〜東京ビッグトーク〜石原知事と議論する会

平成19年2月26日更新

「楽しくみんなで!東京大マラソン祭り」
平成18年度第2回「〜東京ビッグトーク〜石原知事と議論する会」


議事概要

テーマ

「楽しくみんなで!東京大マラソン祭り」

日時

平成19年1月31日(水) 13時から14時30分まで

場所

都庁大会議場(新宿区西新宿2−8−1 都庁第一本庁舎5階)

出席者(敬称略)

写真:石原知事と議論する会の様子石原慎太郎 東京都知事

◆コメンテーター
 小出 義雄(佐倉アスリート倶楽部株式会社代表)
 谷川 真理(マラソンランナー)
 浅草キッド(タレント)

◆コーディネーター
 中井 美穂(アナウンサー)


発言要旨

 以下は、出席者の発言内容を生活文化局広報広聴部で要約し、取りまとめたものです。
 ※文中、敬称略

○中井(コーディネーター)
 本日のテーマは、「楽しくみんなで!東京大マラソン祭り」。
 2月18日に初めて開催される、東京都心での3万人規模のフルマラソン大会、東京マラソン。国内外のトップランナー、そして市民ランナー、車椅子のランナーもみんな一緒に走ること、東京の観光名所をめぐるコースをとっていることが大きな特徴とされています。コースの沿道では、東京大マラソン祭りとして、マラソン大会の枠にとどまらず、もっと盛り上げて、お祭りにしてしまおうということが企画されています。
 本日のビッグトークでは、マラソンに参加される方、その家族、お友達、ボランティアや沿道の皆様など、このイベントにかかわるすべての方々が楽しめる大会にするためにはどういったことが必要かも含めて、お話を伺いたいと思います。
 まず、石原知事から、東京大マラソン祭りにかける意気込みをお願いします。

○石原知事
 6、7年前、小出監督から、「東京の一番の目抜きの大通り、銀座通りをマラソンランナーに走らせてくれないかな」と言われた。
 これは言うには簡単ですが、交通を遮断するわけですし、歩行者天国は人がガヤガヤいますし。限られた人たちが走るだけではなく、トップアスリートと一緒に一般の人が走れる一種のお祭りみたいなのがいいなと思って、いろいろ考えていたんですけれども、警察とも折り合いがつきました。
 ニューヨークのマラソンも見に行ってきました。ニューヨークはものすごく道が悪いんです。穴ぼこだらけで、怖い。それに比べると、成田から帰ってくる途中はまるでスケートリンクみたいにずっと平らで、日本の道はいいなと思ったんですが、そういうインフラも含めて、かなりのことができるのではないかと思いました。
 この間女子マラソンを見ていると、沿道の人たちはみんな小旗を振るけど、あれだけで芸がないんだね(笑)。もうちょっといろいろなことをやろうじゃない。素人は7時間かかって走るから、途中お腹がすくだろうから、屋台なんか出しちゃえと。それで、焼きとり、おでんで一杯やりながら完走するのもいいんじゃないかなと思っております。
 皆さん、こんなことをやったらどうだというアイデアがあったら、ぜひ言ってください。今年もう間に合わなかったら来年頑張ります。
 ありがたいことに、ランナーだけじゃなくて、ボランティアも予定以上に人が集まったというので、うれしい悲鳴をあげました。きっと成功すると思いますよ。皆さんの熱意が実ると思うので、よろしくお願いいたします。

○中井(コーディネーター)
 小出さんは、東京マラソンの発案者と伺っていますけれども。

○小出(コメンテーター)
 Qちゃん、あの高橋(高橋尚子選手)が優勝してくれたときに、石原知事とお会いする機会ができまして。ニューヨークマラソンとかロンドンとか、大きなマラソンがいろいろありますが、日本には3万人、5万人というマラソンがなかったもので、僕は、東京のど真ん中、このすごいところで、365日のうち1日ぐらい、走る愛好者に道路を貸してくれてもいいんじゃないかなという気持ちがあったんです。1日でいいから、と。それで、大変でしゃばったようですけれども、「頼みますよ、やってくださいよ、みんなで楽しむやつ」と提案したんです。
 東京の銀座、皇居の前、雷門。日本じゅうのお年寄りで、ここを見ないでお亡くなりになる人が多いと思うんですが、子供や孫が走れば、いっぱい、じいちゃん、ばあちゃんも応援に来てくれる。そうすると東京に100億から150億落ちるのかな、儲かったら半分ぐらい福祉に寄附したらどうかななんて、そんな冗談めいたことを考えていたんですよ。じいちゃん、ばあちゃんも「ああ、ここが銀座か」「ここが雷門か」というふうにみんなで喜べるかなって。
 そうしたら、今度、日本陸連と一緒になって、世界に誇れる東京大マラソン祭りができることになって、本当によかった。知事さんじゃないとできないと思った。これを実現できたということ、我々みんな、日本じゅう喜んじゃう。ジョガーが100万人ぐらいいるでしょう。それがみんな喜ぶと思います。

○中井(コーディネーター)
 谷川さんは、今回、東京マラソンに、どうやらお出になるといううわさが…。

○谷川(コメンテーター)
 そうなんです。走らせてもらうことになりまして、非常にうれしいですね。
 今までは、東京国際女子マラソンレベルですと、3時間30分以内の記録を持っていないと走れないということで、ちょっと練習しただけでは走れなかった。そこを今回、東京マラソンでは本当に初心者の方まで走れるということで、すばらしいことだと思います。
 私も今まで、ボストンマラソン、ロンドンマラソン、パリマラソンと、ある程度主要都市のマラソン大会を走らせてもらいましたけれども、そういったところは今回の東京マラソンのように、3万人、4万人規模で、初心者の方も少し練習したら走れるという時間設定になっているので、世界の東京でいつかこういった大会ができないのかなと、ずっと思っていたところです。ランナーだけではなくて、ボランティアの方、沿道で応援される方が、三位一体となって、本当にお祭りのような大会にできるといいと思います。
 また、私の知人も、「東京マラソンに冗談で申し込んだら当たっちゃったのでこれから走る」と言っていて、こういうのがきっかけで走りに入っていく人たちもいます。
 日常生活の中では、皆さん、知らない人から応援されるということはあまりないですよね。だけど、走っているときは、沿道から知らない人が自分を応援してくれるんですよ。だから、普通の世界とは全く違う。
 この東京マラソン、初めて走った人たちが、そういったことも感じてもらえるんじゃないかなと思って、とても楽しみにしています。

○中井(コーディネーター)
 その谷川さんがコーチをして、初マラソンに挑むというのが浅草キッドのお二人。

○浅草キッド・水道橋博士(以後、「博士」)(コメンテーター)
 我々はたけし軍団の中でも虚弱体質で通っている二人で、スポーツというイメージがないと思うので、走るに至った経緯を説明させていただくと、MXテレビで放送されている「Tokyo,Boy」という番組でレギュラーをしているんです。東京都の番組ですから、何度もこのマラソンを取り上げて、出演者とスタッフ全員が走るということでこの企画は始まったんです。が、番組が進むにつれ、テリー伊藤が抜け、松村邦洋が抜け、くじに当たらなかったということを言い訳にしながら走る者が次々と抜けていって、我々も当たらなければよいのになと思ったら、当たっているんですよね、なぜか。必然的に我々二人が残って、まだ一度もフルマラソンを経験したことがないので、今回が初めてということです。番組では、11月に谷川真理さんとともに、5キロ走から始めて。5キロの段階でもうぶっ倒れていました。その後、2か月半ぐらいですかね。

○浅草キッド・玉袋筋太郎(以後、「玉ちゃん」)(コメンテーター)
 そういう未経験な我々が世界2位の人(ケニアのサミー・コリル選手。男子マラソン世界歴代2位)と一緒に走れるというのは、これはやっぱりすごいですよね。

○谷川(コメンテーター)
 お二方、本当にしっかりトレーニングを頑張っているので、とても頼もしく思っています。

○浅草キッド・博士(コメンテーター)
 実は、これにはもうひとつ理由があります。知事から番組の中でビデオレターをいただきまして、「君ら二人が5時間を切れば特別に表彰します」という言葉をいただいたんです(笑)。それが、次のビデオレターで、4時間を切ればに変えると。公約違反ですよ(笑)。初マラソンですから、ここはもう一度5時間ということを公約していただければ。

○石原知事
 何だろうと完走してみろよ。

○浅草キッド・博士(コメンテーター)
 完走はもちろんしますよ。

○浅草キッド・玉ちゃん(コメンテーター)
 本当にマラソンというのは、トレーニングしていく上で、楽しい。5キロが最初だったんですけれども、5キロ走れた自分にものすごく感動するんですよね。次、10キロ走って走れたときに、涙が出てくるんですよね。20キロをこの間やってみたんです。20キロって走ったことなかったんですけど、20キロ一人で走って、最後、東京駅から、家は杉並なんですけれども、走って帰ってきたら、いつも通っている道なんですけど、涙が出てきちゃったんですよね、ボロボロボロと。これはやっぱりすごいなって。

○石原知事
 監督、ランナーズハイというのはそのことですか。

○小出(コメンテーター)
 そうですね。自分ですごく感動するでしょう。自分にもこんなのができたかと、ジーンとくるでしょう。おそらくそれじゃないかな。

○浅草キッド・博士(コメンテーター)
 「自分で自分をほめてやりたい」じゃなくて、石原知事にほめてもらいたい(笑)。

○石原知事
 監督、素人が5時間を切るのは大変なんでしょう。

○小出(コメンテーター)
 そうです。素人、初めて走る人が5時間は、これは難しい。30キロぐらいまでなら誰でも走れるんですよ。特に20キロから25キロぐらいまでは、トコトコ行けるんです。それを過ぎると、けいれんしたり、ひどいのになると、首筋まで詰まって、グーッとかたくなって、足が痛くなって、1回歩いたら走れなくなる。

○浅草キッド・博士(コメンテーター)
 4日前に、自宅まで30キロちょっと走ってみようと思った。今まで順調に言われたとおり練習をこなしていたんですけれども、2時間半ぐらいのところで急に足が止まってそのまま。自分の意思では前へ踏み出しているんですけれども、歩くしかできないんですよ。走れないんです。ふくらはぎから広背筋に至るまでがしびれて、わっ、これなんだと。25キロ地点でそれが出ましたね。

○中井(コーディネーター)
 マラソンって、タイムが伸びてゆくとか、走る距離がわかりやすく増えていくとか、自分の変化が目に見えてわかりやすい競技のひとつですよね。

○谷川(コメンテーター)
 そうですね。ゴルフのホールインワンみたいなまぐれが絶対ない。それだけのトレーニングをちゃんとしておかないと結果を出せない競技で、しかも雨が降ったり風が吹いたりすると、自分がいい状態であっても、自己記録を出せないことになってしまいます。
 だから、少しずつ練習しておくことが非常に大事です。先ほどから話が出ている、30キロ過ぎて足がピタッと止まるというのは、30キロ以降は自分の体の中でいろいろな問題が発生するからです。筋肉的な疲労が起きたり、血糖値が下がってきたり、エネルギー源がなくなってきたりと、自分の気持ちはあるんだけれども、手足が動かなくなってしまう。トップの選手などは、30キロ走、40キロ走という長い距離を、そしてその諸問題が発生してからどれだけ頑張れるかということを、何度も何度も繰り返しトレーニングをすることによって、何とか克服できるんです。
 やはりまだ浅草キッドさんたちは、30キロ以降の厳しい状態になったのは今回初めてで。そういう状態になって、いかに頑張るか。歩いてでも一歩ずつ一歩ずつ前に足を出していけば、とりあえずはゴールに近づく。最後は自分との戦い。絶対頑張るんだという気持ちだけですよね。厳しい競技です。だけど、たった1本のライン、それを越えたときに感動しちゃうんですよ。涙が出て、「頑張ったなあ」と。

○小出(コメンテーター)
 トレーニングしていない人がマラソンをやる場合はどうしたらいいか。あまりゆっくり行っても、かえって足に負担がかかって走れない。あまり飛ばしていっても、後半もたない。目安として、二人で走っているつもりで、軽く話のできるくらいのペースで行ったら、ゴールまで楽しく行けるかな。
 それから、5時間も6時間も走るわけで、相当水分が減りますから、水分補給も大事なんです。全くしないと脱水症状になっちゃう。あまりちょいちょい水を飲むと、腹の中がガバガバになって、1キロぐらい重くなって、走れなくなる。その辺の調整が難しいですね。

○中井(コーディネーター)
 今回のコースは、高低差で言うと、わりと平坦なコース配分ということになっています。男子のほうは、2時間9分30秒を切って、なおかつ日本選手トップでゴールをすれば、ことし夏に大阪で行われる世界陸上に内定が出るということで、一流のトップランナーも参加しますね。

○石原知事
 非常に高低差が少なくて、スタートからフィニッシュまでかなり下がっているんですね。これ以上下がると公式記録にならないんだそうです。そういう点ではランナーにとって、一発いい記録が出るなというひとつの魅力にもなると思います。

○中井(コーディネーター)
 本当ですよね。まず、都庁からスタートして、皇居の前を通って日比谷、そして芝公園から品川を回って浅草に。
 浅草キッドのお二人は、「このコース、すごい楽しみ」とおっしゃっていましたね。

○浅草キッド・玉ちゃん(コメンテーター)
 僕は新宿で生まれたんですけれども、新宿からスタートで、僕が修行していた浅草を通って、最後、お台場に行くという…人生のマイウェイを走れるようで、うれしいんですよね。

○浅草キッド・博士(コメンテーター)
 このコースを何度も僕らはバスで通ったんですけれども、銀座の通りを“銀ブラ”ではなく“銀走り”できるという、あそこは壮観な感じがすると思いますよ。

○浅草キッド・玉ちゃん(コメンテーター)
 これは気持ちいいと思いますよ。本当、選ばれてよかったですよね。10万以上の応募があったわけですから、みんなそこを走りたかったんですよ。

○中井(コーディネーター)
 周りの人の応援などは、ランナーにとってどのぐらい影響を及ぼすものですか。

○谷川(コメンテーター)
 沿道の応援は本当にうれしいですね。

○浅草キッド・博士(コメンテーター)
 我々芸人から言えば、おひねりをもらったり、下町の玉三郎みたいにパッと1万円札をかけてもらったり、そういうことをしていただければ、ますますやる気がわくんですけれども。

○谷川(コメンテーター)
 私は、「がんばれー」というのもうれしいんですけれども、「かっこいい!」とか「美しい!」とか、そういうふうな応援があったりすると、さらにいいですね。豚もおだてりゃ木に登る、じゃないですけどね。
 あと、これはトップのほうに限りますが、例えば、トップ、原選手が走っていて、2番目に加納選手が走っていて、自分は加納選手を応援するとします。加納選手がどんどん追い込んできた。もうすぐ追いつく。前の原選手は加納選手がどこにいるかわからないんですよね、追い上げてきたときに。そうすると、「加納選手頑張れ!」と言ったら、あ、加納選手はすぐ後ろにいるんだと、情報が入っちゃうんです。だから、加納選手を応援したいときは、静かに「頑張れ、頑張れ」と、原選手に情報が入らないように。逆に原選手を応援したい場合は、「加納選手後ろにいるよ」とか。自分がトップのほうを走っているときは、途中、選手は情報がすごく欲しかったりするんですよね。ということで、「後ろが全然来ないよ」と言うと、さらに気持ちよくなって走れたりするんです。あと、「トップと何分差」というのもすごくうれしいですね。ご参考までに。

○石原知事
 私ね、どうも納得いかないんですが、ペースメーカーっているでしょう。あれは、なんかフェアじゃないというか、人為的過ぎて、ちょっと本来の趣旨にもとるんじゃないかという気がするんですけどね。

○小出(コメンテーター)
 世界記録をねらうとか、その大会の新記録をねらうとかいうときに、1キロどのぐらい、5キロ幾つ、10キロ幾つと刻んでいく。やっている人でもペースをつかめないときがあるのでできたと思うんですが、これはいろいろな意見がございまして。
 個人的には、スタートから42キロ、ゴールまでが勝負ですから、その中で自分で判断しながら作戦を練っていくのもひとつの力かなと思いますね。

○石原知事
 谷川さんにお聞きしたいんですけれども、トップランナーが二人で、相手のすぐ後ろを走るというのは楽なんですか。

○谷川(コメンテーター)
 風が強いときは全然違いますよね。向かい風のときは。でも、気持ちとして、自分が後ろにずっといるとすると、フェアじゃないなという気がしてしようがないんです。だから、私は、逆に横に並んで、風、全部私のところにきなさい、負けないよ、みたいな気持ちで走ったりしていますけどね。
 今回のコースは、風がよくわからないですよね。折り返しも2回もありますし。

○中井(コーディネーター)
 品川と浅草とね。

○谷川(コメンテーター)
 キッドさんたちともどこかですれ違うかと思うと、とてもわくわくするんですけど。

○浅草キッド・博士(コメンテーター)
 谷川さんと、最初のスタート地点からゴールまで、一生会わないだろうと思っていたんです。でも、折り返しの地点のどこかで。

○浅草キッド・玉ちゃん(コメンテーター)
 どこら辺で待ち合わせしますか。

○谷川(コメンテーター)
 芝公園あたりで待ち合わせしますか(笑)。

○中井(コーディネーター)
 今回はエリートランナーも走りますけれども、ゲストランナーがまた、女性ランナーは浅井えり子さん、山下佐知子さん、有森裕子さん、山口衛里さん、市橋有里さん、谷川真理さんと、そうそうたるメンバーの皆さんです。

○谷川(コメンテーター)
 バルセロナオリンピックの正選手の、銀メダルの有森選手、そして山下佐知子選手。私は補欠だったんですね、そのとき。だから非常に楽しみですね。
 折り返しのところで一般の方々もトップの選手の走りを見られるので、非常に楽しいんじゃないかなと思います。目の前で見ると、やはり違いますからね。「こんなに違うんだ」と。

○中井(コーディネーター)
 さて、ここで、あらかじめ公募されました都民の方のご意見を伺いたいと思います。
 まず、佐久間深雪さん、お願いいたします。

○佐久間(都民
 こんにちは。私は今、中学2年、中学1年、小学校1年の3人の男の子を育てています。発言の機会をいただき、うれしく思います。自分の立場、自分の言葉でお話しします。ことし始まる東京マラソンが、未来に向けて幅広い世代の多くの人々の心に残る大会になるといいなと思って考えました。
 子供たちと参加する選手が触れ合う機会があったらうれしいです。
 テニスが好きなので、年に1回有明で行われるジャパンオープンを楽しみにしています。昨年のフェデラー選手の来日やおととしのシャラポワ選手の華やかさを記憶されている方もおいででしょう。目の前で練習を見ていると、当たり前のことながら、やっぱりうまいなと感動します。
 東京マラソンでも、世界のトップ選手をはじめ、これからの日本をリードしていくランナーの方々が一堂に会します。子供たちが超一流のアスリートに直に接する機会があったら、どんなにすばらしいでしょう。テレビの中で走っている遠い存在である選手を生身の人間として間近に感じられたら、日常の何かが変わります。また、見方を変えれば、選手の皆さんにも、勝負以外の思い出も持ち帰ってもらいたいのです。
 3万人の中で、月桂樹の栄冠を手にするのは1人です。当日の天候や体調も変わります。それでもまた来年も東京で走りたいと選手の皆さんに思っていただきたいのです。そして、3万人全員が自己ベストを更新するような、そんな大会であってほしいです。
 素人の理想論かもしれませんが、実現するのは、関係者の皆様をはじめ、我々都民です。すばらしい大会になるようお祈りしています。

○石原知事
 おっしゃるとおりで、お子さん、場所を選んで、老いも若きも、下手も上手も走るわけだから、ぜひ沿道で見させてやってください。

○浅草キッド・玉ちゃん(コメンテーター)
 トップアスリートだけじゃなく、芸人もいますからね。触れ合えますよ、芸人ともね(笑)。

○中井(コーディネーター)
 続きまして、猪倉成典さん。猪倉さんはきょうジャージですね。

○猪倉(都民)
 国分寺市から来ました猪倉と申します。
 まず、今回の、東京の目抜き通りを駆け抜ける大会開催、私はこの半世紀以上を生きてきまして、マラソン愛好者として感無量であります。感謝します。
 私は、10キロの部にエントリーして落選しました(笑)。当日は、豊洲駅から有明までの東京マラソン2007スタンプラリーに参加しようと考えております。
 それはさておいて、参加資格を得た高齢者ランナーを代弁して、大会事務局に特にお願いしたいことは、トイレ、給水に万全を期していただきたいということです。概して高齢者はタイムが遅いので、給水地点に到達したときには品切れの状態が多く見られがちです。今回は特大の大会なので、それこそ給水ポンプ車のバックアップがあってもいいんじゃないかと思っております。
 次に、小出監督に、この際お尋ねしたいのですが、各地に行われる大会で、高齢者ランナーであまりにもタイムに執着している人が多数いるように見受けられます。この結果、自分自身の身体的障害を起こしている人もおり、何のための健康マラソンかわからないような実態を多々見受けます。また、同じく高齢者ランナーの中で、各種の大会の開会式の最中、スタート前のウォーミングアップのためか、会場内をぐるぐる回っている人もいます。小出監督はこのような状況をどう思いますか。国内外の大会で模範的な好事例がありましたら教えてください。
 それから、石原知事にお尋ねしますが、私たちの年代の善良なるランナーは、自分の健康のためを第一義としており、医者いらずを標榜しております。この結果、医療費負担の軽減に多少なりとも貢献しているという自負を持っています(笑)。ついては、医療費の少ない高齢者に対しては、東京都独自で、金銭以外ですよ、何かポイント制度みたいなことが考えられないでしょうか。
 以上、よろしくお願いいたします。

○小出(コメンテーター)
 今、私は、会社を60で定年になった人たちが1週間に2回、200人以上集まるトレーニングを始めているんです。その人たちは、とにかく負けるのが嫌いで、ものすごい、高校生以上の練習をやっているんです(笑)。足や膝が痛くなっちゃうというのは当然のことです。
 60を過ぎると、膝の筋肉も弱っているし、全体的に筋力が弱っています。一番おそろしいのは、膝の中の靱帯を、炎症を起こしたり、切ってしまったりすること。うちの近くで、ものすごく速くて、「県で優勝しました」「関東で優勝しました」と自慢していた63歳の人が、そういうふうに大けがして、ウォーキングもできないぐらいになっているんです。
 だから、高齢者になったら、あまり競わないこと。「あいつに勝ってやれ」と思って秘密練習なんかやらないこと(笑)。雨が降ったらやらない。夜中に起きてやらない。無理すると、そのときはいいけど、5年後、10年後にひずみがきます。だから、自分のペースでやること。
 ウォーキングとジョギングをやると、体力が大体10年若返ります。何もやらないでいると、体力が落ちるのがわかります。ウォーキング、速足で歩くだけでもやると、筋力がついてくるのがわかるんです。そのようになると、食事もおいしいし、一杯飲むのも楽しみになるし、すべてが楽しくなりますから、決して、「ああ、嫌だな、また練習だな」と思うような気持ちにならない程度にやってもらいたい。
 それから、大会に行って、よく、寒いのにパンツとランニングになって一生懸命ウォーミングアップをやっている人がいます。高齢者になったら、スタートの10分前ぐらいまで着ていて、軽く歩いていて、さあ、そろそろスタートだよといったら脱いで、ゆっくりゆっくりスタートしていく。こういうのが維持できるかなと思いますね。

○石原知事
 今のご注文ですが、トイレはなかなか大変なんです。移動式のトイレも随分設備してあるんですけれども、沿道のコンビニや駅にも協力してもらって、ランナーの人は、切符を持たなくても用を足せる、そういう準備もしております。
 給水のほうは多分ご心配ないようにいくと思います。
 医療のほうは、お医者さんのチームをたくさん配備しておりますので、よほどのことがない限り大丈夫だと思います。

○中井(コーディネーター)
 日本くらいマラソンが好きな国民、そしてテレビでマラソンの中継をする国はないですよね。でも、そのわりに、大都市東京での市民マラソンが今まで大々的には行われていなかったのが、今回初めて行われる。しかも、マラソン祭りにしよう、地域も巻き込んで盛り上がっていこうということで、皆様にご協力をいただくいい機会になりました。

○小出(コメンテーター)
 走る人だけが楽しむんじゃなくて、応援する人も一緒に参加するわけですから、応援する人も楽しんで。というのは、この前、大きな大会に行ったとき、飛行機に乗ったら、100キロぐらいある大きな年とった女性が横に座ったんです。見るとニューヨークマラソンのメダルを下げているんですよ。「あれ?走ったんですか」と。そうじゃないんですよ。「私は参加したんです。参加料を払って、走らないけれども、みんなと同じ大会に参加した」と。それで喜んでいるんです。そういうのもあるんだなと。

○中井(コーディネーター)
 谷川さんは1年に、どのぐらいレースに出られますか?

○谷川(コメンテーター)
 市民レースは年間30本近くいろいろなところで走らせてもらっています。自分の走りをここまで続けさせてもらって、そこならではの美しい海、山、風景を見られて、おいしい食べ物を食べられて、温泉があったりと、本当に幸せだなといつも感じています。
 自分が一生懸命、トップレベルで走っているときは、とにかく1分1秒速く走ろうという気持ちでやっていました。でも今は、私の走りを見て、「私もちょっと走ってみようかな」と、そう思ってくれる方々がいたらいいなと思いながら、やらせてもらっているんです。
 給水なども、よく考えると、選手のために、朝からずっとビショビショになりながら給水をしてくださっているボランティアの方が、たくさんいらっしゃるんですよね。走りながら、こんなにたくさんの人たちが自分たちを支えてくれているんだなという感じを受けるんです。
 ただ走ることによって、いろんなことを感じるし、同じ食べ物でも非常においしく食べることができる。より自分の人生を充実できる手段じゃないかなと思います。

○中井(コーディネーター)
 きょうは、東京マラソンに出場される市民ランナーの方も傍聴席にお越しいただいているということですので、本日のこの会の感想とか、意気込みとか、そういったあたりを伺ってみたいと思います。大山徹さん、いかがですか。

○大山(都民)
 こんにちは。世田谷から来ました大山と申します。
 今回の東京マラソン、初めてフルマラソンに挑戦します。抽選に当たってから、びっくりしまして、バタバタと練習しはじめたんです。記念すべき第1回大会に、僕みたいな超・ど素人、ナメクジみたいな走りのランナーが走っていいものかといろいろ悩みながらやってきたんですけれども、きょう、石原知事、小出監督、谷川さんのコメントを聞いて、何か吹っ切れた気持ちがしまして、モチベーションも上がってきました。今こちらに来て、僕のライバルが決まりました。浅草さん(笑)。

○浅草キッド・博士(コメンテーター)
 タイムを競い合いましょう。

○大山(都民)
 ライバルと言ってはおこがましいので、目標にさせていただきます。

○浅草キッド・玉ちゃん(コメンテーター)
 一緒に頑張りましょうよ。やりましょう。おやじパワーを見せましょう。

○浅草キッド・博士(コメンテーター)
 目標はどれぐらいなんですか。

○大山(都民)
 完走ですね。完走というか、完歩の感じですね。

○浅草キッド・玉ちゃん(コメンテーター)
 頑張りましょう。

○大山(都民)
 頑張りましょう。よろしくお願いします。

○中井(コーディネーター)
 大山さんはなぜ応募しようと思われましたか。

○大山(都民)
 最初、ちょっと太ってきたな、ダイエットしようかなと思いまして、ちょっと走り始めたころに、ちょうどこの東京マラソンの企画を目にしまして、走るからには何か大きな目標に向かって走りたいと思いまして、応募しました。

○中井(コーディネーター)
 ほかに、きょうお越しになった方の中で、東京マラソンで走りますという方はいらっしゃる?(挙手)
 すごい、たくさんいらっしゃるんですね。知事、うれしいですね。

○石原知事
 うれしいですね。
 ひとつ、私から言わせていただきたいんですけれども、3万人のスタートというのは大変なんですね。トップのアスリートたちが出てからGグループの人たちがスタートするまで数十分かかるでしょう。待ち時間というのは走行時間には換算されません。今度、特別なタグをつくりました。それをスパイクのひもに通してもらうと、それがスタートしたときにオートマチックに登録されて、フィニッシュしたときに何時間かかったか、その途中に、区間ごとに何分かかったかというのがちゃんと登録されるようにしています。だから、途中で自転車に乗って横町へ行ったり、地下鉄に乗って時間を稼いでも、バレます。歩いてでも結構ですから、最後まで自分の足で歩くなり走りきるようにしてください。

○中井(コーディネーター)
 監督、走るのがちょっとしんどくなったら、歩いても完走ということになるわけですよね。7時間の間であれば。

○小出(コメンテーター)
 初めての人、続けて30キロ以上走ったことのない人は、「きつくなるな」という手前で、一回止まってちょっと体操をやるんです。脚を伸ばしたり、肩を回したりして、1分でも2分でもいいから。それからまたゆっくりスタートしていくと、30キロしかもたない人が35キロとか先までもつようになるんです。30キロ過ぎて「きついな」となって1回歩きだすと、走れなくって、ゴールまでずっと歩いていくようになります。ですから、「きついな」と思う手前で一回止まって体操をやる。そういう余裕をもってやったら、最後まで完走できますね。

○中井(コーディネーター)
 当日のご自身の体調などによって、危ないなと思ったら、やめる勇気というのも必要になってくると思います。

○小出(コメンテーター)
 危険なのは、睡眠不足。こういう例があるんです。夜勤で朝まで働いて、そのまま試合に来て走ったら、29歳の人だったけど、心臓が止まってしまったんです。ですから、走る前の日は睡眠を普通にとってやることが大事でしょうね。
 多少飲んでも大丈夫です(笑)。日本酒はエネルギーがありますから大丈夫。経験ずみですから。でも、普段飲まない人は飲んじゃだめですよ。僕も実験してみたんです。日本酒を二日酔いになるぐらいやってみたんです。そうしたら自己最高記録が出た(笑)。夜を徹して飲んでいちゃだめですよ。睡眠の時間をとるまでは大丈夫だと思います。ただ、飲みすぎないようにしてください。それだけお願いします。

○中井(コーディネーター)
 真似していいんだか、だめなんだか…。

○浅草キッド・玉ちゃん(コメンテーター)
 かなり特例だと思いますよ、これは。全員に通用する話じゃないと思いますよ。

○中井(コーディネーター)
 最後になりましたが、コメンテーターの皆様から一言ずつ、きょうの会に参加したお気持ちとか、東京マラソンにかける意気込みとか、希望とか、そういったことがありましたら、伺わせていただきたいと思います。

○浅草キッド・博士(コメンテーター)
 僕らはカメラを回していただくので、ぜひ最後まで完走ということを。こだわるようですけれども、5時間を切ると。

○浅草キッド・玉ちゃん(コメンテーター)
 皆さんに走らせていただくというような気持ちで頑張りたいと思います。

○谷川(コメンテーター)
 石原知事と小出監督がお話をして、何年かたってようやく世界の東京で実現して、新宿都庁前スタート。数ある世界のマラソン大会の中でも、非常にモダンで、かっこいいところがスタートですよね。ちょっと感動するなという気がします。
 トップランナーから初心者のランナーの方、3万人の皆さんが、それぞれ自分の目標を持って、その目標を目指して走る。それを支えてくださるボランティアの方々。皆さんのおかげで、すばらしい2月18日、東京マラソンが大成功に終わることを祈っております。
 そして私も自分の中では、ベストを尽くして、バルセロナオリンピックの正選手の皆さんと一緒に、どんな感じの走りができるのかと。
 皆さんもぜひ沿道で選手の走りをご覧になって、ちょっとずつトレーニングをしていただいて、10キロもありますので、来年は挑戦していただけたらなと思います。

○小出(コメンテーター)
 私、プロもジョガーも子供もお年寄りもみんなで楽しめるイベントがこういうふうに東京都でやっていただいて、何とも言えない気持ちでいるわけでございます。
 有森(有森裕子選手)がこの大会のために、日本からアメリカへ行って強化合宿をやっているんです。皆さんご存じのように、アトランタで2つ目のメダルをとったときに、テレビの方にマイクを向けられたら、「自分で自分をほめたいです」という言葉を残しましたね。ですから、私はそれから指導しました、選手を。有森にも言いました。Qちゃんには、「自分で自分をほめるのはいいけど、一番先にほめるのは監督だよ」と(笑)。いつも練習が終わると、「はい、Qちゃん」と言うの。最初は、自分で自分をほめますと言ったから、「そうじゃない」とひとつひとつ教えていったんです。「何て言うの?」「はい、監督のおかげでございます」。「それだけじゃないだろう」と。「はい、会社のおかげです」。最後に「みんなのおかげです」と、そういうふうに指導できたんです。また有森がこれを完走したら、自分で自分をほめたいなんて言うといけないから、テレビ局の方、マイクを向けるときは打ち合せをしておいたほうがいい(笑)。
 そういうことで、一日、皆さんと一緒にいい日を過ごしたいと思います。

○石原知事
 さっき谷川さんが言われたのはとっても大事なことなんです。マラソンの醍醐味はいろいろあるでしょうけれども、知らない人から応援される喜びというのは、私はすばらしいと思いますね。人間というのは本来そういうものですよ。このごろ、世の中がすさんできて、人の足を引っ張る、いじめる、そういう嫌な気風が横溢してきて残念ですけれども、マラソンはそういうもののリカバリーになればいいなと、本当に思います。
 ひとつつけ加えますと、東京都はマラソンだけじゃなしに、これからスポーツを通じて、若い人たちを健全に育成していこうと思っています。そのひとつとして、秋川高校が廃校になったところを、スポーツの、トップアスリートになりたいという子供たちのための中高一貫教育の施設にします。そういうことも東京はやろうと思っています。
 今の風潮の責任は私たち自身にあるので、今の子供たちが曲がっているのは、子供の責任じゃなしに、実は私たちの責任なんですね。そういうものを取り戻すためにも、スポーツをとっかかりにして努力していきたいと思います。
 きょうは皆さんからいろいろご意見をいただいたり、多くの方が参加すると手を挙げられて、非常に心強い思いをしています。成功すれば、まさに皆さんのおかげです。ありがとうございました。

○中井(コーディネーター)
 東京大マラソン祭り、国内外からたくさんの人たちが集まります。交流することで観光とか地域振興にもつながっていく大会にできればと思っています。そして、私たち都民にとりましても、自分たちのまち東京を舞台に、これだけ多くの人たちが走る。そして、それを支えるスタッフがいる。私たちも一緒につくり上げるマラソン大会にしていきたいと、強くきょう心に思いました。
 2月18日、まずは第1回の東京マラソン、皆さんと一緒に盛り上げて、すばらしい大会にしていきたいと思います。そして、ずっとずっと続いていく市民マラソンの大きな大会になるように、一流のトップランナーたちの世界陸上の切符もかかっておりますので、そのあたりのレースのこともちょっと気にしながら、皆様にも見ていただければと思います。
 本日は長い間にわたりまして、ありがとうございました。