石原知事記者会見

平成23年6月2日更新

石原知事定例記者会見録

平成23(2011)年5月27日(金曜)
15時00分〜15時15分

知事冒頭発言

1 天然ガス発電所について

【知事】冒頭申し上げることはないんですが、テレビにちょっと出ていましたけれども、この間、川崎の天然ガスでやっている火力発電所を猪瀬(直樹)副知事が視察してくれまして、都の何人かの職員も随行したんですけれども、聞いてみると、非常に出力があって、土地のスペースもとらなくて、あそこは2基あるんですか、それで1基が40万キロワットの出力がある、1基の価格が250億円ぐらいでできるそうです。それなら、東京の埋め立て地に作ってもいいんだし、色々、千葉県なんかも山の中あいている土地あるから、あそこに頼んでもいいし、送電の距離も短いんで、そういうことも財政状況によっては防災ということと東京の経済の維持ということを考えて、これから可能なプロジェクトの1つじゃないかという気がしていますけれど、もう少し研究しようと思っています。
 質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】今の点なのですけれども、自然エネルギーでやるとか、再生可能エネルギーの方に、今おっしゃったような努力を注いでいくという方が、より未来世代にとってはいいのではないかと思うのですが。

【知事】だめ。そんなもの、コストがかかって、出力がなくて、コストパフォーマンスがだめです。簡単なんだ、風車やれとか、太陽光パネルで1,000万所帯やるというけれど、そんなものは、たかだか電気の供給量は知れていて、コストパフォーマンスを考えるんだったら、日本の産業全体というものを考えなければ。その中で、個人の家が太陽光発電するのは結構でしょう。そんなものは、日本全体の産業社会というのを支えていく力にはなりきれないんで。北欧行っても、あちこちで風車建ててやっています。しかし、日本の場合には、風力が足りないし、落雷も多いし、非常にパフォーマンスがよくない。
 天然ガスの発電所が間近にあって、それだけの出力を出して、しかも、環境問題に関係ないということだったら、結構なことじゃないですか。はい。

【記者】東京湾の津波対策についてお聞きします。これまでの東京都の想定ですと、最大でも1.2メートルの高さの津波しか来ないということだったようなのですけれど、東日本大震災では、1.5メートルが観測されています。こういった状況を踏まえて、今後、津波対策、どのようなことをやっていくのか、想定の見直しも含めて。

【知事】これは局に聞いてください。いろいろ策も講じています。ただ、相模湾の大島のようなところで、震源地で大きな地震が起きて、津波が発生すると、東京湾の入り口は、三浦半島と房総半島が囲んでいるけれど、角度が違いますし、まともに津波が来る可能性というのは、震源地からあそこだと非常に高いと思います。
 関東大震災の時にも、由比ヶ浜で散歩していた厨川白村という有名な物書きが津波にさらわれて死んだりしているけれど、あの時も7メートルぐらいのものは来ているし、この間の大震災の時の津波を見ますと、津波というか、珍しくとらえた写真があるんですけれど、稲村ヶ崎から鎌倉の由比ヶ浜が、沖合まで1キロ近く潮が引いちゃっているんです。その余波というのはそんなに大きなのが来なかったみたいだけれど、そういう点で、震源地によるんですが、一番怖いのは、この間、地震研究所の平田(直)さんという東大の教授に初めて聞いたことだけれど、東京湾の中にフィリピン海プレートと日本が乗っているユーラシアプレートと、もう1つ、太平洋プレートが3つぶつかっているところがあるんですと。東京湾というのは、横浜を過ぎると非常に水深が深いんです。200メートルぐらい水深がある閉鎖水域なんだけれども、その3つ重なっているプレートが、新規に発見されたらしいんですが、最近。これが、どういう形でこれから動くかによっては、まさに、東京湾の中を、震源地とした地震が発生すると、ちょっと今までの想定と違った津波が発生するという可能性はあるんでしょう。どれぐらいの可能性があるかを聞きましたけれども、予測つかない。地震学は、そういう点で非常に心細い学問だと言われましたが、そういうことです。
 現に、東京湾と閉鎖水域の外の水域で発生した地震の津波は、この間も1.5メートル来たわけですけれども、場所によっては、かなりのが来るでしょう。関東大震災の時に、由比ヶ浜に5メートルぐらいのが来たのかな。東京湾にどれだけ余力があったかというと、そんなに高いものじゃなかったんでしょうけれども、震源地によるわけです。震源地そのものというのは想定できないわけで、ただ、東京湾にそういう急所があるということが今度分かったわけですから、これは相当なことを考えなければいけないと思っていますけれども、今限りで、水門とか、防潮堤とか、蓮舫さん(行政刷新担当大臣)に削られてしまったスーパー堤防なんか中途半端に終わっていますけれども、こういったものの整備は最低限必要だと思っています。詳しいことは聞いてください、当局に。
 どうぞ。

【記者】先ほどの天然ガスプラントの件で、研究を進めたいということでしたが、東京都単独での研究になるのか、民間企業も含めた研究になるのか、そこら辺はいかがですか。

【知事】それはこれからの成り行きだけれど、東京が中心になってファンドを作るなんてもっと楽だよね。東京だけで使うわけじゃないんだから。本当は、企業が自分たちのメリットも含めて考えるべきことで、それは商工会議所なり、経団連の話で、東京の財界と話し合って、これから積極的にすべき1つの課題だと思っていますけれど。
 はい。どうぞ。

【記者】放射線量を調べる調査のことについてお伺いしたいのですけれども、埼玉県の上田(清司)知事が、7月にも保育園や高校、県内の100カ所ぐらいで調査を始めるということを発表されたのですけれども、まず東京都として、保育園とか高校まで、学校で測る方針があるのかどうかということと、これからプールの授業が始まるのですけれども、プールの水の中に、すごく堆積しているのではないかという心配している……。

【知事】測ればいいじゃないですか。心配しないで測ったらいいんだ。

【記者】それが学校ごとに任されると、それぞれこっちは測った、あっちは測っていないとかということになるので、都として測りましょうということを決められたりは……。

【知事】そういう計測する機械は数が限られているんだよ。心配なら持ち回りでやったらいいと思うし。しかし、水道局の提供する水道が水源地で支障がないんだったら、鉄管で送られてくる水に途中で支障が起こるわけもないでしょうし。ただ、東京全体でやっている放射能のモニタリングポストというのは、ちょっとポジションが高過ぎるんです。地上で測れということを言っていますから。
 それから、心配が僕はありまして、この間もその問題の専門家に聞いたんで、一番つらいのは、ごく微量な放射能が、その限りでは定数というのを超えていなくても、それを長く、ある程度続いて被曝することでどういう結果が起こるかという実験というのは、今世界にない。これから日本人がそれにさらされるわけですから。これは、なかなか予測つかないことだし、時間のスパンの問題もあるし、10年、20年先、何が起こるかと今から予測できない問題ですから、最低限に食いとめる必要があるでしょうけれど、しかし今までの知見を踏まえて、言われている規定の限界量というものを超えるような事態は、その度々に防いでいかなくちゃいけないと思っていますけれども。

【記者】実際、都内でも東側と西側で随分数値が違うという結果が出ているのですけれども。

【知事】数値といっても、それは限界以下のことですから、それを超したらえらいことになるかもしれないけれど、あまりそれは騒がないでください、本当に。
 はい。どうぞ。

【記者】関連でお伺いします。今、知事がおっしゃったモニタリングポストの高さに関してなのですけれども、首都大学東京の教授が、知事のお話にもありましたけれども、人間の生活圏は1メートルであって、人間が放射線の影響を受ける臓器も大体地上1メートルの高さに集中していると。モニタリングポストを1メートルにすべきだということをおっしゃっていますけれども、今お話にありましたが、実際に高さを変える計画等はございますか。

【知事】そうです。だから、低いところでやれと言っています。ただ、15メートルで測った数値が地上近くで測って違ったのでは、変なことだけれど、放射能って、そんなに上空に堆積するものなの?私、そうは思わないんだね。あなたがおっしゃったみたいに、人間の生活圏のレベルである1メートルぐらいのところ、それ以下の所で測るべきだと私は思っています。そう言いました。
 どうぞ。

【記者】このほど石原知事が4期目に入ったというあいさつ状をIOC(国際オリンピック委員会)に送られたというふうに聞いたのですが、受け取った側は、再立候補への布石ではないかというような感想を持っている委員もいたようなのですが……。

【知事】この問題、とても大事な、私の責任ある問題ですから。それに関する所信は、今度の第2回定例議会で申し上げます。たいまつの火は消さない方が、私はいいと思います。うまくいって9年先の話ですから。はい。どうぞ。

【記者】以前、都知事が発言したパチンコ業界のことに関して、パチンコ業界の専門誌が知事の批判をしているのですけれども、具体的ではないとか、その辺……。

【知事】朝から傘差して、店開くのを待っている風俗というのは世界にないわけで、そういう人達は1日中そこで何をしているか、その人のアルバイトか、個人の収入になるかならないか知れないけれども、あまり生産性のある話じゃないし、業界の売り上げが年間何兆円というのも聞いてちっともうれしい話じゃないし、そんなものは全然還流するわけないんだから。
 ただ、この間、名前言いませんけれども、パチンコ業界に関係ある、ある重要人物が来まして、自分が主導してパチンコ業界は最低25%以上の節電をしますと言われました。業界紙はその人の発言を聞いた方がいいんじゃないかな。はい、どうぞ。

【記者】先ほどのオリンピックの関連、重ねて申しわけないのですけれども……。

【知事】それ以上のことは言えない。

【記者】のは分かっているのですが、4月の時に復旧復興の成り行きいかんだと。ぎりぎりまで判断できないと思うとおっしゃっていましたけれども、その辺の環境が少し変わってきたのかなというようなお考えでいらっしゃるのでしょうか。

【知事】要するに、機運の問題、人間の。日本人の機運の問題。はい。どうぞ。

【記者】防災に関してです。3月11日の大震災の時に、都内では帰宅困難者ということで、家に帰りたいのだけれども帰れないということが多数出て、都庁内でも5,000人と言われるような方を緊急に収容するという事態にもなったわけですけれど、この帰宅困難者ということは、東京直下型の地震なんかも想定されているわけですけれど、この対策というのは、今後考え方を変えていくというようなお考えというのはあるのでしょうか。

【知事】年に1回やっている、ややマンネリの災害対策訓練で、アメリカの船がやってきて、東京の波止場に係留して、いつでもお役に立ちますよというデモンストレーションをやったけれど、肝心な時に来なかった。国も、アメリカの船がやってきて、帰宅者運べという要請もしなかった。これから徹底したらいいでしょう。僕は、一番だだっ広い甲板持っているんだから、もったいつけずにジョージ・ワシントン航空母艦持ってきて人を運べとこの間言ったんだ。向こうのやつは苦笑いしていたけれど。
 それよりも、JR問題。JR東日本というのは、かつての極左の連中が実質的に支配しているんだ、今でも。みんな知ることは知っているけれど。だけど、この連中は何なんですか。いち早くシャッター閉めて、共通のスペースである構内から乗客を締め出して、てめえら帰っちゃった。他の私鉄や地下鉄は、最低限、頑張りました。肝心の大きなシェア持っているJRが、あの体たらく。だから、今度は抗議文出した。あのスペースというのは、法律で減免してもらっているんでしょう。そんな連中が自分の構内を、緊急の時に、国民大衆のために開放しないんだったら、税金かけたらいい、あんなものは。法律変えてでも。そういうことを通告しました。ちゃんとした返事してくれと。これからの災害、協力するんだろうね。しないんだったら、国とはかって、私たちは、彼らが独占して、いざというとき閉めて、お客様を締め出したスペースは、一体だれのものかということを考えて、税制も考えたらいいということを言ったんだ。おそらく乗客の皆さん、みんな賛成していると思う。はい。それじゃあ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)