石原知事記者会見

平成24年7月5日更新

石原知事定例記者会見録

2012年6月28日(木曜)
15時00分〜15時25分

知事冒頭発言

1 インフラファンドの運営事業者決定について

【知事】冒頭私から1つ。
 官民連携のインフラファンドの運営事業者の決定をいたしました。首都圏での電力の安定供給に貢献するために、内外の民間資金を活用して、官民連携のインフラファンドを立ち上げる事を昨年末に発表しましたが、本日、公募していたファンド運営事業者を決定しました。事業者は2つで、中規模の火力発電所への投資、経営に実績があって、みずほ証券の傘下の企業であります、株式会社IDIインフラストラクチャーズ、もう一つは、小型分散型の発電や太陽光発電などを手掛けて投資運用にも高い技術を有している、スパークス・アセット・マネジメント株式会社を、それぞれ選定しました。
 公募期間中には多くの民間企業者から、非常にたくさんの問い合わせがありまして、事業者の関心も非常に高かったと聞いてますが、金融や法律、会計等の専門家の力も借りまして、あらゆる角度からの技術的検討を重ねて、評価の高かったこの2つの事業者を選定しました。今後、200億円規模のファンドを2つ立ち上げる事になりますけれども、金融機関からの融資なども合わせて2,000億円規模、10万キロワット級のガス・火力発電所ならば、20カ所程度のスケールで投融資が可能となります。
 現在の投資対象としては、首都圏の火力発電所や、全国の太陽光など再生可能エネルギーをはじめ、スマートグリッドをも視野に入れた幅広い分野を想定しております。このファンドを創設する事で、電力供給能力の底上げや新電力の育成を図るとともに、まだ国が見出していない、社会資本整備のための新しい資金循環の仕組みの構築に道筋を付けていきたいと思っております。詳細は知事本局に聞いてください。
 これはとても大事な試みだと思いますよ。世の中は、景気は良くないけど実は金がだぶついているのでね。それが有効に動いてない。むしろこういうものに、東京のこれからのインフラ整備の可能性というものを加えていくと、むしろ外国のファンドなんかの方が関心を持っていて、いろんな事を言って来てますけども、いちいち何も外国にリファーする(任せる)事はないし、そのうちにはその力も組み込んでやったら良いと思いますが。例えば、東京の橋ね。由緒のある言問とか、いろいろ有りますな、昔からの。ああいう橋なんかも大分古くなって来て、これからどういう形で補強し、なかなかデザインの良いのもあるから、残すか或いは新規に造るか、そういった事を考えなくちゃいけない時期に来てますけども、そういった時も、何も東京のいちいち税収だけで賄う必要は無くて、こういうファンドを作る事でいろんな事業は新規に展開していくと思いますし。これも私、前から言ってる事なんですけど、例えばこの間の東北の東日本大震災の後の復旧なども、こういう事を勘案してやっていくと、随分被災地の県も助かると思うんだけど、そういう事をサジェスチョン(提案)しても今ちょっとその辺に取り組む余裕も無いでしょうし、国がこういう事をとっても嫌がる。何と言うのか、手前ら1人で何でも仕切って恩を被せようと思ってるけど、能力がないくせに、国の役人っていうのはこういうものを嫌う。そういうものをあっせんするのが、私は国の仕事の一つと思いますけどね。
 という事で、質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】冒頭のご発言に関連して1点伺えればと思います。インフラファンドによって、東京電力に次ぐというか、東京電力とは違う電力供給、発電所を整備されるという事は、いわゆる東京電力とゆくゆくは競争できるような電力事業者を育てていく方が、東京であり、都民のためになると、そういうお考えという事でございましょうか。

【知事】それほど大きなものを今さら東京に新規に造っていくという、まだそれほどの力も有りませんが、東電が実質的に国有化されてしまった後、営業の実質も変わって来るでしょう、実態も。
 世の中は今原発騒ぎで右往左往してますが、これがどういう結論になって行くかというこれからの問題でしょうけども、やっぱり出来るだけの自給自足をしたいなと思って、天然ガスを使った発電所というものを想定してますけども、これがどういう形で大きく育って行くか、これから東京の問題だけじゃなしに、東電の傘下というか東電の供給を受けてる首都圏の他の県なんかも一緒に考えて、一種の広域行政の一つとしてやって行けたらなと思ってます。
 どうぞ。

【記者】漫画やアニメの性描写を規制する改正条例が施行されて、来月で1年になりますけれども、導入時はいろいろ物議を醸した条例だったと思うんですが、今のところ新しい基準による適用っていうのはまだ出てないんですけれども、そのことについて知事の考えを。

【知事】この間もその事で調べさせましたが、私達がこういうものはやっぱり好ましくないというような、近親相姦とか、小学校の先生が自分の教え子と同棲するみたいな、ああいう非現実な、非常にえげつない内容の出版物は出回ってないと思いますし。業界が自粛したというか、良識というものを踏まえて物をつくり出してくれているので、結果として安心してます。

【記者】出版界の中では、そういう新たな規制に引っかかっていないという事で、既存の条例でも十分対応出来てたんじゃないかっていうような意見もあるようなんですけど。

【知事】全然違うね。対応出来てないから条例を作ったのでね。そういうものが無きに等しいというか、無いに越したことはないのでね。やっぱり出版物を作る、或いは物を書く作家たちの良識の問題ですよ。売れれば良いっていうような問題じゃないと思うんだけどね。じゃあ手前の子供たちにそれ見せられるかって言ったら、見せられないでしょう。
 どうぞ。

【記者】東京電力の株主総会の件で伺いたいと思います。東京都の提案は否決されましたが、他の一般株主の提案の賛成率が1けた台だったのに対して、東京電力に対する都の提案は21%と、ある程度の支持を得たと思います。これまでの東電のやり取りをオープンにしてきた結果だと思うんですけれども、知事はどのようにお考えでしょうか。

【知事】これは猪瀬さんが頑張ってくれて、なかなか微に入り細にわたり、調べるものを調べて、相手にしてみればぐうの音も出ないんじゃないの。慶応病院の隣に構えてる病院なんか、かつては郵政省なんかの関係の病院もあって、それ、開放させたんですよ、私の選挙区で。あの東電の病院っていうのは百何十床あって、入院してる人が二十数人しかいなくて、それで一般のお客診ないんでしょう。普通の人を診ないんですよね。例えばあそこの病院に救急で運び込まれて手当てしてくれるかどうか分からんけど、東電関係者しか診ないって、そんな病院がほとんど無駄に近い存在であるっていう事の合理化っていうのはやっぱりしなかったら、値上げの問題なんかあったら顔向け出来ない、ユーザーに対して東電は。
 私は非常に、猪瀬さんは強烈なパンチを放ってくれたと思うし、メディアだって知らない事を、あなた方が知らない事を、東京都はちゃんと東電に文句を言ったんだから。こんなものは本当はメディアの諸君がやる事だよ。しっかりしろよ。
 はい、どうぞ。

【記者】東日本大震災の被災地からのがれきの受け入れの事でお伺いします。実は東京都が初めて受け入れを表明した岩手県宮古市のがれきなんですけれども、本日をもって1万7000トン余りのがれきの受け入れが完了することになりました。その見通しで、今、現地で取材をしております。
 宮古市の市長さんからは、東京都の担当者に感謝の言葉が伝えられるやに聞いてるんですが、この間、日本全国では、なかなかがれきの処理進まなかったという現状ありますけれども、今回の宮古のがれきの受け入れが終了する事に合わせて、ご感想をいただければと思うんですけど。

【知事】それはやるべき事をやっただけの事でね。相身互い身で、こういう時期にそんなものは一々評価してもらう事は無いし、当然やることを、私たち同じ日本人同士を助け合うっていう事をやっただけの事で、別に特段に思って、…ただ感謝というのはとってもありがたい事だと思います。これからも引き受けますよ、どんどん。

【記者】ただ、なかなか、全国的には、一部、心配なさる市民の声もあって、受け入れに躊躇している自治体もまだまだある訳ですけれども、この現状、再びちょっとご感想をお伺いしたいんですけど。

【知事】いや、だから、東京が引き受けてるがれきも、その出荷の時、受け入れた時、それから焼却する時、3段階で調べてる訳で。問題は放射能なんでしょう。放射能の被曝をしてない地域からのがれきだけ引き受けているので、申し訳ない、福島県の問題だったら、ちょっとまたこちらの態度も違って来ると思いますよ。相当慎重にこういったものを審査しないと。
 だから国が責任持って検査を、3段階もチェックしたものを受け入れない自治体が、私、おかしいと思う。そこの首長が何者か知らんけど、もうちょっとしっかりしろと言ってよ、あなた方が。メディアの力で動かしてくれよ、そういうの。
 何のために、反対のための反対と言うけど、そりゃ住民たちは、十把一からげで、福島、宮城、岩手、東北の大被災地だから、同じようにどこもかしこも放射線でやられてるんだと思うけど、そうじゃない訳でしょう。そうじゃない地域のがれきを選んで、私は引き受けてるんで、これは福島県のがれきになったら、また問題は違ってくると思いましてですね、国は国でチェックの手段ってもうちょっと考えないと、この処理は、私はただ地方自治体が引き受けて焼却するって事じゃ済まないと思います。
 どうぞ。

【記者】尖閣諸島問題について伺います。今週の月曜日、火曜日と、東京都の尖閣担当の部長、課長が石垣市のほうに行かれまして、いろいろ協議をされたようなんですけれども、活用策について協議したと思うんですけども、尖閣諸島のですね。この協議の進捗状況、及び購入に向けての道筋の今の状況を教えていただければ。

【知事】それはあなた方が調べなさいよ、そんなもの。
 私も何度か行きましたし、大分昔ですけど、上陸した事もありますが、南小島、北小島の間の平たい岩盤があるんですよ。これは、潮が引いた時は1メートルくらい出るのかな。潮が高まって来ると水没する事はありますが、あの西側の方にテトラ積んだら波が被らなくなる。
 日本の工法というのは非常に進んでいまして、あそこに、あそこで密猟をしている支那の船や台湾の船、そういった船は距離が遠いから大きなトン数の船が来るんだけども、肝心の石垣市の漁民達があそこへ行こうと思うと、石垣の漁船というのは小さいんですよ。それは近海のための遊漁船みたいなものですから、それがやっぱり、嵐が来ると耐えられない。その時のための船溜まりは、私、わりと簡単に出来ると思います。
 そういったものも、これから石垣市と協議しながら実際に手付けて行こうと。本当はこれは国がやるべき事だ。だから、国がやらないなら、東京が当分引き受けてやりますけど。
 実効支配、実効支配ってシナは言ってるけど、実効支配し切れないような気象条件もある訳で、特に肝心の同じ県の漁民たちが行けずに、外国の船が大きいからあそこで勝手な事を罷り通ってするっていうのは、これはおかしな話で、そういったものを覆すようなインフラの整備っていうのはしなくちゃいけないと思ってます。
 それから1つ言うけども、丹羽っていう馬鹿みたいな大使が、私、なお驚いたんだけど、日本は中国の属国として行く方が幸せだと言ってるんだね。将来は、大中華圏、そのシナの世界支配、ま、世界支配って言うかどうか分からない、とにかくこの版図を広げた、大シナ帝国の中に組み入れられるだろうと。
 こういう事を日本の大使が言うのかね。昔ならこれ、本当に酷い目に遇ってたぜ。メディアもこれを許してるのはおかしいね。日本を代表する、場合によっては総理大臣の代わりもする訳だ、大使っていうのは全権大使だから。それが日本は支那の属国で栄えたほうが良いとか幸せだとか、そのうち中国の大版図の中の一部になるだろうって事を、これ、本当に伊藤忠の商人の、あそこの、どんな会社か知らないけど、そこの社長した、本当に何か卑しい商人の商人根性から出た言葉でね、こんな者を私は日本の大使にすべきじゃないと思いますがね。一向に日本のメディアから批判が上がってこない。あなた方はよっぽどシナが怖いのかね。しっかりしてくれよ、ほんとに日本のメディアも。
 どうぞ。

【記者】先週は大阪での講演お疲れ様でした。それに関することで聞きたいんですが、その前に尖閣のことで1点確認なんですけれども、今、知事、上陸した事もあるとおっしゃったようにも聞こえたんですが、それはそうなんですか。

【知事】はい。大分前に行きましたね。30代のころ、ダイビングに行って。

【記者】で、島に、魚釣島に、例えば上陸。

【知事】しましたよ。非常に峻険な地形の島ですな。

【記者】それは何かお仲間というか。

【知事】そうです。ダイビングの仲間と行ったついでに。

【記者】わかりました。
 大阪の件なんですが、5月の下旬に会見で、知事が大阪は大阪の会、東京は東京維新の会、で、ゆくゆく日本の維新の会というような事を踏まえて、6月には大阪とも話して、具体的メッセージを発したいという風にお話しされてたんですが、6月ももうそろそろ終わりに近付いてます。これ、シンガポールなどで、何か具体的なメッセージ、発せられると期待して良いものでしょうか。

【知事】あまり期待しないほうが良いね。

【記者】大阪と、お話自体は出来た。

【知事】しました。いちいちあなたにしゃべることも無いし、政局だって動いてるし、橋下君と私の考え方の違いがあるし。ただ、一番大事な共通項は、この中央集権というか、隅々まで地方を国家の官僚が支配する、こういう体制はぶっ壊さなきゃ駄目だという点の大きな共通項がある訳だから、ということですよ。

【記者】講演の中では、政治塾をやる、東京でも政治塾をやるというようなお話をされてたという事ですが。

【知事】もうやってますよ、それは。平沼(赳夫)君なんかと一緒に。

【記者】先週の会見でも、かけはし塾という既に立派なものがあるので、これを拡大していくというお話でした。橋下市長は、こちらの塾のほうに来てくれるのでしょうか。どうでしょうか、その辺の考えは。

【知事】それは確かめなかったな。向こうも忙しいだろうし。

【記者】私の方で、実は先週ちょっと市長に聞いてみたんですが。平沼さんがやっていらっしゃる、かけはし塾が拡大という形だと、それはやっぱり、かけはし塾という事で、ちょっとそこに講師としては行けないという風な話もしていたんですが。

【知事】向こうは向こうの考え方があるでしょうし、こちらはこちらのアクセプタンス(受け入れ)の作り方があるだろうから、これから先の話じゃないですか。あんなこと言って、別に、動こうとしているのに水ぶっかけなくてもいいよ。
 はい、ほかに。どうぞ。

【記者】先ほどの関連でもう1点なんですけれども、一方で東京都議会の議員の皆さん、7人が集団漁業活動に同行する形で尖閣諸島の調査に行かれました。私も含めて、メディアも数社同行しまして、先ほど知事がおっしゃられた北小島と南小島の間なんかの調査もしたんですけれども、都議会からもこういった調査の動きが出てきた事に対してどう思われますでしょうか。

【知事】これはやっぱり最後に都議会に決めてもらう事ですから。都議会の諸君が、国家に関る案件というのを、東京の裁断で是か非が決まるという自覚を持っていらっしゃるので、これは、どういう人が行ったか分かりませんが、本会議なんかの質問とか見てると、むしろ民主党のほうが非常に積極的な感じがしたけども、これはとってもありがたい事ですね。都議会の有志が都議会を代表して現地を視察し、実感として現場を捉えて来るという事は、政治家としての最低必要条件だと思うし、非常に私はありがたいと思ってます。
 どうぞ。

【記者】知事のあまり関心が無い分野かも知れませんけど、上野動物園のパンダのシンシンが。

【知事】あんまり、関係無いな。

【記者】妊娠の兆候という事がニュースになりまして、尖閣問題なんかで中国との摩擦がある中で、これは1つの明るいニュースという側面もあるかと思うんですけれども、知事のご感想は如何でしょうか。

【知事】無いね。子供生まれたら返すんだろう。せめて名前、センセンとカクカクと付けてやったら良いじゃないか。向こう、そうすると、パンダに関しては実効支配できるわけだから。
 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)