石原知事記者会見

平成23年7月26日更新

石原知事定例記者会見

平成23(2011)年7月22日(金曜)
15時14分〜15時34分

知事冒頭発言

【知事】私から冒頭申し上げることはありません。質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】都内の美容外科における医療過誤事件で、警視庁の現職警部が情報漏えいで逮捕されました。医療法人側への警察OBの天下りが背景にあるようですけれども、どのように御覧になっていますでしょうか。

【知事】よく知らない、僕は。事件そのものを。何があったの。

【記者】美容外科で、医療過誤で死亡事件がありまして、その捜査の資料を現職の警部がその医療法人に再就職している警察OBに流していたという事件ですけれども。

【知事】それはあんまり好ましいことじゃないな。あとは警察に任せておいたらいいじゃないか。
 はい、どうぞ。

【記者】なでしこ関連で質問させていただきます。先日、なでしこジャパン(サッカー女子代表チーム)が知事を表敬訪問されたときに、知事はパレードがなかったことについて。

【知事】そうだよ、あんなものはさっさとやればいいんだ。しかも、アジアに行っているんじゃなしに、11時間も飛行機乗って飛んで帰ってくるときに、幹部5人だけがファーストクラス、あとがエコノミーだったんだって。かわいそうに。訳のわからない北朝鮮系の組織に何千万も献金するのだったら、民主党の党首の菅(直人 内閣総理大臣)が、ポケットマネーでも何でもいいから出してやったらいいじゃないか。
 それから、成田から結構時間があるんだから、持っている荷物はバスにでも置いといて、どこかで乗り換えて、せめて銀座でもパレードしたらいいじゃない。そうしたら、日本人の気持ちも晴れるし、彼女たちだって改めて祖国に帰って歓迎される気持ち出るだろうに。何でああいうこと気がつかないのか。文部科学省もばか、JOC(日本オリンピック委員会)もばか、東京都の役人もばか。
 しかし、東京が自分で言い出すんじゃなしに、これは国家の問題ですよ。JOCとか文部省。JOCもこういうふうに気がきかないと、オリンピックのビディングゲーム(招致)なんて先がしれている。

【記者】知事自身は、パレードなかったことに気づかれたのは、ちなみにいつごろですか。

【知事】いや、僕、当然やるんじゃないかと思っていたけど、何でやらないのかなと思ったもの。考えもしてなかったんじゃないの。
 そういうところが日本人というか、日本の国家全体がふやけて、ぐにゃぐにゃになって、女の子に勝ってもらって、ああよかった、女は強いって、そんなもので喜んでいるようじゃ。これを寿ぐ(ことほぐ)か喜ぶか、いろいろ受け取り方はあるだろうけど、選手たちの、レジでアルバイトしながら行って頑張ってきて、しかもエコノミーで帰ってくるような、その連中たちにパレードをやって、歓迎して迎えるぐらいのことは国家としての報恩だよ。恩に報いるぐらいのこと、やったらいいじゃないか。それをやらなかったということは、日本の衰弱というのか、その場当たりのね。

【記者】改めて、仕切り直してやるというような考えもあるかと思うんですが。

【知事】だって、大変じゃない。外国行った人、戻すの? そうはいかないでしょう、向こうで試合している人間を。どういうチーム構成かわかっているんだから。
 これはサッカー協会とJOC、体育協会、文部省がやることです。
 はい、どうぞ。

【記者】関連しての質問をさせていただきたいんですが、事ほどさように、1位と2位との、その差、これはもう大変な違いがあるわけで、それも、なでしこジャパンは優勝したのも、アメリカに勝って優勝したというのは、知事もこの前、会見の中でお話をされていたように、まずアメリカに勝って優勝しろと、それが実現したということについて、思いもひとしおかと思うんですが。

【知事】まさに私は痛快です。アメリカっていう国が、好きで嫌いだから。学ぶところもたくさんあるけど、65年間、敗戦を終戦と自分でレトリック(巧言)してアメリカの妾になって、今まで収奪され尽くしてきたんだから。一体、どれだけ日本が、良好な日米関係って名目の中で、収奪されたか、思い返してみたらいい。
 まず、とんでもない言論弾圧、軍部がやった以上の言論弾圧をやったんですから、戦後、アメリカは。江藤淳が「閉ざされた言語空間」で大事な告発をしているけど。朝日新聞なんか、戦争中、一番協力したから、一時、発刊停止になったんじゃないか、たしか。江藤の本にそう書いてあったと思う。ちょっとそれは調べてください。
 とにかく、ものすごい言論弾圧をやった。それで、国際法からいったら全然合法性のない、占領軍がつくった、暫定的な憲法が恒久化されて、それを金科玉条に拝領して、日本人は今まで来たんです。
 だから、あてがいぶちの平和の毒なんだ。その毒が日本人をだめにしたんです。

【記者】余計に、勉強で学んだ日本人もですね、勤勉さとか、そういったものが現代の日本を築いたという背景も、何かちょっとあったりしていますけれども。

【知事】もともと日本人は勤勉で、創意があるし。

【記者】ええ、そのもともとのものが。

【知事】ハンチントン(サミュエル・P・ハンチントン アメリカの国際政治学者)が言っているみたいに、全然どこの世界にも属さない文化の系列というのを持っていて、そういったものが日本に潜在したのは当然のこととして、だれもが知っていることです。
 だけど、そういったものを十全に生かす自由も与えられなかったし、日本人も束縛されることのマゾヒスティックな、安定に甘んじてきたわけでしょう。アメリカはそれじゃこの先、日本に何をしてくれますか。

【記者】大きな被災の中で、日本がこうして明るいニュースをもたらして、世界はちょっと称賛してくれましたし、CNNもまた伝えてましたし、ただ、追われる立場になってしまいました。

【知事】サッカーに関してはそうですよね。

【記者】ええ、頑張らなければいけなくなった。

【知事】そんなもので褒められて、嬉しんで、天にも昇った気持ちになったら甘いよ。サッカーはサッカーでしかない。
 さっきジャパンリターンプログラムという、日本語のうまい外国人の子供たちが研修で日本に来ていて、毎年1回やるんです。いろんな顔ぶれが来るんだけど、韓国の留学生がいろんなこと言うので、君のところ、立派な大統領持ってうらやましいなと言ったら、いや、大統領はあんまり評判よくないって言っているから、アメリカの言いなりというか、アメリカに押しつけられて、肉の問題なんかでは、韓国人は反発していると思いますけれど。
 この間、ワシントンに詳しいある人のコンフィデンシャル(内密)な情報で、コンフィデンシャルって、ここでしゃべればコンフィデンシャルじゃなくなるんだけど。アメリカ、オバマ大統領は、韓国から兵隊引き揚げるでしょう、イラクからも引き揚げるでしょう。当然、アフガニスタンは削減するでしょう。その後、世界の均衡はどういうふうに乱れていくか。
 僕はイスラムの国家たち、イスラム圏を白人が支配し、収奪してきた、それに対する歴史の一種の報復というのは始まっていると思います。それに対して、白人社会、キリスト教圏は絶対に勝てない。しかし、イスラムが勝つかっていったら、そうも私は言えない。しかし、勝てないことは確かだ。
 僕は若いときにベトナム戦争の、ほんとのアウトポスト(前哨地)まで行った。開高健は随分危ないところに行っていたけど、僕はもうほんとに、最前線の最前線で。行きましたら、非常に怖い思いをしたけれども、『待伏せ』っていう小説を書いた、その体験記だな。そのときに、絶対に勝てないと思った、この戦争にアメリカは。と同じようなことだね。もっと大きな、歴史のうねりが来ている。歴史のリベンジというか、キリスト教圏はイスラム教圏の報復を今受けているんで、これはもう大きな歴史の返り波でしょう。これが、どういうふうに世界を攪乱して、なかなか収れんもされないだろうけど、難しい時代です。
 そのときに、日本はアメリカだけ頼りにしたら、とてもじゃないけど立っていけない。前にも言ったけれども、ニューズウィークの表紙に日本がアメリカの国旗の何十番目かの星になるって出ていたけど、そのうち、下手したら、中国の6番目の星になるわ、ちっちゃな日の丸が。
 ここで演説するつもりないけれども、質問ありますか。はい、どうぞ。

【記者】なでしこジャパンの件でもう1問なんですが、今回のあれだけのすばらしい業績を成し遂げた選手たちですけれども、日ごろのスポーツに専念できる環境がほとんど整ってないということも多くの人が知ることとなりました。
 それはそれで、そういった環境の中で、すばらしい業績を上げたというのは、賞賛されるべきことだと思うんですけれども、2020年のオリンピック招致を目指している東京都からすると、女性のスポーツ、女性がスポーツに専念できる環境があまりないというのは、オリンピック招致の中で大きな課題になるのではないかと思うんですけれども。

【知事】なるでしょうね。私はたいまつだけ消したくないと思ったから名乗ったけど、あとはJOCが頑張って、どれだけ、ビディングゲームの中でスクラム組んで突っ込んでいくかです。幹部が、韓国が冬季オリンピックとったからやばいとか、そんな泣き事を今から言うやつがいるか、本当に。そんなことやっているから絶対勝てっこないんだ。JOC、よっぽどてこ入れしないとだめだよ。だけど、東京は東京なりのできる準備はします。だいぶ先のことだけど。
 スポーツというのは国力のひとつ象徴なんだから、外交的な意味も含めて。北区に立派な研修センター(ナショナルトレーニングセンター)できたけど、あんなものは西日本に1つ、それから九州に1つぐらい作らなきゃだめだ。財源どこにあるかって、ないよ。ないような財政にしたのはどこだ、財務省じゃないか。とっくの昔に消費税上げとけばいいんです。
 亀井静香(国民新党代表)に言わせればそんなことしなくたって、隠している金一杯あるっていうんだ。だから亀井に聞いてきてくれ。あれ、元警察だからいろんなこと知っているんだろ。彼はなかなか財務省に顔きくみたいだから、弱いところ握っているんじゃないの。はっきりしてもらいたいんだ、与党なら、与党の幹部として。さっき亀井にも言ったんだ。絶対隠してある、金ありますよと。じゃ、君、それ発表しろよ、どこに幾らあるかって言ったんだ。聞いてこいよ、君らメディア。君らの責任じゃないか。

【記者】その東京都が独自に、女性スポーツへの支援に積極的に乗り出したりとか、そのようなことは今考えてらっしゃいますか。

【知事】ないね。そんなものは国策としてあって、その上で東京都が、1つの分流として何をするかの話で、国がその気にならなかったらだめでしょう。
 どうぞ。

【記者】知事、新しく新書を出されたようですが、サブタイトルに「我欲と天罰」というサブタイトルついていましたが、今、ここで出されたお気持ちをお聞かせください。

【知事】中、読んでくれ。書いてあるから、全部。ここでおれの本の解説する必要はない。余計なこと言うと本、売れなくなるからな(笑)。君に聞かれて、著者が自分の記者会見で本の説明するばかがどこにいますか。作家をなめちゃいけないよ。
 はい、ほかに質問、どうぞ。

【記者】先日の庁議で知事も発電について強調されていましたけれども。

【知事】発電?

【記者】東京都独自の発電事業。

【知事】ああ、やりますよ。

【記者】それで、知事、過去の会見で、今までの電力事業っていうのは、自民党と通商産業省と東京電力のなれ合いで独占体制だったと。いろいろその発電を東京都が全庁を挙げてやっても、送電の問題とか、まだ規制っていうのが、やっぱりがんじがらめになっていると思うんですけど、今後、東京都は全庁挙げてやるにしても、国がやっぱり、立ち上がってくれないと困ると思うんですけれども、国にどういう働きかけをするか、ちょっと何か青写真的なものがあれば教えていただければ。

【知事】国の責任で、東京がつくった電力流したらいい。当たり前のことじゃないですか。だって、今、都がやっている発電だって、東電のネットワークで流しているんでしょう。同じことじゃないですか。それを忌避する理由はないし、電力の民営化っていうのは当然の歴史の流れになっているんで、やりますよ。
 早速、今日も話したんだけども、プロジェクトチーム、民間の人間も入れて、もちろん民間だから、外国のファンドの資金も存分に活用して。私がちょっと言っただけで、いろんな依頼、引き合いがありますから、もう既に外国から。東京のやっている事業は信頼性があるから、財政基盤もみんな承知しているし、金は簡単に集まりますよ。なければ自前でやるけども。本当にこんなに儲かって、確実に利益がある事業はないんだから、これに投資しない外国の資本っていうのはばかだね、それは。いっぱいあるわ。

【記者】今の発電の問題なんですが、このような形で、例えば東京都なんかが、どんどん独自のエネルギー開発をやっていきますと、場合によっては、原子力発電をとめることも可能かというふうにも将来像として考えられるのか。

【知事】それはコストバランスの問題でしょう。何でフランスが原発に頼り切っているかっていったら、コストバランスがいいからです。だけど、日本は管理が悪いから、同じ原発、これから再開しても電力は、電気料金が上がってなかなか見合わなくて、だからこそ、天然ガス使っての発電も考えているわけだけど、日本人っていうのは原子力に関して、一種のセンチメント(感傷)ありますから。トラウマというよりもセンチメント。怖い、怖いって。
 フランス人がやっていることを何で日本人できないんですか。両方とも高度の文化を持った国じゃないですか。日本なんかフランスに先んじて、はるか昔に長編小説書いている女流作家がいたんだ。そういう文化を持っている国が、文化性の高さを踏まえて、何でフランス人がやっているのと同じような管理ができないんですか。日本の役人と政治家がだめにしたんだ、原子力発電の事業っていうものを。通産省と東電と、自民党の政治家がぐるになって、利権の分配やったもんだから、ああいうことになった。そういうことです。

【記者】ええ。フランスの技術は高いというのは……。

【知事】技術じゃないんだ。技術は同じこと。日本のほうがずっと進んでいる技術を持っている。管理体制が悪いんです、管理体制が。まさに人災なんです。この間の見てごらんなさい。特に情報が錯綜して、菅君がヘリコプターで防護服をつけずに飛んでいく間、ベント、ベントっていうのはフランス語の風っていう意味です。一種のベンチレーション。その風で、堆積している水素爆発した後の汚染された空気を海のほうへ流すはずだった。アメリカも当然するだろうと思うから、ジョージ・ワシントン、Uターンして、一時退避した。やらなかった。何でやらなかったんですか。東電はやること知らなかった。知らなかったら無知だ。通産省、それ知らなかったって無知だよ。無知な人間、原発を管理する資格はないでしょう。
 知っていたことを総理大臣のパフォーマンスのためにやらなかったとしたら、それはわかりませんよ、そういう指摘する人もいるけど、そのおかげで風が変わったって。内側へとんでもない総量が飛んでいって、体内被曝した人たくさんできてきて、わらにも放射能汚染して、牛肉の問題出てきたんでしょう。これ、人災ですよ。結局、人間が間違った組織をつくって、間違った管理体制をつくったから、被害が広がったんだ。

【記者】その場合に。フランスと日本と、比較なさっておるようですけれども、日本の場合は地理的な条件っていうのがものすごく違うんではないかと、例えば活火山、活断層たくさんありますし、それから……。

【知事】そんなものはわかりきったことじゃない。フランスは海ないんだ、ほとんど。みんな内陸に作っているじゃないですか。内陸はもっと危ないんじゃないの、人間が近くにいるんだから。だけど、ちゃんと管理しているじゃないですか。
 高速増殖炉なんか日本、非常に進んでいて、僕は「もんじゅ」はもっと続けてもらいたいと思うし、あれ必ず必要になってきますよ、そのうち。
 発展途上国は原発が一番コストが合うし、それで産業を興したい。だけど、その管理をちゃんと教えるノウハウを日本は持ってない。フランスはそれを持っているから、これからの原発の競争だって、フランスは非常に有利になるんじゃないですか。日本もそういうものを反省しない限り、堂々と物を売れないと思う。
 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)