石原知事記者会見

平成23年12月2日更新

石原知事定例記者会見

2011年11月25日(金曜)
15時02分〜15時34分

知事冒頭発言

1 東京ゲートブリッジ完成記念スポーツフェスタについて

【知事】冒頭1つ、私から申し上げます。
 やっとできました、(来年2月12日開通 東京臨海部の中央防波堤外側埋立地と江東区若洲を結ぶ)東京ゲートブリッジの完成記念に、あそこで橋の渡り初め、走り初めというのか、スポーツイベントをやりまして、これを記念して、開通前の2月4日、5日の両日に、1万5,000人の都民の皆さんに、この橋を渡る機会を提供することになりました。スポーツイベントとして、初日はランニングとサイクリングを、2日目はウオーキングを先着順で12月1日から募集します。海面から50メートル超える橋からは、2020年のオリンピック・パラリンピック招致を目指して、刻々と姿を変える首都東京も俯瞰(ふかん)できるし、今、レインボーブリッジから眺めますと、アメリカのニューヨークのマンハッタン、もうぼろぼろに古くなって汚くなったけれど、まさにニューマンハッタンというのか、新しい高層ビルのひしめく、あの景観、なかなか大したもので、港をわたる風と一緒にスポーツに参加する素晴らしさを肌で感じながら、東京の未来の姿に想いを馳せていただきたいなと思います。
 最初は、江東区長の山崎(孝明)君から、あの人はとんでもないこと思いつく、なかなかおもしろい策士なんだけれど、あそこをバンジージャンプの名所にしてくれというんで、「なかなかいいな」と思ったんだけど、あれは跳ね橋みたいに開いて、下は本船が通る航路ですから、東京港はなかなか賑わっているんで、その船通るの禁止しながら、あそこでバンジージャンプやるのもいかがなものかということで、せっかくの計画が中止になりましたが。ということであります。

2 立川談志氏について

【知事】立川談志師匠が亡くなって、私は、談志とは不思議な、実に不思議な友人なんです。彼にとっても、俺にとっても、お互いにああいう友達はいなかったと思うし、突っ張り合うというのか、憎まれ口たたき合う人間同士で、あいつもたまに会っては、憎まれ口たたき合いながら、それが逆に活力になって、支え合ってきた仲間なんだけれど。あいつは勝手な時に来ると、「あにさん」と言うんだよ、俺のことを。「都合のいい時、あにさんって言うな」と言うんだけれど、そんなこんなで、憎まれ口たたくと、「俺、あんたと話して、石炭食べると元気が出るんだよ」と言って、こっちも、あいつと会うと、元気が出るんですけれどね。昨日の朝、テレビ局が来て、話せと言うけれど、1局に話すのはもったいない話がいっぱいあるんだよ。ここで話すともったいないから、どこかの雑誌でまとめて、物書こうかと思っているんですが。
 彼が亡くなる数日前に、彼と会話したんですよ。僕は一方的にしゃべって、秘書の人に、ちょうど奥さんがいらっしゃらなかったんで、「俺が話すから、談志の耳元へ受話器持っていけ」と言って、俺は「おい、談志、お前もそろそろくたばるんだろう。ざまあみろ、このやろう」と言っていろいろ話した。そしたら彼が言い返そうとするのに、その声が出ないから、受話器で、彼が「はあ、はあ」とあえぐ声がして、あれが、あの無類の話術家の最後に交わした、彼はほとんど無言に近い会話だったけれど、僕の人生の中で、非常に想い出に残るというか、極めて印象的な、会話にならずの会話だったな。まあ、いいだろう。ああやって、言いたいこと言って死んだんだから。
 彼の『芝浜』なんて、偉そうに言ったけれど、けなしたこともあるんだよ。その話も一種の芸談だから、言っても諸君らは分からないだろうけれど。三木のり平(コメディアン)がまだ元気な時に2人で聞きに行って、ある印象を受けたんで言ったんだ。そしたら、彼が突っ張って言い返した。のり平さんが、一言あること言ったら、彼がぎゃふんとなって、それからあいつの『芝浜』は良くなったんだよ。言いたいこと言って、ぎゃふんと言わせなかったら、あれも名人で天才だから、それが身にしみて。あれも有名な芸題だけども。それから、彼がまだ声の出る頃、でも、声がかすれて、話している時に、「お前、その半分出なくなった声で『死神』やれ」と言ったんだよ。『死神』という有名な芸題があるでしょう。「その声で『死神』やると、すごい迫力出るぞ。俺はお前さんの今の声で、『死神』聞きたいな」と言ったら、「よし」と言ったんだ。それから、彼に新しい落語書こうと思って、これはピランデッロ(ルイージ・ピランデッロ イタリアの劇作家)の、『エンリコ4世』という有名な芝居があるんですが、それをちょっともじって、何かのはずみに頭が変になって、エンリコ4世という王様と勘違いしている男の話なんだけど、日本人に例えて、誰にするかなと思って、そんなことを考えているうちに、あいつ死んじゃったね。間に合わずに。残念ですが。人間死ぬんだ。いつかは。しょうがないや。
 質問があったらどうぞ。はい。

質疑応答

【記者】原発問題に関しての質問になるのですけれども、この前、官庁の仕分けで、高速増殖炉のもんじゅというものに対する予算の見送りを決定したわけなのですけれども、原子力、日本のエネルギー政策の中で、もんじゅというものは50年になってから実用化されるというくらいに、大分先の話になるわけなんですけれども、日本のエネルギー政策の中では、このもんじゅがどれほど必要なものとして考えられるのかということをお聞きしたいと思いました。

【知事】それは大事な質問で、私は、もんじゅに非常に期待をした人間の1人です。参議院に立候補した時の私の主張の1つは、高速増殖炉というのは日本とフランスが唯一手掛けていて、普通の原子炉と全然逆のメカニズム、炉です。それで、際限なくエネルギー使える。徹底して。ですから、これは絶対、日本が先に行って完成すべきものだと思ってきたし、今でも思っていますし、そのノウハウを盗まれないためにも、NPT、核拡散防止条約に、私はうかつに入るべきじゃないということを言ってたんです。それは押し切られて、佐藤(栄作)内閣の時に、休会中に反対の議員、私と同じように二十数人いたんだけれど、これを全く無視して、川島正次郎(元衆議院議員)さんが仕切って、NPTに参加しちゃったんですが。それでも、何とか守るものは守らなければいけないと思った。だから、どういう所存で、そういう裁定が下されたか知りませんけれど、日本とフランスだけやってきて、ここまで来た技術ですから、色々な弊害といいますか、その事後処理の問題、その他この他です、色々あるんでしょうけれど、そういうものを含めて、これは人類の将来のためにも、私は日本が頑張って完成すべき人類のための新しい技術だと思っていますけれども。はい、そういうことです。

【記者】27日日曜日に、大阪でダブル選挙が行われるわけですけれども、改めて、橋下(徹)氏が掲げている大阪都構想なのですが、ある意味、東京をモデルにしているわけですけれども、これについての賛否とお考えを……。

【知事】賛否というよりも、大阪はいまだに東京に次ぐ大都市でしょう。横浜に追い上げられて、人口も横浜の方が多くなったんですが。関東の首都圏に色々なことが、人口も含めて集中、集積するのはよくないですよ。大阪は確固とした日本第二の大都市であってもらいたい。そのためにすべきことを大阪はしてこなかった節があります。例えば、地下鉄なんていうのは、古くから東京の今のメトロ、渋谷から浅草までの地下鉄に次ぐ古い路線ですけれども、延伸していない、全然。神戸とか、奈良とか、隣県にそれをつなげば、人がどんどんやって来るし、大阪の主なところに人が集まって賑わいになるだろうけれど、やってこなかった。今の市長でなく、前の市長がこれに気づいて、大阪の地下鉄の改革やろうと思ったら、組合が反対して、今の市長を出したんでしょう。あそこの組合は非常に問題があるね。あなた方、自分で調べたらいいけれども。大体、そんな古い地下鉄を延伸もせずに、仕事増えるから面倒くさいとやらないんだよ。それで、その組合に右往左往されて、引きずり回されて、変な現象じゃないですか。自民党と公明党、共産党と民主党も一緒になって、その反対側の市長を擁立して戦うなんていう現象は、何かにおうじゃないの。市職労というんですか、あそこの組合に振り回されている政党というのは情けないと私は思います。初乗りだって、いまだに200円。名古屋もそう。東京は合理化して、メトロは160円になっていますよ。初乗り料金が。そのうち1つにしますけれど。地下鉄サービス1つ見ても、市民のこと全然考えていない。組合が強いところに何が起こるかというのは、この間の3.11(東日本大震災)の時のJR東日本を見てごらん。前の松田(昌士 元JR東日本会長)の、中核だか革マルだか極左だった連中の組合に左右されて、JR東日本は、あの時にシャッター締めてお客を追い出したんでしょう。こんなばかなことする組合というのは、日本中に、かつての国鉄と今のしかないよ。おそらく大阪も、私、詳しく知りませんが、地下鉄の形態1つ見ても、全然合理化されていない。やろうと思った市長を組合が引っ張り下ろして、次の市長を立てた。今の市長が何を考えているか知らないけれど、橋下君はそれを改革しようと思っているんじゃないの。彼は大事なことやりましたよ。東京を受けて、会計制度を変えたでしょう。おかげで愛知県も変わってきた、新潟県も変わってきた、幾つかの大都市がやるようになってきた。会計制度を変えなかったら、役人が何をやっているか、役人というのは組合員なんだから。彼ら、何やっているか、さっぱり分からないんだよ。それを、橋下君は変えたよ。確かな改革をやる、基本的な改革を。若い人は知らないかもしれないが、福田和也という評論家がいる。江藤淳の後継者と私は思っているけれども、あいつが昔書いた、『なぜ日本人はかくも幼稚になったのか』という、いい論文の中に、幼稚な人間というのは、IQが低いとか、そんなものじゃない。肝心なことが何か分からない人間が幼稚なんだ。肝心なことについて考えようとしないのが幼稚なんだ。日本の役人そうじゃない。国会の役人、政治家もそうじゃない。なぜ会計制度を変えないんですか。だから、役人、幾らでも金隠せるんだよ。財務諸表のない国なんて、世界中、先進国で日本しかないですよ。発生主義・複式簿記やっていない先進国なんて日本だけだよ。日本と同じ単式簿記で大福帳みたいな会計制度は。君らも勉強しろよ、やっている国は北朝鮮とフィリピンとパプアニューギニアだけだ、アジアで。日本のような先進国が、相変わらず、単式簿記やっているんですよ。それを東京は変えたの。僕は色々なことを変えてきたつもりだけれど、一番よかったのは、会計制度を変えたことだよ。財務諸表が出てこない。財務諸表が出てこないから、みんな訳の分からない事業仕分けせざるを得ない。財務諸表というのは、投資家や株主家にとって、自分がこれから投資しようという相手の会社、あるいは、自分が株持っている会社が、果たして儲かっているのか、儲かっていないのか、本当は赤字なのか黒字なのか分かるための、そういう書類が出てこない、この国は。バランスシートがないんです。家計簿だってありますよ。気の利いた主婦は、複式簿記やっていますよ、繰り越しなんてこと出来ないんだから。次の予算もらおうと思ったら、3月中にその予算使わなかったら、次、予算もらえないんだ。こんなばかな会計制度やっている国というのは、世界中の先進国、日本だけだ。だから東京は変えたんだ。あなた方、あまりよく知らないだろうけれど、会計制度というのは、一番肝心なことなんだよ。その肝心なことに気がついて、東京やったけれども、橋下君も基本的なこと改革しましたよ。これからどんどん変わっていくでしょう。大阪市でもやったらよろしい、それは。何といっても、関西圏の中心都市なんだから。

【記者】そうすると、今おっしゃったような問題を、橋下さんが言うように、大阪市ではなくて、10から12の特別自治区というのをつくって、大阪都として強い都市をつくるというようなことには賛成ということですか。

【知事】大賛成ですね。そのうち、リニアで、東京と大阪がほとんどドア・トゥ・ドアで、品川から新大阪駅まで行くんでしょう。飛行場行くまでに時間かかるんだけど、ドア・トゥ・ドアで55分でつながる時代が来る。そうすれば、極端なこと言うと、大阪から東京へだって通勤できるわけだよ。コストの問題もあるでしょうけれど。そういう時代が来ようとしてるのに、大阪が今のままじゃ困る。それは日本のために困る。なぜ大阪が繁栄しなくなったかといったら、やることやらなかったし、地下鉄1つとってみたって、そういうサービスを提供しなかったんだ、今まで大阪というのは。
 はい、どうぞ。

【記者】けさ報道されました石原知事を代表とされる新党構想のお話ですが、亀井(静香 国民新党)代表も否定しなかったということなのですけれども……。

【知事】亀井代表が否定するんじゃない、あの人が言って回っているんだ。亀井に詳しいこと聞いてくれよ。

【記者】知事はどういうお気持ちを。

【知事】第3極と言いましょうか、そういう政党ができる、それがしかも力持つということで政界の再編成を行う、大変必要だと思います。これは基本論ですよ。私がどうこうじゃなくて。それから、選挙制度を変えて、中間選挙にする。結果としたら、ドイツみたいに、3つの政党があって、あそこは緑の党という、共産党みたいな政党もあるけれど、共産党は共産党であるでしょう、公明党も公明党としてあるんでしょうが、そういうものを含めて、大きな政党がA、B、Cできて、AとB、BとC、AとCという組み合わせで、政権が交代することは私は望ましいと思う。そういう意味では、保守革新ということだって、もう通じない時代になって、いまさら、社会主義みたいな、ロシアだって、中国も変わろうとしている時代に、そんなもの標榜する人間いないと思うけれども、この国の伝統とか芸術とか、あるいは、もっと精神的なものも含めて、何をもって、多とし、是として、それをいかに守るかということの、私はそれをしっかり標榜する保守党、今の段階で連合ができることが必要だと思っていますけれど。民主党の中にも同趣旨の人たくさんいますし、自民党の中に随分違う分子がいたりして、そんなものがやがてシャッフルされて。かつて三木武吉(元衆議院議員)が暗躍して大事なことやった、自由党と日本民主党が保守合同した、そういうものをもう1回やらないと、日本の政治はもたないと思います。

【記者】具体的に愛知の大村(秀章)知事と橋下知事をくるめて、そういう新党という……。

【知事】それはよく分からないんだ、僕は。私は東京の知事です。橋下君なんて、大阪の市長になるんでしょう、きっと。それから、大村君、愛知県の知事、それはそれで一生懸命仕事すればよろしいので、そこで、地方分権、地方主権というものを標榜して、色々な改革やったらいい。それが中央にも反映されていくかどうかはこれから先の話だけども、だから、よく分からないんだ、亀井の言うことは。聞いてくれ、あいつに。

【記者】知事、今度の日曜日に大阪で橋下知事の応援に立たれると……。

【知事】土曜日。

【記者】土曜日、すいません。以前の会見では、私が行ってもしようがないというようなお話をされていたかと思うのですけれど……。

【知事】それから見ていると、彼の出自に関しての、あの気違いじみたメディアのバッシングというのは何なのかね。彼個人の人格に全然関係ない問題を、彼も言葉が足りないところもあるんだろうな、それは。政治は独裁だって。首長が思い切って、トップダウンでやることもありますけれども、それをもって政治の理想の形が独裁だと言った、びっくりしたと。俺もびっくりしたけれども、あれは片言隻語(へんげんせきご)とられてのことなのか、それとも、前説・後説があって、その中に出てきた言葉か、知りませんが、いずれにしろ、彼はやることやってきたし、これからやっていくだろうと思うし、大阪は今のままでは困る。大阪にとっても日本にとっても困る。もっと存在感のある街になってもらわないと。府政と市政が、非常にインバランス(不均衡)で、市議会があんなに威張っている大都市というのは珍しいんじゃないかね。

【記者】今回1回の選挙応援だけではなくて、その後の連携も視野に入れて大阪に……。

【知事】連携って何ですか。

【記者】新党のお話ですとか。

【知事】新党なんて知らないよ。大阪と名古屋と東京が組むけど、どんな新党ができるんだ。それ、亀井に聞いてくれよ。はい、どうぞ。

【記者】成田空港と羽田空港のアクセスをよくしようという目的で、国土交通省の方が都営浅草線に新線を整備して新東京駅を置くというような計画に協力を求め、都の方にも協力を求めてきたということなのですが、費用負担の割には、なかなか需要見込みもない中、それについて知事のお考えをお聞かせいただければ……。

【知事】最初に聞いた話と実態がかなり違ってきて、東京はそんなに、はいはいと言って協力する訳にはいきませんよと言ったんです。そういうことですよ。構想としては結構だよ。国がイニシアチブとってやることなんじゃないのかね。そしたら、東京が3分の1出せとか、鉄道会社はどうのこうのといったって、それは国の責任でイニシアチブとるべき問題で、じゃなかったら、仲間もついてこないと思うけれど、僕は。基本的には結構だと思いますよ。だから、あの上走っているメトロですか、都営ですか?

【記者】都営です。

【知事】それは重複した形になるから損するというけれど、そんなものはしれたもんで、それに反対する理由ないと言うから、私、言いましたけれど、費用、どうやって負担するかということで話がちょっと違うんだな。
 はい、どうぞ。

【記者】オリンピック招致について伺います。招致委員会の新しい事務総長に、元外交官の小倉和夫さんを起用するという話がありますけれども、この人事について知事はどのようにお考えでしょうか。

【知事】これはもう向こう任せの話ですから。私は、JOC(日本オリンピック委員会)とかIOC(国際オリンピック委員会)の関係の人事については介入することないし。とんちんかんなのは、JOCの方の事務総長に水野(正人)君がなった。「結構です、そうですか」と言ったの。そしたら、森喜朗君(元内閣総理大臣)と堤義明君(元JOC会長)から電話かかってきて、「石原さん、あれでいいんですか」と言うから、「いいも悪いも、あなた方、承諾したんでしょう」と。私は、報告受けたから、「ああ、そうですか」言っただけで。彼らはそうじゃないんだ。「石原さんが『うん』と言ったからこう決めました」と言うから、それはちょっと違うんじゃないかと。それは、自分たちで決めたことを私は報告で聞いただけの話で、JOCの人事、私は介入するつもりもないし、権利もないし、立場でもないんで。一事が万事、乳母日傘(おんばひがさ)なことがある。JOCはもうちょっと自立して、人事、自分で決めて、テキパキやらないと、戦にならないよと。ラグビーでスクラム組む時は、強烈なスクラム組まないと、とてもじゃないけど、ボールとり切れないんで、それと同じですよ。まずJOCを強いものにしてもらいたい。そのための人事。私、分かりませんよ、スポーツ界のことなんて。森君が代表になったらいいんだよ。そう思うけれどね。
 どうぞ。

【記者】昨日の発表で、都内29市町村で落ち葉や堆肥などの放射能検査を行って、日野市では2,150ベクレルという国の暫定基準値400ベクレルを5倍上回る数値が出ていますが、それについての対策などはどうなさっているのですか。

【知事】まだ聞いてません。担当局に聞いてくれ。あまり神経質にならない方がいいと思うんだ。それは、5倍といったら、みんなドキッとするだろうけれど、前にも言った通り、太陽系宇宙というのは、放射線のおかげで生命が育まれてきたわけなんですよ。放射能、放射線というのを毛嫌いしたら、生命の誕生もあり得ないんだよ。太陽のエネルギーに放射線は含まれているわけだし、色々な質もあるんでしょうけれど、葉っぱというのは、色々なものを吸収する、それを凝縮すると、そういう数値も出ることあるだろうけれど、これは分からない、どういう結果をもたらすか。前にも申し上げたと思うけれど、人類が微量というか、原爆と違うんだから。放射線を長期に渡って被曝するというか、受ける経験というのは今までしたことないんですよ。おそらく、来年の落ち葉、数値が同じところではかっても違うと思いますよ。一過性になると思いますよ。そう考えたいし。それは、来年また検証したらいいことで、ある時間の経過というのを踏まえながら、私はもうちょっと、冷静に放射線のことを考えないと、自縄自縛(じじょうじばく)というか、自分で自分の首絞めることになりかねないと、僕は思いますけれど。
 はい。

【記者】ちょっと話が戻って恐縮なのですが、まず大阪市長選の件で、数週間前に、先ほどもちょっと質問出かかっていましたが、応援に行ってどうなるものでもないというようなお話、知事されていたので、この数週間の間にどういう心境の変化……。

【知事】僕は彼に対するバッシングに腹立っているんだ、君らも含めて。一体何のために彼の出自を踏まえて、橋下をあんなふうにいじめるんだね。本当に、こっちは判官びいきにならざるを得ないね、あれ見ていると。やってきたこと、確かなことやっているんじゃないの。これからもやろうとしているんじゃないか。やらせたらいいじゃないか、能力のある人間に。べらべらしゃべって改革改革って、何もしない人間いっぱいいるわけだから。あまりいじめない方がいいよ。

【記者】そういうバッシング報道などをご覧になって応援に行こうというふうに思われた……。

【知事】そうですね。友情から、義憤を感じています。彼の人材というのは、私、評価しているし、今までやってきた、短期間だけど、やることちゃんとやってきたと思うし。

【記者】新党のお話は、亀井さんに聞いてくれというお話ではありましたけれども……。

【知事】向こうに聞いてくれ。

【記者】ご自身として、そういう第3極的なものの党首として、若い議員であるとか、そういう方たちを率いていこう、将来的にそういうことをしてみようというようなお気持ちはあるなし、どちらなのでしょうか。

【知事】アイム・クワイト・オールド・マン(私はすっかり年をとってしまった)。亀井に言っているんだけれど、結構だと。しかし、一種の革命を起こそう、政治を大きく変えていこうと思うんだったら、何をするかということを問わなかったら、国民ついてこないよと言っている。明治維新だって、坂本龍馬という天才がいて、船中八策というのを考えて、これをやるんだということで人心が動いたんです、下級武士も。具体的な目的なしにものをやってもしようがないんだよ。亀井は、まず政党をつくって、船中八策考えてやるんだというけれど、卵が先か、鶏が先かの話で、何をするかという具体的な政策も掲げず、やるんだったら1つか2つ案があります、私の書いた本にも書いてありますよ。だけど、それ以外に何をやるのかね。彼は、増税なんかしなくても金たくさんある、あちこちに。どこに何があるかということ、それから、どうやってそれを引き出すかと。財務省は、俺が脅かせばついてくると言うけれど、脅かしてもらいたいんだよ、財務省を。どうやって脅かすという話もしてもらいたいんで。財務省の役人に聞いたら、「いや、そんなものございません」と言うでしょう。言われもしたけれど、それをどうやって引き出すかという話を出さない限り、船中八策にならないし、国民の期待もつながらないでしょう。みんな今のあほみたいな内閣にうんざりしているの分かるよ。そういう人間たくさんいますよ、民主党の中にも。だけど、それを壊して、何をするかということを具体的に考え、掲げない限り、選挙で何を訴えるんですか。私は政策が先だと思います。マニフェストなんて、誰がつくったのか、こんなものは、戦後、実存主義が流行っている時、たくさん流行った言葉で随分古い言葉が出てきたなと思うけれど、日本人には耳新しいんだろうな。
 はい、どうぞ。

【記者】この後、(東京都)防災対応指針が発表される予定なんですけれども、新しい指針を通じて都民にどのようなことを呼びかけたいのかということについて知事のお考えを伺います。

【知事】まず、自助・共助、それに徹底してもらいたいね。家がつぶれた、自分ではい出すとか、そんな努力じゃないんだ。つぶれる前に耐震性、ちゃんと診断して、最低限でも、寝ている部屋だけは崩れないみたいな心張り棒をつくるとか、そのノウハウなんかは東京は開発して、展示しているわけですから。公助なんていうのは後で動くことで、向こう三軒両隣で、どうやって連帯組んでいくかということを今から考えていかないと、それの徹底ですよ。もう何回も言ってきた、人間は、必ず死ぬんだということはみんな知っているけれど、自分が死ぬと信じたやつはいないんだよ。「石原さん、地震は必ず来るよ、東京もやばいよ、気をつけなきゃ」と言うじいさん、ばあさん、たくさんいるけれども、「あんたのところ、もろいね」と言ったら、「うちは大丈夫」と。何故か知らないけれども、胸張って言うよ。はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)