたいなものをするのかとか、例えば学校とか、あるいは町会とか、あるいは地域の防犯組織とかに、何かしらの都としての行政的な支援をするのかとか、もう少し具体的に。

【知事】支援なんかしません。まさに共助・自助の問題なんですから。災害の時に年がら年中、そこで別にお祭りするわけじゃないんで。それは、個々人、家庭の意識の問題ですから。昔の隣組だって助けたり助けられたりしましたけれど、別に政府がそれに金銭的援助をするわけじゃなく、自然発生的に出来たんで。何でもかんでも援助で出来るもんじゃないんだよ。
 どうぞ。

【記者】夏の花火大会についてなのですけれども、各地で中止とするところが多かったのですけれども、最近になって足立や隅田川などで時期を延期して開催しようという機運も出てきていますが、知事は。

【知事】いいですね。僕もそろそろ、やったらいいと思うんですよ。三社祭も終わっちゃったみたいだけれど、日付としたら。あれも東京の名物、夏のはしりの象徴的なお祭りだったんで。別にぜいたくをするわけじゃなし、みんながお祭りで肩組み合って、おみこしかついで、それ眺めて、一種の連帯感の中で気持ちが盛り上がるわけだから、私は、決して、被災された東北の方々に対して、気の毒なことにはならないと思うし、現に、あちこちでスポーツやナイターまでやっていると、みんなたくさん詰めかけているじゃないですか。ああいうものが一種さびれてしまったら、国全体が非常に沈うつになってしまいますんで、お祭りとか花火は復活することはいいんじゃないですか。それはスポンサーがどういう心がけでお金出すか分かりませんけれども、大歓迎です。
 はい、どうぞ。

【記者】今日、新銀行東京の決算発表がありまして、3月期決算として実質業務純益としては黒字化ということですが、知事、この決算についてどうお考えですか。

【知事】大変感謝しています。よくやっていると思います。これに比べて、大銀行が何やっているかといったら、新銀行東京が融資している500万円とか1,000万円ぐらいの焦げついているものをパッと切るわけ、倒産させて。今度スタッフは、何回も言っているけれども、リスケジュールといって、「あなたの返済期限が来ていますよ、しかし、これ延ばしましょう」と。「2年延ばしますから、その間、こういう努力をしなさい」ということで非常に親身なアドバイスをしてきたから、今、門前市を成している。そういうことをやりますか、ほかの大きな銀行が。500万円、1,000万円、つぶしてしまえ、その損益が何でもないということで倒産させるわけだ。僕は、今度の災害でつくづく思ったのは、日本の銀行協会が拠金したお見舞金は幾らですか。あれだけ図体の大きい銀行集まって1億だよ、たった。ところが、台湾のある銀行は、かつての災害に東京も手助けしたそのお返しだということで、特に東京のハイパーレスキュー隊が、どこからの命令か知らんけれど、言うこと聞かなければ処分するぞと言われて、それで、仕方なしに機械回して、2回、無理な限界突破して、機械壊れてしまった。それでも、命がけでやったわけだけれど、それ聞いて感動して、台湾の1つの銀行が1億円、東京の消防庁に寄附してくれました。日本の銀行はどれだけ金があるか知らんけれども、今度の災害で、銀行全体が出した金がたったの1億だよ。日本の大銀行は、そういう様なんだ。皆さん、注目して、銀行の批判したらいい、本当に。

【記者】新銀行東京として、今後、セカンドステージという話もありますが、知事がごらんになっていて、将来的にどういう形を目指すべきだという風にお考えでしょうか。

【知事】それは色々な方法があるでしょう。私も一つ考えていましたが、国がやらないから、中小企業の持っている、零細企業の開発した新しい技術を製品にするためのファンドをつくって、東京と北京市じゃない、中国の政府がじかにものをやるつもりで、ちゃんとカウンターパートも、本当の最高の責任者が出てくるはずだったんだけれども、尖閣諸島でああいうことしたんで、私はその話は1回、終わりにしました。これから先、向こうの姿勢次第だけれど、インドとかほかに持ちかけても喜ばれる話だと思いますから。

 それで、もう一つ、皆さん、色々な評価があるんでしょうが、どうも、今度の災害の再建のための何とか委員会というのも案があるようでない、だらだら会議していて。
 この間、私の親しい外国のファンドのファンドマネージャー3人と話をしました。2人はアメリカ人で、インド系とイスラエル系のファンドと、もう一人はブラジル系のファンドのファンドマネージャーでしたけれども、日本の、あの災害の復旧・復興のために、いろいろ自分たちとしても、ファンドとして力も貸したい、お金も貸したい。それはいろいろ条件があるでしょうけれども、どうもそういう説明するチャンスもないということで、私、災害を被った4つの県の知事さんに話をしまして、7月にでも入りましたら、仙台か何か皆さんの都合のいいところで、4県の知事さんと、あるいは財政の担当者に集まってもらって、外国のファンドを活用できないか、最後は判断するのは県の当事者の問題でしょうけれど、そういう機会を、東京がプロモーターになってやろうと思っています。その時、皆さんも来て、話を聞いて、是々非々を論じていただきたい。
 質問ありますか、ほかに。どうぞ。

【記者】大阪の方で、国旗・国歌の問題なのですけれども。国歌の斉唱時に教員の起立を義務づける条例を提出するというような動きがあるのですが、昔から色々と問題起きていると思うのですけれども、東京でも厳しく対処していたと思うのですが、その動きについて、どのように見られているでしょうか。

【知事】日本人というのは、戦後、かなり特殊な人種になってしまった感じがするんですが、人によって、個人の感情、個人の価値観を持っているでしょうけれども、その違いというものは、当然あってもしかるべきだと思うけれど、同時に、同じ一つの国家の中に住んで、そこで、これから、みんな暮らしていく、仕事もしていく、子孫も繁栄させていくという時に、自分の家一つでできるものでもないし、一人でできるもんじゃない。人間としての連帯感というものがなかったら、何もできないと思います。同じ国家社会の中にいる人間の連帯というものを、象徴するものが国旗であり国歌であるんで。国歌の文句については、いろいろ異論もあります。私も考えるところはあるけれど、あえて言いませんが。例えば国際的な大きなスポーツのイベントで、みんな期せずして、熱中して歌を歌い、国旗を振るじゃないですか。あれが、国家社会における人間の連帯の原点的な現象だと思うんで、大阪がどういう形でそれを法制化するんですか。それはそれで大阪の責任者の考え方によるんだろうけれども、私が申し上げることはその域を出ません。

【記者】大阪の方では、免職までするというのを条例で定めようというような形で橋下(徹)知事もおっしゃっているのですけれども。

【知事】それはこれから議論されるところで、その結果を見ようじゃないですか。私がここで、是々非々言ってもしようがないでしょう。

【記者】東京都の方では、そういった形での条例化というのは。

【知事】先生たちにはそれ義務づけていますよ。ですから、それをしない人にはペナルティーを科しているけれども、免職まではやったことはありません。
 はい。それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)