石原知事記者会見

平成24年2月9日更新

石原知事定例記者会見

平成24(2012)年2月3日(金曜)
15時03分〜15時27分

知事冒頭発言

【知事】冒頭、私から申し上げることはございません。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】新党構想について。特に、大阪の橋下(徹 市長)さんとの連携問題について、昨日、堺屋太一さん(作家)にインタビューしたのですけれども、その中で、これは堺屋さんの言葉ですが、いわゆる石原新党と呼ばれるものは政局の動きであって、橋下維新の会がやろうとしているのは、地方自治体の構造、体制を変えるのだから次元が違う話だということで、現段階では非常に、この連携については、後ろ向きともとれる発言をなさっていたのですけれども、石原知事は。

【知事】それは堺屋君の言う通りなんじゃないでしょうか。僕は、橋下さんは、相当の意気込みで、あえて知事から大阪の市長に移った。大阪市の行政の実態、特に、それをゆがめている組合の実態、これは大変なもんですよ。仄聞すれば、多分、間違いないだろうと思うけれど、1年間に10人以上の刑事犯を出した組合というのはないだろうね。しかも、そういうものの圧力で、人口、どれぐらいあるか知りませんけれど、相当の数でしょう。東京くらいじゃないにしても、数百万人の市民の中で、18人に1人が生活保護を受けていて、そういう実態を、ある勢力が生じさせたという、そういう中へ、彼が乗り込んでいっているわけですから、ちっとやそっとのことで、この問題というのは片づきませんぞ。私だって、東京に来て、積立金というか、貯金が200億円しかなかったのを見て慄然としました。それから、人を減らし、給料も減らして、財政再建して、何年後か、1兆円ぐらいの積立金をつくるようになったけれども、時間がかかりますから。彼は、あえて、知事から市長になった限り、その仕事というものを、形をもって世間に示さなかったら、責任果たしたことにならないでしょう。堺屋君もそのアドバイザーでいるんだ。ただ、彼と私が共感し、彼を評価しているのは、私の真似をしてくれたんです、東京の真似をしてくれたんです。あなたが知っているか知らないけれど、何をやったのか、会計制度を変えたんだよ、彼は。国がやってないことを東京はやり出して、大阪もやり出して、真似して愛知もやり出して、新潟もやり出した。東京都では町田という大きな市もそれをやり出した。こういうことが、とても大事なんじゃないですか。つまり、国家の役人、中央集権の役人が、国民を財政的にごまかすために、いまだに運用している単式簿記なんていうのは、あなたは新顔に見えるから、あえて言うけれど、日本の周囲でやっている国というのは、北朝鮮とパプアニューギニアとフィリピンだけだよ。そういったものを東京は金出して変えたんだよ。それをただで私は彼にバトンタッチしましたよ。これが大阪府知事になって、東京のそれを譲ってほしいと。ただで譲りましょうということで、東京と大阪がそうやって会計制度を変えたということ。国は自民党の時代からずっとやらずに来て、そういったものの弊害に気づいたか知らないけれど、財政が大変だというんで、役人の隠しているもの、吐き出させようとして、事業仕分けなんてあほみたいなことをやっても、出てくるわけがないということなの。東京と大阪の会計制度、愛知もやって、そういうアライアンス(提携)が、明治以来、綿々と続いてきたこの中央集権という、この時代に沿ってぶっ壊すというのは大事なことなんじゃないですか、ということですよ。
 新党というのは、誰が言っているの。そっちに聞いてみろよ。私がここで新党について言ったことありますか。第三極ができるのは結構だと思いますよ。私は、新しい保守合同があっていいと思う。かつて終戦後間もなく、混乱している政局の中で、三木武吉(元衆議院議員)のような人、自分を捨てた人が、保守合同を取り持ってやったと、そういう仕事なら、私、いくらでもこれから身を粉にしてやりたいと思いますけれど、それはどういう形になっていくか分からない。ただ、今のままではだめ。自民党は単独政権をとてもつくれない。民主党はばらばら、同床異夢。もうやっていることはめちゃくちゃだ。役人を使いこなせずに、逆に使われて、結局、自民党と同じじゃないですか、ということ。はい。

【記者】今日、震災訓練がありました。今、震災訓練の中の問題ではなく、一時避難施設ですか、それが今、新宿区も渋谷区も、その場所を確保するのに苦労していると思うのです。私が思うのは、避難施設をこの超高層ビル街にある、どこのビルも1階から2階、3階ぐらいまでを避難施設として提供するというふうな条例か義務づけを東京都の方でできないものでしょうか。

【知事】それは、非常にいいアイデアだね。警視総監の秦野(章)さんの時代に、私がまだ20代でしたか、日生劇場つくって重役している時に、三井不動産の江戸(英雄)さんが、重役の1人でいてくださって、その時に、東京に大災害が来たときのシミュレーションを秦野さんがやったら、この頃ないというけれど、一番危ないのは歩道橋だという話だったんですが、それは別にして、一番安全なのは高層ビルだって。この中に逃げ込むのが一番いいと。その頃から、そういうシミュレーションの結果が出ていたし、今でもそうだと思いますよ、高層ビル増えてきているから。当然、そこに人が逃げ込むでしょうし、深夜だったらまた別ですが、日中だったら。この間のJR東日本みたいに客を閉め出して、駅のシャッターを閉めるのは逆で、避難する人たちを一番安全な高層ビルなんかにしまい込むという姿勢は、常識としてとらえるべきだと思うけれど、それに対して、優柔不断というか渋るんだったら、強制的にやらせるように、条例としてそれを東京都内で徹底するのはとてもいいことだと思います。ご意見、確かに拝聴いたしました。

【記者】帰宅困難者問題ではいつも言っているのですけれども、徒歩で帰る、徒歩帰宅難民ですか、その人たちが歩いて帰れる距離のところは歩いて帰るというふうな避難の仕方をしていかなければならないんじゃないかと思うのです。そうした時に、甲州街道、青梅街道等の街道沿いにあるコンビニエンスストアとか、そういうところを中継ステーションとして、東京都は位置づけているわけですけれども、一番問題なのは、はっきり申しまして、トイレの問題です。コンビニなど、1万6,000店と契約したと言っておりますが、1つのコンビニには大体、便器が1台ぐらいずつしかないのです。そういうことを考えると、350万人の帰宅困難者があふれると、首都圏全体で350万人。この前の3・11(東日本大震災)の時には、新宿で歩いて帰った人が14万人いるということが言われているわけです。コンビニをサービスステーションとして頼りにしている、コンビニ以外にもファストフードの店もあるとおっしゃいますけれども、合計で1万6,000店ということでしかありませんので、もっと、簡易トイレも備えつけられるような、そういう予算を大幅に東京都は入れたらいいと思うのですけれども。

【知事】これはまた難しい問題で、一種の、災害の確率論の問題ですから、にわかに、私は是とはしませんが。東京マラソンの時も、あちこちに仮設トイレをつくっています、ランナーのために。これは、テンポラリー(一時的)なものですけれど、コンビニのトイレがパンクしてしまって大変なことになるということは、あまりこちらも想定していませんが。考えましょう。お金出すか出さないか別の問題で。はい。

【記者】今、帰宅困難者の話が出たので。今日、陸上、海上自衛隊、海上保安庁、在日米軍などの連携による海上代替輸送も行われているようなのですが……。

【知事】本当は、この間の大降雪か、大豪雨の時もやらなきゃいけないんで、それから、3月11日の時も、今までその準備をしていたのに、そのために私、アメリカにぺこぺこ頭を下げに行っていたんだけれど、変わったばかりの危機管理監がぼんやりして、「知りませんでした」と。どうかしているのは、前の危機管理監が次の危機管理監に、知事をわざわざアメリカの所まで出向かせて、「よろしくお願いします」と礼をしているのに、船一隻も来なかった、あの時。アメリカは逃げちゃったのか、そうでもないと思うんだ。日本の海軍も来なかった。だから、当然やるんです、それは。やることで、歩いて帰らずに済む人がたくさん出てくるんですから、今日も、色々な設計図を見たら、何隻かの船で何カ所かに、いかりをするようになっているから、もっと細かに上げてもいいと思います。ただ、大きな船ですから、上陸用の小さなテンダーボートに分散するのか知らないけれども、それなりに船着場みたいなのがいるでしょうから、そういったものを分かりやすく確保するための印でもつけて、ないんならそういうものを造成しなさいと言ってあるんですが。

【記者】今週の頭に実は、先週、知事が東海・東南海地震がもうすぐ起きるんではないかということだったので、神奈川からずっと静岡の方まで湾岸を見て回ったのですけれども、例えば、東日本震災のような地震で津波が起きた場合、どこもかしこも対応できないような状態になっていて、ここだったらここは沈むなというような感じを実感したのですけれども。

【知事】東南海地震で、太平洋側の海岸線に押し寄せてくる津波というのは、ちょっとやそっとのもんじゃないよ。この間の3・11の時、帰宅困難者が、昼間人口がやたらに多いというんですか、色々な人が県外から来ているわけですから。その人を、東日本大震災を受けて、東京の避難民を海から船を使って帰すのとでは、ちょっと作業が違います。私はずっと湘南地方に住んでいますから、あの海岸線の海に向かってばっと開けた太平洋というのを知っていますから、津波というものをある程度沖待ちして、やり過ごした後じゃなかったらとてもじゃないけど、余震が続く間に、人を太平洋側の湾岸線から陸揚げするということは不可能だと思います。

【記者】世田谷区が、先日、区内の公共施設、111カ所の電気購入先について、東京電力ではなく、特定電気供給事業者、PPSから含めた競争入札にするという発表をしたんですが、その前に猪瀬(直樹)副知事が推し進めていた、東京電力に対する緊急要望を知事名で提出していますが、それに対する東電の反応というのは、今ありますか。それと、東電ではなく、世田谷区のようにPPSを含めた競争入札に、都の電力供給者を変えていくという……。

【知事】世田谷が先走りで言うのは易しいけれど、予算の構築もあるでしょうし、そのためのインフラというのがなかったら、いくら願っても電気が来るわけありませんから。どういう斟酌(しんしゃく)で言い出したか分かりませんけれど、電力が不足になるということを予測して、自治体が、それなりの身構えをして準備をすることは大事だと思います。ただ、世田谷もかなり大きなところで、人口の多いところですから、大きな工事はありませんけれど、あそこに住んでいる人間の家庭で使う電力というのは、考えてみると、企業の大きな工場が使うのと比べると、かなり知れているものですけど、それでも、どういう計算で言い出したか知らないけれども、ある目安をつけて言わないと、先走りしたことになるんじゃないかな。

【記者】なるほど。先日出した東京電力への緊急要望に対して、東京電力から知事の方に何かお答えはありましたか。

【知事】まだ聞いていません。

【記者】それと、猪瀬副知事の方がつくった、この東京電力はもうちょっと無駄をカットして……。

【知事】これは、とても大事な指摘でね。職員も走り回って、ちゃんと建物の写真を撮り、どこにどんなのがあるか調べてきたんですが、そういう具合悪いことは、なかなか返事来ないよ。国や役所と同じだもん。当然返事すべきでしょう。自分たちが余計な資産を持っているんだったら、まずそれを売却して、お金にして、それで足りないものは、電力料金に加担するというなら分かるけれども、そんな努力もしないで、国の役人、財務省みたいなことを言ってもだめだ、通用しないよ、そんなもの。体質は同じだけれど。どうぞ。

【記者】今日の帰宅困難者対策の件なのですが、そもそものところで、今回の訓練、実際に実施してみて、また、ご覧になって何か感じたこと、新しく課題だと思われたこと、どんなことありましたでしょうか。

【知事】訓練というのは予告してやるものは、割と整然と行われるんです。頼もしいものですよ。しかし、突発した時にどれだけ、その訓練と同じような対応ができるかということは、なかなか別の問題で。いずれにしろ、しつこいほど訓練をやっていれば、それが力になってくるんですが、そう頻繁にやるわけにいかない。今日、訓練をやってみた後に、どの問題が出てきたかというのは、これから報告を聞きますが。特に私が注目しているのは、初めて実際に船を動かしてやらせている、海上の帰宅者輸送の成功率というか、果たしてスムーズに船が着けられて、私はヨット乗りでもあるけれども、東京湾だって、南の風が強く吹いたらなかなか大変なんだ。そういう時に、どれぐらいの舟艇がどれだけ完全に着岸できて、人を上げられるか。その日の天候によって違ってきますけれど。いずれにしろ、今日、どういう成果があったか、どれだけスムーズに着岸できて、どれぐらいの人をどれぐらいの時間で上げることができたかということは報告を受けます。

【記者】一時滞在施設の問題なのですけれども、都内では350万人の帰宅困難者が前回出たという推計があって、一時滞在施設というのは、一方、9万人ちょっとの分の滞在スペースしか都内にはなかったそうです。今後、民間の大規模な施設にもっと協力を求めていく形になると思うのですけれども、施設によっては、事前に公表をしてしまうということで、当日、殺到して、大混乱になってしまうのではないかということを心配する声があったり、自分の施設の従業員に対する備蓄というのは、条例で努力義務が課されるのですけれども、避難してくる人のまでの備蓄というものをどれぐらいまで装備したらいいのかということで迷ったり、これから協議することになっていくと思うのですが、そういう公表についてであるとか、帰宅困難者分の備蓄については、知事はどういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。

【知事】それを受け入れる企業の心意気の問題で、人間というのは、本当に困れば小さなパンでも半分に分けて食べるんだから、そういうその人間性というものに期待して、事を運ぶ以外にないんじゃないですか。帰宅困難者が何百万人いるからと、その何百万を割り振って、その分の食糧を、いちいち企業に持たせるなんてそんなばかなことできませんよ。そんなものは甘ったれた話で。その辺は気持ちの問題なんだ、最後は。はい、どうぞ。

【記者】今日の帰宅困難者訓練なのですが、避難場所であったり、安全確認の方法などについての駅前の滞留者への情報提供として、今回、ツイッターとかフェイスブック(ソーシャルネットワークサービス)といった、いわゆる携帯の端末で使う情報提供というのが行われたのですが、知事はこういったものは使ったことはございますか。

【知事】持ってない。古い人間ですから。持ってるよ(笑)。でも、使い方よく分からないんだ、スマートフォン。

【記者】持っていらっしゃるんですか。

【知事】宝の持ち腐れというのはこういうことをいうんだよ。電話ぐらいかけられるけどね。
 はい、どうぞ。

【記者】先ほどの政界再編のお話をお伺いしたいのですけれども、橋下市長とか、大村(秀章 愛知県)知事は政治塾をつくって、次期の衆院選の候補者を育成しようとしているのですけれども、知事もこのお二方と連携して、そういう政治塾をつくって、候補者を養成していこうと、こういうようなお考えというのはございませんか。

【知事】ない。面倒くさいことはしない。私の言うことを聞きたいなら本でも読めばいいんだ、そんなもん。

【記者】どういう形でお二方と。

【知事】それぞれ人が、自分のよしとする方法でやったらいいんだ、世の中に立てばいいんで。塾をつくっても、自分が毎日出て講義するわけにはいかないだろう。僕は1回だけ、自分の売り込みしたことあるんだよ。代議士やめた後、松下電器の会長さん、今、何しているのかな、昔、逗子の時代から知っていまして。あの時に、鉄鋼労連の宮田(義二)というのが塾長をしていたんだ。彼がしていてもしようがないんじゃないかと思って、松下の会長さんに会って、「私を松下政経塾の塾長にしてください」と言ったら、「それはとてもありがたいんですけれども、うちも株主制ですから、みんなで決めないといけないんので、私の裁断ではどうにも」「分かりました。結構です。余計なこと言いません」。でも、俺があの時に、塾長になったらもうちょっとましな政治家育てられたな。今の卒業生を見ると、一昨日の新聞の社説読んでいるみたいで、ばかなこと言って、ぺらぺら薄っぺらくて。中にはまあまあの人もいないでもないけれど、大体よく似ているね、みんな。メディアが悪いんじゃないのか。はい。

【記者】先ほど、海上訓練の関係なのですけれども、とりわけ、今回、米軍が参加ということで、その意義というんですか、日米同盟を含めて、その意義を知事はどう考えているのか聞きたいのですけれど。

【知事】当たり前のことじゃないかと思うね。これだけ基地を占めて、日本を搾取している国が、困っている時に、人を向けて、帰宅者を運ぶぐらいのことは当たり前のことだよ、そんなものは。さっさとやらせればいいんだよ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)