石原知事記者会見

平成23年9月30日更新

石原知事定例記者会見

平成23(2011)年9月30日(金曜)
15時03分〜15時36分

知事冒頭発言

1 「書評合戦ビブリオバトル首都決戦2011」について

【知事】冒頭、私から1つ。昨年から、猪瀬(直樹)副知事をリーダーにして「言葉の力の再生プロジェクト」を進めていましたが、その取組の一環として、「書評合戦」、何でも訳の分からない外国語使うんだ。ビブリオバトルって、よく分からないんだ。ラテン語で「本」の、「バトル」はバトルだね。バトルというのは英語で何と言うか、なぜ日本人というのは、こう外国語を使いたがるか。訳が分からない、本当に。その1つの例が、自動車の名前。分からないんだよ。この間、ティアナという日産の車、自動車の名前の辞書があるんです、引いたら、おそらく原語の、民族も知らないと思うんだ。ティアナというのは何だと思いますか。

【記者】ティアラ?ティアナ?

【知事】ティアナ。TEANA。これ、アメリカインディアンの言葉で、「夜明け」というんだって。インディアンもびっくりだ。余計なこと言いました(笑)。この「書評合戦ビブリオバトル首都決戦2011」を10月30日、秋葉原でやります。全国の予選を勝ち抜いてきた大学生、大学院生が東京に集まって、自分の読んだ本の魅力を語って、それを聞いて、その会場の聴衆が投票するんでしょう。聞いて「一番読みたくなった本」を選ぶ、新しいタイプの書評合戦だそうで、イベントポスターはここにある、人気のイラストレーターの「わたせせいぞう」さんが作成をしました。昨年行われた第1回目は、首都圏と関西圏を中心に、28の大学から、大学生・大学院生53名が参加して激戦を繰り広げましたが、今年は日本中の大学からこぞって参加していただいて、読書の秋に言葉の力を高めてもらいたい。猪瀬副知事、彼もまた物書きですが、ともにいつも物書き同士で慨嘆するんだけれども、この頃の若い人の言葉が乱れるだけじゃなくて、言葉そのものを知らなくなった。非常に雅びな、日本語の情感豊かな、日本語らしい言葉はいっぱいありますけれども、これが通用しなくなった。必然、そういう言葉を踏まえての議論をしなくなって、文壇なんかでも、ポレミックス(論争)がないんです。私なんか、昔、いわれもない酷評されたら反論して、評論家やっつけたり、やっつけられたり、色々したもんだけれども、そういう議論というんでしょうか、ポレミックスがなくなったですな。若い芸術家に、「何だ、この作品は」とけんか吹っかけても、にやにや笑ってるだけで反論しないね。昔の岡本太郎なんていったら、血相変えて、口とがらせて言っただろうけれども、そういう人が本当に芸術の世界でもいなくなっちゃった。自分に自信がないんですな。そういうことで、若者に言葉というものを、人生の中で高めてもらうためにも、こういう試みを考えたようであります。質問があったら、どうぞ。

質疑応答

【記者】今日は9月30日ということで、知事のお誕生日ですよね。

【知事】いや、それは言われたくないね。

【記者】質問の前にちょっとひとつ。おめでとうございます。
(知事に花束を手渡す)

【知事】どうも。これ、君からもらったのね。ありがとう。何ですか、これ。

【記者】リンドウです。

【知事】リンドウ?島倉千代子だ、「りんりんりんどうは濃むらさき」だよ。ありがとう。

【記者】はい。今後もなお一層の活躍を期待してます。

【知事】どうもありがとう。あまり期待しないでくれ。

【記者】いえいえ。ということで、今、ちょっと「ビブリオバトル」という発言が出たのですけれども、本を通じて人を知る、人を通じて本を知るということで、立命館大学の谷口(忠大)准教授が発祥だったらしいのですが……。

【知事】そうらしいですね。猪瀬さんから聞きました。

【記者】ええ。知事は色々な文学作品を書かれていますが、そこで知事の作品が取り上げられたらどう思いますか。

【知事】それは構わない。発表した限り、自分の手を離れているし、それをどう読もうが、逆さに読もうが、読者の勝手だし、僕は文学は一種の毒だと思いますが、それも含めて、その読者の人生の少しは刺激になればいいなと思いますけれども。

【記者】知事は著書で、政界に入った時、入るきっかけになったのは、ベトナムで肝炎を患って、その間、病院に入院した時に政界に入ろうと。

【知事】病院じゃなく、家でずっと病を養っていまして、その時に、自分が生々しく体験したベトナム戦争と、それを眺めてる、特にサイゴンなんかの非常に水準の高いインテリたちと、色々な会話をしても、インテリほど非常に冷めていて、自分の身近に起こっている問題の深刻さを感じているんだろうけれど、避けているというか。僕は非常にそういうところは、当時の日本のインテリに似ていると思ったんで、この国、危なくなるんじゃないかなと思って、過剰な心配をいたしまして、政治家になろうという決心したんですけれど、もういいです、昔のことで。

【記者】それで、「東京から日本を変える」というテーマで都知事に出馬なさいましたね。

【知事】ええ。日本も大きく変わらなくちゃいけないし、東京は、原動力になり得る力を持っているけれども、まあ、昔の話ししてもしようがない。あの時、私は出るつもりはなかったんですが、この大事な、文明工学的に、社会工学的に大事な意味合いを持っている東京に、何をやれているか、あの頃はなかなかプロミネントな(卓越した)政治家が立候補したんです。自民党の決めた明石(康)君という、国連の事務次長だったけれど、ほかに柿沢弘治(元外務大臣)、死にましたけれど、鳩山邦夫(元文部大臣)とか、舛添(要一 元厚生労働大臣)とか、その連中が話していることが、全部介護の問題なんだ。それは介護も大事だけれど、自分の経験を含めて、老人どうするかと、それだけが、この東京の問題じゃないんじゃないか。もっと色々な問題あると思うし、特に、代議士の頃から、もう手をつけていた横田(米軍基地)の問題なんかも、自民党も動かなかったし、特に外務省は腰引けて動かない。これを何とかしないと、日本、損するぞということで、そういう決心しましたけれども。

【記者】今回、4期目の立候補をなさったきっかけというのも、日本は、東京は今の状態ではいけないということで立候補なさったんですか。

【知事】それはそれで色々あります。それ以上言わない。私はもう3期で引退するつもりでいましたけれど。もういいよ。それ以上のこと言うなよ。

【記者】分かりました。あと一言だけですけれども、知事としては、東京からどのように日本を変えていきたいのか。今のお気持ちを聞かせていただきたいんですが。

【知事】このまま、どんどん、日本が衰退していくのは見るに忍びないし、東京というのは色々な集中、集積があって、色々な可能性持っていると思いますし、その1つ、文明を変えていくのは技術ですから、その技術をとんでもない発想で考えている人があちこちいるんです、特に中小企業なんかも。それは大事にして育てなくちゃいけないし、技術というのは、物に変えていかなきゃいけないから。そういう努力を一向に国はしないね、通商産業省(現経済産業省)なんかも。大きな企業のやっていることに着目しても、草の根でやっている、例えば、この間の「はやぶさ」(小惑星探査機)なんかだって、本当に名もない人たちが協力してつくったことで。アメリカは、他国がやって成功したこと、めったに真似しない国だけれど、非常に注目して、同じこと始めましたよ。隣の支那(中国)は、これを盗みたくてしようがないだろう。そういうものが、東京にいっぱいあるんです。それを育てることということで、ベンチャーテクノロジーの表彰もやるようになりました。今までは、成功した企業を表彰したけれど、成功した企業を表彰したってしようがないんだよ、こんなもの。成功に導く、その技術というものを開発した人たちが立派なんで。この間、「世界建築会議」が日本で行われて、天皇陛下も皇后陛下も来られたけれども、そこでゲストとして壇上に並んでいたら、隣に非常に懐かしい友達がいた。クリストという、色々なものをカバーで覆って、橋とか、日本とアメリカでいつか、同時に3,000本か4,000本のパラソルを立てるイベントをやったり、彼は昔からよく知っていまして、奥さんのジャンヌ・クロードというのは急死しちゃったんだけれども、頑張ってやって、髪真っ白になったが、「今度は何やってるんだ」と言ったら、コロラド州のアーカンサス川に、数マイルぐらい、川の上にカバーかけるんだって。それから、その後は、アブダビでオイルのスラッジ(汚泥)を積んで、ピラミッドみたいのをつくると言っていましたが。国際建築家連合が、なぜあの人を呼んだのか、よく分からないんだが、ああいう突飛な発想というのはとても大事なんです。それは、日本人も持っているんです。それを行政が束ねたり促進したり、あまりそういう積極性がない。ということは、そういうものを管轄しているつもりの役人に発想力がないから。日本の役人というものは、昔は、非常に優秀だったけれども、この頃はだめだね。彼らは、自分たちの継続性、一貫性が大事だと、この変化の時代に、前任者のやったことを継承して、一貫するなんていうことは、そんなものは通用しませんよ。それから、ついでに言うと、この間、面白い本をもらって、全くむべなるかなで、私がいつも言っていること、同じこと書いている。公安調査庁の幹部だった人で、名前、何といったか。皆さん、ご存じかどうか、(青森県)三沢に行ってごらんなさい。三沢の飛行場に、今でもエシュロン(通信傍受システム)のドームがあります。あれは膨大なデータで、日本の大事な会話、全部盗聴しているんだ、アメリカは。全部盗聴しているんだよ。日本の役所が通信していること、全部傍受していますよ。アメリカの政策というのは、それをもとにして、日本の役所をうまく使いながら、色々と勝手な要求を突きつけてくるわけ。この頃、エシュロンのことを言う人もいなくなって、僕は三沢に、冷戦構造が終わって、もう、それはなくなったのかと思ったら、まだやっているみたいね。それ、知っておいた方がいいよ、みんな。だから、勘繰った言い方じゃないけれども、日本の抱えている、訳の分からないアメリカの国債が紙くずになるかもしれないから、早く処置した方がいいぞと。売ると問題になるから、あれを担保にして、ファンドをつくって、非常に利回りのいい、アメリカの、日本が買っている国債というのは、利回り5%ですから、それを上回るような投資したらいい。例えば、シベリア幹線がそうだ。プーチン(ロシア首相)にそう言ったら、喜んでいた。だけど、「支那と一緒には絶対嫌だ」と。「日本とだけやりたい」と言ったけれど。プーチン、今度、また大統領になるでしょうが。こんな問題も、アメリカは非常に眉をひそめて嫌がるだろうね。全部盗聴されていますよ。そうした状況の中で、日本は何やっても、場合によったら悪あがきの域を出ないこともあるんで、非常に残念だけれども、そういう情報における支配構造というのは変わっていないということを、私以外の人間が最近、ある本屋から本にして出したんで、私は欣快(きんかい)に耐えないけれど、これ、皆さん知っておいた方がいい。ちょっと内緒話。ほかに質問があったらどうぞ。

【記者】間もなく10月10日がやってまいります。10月10日というのは、1964年に東京でオリンピックが開幕した日で、私は高校2年生だったのですけども、青空に五輪のマークが描かれたということもくっきりと覚えておりますが、2020年の東京五輪招致について、ちょっとお尋ねしたいことがあります。知事は、前回、2016年で残念ながら外れてしまいました。臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の日々を送られたのではないかと思いますが。

【知事】そうでもないかな。

【記者】そうでもないですか。2020年、また申請されまして、そして、当初から、世論の盛り上がりが絶対大切なんだと。それで、2016年、残念ながら落ちてしまいましたが、もう最終の判断が出そうな時に、ようやく日本国民はみんなあれだけ盛り上がって、「絶対に」という、あの気持ちが最初から本当は欲しかった。

【知事】そうなんです。

【記者】ここのところ、世論調査が2020年について出始めています。ついこの前、これは東京新聞だったのではないかと思うのですが、9月25日に、大いに関心があるとか、関心があるというのは70%を超えていまして、それから、賛成である、どちらかといえば賛成だというのが60%を超えているような。メディアによっては、ちょっと数字が違ったりしてますけれども。

【知事】政党によっても違うね、持ってくるのが。共産党なんか、ゼロだって言っているよ。

【記者】この数字だけは、あまり信頼するに足らないとおっしゃるかもしれませんが、でも、いい数字も出ている。それは持っていこうとしていらっしゃるリーダー、これは全取り組んでいらっしゃる人たちの大いなる力になると思うのですが、ご感想を。

【知事】それはそうですね。前回に比べて、そういう支持率が、陰に陽に、前よりは、この時点で高いということはありがたいことですが、そういうものをどう思うかとか、こういう情報がありますと言っていただく対象は、本当は東京都であってはならない。東京都もその片輪ではありますよ、両輪の。これは、日本体育協会とか、JOC(日本オリンピック委員会)に言ってもらわないと、彼らがその推進役なんだから。私は、日本のJOCがほとんど何もしないから、あの総理大臣の鳩山(由紀夫)君を、脅したりすかしたり、最後はおだてて、CO2の問題でコペンハーゲンに行ってもらった。こんな仕事は、JOCとか体協がやることです。人事の問題なんかも、どういう風に決めたか知らないけれども、「こうなりました」と言うから、「ああ、そうですか」と言ったら、例えば、体協の会長の森(善朗)元総理とか、前のJOCの会長の堤義明君なんかは、「石原さん、あれでいいんですか」と言ってくるから、「いや、僕は知らない」と。「あなた方、異論があるなら言いなさいよ」と言ったら、「私、相談受けていません」と。これもおかしな話でして、彼らの方向は石原さんが了承しましたからと。これはちょっと違うんじゃないか。僕はJOCとか体協の人間は知らないもの。中がどうなっているか。少なくとも、前回の招致運動では、JOCは全く無力だった、私に言わせると。全く無力だった。肝心の、送り込んでいるIOC(国際オリンピック委員会)の理事をしている連中もほとんど動かなかった。色々な問題があった。だから、この間の松岡修造君が司会した「東京ビッグトーク」でも、一流のアスリートが来て、「スポーツは素晴らしい」と。それは決まっているの。私だって、スポーツ好きですから。そんなことよりも、JOCをどうするか、体協をどうするか。東京はやるだけのことをやりますよ、金もそろえて。だけど、もう片方の。いきなり会って、この人は何しているか、さっぱり分からない。その人間と精通し合っている連中が、色々な形で手管を尽くして勧誘し、共感を得るような努力を、彼らがしなくちゃいけないのに、東京にそれを任せたって、東京のスポーツ振興局だって、局長もぐるぐる代わるし、何も、オリンピックのためにあるわけじゃありませんから。そういうところが、これからの招致合戦に非常に、日本の大事な点だと思います。それと、私が、この次の次の次のオリンピックに手を挙げたのは、9月1日がタイムリミットだったんです。これに東京がやると名乗りを上げなかったら切られてしまった。1回ともした松明だから消すまいと思って、火だけは灯した。あとは、国民の皆さん、政府がその気になって総力戦に持ち込んで、世論調査も結構だけれども、担当の大臣も決める。池田(勇人)内閣の時、オリンピックをやった訳だけれども、あの時は、まさにナンバーツーだった佐藤栄作が担当大臣になったの。そういう人事もしないで、内閣が半歩も1歩も踏み出さずにいて、この問題というのは、総力戦になりませんよ。そういうことを言ったんです。

【記者】教訓を生かしていくというのは、結構日本人、一生懸命やる方ですから、そういった意味では、2016年のあの教訓を大いに生かしてほしいし、知事が今おっしゃったようなことは、何度か繰り返してお話をされていますから、これはもうJOCであっても体協にあっても、耳に入っていることだと思うのです。

【知事】耳に入っても動かなければしようがないんだがね。

【記者】政府や何かも動いてほしいというのはよく分かるのですが、車の両輪であるという表現されたように、ともに歩いていかなければいけない。

【知事】そう。

【記者】前進しなければいけないので、あまり叱ることだけではなくて、意見を言うことだけではなくて、頑張れと、お互いにエールを。

【知事】いや、頑張れ、頑張れと言ってきたんだけれど、け飛ばさなければ動かないから、今度はけ飛ばさなきゃ。国民がけ飛ばしてもらいたいんだよ、JOCと体協を。一体どうなっているんだ、何をするんだということを。じゃなかったら、スクラム組んで、中でボール入れて、それを回して、タッチラインに向かって走るのは、体協の連中やJOCの連中なんだから。知らないホテルに連れていかれて、あの人といきなり抱き合って握手をする、知らない人間とハグするの嫌だよ。何だか分からないのだから。握手ぐらいするけれども、「あれ、誰だ?」と言ったら、「これこれの人です」。そんなもんで、招致運動が進むわけないでしょう。

【記者】IOCも形を色々と変えてほしいとかという、ま、ありますけれどね。

【知事】これはありますね。新聞にも出ていたけれど、やはりFIFA(国際サッカー連盟)の問題とかソルトレイクの問題というのは、いまだに、くすぶりながら続いていると思いますよ。
はい、どうぞ。

【記者】外国の企業を呼び込もうということで、「アジアヘッドクォーター特区」ということを、今、申請なさっているということなのです。

【知事】いや、アジアのヘッドクォーターたらんとするんで、「アジアヘッドクォーター特区」というのは、ちょっと言葉として違うんじゃないですか。

【記者】ヘッドクォーター特区ですね。それを申請しているということなんです、今。

【知事】「アジアヘッドクォーター特区」という、そういう名目で申請しているとは、私、つまびらかにしません。いずれにしろ、アジアのヘッドクォーターたらんとして、そのためには、東京に幾つかの特区を設けて、それを体現していこうということです。

【記者】それで、外国人が今、日本に寄りつかないといいますか、少なくなっておりますのは、もうご存じのとおり、風評被害の問題ですとか、あとは電力の問題ですかね。

【知事】電気ついているじゃないか。

【記者】今現在ついてますけれども、停電をする、計画停電の話ですとか。

【知事】1回しかやらなかったよ。

【記者】ええ。いろいろ企業活動も東京ではやりにくい、そういうふうなこともひっくるめて、なかなか外国の人たちが日本から離れていく人も多いわけです。ですから、地震対策という問題を、やはりこの。

【知事】早く言ってくれ、端的に。

【記者】クォーター特区については、地震対策の問題をまず第一にクリアしていかなきゃならないのじゃないかなというふうに思うわけです。その辺りはどういうふうに。

【知事】あなたの言うこと、非常に不明瞭でよく分からないね。もうちょっと、かいつまんで言ってもらいたいんだな。外国人を呼び戻すために、何とかしろと言うの?

【記者】いや、これからたくさん外国企業を呼び込もうというわけですよね、東京に。

【知事】それは、法人税の税制もありますし、それから逆に、日本の企業が日本から離れていくのを止めなくてはいけないし、色々な問題あります。それから、風評被害もあるでしょうけれど、企業というのは自分の利益というものを優先して考えますから、冷静に状況を調べれば、福島県は別にしても、放射線の被害がどこであるわけでないし、幾ばくの懸念はあるかもしれないけれども、そんなものが企業の進出を阻害する要因には、私はなり得てないと思うし、彼らもそう思っていないと思いますよ。はい、ほかにどうぞ。

【記者】明日から暴力団排除条例が施行されるのですけれども、その効果についてどんな期待をされていますか。

【知事】この間、警視総監とその話ちょっとしたんですが、勧告というものを最初に設けると。勧告して、なお同じことをしていれば、罰則を適用するらしいけれど。あれが発令されるということの色々な立場の人のインタビューをテレビでも要約して見ましたが、何をもって、それに該当するかということ。例えば、文房具屋さんのおやじさんが暴力団員と分かっている人間が買いに来ても、「ボールペン1本売ってくれ」と言ったら、売らないわけにいかないでしょうと、それは。100本売ったら、利益の供与になるんでしょうか、そこがとても分からないと言う。確かにそうですな。それから、店の種類によっては、警察に通報しても遅いから、みかじめ料を払っていれば、店のごたごたはなくなるんで、そのみかじめ料を払わざるを得ないという、そういう店もありましたね。ただ、いずれにしろ、社会全体にとっては好ましい存在では絶対ないんだから、段々、彼らが肩身狭く、街から追い出される形になればいいと思うけれど、なかなか難しいでしょうな。

【記者】それに関連してなのですけれど、先ほどおっしゃっていた、そのボールペンの基準が難しいというのと似ているのですけれども、暴力団関係者の人とお食事したりゴルフに行ったりとかして、交際を繰り返していくことで密接交際者という認定を受けるらしいのです。だけど、その基準がちょっとあいまいなんじゃないかという声も出ていて、戸惑っている人もいるらしいのですが。

【知事】しかし、やくざと分かっている人間と、一緒に飯食ったりゴルフするというのは、何かいわれがあるんだろうね。そういう人間というのは、自分自身で注意した方がいいと思います。

【記者】八ツ場ダムについて2点お伺いします。一昨日の代表質問でも言及されていましたけれども、26日に前田(武志)国土交通大臣とお会いになられて、国交相が3.11(東日本大震災)を踏まえて検証を考えなければいけないということをおっしゃっているのですが。

【知事】3.11を踏まえての検証じゃないんです。3.11の問題もございますから云々というか、そこはよく分からない、私は。

【記者】記者団に対しては、100年、200年じゃなくて、今回の津波で1,000年に一度の災害に備えなければいけないという課題が出てきたので、それも検討課題に含めなければいけないということをおっしゃっていたのですけども。それで、検証が仮にこの秋までという話だった、結論出すのはこの秋までという話だったはずなのですが、それが多少遅れる場合が考えられると思うのですけども、それについて知事はどうお考えでしょうか。

【知事】一刻も早くやった方がいい。それで、当人自身は現場行ったほうがいい。馬淵(澄夫 元国土交通大臣)君の時も、面会申し込んで、「だめだ」と言ったんだ。「現場へ行きなさい」と。「あなたも、官僚も、政治家も人間なんだから、人間としての目で見て、人間の耳としての声で聞いたら、もっと色々な実感が伝わってくるから、それで判断したまえ」と。人の報告とか、ペーパーなんか読まずに、前原(誠司 民主党政策調査会会長)が言ったみたいに、国交省の専門家、技術的に検証したわけでしょう。それが妥当かどうかということも、現場行って見てこなかったら話にならないから、行ってこいと言いましたよ。それから、これは大事なことなんだ。諸君も知らないだろうけれど、ああいう多目的ダムの建設に関しての法律では、一旦、計画したものを中止する時は、関係の県の知事、そして、議会の承認がなかったら中止はできないんです。それは、前原君も知らなかったみたいね。それ聞いた時、絶句したそうだけれど、私、その場にいませんでしたので、上田(清司 埼玉県知事)君が言っていましたが。そういう法律があるということを、案外、くるくる替わる国交相の現政権の当事者は知らないんじゃないんですか。諸君も知らないんじゃないですか。中止の時は、関係の県知事、そして議会の承認がないと中止はできないんです、一旦決めたものは。しかも、9分どおり完成している工事ですから。

【記者】もう一点、八ツ場ダムについて。八ツ場ダムは、200年に一度の洪水に備えるという前提で計画されたダムですけれども、それを、目標を達成するには、あと十数基ダムが必要だというふうに以前、国交省の課長がおっしゃっていますが。

【知事】それは知らない。国交省に行って聞いてくれ。私はそこまで知らないから。

【記者】今後ダムを必要があるというお考えでしょうか。

【知事】それ判断するのは国交省じゃないですか、そんなものは。私に聞いても分からないよ、そんなことは。

【記者】ただ、東京都も治水の受益者として、また負担金を求められる形になると思うのですけれども。

【知事】あなた方も、問題がくるくる変わって起こってくるから、忘れているかもしれないけれども、地球全体の気象が狂ってきているんです。温暖化は刻一刻進んでるんです。NASAのハンセン教授が言っているみたいに、あれからもう何年たった。あと12年たったら、北極海の氷は消えちゃうんだ。日本の気象だけじゃない、ヨーロッパの気象にどんな影響を与えるか、これは分からない、これからも。去年、ことし続いたあの局地豪雨だって、今までなかった現象です、滅多に。こういったものが、2年続いて起こるということが、私は相当深刻に考えないと、治水の問題というのを、インフラとして何を更に整備するかという結論は出てこないと思います。はい。どうぞ。

【記者】先ほど、ビブリオバトルについてちょっとお話が出たので、ちょっとお聞きしたいのですが、今は、知事が、これは書評合戦ということで、書評を書いてという話みたいなのですけれども、知事が今お薦めする本というのは何でしょうか。

【知事】それがあればうれしいんだけれど。大方読んじゃって、この前、新しい本読んだけど、面白くないな。

【記者】そうですか。

【知事】そうだ。公安調査庁の幹部やった人が書いた、徳間書店から出ている『この国の権力中枢を握る者は誰か』。誰がいったい日本を動かしているか、アメリカだよ。そのことを、非常にたくさん事例で書いてあった。あれは、私もほとんど知っていることだけれども、公安調査庁の幹部が、自分の経験に照らして踏まえて言っていることで、大事な告発だと思います。私は、エシュロンというのは、非難が集まって、とっくになくなっていると思っていたら、まだやっているんだね。アメリカのCIA(中央情報局)、DIA(国防情報局)の調査能力というのはすごいですよ、それは。すごいというか、ぬけぬけと。

【記者】蛇足なのですが、都庁の1階、2階に三省堂書店さんが入っているのですが、知事の本がほとんどあまり置いてないので。

【知事】それはしようがないね。俺のベストセラー置かないんじゃ、しようがないね。

【記者】『新・堕落論』は置いてあるのですけれども。ランキング入っていますが、その他の本が置いていないので、出来れば。

【知事】それはしようがないでしょう。

【記者】過去の本も置いていただきたいかなと、皆さんのためにも。

【知事】私の過去はあまり知られたくないから、いいよ、もう。
はい、どうぞ。

【記者】放射能汚染についてなのですが、先日、環境省の事務次官が、中間貯蔵施設について、8都県、その中に東京は入っているのですが、置きたいというような意向をお話しされましたけれども、これについて国との話し合いというのは何かついているのでしょうか。

【知事】まだしていません。

【記者】何か話は来ているのですか。

【知事】これからやるんでしょう。

【記者】これについて、東京都はどういうふうに。

【知事】大いに調べて、ちゃんと正確な報道してもらいたい。やるならさっさとやったらいいと思う。はい、どうも。ありがとう。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)