石原知事記者会見

平成24年4月12日更新

石原知事定例記者会見

2012年4月6日(金曜)
15時00分〜15時30分

知事冒頭発言

1 技術職員の被災地派遣について

【知事】冒頭、私から2つほど申し上げます。
 1つは、東日本の大震災で津波被害を受けた沿岸部の市町村では、まちの復興・復旧、新たなまちづくりを担う専門家というか技術者が足りなくて、非常に深刻な問題になってるようです。そういう実情を訴えられましたので、今回、都として、都や都下の区市町村のOB、あるいは企業で、もう引退した人で、そういう経験のある方々を応募しまして、任期つき職員として採用して、一定の研修を経た後、被災市町村に長期派遣する全国初の新たなスキームを導入します。
 津波で壊滅的な被害を受けた被災地は、復興に向けて取り組みをしていくために手一杯の状況でして、国の役人って、手続き、書類を要求するので、例えば予算組んであっても、執行してもらうための申請の手続きそのものが煩雑過ぎて時間かかって、いまだに、予算がだぶついてて執行されていない、お金が行き渡っていないという、ばかな話ですけど、とにかくこうした被災地の状況を踏まえて、都が直接、任期つき職員を採用して被災市町村に派遣することとしました。できるだけ多くの方の応募を願っております。是非、経験のある人は力を貸してもらいたいと思います。これからも都は、首都東京の総力を挙げて、被災地を全力で支援して行きます。
 詳しくは総務局に聞いていただきたいと思います。この浪江町っていうんでしょうか、典型的な、まちの若い人たちが、一体ここのまちでどうやって暮らしていくのか、どこにどういうふうなまちをつくり直すのかということを、侃々諤々(かんかんがくがく)っていうか、迷いながら真摯な討論をしている番組を見ましたけども、あのまちに限らず、国が大きな指針を立てないために、非常に地方の人たちが混乱しているけど、これがもし、田中角栄みたいな天才が総理大臣だったら、ゴルフ場買収してそこへまちを作っちゃえとか、あるいはつくば新線の沿線の関東平野の、まだまだ山林とか農地がたくさんありますが、角さんなんかだったら、そこへ困ってるまちを全部集めて、新しい都市を作っちゃう位なことをやると思う。そういう発想というのは、本来、政治家がしなくちゃいかんけども、今の与党・野党、出てこないね、そういう人が。役人にそれを求めても無理な話ですし。何か本当に被災地の方々、実に気の毒な感じがしますな。

2 水力発電について

 それからもう一つ、水力発電についてですけど、東電(東京電力)は一方的な電気料金の値上げを発表するなど目に余るものがありますが、この間、東電の経営合理化に猪瀬副知事に精力的に取り組んできてもらっています。これまでも、奥多摩にある水力発電所でつくる電気は東電に販売してきましたが、これは随意契約で、随分安く提供していた。これは昭和29年の都議会の議決によって決まったもので、電気事業者が東電しか存在しない時代から続いてきたので、その料金の面でも基本的に見直す必要があると思う。
 これから電力市場の競争性を高めるためにも、東電以外の事業者にも電力を販売できるよう制度を変えていきたいと思っています。これによって東電の一層の経営努力を促すことにもなると思います。そのための条例改正を、議会とも相談しながら今後進めていきます。
 とにかく、物がなかった時代、電気もろくになかった時代、昭和29年に作った約束ですから、これは当然今の状況に、まして電力がいろんな形で不足しがちなときに、折角自前で作っている電気を、販売網持ってるからって東電に安く売る必要はないので、これは基本的に考えて行きたいと思ってます。
 私から申し上げることはそれだけ。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】今週は、大阪出張お疲れさまでした。

【知事】大阪じゃなく京都に行っていたんだ。

【記者】橋下さんとの会談の件ですけれども、かねてから知事がお話しされてるような核のシミュレーションであるとか、憲法破棄であるとか、必ずしも橋下(徹 大阪)市長と政策の面で一致し切っているところばかりではないんですけれども、お話を実際にされてみて、今後一致させる、または擦り寄って行けるような可能性みたいなものは感じられるところはありましたでしょうか。

【知事】何のために擦り寄って行くの。それは私は私の、1人の政治家の意見がありますけど、それが絶対とも言ってないし、状況が変わってきたらみんなで合議して決めたらいいと思うけど、私は都知事というよりも1人の政治家としての発案で言ってるわけで、憲法なんかについても、彼は基本的に今の憲法というのはおかしいと思ってますよ。ただ、それを直していく手立てとして、やっぱり96条の手続きを、まずその過半ということ、3分の2じゃなくて、数値を変えることで改正もスムースに行くんじゃないかと。その上に、どんどん変えるところも変えて、それで憲法全体というのを、場合によったら今までと全く違うものにしても良いんじゃないかという、そういう意見ですから。
  私の場合には、歴史的な背景から考えても、占領軍が占領の統治のためにつくった基本法が通用する事例なんていうのは歴史にないので、いきなり破棄という、非常に激しい表現になるかも知れないけど、その方が手っ取り早いと私は思います。これは結局、誰が内閣を主体にするか、その政治家のリーダーシップの問題だと思います。そういう点で話もしました。だから、その辺、お互いに言いたい事を言ったら良いじゃないかと。それだけ。

【記者】核のシミュレーションについては何か。

【知事】話しませんでした。これ、1つのアイデアですから。

【記者】前回、都庁で一度お会いした時と少し日にちが経っていましたけれども、当時と何か違った雰囲気みたいなものは感じられましたか。

【知事】いや、別に。ただ、東京を預かる者、大阪預かる者としての、強力なアイデンティティーは何かと言ったら、やっぱり中央官僚の統制をぶっ壊さなきゃだめなんだ。中央集権を。明治のころから続いている国家の体制というのを壊さなかったら物事は良くなりませんな。そういう点では非常に強い共通点があるということを2人とも再確認したと思いますけども。

【記者】また近々、もっと話をしてみたいというふうには思ったと。

【知事】彼も時々東京へ出てくるみたいで、私もたまたま京都に用事があって、ちょっと足延ばして行きましたけども、彼も東京へ出てくることあるそうだから、その時またいろんな話をしようということですけど。

【記者】その会談の中で、橋下さんの政治塾についての話が出たそうで、知事の方からその若いメンバーの人たちに質問をしてみたいとか、どんな集団なのか見てみたいというようなお話があったそうですが、その政治塾の人達について、知事は今、どういうふうに見てらっしゃるんですか。

【知事】見るも見ないも、私は会ったこともない。2000人っていうのは大変な数で、だんだん収斂してくらしいけども、その段階でどういう人たちがどういう志で、何をしようとして集まっているか、それは一人一人違うところもあるでしょう、共通もあるでしょう。そういう点で、私も講師の一人として、みんなと話させてくれと言ったんですけどね。

【記者】やっぱり政治経験がないということで期待している部分はあるんですか。

【知事】政治経験なんていうのは、知れたもんじゃないよ。僕だって、初めて政治家のときは全く素人だった。物書きだったんだから。政治経験って一体何なんだ。役人の言うことを聞くことか。はい、ほかに。

【記者】大飯原発ですけれども、閣僚会議で再稼働が妥当だということが出されたようですが、この一連の判断につきましてはどういうふうにお考えになっていますでしょうか。
  それと、今、お話に出ました橋下市長ですね、この原発に対する考え方の意見が大分違うようですが、その辺についてはどうお考えなんでしょうか。

【知事】その話はあんまり詳しくしませんでしたけども、(橋下市長は)原発、全部否定なの?

【記者】あの…。

【知事】それはいいや。彼から話は直に聞いてください。私、その話をしませんでしたけど、政府が私達よりはるかに情報を緻密に持っているわけだから、行政の最高責任者である政府が種々検討して情報を集めて判断したことを、一体だれが批判できて、否定できるんですか。私はそういう点で、やっぱり政府ってものを信頼しなかったら、国民が選んで作った政府なんだから。しかし、これが間違っているかどうかというのは、あくまでも結果が出て、政府の責任ですよ。だけど政府がいろんな情報を集め尽くして、その上で判断をしたってことは、これをもって是としなかったら、一体この国を誰が動かして何をどうやって決めていくんですか。私は、だから、政府の発表をそのままなるほどと思った。是としますよ。どうぞ。

【記者】首都大学東京の入学式、ご欠席されるという件についてなんですが。

【知事】ちょっと体の調子が悪くてね。卒業式には行きましたが、入学式はフレッシュマンが来て、これから高校生から大学生になる連中はね、これから社会へ出ていく人間には、大事な忠告もしたし、期待もしたけど、当然、彼らが卒業してきてから私がいたら出て行きますが、入学式は、学校の先生がいろんなガイダンスを含めてやることで、私は大学の教官じゃありませんから。出席すべき仕事は選んでやりたいと思ってます。何から何まで都知事が出しゃばるものでもないんじゃないですか。

【記者】これまでは、2005年以降、出ていらしたようですが、今回は何か特別なものはあるんでしょうか。

【知事】いや、ちょっと私もくたびれたし、あんまり体調もよくないし、いいじゃないですか、それは。どうぞ。

【記者】国民新党なんですけれども……。

【知事】国民新党?どの政党だっけ。あれか。亀井(静香)君のとこ?いろいろあるから、さっぱりわからん。

【記者】本日、東京都の選挙管理委員会を通じて亀井さんが代表から外れて、自見(庄三郎)さんになりました。亀井さん、昨年末から知事と新党のお話もされているかと思うんですけれども、今回の辞任、代表の交代についてどのように見ていらっしゃいますか。

【知事】それは知らない。国民新党の中の事情と、それを精通して、あまり興味もないから。仲間に追い出された。自業自得じゃないか。私、別に国民新党と何のかかわりもありませんよ。

【記者】ただ、亀井さんとはかつてから……。

【知事】亀井君って昔からの友達だしね。

【記者】今後の新たな第三極というお話をずっとされてきたかと思うんですが、亀井さんとの……。

【知事】これからも一緒にする仕事があったらしますし、だめなものはだめかも知れないけども。みんな簡単に第三極って言うけどね、僕は橋下君のやっている事ていうのは、うまく化ければいいなと思ってますよ。既存の政治家なんかかき集めたって、ろくなものができるわけないんだよ。やっぱり、新しい人材を育てる、人材というのが集まって、新しい政治的な波が起こってくる、ヌーヴェルヴァーグ(新しい波)が起こってくるので、今いる議員たちの思惑を勘案しながら人を束ねようといったって、私は新党なんかできっこないと思ってます。
  だから、僕は橋下君がやっている塾に非常に注目している。私は、初めて言いますが、議員を辞めた時に、1回だけ自分の売り込みをしたことがある。それは、あの時の松下電器の会長をした松下(正治)さんってのは、昔からちょっと知ってましてね、非常に懇意にしていただいたので、私、あの時確か、松下政経塾の塾長が、宮田(義二)君っていう鉄鋼労連の会長だったね、委員長でね、何か途中、ミスマッチかマッチかよくわからんけども、ちょっと違うんじゃないかって感じがしたので、松下さんに「私、松下政経塾の塾長にしてくださいよ」って言ったんですよ。そしたら、向こうも困って「いや、それはありがたいんですけど、実はそう簡単にいきません」って。「どうしてですか」って言ったら、「松下政経塾というのは何も松下電器のものじゃなくて、ファンドを作って自分もそこの株主の一人ですから、みんなに相談しなきゃ」。「あ、それはもう結構です。そこまで煩雑なことだったら、あなたが決められないんだったらもう結構ですから」って止めたんですがね。あのときに松下政経塾の塾長になったら、都知事にならずにいたのかも知れないし、もっとおもしろい人間を作れたような気がするんですね。
  ですからやっぱり新しい人間を育てていかない限り、それはもちろん、旧人の、関わりのある人も参加してもらって良いと思うけども、その人間たちばかりで組み合わせを変えたって、本当の第三極にはならないと私は思います。だから私も、橋下君がやってるその塾ですか、2000人も集まったというけど、なかなか全部は物にならないと思うし、彼自身もそれを分かっているから、そのうちにシャッフルして半分以下の人間にすると言っていましたが、やっぱりそういうことが必要でしょうね。だから非常に興味がある。

【記者】それで、講師を引き受けられて、支援というか応援をされたいという。

【知事】私自身、いろんな経験をしてみたいなと思って。はい、どうぞ。

【記者】日本プロバスケットボールリーグのbjリーグというバスケットリーグがあるんですけれども、その東京のチームが去年の東日本大震災で解散に追い込まれました。子供たちにバスケットの魅力を伝えたいと、今年の10月から始まる新シーズンで名前を変えて、新しいチームとして復活することになりましたけれども、東京をスポーツで盛り上げたいとするこの新しいチームに、知事からのメッセージをお願いします。

【知事】バスケットなんて見たことがない、この頃。ちっとも面白くないよ、あんなの。背の高い奴だったら、バスケットに興味持つんだったら、バスケットの高さを50センチとか30センチ高くしたら良いんだよ。そうしたら、どんな大男でもダンクシュートができない。
  IOC(国際オリンピック委員会)っていうのはかなりいろんな問題があって、背の低い日本人とかシナ人とか、とにかく東洋系の人間の方がピンポン強いから、ピンポンの台を少し高くしようと言い出したことがあった。彼らは平気でそういうことをやる。オリンピック種目じゃないけど、F1なんかも、ホンダのエンジンが強いとそれを抑制するためにルールを勝手に変える。だから何も、あんな大男の、白人とか黒人ばかりがスターになる、シナ人だって、とんでもなく大きな男がスターになる、ただ大きいだけなんだから、あんなもの。だったら大きな人間でも通用しないみたいに、腕の力が強くてシュート力のある人間が正確に得点できるみたいに、バスケットのかごをあと50センチ高くしたら良いと思いますよ。それなら私はファンになるけどね。ということ。どうぞ。

【記者】今、第三極の新党づくりについて、今ある議員の思惑を束ねるのは大変だという趣旨の事をおっしゃられましたが、立ち上がれ(日本)の平沼(赳夫)さんや亀井静香さんとこれまでお話し合いされているような、石原知事を党首とするような新党構想については現時点での見通しはいかがでしょうか。

【知事】見通し? そんなもの亀井に聞いてくれよ。私はそれについて自分でしゃべったことはありませんから、今まで。
  僕は第三極ができたらいいと思っていますよ。だけど、やっぱり政界全体を大きくシャッフルするような、民主党の顔ぶれを見ても同床異夢だし、自民党の中にもかなり異質な考え方を持ってる人がいるみたいだけど、特に民主党は同床異夢でしょうな。小沢一郎という人が金力に任せて集めたあの集団をこれからどういうふうにシャッフルして行くかというのは、民主党そのものの責任だと思うけども。いずれにしろ、今のままの政党のあり方で国民は誰も満足していないし、非常に大きな危惧を抱いていると思います。どうぞ。

【記者】新党話が続いて恐縮なんですけれども、橋下さんとの会談の中で、事実関係として新党話が話題になったのかどうかと。

【知事】全然していない。

【記者】全くされてらっしゃらない。で、橋下さんをご覧になって、彼のどういうところに一番魅力を感じてらっしゃるか教えていただけますでしょうか。

【知事】彼は肝心なことが何か分かっているんだよね。僕が一番嬉しいのは、東京がやって成功した、良いことを彼が全部真似してくれるということですよ。これは私たちがやってきたことだし、無駄じゃなかったし、彼みたいな才能がある政治家がそれをクオリファイ(認定)してくれたと思っている。そういう点で私は、非常に彼の存在をありがたいと思っていますよ。そういうこと。どうぞ。

【記者】石原新党のお話が出てから、報道もいろいろ盛り上がっているわけですけれども。

【知事】盛り上がってないだろう。

【記者】知事の公式の発言を伺いますと、一時はいくらでも協力しますよというお話を答えられてたかと思うんですが、最近は一歩受け身になられたというか、そういう印象を受けるんですが。

【知事】それはあなたの印象でね、私の基本的な心構えは別に変わっていませんけど、それを人に言ったことはありませんから。

【記者】今度の訪米途中で新党について何か発表するのではないかという一部報道もあるんですが。

【知事】じゃあ、あなたワシントンにいらっしゃいよ。自分の耳で聞き出したら良いじゃないか。

【記者】これまで慎重な発言をされてきた平沼さんも、4月にはいろんな動きが出てくるんじゃないかとテレビでもおっしゃっているんですけれども、知事も3月は忙しいんだというお話で…。

【知事】3月は予算の議会がありましたから、やっぱり大事な月ですから。4月になって別にそんな暇になるわけじゃないだろうけども。

【記者】なるほど。あまり変わらないということですか。

【知事】何が変わらない?

【記者】忙しさというか。4月に向けて新党への取り組みを何か活発にしようという事は。

【知事】桜も見に行かなくちゃいけないしな。忙しいよ、いろいろ。どうぞ。

【記者】ベルリンが国際空港になって、直行便ができるようになり、今、日本からドイツへ行くお客さんがすごく増えています。それはバイオマス、ドイツは原発を容認してませんので、それへの見学が多いという事なんでしょうか。

【知事】それだけじゃないんじゃないですか。

【記者】主張には全面的に私も賛同するんですが、原発容認という点では再考の余地は無いですか。

【知事】私が言っているのは、国家というもの、政府というものが国全体を預かっているんだから、これから例えば10年の間に何%経済成長する、そのためにこういう事を設けてやる、そのためにどれだけエネルギーが要るか、そのエネルギーを、原発を含めて、あるいはほかの方法を含めてどうやって担保するかというシミュレーションも無しに、ただ原発が怖いとか怖くないとか、そんな事で賛成か反対といったって、結局ただのセンチメントだけで物を決めて、後で吠え面をかくんじゃないですか。
  だから私は、政府だけの主張ではないかも知れないけれど、専門家が集まって政府を動かして、長期でも中期でもタイムスパンを決めて、その間どれだけの経済成長をするか、そのためにどういうエネルギーが何%必要かという事を、そのためにどうやって電力を担保するかという事を決めなかったら、物事の賛否なんて言えないんじゃないですか軽々に、ということですよ。
  はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)