石原知事記者会見

平成24年1月5日更新

石原知事定例記者会見

平成23(2011)年12月22日(金曜)
15時02分〜15時34分

知事冒頭発言

1 「2020年の東京」計画の策定について

【知事】冒頭で幾つか申し上げます。
 1つは「2020年の東京」計画の策定についてですけれども、本日、「10年後の東京」計画を充実・強化した「2020年の東京」計画を策定しました。この計画は、都が、オリンピック・パラリンピックの開催を目指している2020年の東京の姿と、それに向けた政策展開を明らかにした新たな都市戦略であります。
 国が成長戦略を描けない中で、東京が率先して、東日本大震災後の日本の再生と新たな発展の道筋を示すことによりまして、この国を牽引していきたいと思っております。
 これまでも1,000ヘクタールの緑の創出や低炭素型都市の実現、3環状道路の整備、少子化打破などに取り組んできましたが、21世紀にふさわしい都市への歩みを着実に進めてきたと思ってはいます。こうした取組を加速させるとともに、大震災によって明らかになった課題にも、対処すべく、防災対策、エネルギー政策を柱に、環境、都市基盤、福祉、スポーツなど8つの目標を掲げて、その実現に向けた12のプロジェクトを戦略的に展開することにしております。
 例えば、東京で生み出す電力を倍増する。そのために、100万キロワット級の天然ガス発電所の設置や、自立・分散型発電を50万キロワット拡充するなどして、300万キロワット創出したいと思っています。無論、地球環境にも配慮して、経済成長と低炭素化の両立を成し遂げていきたいと思っています。
 また、やっと、国も動き出したような外環道をはじめ、東京と日本の成長を支える高度な都市インフラの整備を加速させたいと思ってますが、なかでも、20世紀の負の遺産である渋滞を解消するために整備を進めてきた3環状道路については、10年後の2020年までに完成させて、災害時においては、首都機能を守り、日本の東西分断を防ぐ要としていきたいと思っています。
 更には、都独自の海外留学支援によって、1万人の若者の挑戦を支援して、世界に伍する、逞しい人材を輩出していきたいものだと思っています。
 大震災から立ち上がろうとしている日本の再生を牽引して、我が国の未来を切り開いていくために、この計画を羅針盤として、東京から21世紀の新しい都市モデルを発信して、世界に誇る都市へと進化させていきたいものだと思っていますが、この3環状道の整備ですけれど、先ほど、前原(誠司 民主党)政調会長が記者会見して、八ツ場の建設を認める予算が組み込まれたら、自分としては、国土交通省の予算全体を認めないという記者会見をしたそうですが、まだ正確な情報つかんでいませんけれど、となると外環はどうなるんですかね。訳の分からない話で、政党の中の三役が、政府が決めた予算に盾突くというのは、どういう意味合いか知らないけれども、ちょっとのぼせているんじゃないですか、あの人は。

2 官民連携インフラファンドについて

【知事】次いで、官民連携のインフラファンドについてでありますけれども、現在、九都県市共同で官民連携のインフラファンドについて検討しておりますが、電力危機への対応は、何より先ず実践が肝心であります。そこで専門家の意見も踏まえて、都が先行してファンドを立ち上げることにしました。来年度早々には民間提案を公募いたします。今後、速やかに専門的検討を行えるよう体制整備を行っていきますが、政府があまり一向に動かず、そのために民間が躊躇(ちゅうちょ)しているならば、都が民間資金の呼び水として投資して、我が国初の官民連携インフラファンドという、新しい長期的かつ安定的な資金循環のシステムをこの日本でもつくっていきたいと思っています。このファンドを通じて、喫緊の電力不足を回避して、中小零細企業をはじめとする産業のエネルギー基盤を守るため、志を持って立ち上がろうとする発電事業に投資していきたいと思っています。まず、都が2〜30億円程度を、民間の呼び水として投資して、民間資金と合わせて数百億円のファンドを創設する予定であります。このファンドを活用することによって、1,000億円規模の事業展開を目指していきます。
 今後、都が中心となって取り組むインフラファンドを、日本再生の1つの試金石として、外国からの資金もうまく活用しながら、日本経済の力を甦らせていきたいと思っています。詳細については、知事本局に聞いてください。

3 朝鮮学校について

【知事】それから、問題の朝鮮学校への援助の問題ですけれども。その前に、現地調査に先立って、次のような資料を事前に求めてまいります。以下の事項についての提出を求めて検証しますが、第1に、高校だけではなくて中・小学校を含め、実際に用いられている歴史教科書の全て、それから第2番目は、拉致問題を教えているでしょう、色々な説明をして。その際に用いている副読本、プリント等の教材の全て。第3は、拉致問題を教えるにあたり、学校として、この問題を基本的にどうとらえ、どのように考えているかの見解を示した文書。これを、まず提出してもらいます。その上で、この問題については、都が裁断をいたします。私から申し上げることは以上ですけれど、質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】昨日、橋下(徹 大阪)市長とお会いになられて、教育基本条例の「大阪維新の会」が目指しているような教育基本条例の成立を都としても導入するという意向を知事が話されたと伺ったのですけれども、具体的にはどのようにお考えか。

【知事】具体的内容はまだ、詳細きていませんけれど、かなり過激なこともあるんで、それを東京の場合に採用できるかどうか分かりませんから、そういうものも検討しながら。教育委員会任せでは、なかなか教育は変わっていかない。せっかく東京という大きな舞台ですから。これ、文部科学省は反対なんだよ。彼に言わせると、結局、首長には、その地域における教育の指針を云々する資格はない。誰がするかといったら、どこにあるか分からない。結局、文科省にお伺い立てることになる。そんなものを待っていたら、このていたらくになるわけだし、その文科省が、ばかなことばかりやっているわけでしょう。ゆとり教育なんて、あんなことやって、1年で結果が出て、誰も言うこと聞かなくなって、渋々、しばらくして、正式に取り消したけれど、そういったことですから。もう、文科省の言うこと待っていられないんで、私たちが、文科省が何と言うか分からないけれど、東京なりの知恵を集めて、教育を、ある意味では、中曽根(康弘 元内閣総理大臣)さんに言われたけれども、破壊的に変えて、もうちょっと、しゃんとした子供が育っていくための条例というものを、少し時間がかかるかもしれないけれど、考えていきたいと思っています。

【記者】ちょっと別の話になるのですけれども、国民新党の亀井(静香)代表の新党の話なのですが、以前、知事は会見で、私は年をとり過ぎているというふうなことを英語でおっしゃいまして、ちょっと消極的な印象を受けたのですけれども、状況も変わりましたし、今現在、新党を率いて……。

【知事】新党、新党と簡単に、政局の問題じゃないんですよ。この国が限界まで来ているから、何とかしないといけないと。そのためには政界の再編成も絶対必要だと思います。民主党の中で、ぶすぶす、くすぶっている煙があるし、自民党の中にも、色々な異分子もあるし。私は、前に申し上げたけども、敗戦のわりと直後ですか、乱立した政党を束ねて、三木武吉さん(元衆議院議員)が頑張って。あの人は表に出ずに頑張って保守合同をやった。そういうことがもう一回必要だと思います。ですから、よきものを守って、強くしていく、助長していくための保守合同というんでしょうか。社会主義、共産主義という物の考え方が淘汰された今、どういう違いがその政党にあるか分からないけれども、民主党一つ見ても、同床異夢の連中が集まっているし、自民党の中にも色々な考え方もあるでしょう。思想的な統一を図って、そういうものが連帯して新しい政党をする、その体制をつくるということは必要だと思う。そのために、亀井君には言っているんだけれど、彼は、下級武士の反乱が明治維新をつくったと言うけれど、それはその通りなの。しかし、彼は何を奉じてやったかといったら、坂本龍馬という天才が船中八策という、抜群の、誰も考えなかった未曾有な政策綱領をつくって、それに発奮されて、薩長連合というのは出来たわけでしょう。水と油だったはずの薩長が連合して。それから、土佐もついてきた。そういう、何のため何をするかということを決めずに、政局の話ばかりではだめだということを言っているんで、私が私の立場で協力できることは何でもします、お国のために。何も東京だけのこと考えているつもりはないから。ということなんです。ですけれど、政局、政局と話しても、変に急いで、最後は、政党除籍なんていう話が出ると、そんなものはあずかり知らない話だから。ということ。詳しくは亀井に聞いてくれ。はい、どうぞ。

【記者】東京都の広報紙についてお尋ねします。東京都の広報紙の印刷は、現在、新聞赤旗を印刷する企業が行っています。都の行政を監視する立場の政党の関わりが深い企業が都の広報紙の印刷を受注することについてのご所見をお聞かせください。

【知事】どういういきさつか知りません。感覚的に、私は共有できないね。

【記者】入札によるもので、一番安いところがやっているということなので……。

【知事】そうなんでしょうな。しかし、都の広報に出るものが、印刷所の段階で流れて、共産党の政策が利するということは考えられないし、都がやっている広報なんか、誰も読まないよ(笑)。大分直したつもりだけれども。安いからやらせているんだろうな。
 はい、どうぞ。

【記者】先ほど、知事がおっしゃった、朝鮮学校に対して求める教科書の話なのですが、これはいつ頃、その相手方に求める予定でしょうか。

【知事】すぐやります。

【記者】あと、歴史教科書なのですけれども、現在使われているものだけでしょうか、それとも、最近数年間で使われていたものも含む……。

【東京都知事】そう、過去のものも。
 はい、どうぞ。

【記者】八ツ場ダムと外環道についてお伺いします。八ツ場ダム、先ほど、前原政調会長のお話しをされていましたけれども、国交省の方がどう対応するかというのは、まだ現段階では分からないのですが、万が一、予算をつけないというような話になった場合に、ことし8月に推進議連、国の方で事業、本体着工しないのであれば、1都5県の事業としてやるというような決議を決めているのですけれども、それについて知事がどうお考えになるか。

【知事】1都5県でやる?そんなもの、できっこないじゃないの。あなた、法律知っているの?あれは、前原自身が知らなかったみたいなんだ。国交大臣の時、上田(きよし 埼玉県)知事が、言っていたけれど、僕はそのとき現場にいたわけじゃありませんが、この共同事業のプロジェクトというのは、参画している1都5県が、これを途中に政府が中止した段階では、議会にかけて、承諾しない限り、中止というのは成立しないんですよ。そういう法律の規程を、どうも前原さんは知らなかったみたいだね。今だったら知っているだろうけれど。それから、もう1つ、何様なんだ、あの人は一体。彼は政府が決めた国家予算というものを部分的に否定したら、それで何がまかり通るんですか。彼一人が反対するんだったら、辞任せざるを得ないだろうね、政調会長。議会制民主主義、政党政治のしきたというのはそういうもので、それがルールじゃないですか、暗黙の。ということ。
 はい、ほかにどうぞ。

【記者】外環について。先週もちょっとお伺いしたのですけれども、地上の街路について、先週お伺いした時、知事、現地を見てみないと分からないとおっしゃったのですが、知事が初当選されて、1期目の時にご覧になられた吉祥寺の辺りの、まさに外環本線の真上に都道、幅員40メートルの都道をつくるという話なのですけども、そうすると、結局、地上の用地買収が必要になるということであれば、外環本線も多額な事業費をかけて、大深度地下(地中の構造物等より下の部分で、通常利用されない地下空間)につくらずともいいのではないかというような矛盾を感じるのですけれど、そこはいかがでしょうか。

【知事】その問題、私、あまりつまびらかにしていないんで、もう一回、都市整備局に聞きますが、私が現場見た時は、ここへつくるといって、家を改造することもできず、立ち退くわけにいかず、半殺しになっているようなレベルの住宅がずっと続いていましたよ。その地下に、結局、通さざるを得ないと私は思ったんだけれども、更にその上に、新しい都道をつくろうと言うの?

【記者】もとの都市計画決定、高架方式で最初に都市計画決定した時に、高架の側道としてつくる都道がまだ残ったままになっているんです。それを……。

【知事】道路計画として、今、残っているの?

【記者】ええ。それを今、各沿線自治体ごとに都の方で話し合いの会というのをやっているのですけれども。

【知事】そうですか。詳しい報告は聞いていませんが、問題があるなら、もう一回現場行って、確かめてきますけれども。いずれにしろ、話はそれることになるかもしれないが、地下で外環つくった時に、どこかにジャンクションをつくらないといけませんな。その周りの土地の収用というのは当然必要になってくると思いますけれども、最初、杉並区長は「ジャンクションは要らない」と言ったけれど、この頃、また指針も変わってきたようですが、いずれにしろ、外環は、新しい公共事業が起こる時に、多少の犠牲伴わざるを得ないけれども、それをうまく整理し、完成することが、東京だけじゃなく、国益につながると思いますんで、再三申しているみたいに、それができないと、一旦緩急の時に東西が分断されることになりかねませんから、絶対に必要なインフラだと思うし、東京のためじゃなく、日本全体のための問題ですから、そういう問題が出てきているのであれば、私、もう一回現場行って、確かめます。

【記者】外環についてもう1点。2020年までに、練馬−世田谷間を完成させるということなのですけれども、1兆3,000億円、4,000億円でしたか、その事業費をならすと、年間千数百億円の予算がつかないと、2020年までには完成しないと思うのですけれども、そこはいかがでしょうか。

【知事】それは、国と都の分担というものがあるでしょうから。しかし、個人でなく、新聞として、外環の意味合いはどう考えているのよ。

【記者】もともとPIが始まる時には……。

【知事】PIって何?

【記者】パブリック・インボルブメント(住民参加)の……。

【知事】日本語で言ってくれよ、そんなものは。

【記者】都の方でPIというふうに言っていたのですけれども……。

【知事】俺、英語、よく分からないからね。

【記者】特集記事を組むなり、それなりに住民参加で道路計画をつくっていくということについては賛同していたと思うのですが。

【知事】住民の参加も必要だし、住民の反対もあるだろうけど、了解というのを最後に得なかったら、だめだと思います。
 はい、どうぞ。

【記者】先ほどの国のあり方のお話に関連してなのですけれども、知事は、第三極の存在というか、そういうものが必要だというふうに……。

【知事】国政のね。

【記者】国政の。必要だとおっしゃってきたと思うのですけれども……。

【知事】第三極といいますか、政党の再編成というのは必要だと思います。前から言っていることですけれど、小沢(一郎 元民主党幹事長)が言っているみたいな二大政党じゃなく、三大政党、ドイツのような、A、B、Cがあって、AとB、BとC、AとCが組むような、そういう中間選挙区も必要だと思いますし、その横に、共産党は化石と化しているけれど、あれも好きな人がいるから、いつまでも残るでしょう、ある限度で。でも、例えば、ドイツの場合には緑の党みたいな、かなりラディカル(過激)な、環境問題に関しても政党がありますけれど、それはそれでわきにやってもよろしいが、基本的には、私は三大政党になるべきだと思うし、それが望ましいと思ってますけれども。

【記者】昨日の橋下さんとの会談では、そういう第三極的なお話というのは……。

【知事】出ません、全然。彼は非常に利口な人だし、政党のばかが手玉にとられているけれど、彼、わざわざ任期満了もせずに、大阪府から市に移って、通念で言ったら、知事が市長より偉いと思っているような人は、どちらかというとステータスは逆のイメージがあるでしょうけれど、そんなのどうでもいい。だけど、彼はそれをあえて選んで、大阪市というものが衰退することは日本の衰退につながると思うから、大阪を、「大阪都構想」というのは、ちょっと言葉として混乱すると思うけれど、「大・大阪」に、もう一回リバイブ(復活)するためにやるんだということでやっているんで、そのために、既存の政党使うこともあるでしょう。法律を変えなかったら、なかなか難しい問題があるけど。それで、某政党の党首さんが目の色変えて、壇上まで上がって、こび売っても、みっともない話なんだ、本当に見ていると。政党に知恵があれば、もうちょっと冷静に物を眺めて、橋下君が証明した、あの一つのムーブメントが効果的にどういう意味があるかとか考えたらいいと思うけれど、すぐ、右往左往して、政党つくられたら困るとか困らないとか、やるなら一緒にやるとか、発想がちゃちだよ。今の政党の幹部たちは。

【記者】昨日、じっくりお話しされて、石原知事からご覧になって、橋下市長の政治家としてどういう……。

【知事】素晴らしいですね。冴えているし。ありがたいことは、自分がやってきたこと、あなたがどういう評価をするか知らないけれども、私がやってきたことは正しかったということを、彼が証明してくれたんですよ。とても、私にとってうれしいことだ。行政というのは最後、金なんだ。金って、嫌らしい言葉だけれど、財政がきちんとしていなかったら何にもできないんですよ。それを立て直すためにどうしたらいいかといったら、私は、会計制度を変えました。これがなかったら、何回も言うけれど、昨日もインタビューしたどこかの新聞記者に、「財務諸表とは何だ?」と言ったら、諸君、知っているか。分かっているのは一人もいないんだよ。財務諸表が何だか分からずに、国の会計制度を論じられますか。単式簿記は財務諸表ができてこない。大福帳と同じだから。発生主義、複式簿記になって初めて財務諸表が出てくる。その財務諸表がなかったら、国民、市民は、市の市政なり、国がどうなっているか、さっぱり分からないでしょう。国は、依然として、隣の北朝鮮とフィリピンとパプアニューギニアしかやっていない、こういうばかげた単式簿記をいまだに続けているんですよ。だから、財務諸表がないんです。役人がいかに金を隠してるかは、どんな立派な新聞社でも暴き切れないの。国は、地方自治体に「財政立て直せ、しっかりしろ」ということで、外部監査入れろと法律で決めた。東京は入れましたよ。国は入れていますか。人事院なんていうのは、役人が役人守るため、役人の組織なんだ。だから、今度、内閣だって、人事の勧告も、この時期になって、役人の給料減らさないわけにいかないだろうけれど、減らせないじゃない。通せないじゃないか。人も減らさないじゃないか。東京は、3万人、人減らしたよ。その給料の制度を変えること、40%近く、総額減らしました、人件費を。やればいいじゃないか、そんなこと、国は。やらないじゃないか、野田(佳彦 内閣総理大臣)は。民主党、やらないじゃないか。自民党もやってこなかったんだ。あなた方、しっかりしなさいよ、メディアが。頼むよ、本当に。国民にかわって。はい、ほかに。どうぞ。

【記者】朝鮮学校の補助金に関してです。先ほど、知事がおっしゃったのは、教育内容についてのお話だと思うのですけども、一方で、運営の問題というのも指摘されております。つまり、学校法人朝鮮学園が独立してちゃんと運営されているのか、それとも、朝鮮総連の傘下にあるのではないかという話。そこから補助金が流用されているのではないかという話も出ているわけですが、政府答弁書とか国会答弁で、朝鮮総連が朝鮮学校の人事、財政にも影響を及ぼしているということを政府も認めております。そういう中での、この運営のあり方の実態をどう見るのかというのは、その点はいかがでしょうか。

【知事】確かにそれも必要でしょう。どういう質問をしたらいいか、どういう調査したらいいか、教えてくれ。知恵を貸してくれ。こっちも考えるから、本当に。一緒にやろうじゃないか。都民、国民の税金を無駄に使いたくないね。我々の同胞さらっているような国がどんな教育しているか知らないけれど、それを確かめた上で、運営そのものに問題あるんだったら、何回も言うけれど、状況証拠からいったら200人近い同胞を連れていって、拉致していって、工作員が夜中にやってきて、ぱっと人をさらった、そう簡単にいくもんじゃない。こっちにいる、在日の北系の人たちが手引きしない限り、土地勘なんかあるわけじゃないでしょう。そういうものを含めて、朝鮮総連と拉致の問題の関係というのは、もっと厳しくやったらいいし。ついでに、この際、向こうの体制も変わるのか変わらないか知らないけれども、指導者が死んだ時に、国がもうちょっと具体的に、北朝鮮に向かって、拉致の問題を踏まえて物を言うべきだと思います。
 はい。どうぞ。

【記者】今のことと少し関連で、朝鮮学校のことなのですが、提出を求めている資料の調査とか審査というのは、これはどちらか第三者を入れるとか、都だけでやるとか、その辺りはどういうふうに……。

【知事】第三者を入れてもいいですよ。こっちだって、字が読めるんだから、良識で判断して、それで分からない時は専門家に聞きますけれど。

【記者】期間はどれぐらいかというのは……。

【知事】迅速にやらなければ。向こうがどれだけ早く答えてくるかだね。

【記者】それによって、終わって、問題あるなしの結果によっては、今、凍結されている予算の執行というのがあり得るというふうに考えていいのでしょうか。

【知事】執行もあり得るかもしれないけれど、中止もあり得るかもしれませんな。当たり前でしょう、そんなものは。何も執行するために、向こうのご便宜を図るためにやっているんじゃないんだ、こんなことは。はい、どうぞ。

【記者】資料要求した資料の提出されたものに関しては、例えば、一般に公開するとか……。

【知事】します、もちろん。

【記者】される……。なるほど。今の確認ですが、資料要求の提出された資料だけで予算の可否を判断することもあり得るし、さらに、他の調査に進むこともあり得るという……。

【知事】もちろん現場にも行きます。はい、どうぞ。

【記者】2つ質問します。1つは、先ほど、知事がちょっとおっしゃりかけたのですけれども、例の北朝鮮問題なのですけれども、金正日総書記が亡くなられて、長年、凍結をしてきた拉致問題、この問題に対して、特定失踪者問題調査会とか救う会とか、これで解決のかなり糸口になるのではないかというような側面がある半面、このまま闇に葬り去られるんじゃないかというような心配する声もあります。ここのところで、来年、政府がどのように動くか分かりませんが、民主党政権が本気で、この問題を解決すべき姿勢を見せるべきだと思うのですが、知事、先ほどちょっとおっしゃりかけていた話なのですが、政府がもう少し、本気でやるべきであるというような意見をもう一度お伺いしたいのですが。

【知事】もっと具体的に物を講じて、この問題を解決して、帰ってくるべき人は帰させるということを働きかけない限り、何のための政府か、その存在意義も分からないじゃないですか。拉致問題というのは、本当に、手の届かないというか、視界のきかないところに隠されているけれども、日本の専門家が向こうに行って、人を訪ねて、立入調査することなど、不可能でしょうし、本当に間接の情報に探るしかないんだけれども。韓国なんかとの協力も要請して、もうちょっと、踏み込んだ調査をしたいものだと思いますけれども、政府の姿勢の問題だから。

【記者】分かりました。あと、もう1つ。ことし最後の記者会見だということで、ちょっとお伺いいたします。政権が自民党から民主党に代わって、首相も現在代わっておりますが、知事、2001年の世界経済フォーラム年次会議、ダボス会議、その席上での記者会見で、外国人記者の方から、同じような質問が知事に飛びました。それは、その時も同じような政治状況で、長引く、非常に不況というものが根底にありましたが、「ミスター石原、もしあなたが日本の総理大臣であったら、日本の首相だったら」という枕詞がついて、「一体、この日本をどのような道に導いていくのか。また、日本が向かうべき道はどこにあるのだろうか。具体的に何をすべきなのか」というような質問が、「あなたが総理大臣だったら」という枕詞の後に幾つか集中したということを記憶しております。来年1年なのですけれども、今年は大きな震災もあったり、非常に日本人の心も非常に暗く病んだりしました。この国はどこへ向かうべきか、何をすべきなのか、もし知事が思うところがあれば、一言お願いしたいなというふうに思っております。

【知事】一言でとても言い尽くせないね。

【記者】二言、三言でもお願いします。

【知事】三言でも言い尽くせない。詳しくは、私の新著『新・堕落論』、色々と評判になっていますが、これをお読みください(笑)。私は総理大臣になったらやるつもりで書いたけれど、とてもじゃないけれど、そんな年じゃなくなってきたんで、政治家としての、国家・国民への遺言のつもりで書きましたが、自分の足でしっかり自分で立ち、自分の手で自分を守るという体制をきちんとつくるということで、初めて、国民の自覚ができてくるし、最後に物を考える時、いつも、大前提にアメリカが出てくるみたいな、こういう国家の体質は、私はだめだと思う。はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)