石原知事記者会見

平成24年1月12日更新

石原知事定例記者会見

平成24(2012)年1月6日(金曜)
15時01分〜15時26分

知事冒頭発言

【知事】今日は私から申し上げることはありませんが、質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】消費税のことなのですけれども、消費税をこれは避けられないものだというふうに、多分お考えだと思うのですが。

【知事】そうですね。

【記者】前段として、公務員改革ですとか議員定数改革ですとか、そういうものを、身を切ることをやらなければだめだと、そういうことで野田(佳彦)総理も年頭で挨拶したと思うのですが、こういうふうなやり方というものについては、知事はどういうふうにお考えになりましょうか。

【知事】何が言いたいんだ。君の言う通りだよ。

【記者】ですから、そういう身を切るようなものをまずやらないと、消費税というものは通らないものだと。

【知事】身を切るといっても、役人が自分で切るわけじゃないじゃないんだから、政治家が切らなきゃだめなんだよ。私たちだってやったんだから、労使と話し合って。2万8,000人は人減らしたし、給料減らしたじゃないですか。だから、財政再建できたんで、それやらないんだから、今の政府は。消費税ばかり言っても、国民はそっぽ向くな。

【記者】その避けられないものの消費税が、経済不況で中断すべきだということも議論として出てきているようですけれども、こういう考え方についてはどうですか。

【知事】私はそう思いません。やるだけのことをやったらいいんだよ。東京だって財政再建したんだから、国だってしたらいいじゃないか。役人の首切って、給料も減らしたらいいじゃない。人事院勧告だって、今度、少し減らす、それさえやらないんじゃないか。そんなばかな話がありますか。消費税だけ上げるといったら、国民がそっぽ向く。ほかにどうぞ。

【記者】明けましておめでとうございます。第1に、東京都の情報発信についてお聞きしたいんですが、東京都の情報発信は都が発行する広報と。

【知事】誰も読まないけれど、あんなもの(笑)。

【記者】読みづらいというところがありますし、ホームページにも各ニュースが載っていますよね。それもいまいち伝わりにくいという感じがありまして。例えば11月に、東北に行こうというキャンペーンをやっていたらしいのですが、東京都が。それは東北地方に行くツアーに3,000円融資するという、それを全く知らなくて、たまたま駅でチラシを見たら、東京都が3,000円援助しますと書いてあったんです。それを見たのが11月の末だったのですけれども、そういう事柄についても、まるで報道されないというか。

【知事】こっちはこっちなりにやっているんだろうけれども。しかし、全てのメッセージが行き渡るというのはとても難しいし、どこかの誰かが訳の分からない値段でマグロ買えば、日本中の話題になるかもしれないけれど、なかなかそうはいかないよ、本当に。何かいい方法があったら教えてくださいよ。

【記者】いまいち情報発信不足という感じが否めないかなという感じがありまして。

【知事】それはそうですね。どこでも広報で苦労しているし。僕の知っている若いスタッフがやって、上場もした「ネクシィーズ」なんて会社は、ETCの普遍がなかなか進まないので、結局、国の役所がそこへ頼んだら、あっという間にやっちゃったんだけれど、彼らなんかと話してみると、ちょっと発想が違うんだね。感心しますよ。しかし、すべて彼らに広報頼むわけにいかないから、「少し向こう行って勉強してこい」と言っているんだけれど。お役人もくるくる代わるし。あまり、自分たちがやっていることを情報として喧伝して、市民に理解してもらうように、コミュニケートしたいという、そういう情熱はあまりないね、お役人というのは。

【記者】損をしている感じがありますよね、逆に。せっかくやっているのに、都民なりに理解というか、周知されないということは、ものすごく損だと思うのですが。

【知事】時間のかかることもあります。だから、例のディーゼルエンジンの規制の問題なんかも、ある時間かければ、結果出てくるけれども、東北へ行こうといっても、ある限られたタイムスパンの中の問題で、インセンティブつけても、かといって、東北に行くよりは、関西に行くというやつもいるだろうし。何かいいアイデアあったら教えてくださいよ。

【記者】今月、硫黄島の遺骨収集が福祉保健局を中心に行われるようなのですが、記者クラブさんが新聞社2名とテレビ局3名同乗なさるということで伺っているのですが、それ以外の枠とかいうのはないんですかね。

【知事】ちょっと僕わからない。当局に聞いてください。

【記者】福祉保健局の方は、1人でも多く、遺骨を収集する方を乗せたいということだったんですが、報道の絡みなのですが、どういった形でそれが報道されるのかなということに、非常に。

【知事】遺骨の収集というのは、国によって姿勢も違うし、アメリカなんかは、あそこで戦死した人々を全部収容して、1人だけ死体が収容されないんです。いまだにべらぼうなお金をかけて探しています。攻める方と守る方とで状況も違ってくるし、日本は炎熱の地下に壕を掘って戦ったんで、これから探しに行く人間だって大変だと思うし、あの頃に比べて地熱の温度が上がっているかどうか分かりませんが、それは硫黄島に限らず、あの戦争で亡くなった兵隊さんの遺骨というのは、あちこち散らばっていますよ。この間も野口健君(アルピニスト)が言っていたけれど、フィリピンなんかでも、いろいろ問題があって、この間、ノイノイ(ベニグノ・アキノ3世)という、うちの息子の親友で、おやじ(ベニグノ・アキノ フィリピンの政治家)は私の親友だったけれども、大統領が来たとき言ったんですが、遺骨を収集して見つけても、持って帰ろうとすると金を取るんだよ。けしからん話で、大統領に「しっかりしろ」と言ったら、「分かった、それはちゃんとやるから」と言ってくれたんですが。話が長くなるかもしれないけれど、野口君が見つけた、ある島の洞窟の、日本に向かって開いている穴に兵隊さん逃げ込んで、そこで亡くなっているんだね。それを見つけて、そんなところで死ぬ原住民はいるわけがないんだし、持って帰ろうと思うと、村長が「金をよこせ」と。今度は県知事に言ったら、県知事も「よこせ」と言う。本当にけしからん話なんですが、日本の政府が本気になって交渉しても、埒が明かないだろうと思うし、硫黄島も大変だと思いますけれども、答えが答えにならないかも知れないけれどね。

【記者】尖閣についてお聞きします。尖閣にこの間、(石垣)市議が上陸しました。市議、市議の団体が上陸して、その後、すったもんだがあるようなのですが、その辺のことについて、どう思われますか。

【知事】日本の政府の腰がずっと引けているからこういうことになるんで、私は去年の初めの頃、自民党に言ったんですよ、息子(石原伸晃 自民党幹事長)に。そうしたら、「(谷垣禎一 自民党)総裁にじかに言ってくれ」と言うから、言いました。国政調査権があるんだから、超党派で民主党にも同感する人がいるんで、あそこに議員団を派遣して、ある調査をなさいと。そしたら、「分かりました。理事会にかけます」と言うから、「委員会にかけるか。さっさと行けばいいじゃないか」と言ったら、「その方がスムーズに進みますから」と。委員会にかけて、理事会で決めたんだと。「決めました」という報告を半年ぐらい前にもらったけれど、行かないな。自民党がもう少し、復権しようと思ったら、そういうこともやったらいいんだよ。これを忌避する人間というのがいるかは知らない、隣の国は忌避するかもしれないけど、日本人が否定するというのは、よほど中国と変な関係のあるような人間以外は、みんな賛成するでしょう。なぜ行かないのかね、今の自民党も。

【記者】その辺は、押して、追加して、プッシュしたりとかはなさっていないのですか。

【知事】何が?

【記者】はっぱをかけるなり。

【知事】いや、僕はちょっと、色々なこと考えていますから。どうぞ。

【記者】JR東日本が、およそ40年ぶりに山手線に新しい駅の建設を検討していることが分かりました。

【知事】分かった?本当に金出すかどうか、分からないよ。あの地域は、広大な、非常に大事なところですから、再開発されたら、当然、駅も必要になってくるでしょう。私は、自分の選挙区だった品川区の西大井に、みんなと一緒に新しい駅つくりましたが、JR、あの頃の国鉄が出す、出さないと、結局、地元も少しぐらい出したのかな、詳しいいきさつは忘れましたが。駅は駅でも、非常に簡素な駅でしかないけれど、つくったらつくったで、結構乗客があるんです。まして、該当の地域というのは、今、操車場になっているけれど、色々な点で、周りに大事なものもあるし、それは非常に大事な拠点になると思うし、だから特区扱いされたわけで、当然駅は必要になるでしょう。それは、駅としても採算が合うと思いますから、今から誰がつくるか、どうやって金出すかということは、これからの問題だと思います。あまり先走りしない方がいいんじゃないかな。どうぞ。

【記者】今日これから、来年度予算の知事査定が始まるかと思うのですけれども、朝鮮学校に対する補助金の扱いについて、来年度予算への計上について、知事は現在、どのようなお考えをお持ちなのかを教えていただければと思います。

【知事】是々非々、向こうがちゃんと誠意のある回答をしないんなら、回答が来ない限り出さない、そんなものは。

【記者】まだ回答のほうは来ていないということで。

【知事】来てない。

【記者】来てない限りは。

【知事】出さない。
 はい、どうぞ。

【記者】新党に絡んでのことと。

【知事】亀井(静香 国民新党代表)さんに聞いてくれ。

【記者】あと、教育委員会のことと、2つ質問させていただきたいと思います。まず、新党についてなのですが、昨日、知事も、核のシミュレーションを提唱するような政党ならというようなお話もされていらっしゃいましたが。

【知事】私が政党に参加するんだったら、そういうものを条件に出しますがね。

【記者】そもそものところで、今年最初の定例会見というところもあってお聞きしたいのですけれども、知事としてのこの4年間の任期というのは、健康が許す限りということもあるかもしれませんけれども、4年間まっとうするというお考えなのでしょうか。それからまずよろしくお願いします。

【知事】政治家の立場は、私だって東京都のために都知事になったんじゃない。国を思ってなったんだから。いつも、国というものが念頭にあるんですから。国のために、東京都知事よりも大事な仕事はそっちをやりますよ。場合によっては人を殺すかもしれないよ。それぐらいの覚悟でやっているんだ、こっちは、体張って。つまらない質問しない方がいいんで、これから動いていくことに。あなたに何を言われても、私は自分の人生、自分で決めますから。

【記者】2点目なのですが、教育長の話なのですけれども、外部から登用も考えるというお話されていらっしゃいましたが、今、都庁の職員の方が教育長になるという、この仕組みとか、通例とか、この現状について、どういうような問題点を感じていらっしゃるのか。

【知事】役人の天下りでは大したことができないね。どこまで出世した官僚か知らないけれど、高級官僚が退職した後、教育長になる時に、どういう教育に対する志を持っているか、どういう方法を持っているかによるけれど、あまりそれが感じられない。本当に、日本の教育に危機感を持っている人間が、ちゃんとした自分の方法論を持って、意志を持っている人間が教育長に座らなければ、まして、首都東京の教育長ですから、私は、そういう点では、そのようなことを言ってきたつもりですけれども、12年間もやってきて、まさに、中曽根(康弘 元内閣総理大臣)さんに言われた、破壊的な教育改革ができなかったとほぞをかんでいますから、残された時間、どれぐらいあるか分からないけれども、教育長というものの人事というのは本気で考え直さないといけないと思っています。少なくとも、東京の高級官僚の天下りの先ではあってはいけないな。はい、どうぞ。

【記者】大阪市の橋下(徹)市長が、都の独自の認証保育所の制度を導入するような方針だということなのですけれども、今後もこれから、都を倣って、いろいろ導入されるのかもしれませんけれども、知事として、大阪と連携して具体的な施策を何か進めようというような、今、都庁として話し合いなりが。

【知事】これはありますぞ、色々。あるけれども、ちょっと物騒だから言えないね、今。秘中の秘だからね。

【記者】教育とおっしゃっていたもの以外で。

【知事】彼の考えている教育論でも、いろいろ問題あるところもあるらしいけれど、専門家の意見も聞きながら、彼がつくろうという条例も参考にして、僕は教育の改革というのは、文部科学省に任せたら今日の体たらくですから、ゆとりの教育とばかなことを言い出して、1年で結果出ても、取り消すのに何年もかかるみたいな体たらくだから、とても任せていられない。ただ、橋下君が言ったけれど、何かやろうとすると、「教育の指針というのは首長が決めるんじゃない、あくまでも文科省様が決めるんだ、おまえら余計なことするな」と、必ず言われるというんで、その文科省が何をやってきたんですか。ゆとりの教育、あのざまだよ。どういう制約があろうがなかろうが、教育に対して危機感を持っている人間が1人や2人じゃなく、衆知を集めて、相当思い切った提案して改革していかなかったらだめだと思います。

【記者】教育分野以外でも色々と。

【知事】ありますけれど。それはシー。
どうぞ。

【記者】新年度予算の、先ほど質問がありましたが、これから知事査定が始まりますので、編成に当たっての知事のお考えを、今あればお聞かせください。

【知事】今、言えない。大体のことはとっくに話したよ、君、いたかどうか分からないけれど。限られた、財源ではありますけれども、税収も減っているし。景気というものを支えていくような、そういった戦略というか、それを支柱に置いて編成していきたいと思っています。だから、何もケインズを持ち出すわけじゃないけど、経済の循環の中で非常に効果があるから、災害対策も含めてインフラの整備というのは、私は最重要項目だと思っていますけれども。はい、どうぞ。

【記者】昨年の大晦日に、オウム真理教で特別手配されていた平田(信)容疑者が出頭したわけですけれども、オウム事件といえば、都庁にも小包爆弾が送られて、前の青島(幸男)知事の時代ですけれども、職員の方が大けがをして、深刻な被害者だったと思うのですが、今回の一連の動きについて、何かご感想はありますか。

【知事】感想はないね。私も殺されかかったんだから。あいつらが、衆議院に立候補した時に、私の選挙区で、「石原をポアしろ」と言われて、神奈川県で捕まった幹部の1人が私の家に侵入するために、家の写真撮ったりなんかして、それを供述したんで、神奈川県警の人が改めて裏をとるために、私の犬、ペットの写真を撮っているのを、息子が見つけて、「何ですか」と質したら、「実はこういうことで」と、あいつらが、私を殺すつもりだったと、初めて聞いたんですが、私の選挙区では、女の最高幹部が出たらしいね。麻原(彰晃)なんか、最初のころ、俺を尊敬しているなんて言ってたんだけどな。どうぞ。

【記者】教育長の人事の件なのですけれども、現在の教育長は、今年の7月まで任期がありますけれども、その後、民間から登用するというお考えですか。それとも。

【知事】その後、人材を考えます。

【記者】第1回定例会とかに提案するということなのですか。どちらなのでしょうか。

【知事】それはちょっと分かりません。人が見つかれば事前に通告するかもしれないし。見つからなければ、空白のままに、教育委員会で頑張ってもらって、いずれにしろ、第三者的な立場、役員の天下り先じゃなく、きちんとした民間人、入れていきたいと思っています。

【記者】基本的には7月まで務めてもらうということですか。

【知事】ええ。
どうぞ。

【記者】先ほど、朝鮮学校の補助金の話が出て、回答が来てない限りは出さないとおっしゃっているので、ちょっと詳細確認なのですけれども、現状は予算計上しているけれども、支出を凍結していると、状態なわけですけれども、新年度予算の、その状態を続けるということなのか、それとも予算計上を出さないというのは、予算計上もしないという意味でおっしゃったのか、どちらのことなのでしょうか。

【知事】予算計上する、しないというのは、最初、議会が要請してきたことですから、議会もちゃんとしてもらいたいのと、こちらは調べるもの調べて、ある資料が整ったら、これをもってこう判断するということを議会にも通達して、理解を得ますよ。場合によったら、廃止するかもしれない。当然のことじゃないですか。向こうに誠意がないんだったら。都民の感情だって、どう思うの、自分で税金納めて、その税金が、ああいう教育をやってはばからない。この間も、靖国神社に火つけたやつがいる。日本人じゃないらしいというところまで分かっているけれど、どの系統の人か知りません。そんな不祥事が起こっている、直接関係あるかないか分からないけれども、今まであれだけの反日教育やって、しかも我々の同胞を拉致するために手助けしてた、そういう組織が、それに連脈のある教育をこれからもしようというんだったら、こんなものは私たち援助するいわれも全くないんじゃないのかな。

【記者】つまり、出さないというのは予算計上しないことまで言及したということではないということでしょうか。

【知事】返答が来て、彼らが、我々が納得のいく答えを出し、その態度改めるんだったら、それは援助するのはやぶさかでもないけれど、私は、もうその段階で考えなければいけないと思っていますけれどね。

【記者】芥川賞のシーズンになりまして、候補作も発表されましたが、本読みとしては選考委員の選評を後で読むというのが結構楽しみになったりもしまして、過去5年ほどさかのぼってみますと、知事が一定の評価を与えていらっしゃるのは2作品ぐらいだったかなという印象があるのですが、かねてから最近の作家は世相に合わせるようなマーケッター的になっているというようなことをおっしゃっていますけれども、改めて今の若い書き手に欠けているもの、あるいは言葉の力という観点から、もしあればお聞かせいただけますか。

【知事】自分の人生を反映したリアリティーがないね。つまり、心身性、心と体、そういったものが感じられないね。つくりごとというのは結構なんですよ、見事なつくりものでも。でも、本当に日本語で言いにくいんだ。かといって英語で言って、それで正解か。何か本物の、ジェニュインなものがないね。今も読んでいますけれど、苦労しながら、ばかみたいな作品ばかりだよ、今度は。あと1つだけ残っているけれども。はい。

【記者】大阪市では、いよいよ先月末、大阪区長を公募しました。それで、橋下知事の立候補に当たって、知事が応援に行ったときに、「私が手綱をしっかり握る」という話をしていましたが。知事が政権に入る際に、小林秀雄さん(文芸評論家)が弟子を多くとらなければだめだという発言をなさったということを、前の記述で読んでいる気がするのですが。

【知事】小林さんが「弟子はできたかね」と言うから、「一緒に人を殺すような弟子ならできましたよ」と冗談言ったら、「ああ、結構だな」と。そこで苦い顔したのは中村光夫(文芸評論家)と大岡昇平(小説家)だったんです。

【記者】弟子と。いわゆる橋下さんは。

【知事】それは仲間ですよ。

【記者】弟子はおできになりましたか、今現在。

【知事】私は非常に孤独ですな。橋下君とは、一緒に色々なことをやりますよ、これから。色々なことができると思うし。日本の国政を揺するみたいなことをやらなきゃいかんと思っています。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)