石原知事記者会見

平成24年9月14日更新

石原知事定例記者会見録

石原知事記者会見
2012年9月11日(火曜)
15時45分〜16時20分

知事冒頭発言

【知事】皆さん、お聞きになっていると思いますけども、政府が、地権者の合意を得て尖閣を買い取ることになったようでありますが、先般も官房長官が会見して明言したそうですけども。
 私もこの問題について、これはもともと国がすべきことでありますから、何であろうと、最終的には国にバトンタッチをするつもりでいました。ただ、結果として最初から国がこれを購入したというのは、結構なようで、ちょっと私は不本意なところもある。

 何度か、補佐官の長島君、これは私の息子の、昔、秘書官していたんですけども、これが民主党から議員になったんですが、彼が往復していろんなメッセージを伝えてきましたけども、そんなもので埒が明かないので、数週間前に、差しで話しても後で言った言わないってことになるから、野田総理と非常に親しいという、たちあがれ日本の園田君を立ち会いにして官邸で会いました。その時に、私、いつでも全ての協力をするけども、やっぱり国が最低のインフラの整備だけはして欲しいと言いました。
 それは例えば、この間も調査団が行って島の間近から島の映像を撮って映ってましたが、ヤギがばっこして、これが島の緑を食べて、だけじゃなしに、食べ物が少ないから、野鳥の卵とか雛まで食べているっていう。これは、同じような現象が実は小笠原の聟島(むこじま)でもあって、都は思い切って手を出して、ヤギを全部征伐したんですが、同じように八丈小島でもこのヤギが、あそこは人がいたんですけど、撤去したもんですから、ヤギがやっぱり増えて、もうこれは非常に急峻な島ですけども、緑を食べ尽くして、今度砂を崩すということで、非常に磯が荒れて漁師が困っていた。これは私が町長にも言って解決したんですけども、このヤギを放っておくとますます増えて、あの島、本当に荒廃して、岩だらけの島にしかなりませんよ。

 それから、これは最も大事なことだけども、あの豊穣な漁場で漁をしている石垣島の零細な漁民というのは、これ、船がせいぜい5、6トンでね。大きくて向こうの壁からこれぐらいの所しかない、1人か2人で操業している船なんだ。で、それと対抗して、あそこで乱獲している台湾やシナの漁船っていうのはもっと大きくて、数十トンある。この部屋の半分以上あるような、そういう船です。ですから時化(しけ)が来たときに、私もヨット乗りですからそういう経験、随分しましたが、これ、船を支えるっていうんですけど、風に向かって微速前進しながらシーアンカーを流して、言ってみるとヘリコプターのホバリングのように、嵐を過ごすまで船を風に向かって進ませながら、特に島陰で、船を支えるっていうんですけど、嵐の過ぎるのを待つ。台湾やシナの船は大きいからそれができますが、石垣の零細な漁船ってのは、そこで船を支えてホバリングしてると帰る燃料が無くなっちゃうんですよ。ですからあの豊穣な漁場で、零細な漁民達が自分の国の、自分の県の漁場で十分に漁をできるために、せめて船がその間入って、岸から船を繋いで一晩なら一晩、過ごす船だまり、港とは言わない、船だまりをつくってほしい。

 それから、かつて青年社がつくった灯台も、かつては船着き場の近くで、非常に便利な所にしか無いんですけども、これ、やっぱりあんまり目立たないんでね、せめて島の頂上なり東の端に、ちゃんと灯台をつくって欲しい。
 それから、漁業無線は非常に力がないので、150キロ以上離れた尖閣まで石垣の漁船が行くと、緊急のときに無線が届かない。だから、無線の中継地をつくってくれよと言ったんですが、野田君は「考えさせてください」。「何で考えるんだ。君、それぐらいのことはできるじゃないか」と、「誰がどう言うか知らんけど、日本の国民が喜ぶので、やったらどうなんだ」と言ったら、「とにかく1週間待ってくれ」って。待ちました。返事が来ないんだ。さらに1週間、来なかった。で、どうなってるのかなと、間をとった園田代議士に聞かせたら、週明けまで待ってくれということで、待っていたら突然、月曜日に新聞の発表があって、政府のリークがあってね。正式には今日の官房長官の発表で事が決着したようですけど。

 その前々日でしたかな、私、栗原さんという地権者に会いました。その間を取り持った山東昭子参議院議員と、この問題に関心持っている自民党とも話し、あと自民党にも何とかしろって言って、基本的には合意してくれた幹事長の私の息子もこの問題に関心があったので、前も4人で会ったことがありますけど、彼も来まして、そこで栗原さんの話を聞いたんですが。伸晃がちょっと遅れて来る前に私が入って行ったら、山東さんと向こうの地権者と番頭がいましたが、いきなりテーブルに手をついて、「許してください。申し訳ありません」って言った。「何ですか」と言ったら、「いや」って言うから、「もう一人来るから、伸晃が来てから3人で話、聞こう」と言ったら、来ました。それで、また彼がテーブルに額をつけて、平身低頭して「申し訳ありません。許してください」って言うから、「何を許すのかね」って言ったら、「国に売りました」。「はあ。いつ売ったの」と訊いたら、「さっき売りました」と言った。「ついさっき」と。発表ではどういうことになったんですかな。国がもう既に買ったんでしょうね。ただ、閣議決定をして決めたそうですが。

 それで価格も、20億5000万ということだった。私、この間、彼が平身低頭で謝る前に会ったときは、幾らかかるのか知らんが、そっちではっきり指し値をして欲しいと言ったら、まあ、20億ということを巷間、言われておりますけども、これは、山東さんの非常に親しい、不動産と金融の専門家のある人物が栗原さんの所の財政状況を調べて、憶測して、二重の抵当に入っている、根抵当に入っている部分もあったりするんで、そこに価格が幾らになっているか分からんけども、「おそらく20億ぐらいじゃないんでしょうかね、昔の要求する額が」と言っていたんですが、それがどういう形で流れたか知りませんけども。
 で、前々回、会ったときに、私は「一体、幾らなら東京都に譲ってくれるんですか」と言ったら、「20億と言われてますけど、3000万円乗せてほしい」と。手数料とか、いろいろ経費がかかったって言ったな、何の経費か知らん。で、「あ、そうですか。分かりました。じゃ、それも算段しましょう。考えましょう」と言ったら、結局、結果としては20億5000万という値段で国が購入したようですけどね。
 官房長官のこれ、面白いんだね、今日のその談話で、この「市場性を有していない対象物の価値を、再調達費用から把握する手法によって算定することとし、専門家からこの方法によって20.5億の価値が示された」。で、これはもっと具体的に言うと、「具体的には、沖縄県における国の埋め立て事業の事例をもとに設定した埋め立て価格、単価によって、島を再生すると仮定して、この値段が出た」。あの島をつくるのかね、埋め立てして。これ、20億5000万でできますかね。ということですわ。

 でね、残念なことは、地主がどういう思惑で売ったのか知りませんけども、彼は最初は私に、「漁民を救うために最低のインフラをつくってほしい」と言ってました。ところが、前々回会ったときに、突然、「古賀さんからこれを購入したときに、あんまり島に手をつけないでくれって実は言われたんです」って言うから、「それは君、初めて聞く話だな」と言ったら、いや、って言って口を濁してた。
 で、あの島一帯、40年以上前の話ですな。で、私達が、青嵐会がある拠金をして、するつもりで、もとの所有者の古賀未亡人に私が会いに行ったときに、残念ながらつい最近売りましたと。それで、栗原さんに、私は島の一部で良いから私たちが守るんで、売ってほしいと言ったら、一切政治家に会わないということだったけども、不思議な縁で、私の父親が、全盛期の小樽の支店長をしてるときの次長にいた上野山さんていう、この人は戦後ですぐ亡くなったんですけど、その人の未亡人が、私の母の所へよく来てたんですけども、その話をしたんですな、母親が。そしたら、「栗原さんのおばあちゃん、私、お茶の親友なので、石原さんが困ってるんだったらいつでも紹介しますので、私、紹介したい」って、会いました。そしたら、皆さん、お聞き及びかも知らんけども、ものにも書きましたが、戦争中、中島飛行機が新しい軍事工場をつくるというので一方的に土地を接収されて、ただで国から土地を取られた。その後、広大な屋敷に住んでたんですけども、おそらく2、3千坪あったんでしょうね、その自宅の土地を2回の区画整理で取られて、ろくな補償も無かったんで、政治は一切信用しないっていうことで、私達が買ったものは自分で守りますということだった。それはそれで結構で私も引き下がったんですが。
 代が変わっていろいろと財政事情もあったんでしょう。あれを売るという気持ちになったようで、青年会議所でずっと仲間であった山東昭子さんにその相談をしたら、それは仕方がないんじゃないということで。それで、どうするのって言ったら、母親とも縁があるもんだから、石原さんになら相談して売りたいと言ったんで私は、ああ、それは結構な話だし、私もそれは仕事を引き継ぎましょうということで、彼に会いました。ま、こういう経過の中で結局、最後はいろいろ事情もあったんでしょうけども、20億5000万で国が取得することになった。

 40年前に一体、あの人、幾らでこれ買ったんですかね。数千万という噂もあると聞いたら、いや、そんな安い値段じゃない、たしか4億近い云々と言ってましたね。あのころの4億ってお金はかなりのお金でね。それにしても、いろいろ家の財政事情もあったんでしょうけども、結果として20.5億という値段で国が取得した。私、それについて基本的には別に文句を言う筋合いはないんだけども、ただ、何度も確かめても、一切手を付けない、漁民のためのインフラもつくらない、無線の中継基地もつくらない。それで、しげしげ私のところへやってきた長島補佐官に一体だれと相談してるんだって言ったら、なかなか口を濁して話さない。そのうち、私も問い詰めたら、結局、外務省だろって言ったら、ま、そういうことでございますということでね、結局、外務省の言い分が通って、国はさっさと買った方がいい、東京に預けると何が起こるか分からんという判断で、地権者に持ちかけて、こういうことになったわけでありますが。
 私はある筋から、日本の外務省がこの問題についてアメリカの国務省にどういう説明をしているかと聞きました。間違いないことですけど、国が買ったら何もしません。だから、波風は立ちません。東京に預けたら何するか分からないから、これははるかに国が買った方がシナともごたごたせずに、アメリカにも懸念をかけませんから、ご安心くださいということだったようですが。しかし、何もしないということで、国がこれだけの価格で取得して、シナの政府はそれでもけしからんと言ってるんでしょう。

 で、私、残念なのは、ウラジオストックで、シナはシナの政府でなかなかいろんな事情があって大変だと思いますけどね、これ。やっぱり反日デモやってる連中の顔ぶれを見ると、ほとんど中産階級になりそこなった大学出て就職ができない学生、それから、地方から出てきて仕事にあぶれて、田舎にも帰れない元農民、これはアリ族と呼ばれる、あるいは農民のほうは地下に住んでるんで、ネズミ族かな、モグラ族か何か言われてるそうですけど、こういった人達が、非常に怒りを込めたエネルギーを発揮して反日デモをやってるけど、これは本当は、政府にとって非常に厄介な反発エネルギーで、下手をすると、汚職が重なってるし、いろんなスキャンダルが出てる共産党に対する反発になりかねない。ということで、これを逸らすために反日という形が行われているんでしょうが。
 いずれにしろ、とにかく、そういう背景の中でこの間、ウラジオストックで胡錦濤と野田総理が会った。あの写真を見たら残念だね。胡錦濤は胸を反らして睨み付けてるけど、野田は何で視線を伏せるんですかね、あいつの前で。僕ならにやにや笑って「あんた、興奮しなさんなよ、こんなことで」って言ってやるけどね、笑って。あの映像だけでも国民は本当に失望したと思うね、僕は。ということです。

 あのね、結果、残念なことにならんように、私は皆さんからいただいた、あの尖閣のために行われた拠金は、これは大事にしまして、ちゃんと基金を設置して、これは基金に関する条例がありますからそれに則って、これ、ある意味で凍結した形で、政権も変わるでしょう。次の政権までにどういう形になるかわかりませんが、おそらく自民党が第一党になって、それを中心にした政権になると思いますけどね。その政権が具体的に動いてくれるまではこの基金は大事にして、政府が動き出したら、零細な漁民のために、その安全と利益を守るために、あそこに最低限のインフラをつくるという決心をしてくれたら、この、海外からの人もいるんですよ、調べてみたら。その人達からいただいたこのお金を基金としてキープしてて、すぐに一助になるべく政府に渡しますということです。
 私から申し上げることは大体そんなことですけども、質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】今日、中国の方から巡視船が2隻尖閣諸島周辺に来ていたようですけれども、おそらく国有化に向けての反発ではないかと言われるのですが、知事はどのようにこの動きを見ていらっしゃいますでしょうか。

【知事】とにかく、あの島がもともと中国の、シナの領土で、シナの政府にとって核心的な国益であるという主張そのものが荒唐無稽で、こんなものは世間に通りませんよ。だったら、さっさと今の政府がしっかりして、ハーグの国際司法裁判所に提訴したら良いんだ。出て来ないでしょう。今までもなかなか出て来なかったみたいで、提訴しなかった。単独で提訴したら良いんだ。それで問題のあり方っていうものを認識させたら良いんでね。彼らに確信があるんだったら、国際司法裁判所に出てきて堂々と裁判を受けたら良いじゃないですか、ということですよ。
 どうぞ。

【記者】尖閣諸島を購入することは石原知事の考え方で、今、知見されていて、東アジアの平和に影響を与えたことは予想されていらっしゃいますか。

【知事】何ですか。平和。

【記者】平和。そうです。

【知事】これは同じ問題が、フィリピンやベトナムで、南シナ海の小さな島に関してシナとの摩擦があるわけですね。やっぱりああいう荒唐無稽な覇権主義っていうものを私達阻止するためにも、日本だけじゃなしに、この問題に関して一種の被害に遭おうとしているフィリピンやベトナムと1つの連帯っていうものを組む必要があると思うし、それがまたアジア全体に波及して行って、あのシナの妙な覇権主義っていうものを阻止する1つの手立てになると思います。これ、日本単独の問題じゃないという意識で対処すべきだと。
 私はダライ・ラマと非常に親しいんですよ。私はこの国をネパールにしたくないんだ、チベットにしたくないね。ああやってインドに亡命政府をつくって、もとのチベットは完全にシナ化されて、文化も伝統も全部めちゃくちゃになった。信仰まで壊された。こういう覇権主義ってのは、私は世界が許容しないと思いますし、現にその被害に遭いそうになってる、そういう被害に遭おうとしてる、アジアの、フィリピンなりベトナムと、そういうアライアンス(提携)を組むっていうことは大事だと思いますね。
 これは、単に太平洋における海洋の利権の問題だけじゃなくて、インドとかミャンマーとか、これからやっぱりいろんな形で中国とまみえていく国にとっても、大事な試金石になると思いますよ。
 はい、どうぞ。

【記者】江沢民政権の時代に、ロシアに150万平方キロメートルの土地を譲ったことがありまして、今は多分、全体で、概ね400万平方キロメートル、土地を失っている中国の現状は、どうして尖閣諸島にこだわっているのは、それについてどう思いますか。

【知事】その何、江沢民のときに、ロシアに土地を奪われたの。

【記者】奪われたんじゃなくて、密約で向こうに譲った、あげたんですよね。

【知事】もともとダマンスキー島が表象するみたいに、中ソ国境ってのはいろいろ紛争があって、何処が境界線かわかんない所が、これ、非常に膨大な国境線ですからありましたがね。私はその問題について精通してませんし、ま、そこで失ったものを今度は尖閣で取り戻そうってわけでもないだろうし、その問題については確かなご返事はできませんな。

【記者】少し質問、中国共産党政権から尖閣の問題がずっと棚上げされまして、もう60年になりまして、どうして今の時期になってこの問題が強硬な態勢になっていると思いますか。

【知事】それはやっぱり、海底資源に対する関心であるとか、その他この他、技術が進んだ新しい時代の新しいニーズっていうものが背景になって、彼らが突然、荒唐無稽な領有権の主張をし出したんだと思いますけどもね。
 どうぞ。

【記者】今回の一連の尖閣の売買の、国と都の動きですけども、知事は非常に準備をされて、時間を置いて入念にやってこられたと思うんですけれども、国の方は突然国有化っていうのを言い出して、非常に性急に購入まで至ったというふうに思います。で、政府の状況というか、政治的にも安定してない状況の中で、なぜ国がここまで性急に尖閣の購入に走ったというふうに見られますか。

【知事】分からないね。むしろ野田君に聞いてくださいよ。これは何か彼にとっての、将来の選挙も含めての利点になると思ったんだとしたら、私は間違いだと思うね。取得して、零細な漁民のための何もしないという、そんな政府を誰が信用できますか。
 それから、拠金をいただいた方々からたくさん手紙が来てる。私宛てだけじゃなしに山東さん宛てにも来てますけど、「私は民主党の政府に拠金したんじゃない」と、「東京が近い将来、何かの形でやると思ったからあれしたんで、金返せ」っていう人がいますよ。これはちょっと待ってもらってね。次の政権が代わったときに、具体的な動きが出てきたら、そのために役立つようにあれしますけども。
 どうぞ。

【記者】先ほど知事、政権の陰に外務省の影響があるとおっしゃってました。例えば、今後、自民党政権になったとしても外務省の影響ってものは考えられるわけですけども、自民党サイドは知事に対してどのようなお話をされてるんでしょうか。

【知事】ですから、私はそういう自民党に愛想を尽かして辞めたんで、今度の問題もやっぱり、日本の命運を結局、左右しかねない大事な1点だと思いますよ。だったら、私はだから、自民党の総裁候補にもこの間申し上げたように公開質問状を出して、将来この問題をどう扱うってことを聞きますよ。
 はい、どうぞ。

【記者】公開質問状を出されるということですけれども、質問の内容は尖閣諸島の今後の扱いについてのみでしょうか。

【知事】そうです、それは。

【記者】1点のみ。

【知事】はい。
 どうぞ。

【記者】ちょっと複数お願いします。まず、政府から、購入しましたと。同じ交渉していた相手として、都の方に政府から何らか知事の方に説明っていうのはあったんでしょうか。

【知事】ありません。

【記者】未だに何の話もないということですか。

【知事】ありません。それから先般、その地権者に会ったときに、いきなりテーブルに頭をついて謝られて、地権者が言うんだ、間違いない。さっき売りましたって言うんだから売ったんでしょうな。私は憶測するけど、長島君は私の自宅まで来て、いろいろ説明にならない説明、釈明にならない釈明したとき、彼は本当にかわいそうな立場だと思うんですが、私はあのときにはもう決まってたと思いますよ、憶測すると。で、正式な発表は今日あったんでしょうけどね。
 しかし、あの島を埋め立てしてつくり直すための費用っていうのは20億でできるのかね。これも何か、苦しい苦しい釈明というか、あの価格設定っていうのは僕、よく分からないね。
 はい。

【記者】次の質問なんですけど、先ほど、今、集まっている寄附金に関しては、基金にしたいと。これは都議会の方にそういう条例をかけるという、条例なり、条例案の提案をするということでしょうか。

【知事】いや、私達は、別にこれは税収じゃありませんから。私が言い出したことに、めいめいの方々から集まったお金ですから、これは別に東京に対する寄附じゃありませんよ。ですから性格が違うと思うんですね。これはもちろん都議会に報告しますけど。これを基金にすることに、私はいかなる人が反対する理由もないと思いますが。じゃ、どうしたらいいんですか。

【記者】寄附金口座が開いているわけなんですが、それは引き続きということなんでしょうか。それとも一旦…。

【知事】それは引き続きですね。別に打ち切ることないですから。将来もっと確かなお金が集まって、次の政権がこれを活用して立派なものをつくるんだったら、1円でも多く、ものが集まってるというのは、政府の足しになると思います。
 どうぞ。

【記者】昨年暮れ頃からの一連の交渉の中で振り返っていただきたいんですが、先ほど知事おっしゃったように、不本意で残念な結果になられたということですが、一時は知事も大分自信を持って、私にしか売らないというふうなことを地権者が言っているというお話もありました。

【知事】それは再三言いましたな。私との信義とか友情とか言ってもらって、大変うれしいと思ったけども、いきなり低頭して、テーブルに頭つけて謝られても、何かやっぱり釈然としない感じはしますな。

【記者】この交渉の中で、ご自身として、もう少しこうしていればとか、発表の時期、4月に発表はされましたけれども、もう少しこうしていれば、こういうふうに進めていれば、もしかしたら結果が変わっていたのではないかというふうに思われる部分はありますでしょうか。

【知事】結果がどう変わってたか。

【記者】東京都の方で購入できるというふうに。

【知事】分かりませんね、私は相手の誠意を、言葉も信じてやってきましたから。土壇場でうっちゃり食ったって感じだね。

【記者】前々回お会いしたとき、栗原さんにお会いしたときに、20億3000万というお話があったということですが、それに対して知事はそのときどういうふうに答えられたんですか。

【知事】ああ、分かりましたって。それはどうしても必要なんで、その再確認をしなくちゃいけないと思ってましたし。だからこれからもキャンペーンをして、できればですが、都は、都自身のお金を出資せずに、国民の総意でそれを買うぐらいのやっぱり拠金を集めたいなと思ってました。まあ、その自信もありました。

【記者】ただ、東京都としては、都が買うということになれば、当然、財産価格審議会の承認を経て、そこで鑑定された結果を超える金額については出せないという仕組みになっているんですが、この辺についてはどういうふうにお考え…。

【知事】これはやってみなきゃ分からないね。政治係数の問題もあるでしょうし。単なる売買の問題じゃなくて、国家の命運もかかっている問題ですから、それを審議会がどういうふうに評価するか分かりませんけれども、これはやってみなきゃ分からないことじゃないですか。
 どうぞ。

【記者】2、3日前、大阪維新の会の方にメールを送ったんですけれども、今の尖閣問題で、竹島だとか北方領土だとか、日本の取り巻く領土問題というのは、何か、大変火がついたような感じで、中国との衝突、尖閣をめぐる紛争というのは必至だと思うんです。
 それで、この大きな領土問題から日本を救うには、大阪維新の会が道州制を言っておられるんで、やはり終戦直後のように、琉球という感じで、奄美と沖縄は米領に復活、米信託統治領にした方が良いんじゃないかというふうな案を出したんですけれども。

【知事】誰が。君が。

【記者】はい。

【知事】君は何人だね。

【記者】私は、二、三代前までは琉球人です。

【知事】今は何人だよ、国籍は。

【記者】今は、残念ながら同化政策で日本の国籍を取っておりますが、子供と孫はアメリカ人です。

【知事】ああ、かなり違う日本人だね。君の言うことは全く通じないよ。早くこの国から出て行った方が良いんじゃないか、馬鹿なこと言うんだったら。
 はい、どうぞ。

【記者】知事が直近で地権者とお会いになったときに、地権者からは、なぜ東京都ではなくて政府に売ることになったという説明はあったんでしょうか。

【知事】ありません。一切ありません。ただ、ただ、平謝りに謝られました。

【記者】先ほど、値段のことがありましたけれども、その2000万の違いが政府に売るとなった決断になったとお考えでしょうか。

【知事】さあ、それは分からないね。栗原当人に聞いてくださいよ、あなたの方で。私が聞く筋じゃないじゃないですか。売っちゃいましたって言って謝られたら、それは別に、値段については私は云々する筋でもないでしょう。

【記者】9月1日に東京都が尖閣の調査に行きましたけれども、そのときに得られた情報というのは非常に貴重な情報だと思うんですが、これについては今後どのようにしたいというふうに知事は。

【知事】これはやっぱり世間にどんどんリリースして、何て言ったって映像の力というのは非常にありますからね。皆があの映像の報道を見て、尖閣っていうのはこんなに美しい島か、こんなに魅力のある島か、こんなにヤギがいるのかという認識を持たれたんで、私は大変結構だと思いますな、それは。

【記者】例えば、国にこの情報を渡すという。

【知事】だから、野田君が自分で見たら良いんだよ、その映像を。
 はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)